特許第5738183号(P5738183)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5738183
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】ソーラーパワーデバイス
(51)【国際特許分類】
   F24J 2/42 20060101AFI20150528BHJP
   F24J 2/18 20060101ALI20150528BHJP
   F03G 6/00 20060101ALI20150528BHJP
   F02G 1/055 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   F24J2/42 S
   F24J2/18
   F03G6/00 521
   F02G1/055 E
【請求項の数】17
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-516404(P2011-516404)
(86)(22)【出願日】2009年6月5日
(65)【公表番号】特表2011-525965(P2011-525965A)
(43)【公表日】2011年9月29日
(86)【国際出願番号】US2009046454
(87)【国際公開番号】WO2009158177
(87)【国際公開日】20091230
【審査請求日】2012年6月1日
(31)【優先権主張番号】12/163,703
(32)【優先日】2008年6月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】ベネット, マーク, ディ.
【審査官】 北村 英隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−207164(JP,A)
【文献】 特開2005−106432(JP,A)
【文献】 米国特許第04402306(US,A)
【文献】 国際公開第79/001005(WO,A1)
【文献】 特開平03−164558(JP,A)
【文献】 特開平11−107856(JP,A)
【文献】 特開平01−114666(JP,A)
【文献】 米国特許第04586334(US,A)
【文献】 米国特許第04068474(US,A)
【文献】 特開平05−272410(JP,A)
【文献】 特開昭64−087860(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24J 2/18
F02G 1/055
F03G 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、太陽光線からエネルギーを収集するための、固形材料からなる蓄熱材を含む蓄熱装置、
一次ミラー、
二次ミラーであって、次ミラーは二次ミラーに向かって太陽光線を反射し、二次ミラーは蓄熱装置のハウジングの上面に向かって太陽光線を反射する、二次ミラー、及び
蓄熱装置に取り付けられ、蓄熱材と熱的に接触する複数のスターリングエンジンであって、蓄熱装置のハウジングの側面に設けられた穴から蓄熱装置のハウジング内部に延びる複数のスターリングエンジン
を備えるソーラーパワーデバイス。
【請求項2】
蓄熱材がハウジング内部に配置され、この蓄熱材が太陽光線を吸収してエネルギーを蓄積する、請求項1に記載のソーラーパワーデバイス。
【請求項3】
蓄熱装置が一次ミラーに取り付けられている、請求項1又は2に記載のソーラーパワーデバイス。
【請求項4】
一次ミラーはその中央に開口が画定されており、蓄熱装置のレンズがこの開口の真後ろに位置合わせされている、請求項1から3のいずれか一項に記載のソーラーパワーデバイス。
【請求項5】
一次ミラーが二次ミラーより実質的に大きく、二次ミラーが一次ミラーの中央に位置合わせされて且つ一次ミラーの中央から離間している、請求項1から4のいずれか一項に記載のソーラーパワーデバイス。
【請求項6】
スターリングエンジンの各々が、水素及びヘリウムのうちの少なくとも一つを含む熱媒体を含んでいる、請求項1から5のいずれか一項に記載のソーラーパワーデバイス。
【請求項7】
蓄熱装置が、吸収冷凍発生器、ガス発生器、燃料電池、電気装置、及び機械装置のうちの少なくとも一つの蓄熱装置内部のコイルに取り付けられるように構成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載のソーラーパワーデバイス。
