特許第5738130号(P5738130)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゼロックス コーポレイションの特許一覧

特許5738130インクの部分硬化および接触による平坦化を用いて、基板上で局所的に画像の光沢を調整する方法および基板上に画像を形成するのに役立つ装置
<>
  • 特許5738130-インクの部分硬化および接触による平坦化を用いて、基板上で局所的に画像の光沢を調整する方法および基板上に画像を形成するのに役立つ装置 図000002
  • 特許5738130-インクの部分硬化および接触による平坦化を用いて、基板上で局所的に画像の光沢を調整する方法および基板上に画像を形成するのに役立つ装置 図000003
  • 特許5738130-インクの部分硬化および接触による平坦化を用いて、基板上で局所的に画像の光沢を調整する方法および基板上に画像を形成するのに役立つ装置 図000004
  • 特許5738130-インクの部分硬化および接触による平坦化を用いて、基板上で局所的に画像の光沢を調整する方法および基板上に画像を形成するのに役立つ装置 図000005
  • 特許5738130-インクの部分硬化および接触による平坦化を用いて、基板上で局所的に画像の光沢を調整する方法および基板上に画像を形成するのに役立つ装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5738130
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】インクの部分硬化および接触による平坦化を用いて、基板上で局所的に画像の光沢を調整する方法および基板上に画像を形成するのに役立つ装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20150528BHJP
【FI】
   B41J2/01 129
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-193168(P2011-193168)
(22)【出願日】2011年9月5日
(65)【公開番号】特開2012-61853(P2012-61853A)
(43)【公開日】2012年3月29日
【審査請求日】2014年9月4日
(31)【優先権主張番号】12/881,753
(32)【優先日】2010年9月14日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・ジェイ・ルーフ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイクス・ケイ・ウェブスター−カーリー
(72)【発明者】
【氏名】ディヴィッド・エム・トンプソン
【審査官】 小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−280245(JP,A)
【文献】 特開2009−208227(JP,A)
【文献】 特開2007−090642(JP,A)
【文献】 特開2002−107528(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/157262(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷の際に基板上に画像を形成する装置であって、
第1カラーを有する第1放射線硬化性ゲルインクを、基板の表面に塗布する第1マーキングステーションと、
前記第1マーキングステーションから下流にあり、前記基板の前記表面上の前記第1放射線硬化性ゲルインクに第1放射を照射するための、第1発光ダイオード(LED)の少なくとも一つの第1アレイを含み、前記第1放射線硬化性ゲルインクを部分硬化させて、前記第1放射線硬化性ゲルインクの光沢を調整する部分硬化ステーションであって、前記第1LEDの各第1アレイ内の各第1LEDに対して、前記基板が前記第1LEDの少なくとも1つの第1アレイのそばを通過する際に、当該各第1LEDから放出される前記第1放射の強度が変化するように、個々に対処可能である、第1部分硬化ステーションと、
前記第1部分硬化ステーションから下流にあり、第2カラーを有する第2放射線硬化性ゲルインクを、前記基板の前記表面に塗布する第2マーキングステーションと、
前記第2マーキングステーションから下流にあり、前記基板の前記表面上の前記第1放射線硬化性ゲルインクおよび前記第2放射線硬化性ゲルインクに第2放射を照射するための、第2LEDの少なくとも1つの第2アレイを含み、前記第1放射線硬化性ゲルインクをさらに部分硬化させるとともに前記第2放射線硬化性ゲルインクを部分硬化させて、前記第1放射線硬化性ゲルインクおよび前記第2放射線硬化性ゲルインクの光沢を調整する部分硬化ステーションであって、前記第2LEDの各第2アレイ内の各第2LEDに対して、前記基板が前記第2LEDの前記少なくとも1つの第2アレイのそばを通過する際に、当該各第2LEDから放出される前記第2放射の強度が変化するように、個々に対処可能である、第2部分硬化ステーションと、
前記基板ならびに前記部分硬化した第1放射線硬化性ゲルインクおよび第2放射線硬化性ゲルインクに圧力を加えて、前記第1放射線硬化性ゲルインクおよび第2放射線硬化性ゲルインクを前記基板の前記表面上で平坦にすることで、平坦化された第1放射線硬化性ゲルインクおよび第2放射線硬化性ゲルインクが前記基板の前記表面上に形成される、平坦化デバイスと、
