特許第5737979号(P5737979)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5737979-回転電機のステータ、及びその製造方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5737979
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】回転電機のステータ、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/50 20060101AFI20150528BHJP
   H02K 1/18 20060101ALI20150528BHJP
   H02K 3/34 20060101ALI20150528BHJP
   H02K 15/02 20060101ALI20150528BHJP
   H02K 15/095 20060101ALI20150528BHJP
   H02K 15/10 20060101ALI20150528BHJP
   H02K 15/04 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   H02K3/50 A
   H02K1/18 C
   H02K3/34 B
   H02K15/02 D
   H02K15/095
   H02K15/10
   H02K15/04 E
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-22798(P2011-22798)
(22)【出願日】2011年2月4日
(65)【公開番号】特開2012-165523(P2012-165523A)
(43)【公開日】2012年8月30日
【審査請求日】2013年10月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101352
【氏名又は名称】アスモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】松浦 寿大
【審査官】 田村 耕作
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−296771(JP,A)
【文献】 特開2003−244883(JP,A)
【文献】 特開平11−252842(JP,A)
【文献】 特開2003−333781(JP,A)
【文献】 特開2002−034212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K1/00−1/16
H02K1/18−1/26
H02K1/28−1/34
H02K3/30−3/52
H02K15/00−15/02
H02K15/04−15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状部を周方向に分割した形状の分割環状部と該分割環状部を環状に配列した状態で該分割環状部から径方向内側に延びるティース部とを有した複数の分割コア部から構成されたコアと、
前記コアに装着されるインシュレータと、
前記ティース部に前記インシュレータを介して集中巻にて巻回される3相の巻線と
を備えた回転電機のステータであって、
前記インシュレータは、3相の巻線を1組として複数組分を含む周方向に連続した複数の前記分割コア部の前記ティース部の径方向内側の先端部同士を回動可能に連結する連結部を有した複数の分割インシュレータからなり、
1つの前記分割インシュレータが装着された複数の前記分割コア部における同相の巻線は連続した導線で巻回され、その連続した導線にて同相の巻線間の渡り線が設けられたことを特徴とする回転電機のステータ。
【請求項2】
請求項1に記載の回転電機のステータにおいて、
前記渡り線の端部の少なくとも一方は、前記ティース部の最先端側から引き出されたことを特徴とする回転電機のステータ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の回転電機のステータにおいて、
前記渡り線は、前記分割環状部が環状の環状部とされた状態で、前記インシュレータの径方向内側で直線状となるように設定されたことを特徴とする回転電機のステータ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の回転電機のステータにおいて、
前記分割コア部は12個であり、前記分割インシュレータはそれぞれ6個の前記分割コア部と対応して2個設けられ、
一方の分割インシュレータに連結された前記分割コア部における前記ティース部と、他方の分割インシュレータに連結された前記分割コア部における前記ティース部とには前記巻線が逆方向に巻回されたことを特徴とする回転電機のステータ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の回転電機のステータの製造方法において、
