(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態の半導体デバイスの構成を説明する。本実施形態では、半導体デバイスがDRAMの場合とする。
【0015】
図1は本実施形態によるDRAMの一構成例を示す断面図である。本実施形態では、説明のために、DRAMの回路形成領域を、複数のメモリセルが設けられるセルアレイ部と、セルアレイ部の周囲に設けられた周辺回路部とに大別する。
【0016】
図1(a)は周辺回路部とセルアレイ端部を示しており、
図1(b)はセルアレイ中央部を示している。なお、セルアレイ端部とセルアレイ中央部とを合わせて、セルアレイ部と称する場合がある。また、本実施形態のDRAMでは、ベースとなる半導体基板にシリコン基板を用いるものとする。また、単体の半導体基板だけでなく、半導体基板上に半導体デバイスが製造される過程の状態、および半導体基板上に半導体デバイスが形成された状態を含めて、ウェハと総称する。
【0017】
はじめに、本実施形態のDRAM100のセルアレイ部と周辺回路部の両方に共通する構成について、
図1(a)および
図1(b)を参照して説明する。
【0018】
セルアレイ部と周辺回路部のそれぞれには、シリコン基板1にプレーナ型MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ(以下では、MOSトランジスタと称する)が設けられている。MOSトランジスタは、シリコン基板1に設けられた素子分離領域となるSTI(Shallow Trench Isolation)2に囲まれた活性領域3内に位置している。MOSトランジスタは、シリコン基板1の表面に設けられたゲート絶縁膜4と、ゲート絶縁膜4の上に設けられたゲート電極5と、ゲート絶縁膜4の下部周辺に設けられたソース領域およびドレイン領域となる拡散層8とを有する構成である。
図1(b)に示す活性領域3には、説明の便宜上、2個のMOSトランジスタを表しているが、実際には、セルアレイ部には、数千〜数十万個のMOSトランジスタが配置されている。
【0019】
図1(a)および
図1(b)に示すように、ゲート電極5は、その上面が絶縁膜6覆われ、その側面がサイドウォール絶縁膜7で覆われている。拡散層8は、ゲート絶縁膜4の下部周辺といっても、ゲート絶縁膜4において、ゲート電極5で覆われた部位の真下ではなく、第1の層間絶縁膜9によって覆われた、シリコン基板1の一部の表面近傍に設けられている。拡散層8は、シリコン基板1に多く含まれる導電性不純物とは反対の導電型の不純物が拡散して形成された層である。以下では、1つのMOSトランジスタが備える2つの拡散層8を区別して説明する場合に、
図1(a)および
図1(b)に示すように、符号8aまたは8bを用いる。
【0020】
次に、セルアレイ部における構成を、
図1(a)に示すセルアレイ端部の断面図および
図1(b)の断面図を参照して説明する。セルアレイ部には、上記MOSトランジスタおよびキャパシタ27を有するメモリセルが複数設けられている。キャパシタ27はシリンダ型のキャパシタである。
【0021】
キャパシタ27は、下部電極24、容量膜25および上部電極26を有する構成である。2つのMOSトランジスタが共有する拡散層8aは第1のコンタクトプラグ10aおよび第2のコンタクトプラグ12を介してビットラインとなる第1の配線13に接続されている。また、MOSトランジスタの拡散層8bは、第1のコンタクトプラグ10b、第3のコンタクトプラグ17およびコンタクトパッド18を介してキャパシタ27の下部電極24に接続されている。
【0022】
第1のコンタクトプラグ10a、10bは、第1の層間絶縁膜9を貫通し、隣接するMOSトランジスタのサイドウォール絶縁膜7の間に位置している。第1のコンタクトプラグ10aは、第2の層間絶縁膜11を貫通する第2のコンタクトプラグ12と接続されている。第1のコンタクトプラグ10bは、第2の層間絶縁膜11および第3の層間絶縁膜16を貫通する第3のコンタクトプラグ17と接続されている。
【0023】
第1の配線13は、第2の層間絶縁膜11上に設けられており、第2のコンタクトプラグ12と接続されている。第1の配線13は、上面が絶縁膜14で覆われ、側面がサイドウォール絶縁膜15で覆われている。
【0024】
コンタクトパッド18は、第3の層間絶縁膜16の上に設けられ、第3の層間絶縁膜16を貫通する第3のコンタクトプラグ17と接続されている。コンタクトパッド18は、キャパシタ27と第3のコンタクトプラグ17とのアライメントマージンを確保するためのものである。
【0025】
コンタクトパッド18の上に、第3の層間絶縁膜16を保護するためのカバー膜19と、第4の層間絶縁膜20と、第5の層間絶縁膜21とが順に設けられている。カバー膜19、第4の層間絶縁膜20、および第5の層間絶縁膜21を貫通してコンタクトパッド18の上面に達するシリンダホール27Aに、シリンダ状の下部電極24が設けられている。この構成により、コンタクトパッド18と下部電極24が接続されている。下部電極24の露出面は容量膜25で覆われ、容量膜25は上部電極26で覆われている。上部電極26は第6の層間絶縁膜28で覆われている。
【0026】
キャパシタ27の側面には、キャパシタ27の倒壊を防止するために、隣接するキャパシタ27の間に第1の梁22と第2の梁23が設けられている。第1の梁22はキャパシタ27の中央付近に設けられ、第2の梁23はキャパシタの上部付近に設けられている。この構成により、キャパシタ27は、製造過程で水平方向に力がかかっても、梁を介して隣接するキャパシタと相互に支え合うことで、倒壊を防げる。
【0027】
セルアレイ端部には、第6の層間絶縁膜28を貫通する第4のコンタクトプラグ29が設けられ、第4のコンタクトプラグ29は、第6の層間絶縁膜28の上に設けられた第2の配線30と接続されている。キャパシタ27の上部電極26は、第4のコンタクトプラグ29を介して第2の配線30と接続されている。
【0028】
次に、周辺回路部における構成を、
図1(a)に示す周辺回路部の断面図を参照して説明する。
【0029】
上記MOSトランジスタの拡散層8が第5のコンタクトプラグ31を介して第3の配線32と接続されている。第3の配線32は第6のコンタクトプラグ35を介して第2の配線30と接続されている。第5のコンタクトプラグ31は、第1の層間絶縁膜9と第2の層間絶縁膜11を貫通して設けられている。第3の配線32は、第2の層間絶縁膜11上に設けられ、絶縁膜33とサイドウォール絶縁膜34で覆われている。絶縁膜33の上にカバー膜19、第4の層間絶縁膜20、第5の層間絶縁膜21、および第6の層間絶縁膜28が順に設けられている。第6のコンタクトプラグ35は、絶縁膜33、カバー膜19、第4の層間絶縁膜20、第5の層間絶縁膜21、および第6の層間絶縁膜28を貫通して、第2の配線30と第3の配線32とを接続している。
【0030】
次に、上述した構成のDRAMを対象として、本実施形態の半導体デバイスの製造方法を、
図2から
図11を参照して説明する。
