特許第5737985号(P5737985)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5737985
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】チルト位置検知装置
(51)【国際特許分類】
   B63H 20/08 20060101AFI20150528BHJP
【FI】
   B63H21/26 B
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-24689(P2011-24689)
(22)【出願日】2011年2月8日
(65)【公開番号】特開2012-162190(P2012-162190A)
(43)【公開日】2012年8月30日
【審査請求日】2014年1月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000213954
【氏名又は名称】朝日電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 通之
(72)【発明者】
【氏名】竹内 啓太
【審査官】 川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭64−079601(JP,A)
【文献】 実開平02−051197(JP,U)
【文献】 実開昭56−168496(JP,U)
【文献】 実開昭58−084567(JP,U)
【文献】 特開平06−278616(JP,A)
【文献】 米国特許第05967763(US,A)
【文献】 特開2004−108941(JP,A)
【文献】 特表2006−518467(JP,A)
【文献】 特開2007−120473(JP,A)
【文献】 特開平09−039889(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63H 20/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源を駆動させてトリム軸を中心に船外機を揺動させることにより、その船外機のプロペラが水面より下方にある運転位置と水面より上方にあるチルト位置との間で上下動させ得る船舶に備えられ、前記船外機が前記チルト位置に達したことを検知して前記駆動源の駆動を停止させるためのチルト位置検知装置において、
前記トリム軸に取り付け可能な固定側部材と、
該固定側部材と対向させつつ前記船外機と共に回動する回動部に取り付け可能な可動側部材と、
前記固定側部材及び可動側部材に設けられ、当該可動側部材の前記固定側部材に対する相対的位置を非接触にて検知することにより、前記船外機がチルト位置に達したことを検知し得る検知センサと、
前記可動側部材の前記固定側部材に対する相対的位置のうち前記検知センサが検知すべき位置を調整し得る検知位置調整手段と、
を具備し、前記固定側部材又は可動側部材の何れか一方に境界線を境としてS極及びN極に着磁された磁石を具備させるとともに、当該固定側部材又は可動側部材の何れか他方に前記磁石からの磁力がS極とN極とで切り替わる位置を検知し得る磁力検知手段を具備させ、当該磁石及び磁力検知手段にて前記検知センサが構成されたことを特徴とするチルト位置検知装置。
【請求項2】
前記検知位置調整手段は、前記可動側部材及び固定側部材のそれぞれに形成された目印から成ることを特徴とする請求項1記載のチルト位置検知装置。
【請求項3】
前記可動側部材には、前記固定側部材を収容しつつ当該可動側部材の回動を許容する収容溝が形成され、前記駆動源の駆動により船外機がトリム軸を中心に揺動するのに伴い、前記固定側部材が当該収容溝内に位置しつつ前記可動側部材が回動可能とされたことを特徴とする請求項2記載のチルト位置検知装置。
【請求項4】
前記収容溝の近傍に前記可動側部材の前記目印が形成されるとともに、その目印と対応させつつ視認可能な位置に前記固定側部材の前記目印が形成されたことを特徴とする請求項記載のチルト位置検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船外機がチルト位置に達したことを検知して駆動源の駆動を停止させるためのチルト位置検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、船舶(具体的には船体後方のトランサム)に連結された船外機は、エンジンを内部に有するとともに、当該エンジンの駆動力で回転可能なプロペラを有して構成されており、かかるプロペラの回転駆動により船舶の推進力を得るものとされている。船外機は、通常、船舶後方に形成されたトリム軸を中心に揺動可能とされており、その揺動によりチルト操作及びトリム操作が可能となっている。
