【実施例】
【0009】
(テーブル部分、及び、支柱部分)
図1及びその背面図である
図2は、昇降テーブルの一種であるオーバーベッドテーブル1において、オーバーベッドテーブル1の両側にはテーブル昇降レバー兼キャスター操作レバー21が配置され、従来、この操作レバー21はテーブル昇降レバーであって、操作レバー21が装置内のバネ等によって下がっている場合は、テーブル部11の高さは固定され、操作レバー21を挙げることによってテーブル部11の上下に移動可能になり、適宜の高さに調整して操作レバーを離せば、操作レバー21は自動的に下がって、テーブル部11を所定の高さに固定する。このテーブル昇降機構は前掲特許文献4等に示されるように、公知の機構を採用しており、この昇降機構の説明は省略する。
また、この操作レバー21はキャスター操作部2を構成しているが、これを詳細に説明する。
図1及びその背面図である
図2において、操作レバー21を降
ろして(図の実線)、オーバーベッドテーブル1のテーブル部11の上下方向での所定位置に固定され、双輪キャスターのロック状態である全体を示す図である。
【0010】
図3及びその背面図である
図4は、テーブル昇降操作兼用のキャスター操作部2の操作レバー21を挙げて(
図3:実線)、テーブル部11の上下移動可能な状態で、かつ、双輪キャスターをロック解除状態にしてオーバーベッドテーブル1が移動可能状態である全体を示す図で、
図5は、オーバーベッドテーブル1のテーブル部11を下降させて双輪キャスターをロック状態
にした全体を示す図である。
これらの図に示すように、オーバーベッドテーブル1は、病院等のベッドD上には、ベッドDを挟んで配置され、このオーバーベッドテーブル1は、主に上部のテーブル部11とこれを支える一対の支柱部12(12a,12b)とそれに対応する脚部13(13a,13b)とから構成されている。
テーブル部11の上面は平坦で水平に保たれ、食事等に使用されるようになっており、このテーブル部11は1対の伸縮自在な支柱部12で両端支持され、この一対の支柱部12は、通常、ベッドD上に位置するテーブル部11の高さを調整するため、伸縮自在になっており、高さ調節レバーでもある操作レバー21によって、支柱部12の長さを調整している。
支柱部12は、上部の四角柱のテーブル支持部122と、この支持部122の内側に嵌合しスライドする小径四角柱の基礎部123からなり、テーブル部11の高さ調節レバーでもある操作レバー21によって支持部122への基礎部123の嵌合度合い、つまりテーブル部11の高さ調整するようになっている。
また、テーブル部11の縁の全周には、テーブル部11よりも多少高い縁部111(
図7のhを参照)が設けら
れ、テーブルが多少揺れて容器から液体が溢れても、テーブル部11の縁部111の全周を高くしてあるので、液体がテーブルにこぼれてもテーブルから垂れることがない。もっとも、これらの必要がなければ完全に平坦であってもよいことは言うまでもない。
【0011】
この基礎部123は、脚部13に設けられた支柱固定部材131で固定する。この支柱固定部材131は、使用するオーバーベッドテーブル1の各種の支柱部12の形状に合わせて適宜設計すればよく、通常、多くのオーバーベッドテーブルに適用可能とすることができる。
また、
図1に示すように、この支柱固定部材131はキャスター取付枠本体132,132a,132bから外側に突出しているが、これは支柱固定部材131をベッドDの外側に配置するものの、キャスター取付枠本体132,132a,132bはベッドDの下側に位置するように配置し、なるべくベッドDの外側に突出しないようにして、使用者がつまずかないようにしている。
一対の脚部13は、それに対応する支柱部12(12a,12b)とテーブル部11によって連結され、各脚部13は、それぞれキャスター取付枠本体132a,132bとから構成され、脚部13a(
図1参照)のキャスター取付枠本体132aの両端近傍には双輪キャスター4a,4bが取り付けられ、脚部13b(
図1参照)のキャスター取付枠本体132bの両端近傍にも双輪キャスター4c,4dが取り付けられ、オーバーベッドテーブル1の移動の際には、双輪キャスター4a〜dの全てがロック解除状態となり、ロック状態ではその場所に固定されてオーバーベッドテーブル1が移動や転倒しないような形状をしている。
【0012】
(ワイヤー収納機構)
図6、