前記基板の前記表面上の前記平坦化された第1放射線硬化性ゲルインクおよび第2放射線硬化性ゲルインクに照射して、前記第1放射線硬化性ゲルインクおよび前記第2放射線硬化性ゲルインクを実質的に完全に硬化させる、平坦化後硬化デバイスと、を含む装置。
【請求項2】
前記第1LEDの各第1アレイおよび第2LEDの各第2アレイは、各第1LEDおよび各第2LEDに個々に対処可能にするように構成されたコントローラーへ接続される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
第1LEDの前記少なくとも1つの第1アレイは、千鳥配列に配置された少なくとも2つの第1アレイの第1LEDを含み、
第2LEDの前記少なくとも1つの第2アレイは、千鳥配列に配置された少なくとも2つの第2アレイの第2LEDを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
印刷の際に基板上に画像を形成する方法であって、
第1マーキングステーションを用いて、第1カラーを有する第1放射線硬化性ゲルインクを基板の表面に塗布するステップと、
前記第1マーキングステーションから下流の第1部分硬化ステーションの第1発光ダイオード(LED)の少なくとも1つの第1アレイによって放出される第1放射を、前記基板の前記表面上の前記第1放射線硬化性ゲルインクに照射するステップであって、第1LEDの各第1アレイ内の各第1LEDは、前記基板が前記第1LEDの少なくとも1つの第1アレイのそばを通過する際に、当該各第1LEDから放出される前記第1放射の強度が変化するように個々に対処可能にされて、前記第1放射線硬化性ゲルインクを部分硬化させ、前記第1放射線硬化性ゲルインクの光沢を調整する、ステップと、
前記第1部分硬化ステーションから下流の第2マーキングステーションを用いて、第2カラーを有する第2放射線硬化性ゲルインクを前記基板の前記表面に塗布するステップと、
前記第2マーキングステーションから下流の第2部分硬化ステーションの第2発光ダイオード(LED)の少なくとも一つの第2アレイによって放出される第2放射を、前記基板の前記表面上の前記第2放射線硬化性ゲルインクに照射するステップであって、第2LEDの各第2アレイ内の各第2LEDは、前記基板が前記第2LEDの少なくとも1つの第2アレイのそばを通過する際に、当該各第2LEDから放出される前記第2放射の強度が変化するように個々に対処可能にされて、前記第1放射線硬化性ゲルインクをさらに部分硬化させるとともに前記第2放射線硬化性ゲルインクを部分硬化させて、前記第1放射線硬化性ゲルインクおよび前記第2放射線硬化性ゲルインクの光沢を調整するステップと、
平坦化デバイスを用いて、前記基板ならびに前記部分硬化した第1放射線硬化性ゲルインクおよび第2放射線硬化性ゲルインクに圧力を加えて、前記第1放射線硬化性ゲルインクおよび第2放射線硬化性ゲルインクを前記基板の前記表面上で平坦にすることで、平坦化された第1放射線硬化性ゲルインクおよび第2放射線硬化性ゲルインクが前記基板上に形成されるステップと、
前記基板の前記表面上の前記平坦化された第1放射線硬化性ゲルインクおよび第2放射線硬化性ゲルインクに照射して、前記第1放射線硬化性ゲルインクおよび第2放射線硬化性ゲルインクを実質的に完全に硬化させるステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
印刷プロセスでは、マーキング部材が基板へ付着されて、画像を形成する。これらのプロセスでは、圧力が接触表面によって基板およびマーキング部材へ加えられて、マーキング部材を基板上で平坦にすることができる。マーキング部材は、接触表面へオフセット(転写)することがあり、結果として定着画像は不満足なものとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
印刷の際に基板上に画像を形成する方法および基板上に画像を形成する装置であって、インクを用いて、調整可能な光沢を有する画像を形成することができる、方法および装置を提供することが望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0003】
印刷の際に基板上に画像を形成する装置および方法が提供される。本装置の典型的な実施形態は、第1カラーを有する第1インクを、基板の表面に付着する第1マーキングステーションと、第1マーキングステーションから下流にあり、基板の表面上の第1インクに、第1放射を照射するための、複数第1発光ダイオード(複数LED)の少なくとも1つの第1アレイを含み、第1インクを部分硬化させて、第1インクの光沢を調整する部分硬化ステーションであって、複数第1LEDの各第1アレイの各第1LEDは、基板が、複数第1LEDの少なくとも1つの第1アレイのそばを通過しながら、各第1LEDから放出される第1放射の強度を変化させることを個々に対処可能である、第1部分硬化ステーションと、第1部分硬化ステーションから下流にあり、第2カラーを有する第2インクを、基板の表面に付着する第2マーキングステーションと、第2マーキングステーションから下流にあり、基板の表面上の第1インクおよび第2インクに、第2放射を照射するための、複数第2