(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5738083
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】LEDライト
(51)【国際特許分類】
F21V 7/00 20060101AFI20150528BHJP
F21V 7/04 20060101ALI20150528BHJP
F21V 7/05 20060101ALI20150528BHJP
F21V 3/02 20060101ALI20150528BHJP
F21S 2/00 20060101ALI20150528BHJP
F21S 8/04 20060101ALI20150528BHJP
F21Y 101/02 20060101ALN20150528BHJP
F21Y 105/00 20060101ALN20150528BHJP
【FI】
F21V7/00 320
F21V7/00 510
F21V7/04 123
F21V7/05
F21V3/02 500
F21S2/00 100
F21S8/04 100
F21S8/04 130
F21Y101:02
F21Y105:00
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-133746(P2011-133746)
(22)【出願日】2011年6月15日
(65)【公開番号】特開2013-4288(P2013-4288A)
(43)【公開日】2013年1月7日
【審査請求日】2014年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】511146093
【氏名又は名称】吉田 直博
(74)【代理人】
【識別番号】100069615
【弁理士】
【氏名又は名称】金倉 喬二
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直博
【審査官】
太田 良隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−052939(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3162972(JP,U)
【文献】
特開昭54−115583(JP,A)
【文献】
特開2005−183591(JP,A)
【文献】
特表2002−540576(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V7/00−7/22
F21V3/00
F21S2/00
F21S8/04
F21Y101/02
F21Y105/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを組み合わせたLEDチップを複数取り付けて90°以上の広配光角を有するLED光源モジュールを構成し、40°の角度の8角錐台形で内面が鏡面によるリフレクターを構成し、そのリフレクターの各鏡面の付け根部にLED光源モジュールの光の全景がそれぞれ写ることができる位置にLED光源モジュールを配置し、リフレクターの開口部全体をレンズ拡散板で覆ったことを特徴とするLEDライト。
【請求項2】
請求項1において、8角錐台形の付け根部の長さ(直径)と開口部の長さ(直径)の差より長い寸法の高さとしたことを特徴とするLEDライト。
【請求項3】
請求項1において、LED光源モジュールの配光角を120°としたことを特徴とするLEDライト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場、倉庫、大型商店、展示場、体育館等における高天井、街灯、工事現場その他一般の照明に適応可能なLEDライトに関する。
【背景技術】
【0002】
白熱灯や蛍光灯において、照度をあげるために傘形のリフレクターを用いることは一般的である。
【0003】
LEDは直進性があり、光の拡散が狭いためにリフレクターを用いてもその拡散効果が少ないという問題がある。
【0004】
しかし、近時、LEDチップとレンズを一体に組み合わせた120°の配光角を有するLEDモジュールが開発され、このLEDを複数並べて光源となるLED光源モジュールが供給されるようになった(特許文献1)。
【0005】
このような配光角が大きいLED光源モジュールによると使用に際してより照度をあげるためにリフレクターを用いることが有効となる。
【0006】
そこで、一般的な円錐台形のリフレクターを用いて高さ6mでのテストを行ったところ約2倍程度の照度を得ることができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−283344公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、2倍程度の照度では照度向上には不足がある。さらに照度を増すためにはLEDによる光源をハイパワーにする必要があるが、光源をハイパワーにすると発熱量が大きくなり、そのためにLED取り付け部の放熱構造が極めて大きくなって全体の構造が巨大化するという問題がある。
【0009】
このような問題点を解決するために、さらなる照度の倍率を得るためのリフレクターの実験を重ねることにした。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで本発明は、レンズを組み合わせたLEDチップを複数取り付けて90°以上の広配光角を有するLED光源モジュールを、多角錐台形の内面が鏡面による多面体とし、その多角錐台形の下側(狭い口側)の長さ(直径)と上側(広い口側)の長さ(直径)の差より長い寸法の高さとしたリフレクターを構成し、そのリフレクターの各鏡面の下端付け根部にLED光源モジュールの光の全景がそれぞれ写ることができる位置にLED光源モジュールを配置するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、上記多角面体のリフレクターに上記条件によりLED光源モジュールを使用した実験の結果、リフレクターを使用しない場合の照度より数倍大きな照度を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図5】リフレクターに光源の光が写った状態の説明図
【
