【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、超合金部品の熱処理方法において、
a)部品を炉に入れ、部品をγ’ソルバス温度未満の温度で溶体化熱処理し、部品に微細粒構造を形成する工程と、
b)部品を周囲温度まで冷却する工程と、
c)断熱材を部品の少なくとも一つの第1の所定の領域に被せ、部品の少なくとも一つの第2の所定の領域を断熱材なしの状態に残し、被断熱アッセンブリを形成する工程と、
d)部品及び断熱材を含む被断熱アッセンブリをγ’ソルバス温度未満の温度の炉に入れる工程と、
e)被断熱アッセンブリを所定時間に亘ってγ’ソルバス温度未満の温度に維持し、部品を均等な温度にする工程と、
f)炉の温度をγ’ソルバス温度超過の温度まで所定速度で上昇し、微細粒構造を実質的に部品の第1領域に維持し、粗粒構造を実質的に部品の第2領域に形成し、転移粒構造を部品の第1領域と第2領域との間の第3領域に形成する工程と、
g)部品の第2領域が所定時間に亘ってγ’ソルバス温度超過にあり及び/又は部品の第1領域が所定温度に達したとき、被断熱アッセンブリを炉から取り出す工程と、
h)部品を周囲温度まで冷却する工程とを含む、方法が提供される。
【0010】
好ましくは、工程(f)において、所定の傾き率は毎時110°C乃至毎時280°Cである。
工程(f)における所定の傾き率は毎時110°Cであってもよく、幅が30mm乃至80mmの第3領域を形成する。
【0011】
工程(f)における所定の傾き率は毎時220°Cであってもよく、幅が15mm乃至40mmの第3領域を形成する。
好ましくは、工程(h)は、部品を毎秒0.1°C乃至毎秒5°Cの速度で冷却する工程を含む。
【0012】
好ましくは、ニッケルベース超合金は、
18.5重量%のコバルト
、15.0重量%のクロム
、5.0重量%のモリブデン
、3.0重量%のアルミニウム
、3.6重量%のチタニウム
、2.0重量%のタンタル
、0.5重量%のハフニウム
、0.06重量%のジルコニウム
、0.027重量%の炭素
、0.015重量%のホウ素、残
部のニッケル及び
不可避不純物
からなる。
【0013】
好ましくは、部品は、タービンディスク、タービンロータ、コンプレッサディスク、タービンカバープレート、コンプレッサコーン、又はコンプレッサロータを含む。
好ましくは、タービンディスク又はコンプレッサディスクは、直径が60cm乃至70cmであり、ハブのところでの軸線方向幅が20cm乃至25cmであり、リムのところでの軸線方向幅が3cm乃至7cmである。
【0014】
好ましくは、タービンディスク又はコンプレッサディスクは、直径が66cmであり、ハブのところでの軸線方向幅が23cmであり、リムのところでの軸線方向幅が5cmである。
【0015】
好ましくは、工程(c)は、タービンディスク又はコンプレッサディスクの半径方向に延びる面に断熱材を配置する工程を含み、タービンディスク又はコンプレッサディスクの第2の所定の領域は、タービンディスク又はコンプレッサディスクのリム部分である。
【0016】
好ましくは、工程(c)は、ディスク状第1断熱体を、タービンディスク又はコンプレッサディスクの半径方向に延びる第1面の所定の領域に配置する工程と、ディスク状第2断熱体を、タービンディスク又はコンプレッサディスクの半径方向に延びる第2面の所定の領域に配置する工程とを含み、ディスク状第1断熱体の直径は、タービンディスク又はコンプレッサディスクの直径よりも小さく、ディスク状第2断熱体の直径は、タービンディスク又はコンプレッサディスクの直径よりも小さく、タービンディスク又はコンプレッサディスクのハブ部分は、断熱材によって覆われ、タービンディスク又はコンプレッサディスクのリム部分は断熱材によって覆われていない。