【0003】
トリム操作は、プロペラが水面より下方にある状態を維持しつつ船体と船外機の角度(トリム角)を調整して船体の走行姿勢を変化させるものである。また、チルト操作は、船舶に搭載されたモータ等の駆動源を駆動させてトリム軸を中心として船外機を揺動させ、その揺動により船外機のプロペラが水面より下方にある運転位置と水面より上方にあるチルト位置との間で上下動させるものである。
【0004】
しかるに、チルト操作時(チルトアップ時)の船外機と船体との干渉を防止すべく、船外機がチルト位置に達すると、モータ等の駆動源の駆動を停止させてチルトアップ動作が自動的に停止するようチルト位置検知装置を具備したものが提案されている。かかるチルト位置検知装置は、従来、船外機がチルト位置にあるとき、スイッチがオンして検知する例えばマイクロスイッチで構成されており、当該マイクロスイッチがオンすると、モータ等の駆動源をオンオフさせるためのリレーがオフして当該駆動源が停止するよう構成されていた。尚、かかる先行技術は、文献公知発明に係るものでないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のチルト位置検知装置においては、船外機がチルト位置にある状態をマイクロスイッチにより検知するものであるため、以下の如き問題があった。
すなわち、マイクロスイッチは、チルト位置に達した船外機に押圧された可動接点が固定接点と接触してスイッチがオンする構造とされているため、当該可動接点及び固定接点の接点間に海水等が浸入してスイッチとしての信頼性が低下してしまう虞があった。また、チルト位置は、船外機の大きさや形状等によって種々異なるものであり、従来の如きチルト位置検知装置においては、船外機に応じたチルト位置の調整が困難であり、汎用性に劣るという不具合があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、装置の信頼性を向上させ得るとともに、船外機に応じたチルト位置の調整を容易に行わせることができ、汎用性を向上させることができるチルト位置検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、駆動源を駆動させてトリム軸を中心に船外機を揺動させることにより、その船外機のプロペラが水面より下方にある運転位置と水面より上方にあるチルト位置との間で上下動させ得る船舶に備えられ、前記船外機が前記チルト位置に達したことを検知して前記駆動源の駆動を停止させるためのチルト位置検知装置において、前記トリム軸に取り付け可能な固定側部材と、該固定側部材と対向させつつ前記船外機と共に回動する回動部に取り付け可能な可動側部材と、前記固定側部材及び可動側部材に設けられ、当該可動側部材の前記固定側部材に対する相対的位置を非接触にて検知することにより、前記船外機がチルト位置に達したことを検知し得る検知センサと、前記可動側部材の前記固定側部材に対する相対的位置のうち前記検知センサが検知すべき位置を調整し得る検知位置調整手段とを具備し、前記固定側部材又は可動側部材の何れか一方に境界線を境としてS極及びN極に着磁された磁石を具備させるとともに、当該固定側部材又は可動側部材の何れか他方に前記磁石からの磁力がS極とN極とで切り替わる位置を検知し得る磁力検知手段を具備させ、当該磁石及び磁力検知手段にて前記検知センサが構成されたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のチルト位置検知装置において、前記検知位置調整手段は、前記可動側部材及び固定側部材のそれぞれに形成された目印から成ることを特徴とする。
【0010】
請求項記載の発明は、請求項2記載のチルト位置検知装置において、前記可動側部材には、前記固定側部材を収容しつつ当該可動側部材の回動を許容する収容溝が形成され、前記駆動源の駆動により船外機がトリム軸を中心に揺動するのに伴い、前記固定側部材が当該収容溝内に位置しつつ前記可動側部材が回動可能とされたことを特徴とする。