【請求項8】
蓄熱装置によって収集されたエネルギーは、前記吸収冷凍発生器、前記ガス発生器、前記燃料電池、前記電気装置、及び前記機械装置のうちの少なくとも一つに動力を供給する、請求項7に記載のソーラーパワーデバイス。
【請求項9】
熱伝達流体、ポンプ、又はバルブのいずれをも使用しない、請求項1から8のいずれか一項に記載のソーラーパワーデバイス。
【請求項10】
太陽光線からエネルギーを収集する方法であって、
一次ミラー、二次ミラー、ハウジングと固形材料からなる蓄熱材を含む蓄熱装置、及び蓄熱装置に取り付けられ、蓄熱材と熱的に接触する複数のスターリングエンジンであって、蓄熱装置のハウジングの側面に設けられた穴から蓄熱装置のハウジングの内部に延びる複数のスターリングエンジン、を備えたソーラーパワーデバイスを供給すること、
一次ミラーから二次ミラーに向かって太陽光線を反射させること、
一次ミラーから反射された太陽光線を、二次ミラーから蓄熱装置のハウジングの上面に向かって反射させること、
二次ミラーから蓄熱装置のハウジングの上面に向かって反射された太陽光線を使用して、蓄熱装置の蓄熱材によりエネルギーを収集すること、及び
蓄熱材から伝達される熱エネルギーを用いて複数のスターリングエンジンを稼働させること、
を含む方法。
【請求項11】
供給された蓄熱装置が、ハウジング内部に配置された蓄熱材を更に備え、収集するステップの間に、蓄熱材が太陽光線を吸収してエネルギーを蓄積する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
供給された蓄積装置が、供給された一次ミラーに取り付けられる、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
吸収冷凍発生液、ガス発生器、燃料電池、電気装置、及び機械装置のうちの少なくとも一つの蓄熱装置内部のコイルに、供給された蓄熱装置を取り付けるステップを更に含む、請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記収集したエネルギーを使用して、蓄熱装置が、前記吸収冷凍発生器、前記ガス発生器、前記燃料電池、前記電気装置、及び前記機械装置のうちの少なくとも一つに動力を供給するステップを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
供給されたソーラーパワーデバイスが、熱伝達流体、ポンプ、又はバルブのいずれをも含まない、請求項10から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
供給されたソーラーパワーデバイスが、熱伝達流体、ポンプ、又はバルブを持たないことと、熱伝達損失を低減させることとによって、効率を上昇させるステップを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
供給されたソーラーパワーデバイスが10時間以上稼動するステップを更に含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
太陽からエネルギーを収集するための多種多様なソーラーパワーデバイスが存在する。一既存種のソーラーパワーデバイスは、太陽光線を単一のスターリングエンジン上に集める一次ミラーを1つだけ利用する。しかしながら、この種のソーラーパワーデバイスは、効率がわずか約28%となる大きな屈折損失を生じうる。別の種類の既存のソーラーパワーデバイスは、ガラス管の上に太陽放射線を集める放物面樋型を利用するもので、このガラス管の中には熱伝達流体がポンピングされて、ソーラーパワーデバイスは太陽放射線を塩蓄熱システム中に収集する。しかしながら、この種のソーラーパワーデバイスは、太陽放射線を熱伝達流体に伝達する間に大きな熱伝達損失を生じて効率を大きく低下させうる。
【0002】
太陽光線からエネルギーを収集するための一又は複数の既存の装置及び/又は方法に付随する一又は複数の問題を低減するための装置及び/又は方法が必要である。
【発明の概要】
【0003】
本発明の一態様では、集光型ソーラーパワーデバイスは、太陽光線からエネルギーを収集するための蓄熱装置と、一次ミラーと、二次ミラーとを備えることができる。一次ミラーは、太陽光線を二次ミラーに向かって反射することができる。二次ミラーは、太陽光線を蓄熱装置に向かって反射することができる。