【0017】
好ましくは、ディスク状第1断熱体は、直径がディスク状断熱体よりも大きく、ディスクのX−X軸線に対して所定角度で配置された第3領域を提供する。
好ましくは、角度は5°乃至80°である。好ましくは、角度は10°乃至60°である。
【0018】
別の態様では、工程(c)は、環状第1断熱体をコンプレッサロータ又はコンプレッサコーンの第1端の所定の領域に配置する工程と、環状第2断熱体をコンプレッサロータ又はコンプレッサコーンの第2端の所定の領域に配置する工程とを含み、コンプレッサロータ又はコンプレッサコーンの第1端部分は断熱材によって覆われ、コンプレッサロータ又はコンプレッサコーンの第2端部分は断熱材によって覆われ、第1端部分と第2端部分との間のコンプレッサロータ又はコンプレッサコーンの一部は断熱材によって覆われていない。
【0019】
好ましくは、断熱材はセラミック材料で形成されている。好ましくは、セラミック材料は、アルミナ及び/又は酸化鉄を含む。
好ましくは、タービンディスク又はコンプレッサディスクのハブ内の空間に容器が設けられており、容器には、低融点金属又は低融点合金が入っている。好ましくは、低融点金属又は低融点合金の融点は、部品のγ’ソルバス温度よりも20°C乃至150°C低い。好ましくは、低融点金属は銅である。
【0020】
本発明は、更に、微細粒構造を実質的に部品の第1領域に含み、粗粒構造を実質的に部品の第2領域に含み、転移粒構造を部品の第1領域と第2領域との間に位置決めされた第3領域に含む合金部品を提供する。
【0021】
好ましくは、部品はタービンディスク又はコンプレッサディスクであり、ディスクは、ハブ部分と、リム部分と、ハブ部分とリム部分とを相互連結するウェブ部分とを含み、微細粒構造は、ディスクのハブ部分にあり、粗粒構造は、ディスクのリム部分にあり、転移粒構造は、ディスクのウェブ部分にある。
【0022】
好ましくは、転移粒構造は、ディスクの軸線に対して所定角度で配置されている。
好ましくは、ディスクは、軸線方向上流端及び軸線方向下流端を有し、転移粒構造の位置は、ディスクの軸線方向下流端でのディスクの軸線からの半径方向距離が、ディスクの軸線方向上流端での半径方向距離よりも大きく、転移粒構造のディスクの軸線からの距離は、ディスクの軸線方向上流端からディスクの軸線方向下流端まで徐々に大きくなる。
【0023】
好ましくは、角度は5°乃至80°の範囲内にあり、更に好ましくは、角度は10°乃至60°の範囲内にある。
本発明は、更に、合金ディスクを提供する。このディスクは、ハブ部分と、リム部分と、ハブ部分とリム部分とを相互連結するウェブ部分とを含み、ディスクは軸線方向上流端及び軸線方向下流端を有し、ディスクは、微細粒構造を実質的にディスクの第1領域に含み、粗粒構造を実質的にディスクの第2領域に含み、微細粒構造は、ディスクのハブ部分にあり、粗粒構造は、ディスクのリム部分にあり、粗粒構造は、ディスクの軸線方向第1端で、リム部分からウェブ部分内に、ディスクの軸線方向第2端におけるよりも大きく半径方向内方に延びており、微細粒構造は、ディスクの軸線方向第2端で、ハブ部分からウェブ部分内に、ディスクの軸線方向第1端におけるよりも大きく半径方向外方に延びている。
【0024】
好ましくは、微細粒構造は、ディスクの軸線方向第1端からディスクの軸線方向第2端まで、ディスクの軸線から半径方向外方に徐々に大きく延びている。
好ましくは、転移粒構造は、ディスクの第1領域と第2領域との間に位置決めされた第3領域にあり、転移粒構造は、ディスクのウェブ部分内にある。
【0025】