LEDの少なくとも1つの第2アレイを含み、第1インクをさらに部分硬化させるとともに第2インクを部分硬化させて、第1インクおよび第2インクの光沢を調整する部分硬化ステーションであって、複数第2LEDの各第2アレイの各第2LEDは、基板が、複数第2LEDの少なくとも1つの第2アレイのそばを通過しながら、各第2LEDから放出される第2放射の強度を変化させることを個々に対処可能である、第2部分硬化ステーションと、基板ならびに部分硬化した第1インクおよび第2インクに圧力を加えて、第1インクおよび第2インクを基板の表面上で平坦にする、平坦化デバイスと、基板の表面上の平坦にされた状態の第1インクおよび第2インクに照射して、第1インクおよび第2インクを実質的に完全に硬化させる、平坦化後硬化デバイスとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】画像に関するインクの部分硬化および接触による平坦化を用いて、基板上に画像を形成する印刷装置の典型的な実施形態を示す図である。
図2図1の印刷装置のマーキング/部分硬化デバイスの典型的な実施形態を示す図である。
図3】マーキング/部分硬化デバイスの典型的なマーキングステーションおよび部分硬化ステーションを示す図である。
図4図2のマーキング/部分硬化デバイスの部分硬化ステーションの発光体源によって放出することができる、発光体の典型的なスペクトラムを示す図である。
図5】平坦化デバイスの挟持部(すなわち、ニップ(nip))に入る前に、インクが配置されるための正表面を含む基板を示し、挟持部を通過した後の基板も示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
開示された実施形態は、印刷の際に基板上に画像を形成する装置を含む。本装置の典型的な実施形態は、第1カラーを有する第1インクを、基板の表面に付着する第1マーキングステーションと、第1マーキングステーションから下流にあり、基板の表面上の第1インクに、第1放射を照射するための、複数第1発光ダイオード(複数LED)の少なくとも1つの第1アレイを含み、第1インクを部分硬化させて、第1インクの光沢を調整する部分硬化ステーションであって、複数第1LEDの各第1アレイの各第1LEDは、基板が、複数第1LEDの少なくとも1つの第1アレイのそばを通過しながら、各第1LEDから放出される第1放射の強度を変化させることを個々に対処可能である、第1部分硬化ステーションと、第1部分硬化ステーションから下流にあり、第2カラーを有する第2インクを、基板の表面に付着する第2マーキングステーションと、第2マーキングステーションから下流にあり、基板の表面上の第1インクおよび第2インクに、第2放射を照射するための、複数第2LEDの少なくとも1つの第2アレイを含み、第1インクをさらに部分硬化させるとともに第2インクを部分硬化させて、第1インクおよび第2インクの光沢を調整する部分硬化ステーションであって、複数第2LEDの各第2アレイの各第2LEDは、基板が、複数第2LEDの少なくとも1つの第2アレイのそばを通過しながら、各第2LEDから放出される第2放射の強度を変化させることを個々に対処可能である、第2部分硬化ステーションと、基板ならびに部分硬化した第1インクおよび第2インクに圧力を加えて、第1インクおよび第2インクを基板の表面上で平坦にする、平坦化デバイスと、基板の表面上の平坦にされた状態の第1インクおよび第2インクに照射して、第1インクおよび第2インクを実質的に完全に硬化させる、平坦化後硬化デバイスとを含む。
【0006】
開示された実施形態は、さらに印刷の際に基板上に画像を形成する方法を含む。本方法の典型的な実施形態は、第1マーキングステーションを用いて、第1カラーを有する第1インクを、基板の表面に付着するステップと、第1マーキングステーションから下流の第1部分硬化ステーションの複数第1発光ダイオード(複数LED)の少なくとも1つの第1アレイによって放出される第1放射を、基板の表面上の第1インクに照射するステップであって、複数第1LEDの各第1アレイの各第1LEDは、基板が、複数第1LEDの少なくとも1つの第1アレイのそばを通過しながら、各第1LEDから放出される第1放射の強度を変化させることを個々に対処可能であり、第1インクを部分硬化させて、第1インクの光沢を調整するステップと、第1部分硬化ステーションから下流の第2マーキングステーションを用いて、第2カラーを有する第2インクを、基板の表面に付着するステップと、第2マーキングステーションから下流の第2部分硬化ステーションの複数第2発光ダイオード(複数LED)の少なくとも1つの第2アレイによって放出される第2放射を、基板の表面上の第2インクに照射するステップであって、複数第2LEDの各第2アレイの各第2LEDは、基板が、複数第2LEDの少なくとも1つの第2アレイのそばを通過しながら、各第2LEDから放出される第2放射の強度を変化させることを個々に対処可能であり、第1インクをさらに部分硬化させるとともに第2インクを部分硬化させて、第1インクおよび第2インクの光沢を調整するステップと、平坦化デバイスを用いて、基板ならびに部分硬化した第1インクおよび第2インクに圧力を加えて、第1インクおよび第2インクを基板の表面上で平坦にするステップと、基板の表面上の平坦にされた状態の第1インクおよび第2インクに照射して、第1インクおよび第2インクを実質的に完全に硬化させるステップとを含む。
