(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
<<第一の実施形態>>
以下、本発明を適用する第一の実施形態について説明する。以下、本発明の実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0014】
図1は、本実施形態の磁気共鳴イメージング(MRI)装置100の一例の機能ブロック図である。本実施形態のMRI装置100は、静磁場を発生する磁石101と、患者等の被検体102を載せるベッド103と、被検体102に高周波磁場(以下、RFという)を照射し、エコー信号を検出するRFコイル104と、それぞれX方向、Y方向、Z方向のいずれかの方向にスライス選択、位相エンコード、周波数エンコードのいずれかの傾斜磁場を発生させる傾斜磁場発生コイル105、106、107と、RFコイル104に電源を供給するRF電源108と、各傾斜磁場発生コイル105、106、107に電源を供給するための傾斜磁場電源109、110、111と、シンセサイザ112と、変調装置113と、増幅器114と、エコー受信器115と、シーケンサ116と、計算機120とを備える。
【0015】
計算機120は、CPU121とメモリ(不図示)と記憶装置123と表示装置124と入力装置125とを備える。さらに、外部記憶装置を備えていてもよい。
【0016】
上記構成を有するMRI装置100において、シーケンサ116は、計算機120の入力装置124を介してオペレータにより設定された撮影条件と、計算機120の記憶装置112に格納されるパルスシーケンスと、に従って、傾斜磁場電源105、106、107に命令を送信し、傾斜磁場コイル108、109、110により各方向の傾斜磁場を発生させる。同時に、シンセサイザ112、変調装置113RF波形を生成させ、RF電源108にこのRF波形を増幅させてRFパルスを生成させ、RFコイル104からこのRFパルスを照射させる。
【0017】
被検体102から発生したエコー信号は、RFコイル104により受信され、増幅器114で増幅され、受信機115でA/D変換と検波とが行われる。検波の基準とする中心周波数は、記憶装置123に保持されているものを、シーケンサ116がエコー受信器115にセットする。検波されたエコー信号は、計算機120に送られて画像再構成処理が施され、結果が表示装置124に表示される。
【0018】
なお、ここでは、RFコイル104を送受信兼用としているが、これに限られない。RFを照射する送信用コイルとエコー信号を検出する受信用コイルとを、それぞれ別個に設けてもよい。また、受信コイルに関しては、複数の受信コイルを並列に配置して使用するよう構成してもよい。
【0019】
本実施形態では、MRA法などにより被検体102の3次元の領域を撮影し、再構成された3次元画像データからMIP像といった投影像を生成し、表示装置124に表示する。投影像を生成する際、不要組織を除去するクリッピング処理を自動で行う。以下、これを実現する本実施形態の構成について説明する。以下、本実施形態では、3次元画像データとしてMRA法により得た画像(MRA画像)、投影像としてMIP像を例にあげて説明する。
【0020】
図2は、本実施形態の計算機120の機能ブロック図である。本実施形態の計算機120は、予め記憶装置123に記憶されるパルスシーケンスとオペレータから入力される撮影条件とに従って各部を動作させ、上記撮影を実現する撮影部280と、得られたエコー信号からMRA画像を得る画像再構成部290と、MRA画像にクリッピング処理を行いMIP像を生成する表示画像生成処理を行う表示画像生成部200とを備える。
【0021】
また、表示画像生成部200は、3次元画像データから投影像を生成する投影像生成部210と、MRA画像において予め定められた不要組織の領域を特定するマップ処理を行う不要領域特定部220と、不要領域特定部220で特定した不要領域をMRA画像から除去する除去処理を行う不要領域除去部230とを備える。
【0022】