1つの前記分割インシュレータが装着された複数の前記分割コア部を前記連結部の部分で回動させた状態であって前記分割環状部同士が離間した状態で、前記同相の巻線及びそれらの間の前記渡り線を配置する導線配置工程と、
前記導線配置工程の後、前記分割コア部を前記連結部の部分で回動させて前記分割環状部が弧状に配列された分割ステータ部材を得る分割ステータ部材製造工程と、
前記分割ステータ部材製造工程の後、複数の前記分割ステータ部材における前記分割環状部同士を連結して前記環状部とする合体工程と
を備えたことを特徴とする回転電機のステータの製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の回転電機のステータの製造方法において、
前記導線配置工程では、
1つの分割インシュレータが装着された複数の分割コア部が全周に渡って等角度間隔となるように配置させた状態で、前記同相の巻線及びそれらの間の前記渡り線を配置することを特徴とする回転電機のステータの製造方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の回転電機のステータの製造方法において、
前記導線配置工程では、
1つの前記ティース部に巻線を巻回した後、調節治具に引っ掛けながら異なる前記ティース部に前記導線を移動させて巻線を巻回することで、前記渡り線の長さを調節することを特徴とする回転電機のステータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、インナーロータ型ブラシレスモータ等に用いられる回転電機のステータ、及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、回転電機のステータとしては、環状部を周方向に分割した形状の分割環状部と該分割環状部を環状に配列した状態で該分割環状部から径方向内側に延びるティース部とを有した複数の分割コア部から構成されたコアと、ティース部にインシュレータを介して集中巻にて巻回される巻線とを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。このステータにおいてコア(複数の分割コア部)に装着されるインシュレータは、隣り合う分割コア部の前記分割環状部同士を回動可能に連結する連結部を有する。これにより、ティース部を外側向きとした状態(ティース部の先端同士の間を広げた状態)で巻線を巻回することができ、巻線を容易且つ高占積率で設けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−254569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようなステータ及びその製造方法では、周方向に並んだティース部にU相、V相、W相と順次巻回される3相の巻線の内の同相の巻線とそれらを接続する渡り線とを連続した導線で設けた後にティース部を反転(径方向外側となっていた部分が径方向内側となるように変形)させる必要がある。その結果、渡り線が必要以上に長くなり、また、反転に基づく渡り線同士の絡みをほぐしつつ整形することが必要となるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、容易且つ高占積率で巻線を設けることができるとともに、渡り線の長さを短くし、しかも渡り線の整形を不要とすることができる回転電機のステータ、及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明では、環状部を周方向に分割した形状の分割環状部と該分割環状部を環状に配列した状態で該分割環状部から径方向内側に延びるティース部とを有した複数の分割コア部から構成されたコアと、前記コアに装着されるインシュレータと、前記ティース部に前記インシュレータを介して集中巻にて巻回される3相の巻線とを備えた回転電機のステータであって、前記インシュレータは、3相の巻線を1組として複数組分を含む周方向に連続した複数の前記分割コア部の前記ティース部の径方向内側の先端部同士を回動可能に連結する連結部を有した複数の分割インシュレータからなり、1つの前記分割インシュレータが装着された複数の前記分割コア部における同相の巻線は連続した導線で巻回され、その連続した導線にて同相の巻線間の渡り線が設けられたことを要旨とする。
【0007】