【0011】
請求項記載の発明は、請求項記載のチルト位置検知装置において、前記収容溝の近傍に当該可動側部材の前記目印が形成されるとともに、その目印と対応させつつ視認可能な位置に前記固定側部材の前記目印が形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、固定側部材及び可動側部材に設けられ、当該可動側部材の固定側部材に対する相対的位置を非接触にて検知することにより、船外機がチルト位置に達したことを検知し得る検知センサと、可動側部材の固定側部材に対する相対的位置のうち検知センサが検知すべき位置を調整し得る検知位置調整手段とを具備したので、装置の信頼性を向上させ得るとともに、船外機に応じたチルト位置の調整を容易に行わせることができ、汎用性を向上させることができる。
さらに、固定側部材又は可動側部材の何れか一方に磁石を具備させるとともに、当該固定側部材又は可動側部材の何れか他方に前記磁石からの磁力を検知し得る磁力検知手段を具備させ、当該磁石及び磁力検知手段にて検知センサが構成されたので、他の非接触式センサを検知センサとして用いるものに比べ、検知精度をより向上させることができ、装置の信頼性をより一層向上させることができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、検知位置調整手段は、可動側部材及び固定側部材のそれぞれに形成された目印から成るので、簡単な構成で船外機に応じたチルト位置の調整を容易に行わせることができる。
【0015】
請求項の発明によれば、可動側部材には、固定側部材を収容しつつ当該可動側部材の回動を許容する収容溝が形成され、駆動源の駆動により船外機がトリム軸を中心に揺動するのに伴い、固定側部材が当該収容溝内に位置しつつ可動側部材が回動可能とされたので、可動部材と固定部材との幅方向の相対的位置決めを容易且つ確実に行わせることができる。
【0016】
請求項の発明によれば、収容溝の近傍に可動側部材の目印が形成されるとともに、その目印と対応させつつ視認可能な位置に固定側部材の目印が形成されたので、可動側部材の目印と固定側部材の目印との対比をより容易且つ正確に行わせることができ、検知位置調整手段による調整を容易に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係るチルト位置検知装置が適用される船外機(運転位置)及びその船外機が取り付けられた船舶を示す模式図
図2】本発明の実施形態に係るチルト位置検知装置が適用される船外機(チルト位置)及びその船外機が取り付けられた船舶を示す模式図
図3】本発明の実施形態に係るチルト位置検知装置の取付状態を示す斜視図
図4】同チルト位置検知装置の取付状態を示す正面図
図5】同チルト位置検知装置の取付状態を示す側面図
図6】同チルト位置検知装置における固定側部材を示す側面図
図7】同チルト位置検知装置における固定側部材を示す正面図
図8図7におけるVIII−VIII線断面図
図9】同チルト位置検知装置における可動側部材(固定側部材が取り付けられた状態)を示す平面図
図10】同チルト位置検知装置における可動側部材(固定側部材が取り付けられた状態)を示す正面図
図11】同チルト位置検知装置における可動側部材(固定側部材が取り付けられた状態)を示す裏面図
図12図10におけるXII−XII線断面図
図13図9におけるXIII−XIII線断面図
図14】同チルト位置検知装置が形成された基板の回路構成を示す回路図
図15】同チルト位置検知装置における固定側部材及び固定側部材が船体に取り付けられた状態であって、船外機がチルト位置とされて検知位置調整手段による調整時の状態を示す側面図
図16】同チルト位置検知装置における固定側部材及び固定側部材が船体に取り付けられた状態であって、検知位置調整手段による調整後、船外機が運転位置とされた状態を示す側面図
図17】本発明の他の実施形態に係る可動側部材(船体に取り付けられた状態)を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るチルト位置検知装置は、船外機がチルト位置に達したことを検知してモータ(チルト操作時の駆動源)の駆動を停止させるためのものであり、図1〜16に示すように、固定側部材1と、可動側部材2と、検知センサを構成する本体部3及びホールIC11(磁力検知手段)と、検知位置調整手段を構成する目印3c及び目印Eとから主に構成されている。