図7に示すように、テーブル部11の両サイドの適所には、テーブル昇降操作兼用のキャスター操作レバー21が設けられている。この操作レバー21は、患者や看護師等が操作し易いテーブル部11の周辺の外側の適宜の位置がよい。
図7に示すように、
厚さのあるテーブル部11
内は天板部・側部・底部に囲まれた中空部112が形成され、操作ワイヤー31や分岐ワイヤー33等の操作伝達ワイヤー30(31,33)とワイヤー分岐盤32を収納するワイヤー収納機構14が設けられ、このワイヤー収納機構14のほぼ中央には、1本の操作ワイヤー31を4本の分岐ワイヤー33に分岐するワイヤー分岐盤32が設けられ、このワイヤー分岐盤32の一方はキャスター操作部2に
図7の点線Cのような状態で操作ワイヤー31によって接続し、他方は4本の分岐ワイヤー33と接続している。
なお、本実施例ではテーブル昇降操作兼用のキャスター操作部は
図6では右側の操作レバー21にしたが、左右の操作レバーをリンク機構等で連結して、片方を操作すると両方が操作されるようにして、上記操作ワイヤー31を左右どちらかの操作レバー21に連結するようにしている。また、キャスター操作レバーは左右どちらかに限定して作動するようにしてもよい。サイドベッドテーブルの場合は操作レバーは一カ所
であるので、その操作レバーをテーブル昇降兼用のキャスター操作レバーとすれば良い。
【0013】
分岐ワイヤー33は、双輪キャスター4a、4bに接続する2本の分岐ワイヤー33a,33bと、双輪キャスター4c、4dに接続する2本の分岐ワイヤー33c,33dとに分かれ、それぞれ、テーブル支柱部12,12a,12b内に収納されているワイヤー案内部を形成する伸縮パイプ15へ連なるワイヤー案内孔151に挿入されている。
前記伸縮パイプ15は、上部のやや直径が大きい中空の上部パイプ15aと、下部のやや直径が小さい中空の下部パイプ15bとから構成され、下部パイプ15bを上部パイプ15aの中空内側孔に挿入し、上下にスライド可能とし、上部パイプ15aの上端をテーブル部11の底部に固定し、下部パイプ15bの下端を脚部13の上面に固定し、この中空部分に2本の分岐ワイヤー33を挿入案内している。なお、上部パイプ15aの上端は、テーブル部11のワイヤー案内孔151との接合近傍は弛緩する分岐ワイヤ33の出入が容易となるように、湾曲状の案内部(図示せず)を設けている。
2組み分岐ワイヤー(33a,33b)と(33c,33d)は、テーブル部11の昇降に伴い弛緩と弛緩の無い状態を繰り返すが、テーブル部11が下降した場合は、
図7の実線Aのような状態になり、弛緩した部分を中空部112で収納し、テーブル部11が上昇した場合は、
図7の一点鎖線Bのような状態になり、ほぼ弛緩しない状態の分岐ワイヤーを貯留する。なお、中空部112の適所には、分岐ワイヤー33が弛緩する際にスムースに湾曲するように案内壁141が適所に配置されている。
【0014】
ワイヤー案内部を形成する伸縮パイプ15は、テーブル部11の昇降に伴う伸縮するテーブル支柱部12の内部に収納されているが、且つ、テーブル支柱部12に平行に設けられ、その高さは伸縮するテーブル支柱部12と同期して同じ高さ(長さ)である。勿論、この伸縮パイプ15は、要は、テーブルの昇降に伴う分岐ワイヤー33がテーブル支柱部付近で弛緩することがなく、絡まることもなく操作がスムースであればよい。
テーブル部11のキャスター操作部2からのワイヤー分岐盤32で4つに分岐され、更に、2組み分岐ワイヤー(33a,33b)と(33c,33d)とに分かれ、それぞれ伸縮パイプ15(15a,15b)に挿入され、
図8に示すように、伸縮パイプ15の下端のワイヤー連通用貫通孔134a,134bから脚部13(13a,13b)
に導かれ、双輪キャスター4a〜dに接続される。
ところで、キャスター操作部2をテーブル部11に設けることによって、ワイヤー分岐盤32をテーブル部11の中空部112に自由位置に固定することができるので、各双輪キャスター4a〜dまでの分岐ワイヤー33の長さがほぼ等しくでき、双輪キャスターのロック及びロック解除作動を均一に働かせることができる。
【0015】
このテーブル部11上のキャスターレバー21を操作することにより、詳細には後述するが、インナーワイヤーとアウターワイヤーの同軸ワイヤーを用いた操作伝達機構3を介し、4個の双輪キャスター4のそれぞれの車輪ロック機構5を操作する。この操作用のワイヤーは、自転車等のブレーキワイヤーと同等のもので、芯のインナーワイヤーとこれを被覆し両端を固定するアウターワイヤーからなるもので、大凡、この際にキャスター操作部2のテーブル昇降操作兼用のキャスター操作レバー21を引き挙げることにより(