【0004】
本発明の別の態様では、太陽光線からエネルギーを収集する方法が提供される。一のステップにおいて、一次ミラーと、二次ミラーと、蓄熱装置とを備えるソーラーパワーデバイスを供給する。別のステップにおいて、太陽光線を一次ミラーから二次ミラーに向かって反射させる。また別のステップにおいて、一次ミラーから反射された太陽光線を、二次ミラーから蓄熱装置に向かって反射させる。また別のステップでは、二次ミラーから蓄熱装置に向かって反射された太陽光線を使用して、蓄熱装置によりエネルギーを収集する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、太陽光線を収集するための集光型ソーラーパワーデバイスの一実施形態の背面斜視図である。
図2図2は、図1の実施形態の集光型ソーラーパワーデバイスの前面斜視図である。
図3図3は、集光型ソーラーパワーデバイスから取り外された図1の実施形態の蓄熱装置の斜視図である。
図4図4は、太陽光線からエネルギーを収集する方法の一実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の詳細な説明は、本発明を実行するために現在考えられる最善のモードである。本明細書の説明は、限定的なものではなく、本発明の一般的な理念を例示することのみを目的としており、本発明の範囲は特許請求の範囲に最もよく規定されている。
【0007】
図1は、太陽14からの太陽光線12を収集するための集光型ソーラーパワーデバイス10の一実施形態の背面斜視図である。図2は、図1の実施形態の集光型ソーラーパワーデバイス10の前面斜視図である。図1及び2に示すように、本集光型ソーラーパワーデバイス10は、一次ミラー16、二次ミラー18、蓄熱装置20、及び回転式追跡フレーム22を含むことができる。
【0008】
一次ミラー16は、アルミニウム、ポリマーコーティング、及び/又は別の種類の反射材料といったあらゆる種類の反射材料から作製することができる。一次ミラー16は凹形状を有することができる。他の実施形態では、一次ミラー16は他の形状及び/又は大きさを有することができる。一次ミラー16の中央26には開口24を画定することができる。開口24の直径は6インチとすることができる。他の実施形態では、開口24の位置、大きさ、及び形状を変更することができる。一次ミラー16は、太陽14からの太陽光線12を二次ミラー18に向かって反射することができる。
【0009】
二次ミラー18は、一次ミラー16より実質的に小さくてよく、一次ミラー16の中央の開口24と位置合わせされて且つ同開口から離間して位置することができる。スペーサー部材25は、一次ミラー16と、二次ミラー18を取り付けることができるプレート28との間に延びることができる。二次ミラー18は、アルミニウム、ポリマーコーティング、及び/又は別の種類の反射材料といったあらゆる種類の反射材料から作製することができる。二次ミラー18の形状はほぼ平坦である。他の実施形態では、二次ミラー18は、一次ミラー16とは異なる形状、大きさ、及び/又は位置を有してよい。二次ミラー18は、一次ミラー16によって二次ミラー18に反射された太陽光線12を、蓄熱装置20に向かって反射することができる。
【0010】
蓄熱装置20は、二次ミラー18によって蓄熱装置中に反射された太陽14の太陽光線12から、エネルギー21を収集することができる。蓄熱装置20は、一次ミラー16の背面30に取り付けることができ、一次ミラー16の中央26の開口24の真後ろに位置合わせすることができる。
【0011】
図3は、集光型ソーラーパワーデバイス10から取り外された図1の実施形態の蓄熱装置20の斜視図である。図示のように、蓄熱装置20は、上面23、側面36、底面38、及び内部46を有する絶縁されたハウジング32を備えることができる。説明を助けるために、底面38は側面36から切り離して図示されている。しかしながら、使用時には、上面34、側面36、及び底面38は互いに対して取り付けられて、絶縁された内部46を提供する。上面34は、図1及び2に示すように、一次ミラー16の中央26の開口24の真後ろに位置合わせされたレンズを含むことができる。