【0019】
適用される船舶は、図1、2に示すように、船体Hの後方におけるトランサムHaに船外機Kを取り付けて成るもので、当該船外機K内には、エンジンが配設されるとともに、当該エンジンにて駆動されるプロペラKaが配設されている。かかる船外機Kは、船体Hに搭載されたモータM(駆動源)を駆動させてトリム軸Lを中心に揺動可能とされており、船外機KのプロペラKaが水面より下方にある運転位置(図1参照)と水面より上方にあるチルト位置(図2参照)との間で上下動(チルト操作)可能とされている。
【0020】
より具体的には、船体Hの後方におけるトランサムHaには、トリム軸Lが懸架されたクランプブラケットAが取り付けられているとともに、船外機Kは、スイベルブラケットBにて支持されている。かかるスイベルブラケットBは、トリム軸Lを介してクランプブラケットAに揺動可能に取り付けられている。而して、スイベルブラケットBは、チルト操作時及びトリム操作時、トリム軸Lを中心として船外機Kと共に揺動可能とされている。
【0021】
すなわち、船外機Kの揺動時、クランプブラケットA及びトリム軸Lは固定状態とされる一方、スイベルブラケットBは当該船外機Kと共に揺動するよう構成されているのである。特に、チルト操作時においては、モータMを駆動させることにより、船外機Kを運転位置とチルト位置との間で揺動させ得るよう構成されている。なお、図1、2及び図14中符号Cは、モータM(駆動源)を駆動又は停止させるリレーを示しており、このリレーCが作動することにより、モータMの駆動が停止し得るようになっている。
【0022】
本実施形態においては、図3〜5に示すように、トリム軸Lに固定側部材1が取り付けられるとともに、スイベルブラケットBの先端部Baに可動側部材2が取り付けられている。可動側部材2の取付部位(スイベルブラケットBの先端部Ba)は、チルト操作時に船外機Kと共に回動する回動部を構成している。なお、図3中符号Jは、ステアリングアッシを示しており、符号Nはロッドを示している。
【0023】
固定側部材1は、トリム軸Lに取付可能な部材から成り、図6〜8に示すように、磁石から成る本体部3で構成されるとともに、トリム軸Lに対して巻き付け可能なバンド状部材4と、該バンド状部材4を締め上げてトリム軸Lに対して任意角度で固定側部材1を固定させ得る固定手段6とを有するものである。なお、本実施形態においては、図8に示すように、バンド状部材4と一体形成された樹脂部5における突起部5aに本体部3がピンPにて固定されている。
【0024】
本体部3は、中央位置の境界線Dを境として、一方側(図6中右側)をN極に着磁させて成るN極側部位3a、他方側(同図中左側)をS極に着磁させて成るS極側部位3bとして構成されており、当該境界線D上には、固定側部材1の検知位置調整手段を構成する目印3cが凸状に一体形成されている。この目印3cは、本体部3の側面において三角形状に一体形成されており、その三角形状における上部の頂点が境界線D上に位置するよう形成されている。
【0025】
バンド状部材4は、可撓性を有した金属又は樹脂等から成る長尺状部材で構成されたものであり、その一端部及び他端部には、固定手段6を挿通可能な挿通孔4a、4bが形成されている。挿通孔4aは、その周縁がバーリング加工にて立ち上げられており、その立ち上げ部に固定手段6を構成するボルトの雄ネジと噛み合う雌ネジが形成されている。そして、バンド状部材4をトリム軸Lの外周面に沿って巻き付けると、その一端部の挿通孔4aと他端部の挿通孔4bとが向かい合うよう構成されている。
【0026】
固定手段6は、挿通孔4a及び挿通孔4bに挿通することによりバンド状部材4の一端部と他端部とに亘って取り付けられたボルトから成り、当該ボルトを回転させることにより、その雄ネジと挿通孔4aの雌ネジとを螺合させて、当該ボルトを締め上げて当該バンド状部材4の一端部と他端部とを近接させることにより、トリム軸Lに対して本体部3を任意角度で固定可能とされたものである。
【0027】