好ましくは、転移粒構造の位置は、ディスクの軸線方向第2端でのディスクの軸線からの半径方向距離が、ディスクの軸線方向第1端での半径方向距離よりも大きく、転移粒構造は、ディスクの軸線方向第1端からディスクの軸線方向第2端まで、ディスクの軸線から徐々に大きく延びている。
【0026】
好ましくは、ディスクは、タービンディスク又はコンプレッサディスクである。
好ましくは、ディスクは、超合金ディスク又はチタニウム合金ディスクであり、更に好ましくは、ニッケル超合金ディスクである。
【0027】
本発明は、更に、超合金ディスクの熱処理方法において、
a)ディスクを炉に入れ、ディスクをγ’ソルバス温度未満の温度で溶体化熱処理し、ディスクに微細粒構造を形成する工程と、
b)ディスクを周囲温度まで冷却する工程と、
c)断熱材をディスクの少なくとも一つの第1の所定の領域に被せ、ディスクの少なくとも一つの第2の所定の領域を断熱材なしの状態に残し、被断熱アッセンブリを形成する工程であって、断熱材をディスクの半径方向に延びる面に配置し、これによって、ディスクの第2の所定の領域はディスクのリムであり、ディスク状第1断熱体をディスクの半径方向に延びる第1面の所定の領域に置く工程と、ディスク状第2断熱体をディスクの半径方向に延びる第2面の所定の領域に置く工程とを含み、ディスク状第1断熱体の直径はディスクの直径よりも小さく、ディスク状第2断熱体の直径がディスクの直径よりも小さく、ディスクのハブ部分が断熱材によって覆われ、ディスクのリム部分が断熱材によって覆われていないように行われ、ディスク状第1断熱体は、直径がディスク状第2断熱体の直径よりも大きい、工程と、
d)ディスク及び断熱材を含む被断熱アッセンブリを、γ’ソルバス温度未満の温度の炉に入れる工程と、
e)被断熱アッセンブリを所定時間に亘ってγ’ソルバス温度未満の温度に維持し、ディスクを均等な温度にする工程と、
f)炉の温度を所定の傾き率でγ’ソルバス温度超過の温度まで上昇し、微細粒構造を実質的にディスクの第1領域内に維持し、粗粒構造を実質的にディスクの第2領域内に形成し、転移粒構造をディスクの第1領域と第2領域との間に位置決めされた第3領域に形成する工程であって、第3領域はディスクの軸線に対して所定角度で配置されている、工程と、
g)ディスクの第2領域が所定時間に亘ってγ’ソルバス温度超過にあり及び/又はディスクの第1領域が所定温度に達したとき、被断熱アッセンブリを炉から取り出す工程と、
h)ディスクを周囲温度まで冷却する工程とを含む、方法を提供する。
【0028】
本発明は、更に、超合金ディスクの熱処理方法において、
a)ディスクを炉に入れ、ディスクをγ’ソルバス温度未満の温度で溶体化熱処理し、ディスクに微細粒構造を形成する工程と、
b)ディスクを周囲温度まで冷却する工程と、
c)低融点金属又は低融点合金が入った容器をディスクのハブ内の空間に配置する工程であって、断熱材をディスクの少なくとも一つの所定の第1領域に被せ、ディスクの少なくとも一つの所定の第2領域を断熱材なしの状態に残し、被断熱アッセンブリを形成する工程と、
d)ディスク、容器、及び断熱材を含む被断熱アッセンブリをγ’ソルバス温度未満の温度の炉に入れる工程と、
e)被断熱アッセンブリを所定時間に亘ってγ’ソルバス温度未満の温度に維持し、ディスクを均等な温度にする工程と、
f)炉の温度を所定の傾き率でγ’ソルバス温度超過の温度まで上昇し、微細粒構造を実質的にディスクの第1領域内に維持し、粗粒構造を実質的にディスクの第2領域内に形成し、転移粒構造をディスクの第1領域と第2領域との間に位置決めされた第3領域に形成する工程と、
g)ディスクの第2領域が所定時間に亘ってγ’ソルバス温度超過にあり及び/又はディスクの第1領域が所定温度に達したとき、被断熱アッセンブリを炉から取り出す工程と、