このレンズは、太陽光線12を、方向41に進ませるが、方向43には進ませない高透過合わせガラス(low iron glass)組成物から作製することができる。他の実施形態では、このレンズは種々の材料から作製することができる。図1〜3に示すように、二次ミラー18は、一次ミラー16によって二次ミラー18に反射された太陽光線を、一次ミラー16の開口24を通して蓄熱装置20に向かって、そして蓄熱装置20の絶縁ハウジング32の内部46へと、反射することができる。図1に示すように、回転式追跡フレーム22は、一次ミラー16に装着され且つ間接的に二次ミラー18に装着されて太陽14を追跡し、一次ミラー16と二次ミラー18とを、日中可能な限り多くの太陽光線12を反射できる最良の位置に継続して位置させることができる。
【0012】
蓄熱材50は、装着された上面34、側面36、及び底面38の間の絶縁されたハウジング32の内部46の中に配置される、及び/又は同内部46を満たすことができる。蓄熱材50は、絶縁されたハウジング32の内部46中に反射された太陽14の太陽光線12からエネルギー21を収集/吸収することができる。蓄熱材50は、塩(硝酸ナトリウム及びカリウム)、黒鉛、炭素、溶融炭酸塩、及び/又はシリコン砂を含むことができる。他の実施形態では、蓄熱材50は、絶縁されたハウジング32の内部46中に反射された太陽14の太陽光線12から、エネルギー21を収集/吸収するあらゆる種類の熱蓄積吸収材料を含むことができる。
【0013】
複数のスターリングエンジン42は、側面36に設けられた穴44から、絶縁されたハウジング32の内部46中に延びることができる。各スターリングエンジン42は、シリンダー49内部に熱媒体48を含むことができる。シリンダー49内の熱媒体48は、絶縁されたハウジング32の内部46で蓄熱材50が太陽14の太陽光線12からエネルギー21を収集/吸収するとき、蓄熱材50からの熱伝達により加熱されうる。熱媒体48は、水素又はヘリウムを含むことができる。他の実施形態では、熱媒体48は他の材料を含むことができる。
【0014】
コイル52は、底面38の穴51を通って、絶縁されたハウジング32の内部46へと延びることができる。コイル52は、装着されてハウジング32の内部46を形成する上面34、側面36、及び底面38の間の、絶縁されたハウジング32の内部46内の蓄熱材50によって覆われる。コイル52は、リチウムブロマイドと水のような物質53、及び/又は別の種類の物質を含有しうる。コイル52及びコイル52内部の物質53は、絶縁されたハウジング32の内部46内において蓄熱材50が太陽14の太陽光線12からエネルギー21を収集/吸収するとき、蓄熱材からの熱伝達により加熱されうる。コイル52は、ステンレス鋼及び/又は他の材料から作製することができる。コイル52は、吸収冷凍発生器、ガス発生器、燃料電池、電気装置、機械装置、及び/又は別の種類のエネルギー蓄積又はエネルギー消費装置54のうちの少なくとも一つからなるエネルギー蓄積又はエネルギー消費装置54に取り付けることができる。コイル52及びコイル52内部の物質53が蓄熱材50からの熱伝達により熱くなると、エネルギー21を使用してエネルギー蓄積又はエネルギー消費装置54に動力を供給することができる。
【0015】
本集光型ソーラーパワーデバイス10は、いかなる熱伝達流体も、ポンプも、バルブも利用しない。これにより、流体、ポンプ、又はバルブを利用することにより熱伝達損失を招く他の既存のソーラーパワーデバイスよりも効率が上昇しうる。更に、本集光型ソーラーパワーデバイス10の一次ミラー16、二次ミラー18、蓄熱装置20、及び複数のスターリングエンジン42の組み合わせにより、反射損失が低減することにより、一次ミラー式反射器の焦点において単一のスターリングエンジンを使用する他の既存のソーラーパワーデバイスよりも効率が上昇しうる。集光型ソーラーパワーデバイス10は、10時間以上の運転が可能でありうる。別の実施形態では、集光型ソーラーパワーデバイス10は、10〜14時間の運転が可能でありうる。これは、5〜7時間の運転しか可能でない一又は複数の既存のソーラーパワーデバイスを大きく改善するものである。
【0016】