【0031】
本実施形態の半導体デバイスの製造方法は、フォトリソグラフィ工程に用いられるものであり、特に、下地に形成されたパターンとの合わせを必要とするフォトリソグラフィ工程に有効である。その一例として、キャパシタ27を形成するための「型枠」となるシリンダホール27Aをコンタクトパッド18上に形成する方法に、本実施形態の半導体デバイスの製造方法を適用する。ただし、シリンダホール27Aを形成するには、その途中で各種の測定と良否判定が必要であるが、その詳細は後述し、ここでは、その形成方法に注目して説明する。
【0032】
図2から
図11の各図において、(a)は周辺回路部とセルアレイ端部を示し、(b)はセルアレイ中央部を示し、(c)はアライメントマーク部を示す。
【0033】
また、
図2、4、6、8および10のそれぞれにおける(a)および(b)の平面図は、各図に示す製造工程に応じて、デバイス表面の構成要素を実線で示し、デバイス表面よりも下層側の主な構成要素については、デバイス表面から下層側の主な構成要素までの膜が透光性ではないものとして、破線で示している。これに対して、
図2、4、6、8および10のそれぞれにおける(c)の平面図も、各図に示す製造工程に応じて、マーク表面の構成要素を実線で示しているが、マーク表面よりも下層側の構成要素については、説明のために、各構成要素自体の透光性を考慮して、測定時に用いるカメラでマークを撮影したときの画像を模式的に示している。
【0034】
はじめに、シリコン基板1にSTI2を形成する工程からコンタクトパッド18を形成する工程までの製造過程を説明する。
図2はコンタクトパッド形成工程後の半導体デバイスを示す平面図であり、
図3は
図2に示す線分AA部の断面図である。
【0035】
シリコン基板1に、素子分離領域となるSTI2を形成することによって、活性領域3を形成する。次に、熱酸化法によりシリコン基板1の表面にゲート絶縁膜4として酸化膜を形成し、CVD(Chemical Vapor Deposition)法によりポリシリコン膜およびタングステン(W)膜をその酸化膜の上に形成する。さらに、CVD法によりタングステン膜の上に絶縁膜6として窒化シリコン膜(SiN)を形成する。
【0036】
続いて、所定の形状にパターニングされた絶縁膜6をマスクにして、ポリシリコン膜およびタングステン膜に対してエッチングを行ってゲート電極5を形成する。続いて、ゲート電極5および絶縁膜6からなる積層体を覆う窒化シリコン膜をCVD法により形成し、この窒化シリコン膜に対して異方性エッチングを行うことで、ゲート電極5および絶縁膜6の側面を覆うサイドウォール絶縁膜7を形成する。そして、ゲート電極5間の領域で、サイドウォール絶縁膜7で覆われていない部位のシリコン基板1の表面近傍に導電性不純物をイオン注入法で導入し、その後、導電性不純物を熱拡散させることで拡散層8を形成する。このようにして、MOSトランジスタが形成される。
【0037】
図3(a)および
図3(b)に示すように、ゲート電極5および絶縁膜6からなる積層体がシリコン基板1の表面に対して凸型形状になっており、この凸型形状による段差をなくすために、積層体間を埋め込むための塗布絶縁材料として第1の層間絶縁膜9を形成し、続いて、CMP(Chemical Mechanical Polishing)処理を行うことで第1の層間絶縁膜9の上面を平坦化する。第1の層間絶縁膜9には、膜厚が200nm程度のSOD(Spin On Dielectrics)を用いた。
【0038】
さらに、セルアレイ部において、所望の拡散層8上に所望の形状の開孔(ホール)パターンを第1の層間絶縁膜9に形成するために、第1の層間絶縁膜9の上にフォトレジスト膜を塗布し、フォトリソグラフィ技術によって所定のホールパターンをフォトレジスト膜に形成する。ホールパターンが形成されたフォトレジスト膜をマスクにして第1の層間絶縁膜9にドライエッチングを行うことで、第1のホール(不図示)を第1の層間絶縁膜9に形成する。フォトレジスト膜を除去した後、第1のホールに埋め込むようにタングステン等の導電膜を形成する。続いて、第1の層間絶縁膜9上に形成された、余剰分の導電膜をCMP処理で除去することにより、第1のコンタクトプラグ10a、10bを導電膜で形成する。このとき、第1のコンタクトプラグ10が拡散層8と接続される。
【0039】
第1の層間絶縁膜9上に、CVD法により膜厚100nm程度のシリコン酸化膜(SiO
2)で第2の層間絶縁膜11を形成する。第1の層間絶縁膜9に第1のコンタクトプラグ10を形成する場合と同様に、フォトリソグラフィ技術、ドライエッチング、導電膜形成およびCMP処理を行うことで、セルアレイ部における第2の層間絶縁膜11に第2のコンタクトプラグ12を形成し、周辺回路部における第1の層間絶縁膜9および第2の層間絶縁膜11に第5のコンタクトプラグ31を形成する。この処理により、第2のコンタクトプラグ12が第1のコンタクトプラグ10aと接続され、第5のコンタクトプラグ31が拡散層8と接続される。
【0040】
第2の層間絶縁膜11上に、膜厚50nm程度のタングステン膜をスパッタリング法で形成し、その上に膜厚250nm程度の窒化シリコン膜をCVD法で形成する。これらの膜をフォトリソグラフィ技術とドライエッチングによりパターニングすることで、セルアレイ部において、絶縁膜14が積層された第1の配線13を形成し、周辺回路部において、絶縁膜33が積層された第3の配線32を形成する。この処理により、第1の配線13が第2のコンタクトプラグ12と接続され、第3の配線32が第5のコンタクトプラグ31と接続される。続いて、第1の配線13の側面を窒化シリコン膜などのサイドウォール絶縁膜15で覆うと同時に、第3の配線32の側面をサイドウォール絶縁膜34で覆う。これらの配線間を埋め込むように、膜厚400nm程度のSODによる第3の層間絶縁膜16を形成した後、CMP処理により第3の層間絶縁膜16の上面を平坦化する。
【0041】
続いて、セルアレイ部において、第2の層間絶縁膜11および第3の層間絶縁膜16にホールパターンを形成するために、第3の層間絶縁膜16の上にフォトレジスト膜を塗布し、フォトリソグラフィ技術によってフォトレジスト膜にホールパターンを形成する。そして、ホールパターンが形成されたフォトレジスト膜をマスクにして第2の層間絶縁膜11および第3の層間絶縁膜16にドライエッチングを行うことで、第2のホール(不図示)を第2の層間絶縁膜11および第3の層間絶縁膜16に形成する。
【0042】
フォトレジスト膜を除去した後、第2のホールを埋め込むようにタングステン等の導電膜を形成する。続いて、第3の層間絶縁膜16上に形成された、余剰分の導電膜をCMP処理で除去することにより、第3のコンタクトプラグ17を導電膜で形成する。このとき、第3のコンタクトプラグ17が第1のコンタクトプラグ10bと接続される。さらに、第3の層間絶縁膜16上に、導電性不純物が拡散されたポリシリコン膜またはタングステン膜などの導電膜を膜厚50nm程度形成する。そして、フォトリソグラフィ技術とドライエッチングによって導電膜をパターニングして、セルアレイ部にコンタクトパッド18を形成する。コンタクトパッド18は、平面パターンの直径φ1(