図10)、インナーワイヤーを引っ張り双輪キャスター4の車輪ロック機構5のロックを解除し、逆に、
通常は操作レバー21を昇降機構やキャスターロック機構のバネ等で下げ(
図9)て車輪ロック機構5のバネによりロックする。
【0016】
(テーブル昇降操作兼用のキャスター操作部)
以下の操作構造の詳細を説明する。
図1及び
図2は、キャスター操作部2で4個の双輪キャスターをロック状態にした外観斜視図で、
図3及び
図4が解除状態にした外観斜視図であるが、このテーブル昇降操作兼用のキャスター操作部2を詳細に説明する。
先ず、4個の双輪キャスターのロックを解除した状態の
図3及び
図4について、その機構概略を示す
図10を参照して説明すると、キャスター操作部2は主に操作レバー21、回動軸22、テーブル昇降機構23、昇降機構操作片25、テーブルワイヤー移動腕24、ワイヤー末端係止部241、および、テーブル部11の底面に設けられた操作部固定枠17及びワイヤー被覆(外周)係止部171から構成されている。
図9において、操作レバー21は回動軸
22を中心に回動するが、通常は、操作レバー21を昇降機構のバネや、キャスターロック機構のバネ力がワイヤー31によって
図7の貫通孔172からワイヤー分岐盤32、各分岐ワイヤー33を介して
図9で右方向に引っ張られ、その結果、操作レバー21は反時計回りに回動して下げ(
図9)られた状態になり、車輪ロック機構5のバネによりロックし、テーブル部11も公知技術のテーブル昇降機構23により固定されている。
【0017】
看護師や患者が、オ
ーバーベッドテーブル1のテーブル部11の高さを調整したい場合や、オ
ーバーベッドテーブル1を移動したい場合は、
図10に示すように、操作レバー21を上方に挙げることにより行われる。
図10において、テーブル昇降兼用のキャスターロック操作部2の操作レバー21を挙げると、操作レバー21の反対側の昇降機構操作片25がテーブル昇降機構23を操作してテーブル
部11の調整が可能となるとともに、操作レバー21は昇降機構やキャスターロック機構のバネの力に抗して、貫通孔172からワイヤー分岐盤32、各分岐ワイヤー33を介してワイヤー31を図で左向に引っ張り、その結果、操作レバー21は時計回りに回動し
た(図10)状態になり、車輪ロック機構5のバネに抗してロックを解除し、テーブル部11も公知技術のテーブル昇降機構23により移動を可能状態にする。
【0018】
(操作伝達機構)
操作伝達機構3は、
図11で示すように、芯のインナーワイヤーと同軸で被覆部でもあるアウターワイヤーとからなる同軸の所謂ロックワイヤーを用いたもので、主に操作ワイヤー31とワイヤー分岐盤32と4本の分岐ワイヤー33とから構成される。
前述したキャスター操作部2に取り付けられる操作ワイヤー31は、その末端部Aの拡大図の
図12に示すように、芯のインナーワイヤー312、それを覆うアウターワイヤーである被覆部313とからなり、インナーワイヤー312の先端には円柱状の所謂タイコと呼ばれる末端部311が設けられ、被覆部313の先端には取付固定部314が設けられ、インナーワイヤー312が取付固定部314に対して、末端部311が進退可能に構成され、他方の末端部316(
図14参照)はワイヤー分岐盤32のスライダー322(
図14参照)に接続される。
ワイヤー分岐盤32からの4本の分岐ワイヤー33の長さはほぼ等しく、その1本の
図11での末端部Bの拡大図である
図13(a)の側面図とその上面図の
図13(b)に示すように、芯のインナーワイヤー332、それを覆う被覆部333からなり、ワイヤー332の先端には中心に係合孔を有する末端部331が設けられ、被覆部333の先端には取付固定部334が設けられ、インナーワイヤー332が取付固定部334に対して、末端部331が進退可能に構成され、他の末端はワイヤー分岐盤32に接続される。
【0019】
ワイヤー分岐機構のワイヤー分岐盤32は、
図14(a)(b)に示すように、操作ワイヤー31と4本の分岐ワイヤー33を接続するもので、
図14(a)のワイヤー分岐盤32の蓋321(
図14(b))を開けた内部は、スライダー322が左右移動可能に収納されている。ワイヤー分岐盤32の操作ワイヤー31側の側板323に操作ワイヤー31の取付固定部315を取り付け、前記スライダー322の操作ワイヤー31側にはワイヤーの末端部316の嵌合部3221が設けられ末端部316を嵌合する。
