【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の態様において、本発明は、栄養組成物を調製するための装置であって、当該装置へ供給された原料へ水を供給することによって栄養組成物を調製する装置を提案し、本装置は、
例えばポンプなど、一体または外部の水供給源へ接続され、流体を加圧する装置、
原料を収容しているカートリッジへ水を供給し、水とカートリッジ内の原料との間の相互作用を生じさせる水排出ヘッド、および
少なくとも1つの抗菌フィルタ膜を備える剛なフィルタアセンブリ、およびフィルタ囲み手段
を備えており、
ポンプおよび水排出ヘッドが、水の流路を介して流体連通していることで、ポンプが、水の流路を通って大気圧を上回る圧力で水を供給することができ、
フィルタアセンブリを、水排出ヘッドの手前に、液密な態様で、水の流路を横切るようにフィルタ囲み手段へ挿入でき、かつフィルタ囲み手段から取り外すことができるように、フィルタアセンブリおよびフィルタ囲み手段が、相補的に構成されている。
【0016】
本発明による装置によれば、装置に供給される水(より詳細には、水の供給源へ接続されたポンプによって供給される)とカートリッジに収容された原料との間の相互作用を可能にすることができる。これに関し、水が、好ましくは、カートリッジ収容チャンバの上流側(例えば、上側)に配置された水供給源によって水排出ヘッドへ供給される。用語「水供給源」が、外部の水道水または装置の外部の水の蓄えへ接続することができる装置の任意の水供給配管も包含することに、注意すべきである。
【0017】
本発明において、水は、例えば約400ml/分など、好ましい100〜500ml/minの間の流量で針を通ってカートリッジに挿入される。これにより、カートリッジ内の原料を溶かすための充分なエネルギーを有するジェットが生成される。抗菌フィルタのフィルタ膜を、水の流路における膜をまたいでの圧力低下に依存して選択することができる。フィルタをまたいでの圧力低下が少ないほど、ジェットのエネルギーが大きくなり、カートリッジにおける原料の溶解が大になる。
【0018】
出口が、好ましくは、下流に配置され、例えば水排出ヘッドの下側に配置される。したがって、カートリッジにおける水と原料との間の相互作用の後で、調製すべき栄養組成物の出力が、例えば水排出ヘッドの下側などの下流で生じ、液体の栄養組成物を、カートリッジの下方に配置することができるカップまたはうつわなどの容器へ流すことができる。
【0019】
別の好ましい実施形態においては、フィルタ手段を水排出ヘッドの下流に配置することも可能であろう。その結果、フィルタを、カートリッジへ水を導入することによってもたらされる溶解済みの乳児用調製乳をろ過するために使用することができる。したがって、乳児用調製乳中の病原菌を取り除くことが可能である。カートリッジによって排出される結果としての液体の流れには、高い圧力は加わっていないため、フィルタを通過する流量を所定の流量にすることができる手段を、設けることが可能である。例えば、フィルタの表面を拡大することができ、あるいはカートリッジからの結果としての液体の流れに、専用のポンプなどによって圧力を作用させることができる。
【0020】
ポンプと水排出ヘッドとの間の水の流路に設けられる剛なフィルタアセンブリに、微生物の進入を抑え、特に供給水に存在しうる細菌または病原菌の通過を阻止するための物理的な障壁として機能する少なくとも1つの抗菌フィルタ膜が備えられる。したがって、栄養組成物の安全な調製を保証することができる。
【0021】
好ましい実施形態においては、栄養組成物の調製のための原料を収容しているカートリッジを用意することができる。カートリッジは、装置のカートリッジ収容チャンバに収容される。このカートリッジは、好ましくは、水和(例えば、水での希釈、水での分散、また/あるいは水の注入)させるべき1回分の栄養組成物を含んでいる使い捨てのカートリッジである。すなわち、カートリッジへ供給される水を、栄養組成物を水でもどすために使用することができる。カートリッジは、好ましくは、水注入面および送出面を備える。