h)ディスクを周囲温度まで冷却する工程とを含む、方法を提供する。
【0029】
本発明は、更に、チタニウム合金部品の熱処理方法において、
a)部品を炉に入れ、部品をβソルバス温度未満の温度で溶体化熱処理し、部品に微細粒構造を形成する工程と、
b)部品を周囲温度まで冷却する工程と、
c)断熱材を部品の少なくとも一つの所定の第1領域に被せ、部品の少なくとも一つの所定の第2領域を断熱材なしの状態に残し、被断熱アッセンブリを形成する工程と、
d)部品及び断熱材を含む被断熱アッセンブリをβソルバス温度未満の温度の炉に入れる工程と、
e)被断熱アッセンブリを所定時間に亘ってβソルバス温度未満の温度に維持し、部品を均等な温度にする工程と、
f)炉の温度を所定の傾き率でβソルバス温度超過の温度まで上昇し、微細粒構造を実質的に部品の第1領域内に維持し、粗粒構造を実質的に部品の第2領域内に形成し、転移粒構造を部品の第1領域と第2領域との間に位置決めされた第3領域に形成する工程と、
g)部品の第2領域が所定時間に亘ってβソルバス温度超過にあり及び/又は部品の第1領域が所定温度に達したとき、被断熱アッセンブリを炉から取り出す工程と、
h)部品を周囲温度まで冷却する工程とを含む、方法を提供する。
【0030】
本発明を、添付図面を参照して、例として更に詳細に説明する。
なお、本発明は、以下の形態としても実現可能である。
[形態1]
超合金部品(24)の熱処理方法であって、
a)前記部品(24)を炉に入れ、前記部品(24)をγ’ソルバス温度未満の温度で溶体化熱処理し、前記部品(24)に微細粒構造(42)を形成する工程と、
b)前記部品(24)を周囲温度まで冷却する工程と、
c)断熱材(52、54)を前記部品(24)の少なくとも一つの第1の所定の領域(36、40)に被せ、前記部品(24)の少なくとも一つの第2の所定の領域(38)を断熱材なしの状態に残して、被断熱アッセンブリ(50)を形成する工程と、
d)前記部品(24)及び断熱材(52、54)を含む前記被断熱アッセンブリ(50)を前記γ’ソルバス温度未満の温度の炉に入れる工程と、
e)前記被断熱アッセンブリ(50)を所定時間に亘ってγ’ソルバス温度未満の温度に維持し、前記部品(24)を均等な温度にする工程と、
f)前記炉の温度をγ’ソルバス温度超過の温度まで所定の率で上昇し、微細粒構造(42)を実質的に前記部品(24)の第1領域(A)に維持し、粗粒構造(44)を実質的に前記部品(24)の第2領域(B)に形成し、転移粒構造(46)を前記部品(24)の前記第1領域(A)と前記第2領域(B)との間の第3領域(C)に形成する工程と、
g)前記部品(24)の前記第2領域(B)が所定時間に亘って前記γ’ソルバス温度超過にあり及び/又は前記部品(24)の前記第1領域(A)が所定温度に達したとき、前記被断熱アッセンブリ(50)を前記炉から取り出す工程と、
h)前記部品(24)を周囲温度まで冷却する工程とを含む、方法。
[形態2]
形態1に記載の方法において、
前記工程(f)において、前記所定の傾き率は毎時110°C乃至毎時280°Cである、方法。
[形態3]
形態2に記載の方法において、
前記工程(f)において、前記所定の傾き率は毎時110°Cであり、幅が30mm乃至80mmの第3領域を形成する、方法。
[形態4]
形態2に記載の方法において、
前記工程(f)において、前記所定の傾き率は毎時220°Cであり、幅が15mm乃至40mmの第3領域を形成する、方法。
[形態5]
形態1乃至4のうちのいずれか一項に記載の方法において、
前記工程(h)は、前記部品(24)を毎秒0.1°C乃至毎秒5°Cの速度で冷却する工程を含む、方法。