また、ワイヤー分岐盤32の4本の分岐ワイヤー33側の側板324に分岐ワイヤー33の取付固定部335を取り付け、前記スライダー322の分岐ワイヤー33側には4本のワイヤーの末端部336の嵌合部3222が設けられ末端部336を嵌合する。このようにして、操作ワイヤー31の端末部316が引っ張られると、スライダー322が側板323側に移動(
図14(a):右方向)するが、スライダー322に嵌合される4個の末端部336も一括して側板324から離れるように移動(
図14(a):右方向)する。
【0020】
図15(a)の
図14(a)でのa−a線断面図、
図15(b)の
図14(a)でのc−c線断面図に示すように、このスライダー322は4本のインナーワイヤーの末端部336の移動距離が同じでなければ、正確に4個の双輪キャスター4をロックすることができない。このため、スライダー322の上面の移動方向に平行な山部3223が複数設けられ、
図14(b)の蓋321を嵌め込んだ側面図に示すように、山部3223を左右方向に案内する案内溝3211を蓋321に設けて、正確にスライダー322がワイヤー軸線に対して平行移動するようにしている。勿論、この逆に、平行な山部を蓋321に設け、対応する案内溝をスライダーに設けてもよい。なお、蓋321の嵌合側面には固定凸部3212はワイヤー分岐盤32の内壁に挿入固定するためのものである。
したがって、スライダー322をインナーワイヤー312,332の前進後退方向と平行に移動させるための平行進退移動手段として、ワイヤー分岐盤32の内側の両側壁は勿論こと、これだけでは、平行移動には不十分であるので、スライダー322の上面には平行な山部3223が複数設けられ、蓋321側にも山部3223を左右方向に案内する案内溝3211が設けられている。
【0021】
このように、操作ワイヤー31の進退移動がワイヤー分岐盤32を介して4本の分岐ワイヤー33に伝達される。また、操作伝達に同軸ワイヤーを用いたので、
図8に示すように、オーバーベッドテーブル1の脚部13の4個の双輪キャスター4の位置を自由に設定でき、また、リンク機構の組み合わせや、前掲特許文献1のようなテーブル全体を浮かせるための接地部材とは異なり、構造も簡単で
製作費も安価で、保守も容易になる。更に、1本の操作ワイヤー31を4本に分岐して用いているので、極めて簡単な構成で4個のキャスターを同時に正確にロック状態及びロック解除状態にでき、ワイヤー分岐盤32も薄く扁平に成形できるので、ワイヤー分岐機構の高さも低く薄くできるので、オーバーベッドテーブル1の中空部112内に収納でき、或いは、テーブル部11の底部に取り付けることもできる。
言い換えれば、キャスター操作部2からの1本の操作ワイヤー31を4本の分岐ワイヤー33に分岐して4個の車輪ロック機構5であるキャスター操作機構に接続し、1本の操作ワイヤー31のインナーワイヤー312の前進/後退を4本の分岐ワイヤー33のインナーワイヤー332の前進/後退に伝達しており、4本の分岐ワイヤー33に分岐するためにワイヤー分岐機構としてワイヤー分岐盤32を設け、ワイヤー分岐盤32には4本の端末部331を並列にして固定するスライダー322を設けて、スライダー322をインナーワイヤー312,332の前進後退方向とて正確に平行に移動伝達できる。
【0022】
(双輪キャスターの配置)
前述した
図8は、オーバーベッドテーブル1の脚部13の裏面の平面図で、ベッドDを挟んで一対のキャスター取付枠本体132a,b及び一対の双輪キャスター4(4a,4b,4c,4d)が取り付けられ、本実施例ではキャスター取付枠本体132a,bはベッドD側に引き込まれるように配置されている。
これらのキャスター4の外観概略は、
図16に示すようなもので、キャスター4の構成の詳細は後述するが、キャスター操作機構である車輪ロック機構5のロック機構枠体51の両側に一対の車輪41A、41Bがそれぞれ回転可能に軸支されており、ロック機構枠体51の上面には、キャスター4が取付枠に対して旋回可能に軸支するための旋回支持部52が設けられ、旋回支持部52の軸心Xと同軸に、上下動するノック部材531が設けられており、ノック部材531を押圧バネ543により押し上げられると双輪キャスター4がロックされ車輪41は回転することができない。逆に、ノック部材531の押し上げを解除して下方に押し下げると、双輪キャスター4の内歯車45への歯部542が離反しロックが解除され、双輪が自由に回転することができる。