【0022】
好ましくは、欧州登録特許第1472156号に記載されているような「直流」気密カートリッジについて考えられる態様において(最終的には、国際特許出願第2007131559号に記載されているような他の態様においても)、水の注入の際にカートリッジ内の圧力が典型的に高まることで、カートリッジの下面(または、隔膜)が開き、調製すべき液体の出力が可能になる。調製すべき飲料の出力が、装置の開放手段に触れることがないカートリッジの下面において生じるため、液体の流れを、装置の表面を汚すことなく容器(例えば、ほ乳瓶)へ直接注ぐことができる。これにより、栄養調製品のきわめて衛生的な調製および送出がもたらされる。
【0023】
カートリッジへの水の注入の後で、カートリッジからの流出を、例えば水への原料の完全な溶解を得るために、水と原料との相互作用に充分な時間を提供すべく、遅延させることができる。調製すべき飲料をカートリッジから注ぐために、レリーフなどの開放手段を、膜を制御された様相で破るために送出用の引き裂き可能なホイルに対して配置することができる。これらの開放手段は、水の注入時のカートリッジの内圧の上昇に応答してホイルと相互作用する。その結果、調製すべき栄養組成物が、装置に触れることなくカートリッジの専用の出口から容器へ直接流れることができる。
【0024】
欧州特許第1472156B1号は、本発明の装置において使用することができる種々の適切なカートリッジの構成を開示している。
【0025】
これに関し、1回分の栄養飲料を調製するために新しい使い捨てのカートリッジを使用することが、カートリッジの特有の「直流」の特徴(すなわち、カートリッジが内圧に応答して開く技術を備えること、および液体がカートリッジから直接ほ乳瓶などの受け容器へ流出すること)と組み合わさって、栄養製品の調製を大幅に容易にするとともに、汚染の恐れを大幅に軽減し、場合によっては完全になくすことで、栄養製品の調製を大幅に安全にする。
【0026】
これは、装置が、乳児用調製乳を健康な乳児のためだけでなく、特定の疾病、欠陥、または深刻なアレルギ(例えば、牛乳に対するアレルギ)を抱える乳児のためにも調製しなければならない病院の育児室において使用される場合に、きわめて好都合である。
【0027】
さらに、装置に、あらかじめ選択される量または自動的に制御される量が送出されたときに水の流れを止めるように、カートリッジへ送出される水の量および/または温度を調節するための手段を設けることができる。水の調節手段は、カートリッジの種類に関して送出される水の物理的な条件を適切に制御するために、水ポンプと、プログラムを備える装置の制御ユニットと、カートリッジと装置との間のカートリッジ認識システム(例えば、カートリッジ上のバーコードなど)とを備えることができる。
【0028】
例えば気体によってカートリッジ内の液体を洗い流すことによって、カートリッジの残存液を空にするために、装置にパージ手段をさらに設けることができる。パージ手段は、栄養組成物が装置へ逆流することによる汚染の危険も少なくする。適切な気体は、装置内の空気圧縮機によって加圧することができる200mbar〜2barの間の圧力(例えば、300mbar)の圧縮空気である。
【0029】
フィルタアセンブリが、装置へ挿入され、あるいは装置から取り出されるように設計されているため、使用済みのフィルタアセンブリを、ユーザの指示に従い、あるいは例えば警報信号(装置上のledの点滅や、LCD画面における表示など)に応答して、新しいフィルタと交換することができる。これらの表示を、特定の回数分が提供されたときに生じさせることができ、あるいは特定の量の水がフィルタアセンブリを通過したときに生じさせることができる。交換信号を、フィルタを通過する流量あるいはフィルタの上方および/または下方の圧力を測定するセンサによって生じさせることも可能である。あるいは、フィルタアセンブリを、例えばユーザの指示に従ってディスペンサから取り出したフィルタアセンブリに適切な熱処理(例えば、殺菌)を行うことによって、再利用することが可能である。このように、装置において適切な水のろ過条件を保証して、装置への安全な水の供給を保証するために、あらかじめ定められる交換または再利用のための特定の時間の経過後に、フィルタ手段を苦労なく取り外すことが可能である。しかしながら、フィルタを、蒸気発生器を設けることによって装置の内部で殺菌することも可能である。