[形態6]
形態1乃至5のうちのいずれか一項に記載の方法において、
前記超合金は、ニッケルベース超合金である、方法。
[形態7]
形態6に記載の方法において、
前記ニッケルベース超合金は、コバルトを18.5重量%、クロムを15.0重量%、モリブデンを5.0重量%、アルミニウムを3.0重量%、チタニウムを3.6重量%、タンタルを2.0重量%、ハフニウムを0.5重量%、ジルコニウムを0.06重量%、炭素を0.027重量%、ホウ素を0.015重量%、残りをニッケル及び偶然に入り込んだ不純物を含む、方法。
[形態8]
形態1乃至7のうちのいずれか一項に記載の方法において、
前記部品(24)は、タービンディスク(24)、タービンロータ、コンプレッサディスク、タービンカバープレート、コンプレッサコーン(60)、又はコンプレッサロータを含む、方法。
[形態9]
形態8に記載の方法において、
前記タービンディスク(24)又は前記コンプレッサディスクは、直径が60cm乃至70cmであり、前記ハブ(36)のところでの軸線方向幅が20cm乃至25cmであり、前記リム(38)のところでの軸線方向幅が3cm乃至7cmである、方法。
[形態10]
形態9に記載の方法において、
前記タービンディスク(24)又は前記コンプレッサディスクは、直径が66cmであり、前記ハブ(36)のところでの軸線方向幅が23cmであり、前記リム(38)のところでの軸線方向幅が5cmである、方法。
[形態11]
形態8、9、又は10に記載の方法において、
前記工程(c)は、前記タービンディスク(24)又は前記コンプレッサディスクの半径方向に延びる面(24C、24D)に前記断熱材(52、54)を配置する工程を含み、前記タービンディスク(24)又は前記コンプレッサディスクの前記第2の所定の領域(38)は、前記タービンディスク(24)又は前記コンプレッサディスクの前記リム部分(38)である、方法。
[形態12]
形態11に記載の方法において、
前記工程(c)は、前記ディスク状第1断熱体(52)を、前記タービンディスク(24)又は前記コンプレッサディスクの半径方向に延びる第1面(24D)の所定の領域に配置する工程と、
前記ディスク状第2断熱体(54)を、前記タービンディスク(24)又は前記コンプレッサディスクの半径方向に延びる第2面(24C)の所定の領域に配置する工程とを含み、
前記ディスク状第1断熱体(52)の直径は、前記タービンディスク(24)又は前記コンプレッサディスクの直径よりも小さく、前記ディスク状第2断熱体(54)の直径は、前記タービンディスク(24)又は前記コンプレッサディスクの直径よりも小さく、前記タービンディスク(24)又は前記コンプレッサディスクの前記ハブ部分(36)は、前記断熱材(52、54)によって覆われ、前記タービンディスク(24)又は前記コンプレッサディスクの前記リム部分(38)は前記断熱材によって覆われていない、方法。
[形態13]
形態12に記載の方法において、
前記ディスク状第1断熱体(52B)は、直径が前記ディスク状第2断熱体(52B)よりも大きく、前記ディスク(24)のX−X軸線に対して所定角度で配置された第3領域(C)を提供する、方法。
[形態14]
形態13に記載の方法において、
前記角度は、5°乃至80°である、方法。
[形態15]
形態14に記載の方法において、
前記角度は、10°乃至60°である、方法。
[形態16]
形態8に記載の方法において、