ところで、本実施例で使用する双輪キャスター4(4a,4b,4c,4d)は、双輪の巾が単輪よりも広いので、単輪キャスターに比べて走行安定性があり、また、双輪の回転をロックすると進行方向は勿論のこと、双輪の巾が広いことから旋回阻止できる。
したがって、本実施例のように、4箇所のキャスターをロックしようとした場合は、仮に、4箇所のうち一箇所のキャスターのロック機構が不完全、或いは、破損した場合でも、オーバーベッドテーブルを確実に固定及び解除できる。
【0023】
(キャスターの車輪部)
上述した双輪キャスター4の車輪部41を説明するが、
図16に示すように、4個のそれぞれの双輪キャスター4の両側に1個ずつ車輪部41(41A,41B)が配置され、その内の片方の車輪部41は、
図17に示すように、車輪軸42は、車輪ロック機構5(
図18参照)の車輪軸受部511に回転自在に軸支され、車輪部41の車輪軸固定部43に軸支される(車輪軸固定部43は、車輪を回転自在に軸支する構成でもよい。)。車輪部41の外輪44はゴム製で振動を吸収し走行を滑らかにし雑音を軽減するとともに、床へのグリップを強くしている。
また、双輪キャスター4の車輪部41の内側の外輪44近傍には、車輪軸と同軸心の内歯車45が形成され、後述するロック歯部542が押圧バネ543により上昇した際には、内歯車45に歯部542が噛み合い車輪部41の回転を阻止する。
【0024】
(キャスターの車輪ロック機構)
本実施例のキャスターは、
図16でも説明したように、車輪ロック機構5のロック機構枠体51を挟んで、所定の間隔を持った車輪41A,41Bの双輪キャスターであり、移動時には単輪キャスターに比べて走行に安定性がある。また、車輪41(41A,41B)の両車輪(双輪)がロックすると走行が出来なくなり、キャスターの旋回も制限されて、更に、本実施例のように、オーバーベッドテーブル1の一対の脚部13の枠体132の両端の2箇所の双輪キャスター4a,4b、及び、双輪キャスター4c,4dの各車輪41A,41Bが固定されると、キャスター4自体の旋回を固定しなくても、車輪の回転の固定だけでオーバーベッドテーブル1は、ほぼ完全に固定されることを見出し、この知見を基礎とするものである。
【0025】
先ず、上記のキャスター取付枠本体132に配置する双輪キャスター(4a〜4d)の車輪ロック機構5について、
図18乃至
図23に沿って更に詳しく説明する。
図18は、キャスターロック状態の図で、ノック部材531が、分岐ワイヤー33が弛緩し、コイルバネ567によりスライダーカム56が図で左側に移動し、ノック部53が上方に上がった状態の図であり、
図18(a)は車輪ロック機構5の横断面図で、
図18(b)は
図18(a)の側断面図である。また、
図19は、
図19(a)のa−a線での断面図であり、歯部542が双輪キャスター4の内歯車45に嵌合してロックした状態の図である。
図20は、歯部542を内歯車45から離反させて、双輪キャスター4のロック解除状態の図で、ノック部材531が分岐ワイヤー33により引っ張られ、コイルバネ567の引張力に抗してスライダーカム56が図で右側に移動し、また、キャスター内部の押圧バネ543に抗して、歯部542が下った状態の図、即ち、キャスターのロック解除状態の図で、
図21は
図20(a)の上方からの平面図である。
【0026】
図18(a)(b)は、オーバーベッドテーブル1の通常の状態、すなわち、
図1(
図2,
図5,
9図)で操作レバー21を下げて双輪キャスター4をロック状態にした図で、車輪ロック機構5の枠体51内には、キャスター取付金具55に対して双輪キャスター4が旋回可能なように旋回支持部52が軸支され、旋回支持部52の内側に上下動するノック部53が設けられ、ノック部53に続いて車輪歯噛合ロック部54が押圧バネ543を介して連結されている。車輪歯噛合ロック部54は、ノック部材531を上下動させるスライダーカム56のカム面561によって、歯部542が押圧バネ543の押圧力によってノック部53が上昇している状態では、歯部542も上昇していて、この歯部542が車輪部41の内側の内歯車45に嵌合して、車輪41A,41Bの回転を阻止し、双輪キャスター4をロック状態となる。
【0027】
ここで、各部の構成を更に詳細に説明するが、先ず、ロック機構枠体51はプラスチックで成型されたもので、