【0030】
好ましくは、装置へ接続されるフィルタアセンブリが、少なくとも1つの抗菌フィルタ膜を収容するためのフレームを備える。これに関し、抗菌フィルタ膜は、ろ過対象の水から病原菌または望ましくない微生物(細菌、ウイルス、イースト、および/またはかび、など)あるいは他の微粒子をろ過するように設計されたフィルタを意味する。抗菌フィルタ膜は、0.45ミクロン以下の公称孔径を有することができる。特に好ましい公称孔径は、0.01〜0.45ミクロンの間である。細菌をろ過するために、公称孔径は、0.1〜0.3ミクロンの間であってもよく、最も好ましくは約0.2ミクロンであってもよい。ウイルスをろ過するためには、孔径を0.05ミクロンまで小さくすることができ、さらに小さくすることも可能である。病原菌の除去があまり重要でない場合に、より大流量が必要であれば、より多孔性の膜を選択することができる。
【0031】
本発明の装置で使用するために、例えばスイスのPall Corporationが製造する重ね合わせの親水PES(ポリエーテルサルホン)膜や、例えば同等の仕様を有するポリマーから作られた任意の他の薄いフィルタ膜などのポリマー膜を、使用することが可能である(例えば、Millipore膜)。プラスチック材料から作られた抗菌フィルタ膜が好ましい。好ましくは、厚さが2μm未満であり、より好ましくは1μm未満である。好ましくは、フィルタアセンブリは、これらの薄膜のうちの1つ以上を備える。好ましくは、抗菌効果が、例えば活性炭によって生み出される吸着によるのではなく、ろ過によって達成される。これは、フィルタを(活性炭に比べて)より容易に再生できるという効果を有している。
【0032】
このようなフィルタを使用することによって、調製される栄養組成物の汚染の危険を、大幅に最小化することができる。
【0033】
薄い抗菌フィルタ膜が、物理的に繊細であり、取り扱いが容易でないため、フィルタアセンブリは、好ましくは、水を通す裏打ち手段を、抗菌フィルタ膜を支持するように配置され、好ましくは抗菌フィルタ膜に隣接させて備える。そのような裏打ち手段は、フィルタ膜の表面を少なくとも部分的に支持するために、例えばフィルタ膜に当接し、フィルタアセンブリの下流側において流路の方向を横切るように広がる少なくとも1つの穴あきの壁であってもよい。このようにして、水が通過するときのフィルタアセンブリの破損および/またはたわみを、効果的に防止することができる。最も好ましくは、第2の穴あきの壁が、フィルタアセンブリの上流側において膜をさらに支持するために、膜に隣接して配置され、流路の方向を横切って延びる。穴あきの壁を、例えばいくつかの細長い隆起部または格子で形成することができる。
【0034】
また、フィルタの閉塞の場合に、フィルタ膜をまたぐ差圧が、約0.1barから最大10barに至る可能性がある。そのような場合に、裏打ち手段が、膜の破れを防止するためにフィルタ膜を保護することができる。また、裏打ち手段は、取り扱いおよび装置への挿入時の膜を保護することができる。
【0035】
フィルタアセンブリと装置の水の経路との間で流体の漏れがないように保証するために、シール手段が、フィルタアセンブリと装置との間の境界に設けられる。好ましくは、シール手段は、フィルタアセンブリのフィルタ部分ならびに通路の出口および入り口の周囲に配置される。シール手段は、送出装置の水の連絡通路の一部および/またはフィルタアセンブリの一部であってもよい。シールについて考えられる材料は、SantoprenまたはThermolast Kである。好ましくは、高圧においても水を漏らさないフィルタおよび装置の組み立てを可能にするリップシールが設けられる。
【0036】