環状第1断熱体(68)を前記コンプレッサロータ又は前記コンプレッサコーン(60)の第1端(62)の所定の領域に配置する工程と、環状第2断熱体(70)を前記コンプレッサロータ又は前記コンプレッサコーン(60)の第2端(64)の所定の領域に配置する工程とを含み、前記コンプレッサロータ又は前記コンプレッサコーン(60)の第1端部分は前記断熱材(68)によって覆われ、前記コンプレッサロータ又は前記コンプレッサコーン(60)の第2端部分は前記断熱材(70)によって覆われ、前記第1端部分と前記第2端部分との間の前記コンプレッサロータ又は前記コンプレッサコーン(60)の一部は断熱材によって覆われていない、方法。
[形態17]
形態1乃至16のうちのいずれか一項に記載の方法において、
前記断熱材(52、54)は、セラミック材料で形成されている、方法。
[形態18]
形態17に記載の方法において、
前記セラミック材料は、アルミナ及び/又は酸化鉄を含む、方法。
[形態19]
形態8乃至15のうちのいずれか一項に記載の方法において、
前記タービンディスク(24)又は前記コンプレッサディスクの前記ハブ部分(36)内の空間に容器(80)を設ける工程を含み、前記容器(80)には、低融点金属(82)又は低融点合金が入っている、方法。
[形態20]
形態19に記載の方法において、
前記低融点金属(82)又は低融点合金の融点は、前記部品(24)の前記γ’ソルバス温度よりも20°C乃至150°C低い、方法。
[形態21]
形態20に記載の方法において、
前記低融点金属(82)は銅である、方法。
[形態22]
形態1乃至21のうちのいずれか一項に記載の方法に従って熱処理した超合金部品。
[形態23]
合金部品(24)であって、
微細粒構造(42)を実質的に前記部品(24)の第1領域(A)に含み、
粗粒構造(44)を実質的に前記部品(24)の第2領域(B)に含み、
転移粒構造(46)を、前記部品(24)の前記第1領域(A)と前記第2領域(B)との間に位置決めされた第3領域(C)に含む、合金部品。
[形態24]
形態23に記載の合金部品において、
前記部品(24)はタービンディスク又はコンプレッサディスクであり、
前記ディスク(24)は、ハブ部分(36)と、リム部分(38)と、前記ハブ部分(36)と前記リム部分(38)とを相互連結するウェブ部分(40)とを含み、
前記微細粒構造(42)は、前記ディスク(24)の前記ハブ部分(36)にあり、
前記粗粒構造(44)は、前記ディスク(24)の前記リム部分(38)にあり、
前記転移粒構造(46)は、前記ディスク(24)の前記ウェブ部分(40)にある、合金部品。
[形態25]
形態24に記載の合金部品において、
前記転移粒構造(46)は、前記ディスク(24)の前記軸線(X−X)に対して所定角度で配置されている、合金部品。
[形態26]
形態25に記載の合金部品において、
前記ディスク(24)は、軸線方向上流端(24A)及び軸線方向下流端(24B)を有し、
前記転移粒構造(40)の位置は、前記ディスク(24)の前記軸線方向下流端(24B)での前記ディスク(24)の前記軸線(X−X)からの半径方向距離が、前記ディスク(24)の前記軸線方向上流端(24A)での半径方向距離よりも大きく、
前記転移粒構造(40)の前記ディスク(24)の前記軸線(X−X)からの距離は、前記ディスク(24)の前記軸線方向上流端(24A)から前記ディスク(24)の前記軸線方向下流端(24B)まで徐々に大きくなる、合金部品。
[形態27]
形態25に記載の合金部品において、
前記角度は、5°乃至80°の範囲内にある、合金部品。
[形態28]
形態27に記載の合金部品において、
前記角度は、10°乃至60°の範囲内にある、合金部品。
[形態29]
形態23乃至28のうちのいずれか一項に記載の合金部品において、
前記合金部品は、超合金部品又はチタニウム合金部品である、合金部品。
[形態30]