図18に示すように、中心に車輪軸受部511が設けられ、枠体51の左側には、旋回支持部52(ノック部53)を挿入する円筒型の嵌合部512と収納部513が配置され、嵌合部512のキャスター取付金具55に近接する部分は双輪キャスター4の旋回をスムーズにするために突出輪514が設けられ、前記車輪軸受部511の上側には上下動する車輪歯噛合ロック部54及び押圧バネ543を収納する収納部515が配置されている。この収納部515を含めた双輪キャスター4の嵌合部512と旋回支持部52とを回動自在に強固に支持するが、旋回支持部52はキャスター取付金具55側に強固に固着している。
また、収納部513は下側面及び片側面が開放口となっており(必要に応じて、防塵のための蓋部を設けてもよい。)、これは組み立て作業で、キャスター取付金具55に固着される旋回支持部52を嵌合部512に回動自在に、旋回補助ワッシャー523及び止め金具(固定スナップリング)524を取り付ける際のためのものである。
旋回支持部52を嵌合部512に挿入した後、旋回支持部52の下部末端には、旋回補助ワッシャー523を挿入し、旋回支持部52の下端に設けられた止め金具(スナップリング)用の固定円周溝525に、旋回支持部52を固定するためスナップリング524を係止して、旋回支持部52からロック機構枠体51
が抜け落ちないようにしている。
【0028】
更に、ノック部53のノック部材531の下端部に車輪歯噛合ロック部54の基部541を取り付けるが、この基部541は
図18に示すが、車輪軸42を囲むようにコの字状(或いは、反対側から見れば逆コの字状)であり、下部水平部5411と上部水平部5412とこれを連結する連結部5413とから構成され、下部水平部5411の上面はノック部材531の下部先端部533により押圧され、又は解除(
図20では解除)される受圧部を有し、上部水平部5412は歯部542が固着されるとともに、外方に拡がるように押し圧するバネ543の上端部に係合する上部バネ係合部544を有する。なお、押圧バネ543の下端部はロック機構枠体51側に設けた下部バネ係合部545に係合し、常に、上部水平部5412の下面の上部バネ係合部544を上方に押圧している。
【0029】
(旋回支持部及びノック部)
次に、
図18での嵌合部512と旋回支持部52とノック部材531について説明する。
旋回支持部52の固定支持筒部材521は金属製の円筒(パイプ)で、その上端部を金属のキャスター取付金具55の底板554に取付縁部522の上端を溶接等で固着する。ここで、双輪キャスター4の旋回とは、
図16に示されるように、通常の双輪キャスター4の接地箇所X2の垂直線とノック部材531の軸心の接地箇所X1とが偏心することによって、オーバーベッドテーブル1を移動させる際に、自動的に双輪キャスター4の進行方向が移動方向に向くようにしたものであるが、当然、双輪キャスター4がロック状態では、双輪キャスター4が回動しないことによって旋回は阻止されるが、逆に、オーバーベッドテーブル1の移動時のロック状態で無い場合には自由に旋回させなければならない。そのため、旋回支持部52とキャスター取付金具55の底板554との間に突出輪514を介在させて、ロック機構枠体51の上面での旋回をスムーズにさせるようにしてある。
旋回支持部52は、キャスターの旋回軸を構成するとともに、ノック部材531を嵌合して収納するが、このノック部53は旋回支持部52の同心上の嵌合部512に上下動が自在に嵌合されている。
【0030】
(車輪歯噛合ロック部)
基部541は、
図22に示すように、基部541の断面コの字状(反対側からは、逆コの字状)の上部水平部5412の下面の(
図21での)中央部分には、押圧バネ543の上端を係止する上部バネ係合部544を設け、さらに、双輪キャスター4の一対の車輪部41の各内歯車45に嵌合するように左右に一対の2本の歯部542a,bが固着してあり、外側に拡がるような押圧する押圧バネ543で、常に上方に押し上げる構成になっている。
したがって、車輪歯噛合ロック部54の歯部542a,bは、
図17、
図19に示すように、ノック部材531の規制がなければ、常に、押圧バネ543によって上側に押圧され上昇するようになっており、オーバーベッドテーブル1をベッド近傍に設置した通常の場合は、歯部542a,bは押圧バネ543によって各双輪キャスター4の内歯車45に嵌合して、双輪キャスター4の回転を阻止し、ロック状態になりオーバーベッドテーブル1の移動を不可能にしている。
なお、車輪歯噛合ロック部54の上下動は、ロック機構枠体51に設けた車輪歯噛合ロック部54の収納部の案内溝516の側壁に沿って降下・上昇する。