装置はさらに、フィルタアセンブリおよび他の水との接触面(装置の配管、水排出ヘッド、およびカートリッジ収容チャンバなど)を衛生的にするために、流体の連通路に接続された蒸気発生器を備える。したがって、フィルタは、例えば最大120℃の蒸気処理に耐えるような態様で製造および組み立てされる。したがって、例えばフィルタアセンブリの剛体フレームのPPおよびシールのSantoprenなど、相応の材料が選択される。
【0037】
装置のフィルタアセンブリを、好ましくは容易にアクセスできる位置に配置された開口へ挿入でき、あるいはそのような開口から取り出すことができる。好ましくは、開口が、装置の1つの面(例えば、装置の上面)に配置される。その結果、任意のユーザがフィルタアセンブリの交換を実行できるため、フィルタアセンブリの交換性が大幅に向上する。
【0038】
同じフィルタ膜の複数回の使用は、フィルタが長時間にわたる使用の後では同じ特性を有さないため、防止されるべきである。したがって、同じフィルタ膜の複数回の使用を防止する要素を、フィルタアセンブリおよび/または装置に取り付けることができる。例えば、各々のフィルタ膜に個別にバーコードを付け、装置によって記憶することができる。他に考えられる解決策は、フィルタが取り外されるときに壊れて、新たな挿入を機械的に防止し、あるいは装置のセンサによって防止する要素を、フィルタアセンブリに持たせることである。
【0039】
フィルタアセンブリが装置の該当の開口へ完全に挿入されたときに、フィルタアセンブリを、フィルタアセンブリおよび/または装置に設けられたロック手段によって固定することが可能である。例えば、フィルタアセンブリが開口へ完全に挿入されたときに装置の開口の近傍に設けられた凸状または凹状の要素と相互作用できるスナップ式のはまり合いを、フィルタアセンブリに設けることができる。ユーザは、フィルタアセンブリを装置から取り外そうとする場合に、スナップ式のはまり合いを解放し、フィルタアセンブリを装置の開口から取り出すことができる。フィルタアセンブリを、フィルタアセンブリが装置へ接続されたときに開口の内側の隣接面によってフィルタアセンブリに加えられる摩擦によって、開口内に固定してもよい。摩擦力を、フィルタアセンブリのシール手段と、フィルタが開口へ挿入されたときにシール手段に隣接する開口内の対応する表面とによって、作用させることも可能である。フィルタアセンブリを開口へ挿入するとき、ユーザは、摩擦力に打ち勝ってフィルタアセンブリを開口へ完全に挿入するために、一定の力を加えなければならない。同じことが、開口からのフィルタアセンブリの取り出しにも当てはまる。したがって、装置におけるフィルタカードの固定が達成され、フィルタアセンブリを、安定かつ安全な態様で装置へ接続することができる。
【0040】
別の好ましい実施形態においては、閉鎖機構が、フィルタアセンブリを囲むための少なくとも2つの囲み部材を備え、そのような囲み部材は、お互いに対して相対移動可能である。したがって、フィルタが装置の該当の開口へもたらされたときに、ユーザが、囲み部材の相対移動を可能にして、開口内に配置されるフィルタアセンブリを囲むべく、閉鎖機構を作動させることができる。このようにして、囲み部材が近付くことで、囲み部材の間に配置されるフィルタアセンブリを効果的に囲むことができる。したがって、フィルタアセンブリを、装置の動作の間、固定かつ安定な位置に保持することができる。この目的のために、囲み部材の少なくとも一方へ接続されたレバーを、装置のハウジングに設けることができる。これにより、ユーザは、レバーを操作することによってフィルタアセンブリを囲み部材の間に囲み、および/または解放することができる。当然ながら、フィルタアセンブリを、自動的な動作によって囲んでもよい。そのために、フィルタアセンブリを開口内に囲み、および/または解放するために、少なくとも一方の囲み部材の相対移動を可能にする専用のモータの動作を可能にするボタンを、装置のハウジングに設けることができる。
【0041】
