(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態1のLED点灯装置110の回路図である。
LED点灯装置110は、
(1)交流電源ACが入力される入力フィルタ回路1と、
(2)入力フィルタ回路1に接続され、入力される交流電源を全波整流する整流回路60と、
(3)整流回路60に接続され、整流回路60の出力電圧を入力し、この出力電圧よりも高い電圧に昇圧するとともに、力率を改善する力率改善回路70(整流電圧変換回路)と、
(4)力率改善回路70に接続され、力率改善回路70が出力するチョッパ出力電圧を平滑する平滑コンデンサ9と、
(5)平滑コンデンサ9に接続され、接続されるLEDモジュール200に電力を供給する点灯回路2と、
(6)点灯回路2の出力端子に接続され、LEDモジュール200のLEDの直列接続個数を判別する接続数判別回路3(接続数検出部)と、接続数判別回路3に接続され、力率改善回路70が出力するチョッパ出力電圧を設定する出力設定部4−1(制御部)と、を備える。
【0010】
入力フィルタ回路1は、インダクタ(図示しない)、コンデンサ(図示しない)で構成されるノイズフィルタで、ノイズの除去を行う回路である。
【0011】
整流回路60は、4つのダイオード5〜8により構成され、電源電圧を全波整流する回路である。
【0012】
力率改善回路70は、インダクタ20、ダイオード21、FET22、制御IC23、抵抗24〜25により構成されるチョッパ方式の回路である。制御IC23は、抵抗24〜25の分圧値を監視することにより、チョッパ出力を一定に制御する。
【0013】
平滑コンデンサ9は、力率改善回路70が出力するチョッパ出力電圧を平滑する。
【0014】
点灯回路2は、LEDモジュール200のLED10〜13に直流電流を流す回路であり、例えば、バックコンバータ方式やハーフブリッジ方式が用いられる。点灯回路2には、LEDモジュール200が着脱可能に接続される。すなわち、点灯回路2には、LEDモジュール200として、LEDの直列接続の個数が10個あるいは20個等のように、LED接続個数の異なる各種のLEDモジュールが接続可能である。例えばLED10個のLEDモジュール200を、LED20個のLEDモジュール200に交換して使用されることを前提とする。
【0015】
LED点灯装置110に接続されるLEDモジュール200は、直列に接続されたLED10〜13により構成され、点灯回路2から出力される直流電流により点灯する。なお、
図1では、LEDの直列数は例として4個の場合を図示しているが、任意の数のLEDが直列接続しても構わないことは明らかである。
【0016】
接続数判別回路3は接続されたLED数を検出する。
【0017】
この実施の形態1の接続数判別回路3は、抵抗40と抵抗41とからなり、この抵抗40、抵抗41により、接続されたLEDの順方向電圧の総和を検出するものである。より具体的には、抵抗40、抵抗41は、接続するLEDの順方向電圧の総和を分圧した分圧電圧(接続数相当値)を検出する。出力設定部4−1のテーブル410は、この検出される分圧電圧を基準に作成される。
【0018】
出力設定部4−1は、力率改善回路70の昇圧チョッパの出力電圧を設定する。
【0019】
次に、LED点灯装置110の回路動作について説明する。
図2は、LEDモジュール200おいて直列接続されたLED数と、力率改善回路70が出力する出力電圧との関係を示すグラフである。
【0020】
LED点灯装置110に交流電源ACが投入されると、入力フィルタ回路1、整流回路60、力率改善回路70、平滑コンデンサ9、点灯回路2を介して、LEDモジュール200に電力が供給される。
【0021】
まず、力率改善回路70の動作が開始され、力率改善回路70は、所定の出力電圧(例えば、400V)を出力し、この出力電圧は平滑コンデンサ9で平滑される。
【0022】