図2(b)参照)の仕上がり寸法が98±7nmに設定されている。
【0043】
アライメントマーク部には、フォトリソグラフィ工程毎に適切な形状のアライメントマークがウェハ表面に形成されるが、本実施形態では、シリンダホール27Aの形成に必要なものだけを表すものとする。アライメントマーク部では、
図3(c)に示すように、シリコン基板1上に第1の層間絶縁膜9、第2の層間絶縁膜11および第3の層間絶縁膜16を順に形成し、
図2(c)および
図3(c)に示すように、第1のアライメントマーク18Aを第3の層間絶縁膜16の上に形成している。
図2(c)に示すように、第1のアライメントマーク18Aの平面パターンは、横寸法(X軸方向寸法)をX1とし、縦寸法(Y軸方向寸法)をY1とすると、X1=Y1=20μmとし、パターンの幅を1μmとした枠状パターンである。第1のアライメントマーク18Aはコンタクトパッド18と同種の材料で形成されている。
【0044】
ここで、
図2(c)に示す第1のアライメントマーク18Aは、各辺が頂点で接続され、4つの辺が接続されて1つのパターンになっているが、パターンが頂点(コーナー部分)で分断され、各辺に対応するライン状の4つのパターンで構成されていてもよい。なお、アライメントマーク部における、第1の層間絶縁膜9、第2の層間絶縁膜11および第3の層間絶縁膜16を、セルアレイ部と周辺回路部への成膜と同時に形成し、第1のアライメントマーク18Aもコンタクトパッド18と同時に形成している。このように、アライメントマーク部だけに特別な加工を施すことなく、セルアレイ部および周辺回路部のうち、いずれか一方または両方と同時にアライメントマーク部に加工を行っている。そのため、これ以降の工程では、アライメントマーク部の説明を、主としてセルアレイ部および周辺回路部との相違点について行う。
【0045】
次に、コンタクトパッド18上に絶縁膜を形成する工程から、シリンダホール27Aを形成するためのフォトレジストを形成する工程までの製造過程を説明する。
図4はシリンダホール形成のためのフォトレジストを形成した後の半導体デバイスを示す平面図であり、
図5は
図4に示す線分AA部の断面図である。
【0046】
コンタクトパッド18および第3の層間絶縁膜16の上に、ウェットエッチングの保護膜として、膜厚50nm程度の窒化シリコン膜を用いたカバー膜19をCVD法で形成する。次に、カバー膜19上に、膜厚500〜1000nm程度の酸化シリコン膜を用いて第4の層間絶縁膜20をCVD法で形成する。さらに、第4の層間絶縁膜20上に、カーボン膜を用いたハードマスク20Aと酸化シリコン膜を用いた中間マスク20BをCVD法で順に形成する。続いて、中間マスク20Bの上にフォトレジスト20Cを塗布した後、フォトリソグラフィ技術によって、フォトレジスト20Cのうち、所望のコンタクトパッド18の部位に相当する位置にホールパターン20Dを形成する。このとき、ホールパターン20Dの底面には、中間マスク20Bの上面の一部が露出することになる。ホールパターン20Dは、平面パターンの直径φ2(
図4(b)参照)の仕上がり寸法が64±2nmに設定されている。
【0047】
アライメントマーク部では、
図5(c)に示すように、中間マスク20B上のフォトレジスト20Cに第2のアライメントマーク20Eを形成する。
図4(c)では、第2のアライメントマーク20Eの平面パターンは、中間マスク20Bの上面が露出している部分に相当する。第2のアライメントマーク20Eの平面パターンは、横寸法をX2とし、縦寸法をY2とすると、X2=Y2=10μmとし、パターンの幅を0.3μmとした、正方形の枠状パターンである。
【0048】
ここで、これらのアライメントマークをXY平面座標に垂直な方向から見る「平面視」における設計上の配置は、第2のアライメントマーク20Eを第1のアライメントマーク18Aの内側としており、それぞれのマークの中心を一致させて、XY平面において原点を起点にして任意の座標への方向である「XY方向」における両マークの隙間をそれぞれ5μmとしている。
【0049】
なお、第2のアライメントマーク20E(
図4(c)において符号20Bに示す部位)は、各辺が頂点で接続され、4つの辺が接続されて1つのパターンになっているが、パターンがコーナー部分で分断され、各辺に対応するライン状の4つのパターンで構成されていてもよい。また、説明を簡単にするために、以下では、ホールパターン20Dが形成されたフォトレジスト20Cをレジストマスク20Dと称し、第2のアライメントマーク20Eが形成されたフォトレジスト20Cをレジストマスク20Eと称する場合がある。
【0050】
次に、フォトレジスト20Cのホールパターンをハードマスク20Aおよび中間マスク20Bに転写する工程を説明する。
図6はシリンダホール形成のためのホールパターンをハードマスクおよび中間マスクに転写した後の半導体デバイスを示す平面図であり、
図7は
図6に示す線分AA部の断面図である。
【0051】
フォトレジスト20Cをエッチングマスクとして、ホールパターン20Dの底面に露出した中間マスク20Bをドライエッチングすることで、中間マスク20Bにホールパターン(不図示)を形成する。次に、中間マスク20Bをエッチングマスクとして、図に示さないホールパターンの底面に露出したハードマスク20Aにドライエッチングを行うことで、中間マスク20Bおよびハードマスク20Aにホールパターン20Fを形成する。このとき、中間マスク20Bの上に形成されていたフォトレジスト20Cは、これらのドライエッチングの処理の過程で、ホールパターン20Dの位置に相当する中間マスク20Bおよびハードマスク20Aと共に除去される。
図6(a)および
図6(b)に示すように、ホールパターン20Fの底面には、第4の層間絶縁膜20の上面の一部が露出する。
【0052】
アライメントマーク部では、中間マスク20Bおよびハードマスク20Aに、平面視で第2のアライメントマーク20Eと同じ正方形の溝パターン20Gを形成する。
図7(c)に示すように、溝パターン20Gの底面には、第4の層間絶縁膜20の上面の一部が露出している。そのため、
図6(c)では、溝パターン20Gは、第4の層間絶縁膜20の上面が露出している部分に相当し、符号20で示されている。
【0053】
次に、ハードマスク20Aのホールパターン20Fを第4の層間絶縁膜20に転写する工程を説明する。
図8はハードマスクのホールパターンを第4の層間絶縁膜に転写した後の半導体デバイスを示す平面図であり、
図9は
図8に示す線分AA部の断面図である。
【0054】
中間マスク20Bおよびハードマスク20Aをエッチングマスクとして、
図7(a)および
図7(b)に示したホールパターン20Fの底面に露出する第4の層間絶縁膜20の部位にドライエッチングを行って、第4の層間絶縁膜20にホールパターン20Hを形成する。中間マスク20Bは、このときのドライエッチング処理で除去される。ホールパターン20Hの底面には、コンタクトパッド18の上面の一部が露出する。