また、双輪キャスター4の車輪部41の内側の外輪44近傍には、車輪軸42に同心の内歯車45が形成され、歯部542a,bが上昇した際には、内歯車45に歯部542が噛み合い車輪部41の回転を阻止する。
【0031】
(キャスター取付金具とスライダーカム)
図20乃至
図23におけるキャスター取付金具55とノック部材531を操作するスライダーカム56について説明する。
端末操作部3の操作レバー21(
図9,10を参照)を上方に挙げる操作によって、操作ワイヤー31が引っ張られ、ワイヤー分岐盤32(
図14を参照)によって4本の分岐ワイヤー33も引っ張られる。更に、この各分岐ワイヤー33a,33b,33c,33dのインナーワイヤー332が引っ張られるが、これをノック部53の動きに変換するのがキャスター取付金具55に装着されたスライダー状のカム機構を有したスライダーカム56である。
このスライダーカム56は、主に、
図23に示すように、全体形状は扁平で下面が傾斜するカム面561が設けられ、スライダーカム56が移動する方向の一端には分岐ワイヤー33の末端部331を接続し、キャスター取付金具55の前板551(
図21参照)に取付固定部334を装着し、操作ワイヤー31及び分岐ワイヤー33(33a,33b,33c,33d:
図11,14を参照)に引っ張られることにより、全体として水平移動するようにしている。
図20、
図21、
図23に示すように、中心部にはスライダーカム56の水平上面563に平行して案内長孔564が設けられ、この案内長孔564にはキャスター取付金具55の両側板552に固定された案内軸565が嵌合している。
【0032】
係止部562とは反対側の係止部566には縮む方向のコイルバネ567の一端が係止され、コイルバネ567の他端はキャスター取付金具55の背板553の係止部568に係止され、このコイルバネ567は操作ワイヤー31及び分岐ワイヤー33が弛緩された状態では、スライダーカム56を
図21の位置に戻すようにしている。また、
図24、
図26に示すように、案内軸565の軸線はノック部材531の上部先端部532の軸線と交わるようにしている。
なお、
図21において、キャスター取付金具55(全4個)の両側板552には枠体取付部555が設けられ、キャスター付き枠体132a,bの両端部に、ボルト孔556にボルト(図示せず)等を挿入して固着する。
【0033】
したがって、スライダーカム56のカム面561にノック部材531の上部先端部532が接触するようになっているが、分岐ワイヤー33が引っ張られているロック解除状態では、
図20、
図23に示すように、カム面561は左側から右側にかけて移動するようになっているので、最も下の位置である最下点5611にあり、ノック部材531を下方に押し下げた状態になる。
逆に、
図18、
図19に示すように、操作ワイヤー31及び分岐ワイヤー33が弛緩された状態では、コイルバネ567により、スライダーカム56は、
図18、
図19のように左側に移動し、カム面561は最も高い位置である最上点5612にあり、歯部542の押圧バネ543の作用により、ノック部材531の上部先端部532も上昇し、歯部542も上昇して、双輪キャスター4の内歯車45に嵌合し、双輪キャスター4をロック状態にする。
この扁平のスライダーカム56は、カム面561の最下点5611から最上点5612がノック部材531の上部先端部532を移動するように作動するが、スライダーカム56の分岐ワイヤー33の末端部331の移動距離Z(
図18参照)は、カム面561の最下点5611から最上点5612の距離Y(
図23参照)とほぼ同じとなる。
したがって、カム面561の傾斜角度により、最下点5611から最上点5612の距離が変えられるので、キャスター取付金具55の高さを低くしたままで、分岐ワイヤー33の移動距離(ストローク)に合わせることができる。
【0034】
(キャスターのロック及びロック解除の作動)
本実施例のオーバーベッドテーブル1を固定する末端操作装置は、以上のような構成であるので、大凡、次のように作動する。
オーバーベッドテーブル1の脚部13に設けたキャスター4のロック解除の操作レバー21(テーブル昇降操作兼用)は、
図1(
図2,
図5)に示すように、通常の設置状態では、キャスター4がロックされ、オーバーベッドテーブル1を移動する際には、
図3(
図4)に示すように、解除維持のための操作レバー21を上方に持ち上げ、キャスター4のロックを解除する。
オーバーベッドテーブル1のキャスター4を元のロック状態