表示画像生成部200は、撮影対象部位、不要組織毎に、予め定められたテンプレートを用い、予め定められた手順で、投影像生成部210、不要領域特定部220および不要領域除去部230を動作させ、上記表示画像生成処理を行う。このため、本実施形態の計算機120は、記憶部300を備え、表示画像生成処理に必要な各種のデータを保持する。記憶300は、撮影対象部位、不要組織毎に使用可能なテンプレートが記憶されるテンプレートデータベース(テンプレートDB)310と、撮影対象部位、不要組織毎にクリッピング処理の手順(アルゴリズム)が記憶されるアルゴリズムデータベース(アルゴリズムDB)320と、表示画像生成処理により生成される表示画像データを保持する表示画像データベース(表示画像DB)330と、を備える。
【0023】
計算機120が実現する各機能は、計算機120のCPU121が記憶装置123に格納されるプログラムを、メモリにロードして実行することにより実現される。また、記憶部310は、記憶装置123上に構築される。
【0024】
本実施形態の撮影処理全体の流れを
図3に示す。オペレータから撮影開始の指示を受け付けると、撮影部280は、オペレータから入力され記憶装置123に記憶されている撮影パラメータと予め記憶装置123に記憶されているパルスシーケンスとに従って、シーケンサ116に指示を与え、MRA法による計測を実行し、エコー信号を収集する(ステップS1001)。画像再構成部290は、収集したエコー信号からMRA画像を再構成する(ステップS1002)。
【0025】
次に、表示画像生成部200は、MRA画像に対し、クリッピング処理を含む表示画像生成処理を行い、MIP像を生成し、クリッピング処理後のMRA画像を記憶装置123に記憶するとともに表示装置124に表示する(ステップS1003)。
【0026】
ここで、ステップS1003における、表示画像生成部200による、表示画像生成処理の基本的な流れについて説明する。
図4は、本実施形態の表示画像生成処理の処理フローである。表示画像生成部200は、MRA画像が生成されたことを受け、処理を開始する。まず、表示画像生成部200は、MRA画像を、表示画像データとして表示画像データベース330に保持する(ステップS1101)。そして、不要領域特定部220に、マップ処理を行わせ(ステップS1102)、不要領域除去部230に、除去処理を行わせる(ステップS1103)。そして、表示画像生成部200は、投影像生成部210に、不要領域除去後のMRA画像(除去後MRA画像)から、MIP像を生成させ(ステップS1104)、生成されたMIP像を表示装置124に表示する(ステップS1105)。また、表示画像データベース330に保持される表示画像を、除去後のMRA画像で更新する(ステップS1106)。なお、ステップS1106は、除去処理後であれば、いつ行ってもよい。また、ステップS1101の処理は行わなくてもよい。
【0027】
次に、表示画像生成処理のステップS1102のマップ処理およびステップS1103の除去処理の詳細について、
図5および
図6を用いて説明する。
図5は、マップ処理および除去処理の処理フローであり、
図6は、マップ処理を説明するための図である。ここでは、一例として、撮影対象部位を頭部、不要組織を頭蓋骨周りの脂肪、MIP像の中のアキシャル像を用いて、マップ処理および除去処理を行う場合を例にあげて説明する。以下、MRA画像について、アキシャル面上の直交する2方向をx軸、y軸とし、アキシャル面に直交する方向をz軸とする。
【0028】
まず、不要領域特定部220は、投影像生成部210に、処理対象のMRA画像(表示画像DB330に記憶されているMRA画像)からMIP像を生成させる(ステップS1201)。次に、不要領域特定部220は、テンプレートDB310からマップ処理に用いるテンプレート等を抽出する(ステップS1202)。
【0029】
本実施形態では、マップ処理に関数モデルのテンプレートを用いる。このテンプレートは、撮影対象部位、不要組織毎に、これらに対応付けてテンプレートDB310に予め保持される。また、テンプレートDB310には、この関数モデルのテンプレートに加え、不要領域を特定する情報が同様に撮影対象部位、不要組織毎に記憶される。例えば、頭部アキシャル像において、頭蓋骨周りの脂肪を不要組織として除去するテンプレート410として、
図6(a)に示す楕円が記憶される。また、不要領域を特定する情報として、この楕円の短軸および長軸それぞれの半径80%以上100%以下の領域を示す情報が記憶される。従って、ここでは、不要領域特定部220は、予め指示された撮影対象部位、不要領域の情報に基づき、テンプレート410と不要領域を特定する情報とを抽出する。
【0030】
そして、生成されたMIP像の中のアキシャル像420の頭部画像にテンプレート410を合致させる形状変換処理を行う(ステップS1203)。