図8(a)および
図8(b)では、ホールパターン20Hは、コンタクトパッド18の上面が露出している部分に相当し、符号18で示されている。
【0055】
アライメントマーク部では、第4の層間絶縁膜20に、平面視で第2のアライメントマーク20Eと同じ正方形の溝パターン20Jを形成する。
図9(c)に示すように、溝パターン20Jの底面には、第3の層間絶縁膜16の上面の一部が露出している。そのため、
図8(c)では、溝パターン20Jは、第3の層間絶縁膜16の上面が露出している部分に相当し、符号16で示されている。
【0056】
次に、シリンダホール27Aを形成する工程を説明する。
図10はシリンダホール形成後の半導体デバイスを示す平面図であり、
図11は
図10に示す線分AA部の断面図である。
【0057】
第4の層間絶縁膜20の上に残留しているハードマスク20Aをアッシング処理によって除去することで、
図11(a)および
図11(b)に示すように、シリンダホール27Aが形成される。シリンダホール27Aの底面には、コンタクトパッド18の上面の一部が露出している。そのため、
図10(a)および
図10(b)では、シリンダホール27Aのパターンは符号18で示されている。
【0058】
アライメントマーク部には、横寸法をX3とし、縦寸法をY3とした正方形の溝パターン27Bが第4の層間絶縁膜20に形成される。
図11(c)に示すように、溝パターン27Bの底面には、第1のアライメントマーク18Aの内側の範囲であって、第3の層間絶縁膜16の上面の一部が露出している。そのため、
図10(c)では、溝パターン27Bは、第3の層間絶縁膜16の上面が露出している部分に相当し、符号16で示されている。なお、溝パターン27Bの横寸法X3と縦寸法Y3と幅寸法のそれぞれは、ドライエッチングにおいて意図しないXY方向にもエッチングが進むサイドエッチング現象によって、第2のアライメントマーク20Eの実測値とは若干のずれを生じる場合がある。
【0059】
次に、上述した製造方法に含まれる工程のうち、コンタクトパッド18の形成工程とシリンダホール27Aの形成工程の2つの工程を対象にして、本実施形態の半導体デバイスの製造方法を説明する。コンタクトパッド18の形成工程を第1の工程とし、シリンダホール27Aの形成工程を第2の工程とする。
【0060】
図12は、本実施形態の半導体デバイスの製造方法を詳しく説明するための対象となる2つの工程の製造フローを示す図である。ここでは、
図2から
図11を参照して説明した半導体デバイスの構成と同様な構成には、同一の符号を使用する。また、第1および第2の工程のそれぞれは種々の工程を含んでいるため、それらの工程を区別するために、(1)〜(18)の番号を工程に付している。
【0061】
第1の工程では、第3の層間絶縁膜16上に第1の被加工膜となる導電膜を成膜(工程(1))してから、フォトレジストの塗布(工程(2))と現像を行って、レジストマスクを形成(工程(3))する。次に、レジストマスクのパターン寸法およびアライメントマークの形成位置を測定(工程(4))し、レジストマスクの良否判定(工程(5))を行う。
【0062】
工程(5)で不良と判定されたウェハは、製造フローから迂回してレジストマスクが剥離(工程(15))された後、再度製造工程に戻って、フォトレジストの塗布(工程(2))から製造が再開される。工程(5)で良品と判定されたウェハに対しては、第1の被加工膜からなる第1のパターンに相当するコンタクトパッド18を形成(工程(6))する。続いて、コンタクトパッド18における第1の距離に相当するパターン寸法を測定(工程(7):第1の測定工程に相当)し、コンタクトパッド18の良否判定(工程(8))を行う。この良否判定で不良となったウェハは、再生困難であるので、廃棄処分される。
【0063】
第2の工程では、コンタクトパッド18上に、第2の被加工膜となるカバー膜19および第4の層間絶縁膜20と、ハードマスク20A、中間マスク20Bを順次形成(工程(9))してから、第2の被加工膜の上にハードマスク20Aおよび中間マスク20Bを介してフォトレジスト20Cの塗布(工程(10))と現像を行い、第2のパターンに相当するレジストマスク20Dを形成(工程(11))する。次に、レジストマスク20Dにおける第2の距離に相当するパターン寸法および第2のアライメントマーク20Eの形成位置を測定(工程(12):第2の測定工程に相当)し、レジストマスク20Dの良否判定(工程(13))を行う。
【0064】
工程(13)で、不良と判定されたウェハは、製造フローから迂回して、レジストマスクが剥離(工程(18))された後、再度製造工程に戻って、フォトレジスト20Cの塗布(工程(10))から製造が再開される。工程(13)で良品と判定されたウェハに対しては、レジストマスク20Dを使用して、第2の被加工膜を用いて第3のパターンに相当するシリンダホール27Aを形成(工程(14))する。続いて、シリンダホール27Aにおける第3の距離となるパターン寸法を測定(工程(15):第3の測定工程に相当)し、シリンダホール27Aの良否判定(工程(16))を行う。この良否判定で不良となったウェハも、再生困難であるので、廃棄処分される。
【0065】
次に、工程(12)における第2のアライメントマーク20Eの形成位置の測定方法を説明する。
図13は、
図12に示す工程(12)における測定時にアライメントマーク部をカメラで撮影した画像の一例である。
図13は、
図4(c)に示したアライメントマーク部を撮影した画像に相当する。
【0066】
図4(c)の線分AA部分の断面図に相当する
図5(c)に示したように、アライメントマーク部には、第1のアライメントマーク18Aの上に、カバー膜19、第4の層間絶縁膜20、ハードマスク20A、中間マスク20B、およびフォトレジスト20Cが積層されている。カバー膜19、第4の層間絶縁膜20、ハードマスク20A、中間マスク20B、およびフォトレジスト20Cのいずれもが透光性を有しているので、
図13に示す画像で、
図5(c)に示したホールパターン20Eの底面に露出する中間マスク20Bの上面と共に第1のアライメントマーク18Aを認識することが可能である。
【0067】
そのため、
図13に示す画像に対して、第1のアライメントマーク18Aと第2のアライメントマーク20E(符号20Bで示す)を含むエリアの画像処理、またはX方向およびY方向へのレーザー光照射を行うことによって、これら2つのアライメントマークのそれぞれの端部の位置を検出することができる。さらに、2つのアライメントマークのそれぞれの端部の位置のX軸方向の差分値とY軸方向の差分値から、2つのアライメントマークのX方向のずれ量X4およびX5と、2つのアライメントマークのY方向のずれ量Y4およびY5を算出することができる。パターンの端部の検出方法については、後述する。
【0068】
ここで、X軸方向のずれ量X4がX5と等しいならば、X軸方向における第1のアライメントマーク18Aと第2のアライメントマーク20Eの位置ずれはないものと判断できるが、