同構成によれば、インシュレータは、3相の巻線を1組として複数組分を含む周方向に連続した複数の分割コア部のティース部の径方向内側の先端部同士を回動可能に連結する連結部を有した複数の分割インシュレータからなる。よって、1つの分割インシュレータが装着された複数の分割コア部を連結部の部分で回動させた状態であって分割環状部同士が離間した状態とすることができる。これにより、その状態で、1つの分割インシュレータが装着された複数の分割コア部における同相の巻線を連続した導線で容易且つ高占積率で設けることができるとともに、その連続した導線にて同相の巻線間の渡り線を設けることができる。そして、その後、分割コア部を連結部の部分で反転を伴わずに回動させて分割環状部が弧状に配列された分割ステータ部材を得て、複数の分割ステータ部材における分割環状部同士を連結して環状の環状部とすることで、同相の巻線を繋ぐ渡り線を短く絡みのないものとすることができる。よって、容易且つ高占積率で巻線を設けることができるとともに、同相の巻線間の渡り線の長さを短くし、しかも渡り線の整形を不要とすることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の回転電機のステータにおいて、前記渡り線の端部の少なくとも一方は、前記ティース部の最先端側から引き出されたことを要旨とする。
【0009】
同構成によれば、渡り線の端部の少なくとも一方は、ティース部の最先端側(径方向最内側)から引き出されるため、例えば、渡り線の両端部がティース部の基端側(径方向外側)から引き出されたものに比べて、渡り線が必要とする導線の長さを短くすることができる。よって、省線化を図ることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の回転電機のステータにおいて、前記渡り線は、前記分割環状部が環状の環状部とされた状態で、前記インシュレータの径方向内側で直線状となるように設定されたことを要旨とする。
【0011】
同構成によれば、渡り線は、分割環状部が環状の環状部とされた状態で、インシュレータの径方向内側で直線状となるように設定されるため、弛みがなく、例えば、弛みがあるものに比べて、渡り線が必要とする導線の長さを短くすることができる。よって、省線化を図ることができる。又、弛みがないため、弛みによる他部材との接触による悪影響を防止することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明では、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の回転電機のステータにおいて、前記分割コア部は12個であり、前記分割インシュレータは2個であり、一方の分割インシュレータに連結された前記分割コア部における前記ティース部と、他方の分割インシュレータに連結された前記分割コア部における前記ティース部とには前記巻線が逆方向に巻回されたことを要旨とする。
【0013】
同構成によれば、前記分割コア部は12個であり、前記分割インシュレータは2個である。そして、一方の分割インシュレータに連結された分割コア部におけるティース部と、他方の分割インシュレータに連結された分割コア部におけるティース部とには巻線が逆方向に巻回される。よって、具体的に12スロットのステータにおいて、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発明の効果を得ることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明では、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の回転電機のステータの製造方法において、1つの前記分割インシュレータが装着された複数の前記分割コア部を前記連結部の部分で回動させた状態であって前記分割環状部同士が離間した状態で、前記同相の巻線及びそれらの間の前記渡り線を配置する導線配置工程と、前記導線配置工程の後、前記分割コア部を前記連結部の部分で回動させて前記分割環状部が弧状に配列された分割ステータ部材を得る分割ステータ部材製造工程と、前記分割ステータ部材製造工程の後、複数の前記分割ステータ部材における前記分割環状部同士を連結して前記環状部とする合体工程とを備えたことを要旨とする。
【0015】
同発明によれば、導線配置工程では、1つの分割インシュレータが装着された複数の分割コア部を連結部の部分で回動させた状態であって分割環状部同士が離間した状態で、連続した導線にて同相の巻線及びそれらの間の渡り線が配置される。このようにすると、同相の巻線を連続した導線で容易且つ高占積率で設けることができるとともに、その連続した導線にて同相の巻線間の渡り線を形成することができる。
【0016】
分割ステータ部材製造工程では、分割コア部を連結部の部分で反転を伴わずに回動させて分割環状部が弧状に配列された分割ステータ部材が得られ、合体工程では、複数の分割ステータ部材における分割環状部同士が連結されて環状部とされるため、同相の巻線を繋ぐ渡り線を短く絡みのないものとすることができる。よって、容易且つ高占積率で巻線を設けることができるとともに、同相の巻線間の渡り線の長さを短くし、しかも渡り線の整形を不要とすることができる。