また、固定手段6の外周面には、円筒状のカラー7が取り付けられている。かかるカラー7は、固定手段6による締め上げを許容させつつ過度な締め上げを規制すべく、その長手寸法が設定されている。すなわち、固定手段6を締め上げて本体部3を固定した後、更に当該固定手段6を締め上げようとした場合、カラー7がバンド状部材4の一端部及び他端部と干渉し、それ以上の過度な締め上げを防止することができるのである。
【0028】
可動側部材2は、固定側部材1と対向させつつ船外機Kと共に回動する回動部(本実施形態においては、スイベルブラケットBの先端部Ba)に取り付け可能なものであり、図9〜13に示すように、ホールIC11(磁力検知手段)を内在する本体部9で構成されるとともに、回動部における任意位置に取り付け可能なステー8を有している。ステー8は、例えば金属製部材から成り、スイベルブラケットBの先端部Baに形成されたネジ孔を利用して取り付けられるものである。
【0029】
具体的には、ステー8は、その両端部にそれぞれネジ孔8a、8bが形成されるとともに、図3、4に示すように、スイベルブラケットBの一対の先端部Baにそれぞれ形成されたネジ孔と当該ネジ孔8a、8bが合致するよう設定されている。そして、ネジ孔を合致させた状態にてネジ孔8a、8bにボルトbを挿通させて螺合させれば、ステー8がスイベルブラケットBの一対の先端部Baに跨って固定され、本体部9をトリム軸Lに臨ませた状態とすることができる。このように、本実施形態においては、ステー8の両端がそれぞれ回動部(本実施形態においては、スイベルブラケットBの先端部Ba)に固定されて両持ち支持されるため、可動側部材2をより安定且つ強固に取り付けることができる。
【0030】
一方、可動側部材2を構成する本体部9には、固定側部材1の本体部3を収容しつつ当該可動側部材2(本体部9)の回動を許容する収容溝9aが形成されている。かかる収容溝9aは、その溝幅が固定部材1の本体部3より若干大きな寸法とされるとともに、底面が円弧状に形成されたものであり、モータM(駆動源)の駆動により船外機Kがトリム軸Lを中心に揺動するのに伴い、固定側部材1(本体部3)が当該収容溝9a内に位置しつつ可動側部材2が回動可能とされている。
【0031】
また、収容溝9aの側縁を構成する側壁9b(収容溝9aの近傍)には、図15、16に示すように、検知位置調整手段としての目印Eが形成されている。かかる目印Eは、本体部9の成形時に一体形成された凸状部位から成り、本実施形態においては固定側部材1の目印3cと合致可能な三角形状の目印とされている。すなわち、収容溝9aの近傍に可動側部材2の目印Eが形成されるとともに、その目印Eと対応させつつ視認可能な位置(本体部3の側面)に固定側部材1の目印3cが形成されているのである。
【0032】
そして、固定側部材1及び可動側部材2をそれぞれトリム軸L及びスイベルブラケットBの先端部Baに取り付けた後、船外機Kをチルト位置とした状態で、目印Eと固定側部材1の本体部3に形成された目印3cとを合致させる(それぞれの三角形の頂部を向き合わせる)ことにより、可動側部材2の固定側部材2に対する相対的位置のうち検知センサ(ホールIC11)が検知すべき位置(すなわち、船外機Kがチルト位置に達したことを検知すべき位置)を調整することができる。
【0033】
ホールIC11は、本発明における検知センサのうち「磁力検知手段」を構成するもので、本体部9内における基板10(図13参照)上に配設されている。ここで、ホールICとは、ホール素子と信号変換回路とを組み込んだ磁気センサを指すものであり、ホール素子とは、ホール効果を利用した磁電変換素子をいう。しかるに、本実施形態においては、ホールIC11を検知センサとして用いているが、他の形態の磁力検知手段を検知センサとして用いるようにしてもよい。
【0034】
なお、本実施形態に係るホールIC11及び該ホールIC11が配設された基板10は、本体部9内に配設されるとともに、所定の樹脂でモールドされている。これにより、基板10上のホールIC11(後述するインテリジェントパワーデバイス12を含む)に対する防水及び防塵を図ることができ、装置の信頼性をより向上させることができる。所定の樹脂でモールドする代わりに、基板10を収容する部位を汎用のシール手段にてシールするようにしてもよい。また、基板10からは配線hが延設されており、当該配線hの先端がモータMを制御するリレーCに接続されている。
【0035】