さらに、フィルタアセンブリの存在を検出するために、開口の底部に近接センサを設けることができる。これに関し、近接センサは、装置のポンプへ接続される。したがって、好ましくは、近接センサがフィルタアセンブリの存在を検出するときに限り、ポンプを動作させることが可能である。これにより、フィルタアセンブリが装置の開口へ完全に挿入されている場合に限って装置を作動させることができるため、システムの安全な動作が可能になる。
【0042】
本発明による装置によって調製される栄養組成物は、本質的に病原菌による汚染の影響をきわめて受けやすい任意の組成物であってもよい。本発明の方法において使用するための好ましい栄養組成物の例は、乳児用調製乳、育児用粉乳、および乳児用液体シリアルである。組成物の原料は、本発明の方法にとって重要でなく、他の食品粉末または濃縮液も使用可能である。本発明の方法において使用することができるさまざまな種類の乳児用調製乳の例として、乳漿たんぱくを主体とする調製乳、乳清およびカゼインの混合物を含んでいる調製乳、大豆などの他のたんぱく質にもとづく調製乳、たんぱく質成分が部分的または広く加水分解されている調製乳、などが挙げられる。栄養組成物は、好ましくは、チャンバへもたらされる気密な使い捨てのカートリッジに、粉末の形態または濃縮された液体の形態で収容される。
【0043】
本発明の方法によれば、いつでも授乳できる状態の栄養組成物を、一人分を調製するために2つ以上のカートリッジを使用して、調製することも可能である。これは、調製される組成物について、ある程度の柔軟性を可能にする。例えば、異なる補助成分を収容するある範囲のカートリッジを製造することができ、それらをどのように組み合わせて、受け手の個々のニーズに適合した個人用の組成物を調製するのかについての指示を、消費者に提供することができる。
【0044】
第2の態様において、本発明は、栄養組成物を調製するための装置へ接続されるフィルタカードであって、少なくとも1つの抗菌フィルタ膜と該フィルタ膜を支持するための少なくとも1つの剛な水を通す裏打ち部材とを所定の位置に保持するためのフレームを備えるフィルタカードを提案する。裏打ち部材を、フィルタ膜に隣接させて配置でき、あるいはフィルタ膜の近くに配置することができる。裏打ち部材に、小さい穴(ただし、この部材における圧力低下を最小限にするために充分に大きい直径である)を開けることができる。
【0045】
本発明によるフィルタカードによれば、装置にとって必要な水のろ過機能を、より便利かつ安全な態様でもたらすことができる。特に、フィルタカードによるフィルタ手段の交換を、任意のユーザが行うことができる。また、カードのフレームの剛性ゆえに、壊れやすくて本質的に形態が安定しない膜の取り扱いおよび保護が容易になるほか、装置におけるカードの正しい配置を容易に保証することができる。
【0046】
さらに、抗菌フィルタ膜に隣接して配置される穴あき裏打ち部材が、フィルタ膜を支持し、水の圧力のもとでもフィルタ膜の完全性を維持する(例えば、破れたり、つぶれたり、たわんだり、あるいはしわになったりしないようにする)。これに関し、穴は、好ましくはフィルタ膜の孔よりも大きい直径を有している(例えば、0.6mm)。したがって、フィルタカードを通過する水が、裏打ち部材によって偏向させられることがなく、フィルタ膜に、フィルタ膜のたわみおよび/または破損の恐れなく、大流量で液体を流すことができる。
【0047】
好ましくは、フィルタカードのフレームが、剛なプラスチックおよび/または金属材料で製作される。
【0048】
フィルタ膜は、好ましくは平坦な膜であって、すでに述べたように、0.01〜0.45ミクロンの間の公称孔径を有し、最も好ましくは0.1〜0.3ミクロンの間の公称孔径を有している。したがって、栄養組成物の調製に使用される水に存在する病原菌を、膜において効果的に阻止することができる。膜が、膜を通過する流れの方向において変化する孔の断面を有し、したがって膜についてフィルタ入り口側およびフィルタ出口側が決定されるような態様で、非対称に設計されることに注目することができる。特に、孔が、入り口側から出口側に向かって広がっている。
【0049】