【0017】
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の回転電機のステータの製造方法において、前記導線配置工程では、1つの分割インシュレータが装着された複数の分割コア部が全周に渡って等角度間隔となるように配置させた状態で、前記同相の巻線及びそれらの間の前記渡り線を配置することを要旨とする。
【0018】
同発明によれば、導線配置工程では、1つの分割インシュレータが装着された複数の分割コア部が全周に渡り等角度間隔となるように配置させた状態で、同相の巻線及びそれらの間の渡り線が配置される。このようにすると、径方向外側にティース部が延びるブラシ付き直流モータのロータコアと同様の形状となった状態で巻線を巻回することができるため、例えば、ブラシ付き直流モータの巻線機(フライヤー巻線機等)の設備を流用することが可能となる。よって、設備の汎用性を高くでき、例えば、製造コストを低減させることが可能となる。
【0019】
請求項7に記載の発明では、請求項5又は6に記載の回転電機のステータの製造方法において、前記導線配置工程では、1つの前記ティース部に巻線を巻回した後、調節治具に引っ掛けながら異なる前記ティース部に前記導線を移動させて巻線を巻回することで、前記渡り線の長さを調節することを要旨とする。
【0020】
同発明によれば、導線配置工程では、1つのティース部に巻線を巻回した後、調節治具に引っ掛けながら異なるティース部に導線を移動させて巻線を巻回することで、渡り線の長さが調節されるため、容易に分割ステータ部材とされたときの渡り線の長さを良好な長さとすることができる。詳しくは、まず導線配置工程時の状態と分割ステータ部材製造工程後の状態とでは、同相の巻線が巻回されるティース部の距離が異なり、分割ステータ部材製造工程後の状態において必要となる渡り線の長さの方が長くなる。よって、導線配置工程で前記調節治具を用いずに同相の巻線及びそれらの間の渡り線を設けようとすると、例えば渡り線としての導線を弛ませつつ巻線機から導出させて、導線にテンションが掛かっていない状態で次のティース部に巻回させるといった必要が生じてしまう。このようにすると、弛みによる不具合が生じることが懸念されるが、調節治具に引っ掛けながら異なるティース部に導線を移動させて巻線を巻回することで、弛みのない状態で次のティース部に巻線を巻回させることができるので、良好に巻回させることが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、容易且つ高占積率で巻線を設けることができるとともに、同相の巻線間の渡り線の長さを短くし、しかも渡り線の整形を不要とすることができる回転電機のステータ、及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施の形態におけるステータとロータを軸方向から見た平面図。
図2】(a)(b)本実施の形態における導線配置工程を説明するための平面図。
図3】(a)本実施の形態における分割ステータ部材製造工程を説明するための平面図。(b)本実施の形態における2つの分割環状部の連結状態を径方向外側から見た部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図1図3に従って説明する。
図1に示すように、回転電機としてのモータ1は、インナーロータ型のブラシレスモータであって、略円筒状のステータ2と、ステータ2の内側に収容保持されたロータ3とを備える。ロータ3は、その図示しない回転軸の両端側がベアリングBに回転可能に支持されてステータ2の内側に配置されている。
【0024】
ステータ2は、環状部4と環状部4から径方向内側に延びる12個のティース部5とを有するコア6と、コア6に装着されるインシュレータ7と、ティース部5にインシュレータ7を介して集中巻にて巻回された3相(U相、V相、W相)の巻線8とを備える。尚、前記コア6(環状部4)は図示しない筒状のハウジング内に収容保持されることになる。
【0025】
コア6は、環状部4を周方向に(12個に)分割した形状の分割環状部4aと該分割環状部4aを環状に配列した状態で各分割環状部4aから径方向内側に延びる前記ティース部5とを有した12個の分割コア部9から構成されている。尚、各分割コア部9は磁性体からなる板材が積層されて構成されており、分割環状部4aの両端部は、図3(b)に示すように、積層された前記板材の組み合わせにより櫛歯状をなしている。そして、分割環状部4aを環状に配列した状態では、周方向に隣り合う分割環状部4aの櫛歯状部分同士が噛み合うようになっている。これにより、コア6を分割構造にすることによる磁気抵抗の増加が小さく抑えられるようになっている。