【0007】
紫外線(UV)硬化性インクを、印刷物の際に基板上に画像を形成するのに用いることができる。基板へ付着されたUV硬化性インクは、UV放射へ暴露されて、このインクを硬化させる。この暴露の間に、インク内に含有される光開始剤物質がUV放射を照射されて、この入射束はインク内のモノマーを架橋ポリマーマトリックスへと変換し、結果として基板上に硬いかつ耐久性のあるマークをもたらす。しかしながら種々の用途にとっては、このUV硬化の前にインクが平坦にされることが望ましい。この平坦化によって、さらに一様な画像光沢を生み出すことができ、印刷ヘッドの吐出不足を目立たなくすることができる。さらに加えて、包装などの一部の印刷用途は、印刷に関して比較的一定の厚さの薄膜インク層を有することから、利益を享受することができる。
【0008】
UV硬化性相変化インクは、周囲温度において、ゲル状の粘度を有することができる。これらのインクは、おおよそ周囲温度から高温まで加熱されると、低粘度の液体への相変化を受ける。これらのインクは、液体へ変化するまで加熱され、次いで基板へ付着することができる。いったんインクが基板に接触すると、インクは冷たくなり、液相からさらに粘性のあるゲル粘度へ相を戻す。
【0009】
UV硬化性ゲルインクは、周囲温度では、硬化する前には粘着力をほとんど有しない。さらにその上、これらのインクは、多くのタイプの部材に対して良好な親和性有するように調製することができる。したがって、電子写真法で使用されることがある従来の定着ロールなどの、他のインク形式の層を平坦にするのに用いられる、従来の方法およびデバイスは、ゲルインクが、平坦化しようとするのに用いられるデバイス上へ、分かれるとともにオフセットする傾向があるので、硬化の前にゲルインクを平坦にすることには適していない。基板へ付着される、UV硬化性ゲルインクなどの放射硬化性インクは、放射へ暴露されて、接触により平坦化される前にインクを部分硬化させることができ、それによって平坦化デバイスの接触表面へのインクのオフセット現象がゼロまたは実質的に皆無の状態で、インクを平坦にすることを可能にすると判断されていた。
【0010】
用語「硬化性」は、例えばフリーラジカル経路を含む重合を経由して硬化され得る、および/または放射感受性の光開始剤を用いて、例えば重合が光開始される部材を説明する。用語「放射硬化性」は、例えば放射源への暴露時に硬化させるすべての形態を指し、光源および熱源を含めて、ならびに開始剤の有無を含めて指す。典型的な放射硬化技術は、紫外線(UV)光を用いた硬化であって、例えば200〜400nmの波長またはさらにまれに可視光を有するとともに、任意選択で光開始剤および/または増感剤の存在下において行われる光硬化、熱硬化を用いた硬化であって、高温熱開始剤(吐出温度において大部分が不活性でもよい)の有無を含む熱硬化、ならびにこれらの適切な組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0011】
本明細書では、用語「部分硬化させる」は、インク上へ向けられた発光体エネルギーが、インクの部分的な重合だけが生じるように、インク内に含有されるいくらかの光開始剤を活性化するのに効果的であることを意味する。インクは、2つ以上の光開始剤を含有することができ、部分硬化の間に用いられる放射によって、この光開始剤の一部は部分的に活性化され、一部はまったく活性化されない。この部分重合の結果として、インクの粘度は、照射された状態のインクが挟持部を通過し、実質的に挟持部内のインクのオフセット現象なしに圧力を受けることを可能にするのに十分に増加する。基板が挟持部に入ると、インクのオフセット現象がゼロまたは実質的に皆無の状態で、インクを基板上で所望のように平坦にするのに十分な圧力がインクに加えられるときに、部分硬化したインクは、基板上で流れるまたは広がることができる。
【0012】
個々のインクカラー内に含有される顔料は、放射を相異なるように吸収および反射するので、別々のインクカラーの硬化レートは異なっている。例えばブラックインクは、シアン、マゼンタまたはイエローインクよりもゆっくりと硬化する。したがって、これらのインクが同一の照射条件を用いて硬化するとき、ブラックインクは、マゼンタまたはイエローインクよりも、著しく光沢が劣ることになる。最終の画像には、光沢差があることになる。
【0013】
しかしながら種々の用途では、画像光沢を局所的に修正できることが望ましい。例えば、光沢のあるグラフィックスまたは透かしなどの光沢のある領域を有するとともに、それぞれが所望の光沢を有し、同一の基板上にテキストなどのつや消しの領域も有することが望ましい場合がある。画像光沢は、所望の場所内だけにクリアーインクを吐出するなどの技術によって、局所的に修正することができる。これらの技術では、備品の追加コストおよびページ平均当たりの部材の追加コストがかかるので、この対処可能な光沢を含有するページを生み出すには、さらに費用がかかることになる。
【0014】
これらの観察を考慮して、印刷の際に基板上に画像を形成する方法および印刷の際に基板上に画像を形成する装置が提供される。本方法および装置は、基板へ付着されるインクの部分硬化を用いて、画像光沢に影響を及ぼす。実施形態では、インクの部分硬化に用いられる照射条件を調整することができ、それによって画像の光沢レベルの局所的な修正をリアルタイムで可能にする。