別の好ましい実施形態においては、少なくとも1つの抗菌フィルタ膜が、少なくとも2つの穴あき裏打ち部材の間に挟まれる。これに関し、裏打ち部材の穴を、穴を通って導かれる水が偏向させられることがないように、整列させることができる。さらに、穴は、好ましくはフィルタ膜の孔よりも大きい直径を有している。したがって、フィルタカードを通過する水が、裏打ち部材によって偏向させられることがない。これに関し、裏打ち部材の穴によって生じる流れの抵抗を、膜の孔の流れの抵抗よりも小さいと考えることができる。
【0050】
しかしながら、穴を整列させてなる2つ以上の穴あき裏打ち部材がフィルタ膜の各側に配置されるフィルタカードの実施形態を提供することも可能であろう。第1のフィルタ膜に隣接して配置される上流側の裏打ち部材が、好ましくは、下流側の裏打ち部材よりも小さな直径の穴を有する。したがって、外側の裏打ち部材は、フィルタカードを通過する水を偏向させることがないように設計される。下流側の裏打ち部材が、第2のフィルタ膜を支持することができる。結果として、水の流路へ接続されたときにフィルタカードをまたいで大きな圧力低下を維持することができるフィルタカードを提供することが可能である。好ましくは、水の流路においてフィルタ手段をまたぐ圧力低下は、1bar未満である。
【0051】
さらに、フィルタカードは、好ましくは、特に水がフィルタカードを迂回することがないように、装置へ接続されたときにフィルタの水密性を保証するためのシール手段を備える。したがって、水がフィルタカードを通過するときに、シール手段が、フィルタカードが挿入された水の流路の漏れを防止する。
【0052】
さらに、フィルタカードの穴あき裏打ち部材を、フィルタカードの接続先の装置の支持部材によって支持することができるように設計することができる。例えば、裏打ち部材の表面に、支持領域を設けることができる。そして、装置へ接続された支持部材を、フィルタカードにたわみおよび/または破損に対する追加の支持を提供するために、この支持領域に当接するように設計することができる。したがって、水の流路におけるフィルタカードの安定した固定位置を保証することが可能である。
【0053】
好ましくは、フィルタカードが、フィルタカードのフレームへ接続された案内手段をさらに備える。案内手段は、フィルタカードをただ1つの所定の面によってのみ装置へ挿入できるよう、非対称であってもよい。案内手段は、フレームの片側のみに配置される突起または溝であってもよく、突起または溝が、フィルタカードを挿入することができる装置の開口の対応する溝または突起にはまり込む。この非対称なカードの構成は、ユーザがフィルタカードを誤った態様で挿入することを効果的に防止する。上述のように、フィルタ膜を非対称に設計することが可能であるため、カードの正しい挿入面を尊重することが重要である。
【0054】
さらに、フィルタカードとフィルタカードが接続される装置との間の安全かつ安定な接続を保証するために、フィルタカードにロック手段を備えることができる。例えば、フィルタカードが開口へ完全に挿入されたときに装置の開口の近傍に設けられた凸状または凹状の要素と相互作用できるスナップ式のはまり合いを、フィルタカードに設けることができる。これにより、ユーザは、フィルタカードを装置から取り外そうとする場合に、スナップ式のはまり合いを解放して、フィルタアセンブリを装置の開口から取り出すことができる。
【0055】
また、ろ過すべき水がフィルタ膜を通って流れ、フィルタ膜の外縁によってフィルタ膜を迂回することがないように保証することが、重要である。したがって、シール手段が、裏打ち部材とフィルタ膜との間に設けられる。該シール手段は、重ね成型プロセスによってフィルタ膜の外縁に設けられるプラスチック製のシール材料を含むことができる。あるいは、水がフィルタ膜を迂回することがないように、Oリングをアセンブリに設けることが可能である。Oリングが使用される場合、膜を通過して毛管現象によって膜を迂回する半径方向の水の流れを防止するために、フィルタ膜が一方向性でなければならない。
【0056】
本発明のさらなる特徴、利点、および目的が、以下の本発明の実施形態の詳細な説明を、添付の図面の図と併せて検討したときに、当業者にとって明らかになるであろう。