本実施形態に係る基板10には、図14に示すように、ホールIC11に加えてインテリジェントパワーデバイス12(IPD)が配設されている。かかるインテリジェントパワーデバイス12は、同図に示すように、ホールIC11(検知センサ)と接続され、当該ホールIC11(検知センサ)でチルト位置に達したことが検知されたことを条件としてモータM(駆動源)を停止させるとともに、温度保護回路14及び過電流制限回路15を具備した半導体デバイス13(FET)から成るものである。
【0036】
特に、本実施形態に係るインテリジェントパワーデバイス12は、半導体デバイス13(FET)と共に、温度保護機能を有した温度保護回路14及び過電流制限機能を有した過電流制限回路15を内部に有したものから成り、InPutライン(入力ライン)及びOutPutライン(出力ライン)と接続されている。そして、InPutラインがホールIC11を介してイグニッションスイッチS1側(電源)と電気的に接続されるとともに、OutPutラインがモータM(駆動源)(負荷側)の駆動を制御するリレーCと電気的に接続されている。なお、インテリジェントパワーデバイス12は、InPutライン(入力ライン)及びOutPutライン(出力ライン)の他、IGN_Vcc(電源)と接続されるVccライン及び接地のためのGNDラインとそれぞれ接続されている。
【0037】
また、基板10に形成された回路には、サージ電圧から回路を保護するためのパリスタ、シリコンサージアブゾーバ等のZNR1素子、電源の電圧変動を安定させるためのコンデンサC1、C2、ホールIC11の逆接保護のための整流素子D1が接続されている。さらに、ホールIC11よりイグニッションスイッチS1側(電源側)の回路を分岐させ、その分岐回路をインテリジェントパワーデバイス12のInPutラインに接続させるとともに、その接続部位より分岐点側に抵抗R2、GND側に抵抗R3をそれぞれ接続させて電気回路を構成している。
【0038】
しかるに、インテリジェントパワーデバイス12は、InPutラインがHiレベルであるときONし、LoレベルであるときOFFするよう構成されており、通常時は、当該InPutラインがHiレベルに維持される一方、ホールIC11が磁力を検知してONすると、当該InPutラインがLoレベルとされるよう構成されている。なお、通常時(ホールIC11がOFF時)においては、インテリジェントパワーデバイス12をON状態に保つため、抵抗R2によりInPutラインがHiレベルとされている。
【0039】
一方、インテリジェントパワーデバイス12がON状態であるとき(すなわち、InPutラインがHiレベルであるとき)、OutPutラインが電源(IGN_Vcc)と接続された状態とされ、モータMのリレーCが閉じた状態を保持させてモータMの駆動を行わせるとともに、ホールIC11が磁力を検知してONし、インテリジェントパワーデバイス12がOFF状態とされる(すなわち、InPutラインがLoレベル)と、OutPutラインに電流が流れない状態とされ、モータMのリレーCを開いた状態として当該モータMの駆動を停止させるようになっている。
【0040】
次に、上記実施形態における作用について説明する。
まず、可動側部材2におけるステー8をスイベルブラケットBの先端部Baにボルトbにて固定させるとともに、固定側部材1のバンド状部材4をトリム軸Lの外周面に巻き付けて取り付ける。このとき、可動側部材2の収容溝9a内に固定側部材1の本体部3が位置するようにして、互いに嵌め合わされた状態とし、固定側部材1(本体部3)と可動側部材2(本体部9)とを対向させた状態とする。また、この状態においては、固定手段6による締め上げを行わず、固定側部材1のトリム軸Lに対する回転を許容させておく。
【0041】
上記の如く固定側部材1及び可動側部材2をそれぞれトリム軸L及びスイベルブラケットBの先端部Baに取り付けた後、船外機Kをチルト位置とした状態で、図15に示すように、可動側部材2の本体部9に形成された目印Eと固定側部材1の本体部3に形成された目印3cとを合致させるよう、当該固定側部材1をトリム軸Lに対して回転させる。このとき、固定側部材1の本体部3は、収容溝9aにて案内されることから、調整作業をより容易且つスムーズに行わせることができる。
【0042】