【0015】
図1は、インクを用いて、基板上に画像を形成するのに役立つ印刷装置100の典型的な実施形態を示す。装置100は、プロセス方向Pに沿って配置された、マーキング/部分硬化デバイス120、平坦化デバイス160、および平坦化後硬化デバイス200を含む。正表面112および反対側の背表面114を含む基板110が示される。マーキング/部分硬化デバイス120は、基板110の正表面112上へインク116を堆積させて、付着された状態のインク116に、インク116を部分硬化させるのに効果的な発光体エネルギーを照射する。平坦化デバイス160は、インク116に圧力を加えることによって、部分硬化したインク116を基板110の正表面112上で平坦にする。平坦化後硬化デバイス200は、平坦にされた状態のインク116に、発光体エネルギーを照射する。平坦化後硬化デバイス200は、インク116を実質的に完全に硬化させることができる。
【0016】
基板110は、普通紙、ポリマーフィルム、金属箔、包装部材、または同類のものなどの一枚のシートである。別の実施形態では、基板は、普通紙、ポリマーフィルム、金属箔、包装部材、または同類のものなどの部材の途切れのないウェブとすることができる。実施形態では、マーキング/部分硬化デバイス120および平坦化後硬化デバイス200は静止して、基板110がこれらのデバイスのそばを通り過ぎ、それによって基板110上へインクを堆積させて、次いでインク116の層に照射する。
【0017】
マーキング/部分硬化デバイス120の実施形態は、少なくとも2つのマーキングステーションおよび少なくとも2つの部分硬化ステーションを含む。各マーキングステーションは、異なるカラーインクを基板110に付着することができる。図2は、マーキング/部分硬化デバイス120の典型的な実施形態を示す。マーキング/部分硬化デバイス120は、第1マーキングステーション122、第2マーキングステーション124、第3マーキングステーション126、および第4マーキングステーション128を含み、この順序でプロセス方向Pに沿って配置される。
【0018】
第1マーキングステーション122、第2マーキングステーション124、第3マーキングステーション126および第4マーキングステーション128のそれぞれは、「基板に向かう」配置に配置された印刷ヘッドを含み、プロセス方向Pに前進する基板110の正表面112上に、インクの小滴を堆積させる。例えば、印刷ヘッドは、加熱された圧電印刷ヘッド、または同類のものとすることができる。
【0019】
マーキング/部分硬化デバイス120は、さらに、第1マーキングステーション122と第2マーキングステーション124との間に位置付けられた第1部分硬化ステーション130、第1部分硬化ステーション130から下流にかつ第2マーキングステーション124と第3マーキングステーション126との間に位置付けられた第2部分硬化ステーション132、第2部分硬化ステーション132から下流にかつ第3マーキングステーション126と第4マーキングステーション128との間に位置付けられた第3部分硬化ステーション134、および第4マーキングステーション128から下流に位置付けられた第4部分硬化ステーション136を含む。第1部分硬化ステーション130、第2部分硬化ステーション132、第3部分硬化ステーション134および第4部分硬化ステーション136は、印刷の際にこれらのステーションの動作を制御するように構成されるコントローラー138へ、従来のやり方で接続される。
【0020】
第1マーキングステーション122、第2マーキングステーション124、第3マーキングステーション126および第4マーキングステーション128のそれぞれは、異なる原色インクを基板110の正表面112に付着することができる。例えば、これらのマーキングステーションは、減法混色の原色シアン、マゼンタおよびイエローのインクをブラックインクとともに用いることができる。印刷ヘッドは、正表面112上へ別々の色分解を配置して、入力デジタルデータに従って所望のフルカラー画像を組み立てることができる。硬化の困難性の点では、ブラックインクが硬化させるのにもっとも困難であり、続いてシアンインク、次いでマゼンタインク、および次いでイエローインクである。マーキング/部分硬化デバイス120では、別々のインクカラーが基板へ付着されて多色画像を形成する順序は、付着される別々のインクカラーのうち、インクカラーを硬化させる困難性がもっとも高いものから、インクカラーを硬化させる困難性がもっとも低いものまでとすることができる。例えば、第1マーキングステーション122はブラックインクを基板に付着することができ、第2マーキングステーション124はシアンインクを基板に付着することができ、第3マーキングステーション126はマゼンタインクを基板に付着することができ、第4マーキングステーション128はイエローインクを基板に付着することができ、それによってフルカラー画像を形成することができる。マーキングステーションのこの配置では、基板110がプロセス方向Pに沿って前進しながら、平坦化デバイス160において平坦にされる前に、堆積した状態のブラックインクは、第1部分硬化ステーション130、第2部分硬化ステーション132、第3部分硬化ステーション134および第4部分硬化ステーション136のそれぞれによって照射される。