図6】レンズ拡散板を取り付けた実施例2の断面説明図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明による実施例を説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は実施例1を示す斜視図、
図2は断面説明図、
図3は原理の一例を示す説明図である。
【0015】
図において、1は、傘型のリフレクターであり、鏡面2が8面ある8角錐台形の八面体である。
【0016】
本実施例では、
図3に示す如く、このリフレクターの傘型の角度が片側で20°、両側で40°の角度とした。この角度は、実験の結果、この数値より大きすぎても小さすぎても照度が下がる傾向がみられ、±1°変わっても照度の低下がみられた。本実施例では
図3に示す40°の角度が良好な照度が得られた。
【0017】
また、リフレクター1の高さは、8角錐台形の下側(狭い口側)の鏡面2が対向する長さ(直径)と上側(広い口側)の鏡面2が対向する長さ(直径)の差より長い寸法の高さとする。本実施例では、
図3に示す如く、下側の長さが160mm、上側の長さが305mm、高さ165mmである。なお、上記角度による角錐台形は、下側の長さを小さくすると上側の長さも当然小さくなり、高さの寸法も含めてどれかの値を定めることにより上記の寸法と同じ割合で各寸法は決定される。
【0018】
なお、リフレクターの高さも最高の照度を得る必要がない場合には上記の条件より低い値としてもよく、その値を小さくした量だけうすいリフレクターとすることができ、現場への設置条件の制限を少なくすることができる。
【0019】
このリフレクターは上記では8角錐台形としたが、6角錐台形から16角錐台形の間ならどの角数でも所望する範囲の照度の向上はあるが、実験によると、8角錐台形が光の品質を含め最良の結果が得られた。
【0020】
その理由は、照明は、明るさだけでなく光の質も要求されるもので、角錐台形のリフレクターによる反射光においては、角錐の内角(入り隅)の線が縞模様となって反射光に現れるもので、角数が増えると照度は大きくなるが、その内角の線の縞が多くなり、照明光全体の光の品質が低下することになる。また、角数が少なくなると照度の倍率は小さくなる。
【0021】
実験によると、照度(単位Lx)は、角錐台形の面の数×リフレクター面の反射率であり、本実施例の場合、リフレクター面の反射率は0.95のものを用いたことにより、8×0.95=7.6である。つまり、リフレクターのない場合の7.6倍の照度となった。実験では、6m直下の照度を測定した。
【0022】
3は、LED光源モジュールであり、
図4に示す如く、LEDチップにレンズを組み合わせた広配光角のLED4を複数並べて構成してある。本実施例では台湾、国格金属科技股▲分▼有限公司製の広配光角のLEDを用いたで60WのLED光源モジュール(KG70A 配光角120°)を使用した。なお、実験によると配光角は90°以上のLED光源モジュールであると上記リフレクターによる所望照射面積の拡大効果が得られた。
【0023】
上記LED光源モジュール3を、放熱機能を有するヒートシンク5に取り付ける。このヒートシンク5をリフレクター1の下側(狭い口側)の開口部に設置する。なお、実際の製品では、リフレクター1の外側にカバー6を設け、そのカバー6にリフレクター1およびヒートシンク5を取り付けて全一体とする。なお、このLED光源モジュールは各種配光角のものが、ヒートシンクへの取り付け構造の規格を同一にして製造することにより、ヒートシンクへの交換取り付けが可能としてある。
【0024】
上記LED光源モジュール3のリフレクター1への設置位置は、下側(狭い口側)の開口部であるが、
図5に示す如く、LED光源モジュール3の光3Aが8角錐台形の各面の下端付け根部に光の全景がそれぞれ写ることができる位置に配置する。
【0025】
以上のLEDライトによると、リフレクターにより、LED光源モジュールの照度の大幅な向上が得られることから、多角錐台形によるリフレクターを用いることにより小さな光源で大きな照度が得られることができ、LED光源の発熱量が大きくなることがなく、小さなLED光源装置で大きな照度と広い照射面積を同時に得ることができることになった。
【実施例2】
【0026】
以上の構成のLEDライトで室外灯および室内灯として十分に使用することができるが、上記の如く、リフレクターの反射光に8角錐台形による縞模様が発生する。この縞模様の存在があっても一般的な使用には差し支えないが、光の品質の向上を図るためにその縞模様を消したり薄くしたりしたい場合、さらに、LEDライトの特性として、照射面の輪郭が明確になってその縁を境に外側が急激に暗くなるが、その輪郭の縁が明確にならないようにする等によって光の品質を高めることが要求される場合がある。
【0027】
そこで本実施例は、
図6に示す如く、リフレクター1の上側(広い口側)の開口全体をレンズ拡散板7で覆った。本実施例ではカバー6の開口端にレンズ拡散板7を取り付けることによって覆った。なお、本実施例ではレンズ拡散板をアクリル板と一体にしてカバー6の開口端に取り付けた。
【0028】
このレンズ拡散板7は本実施例では、米国、オプチィカル ソリューション(Oputical Solution)社製のものを用いた。
【0029】
これにより、光源直下の照度は20%程低下するが、光がレンズ拡散板によって分散されるために縞模様の発生がなくなり、また、眩しさが軽減することにより違和感のない品質のよい光となる。
【0030】
さらに、上記のリフレクターとLED光源モジュールとの構成により、配光角は約100度となるが、このレンズ拡散板7を取り付けたことにより、(リフレクターによる配光角)
2+(レンズ拡散板の拡散角度)
2の平方根が配光角となってレンズ拡散板のない場合よりさらに照明光は広がると共に照射面の輪郭線がなくなり、照射面の縁が明るくなって光の品質が大きく向上した。また、LEDライト特有のマルチシャドウ(複数の陰影)の発生を消滅させることができた。
【0031】
これにより、例えば、上記60WのLED光源モジュールと8角錐台形のリフレクターを使用した場合、従来の水銀灯400Wと同等以上の照度と配光角を得ることができ、消費電力はその約1/7程度となり、電気エネルギーの節減効果が大きい。
【0032】
また、配光角が広角になるために、広い面積を照射する場合に設置灯数が少なくてすむことになった(
図7参照)。
【符号の説明】
【0033】
1 リフレクター
2 鏡面
3 LED光源モジュール
3A LED光源モジュールの光
4 LED
5 ヒートシンク
6 カバー
7 レンズ拡散板