そして、目印Eと目印3cとが合致した状態にて固定手段6による締め上げを行い、トリム軸Lに対して固定側部材1を固定させる。かかる作業により、固定側部材1及び可動側部材2の取り付けを行うことができるとともに、検知位置調整手段により、可動側部材2の固定側部材1に対する相対的位置のうちホールIC11(検知センサ)が検知すべき位置を調整することができる。以上で、セッティング作業が終了し、船外機Kを運転位置まで戻して固定側部材1と可動側部材2との相対的位置関係を図16の如きものとする。
【0043】
而して、リレーCを閉じた状態としてモータMを駆動させ、船外機Kをチルトアップさせて運転位置からチルト位置まで揺動させると、可動側部材2が固定側部材1に対して相対的に回動する。かかる相対的回動の過程で、可動側部材2の本体部9に形成された目印Eと固定側部材1の本体部3に形成された目印3cとが合致する状態に達すると、検知センサ(本体部3及びホールIC11)によってチルト位置に達したことが検知される。
【0044】
すなわち、船外機Kがチルト位置に至る前(運転位置からチルト位置に至る直前まで)にあるとき、可動側部材2内のホールIC11が固定側部材1の本体部3におけるN極側部位3aと対向しており、当該ホールIC11がOFFとされている。そして、船外機Kがチルト位置に至ると(このとき、目印Eと目印3cとが合致した状態となる)、ホールIC11の本体部3に対する対向部位が、N極側部位3aからS極側部位3bに切り替わり、これにより当該ホールIC11がONする。
【0045】
而して、ホールIC11がONすると、インテリジェントパワーデバイス12がOFF状態(オープン状態)とされることから、モータMのリレーCを開いた状態として当該モータMの駆動を停止させる。このように、船外機Kがチルト位置に達したことを非接触にて検知することができるのである。これにより、チルト操作の過程において、船外機Kがチルト位置に達すると自動的に停止させることができ、チルト位置を超えて更に揺動してしまうのを防止することができる。
【0046】
上記実施形態によれば、固定側部材1及び可動側部材2に設けられ、当該可動側部材2の固定側部材1に対する相対的位置を非接触にて検知することにより、船外機Kがチルト位置に達したことを検知し得る検知センサ(本体部3及びホールIC11)と、可動側部材2の固定側部材1に対する相対的位置のうち検知センサが検知すべき位置を調整し得る検知位置調整手段(目印3c及び目印E)とを具備したので、装置の信頼性を向上させ得るとともに、船外機Kに応じたチルト位置の調整を容易に行わせることができ、汎用性を向上させることができる。
【0047】
また、検知位置調整手段は、可動側部材2及び固定側部材1のそれぞれに形成された目印(目印E及び目印3b)から成るので、簡単な構成で船外機Kに応じたチルト位置の調整を容易に行わせることができる。目印E及び目印3bは、何れの形状であってもよく、例えば固定側部材1及び可動側部材2のそれぞれに形成された直線形状を合致させるものとしてもよく、或いは固定側部材1及び可動側部材2の目印を図形又は文字等を刻印又はペイントしたものとしてもよい。
【0048】
しかるに、図17に示すように、可動側部材2における本体部9の所定部位に窓部Wを設けておき、当該窓部Wを介して固定側部材1を視認し得るよう構成してもよい。この場合、固定側部材1の窓部Wにて視認し得る部位に目印mを形成しておき、この目印mと窓部Wの縁部に形成された目印とを合致させることで、可動側部材2の固定側部材1に対する相対的位置のうち検知センサが検知すべき位置を調整し得るよう構成することができる。
【0049】
さらに、固定側部材1又は可動側部材2の何れか一方(本実施形態においては固定側部材1)に磁石(本体部3)を具備させるとともに、当該固定側部材1又は可動側部材2の何れか他方(本実施形態においては可動側部材2)に磁石(本体部3)からの磁力を検知し得る磁力検知手段(ホールIC11)を具備させ、当該磁石及び磁力検知手段にて検知センサが構成されたので、他の非接触式センサを検知センサとして用いるものに比べ、検知精度をより向上させることができ、装置の信頼性をより一層向上させることができる。なお、可動側部材2に磁石(本体部3)を具備させるとともに、固定側部材1に磁石(本体部3)からの磁力を検知し得る磁力検知手段(ホールIC11)を具備させ、当該磁石及び磁力検知手段にて検知センサが構成されたものとしてもよい。
【0050】