図4は、太陽14の太陽光線12からエネルギー21を収集する方法60の一実施形態のフローチャートである。一のステップ62では、一次ミラー16、二次ミラー18、及び蓄熱装置20を備えたソーラーパワーデバイス10を供給する。供給されたソーラーパワーデバイス10は、熱伝達流体、ポンプ、又はバルブのいずれも含まなくてよい。供給される一次ミラー16は、供給される二次ミラー18より実質的に大きなものにすることができる。二次ミラー18は、一次ミラー16の中央26と位置合わせし且つ同中央26から離間させることができる。供給された蓄熱装置20は、供給された一次ミラー16に取り付けることができる。このソーラーパワーデバイス10の一次ミラー16の中央26には開口24を画定することができ、供給される蓄熱装置20のレンズは、この開口24の真後ろに位置合わせされる。このレンズは高透過合わせガラス又は別の種類の材料から作製することができる。供給される蓄熱装置20は、ハウジング32の内部に蓄熱材50を含むことができる。蓄熱材50は、塩(硝酸ナトリウム及びカリウム)、黒鉛、炭素、溶融炭酸塩、シリコン砂、及び/又は別の種類の蓄熱材を含むことができる。
【0017】
別のステップ64では、供給された蓄熱装置20を複数のスターリングエンジン42に取り付ける。各スターリングエンジン42は、水素、ヘリウム、又は別の材料を含む熱媒体48を含むことができる。また別のステップ66では、吸収冷凍発生器、ガス発生器、燃料電池、電気装置、機械装置、及び/又は別の種類のエネルギー蓄積又はエネルギー消費装置54のうちの少なくとも一つから構成されるエネルギー蓄積又はエネルギー消費装置の蓄熱装置20内部のコイル52に、供給された蓄熱装置20を取り付けることができる。
【0018】
別のステップ68では、太陽14の太陽光線12を一次ミラー16から二次ミラー18に向かって反射させる。また別のステップ70では、一次ミラー16から反射された太陽光線12を、二次ミラー18から蓄熱装置20に向かって反射させる。また別のステップ72では、二次ミラー18から蓄熱装置20に向かって反射された太陽光線12を使用して、蓄熱装置20によってエネルギー21を収集する。ステップ72の間に、蓄熱装置50の蓄熱材50は、太陽光線12を吸収してエネルギー21を蓄積することができる。
【0019】
ステップ74では、蓄熱装置20によって収集したエネルギー21を使用して複数のスターリングエンジン42を稼動させる。ステップ76では、蓄熱装置20は、収集したエネルギー21を使用して、エネルギー蓄積又はエネルギー消費装置54に動力を供給する。ステップ78では、ソーラーパワーデバイス10は、熱伝達流体、ポンプ、又はバルブを持たないことによって、及び/又は反射損失を低減させることによって、効率を上昇させる。また別のステップ80では、供給されたソーラーパワーデバイス10は、10時間以上稼動することができる。
【0020】
本発明の一又は複数の実施形態は、流体、ポンプ、又はバルブを利用する結果熱伝達損失を招く他の既存のソーラーパワーデバイス又は使用方法と比較して、効率を改善することができる。本発明の一又は複数の実施形態では、反射損失を低減させる結果、一次ミラー反射器の焦点において単一のスターリングエンジンを利用しうる既存の他のソーラーパワーデバイス又は使用方法より効率が上昇しうる。本発明の一又は複数の実施形態は10時間以上の稼動が可能であり、これは5〜7時間しか稼動できない一又は複数の既存のソーラーパワーデバイスの実質的な改良である。
【0021】
言うまでもなく、上述の説明は本発明の例示的実施形態に関するものであり、特許請求の範囲に規定される本発明の理念及び範囲から逸脱することなく、変更を加えることが可能である。
また、本願は以下に記載する態様を含む。
(態様1)
太陽光線からエネルギーを収集するための蓄熱装置、
一次ミラー、及び
二次ミラー
を備えた集光型ソーラーパワーデバイスであって、一次ミラーは二次ミラーに向かって太陽光線を反射し、二次ミラーは蓄熱装置に向かって太陽光線を反射する、ソーラーパワーデバイス。
(態様2)
蓄熱装置がハウジング内部に蓄熱材を含んでおり、この蓄熱材が太陽光線を吸収してエネルギーを蓄積する、態様1に記載のソーラーパワーデバイス。
(態様3)
蓄熱材が、塩(硝酸ナトリウム及びカリウム)、黒鉛、炭素、溶融炭酸塩、及び/又はシリコン砂のうちの少なくとも一つを含んでいる、態様2に記載のソーラーパワーデバイス。
(態様4)
蓄熱装置が一次ミラーに取り付けられている、態様1に記載のソーラーパワーデバイス。
(態様5)
一次ミラーの中央に開口が画定されており、蓄熱装置のレンズがこの開口の真後ろに位置合わせされている、態様1に記載のソーラーパワーデバイス。