ブラックインクは、基板110が前進しながら、第1部分硬化ステーション130、第2部分硬化ステーション132、第3部分硬化ステーション134および第4部分硬化ステーション136において放出される発光体エネルギーによって、次第に、さらに部分硬化される。堆積した状態のシアンインクは、第2部分硬化ステーション132、第3部分硬化ステーション134および第4部分硬化ステーション136において、放射へ暴露され、マゼンタインクは、第3部分硬化ステーション134および第4部分硬化ステーション136において、放射へ暴露され、イエローインクは、第4部分硬化ステーション136においてだけ、放射へ暴露される。マーキング/部分硬化デバイス120のマーキングステーションおよび部分硬化ステーションをこのように配置することによって、基板へ付着されたブラックインクは、最大の部分硬化を受けてその粘度を増加させ、シアンインクは2番目に大きな部分硬化を受け、マゼンタインクは3番目に大きな部分硬化を受け、イエローインクは部分硬化をもっとも受けないようにして、これらのインクの光沢を修正する。
【0021】
基板110上に堆積した各インクカラーへ加えられる発光体エネルギーの放射量は、放射の強度および/または滞留時間を調整することによって制御され得る。第1部分硬化ステーション130、第2部分硬化ステーション132、第3部分硬化ステーション134および第4部分硬化ステーション136のそれぞれによって放出される放射の強度、これらの部分硬化ステーションのそばを通り過ぎる基板110の搬送速度、およびこれらの部分硬化ステーションのそれぞれの発光体エネルギー源の数が選択されて、放射の放射量を制御することができる。
【0022】
インクは、発光体エネルギーを用いて硬化することを可能にする組成物であって、基板上へ堅牢な画像を定着する組成物を含む。インクは、1つ以上の光開始剤部材を含有する紫外線光(UV)硬化性インクを含むことができる。UV硬化性インクは、高温まで加熱されて、低粘度の状態の間に吐出することができる。これらのインクが、周囲温度状態の用紙などのより冷たい基板上に衝突すると、インクは基板温度まで冷たくなる。冷却される間に、インクはますます粘性を有するようになる。UV硬化性インクがUV放射へ暴露されると、インク内に重合および架橋結合が生じ、さらにインクの粘度を増加させる。
【0023】
実施形態において用いられるUV硬化性インクは、硬化性ゲル化剤および/または硬化性ワックス成分を含むことができる。
【0024】
開示された方法および装置の実施形態において、基板上に画像を形成するのに用いることができる典型的なインクは、着色剤、開始剤、およびインク展色剤を含む相変化インクと、着色剤、開始剤、および相変化インク担体を含む相変化インクと、放射硬化性インクをいっしょに形成する、25°Cで液体状態の硬化性モノマー、硬化性ワックスおよび着色剤を含む放射硬化性インクとを含むことができる。
【0025】
マーキング/部分硬化デバイス120の印刷ヘッドは、例えば、相変化インクの粘度を低減して基板110上へ小滴として吐出するために十分に高い温度まで、相変化インクを加熱するのに用いられることができる。相変化インクが基板110上に衝突すると、堆積した状態のインクは急速に冷たくなり、基板110上にゲル粘度を発現する。この急速冷却が原因で、相変化インクは、ゲル粘度を発現する前に、基板110の正表面112上で平坦になるのに十分な時間を有しない。
【0026】
印刷装置100の実施形態では、基板110の正表面112上に堆積した状態のインク116の各インクカラーは、インクを部分硬化させるのに効果的な発光体エネルギーを有するマーキング/部分硬化デバイス120によって照射される。この部分重合の結果として、インクの粘度および凝集力は、照射された状態のインクが挟持部を通過し、挟持部内のインクのオフセット現象なしに圧力を受けることを可能にするのに十分に増加する。基板110が挟持部に入ると、インク116を正表面112上で所望のように平坦にするのに十分な圧力が加えられるときに、部分硬化したインク116は、基板110の正表面112上で流れるまたは広がることを可能にする粘度および硬度特性を有する。
【0027】
第1部分硬化ステーション130、第2部分硬化ステーション132、第3部分硬化ステーション134および第4部分硬化ステーション136のそれぞれは、1つ以上の発光体エネルギー源を含む。図3は、第4マーキングステーション128および第4部分硬化ステーション136の典型的な実施形態を示す。図示されるように、第4マーキングステーション128は、印刷ヘッド128A、128B、128C、128Dおよび128Eを含む。第4部分硬化ステーション136は、発光体エネルギー源136A、136Bおよび136Cを含む。印刷ヘッド128A、128B、128C、128Dおよび128Eならびに発光体エネルギー源136A、136Bおよび136Cは、ともにスタガー状の配置を有する。第1マーキングステーション122、第2マーキングステーション124および第3マーキングステーション126は、第4マーキングステーション128と同数、同タイプおよび同配置の印刷ヘッドを含むことができる。第1部分硬化ステーション130、第2部分硬化ステーション132および第3部分硬化ステーション134は、第4マーキングステーション128と同数、同タイプおよび同配置の発光体エネルギー源を含むことができる。
【0028】