【0026】
コア6の全体(即ち12個の分割コア部9)に対応したインシュレータ7は、2個の分割インシュレータ10,11からなる。各分割インシュレータ10,11は、3相の巻線8を1組として複数組分(本実施の形態では2組分)を含む周方向に連続した複数(本実施の形態では6個)の分割コア部9のティース部5を覆う被覆部12と、被覆部12から延びてティース部5の先端部(径方向内側端部)同士を回動可能に連結する連結部13とを有する。この連結部13は、周方向に隣り合う被覆部12(ティース部5)における径方向内側同士を繋ぐとともに、撓むことで被覆部12(ティース部5)同士が回動可能となるように(図2に示すように6個の分割コア部9を全周(360°)に渡って等角度(60°)間隔に配置できるように)薄肉に形成されている。
【0027】
そして、1つの分割インシュレータ10(11)が装着された複数の分割コア部9における同相の巻線8(例えば、U相の巻線8)は連続した導線で巻回され、その連続した導線にて同相の巻線間の渡り線14が設けられている。本実施の形態では、渡り線14の端部の一方が、ティース部5の最先端側(径方向内側)から引き出されるように設けられている。又、渡り線14は、分割環状部4aが環状の環状部4とされた状態で、インシュレータ7の内側で直線状となるように(言い換えると、弛みがないように)設定されている。尚、本実施の形態の前記被覆部12の径方向内側端部には、導線を引っ掛けることが可能な段差部12aが形成され、渡り線14は段差部12aに引っ掛けられることで前記ベアリングBの外側に配置されるようになっている。これにより、ロータ3を組み付けた状態での渡り線14とベアリングBとの接触が防止される。又、一方の分割インシュレータ10に連結された分割コア部9におけるティース部5と、他方の分割インシュレータ11に連結された分割コア部9におけるティース部5とには巻線8が逆方向に(対称となるように)巻回されている。
【0028】
又、一方の分割インシュレータ10側において第1の組の巻線8の一端部(渡り線14と繋がらない側の端部)と、他方の分割インシュレータ11側において第1の組の巻線8の一端部(渡り線14と繋がらない側の端部)とは、共に中性点ターミナル15に電気的に接続されている。又、一方の分割インシュレータ10側において第2の組の巻線8の一端部(渡り線14と繋がらない側の端部)と、他方の分割インシュレータ11側において第2の組の巻線8の一端部(渡り線14と繋がらない側の端部)とは、対応する相毎に電気的に接続され、その間の配線はパワー線16としてそれぞれ対応した相の電源に接続されることになる。即ち、この例のステータ2は、2本パラのスター結線とされている。
【0029】
次に、上記のように構成されるステータ2の製造方法について説明する。
ステータ2の製造方法は、「導線配置工程」と「分割ステータ部材製造工程」と「合体工程」とを備える。
【0030】
まず「導線配置工程」では、図2(a),(b)に示すように、1つの分割インシュレータ10,11が装着された複数(6個)の分割コア部9を連結部13の部分で(ステータ2の状態に対して)回動させた状態であって分割環状部4a同士が離間した状態で、同相の巻線8及びそれらの間の渡り線14を連続した導線にて配置する。
【0031】
詳しくは、本実施の形態の「導線配置工程」では、1つの分割インシュレータ10,11が装着された複数(6個)の分割コア部9が全周に渡って等角度(60°)間隔となるように配置させた状態で、同相の巻線8及びそれらの間の渡り線14を連続した導線にて配置する。尚、本実施の形態の「導線配置工程」における各分割インシュレータ10,11は、図2(a),(b)に示すように、全体が連結部13で環状に連結されている。又、「導線配置工程」において各分割インシュレータ10,11の内側には、環状の真円度を保つための、言い換えると、分割コア部9の等角度(60°)間隔の配置を維持するための円形治具21が嵌入され、その状態で巻線8が巻回される。又、本実施の形態では、径方向外側にティース部が延びるブラシ付き直流モータのロータコアと同様の形状となった状態で前記ティース部5に巻線8を巻回し、例えば、ブラシ付き直流モータの巻線機(フライヤー巻線機等)の設備を流用して巻回する。
【0032】
このとき、具体的には、図2(a)に示すように、第1の組のU相の巻線8(図中、上側に配置された分割コア部9の巻線8)をティース部5の先端側(径方向内側)から巻始め、ティース部5の基端側(径方向外側)まで巻回して巻線8の巻回を終了する。そして、そのまま第2の組のU相の巻線8(周方向に3つ離間した、図中、下側に配置された分割コア部9の巻線8)をティース部5の先端側(径方向内側)から巻始め、ティース部5の基端側(径方向外側)まで巻回して巻線8の巻回を終了する。
【0033】