次に、平滑コンデンサ9で平滑された平滑電圧が点灯回路2に入力され、点灯回路2はこの平滑電圧に基づきLEDモジュール200(LED10〜13)に電力を供給する。このとき、点灯回路2は、LEDモジュール200(LED10〜13)に定電流が流れるように制御され、LEDモジュール200(LED)が点灯する。
【0023】
LEDモジュール200(LED)が点灯するとき、点灯回路2が出力している電圧は、LEDモジュール200を構成するLED10〜13の順方向電圧(Vf)に依存した電圧となっている。
【0024】
したがって、LEDモジュール200を構成するLEDの順方向電圧が、例えば3.5Vで、10個のLEDが直列接続されている場合、点灯回路2の出力している電圧は、35Vとなる。
【0025】
接続数判別回路3は、このときの点灯回路2の出力電圧を検出し、LEDが10個であると判別し、この判別結果を出力設定部4−1に出力する。
【0026】
出力設定部4−1は、接続数判別回路3が出力する判別結果を入力し、自身が持つテーブル410(
図2に示すグラフの内容を有する)と比較し、力率改善回路70が出力するチョッパ出力電圧が、LEDの個数に応じた電圧となるように、力率改善回路70(制御IC23)に制御信号を出力する。例えば、LEDの個数が10個である場合は、出力設定部4−1が、力率改善回路70の出力電圧が260Vとなる制御信号を出力する。
【0027】
力率改善回路70(制御IC23)は、入力される制御信号に基づいて、制御IC23の内部基準値を変更して、MOS−FET22のスイッチング周波数を制御して、チョッパ出力電圧を制御信号に対応する電圧となるように制御する。
【0028】
力率改善回路70が出力する出力電圧は、400Vからゆっくり(緩やかに)260Vまで低下させる。このように、力率改善回路70の出力電圧をゆっくり(緩やかに)低下させるので、点灯回路2はLEDモジュール200に供給する定電流が一定のままを維持することができ、LEDモジュール200が発する光が変動することがない。
【0029】
このように、LEDモジュール200を構成するLEDの個数に応じて、力率改善回路70の出力電圧を変更するようにしたので、後述するように、点灯回路2が負担する電圧差を小さくすることができ、スイッチング損失を少なくして、回路変換効率を向上させることができる。
【0030】
例えば、LEDの順方向電圧降下を3.5Vとした場合、接続するLEDの数が10個、20個、30個、40個、50個において、それぞれの総和は35V、70V、105V、140V、175Vとなる。力率改善回路70が出力するチョッパ出力電圧を例えば400V一定とした場合、昇圧チョッパ出力電圧と前記LEDの順方向電圧のそれぞれの差は、365V、330V、295V、260V、225Vとなる。これらの電圧は点灯回路2が受け持つため、接続数が少ないほどスイッチング損失が増加して回路変換効率が減少することとなる。
【0031】
しかしながら、接続数判別回路3がLEDの接続数を検出し、出力設定部4−1は
図2に示すようなテーブル410に従いチョッパ出力電圧を設定することによって、LEDの接続灯数に関わらず、点灯回路2の受け持つ電圧を一定とすることができるため、LEDの接続数が減少してもスイッチング損失が増加しない効果を得ることができる。
【0032】
なお、本実施の形態1では、制御IC23の内部基準値を変更して、力率改善回路70が出力するチョッパ出力電圧を制御する場合について説明したが、出力電圧検出抵抗25の抵抗値を変化させる方式を採用しても、力率改善回路70のチョッパ出力電圧を制御できるので、同様の作用効果が得られる。
【0033】
また、本実施の形態1では、接続数判別回路3を抵抗40、抵抗41で構成し、この抵抗40、41で分圧した電圧を出力設定部4−1が読み取って、力率改善回路70の出力を制御する場合について説明したが、接続数判別回路3をコンパレータなどの比較器やA/D変換器などで構成してもよい。
【0034】
実施の形態2.