図3に示されるように、基板110は、プロセス方向Pに直角のプロセス直交方向CPに、幅Wを有する。図示された実施形態では、印刷ヘッド128A、128B、128C、128Dおよび128Eならびに発光体エネルギー源136A、136Bおよび136Cは、ともに、プロセス直交方向CPに基板110の幅Wを越える全長を有する。幅Wは、印刷装置100に用いられる基板の最大幅でもよい。
【0029】
第1部分硬化ステーション130、第2部分硬化ステーション132、第3部分硬化ステーション134および第4部分硬化ステーション136の発光体エネルギー源は、1つ以上の発光ダイオード(LED)アレイ、または同類のものを含むことができる。例えば、図3に示される発光体エネルギー源136A、136Bおよび136Cは、それぞれ、プロセス直交方向CPに沿って位置付けられた多数のLEDを含むLEDアレイを含むことができる。部分硬化ステーションの発光体エネルギー源は、インク116について最適化された部分硬化を生み出すために、印刷の際に用いられるインク組成物に最適化されたスペクトラムを有する発光体エネルギーを放出するように選択することができる。発光体エネルギーのスペクトラムは、一般に遠UV(遠紫外、約100nm波長)から近UV(近紫外、約400nm波長)まで広がる波長範囲において、発光体エネルギーの強度を与えるグラフによって提供される。図4は、事前硬化デバイス140によって放出される発光体エネルギーの典型的なスペクトラムを示す。
【0030】
部分硬化の間に、基板110およびインク116の層の温度は、温度制御されたプラテン150を用いて制御されることができる。例えばプラテン150は、約15°Cから約20°Cまでなどの、約10°Cから約30°Cまでの温度で動作して、基板110およびインク116の温度を所望の温度に制御することができる。部分硬化の間に、インク116は、周囲温度、または周囲温度を下回るもしくは上回る温度とすることができる。
【0031】
マーキング/部分硬化デバイス120の実施形態では、第1部分硬化ステーション130、第2部分硬化ステーション132、第3部分硬化ステーション134および第4部分硬化ステーション136のそれぞれにおいて、各発光体エネルギー源の個々の照射エレメント(例えば、LED)は、画像光沢を基板上で局所的に修正可能にすることを独立して対処可能である。画像光沢は、基板の長さおよび幅の寸法に沿って修正されることができる。
【0032】
例えば、第1部分硬化ステーション130、第2部分硬化ステーション132、第3部分硬化ステーション134および第4部分硬化ステーション136のそれぞれが、1つ以上のLEDアレイを含む、マーキング/部分硬化デバイス120の実施形態では、アレイの個々のLEDは、第1部分硬化ステーション130、第2部分硬化ステーション132、第3部分硬化ステーション134および第4部分硬化ステーション136のそれぞれに独立に対処することができる。例えば図3に示される第4部分硬化ステーション136では、発光体エネルギー源136A、136Bおよび136CのそれぞれのLEDアレイの個々のLEDは、独立に対処することができる。この対処能力によって、基板が、発光体エネルギー源136A、136Bおよび136Cのそばを通り過ぎながら、発光体エネルギーの放出を、印刷装置100内のプロセス方向およびプロセス直交方向に沿って制御することが可能となる。LEDは、基板110が、第4部分硬化ステーション136のそばを通り過ぎながら、コントローラー138(図2)の制御の基で、リアルタイムに対処することができる。発光体エネルギー源136A、136Bおよび136Cのそれぞれの個々のLEDについて、放出される発光体エネルギーの強度は、基板110が、第4部分硬化ステーション136のそばを通り過ぎながら、コマンドでおよびリアルタイムで、増加したり減少したりすることができる。個々のLEDは、オンまたはオフされることもできる。LEDアレイ内の個々のLEDについて発光体エネルギーの放出強度を選択的に調整することによって、最終の画像が、基板の長さおよび幅の寸法に関して所望の光沢レベルを有することが可能となる。
【0033】
第1部分硬化ステーション130、第2部分硬化ステーション132および第3部分硬化ステーション134のそれぞれの個々のLEDも、基板110が、これらの部分硬化ステーションのそばを通り過ぎながら、選択的にリアルタイムで対処可能である。このように、基板110へ付着された各インクカラーは、基板110が前進しながら、対処可能なLEDを用いて部分硬化することができる。基板上の選択された別々の領域を暴露する発光体エネルギーの量は、一部の領域内の光沢のバランスを取り、別の領域内の光沢を高くし、または別の領域内の光沢を低くするように制御することができる。
【0034】
実施形態では、印刷装置100は、マーキング/部分硬化ステーション120の部分硬化ステーションによって、発光体エネルギーの放出をリアルタイムに制御する内部ルックアップ能力を有する部品を含むことができる。第1部分硬化ステーション130、第2部分硬化ステーション132、第3部分硬化ステーション134および第4部分硬化ステーション136のそれぞれの1つ以上のLEDアレイの各LEDに関して、放出される発光体エネルギーの時間の関数としての強度は、基板110の画像描写表面上の最終画像における所望の最終の光沢にマッピングされ得る。このデバイスは、種々の最終画像に対する内部ルックアップ能力を有することができる。所与の最終画像について、LEDアレイの個々のLEDの発光体エネルギーの強度における一連の変化が、マーキング/部分硬化デバイス120のそばを通り過ぎる基板110の位置および移動速度に関して、基板110の正表面112における全画像描写領域上で発光体エネルギーによる所望の暴露を成し遂げるように調節され、結果として所望の最終画像をもたらすことができる。例えば、シート上に画像を形成するために、マーキング/部分硬化デバイス120に接近するシートの先頭エッジは、センサーによって検知されて、LEDの動作を開始する。