合金ディスク(24)であって、
前記ディスクは、ハブ部分(36)と、リム部分(38)と、前記ハブ部分(36)と前記リム部分(38)とを相互連結するウェブ部分(40)とを含み、
前記ディスク(24)は、軸線方向第1端(24A)及び軸線方向第2端(24B)を有し、
前記ディスク(24)は、微細粒構造(42)を実質的に前記ディスク(24)の第1領域(A)に含み、粗粒構造(44)を実質的に前記ディスク(24)の第2領域(B)に含み、
前記微細粒構造(42)は、前記ディスク(24)の前記ハブ部分(36)にあり、
前記粗粒構造(44)は、前記ディスク(24)の前記リム部分(38)にあり、
前記粗粒構造(44)は、前記ディスク(24)の前記軸線方向第1端(24A)で、前記リム部分(38)から前記ウェブ部分(40)内に、前記ディスク(24)の前記軸線方向第2端(24B)におけるよりも大きく半径方向内方に延びており、
前記微細粒構造(36)は、前記ディスク(24)の前記軸線方向第2端(24B)で、前記ハブ部分(36)から前記ウェブ部分(40)内に、前記ディスク(24)の前記軸線方向第1端(24A)におけるよりも大きく半径方向外方に延びている、合金ディスク。
[形態31]
形態30に記載の合金ディスクにおいて、
前記微細粒構造(36)は、前記ディスク(24)の前記軸線方向第1端(24A)から前記ディスク(24)の前記軸線方向第2端(24B)まで、前記ディスク(24)の前記軸線(X−X)から半径方向外方に徐々に大きく延びている、合金ディスク。
[形態32]
形態30又は31に記載の合金ディスクにおいて、
転移粒構造(46)は、前記ディスク(24)の前記第1領域(A)と前記第2領域(B)との間に位置決めされた第3領域(C)にあり、
前記転移粒構造(46)は、前記ディスク(24)の前記ウェブ部分(40)内にある、合金ディスク。
[形態33]
形態32に記載の合金ディスクにおいて、
前記転移粒構造(46)の位置は、前記ディスク(24)の前記軸線方向第2端(24B)での前記ディスク(24)の前記軸線(X−X)からの半径方向距離が、前記ディスク(24)の前記軸線方向第1端(24A)での半径方向距離よりも大きく、
前記転移粒構造(46)は、前記ディスク(24)の前記軸線方向第1端(24A)から前記ディスク(24)の前記軸線方向第2端(24B)まで、前記ディスク(24)の前記軸線(X−X)から徐々に大きく延びている、合金ディスク。
[形態34]
形態30乃至33のうちのいずれか一項に記載の合金ディスクにおいて、
前記ディスク(24)は、タービンディスク又はコンプレッサディスクである、合金ディスク。
[形態35]
形態30乃至34のうちのいずれか一項に記載の合金ディスクにおいて、
前記ディスク(24)は、超合金ディスク又はチタニウム合金ディスクである、合金ディスク。
[形態36]
超合金ディスク(24)の熱処理方法であって、
a)前記ディスク(24)を炉に入れ、前記ディスク(24)をγ’ソルバス温度未満の温度で溶体化熱処理し、前記ディスク(24)に微細粒構造(42)を形成する工程と、
b)前記ディスク(24)を周囲温度まで冷却する工程と、
c)断熱材(52、54)を前記ディスク(24)の少なくとも一つの第1の所定の領域(36、40)に被せ、前記ディスク(24)の少なくとも一つの第2の所定の領域(38)を断熱材なしの状態に残し、被断熱アッセンブリ(50)を形成する工程であって、
断熱材(52B、54B)を前記ディスク(24)の半径方向に延びる面(24C、24D)に配置し、