実施の形態1と同機能、同回路の部分については同符号を付し、説明を省略する。
図3は、本実施の形態2のLED点灯装置120の回路図であり、
図4は、LED点灯装置120の出力設定部4−2が持つテーブル420の内容である。
【0035】
LED点灯装置120は、実施の形態1のLED点灯装置110に対して、さらに、整流回路60に接続され、入力される交流電源ACの電圧が100Vであるか、200Vであるかを判別する入力電圧判別部30(交流電圧検出部)を備える。なお、
図3には接続数判別回路3を示しているが、その構成は、例えば
図1に示した抵抗40,41の分圧回路である。
【0036】
入力電圧判別部30は、整流回路60の出力電圧(交流電圧相当値)を検出することで、交流電源ACが100Vか200Vかを判別する。
【0037】
図4は、出力設定部4−2の保有するテーブル420の内容を示す図である。出力設定部4−2は、入力電圧判別部30と接続数判別回路3とによる判別結果の入力により、
図4に示す内容を持つテーブル420に従い、力率改善回路70の出力するチョッパ出力電圧を設定する。具体的には、出力設定部4−2は、入力電圧判別部30による「100V」電源か、「200V」電源かの判別結果によって、
図4の特性のうち、タイプ1の特性(100V)とタイプ2の特性(200V)とのどちらを使用するべきかを知る。
図4の特性が決まると、出力設定部4−2は、接続数判別回路3の判定結果(
図4の横軸の値)に応じて、力率改善回路70の出力を制御する。
【0038】
図4に示すテーブル420は、LEDの接続数が減少すると力率改善回路70が出力するチョッパ出力電圧を減少させると共に、交流電源ACの電源電圧に伴い、力率改善回路70の出力するチョッパ出力電圧を変化させる特性である。
【0039】
力率改善回路70を構成するチョッパ回路は、交流電源ACの電源電圧を昇圧するため、チョッパ出力電圧は、交流電源ACの電源電圧のピーク値以上に設定しなければならない。しかし、入力電源範囲を広くする場合、電源電圧200V(
図4のタイプ2)で設定したチョッパ出力電圧で100V点灯させた場合はチョッパ出力電圧が大きすぎ効率が悪くなる。また、100V(
図4のタイプ1)で設定したチョッパ出力電圧で200V点灯させた場合はチョッパ出力電圧が電源のピーク値以下となり力率が悪化する。
【0040】
この効率悪化、力率悪化を回避するために、本実施の形態2では、実施の形態1の構成に入力電圧判別部30を加えることで、「使用する電源電圧」と、「LEDの接続数」とのどちらの条件においても、最適な回路変換効率で回路を動作できる効果を得ることが出来る。
【0041】
実施の形態3.
本実施の形態3は、接続数判別回路3が、抵抗51(装置側抵抗要素)及びLEDモジュール200に装備された抵抗50(モジュール側抵抗要素)との分圧回路により、接続されたLED10〜13の順方向電圧の総和を検出する構成である。
【0042】
図5は、本実施の形態3のLED点灯装置130の回路図である。
【0043】
LEDモジュール200は、LEDモジュール200の種別(LEDの個数)を特定するための種別特定回路(抵抗50、個数情報の一例)を備えている。
【0044】
本実施の形態3では、LEDモジュール200の抵抗50の値は、搭載されるLED数により異なる値である。LED点灯装置130(出力設定部4−2)は、LEDモジュール200が接続された場合、抵抗50によってLED個数(接続数相当値)を知る。
【0045】
接続数判別回路3は、昇圧チョッパの出力電圧を抵抗51、抵抗50で分圧した値(個数情報、接続数相当値)を検出する。出力設定部4−2のテーブル420は、この分圧電圧を基準に作成される。つまりテーブル420の横軸は、この検出される電圧を基準に作成されている。
【0046】
交流電源ACが投入されると、力率改善回路70が動作し、出力電圧として、例えば400Vを出力する。このとき、点灯回路2の動作は停止している。
【0047】
力率改善回路70の出力電圧は、抵抗51と抵抗50により分圧され、この分圧された電圧が、接続数判別回路3に入力される。
【0048】
この抵抗50は、LEDモジュール200を構成するLEDの個数に応じて、抵抗値が異なるので、抵抗51、抵抗50で分圧された分圧電圧は、LEDの個数に応じた電圧となる。
【0049】
なお、抵抗50の両端電圧(分圧電圧)は、LED10〜LED13の順方向電圧Vfよりも低い電圧となっており、LED10〜LED13は点灯しない。
【0050】
したがって、LEDモジュール200(LED)が点灯する前に、LEDの個数を接続数判別回路3が判別することができるようになる。
【0051】
接続数判別回路3がLEDの個数を判別した後、出力設定部4−2は、自己が保有するテーブル420を参照して、LEDの個数に応じた出力とするように力率改善回路70に制御信号を出力し、力率改善回路70は出力電圧をLEDの個数に応じた電圧値にする。
【0052】
次に、点灯回路2が動作して、LEDモジュール200に定電流を供給して、LED10〜LED13を点灯させる。
【0053】
そのため、点灯回路2が動作開始する前に、LEDモジュール200を構成するLEDの個数を把握することができるので、力率改善回路70の出力電圧をLEDの個数に応じた電圧値としてから、LEDを点灯させることができ、回路効率を向上させることができる。