図13に示す画像では、X4>X5なので、第1のアライメントマーク18Aを基準にして第2のアライメントマーク20EがX軸方向のプラス(+)側にずれて形成されていることを示している。詳細な説明を省略するが、2つのアライメントマークのY軸方向のずれ量Y4とY5の関係もX軸方向のずれ量の関係と同様であり、
図13の画像は、第1のアライメントマーク18Aを基準にして第2のアライメントマーク20EがY軸方向のプラス(+)側にずれて形成されていることを示している。
【0069】
次に、ウェハにおける半導体デバイスとアライメントマークのレイアウトについて説明する。
図14は、ウェハにおける半導体デバイスおよびアライメントマークのレイアウトの一例を示す平面図である。
図14では、シリコン基板1の表面において破線で囲む領域を拡大してシリコン基板1の右側に示している。
【0070】
ウェハの表面には、X軸およびY軸のそれぞれの方向に沿って複数の半導体デバイスが配置されている。
図14の破線枠内に示すように、ウェハ上でX軸方向およびY軸方向のそれぞれにおいて、隣接する半導体デバイス領域の間には、スクライブ領域51が設けられている。例えば、半導体デバイス領域50aと半導体デバイス領域50bの間にスクライブ領域51が設けられ、半導体デバイス領域50aと半導体デバイス領域50cの間にスクライブ領域51が設けられている。
【0071】
なお、半導体デバイス領域50a〜50dは同様な構成であるから、いずれも符号を50としてもよいが、これらの領域を区別して説明する場合のために、符号50にアルファベットの小文字a〜dを添付している。ただし、半導体デバイス領域50a〜50dに共通で、区別して説明する必要がない場合については、符号50を用いるものとする。このことは、アライメントマーク部の符号52a〜52d、およびレジストマスク20Dのパターン寸法を測定する場所を示す符号53a〜53dについても、同様である。
【0072】
図12に示した工程(12)の状態であれば、
図14に示す半導体デバイス領域50の上にはレジストマスク20Dが形成され、スクライブ領域51の中心線にアライメントマーク部52の中心線がほぼ一致するように、アライメントマーク52が形成されている。工程(12)では、第2のアライメントマーク20Eの位置の測定と共に、レジストマスク20Dのパターン寸法を測定するが、本実施形態においては、第2のアライメントマーク20Eにできるだけ近接したレジストマスク20Dのパターンを測定するのが望ましい。このことを、具体例を挙げて説明する。アライメントマーク部52aにおける第2のアライメントマーク20Eと半導体デバイス領域50aにおけるレジストマスク20Dをペアにして測定するのであれば、レジストマスク20Dのパターン寸法を測定する場所は、符号53a、符号53bまたは符号53cで示す場所よりも符号53eで示す場所が好ましい。
【0073】
その理由を説明する。本実施形態において、レジストマスク20Dのパターン寸法で、第2のアライメントマーク20Eの重ね合わせの許容値(以下では、重ね合わせ許容値と称する)を決定する。重ね合わせ許容値については、後で詳しく説明する。フォトリソグラフィ工程では、ウェハの面内位置に依存する、レジストパターンの寸法ばらつきが生じる。測定対象となる第2のアライメントマーク20Eおよびレジストマスク20Dのパターンを近接させることで、フォトリソグラフィ工程で生じるウェハ面内ばらつきによる、第2のアライメントマーク20Eとレジストマスク20Dのパターン測定値の相関ずれをできるだけ小さくするためである。
【0074】
レジストマスク20Dのパターン寸法を測定する場所をアライメントマーク部に近接した場所にすることは、アライメントマーク部52b〜52dと半導体デバイス領域50b〜50dについても同様である。
【0075】
本実施形態における半導体デバイスの製造方法は、
図12に示した工程フローを参照すると、第1の被加工膜を形成する工程(1)と、第1のパターンを形成する工程(6)と、第1の測定工程である工程(7)と、第2の被加工膜を形成する工程(9)と、第2のパターンを形成する工程(11)と、第2の測定工程である工程(12)を有しており、工程(13)における、第2のパターンの判定が、第1の距離と、第1および第2の距離から求まる算出値とのうち、少なくとも一方によって決定されている。
【0076】
さらに、本実施形態では、第3のパターンを形成する工程(14)と、第3の測定工程である工程(15)を有しており、第3の測定工程における測定エリアが第1の距離と上記算出値のうち、少なくとも一方によって決定されている。
【0077】
図12には、第1の測定工程による結果と第2の測定工程による結果を、第2のパターンの判定と第3の測定工程に反映させる手順をローマ数字の記号(I)〜(V)で示している。
【0078】
次に、第1のパターンに相当するコンタクトパッド18と、第2のパターンに相当するホールパターン20Dと、第3のパターンに相当するシリンダホール27Aとについて、設計許容値と重ね合わせ許容値を説明する。
【0079】
図15Aは、ホールパターン20D形成後の半導体デバイスの一部を示す断面図である。
図15Bは、シリンダホール27A形成後の半導体デバイスの一部を示す断面図である。
【0080】
図15Aに示すように、カバー膜19の下方に形成されたコンタクトパッド18の直径をXAとし、コンタクトパッド18の上方にカバー膜19、第4の層間絶縁膜20、ハードマスク20Aおよび中間マスク20Bを介して形成されたホールパターン20Dの開口径をXBとする。
図2(b)を参照して説明したように、コンタクトパッド18の直径XAは、設計値が98nmに設定され、設計許容値は、XA=98±7nmとなっている。
図4(b)を参照して説明したように、ホールパターン20Dの開口径XBの設計値は64nmに設定され、設計許容値は、XB=64±2nmとなっている。コンタクトパッド18の直径XAの設計値は、ホールパターン20Dの開口径XBの設計値よりも大きい。
【0081】
図15Bに示すシリンダホール27Aは、側壁が傾斜し、下部よりも上部の開口径が大きく形成された場合の構造である。
図15Bに示すシリンダホール27Aの上部における開口径XCは、ホールパターン20Dの開口径XBと同等である。しかし、シリンダホール27Aの側壁が傾斜しているため、シリンダホール27Aの底面における開口径XDは開口径XCよりも小さく、設計許容値は、XD=55±2nmとなっている。
【0082】
開口径XDは、開口径XCからの相関値として、シリンダホール27Aが形成される第4の層間絶縁膜20の膜厚と、シリンダホール27Aを加工する際のエッチング速度を含むエッチング条件に対応して算出することが可能である。つまり、第4の層間絶縁膜20の膜厚とエッチング条件によって決まる係数k1を用いて、開口径XD=開口径XC×k1で表せる。そして、開口径XC≒開口径XBであることから、開口径XD=開口径XB×k1で表せる。さらに、エッチング変換差により開口径XC≠開口径XBである場合には、変換係数k2を用いて、開口径XC=開口径XB×k2と表せる。この場合、開口径XD=開口径XB×k1×k2で表せる。