にし、テーブル部11の高さを固定するには、操作レバー21を手から離せば、テーブル昇降機構23内のバネやキャスター4内のロック機構によるワイヤーの引張力のバネにより、自然に操作レバー21は下降するとともにテーブル部11は固定
し双輪キャスター4のロック状態になる。
【0035】
[双輪キャスターのロック状態]
双輪キャスター4のロック状態は
図18に示したような状態である。
オーバーベッドテーブル1をベッドの近傍に配置した通常の状態で、操作レバー21が自動的に下方に位置する(
図9参照)。
分岐ワイヤー33は結果的にキャスター内の押圧バネ543によって歯部542をキャスターの内歯車45に嵌合させるとともに、押圧バネ543にノック部材531も上方にあり、分岐ワイヤー33も弛緩状態にある。この場合の状態は長時間に亘るが、操作レバー21がワイヤー31を常に引っ張る状態に維持する必要がないので、各ワイヤーは緊張状態にはなく(弛緩状態)、経年でワイヤーが伸びるようなことがなく、装置の保守も容易になる。
[双輪キャスターのロック解除状態]
双輪キャスターのロック解除状態は図
20に示したような状態である。
この場合には、オーバーベッドテーブル1を移動する状態で、操作レバー21を挙げて、操作ワイヤー31を引っ張り上げて緊張状態にし、分岐ワイヤー33によってノック部材531を下方に押し下げ、結果的にキャスター内の押圧バネ543に抗し、歯部542をキャスターの内歯車45から開放する。したがって、操作レバー21が挙がっている状態では、双輪キャスターのロック解除状態にあり、オーバーベッドテーブル1は移動可能となる。
【0036】
本実施例は以上の説明したような構成であるので、オーバーベッドテーブルやベッドサイドテーブルのような昇降テーブルにおいて、テーブル昇降操作レバーとキャスターのロック/解除操作レバーとを一体として操作を単純にし、かつ、キャスターが4個のテーブルにあってはキャスターのロック/解除を一括操作レバーを用いて操作を一回で完結する。
このように、一回の操作でオーバーベッドテーブル1の全てのキャスター4をロック状態及び解除状態にでき、従来のように各キャスター毎にロックをする必要がなく、特に、忙しい看護師や使用者の労力を軽減すことができ、テーブル部11にテーブル昇降操作兼用のキャスター操作部2を設けたので、患者や看護師が簡単にテーブル昇降操作とキャスターロック・解除操作を一回の操作で終えることができる。
また、これらの操作レバー21をテーブル部11の両サイドのやや下部に設けたので食事や医療行為の邪魔になることがない。
更に、テーブルが多少揺れて容器から液体が溢れて
テーブルにこぼれても、テーブル部11の縁部111の全周を高くしてあるので(
図7のhを参照)、液体
がテーブルから垂れることがない。
【0037】
更に、操作伝達ワイヤー30を用いた操作伝達機構3としたので、これまでのリンク機構の組み合わせと異なり、構造も簡単で
製作費も安価で、部品点数が少ないこといから保守も容易になり、1本の操作ワイヤー31を4本に分岐して用いているので、極めて簡単な構成で4個のキャスターを同時に正確にロック状態及び解除状態にでき、ワイヤー分岐機構の高さも小さく薄くできるので、中空部112の高さを薄くすることができる。
また、テーブル部11の昇降に伴う分岐ワイヤー33の弛緩を吸収するために大きなスペースを必要とするが、この収納部(貯留部)をテーブルの下に設けたので、全体としてコンパクトになり、デザイン的にも制約がなくスッキリとしたデザインが可能となり、各キャスターまでの分岐ワイヤー33の長さがほぼ等しくでき、キャスターのロック及びロック解除作動が均一に働かせることが可能となる。
【0038】
また、テーブル支柱部にワイヤー案内部となる伸縮パイプ15を設けたので、テーブル部11の昇降に伴う分岐ワイヤー33がテーブル支柱部122近辺で弛緩することがなく、また、外部に露出することもないので、絡まることがなく操作がスムースであり、スッキリとしたデザインが可能となる。
更に、キャスター操作部からの1本の操作ワイヤー31を4本の分岐ワイヤー33に分岐して4個の前記車輪ロック機構5に接続し、前記1本の操作ワイヤー31のインナーワイヤーによる進退移動を、前記4本の分岐ワイヤー33のインナーワイヤーによる進退移動として伝達したので、複雑な機構を用いずに、全てのキャスターを同時にロック状態及び解除状態にできる。
なお、本発明の特徴を損なうものでなければ、上記の実施例に限定されるものでないことは勿論である。