【0031】
形状変換処理では、不要領域特定部220は、まず、楕円411の中心(Xc、Yc)を、頭部421の中心(Xh、Yh)に合致させる。頭部421の中心(Xh、Yh)は、
図6(b)に示すように、頭部421の左右方向の端部のラインX1、X2間の左右方向の中点と、前後方向の端部のラインY1、Y2間の前後方向の中点と、の交点とする。
なお、ラインX1、X2は、アキシャル像420をそれぞれ左端部および右端部から走査し、予め定められた閾値をはじめて越えるラインとする。また、ラインY1、Y2は、アキシャル像420をそれぞれ前端部および後端部から走査し、予め定められた閾値を始めて越えるラインとする。不要領域特定部220は、両中心を合致させた後、楕円411をアフィン変換により変形し、頭部421の輪郭にフィットさせるフィッティング処理を行う。なお、頭部421の輪郭は、通常の画像処理のエッジ処理等を用いて抽出する。この形状変換処理により、テンプレート410の楕円411とアキシャル像420上の被検体102の頭部の画像(頭部画像)421の形状とが一致する。
【0032】
そして、不要領域特定部220は、テンプレート410上で不要領域として特定される領域に対応付けられる頭部画像421上の領域を、除去対象領域として特定する(ステップS1204)。すなわち、フィッティング処理によって、頭部421において、テンプレート410上で予め定められた不要領域に対応付けられた領域(
図6(c)の、短軸がΦx1で長軸がΦy1の楕円と、短軸がΦx2で長軸がΦy2である楕円とに囲まれた領域)を、除去対象領域として特定する。
【0033】
除去対象領域が特定されると、不要領域除去部230は、不要領域除去処理を行う(ステップS1205)。ここでは、除去対象領域に対応する画素の画素値(信号値)を0とし、短軸がΦx1で長軸がΦy1の楕円の内側の領域に対応する画素の画素値(信号値)を1とするマスク画像430を生成する。マスク画像の一例を
図6(d)に示す。このマスク画像を、MRA画像のz軸方向の全範囲に渡り積算し、不要組織領域(ここでは、頭部頭蓋骨周りの脂肪領域)を除去する。この不要領域除去処理により、短軸がΦx1で長軸がΦy1の楕円と、短軸がΦx2で長軸がΦy2の楕円とに囲まれた領域を底辺とする二重楕円筒状の領域の画素値が0とされた、除去後MRA画像を得る。除去後MRA画像から生成したMIP像440の一例を
図6(e)に示す。
【0034】
表示画像生成部200は、以上の処理を、撮影対象部位、不要組織毎に、アルゴリズムDB320に予め記憶されるアルゴリズムに従って、テンプレートDB310に記憶されるテンプレート410等を用い、実行する。
【0035】
なお、除去後MRA画像から生成したMIP像440を表示装置124に表示後、結果の採用の可否についてオペレータからの指示を受け付けるよう構成してもよい。この場合の処理の基本的な処理の流れを
図7に示す。ステップS1104までは、
図4に示す、可否判断の処理のない表示画像生成処理と同じである。
【0036】
その後、表示画像生成部200は、MIP像とともに可否を受け付ける受付画面を表示させる(ステップS1105)。受付画面を生成するための画面データも、この場合は、記憶部310に予め記憶される。受付画面を介して、オペレータから承認(可)の指示を受け付けると(ステップS1106)、表示画像生成部200は、そのまま、除去後MRA画像から生成したMIP像を表示させ、除去後MRA画像で表示画像データを更新し(ステップS1107)、処理を終了する。
【0037】
一方、ステップS1106で却下(否)の指示を受け付けると、表示画像生成部200は、投影像生成部210に、その時点で表示画像データとして表示画像データベースに記憶されているMRA画像を用いてMIP画像を生成させ(ステップS1108)、生成されたMIP画像を表示装置124に表示する(ステップS1109)。これにより、本実施形態の表示画像生成処理によるクリッピングが適切に行われなかった場合、処理前のMRA画像をそのまま表示画像データとして保持できる。オペレータは、その表示画像データ上で従来どおり手動でクリッピング処理を行うことができる。
【0038】
受付画面の一例を