【0083】
設計上、シリンダホール27Aの底面はコンタクトパッド18の上面に存在しなければならない。そのため、シリンダホール27Aの底面とコンタクトパッド18の重ね合わせに連動する、第1のアライメントマークと第2のアライメントマークの重ね合わせ許容値XEは、XE=(XA−XD)/2で算出されることになる。この式から、重ね合わせ許容値XEは、直径XAおよび開口径XDによって異なることがわかる。
【0084】
表1は、直径XAと開口径XDの設計許容値の範囲で、重ね合わせ許容値XEが取り得る公差をまとめたものである。
【0086】
表1は、本実施形態では、XA=98±7nmとし、XD=55±2nmとしており、これらの値をXE=(XA−XD)/2の式に代入し、重ね合わせ許容値XEが取り得る公差を示すものである。
【0087】
例えば、XD=55−2=53nm、XA=98−7=91nmのとき、XE=(91−53)/2=19から、重ね合わせ許容値XEの取り得る公差は±19nmとなる。表1において、コンタクトパッド18の直径XAが最小値の91nmであり、シリンダホール27Aの底部の開口径XDが最大値の57nmであるとき、重ね合わせ許容値XE(以下では、設計上の許容値XE1と称する)は、範囲が最も狭い公差である±17nmとなっている。
【0088】
現状では、コンタクトパッド18の直径XAの寸法によらず、ウェハの全て、または、規定枚数のウェハをまとめて製造工程の履歴を管理する製造ロットの全てに対して、設計上の許容値XE1を±17nmで管理し、開口径XDを55±2nmで管理している。
【0089】
これに対して、本実施形態では、表1に示すように、直径XAの測定値と開口径XDの測定値とから算出した重ね合わせ許容値XE2(以下では、算出値とも称する)を決定するようにしている。この方法によれば、重ね合わせ許容値XE2を、設計上の許容値XE1よりも広い範囲にすることができる。
【0090】
表2は、直径XAの設計許容値の範囲内で、重ね合わせ許容値の公差に対して開口径XDのとり得る許容値XD1をまとめたものである。
【0092】
表2に示すように、開口径XDの最小値は、コンタクトパッド18との接触抵抗に悪影響を生じない値(53nm)に統一されている。
【0093】
表2に示すように、重ね合わせ許容値の公差が最大値の±17nmである場合で、測定された寸法のコンタクトパッド18の直径XAが最小値の91nmであるとき、シリンダホール27Aの許容値XD1を、その範囲が最も狭い55±2nm、つまり53nmから57nmとしている。許容値XD1が「53〜57nm」の下の欄には、測定された寸法のコンタクトパッド18の直径XAが98nmであるときの許容値XD1を示している。このとき、98−91=7nmの分の余裕が生じるため、57+7=64nmが開口径XDの上限値となり、現状の上限値55nmと比較すると、開口径XDの許容値の範囲が拡大している。これは、実質的には、重ね合わせ許容値の範囲が拡大することを意味する。
【0094】
表2には、重ね合わせ許容値の公差を「±15nm」および「±10nm」とする場合のそれぞれについて、シリンダホール27Aの許容値XD1も記載している。重ね合わせ許容値の公差を「±17nm」から「±15nm」にすると、許容値XD1の上限値は、重ね合わせ許容値の公差が±17nmの場合に比べて、4nm(=(17−15)×2)大きくなっている。重ね合わせ許容値の公差を「±17nm」から「±10nm」にすると、許容値XD1の上限値は、重ね合わせ許容値の公差が±17nmの場合に比べて、14nm(=(17−10)×2)大きくなっている。
【0095】
本実施形態では、シリンダホール27Aの開口径XDの公差を、コンタクトパッド18の直径XA、または、コンタクトパッドの直径XAおよびシリンダホール27Aの開口径XDの重ね合わせ許容値の公差に合わせて見直すことで、設計上の許容値よりも拡大させることができる。
【0096】
また、上述したように、開口径XDは、開口径XCからの相関値として、第4の層間絶縁膜20の厚さとドライエッチング条件から算出することが可能であり、また、開口径XCは開口径XBと同等である。そのため、表1および表2において、開口径XDの値を開口径XBに換算した表を作成することも可能である。よって、ホールパターンの開口径XBの公差を、コンタクトパッド18の直径XA、または、コンタクトパッドの直径XAおよびホールパターンの開口径XBの重ね合わせ許容値の公差に合わせて見直すことで、開口径XBの許容値を設計上の許容値よりも拡大させることができる。その結果、第1のアライメントマークと第2のアライメントマークの重ね合わせ許容値XE2を拡大させることができる。
【0097】
なお、層間絶縁膜の膜厚およびエッチング量など、実際に行われる処理のプロセス条件は、ウェハ毎または製造ロット毎に異なる。そのため、重ね合わせ許容値XE2は、ウェハ毎または製造ロット毎で設定するのが好ましい。
【0098】
次に、第3のパターンに相当するシリンダホール27Aの測定場所の決定方法とパターン寸法の測定方法を説明する。本実施形態では、測定場所となるシリンダホール27Aの決定とその測定を、測定装置による自動測定で行う場合とする。
【0099】
自動測定とは、パターン寸法の測定場所の決定とパターン寸法の測定とを、操作者ではなく、情報処理装置に実行させるものである。この自動測定により、ウェハに多くの測定場所があっても、また、製造ロット毎に複数枚のウェハを測定する場合であっても、操作者はウェハを測定装置のカセットにセットしたり、測定装置からカセットをはずしたりするだけでよい。
【0100】
自動測定を実行する測定装置の構成の一例を簡単に説明する。
図16は本実施形態で使用される測定装置の一構成例を示すブロック図である。
【0101】
図16に示すように、測定装置は、ウェハを搭載するためのステージ210と、ウェハに光を照射するための光源220と、アライメントマークを撮影するためのカメラ部200と、カメラ部200から出力される画像を解析するパーソナルコンピュータ(以下では、PCと表記する)130とを有する。
【0102】
カメラ部200は、アライメントマークを拡大表示するためのレンズ230と、ウェハ表面に照射する光とウェハ表面で反射された光とを分離するビームスプリッタ240と、レンズ230で拡大表示されたアライメントマークの像を電気信号に変換する撮像素子250とを有する。ビームスプリッタ240は、光源220から出力される光をレンズ230に照射し、ウェハ表面で反射され、レンズ230を介して入力される光を撮像素子250に照射する。撮像素子250はPC130と通信可能に接続されている。撮像素子250は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)、およびCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサである。
【0103】