【0035】
部分硬化したインク116は、基板110が、マーキング/部分硬化ステーション120を通り過ぎた後、平坦化デバイス160によって正表面112上でインクを広げるように平坦にされて、インク116の層の線の太さを増加させることを可能にする、粘度および凝集力特性を有している。平坦化デバイス160は、基板110上のインク116に圧力を加えるための対向する表面を有する部材を含む。部材は、2つのロール、1つのロールおよび1つのベルトまたは2つのベルトを含むことができ、この1つのロールおよび1つのベルトは、第1ロール、および第2ロール上に設けられた1つのベルトである。
【0036】
図5は、平坦化ロール162および圧力ロール164を含む平坦化デバイス160の典型的な実施形態を示す。LEDアレイ137を含む第4部分硬化ステーション136も示される。平坦化ロール162および圧力ロール164は、挟持部166を形成し、基板110およびインク116は、挟持部166において、部分硬化したインク116を平坦にするのに十分な圧力を受けて、平坦にされた、インク116’の層を生み出す。典型的には、挟持部166において加えられる圧力は、インク116を十分に平坦にするために、約30psi(ポンド・スクエア・インチ)から約120psiまでなどの、約10psiから約800psiまでの範囲内とすることができる。
【0037】
平坦化ロール162は、種々の部材から形成することができる。例えば、図示された平坦化ロール162は、コア168および外側層170を含む。コア168は、アルミニウム、アルミニウム合金、または同類のものなどの、適切な金属を含むことができる。外側層170は、外側表面172を含む。実施形態では、外側層170は、耐久性のある親水性部材で構成されることができる。実施形態では、外側層170は、フッ素化ポリマー、または同類のものなどの適切な特性を有するポリマーで構成されることができる。外側層170は、例えばコア168の全面にわたるコーティングのように、塗布されることができる。
【0038】
圧力ロール164は、種々の部材から形成されることができる。図示された圧力ロール164は、コア174、およびコア174上を覆う外側層176を含む。実施形態では、コア174は、比較的硬い部材で構成される。例えばコア174は、鋼、ステンレス鋼、または同類のものなどの、適切な金属で構成することができる。外側層176は外側表面178を含み、挟持部166を形成する平坦化ロール162との接触によって、弾性的に変形する部材で構成することができる。例えば外側層176は、シリコンゴム、または同類のもので構成することができる。
【0039】
実施形態では、放出液体は、平坦化ロール162の外側表面172に付着され、外側表面172を濡らして、平坦化の間の画像のオフセット現象を低減するのに役立つことができる。例えば放出液体は、有効な量の洗浄剤を付加した水で実質的に構成されて、表面張力を低減することができる。
【0040】
実施形態では、平坦化デバイス160は、平坦化ロール162の外側表面172または圧力ロール164の外側表面178を積極的に加熱する熱エネルギー源を含んでいない。これらの実施形態では、外側表面172および178は、挟持部166において基板110およびインク116に圧力を加えて、基板110およびインク116を積極的に加熱せずにインクを平坦にする。平坦化する表面のうちの少なくとも1つを形成する1つ以上のベルトを含む平坦化デバイスの実施形態では、平坦化デバイスは、平坦化表面のうちのいずれかを積極的に加熱する熱エネルギー源を含まなくてもよい。
【0041】
実施形態では、平坦化ロール162の外側表面172および/または圧力ロール164の外側表面178は、1つ以上の内部および/または外部の冷却デバイスを用いて、所望の温度に積極的に冷却することができる。平坦化表面のうちの少なくとも1つを形成する1つ以上のベルトを含む平坦化デバイスの実施形態では、ベルトは、1つ以上の冷却デバイスによって、所望の温度に積極的に冷却することができる。
【0042】
装置100において、平坦化後硬化デバイス200は、少なくとも1つの発光体エネルギー源を含み、平坦化デバイス160によるインク層116の平坦化に引き続いて、インク相116を実質的に完全に硬化させるのに効果的なスペクトラムを有する発光体エネルギーを放出するように動作可能である。実施形態では、平坦化後硬化デバイス200の発光体エネルギー源のスペクトラムは、マーキング/部分硬化デバイス120の発光体エネルギー源によって放出される発光体エネルギーのスペクトラムと同様であることができ、または異なることができる。例えば平坦化後硬化デバイス200は、マーキング/部分硬化デバイス120の発光体エネルギー源とは異なるピーク波長および強度のエネルギーを放出するUV−LEDアレイを含むことができる。
図1
図2
図3
図4
図5