(態様6)
レンズが高透過合わせガラス組成物から作製されている、態様5に記載のソーラーパワーデバイス。
(態様7)
一次ミラーが二次ミラーより実質的に大きく、二次ミラーが一次ミラーの中央に位置合わせされて且つ一次ミラーの中央から離間している、態様1に記載のソーラーパワーデバイス。
(態様8)
蓄熱装置が複数のスターリングエンジンに取り付けられるように構成されている、態様1に記載のソーラーパワーデバイス。
(態様9)
スターリングエンジンの各々が、水素及びヘリウムのうちの少なくとも一つを含む熱媒体を含んでいる、態様8に記載のソーラーパワーデバイス。
(態様10)
蓄熱装置が、吸収冷凍発生器、ガス発生器、燃料電池、電気装置、及び機械装置のうちの少なくとも一つの蓄熱装置内部のコイルに取り付けられるように構成されている、態様1に記載のソーラーパワーデバイス。
(態様11)
蓄熱装置によって収集されたエネルギーは、前記吸収冷凍発生器、前記ガス発生器、前記燃料電池、前記電気装置、及び前記機械装置のうちの少なくとも一つに動力を供給する、態様10に記載のソーラーパワーデバイス。
(態様12)
熱伝達流体、ポンプ、又はバルブのいずれをも使用しない、態様1に記載のソーラーパワーデバイス。
(態様13)
熱伝達流体、ポンプ、又はバルブを持たないことと、反射損失を低減させることとにより、効率を上昇させる、態様12に記載のソーラーパワーデバイス。
(態様14)
10時間以上の稼動が可能である、態様13に記載のソーラーパワーデバイス。
(態様15)
太陽光線からエネルギーを収集する方法であって、
一次ミラー、二次ミラー、及び蓄熱装置を備えたソーラーパワーデバイスを供給すること、
一次ミラーから二次ミラーに向かって太陽光線を反射させること、
一次ミラーから反射された太陽光線を、二次ミラーから蓄熱装置に向かって反射させること、及び
二次ミラーから蓄熱装置に向かって反射された太陽光線を使用して、蓄熱装置によりエネルギーを収集すること
を含む方法。
(態様16)
供給された蓄熱装置が、ハウジング内部に配置された蓄熱材を更に備え、収集するステップの間に、蓄熱材が太陽光線を吸収してエネルギーを蓄積する、態様15に記載の方法。
(態様17)
蓄熱材が、塩(硝酸ナトリウム及びカリウム)、黒鉛、炭素、溶融炭酸塩、及び/又はシリコン砂のうちの少なくとも一つを含んでいる、態様16に記載の方法。
(態様18)
供給された蓄積装置が、供給された一次ミラーに取り付けられる、態様15に記載の方法。
(態様19)
供給されたソーラーパワーデバイスの一次ミラーの中央に開口が画定され、供給された蓄熱装置のレンズがこの開口の真後ろに位置合わせされる、態様15に記載の方法。
(態様20)
レンズが高透過合わせガラスから作製される、態様19に記載の方法。
(態様21)
供給された一次ミラーが供給された二次ミラーより実質的に大きく、供給された二次ミラーが供給された一次ミラーの中央に位置合わせされて且つ一次ミラーの中央から離間している、態様15に記載の方法。
(態様22)
供給された蓄熱装置を複数のスターリングエンジンに取り付けるステップ、及び蓄熱装置によって収集されたエネルギーを使用して複数のスターリングエンジンを稼動させるステップを更に含む、態様15に記載の方法。
(態様23)
複数のスターリングエンジンの各々が、水素及びヘリウムのうちの少なくとも一つを含む熱媒体を含む、態様22に記載の方法。
(態様24)
吸収冷凍発生液、ガス発生器、燃料電池、電気装置、及び機械装置のうちの少なくとも一つの蓄熱装置内部のコイルに、供給された蓄熱装置を取り付けるステップを更に含む、態様15に記載の方法。
(態様25)
前記収集したエネルギーを使用して、蓄熱装置が、前記吸収冷凍発生器、前記ガス発生器、前記燃料電池、前記電気装置、及び前記機械装置のうちの少なくとも一つに動力を供給するステップを更に含む、態様24に記載の方法。
(態様26)
供給されたソーラーパワーデバイスが、熱伝達流体、ポンプ、又はバルブのいずれをも含まない、態様15に記載の方法。
(態様27)
供給されたソーラーパワーデバイスが、熱伝達流体、ポンプ、又はバルブを持たないことと、反射損失を低減させることとによって、効率を上昇させるステップを更に含む、態様26に記載の方法。
(態様28)
供給されたソーラーパワーデバイスが10時間以上稼動するステップを更に含む、態様27に記載の方法。
図1
図2
図3
図4