ここで、本実施の形態の「導線配置工程」では、1つのティース部5に巻線8を巻回した後、調節治具22に引っ掛けながら異なる(周方向に3つ離間した)ティース部5に導線を移動させて巻線8を巻回することで、同相の巻線8間の渡り線14の長さを調節する。尚、この渡り線14の長さは、上記したように、分割環状部4aが環状の環状部4とされた状態で、インシュレータ7の内側で直線状となるように(言い換えると、弛みがないように)調節する。又、本実施の形態の「導線配置工程」では、導線を前記調節治具22に引っ掛ける前に前記段差部12aに引っ掛けるようにしている。
【0034】
又、「導線配置工程」は、図2(b)に示すように、他方の分割インシュレータ11側についても同様に行う。但し、他方の分割インシュレータ11側については、巻線8を巻回する方向や導線を移動させる(渡り線14を調節治具22に引っ掛ける)方向を逆方向とする。
【0035】
次に、「分割ステータ部材製造工程」では、分割コア部9を連結部13の部分で(反転を伴わずに)回動させて、図3(a)に示すように、分割環状部4aが弧状(半円状)に配列された分割ステータ部材23,24を得る。尚、本実施の形態の「導線配置工程」における各分割インシュレータ10,11は、図2(a),(b)に示すように、全体が連結部13で環状に連結されているため、一箇所の連結部13(図2中、2点鎖線Xで示す部分)を切断して「分割ステータ部材製造工程」を行う。
【0036】
次に、「合体工程」では、図3に示す2つの分割ステータ部材23,24における前記分割環状部4a同士を連結して前記環状部4とする(図1参照)。そして、前記中性点ターミナル15への接続作業等の工程を経てステータ2の製造を完了する。
【0037】
次に、上記実施の形態の特徴的な効果を以下に記載する。
(1)インシュレータ7は、3相(U相、V相、W相)の巻線8を1組として2組分を含む周方向に連続した複数(6個)の分割コア部9のティース部5の先端部(径方向内側端部)同士を回動可能に連結する連結部13を有した2個の分割インシュレータ10,11からなる。よって、1つの分割インシュレータ10(11)が装着された複数の分割コア部9を連結部13の部分で回動させた状態であって分割環状部4a同士が離間した状態とすることができる。これにより、その状態(図2参照)で、1つの分割インシュレータ10(11)が装着された複数(6個)の分割コア部9における同相の巻線8を連続した導線で容易且つ高占積率で設けることができるとともに、その連続した導線にて同相の巻線8間の渡り線14を設けることができる。そして、その後、分割コア部9を連結部13の部分で(反転を伴わずに)回動させて分割環状部4aが弧状に配列された分割ステータ部材23,24を得て、複数の分割ステータ部材23,24における分割環状部4a同士を連結して環状の環状部4とすることで、同相の巻線8を繋ぐ渡り線14を短く絡みのないものとすることができる。よって、容易且つ高占積率で巻線8を設けることができるとともに、同相の巻線8間の渡り線14の長さを短くし、しかも渡り線14の整形を不要とすることができる。
【0038】
(2)渡り線14の端部の一方は、ティース部5の最先端側(径方向最内側)から引き出されるように設けられているため、例えば、渡り線14の両端部がティース部5の基端側(径方向外側)から引き出されたものに比べて、渡り線14が必要とする導線の長さを短くすることができる。よって、省線化を図ることができる。
【0039】
(3)渡り線14は、分割環状部4aが環状の環状部4とされた状態で、インシュレータ7の内側で直線状となるように設定されるため、弛みがなく、例えば、弛みがあるものに比べて、渡り線14が必要とする導線の長さを短くすることができる。よって、省線化を図ることができる。又、弛みがないため、弛みによる他部材(例えば、ベアリングB)との接触による悪影響(例えば、渡り線14の損傷)を防止することができる。
【0040】
(4)「導線配置工程」では、1つの分割インシュレータ10,11が装着された複数(6個)の分割コア部9が全周に渡って等角度(60°)間隔となるように配置させた状態で、同相の巻線8及びそれらの間の渡り線14が配置される。このようにすると、径方向外側にティース部が延びるブラシ付き直流モータのロータコアと同様の形状となった状態で巻線8を巻回することができるため、本実施の形態のように、ブラシ付き直流モータの巻線機(フライヤー巻線機等)の設備を流用することが可能となる。よって、設備の汎用性を高くでき、例えば、製造コストを低減させることが可能となる。
【0041】