なお、撮像素子250とPC130との間に、撮像素子250から出力される画像のデータをアナログ信号からデジタル信号に変換するA/D変換回路(不図示)が設けられていてもよい。また、半導体デバイスのテスト工程で使用されるウェハ搬送装置(不図示)を用いて、カセットからウェハをステージ210に搭載したり、測定場所がレンズ230の下の位置になるようにステージ210を移動させたり、パターン寸法測定後のウェハをステージ210からカセットに戻したりする処理をウェハ搬送装置に実行させるが、ここでは、その詳細な説明を省略する。
【0104】
PC130は、記憶部110と、制御部120とを有する。制御部120には、自動測定プログラムにしたがって処理を実行するCPU(Central Processing Unit)(不図示)と、自動測定プログラムを格納するためのメモリ(不図示)とが設けられている。記憶部110には、寸法測定の対象となるシリンダホール27Aとコンタクトパッド18のそれぞれのパターンを囲む領域である測定エリアを特定するための画像が予め登録されている。以下では、この画像を登録画像と称する。登録画像は、例えば、コンタクトパッド18のパターンにシリンダホール27Aのパターンが重ね合わされた状態を示す画像となる。
【0105】
自動測定プログラムにしたがって制御部120が実行する処理について、簡単に説明する。制御部120は、自動測定プログラムにしたがって、測定エリアを特定するためのエリア特定処理と、シリンダホールの直径の寸法を測定するための測定処理とを実行する。
【0106】
エリア特定処理は、記憶部110に格納された登録画像を参照して、カメラ部200から出力される画像において登録画像に実質的に一致する箇所を検出し、検出した箇所を測定エリアに特定する処理である。測定処理は、カーソルを測定エリアに設定し、画像処理を行ってカーソル内のシリンダホールのパターンの端部を検出し、端部間の距離を測定する処理である。距離の算出は、レンズ230の倍率を考慮して行われる。
【0107】
カーソルは、測定エリアを構成し、測定対象の範囲を決めるものである。本実施形態のカーソルは四角形であり、縦の寸法と横の寸法(以下では、これらの寸法を合わせて「カーソルの寸法」と称する)は、コンタクトパッド18の直径XAの大きさ、または、ホールパターン20Dの開口径XBの大きさに対応して予め設定される。画像には、通常、複数のシリンダホール27Aが写っているが、制御部120は、そのうちの1つがカーソルに含まれるようにカーソルを設定する。画像処理による、パターンの端部の検出方法については、その一例が特許文献1に開示されているため、詳細な説明を省略する。
【0108】
エリア特定処理において、制御部120は、登録画像を参照して画像内で測定エリアを特定する際、登録画像に実質的に一致する箇所があるか否かを判定する。そして、判定の結果、登録画像に一致する箇所がある場合、制御部120は、その箇所を測定エリアに特定し、次の測定処理に進む。一方、判定の結果、登録画像に一致する箇所がない場合、制御部120は、測定ができないことを示す測定エラーを出力する。測定エラーを出力する場合、制御部120は、次の測定処理に進むことができず、測定装置は停止する。
【0109】
なお、パターンの端部の検出方法は、上記画像処理による方法に限らず、レーザー光源を用いる方法であってもよい。レーザー光源を用いる方法とは、
図16に示した光源220の他にレーザー光源(不図示)を予め測定装置に備え、測定エリアを特定した後、カーソル内にX軸方向およびY軸方向のそれぞれに沿ってレーザー光を照射することにより、その反射光でパターンの端部を検出する方法である。以下では、カーソルの符号を60とし、カーソルを区別して説明する場合には、アルファベットの小文字を符号60に添付する。
【0110】
図17A〜
図17Cは、第4の層間絶縁膜20に形成した複数のシリンダホール27Aを平面視したときの、カメラ部200による撮影画像を示す図である。
【0111】
図17Aはコンタクトパッド上にシリンダホールが理想的な位置に形成された場合を示す画像である。
図17Bはコンタクトパッドに対するシリンダホールの重ね合わせが設計許容値以外となった場合を示す画像である。
図17Cはシリンダホールが設計許容値よりも大きく形成された場合を示す画像である。なお、
図15Bを参照して説明したように、シリンダホール27Aは、その底面に露出しているコンタクトパッド18の上方に存在している。
【0112】
次に、
図17Aに示す画像を参照して、
図16に示した測定装置による自動測定の手順を説明する。ここでは、
図14に示した半導体デバイス領域50aを測定対象として自動測定する場合とし、ウェハ搬送装置(不図示)は、レジストマスク20Dのパターン寸法を測定した場所53eをカメラ部200で撮影できるように、ウェハを搭載したステージ210を移動させたものとする。
【0113】
レジストマスク20Dのパターン寸法を測定した場所53eにおけるシリンダホール27Aを上からカメラ部200が撮影すると、PC130は、撮像素子250から出力される画像に、記憶部110に格納された登録画像と実質的に一致する箇所があるか否かを調べ、登録画像に一致する箇所を測定エリアに特定する。続いて、PC130は、測定エリアにカーソル60aを設定し、1つのシリンダホール27Aaに対して画像処理を行ってシリンダホール27Aaの端部を検出し、
図17Aに示す直径φ3を測定する。
【0114】
次に、
図17A〜
図17Cのそれぞれについて、自動測定を行った場合を説明する。ここでは、
図17Aに示すカーソル60aの画像が登録画像として予め記憶部110に格納されているものとする。
【0115】
図17Aに示すように、シリンダホール27Aがコンタクトパッド18の内側に重なって位置し、かつ、シリンダホール27Aの中心とコンタクトパッド18の中心が一致している。つまり、シリンダホール27Aがコンタクトパッド18に対して、X軸方向で±15nm未満の位置に配置しており、Y軸方向でも±15nm未満となっている。この範囲内のずれであれば、
図17Aに示すカーソル60a内の画像がずれのない登録画像と実質的に一致するため、PC130は、カーソル60内で測定対象となるシリンダホール27Aの端部を検出し、その直径φ3を測定することが可能となる。
【0116】
一方、
図17Bに示す画像では、シリンダホール27Aがコンタクトパッド18の内側に重なって位置しているが、シリンダホール27Aがコンタクトパッド18に対して、X軸方向に−15nm以上ずれ、Y軸方向に+15nm以上ずれている。その結果、
図17Bに示すように、シリンダホール27Aの端部の一部がコンタクトパッド18の端部に重なってしまう場合も起こり得る。
【0117】
この場合、シリンダホール27Aが登録画像よりもX軸方向に−15nm以上ずれ、Y軸方向に+15nm以上ずれているため、PC130は、
図17Bに示す画像内にカーソル60bを設定しても、カーソル60b内の画像が登録画像とは認識しない。そのため、PC130は、