また更に、可動側部材2(本体部9)には、固定側部材1を収容しつつ当該可動側部材2の回動を許容する収容溝9aが形成され、モータM(駆動源)の駆動により船外機Kがトリム軸Lを中心に揺動するのに伴い、固定側部材1が当該収容溝9a内に位置しつつ可動側部材2が回動可能とされたので、可動部材2と固定部材1との幅方向の相対的位置決めを容易且つ確実に行わせることができる。
【0051】
また、収容溝9aの近傍に可動側部材2の目印Eが形成されるとともに、その目印Eと対応させつつ視認可能な位置に固定側部材1の目印3cが形成されたので、可動側部材2の目印Eと固定側部材1の目印3cとの対比をより容易且つ正確に行わせることができ、検知位置調整手段(目印E及び目印3c)による調整を容易に行わせることができる。しかるに、固定側部材1が当該収容溝9a内に位置しつつ可動側部材2が回動可能とされているので、目印Eと目印3cとの相対的位置がずれてしまうのを回避することができ、より精度よく検知位置調整手段による調整を可能とすることができる。
【0052】
さらに、本実施形態によれば、トリム軸Lに取り付け可能な固定側部材1と、該固定側部材1と対向させつつ船外機Kと共に回動する回動部(スイベルブラケットBの先端部Ba)に取り付け可能な可動側部材2と、固定側部材1及び可動側部材2に設けられ、当該可動側部材2の固定側部材1に対する相対的位置を非接触にて検知することにより、船外機Kがチルト位置に達したことを検知し得る検知センサ(本体部3及びホールIC11)とを具備し、且つ、可動側部材2は、回動部(スイベルブラケットBの先端部Ba)における任意位置に取り付け可能なステー8を有するとともに、固定側部材1は、トリム軸Lに対して巻き付け可能なバンド状部材4と、該バンド状部材4を締め上げてトリム軸Lに対して任意角度で当該固定側部材1を固定させ得る固定手段6とを有するので、装置の信頼性を向上させ得るとともに、後付けで且つ簡単にチルト位置検知装置を船舶に取り付けることができる。
【0053】
また、ステー8は、その両端がそれぞれ回動部(本実施形態においては、スイベルブラケットBの先端部Ba)に固定されて両持ち支持されたので、可動側部材2をより安定且つ強固に取り付けることができ、後付けで且つより確実にチルト位置検知装置を船舶に取り付けることができる。さらに、固定手段2は、バンド状部材4の一端部と他端部とに亘って取り付けられたボルトから成り、当該ボルトを締め上げて当該バンド状部材4の一端部と他端部とを近接させることにより、トリム軸Lに対して固定可能とされたので、より簡易な構成にてチルト位置検知装置の後付けを可能とすることができる。
【0054】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば検知位置調整手段を目印とは異なる他の形態のものとしてもよい
【産業上の利用可能性】
【0055】
トリム軸に取り付け可能な固定側部材と、該固定側部材と対向させつつ船外機と共に回動する回動部に取り付け可能な可動側部材と、固定側部材及び可動側部材に設けられ、当該可動側部材の固定側部材に対する相対的位置を非接触にて検知することにより、船外機がチルト位置に達したことを検知し得る検知センサと、可動側部材の固定側部材に対する相対的位置のうち検知センサが検知すべき位置を調整し得る検知位置調整手段とを具備し、固定側部材又は可動側部材の何れか一方に境界線を境としてS極及びN極に着磁された磁石を具備させるとともに、当該固定側部材又は可動側部材の何れか他方に磁石からの磁力がS極とN極とで切り替わる位置を検知し得る磁力検知手段を具備させ、当該磁石及び磁力検知手段にて検知センサが構成されたチルト位置検知装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等としてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 固定側部材
2 可動側部材
3 本体部
3c 目印(検知位置調整手段)
4 バンド状部材
5 樹脂部
6 固定手段
7 カラー
8 ステー
9 本体部
10 基板
11 ホールIC
12 インテリジェントパワーデバイス
13 半導体デバイス
14 温度保護回路
15 過電流制限回路
K 船外機
L トリム軸
E 目印(検知位置調整手段)
M モータ(駆動源)
図1
図2
図3
図4
図5
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