これは、前記ディスク(24)の前記第2の所定の領域(38)は前記ディスク(24)のリム(38)であり、ディスク状第1断熱体(52B)を前記ディスク(24)の半径方向に延びる第1面(24D)の所定の領域に置く工程と、ディスク状第2断熱体(54B)を前記ディスク(24)の半径方向に延びる第2面(24C)の所定の領域に置く工程とを含み、前記ディスク状第1断熱体(52B)の直径は、前記ディスク(24)の直径よりも小さく、前記ディスク状第2断熱体(54B)の直径は、前記ディスク(24)の直径よりも小さく、前記ディスク(24)のハブ部分(36)が前記断熱材(52B、54B)によって覆われ、前記ディスク(24)のリム部分(38)が前記断熱材(52B、54B)によって覆われていないように行われ、
前記ディスク状第1断熱体(52B)は、直径が前記ディスク状第2断熱体(54B)の直径よりも大きい、工程と、
d)前記ディスク(24)及び前記断熱材(52B、54B)を含む被断熱アッセンブリ(50B)を、γ’ソルバス温度未満の温度の炉に入れる工程と、
e)前記被断熱アッセンブリ(50B)を所定時間に亘ってγ’ソルバス温度未満の温度に維持し、前記ディスク(24)を均等な温度にする工程と、
f)前記炉の温度を所定の傾き率でγ’ソルバス温度超過の温度まで上昇し、微細粒構造(22)を実質的に前記ディスク(24)の第1領域(A)内に維持し、粗粒構造(44)を実質的に前記ディスク(24)の第2領域(B)内に形成し、転移粒構造(46)を前記ディスク(24)の前記第1領域(A)と前記第2領域(B)との間に位置決めされた第3領域(C)に形成する工程であって、前記第3領域(C)は前記ディスク(24)の軸線(X−X)に対して所定角度で配置されている、工程と、
g)前記ディスク(24)の前記第2領域(B)が所定時間に亘ってγ’ソルバス温度超過にあり及び/又は前記ディスク(24)の前記第1領域(A)が所定温度に達したとき、前記被断熱アッセンブリ(50)を前記炉から取り出す工程と、
h)前記ディスク(24)を周囲温度まで冷却する工程とを含む、方法。
[形態37]
超合金ディスク(24)の熱処理方法であって、
a)前記ディスク(24)を炉に入れ、前記ディスク(24)をγ’ソルバス温度未満の温度で溶体化熱処理し、前記ディスク(24)に微細粒構造(42)を形成する工程と、
b)前記ディスク(24)を周囲温度まで冷却する工程と、
c)低融点金属(82)又は低融点合金が入った容器(80)を前記ディスク(24)の前記ハブ(36)内の空間に配置する工程であって、断熱材(52、54)を前記ディスク(24)の少なくとも一つの所定の第1領域に被せ、前記ディスク(24)の少なくとも一つの所定の第2領域を断熱材なしの状態に残し、被断熱アッセンブリ(50)を形成する工程と、
d)前記ディスク(24)、前記容器(80)、及び断熱材(52、54)を含む前記被断熱アッセンブリ(50)を、γ’ソルバス温度未満の温度の炉に入れる工程と、
e)前記被断熱アッセンブリ(50)を所定時間に亘って前記γ’ソルバス温度未満の温度に維持し、前記ディスク(24)を均等な温度にする工程と、
f)前記炉の温度を所定の傾き率でγ’ソルバス温度超過の温度まで上昇し、微細粒構造(42)を実質的に前記ディスク(24)の第1領域(A)内に維持し、粗粒構造(44)を実質的に前記ディスク(24)の第2領域(B)内に形成し、転移粒構造(46)を前記ディスク(24)の前記第1領域(A)と前記第2領域(B)との間に位置決めされた第3領域(C)に形成する工程と、
g)前記ディスク(24)の前記第2領域(B)が所定時間に亘ってγ’ソルバス温度超過にあり及び/又は前記ディスク(24)の前記第1領域(A)が所定温度に達したとき、前記被断熱アッセンブリ(50)を前記炉から取り出す工程と、
h)前記ディスク(24)を周囲温度まで冷却する工程とを含む、方法。