図17Bに示す画像には登録画像に一致する箇所がないと判定し、測定対象のシリンダホール27Abを検出することができない。その結果、PC130は、測定エラーとなって測定処理を停止することになる。この現象は、カーソル60bの寸法を変更しても同様である。
【0118】
また、
図17Cに示す画像では、シリンダホール27Acがカーソル60cからはみ出す大きさで形成されている。この場合、
図17Bの場合と同様に、PC130は測定エラーとなる。ここで、
図17Cに示すように、カーソル60cよりもサイズの大きいカーソル60dを設定すれば、PC130が、シリンダホール27Aの良否判定を行って、自動測定を行うことが可能になると考えられる。
【0119】
しかし、カーソルの寸法をカーソル60dのように予め設定してしまうと、PC130に
図17Aに示した画像でシリンダホール27Aを測定させようとすると、
図17Aのカーソル60dに示すように、カーソル内にシリンダホール27Adおよびシリンダホール27Aeの2つのパターンが含まれることになり、PC130は、測定対象を1つに絞ることができず、その結果、測定エラーになってしまう。
【0120】
このように、1組の予め決めた登録画像と予め寸法が決められたカーソルを基準にすると、シリンダホール27Aの形成位置とその大きさによって、製品として問題ない場合にも、測定装置に測定エラーを発生させやすくなってしまう。測定装置に測定エラーが発生して、測定装置が停止すると、製造に支障をきたし、製造スループットが低下してしまう。
【0121】
本実施形態では、シリンダホール27Aを形成する際のマスクとなるホールパターン20Dの形成位置のばらつきを想定し、複数種類の登録画像を記憶部110に予め格納しておく。PC130は、ホールパターン20Dの位置を測定し、その測定値からの算出値に応じた最適な登録画像を複数種の登録画像から1つ選択し、測定対象のシリンダホール27Aを検出することで、測定エラーを起こさずに自動測定を行うことが可能となる。
【0122】
図18は、複数種類の登録画像の一例を示す表である。重ね合わせずれは、XY方向について考慮しなければならないため、登録画像もXY方向へ夫々ずれた状態を想定して準備する必要がある。ここでは理想状態から、XY方向に±10nmずれた場合を想定して4つの登録画像を示している。
【0123】
図18に示す表では、X軸方向のずれを横方向に示し、Y軸方向のずれを縦方向に示す。X軸方向について、ホールパターン20Dが理想状態から−10nmずれた場合のパターンに符号「A」を付し、ホールパターン20Dが理想状態から+10nmずれた場合のパターンに符号「B」を付す。また、Y軸方向について、ホールパターン20Dが理想状態から+10nmずれた場合のパターンに符号「a」を付し、ホールパターン20Dが理想状態から−10nmずれた場合のパターンに符号「b」を付す。
図18に示す表において、例えば、ホールパターン20Dが理想状態からX軸方向に−10nmずれ、かつ、理想状態からY軸方向に+10nmずれたパターンを、パターンAaと表記する。
【0124】
図18に示すような4種類の画像を登録画像として予め記憶部110に格納しておき、PC130は、ホールパターン20DのXY平面座標の形成位置およびシリンダホール27AbのXY平面座標の形成位置について、
図17Bに示したような画像と4種類の登録画像とを対応させて比較する。比較の結果、PC130は、ホールパターン20Dとシリンダホール27Abとの合わせずれが、表2を参照して説明した許容値の範囲であるパターンAaの画像を、
図17Bの画像に近似する登録画像として選択することで、測定エラーを起こすことなく、自動測定を行うことができる。
【0125】
また、ホールパターン20Dの寸法に応じて、カーソルの寸法を変更してもよい。
図17Cに示したように、ホールパターン20Dの寸法よりも1辺が長いカーソル60dを設定することで、カーソル60dでシリンダホールホール27Acが囲まれ、
図17Cのような画像に対しても、PC130は、カーソルの寸法領域が不足して測定エラーを起こすことなく、自動測定を行うことができる。この場合、ホールパターン20Dの代わりに、コンタクトパッド18の寸法を適用してもよい。
【0126】
なお、
図18に示した4つの登録画像は例であり、登録画像の数は4つに限らない。また、カーソルの形状は、四角形に限らず、六角形や八角形であってもよい。また、本実施形態では、第3のパターンに相当するシリンダホール27Aを自動測定する場合を説明したが、第2のパターンに相当するホールパターン20Dを自動測定する場合に本実施形態を適用することも可能である。この場合、カーソルの寸法をコンタクトパッド18の直径の大きさに対応して決めればよい。
【0127】
本実施形態における半導体デバイスの製造方法によれば、コンタクトパッドの直径と、レジストマスクのホールパターンの直径およびコンタクトパッドの直径から求まる算出値とのうち、少なくとも一方によって、ホールパターンの良否判定を行っている。コンタクトパッドの測定寸法、または、コンタクトパッドおよびホールパターンの測定寸法から求まる算出値として合わせずれに基づいて、ホールパターンの良否判定を行っているため、実際に形成されたパターンに対応して、ホールパターンの許容値を、一律に定めた設計許容値よりも広く設定することができる。その結果、リワーク率を1%以下に低下させることも可能である。また、不良品でないにもかかわらず、一律に定めた規格で不良品と判定された製品が救済されるため、製品の不良率を低下させることができる。
【0128】
また、本実施形態では、コンタクトパッドの直径と、レジストマスクのホールパターンの直径およびコンタクトパッドの直径から求まる算出値とのうち、少なくとも一方によって、測定エリアを決定してシリンダホールの測定を行っている。実際に形成されたコンタクトパッドの直径に対応して測定エリアを設定するか、または、実際のパターン寸法に基づいて決定された合わせずれ許容値の範囲で測定エリアを設定しているため、シリンダホールの形成位置がウェハ毎または製造ロット毎に異なっていても、測定対象となるシリンダホールを測定装置に検出させることが可能となる。その結果、測定装置が測定エラーを起こすことが抑制され、製品測定のスループットを10%以上向上させることが可能となる。
【0129】
さらに、製造中の各工程の処理は、ウェハ毎、または、製造ロット毎にばらつく傾向があるため、ウェハ毎または製造ロット毎に定めた測定値に基づく、上記算出値を用いることで、プロセス条件に合わせて、ホールパターンまたはシリンダホールの許容値をより広くすることが可能となる。
【0130】
本実施形態では、ホールパターンとシリンダホールの場合について説明したが、半導体基板の表面に垂直な方向に2つのコンタクトプラグを接続する場合や配線層の上面にコンタクトプラグを形成する場合など、下層のパターンと上層のパターンとの合わせずれの許容値を管理する必要な工程に、本発明を適用することが可能である。
【0131】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。