(5)「導線配置工程」では、1つのティース部5に巻線8を巻回した後、調節治具22に引っ掛けながら異なる(周方向に3つ離間した)ティース部5に導線を移動させて巻線8を巻回することで、渡り線14の長さが調節されるため、容易に分割ステータ部材23,24とされたときの渡り線14の長さを良好な長さとすることができる。詳しくは、まず「導線配置工程」時の状態と「分割ステータ部材製造工程」後の状態とでは、同相の巻線8が巻回されるティース部5の距離が異なり、「分割ステータ部材製造工程」後の状態において必要となる渡り線14の長さの方が長くなる。よって、「導線配置工程」で前記調節治具22を用いずに同相の巻線8及びそれらの間の渡り線14を設けようとすると、例えば渡り線14としての導線を弛ませつつ巻線機から導出させて、導線にテンションが掛かっていない状態で次のティース部5に巻回させるといった必要が生じてしまう。このようにすると、弛みによる不具合が生じることが懸念されるが、調節治具22に引っ掛けながら異なるティース部5に導線を移動させて巻線8を巻回することで、弛みのない状態で次のティース部5に巻線8を巻回させることができるので、良好に巻回させることが可能となる。
【0042】
上記実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、渡り線14の端部の一方は、ティース部5の最先端側(径方向最内側)から引き出されているとしたが、これに限定されず、渡り線14の両端部ともティース部5の最先端側(径方向最内側)から引き出されるようにしてもよいし、渡り線14の両端部ともティース部5の基端側から引き出されたものとしてもよい。
【0043】
・上記実施の形態では、渡り線14は、分割環状部4aが環状の環状部4とされた状態で、インシュレータ7の内側で直線状となるように設定されるとしたが、これに限定されず、直線状とならないように設定してもよい。例えば、渡り線14は、若干の弛みが生じるように設定してもよいし、インシュレータ7に沿って弧状に配置されるように(インシュレータ7の内側に出ないように)設けてもよい。
【0044】
・上記実施の形態では、分割コア部9は12個であり、分割インシュレータ10,11はそれぞれ6個の分割コア部9と対応して2個設けられるステータ2としたが、上記個数は変更してもよい。
【0045】
・上記実施の形態の「導線配置工程」では、1つの分割インシュレータ10,11が装着された複数(6個)の分割コア部9が全周に渡って等角度(60°)間隔となるように配置させた状態で、同相の巻線8及びそれらの間の渡り線14を配置するとしたが、分割環状部4a同士が離間した状態であれば、等角度(60°)間隔としなくてもよい。例えば、巻線8を巻回するティース部5の分割コア部9における分割環状部4aのみを隣り合う分割環状部4aと大きく離間させて巻線8を巻回するようにしてもよい。
【0046】
・上記実施の形態では、ブラシ付き直流モータの巻線機(フライヤー巻線機等)の設備を流用して巻線8を巻回するとしたが、勿論、専用の巻線機で巻線8を巻回し渡り線14を設けてもよい。
【0047】
・上記実施の形態の「導線配置工程」では、1つのティース部5に巻線8を巻回した後、調節治具22に引っ掛けながら異なる(周方向に3つ離間した)ティース部5に導線を移動させて巻線8を巻回することで、渡り線14の長さを調節するとしたが、これに限定されず、調節治具22を用いずに渡り線14の長さを調節してもよい。
【0048】
・上記実施の形態の「導線配置工程」では、各分割インシュレータ10,11は、それぞれ全体が連結部13で環状に連結されているものを用意して用い、後の「分割ステータ部材製造工程」で一箇所の連結部13(図2中、2点鎖線Xで示す部分)を切断するとしたが、最初から一箇所の連結部13が切断されたものを用意して用いてもよい。
【0049】
・上記実施の形態では、特に言及していないがパワー線16は、例えば、別体のパワー線ターミナルとしてもよいし、一方の分割インシュレータ10側の巻線8と他方の分割インシュレータ11側の巻線8と連続した導線で構成してもよい。尚、パワー線16を、2つの巻線8と連続した導線とする場合、上記「導線配置工程」の段階で連続して(切断せずに)2つの(異なる分割インシュレータ10,11における)巻線8を巻回する必要がある。このようにすると、1つの相の全ての(4つの)巻線8が連続した導線で設けられるため、更に導線の端部を接続する工程を低減することができる。
【0050】
・上記実施の形態では、一方の分割インシュレータ10側において第1の組の巻線8の一端部(渡り線14と繋がらない側の端部)と、他方の分割インシュレータ11側において第1の組の巻線8の一端部(渡り線14と繋がらない側の端部)とは、共に中性点ターミナル15に電気的に接続されているとしたが、これに限定されず、変更してもよい。例えば、中性点ターミナル15を用いず、直接、前記一端部同士を接続して中性点としてもよい。
【符号の説明】
【0051】
4…環状部、4a…分割環状部、5…ティース部、6…コア、7…インシュレータ、8…巻線、9…分割コア部、10,11…分割インシュレータ、13…連結部、14…渡り線、22…調節治具、23,24…分割ステータ部材。
図1
図2
図3