図8に示す。本図に示すように、受付画面910は、MIP像を表示する画像表示領域913と、可の指示を受け付ける承認ボタン911と、不可の指示を受け付ける却下ボタン912とを備える。表示画像生成部200は、記憶部300の表示画像DB330に保持される画像データから当該受付画面910を生成する。
【0039】
以下、アルゴリズムDB320に記憶されるアルゴリズムに従って行う本実施形態の表示画像生成処理の流れを、頭部に適用する場合を例にあげて説明する。
図9は、本実施形態の表示画像生成処理を頭部に適用する場合の処理フローである。オペレータは予め、撮影対象部位を頭部、不要組織を脂肪とする指示を入力する。処理開始の指示を受け付けると、表示画像生成部200は、記憶部310にアクセスし、指示された撮影対象部位および不要組織に対応づけて格納される、テンプレートおよび処理アルゴリズムを、それぞれテンプレートDB310およびアルゴリズムDB320から抽出する(ステップS1301)。
【0040】
ここでは、処理アルゴリズムとして、以下の手順が登録される。まず、MIP像の中のアキシャル像上で、頭蓋骨周辺の脂肪領域を特定し、アキシャル像に直交する方向(z軸方向)全範囲にわたり、MRA画像から除去する。そして、除去結果の可否の判断を受け、可であれば、除去後MRA画像からMIP像を生成し、そのサジタル像上で、眼窩周辺の脂肪領域を特定し、サジタル像に直交する方向全範囲にわたり、除去する。同様に結果の可否の判別を受け、可であれば、除去後MRA画像からMIP像を生成し、そのコロナル像上で眼窩周辺の脂肪領域を特定し、コロナル像に直交する方向全範囲にわたり、除去する。なお、可否判断において否である場合は、その時点で処理を終了する。
【0041】
また、頭部、脂肪領域除去に対応するテンプレート410として、それぞれ、アキシャル像上で頭蓋骨周辺の脂肪領域を特定するもの、サジタル像上で眼窩周辺の脂肪領域を特定するもの、コロナル像上で眼窩周辺の脂肪領域を特定するものが登録される。
【0042】
次に、表示画像生成部200は、MRA画像を表示画像データとして表示画像DB330に保持する(ステップS1302)。そして、不要領域特定部220に、マップ処理を行わせ(ステップS1303)、不要領域除去部230に除去処理を行わせ(ステップS1304)、除去後MRA画像を得る。マップ処理では、まず、投影像生成部210にMIP像を生成させ、そのアキシャル像上で行う。
【0043】
表示画像生成部200は、投影像生成部210に除去後MRA画像からMIP像を生成させ(ステップS1305)、受付画面910を生成し、表示装置124に表示する(ステップS1306)。そして、表示画像生成部200は、承認または却下の指示を待つ。
【0044】
オペレータから却下の指示を受け付けた場合(ステップS1307)、表示画像生成部200は、投影像生成部210に、現時点で表示画像DB330に保持される表示画像データからMIP像を生成させ(ステップS1331)、表示装置240に表示し(ステップS1332)、処理を終了する。
【0045】
一方、ステップS1307でオペレータから承認の指示を受け付けた場合、表示画像生成部200は、除去後MRA画像を表示画像データとして表示画像DB330に保存する(ステップS1308)。
【0046】
次に、アルゴリズムに従って、表示画像生成部200は、表示画像DB330に保存されている表示画像データ(MRA画像)に対し、マップ処理を行わせる(ステップS1309)。ここでは、投影像生成部210にMIP像を生成させ、そのサジタル像をもちいて行う。その後、不要領域除去部230に除去処理を行わせる(ステップS1310)。
そして、投影像生成部210に除去後MRA画像からMIP像を生成させ(ステップS1311)、受付画面910を生成し、表示装置124に表示する(ステップS1312)。そして、表示画像生成部200は、承認または却下の指示を待つ。
【0047】
オペレータから却下の指示を受け付けた場合(ステップS1313)、表示画像生成部200は、ステップS1331へ移行する。
【0048】
ステップS1315でオペレータから承認の指示を受け付けた場合、表示画像生成部200は、除去後MRA画像を表示画像データとして表示画像DB330に保存する(ステップS1314)。
【0049】
次に、アルゴリズムに従って、表示画像生成部200は、不要領域特定部220にマップ処理を行わせる(ステップS1315)。ここでは、投影像生成部210に、表示画像DB330に保存されているMRA画像からMIP像を生成させ、そのコロナル画像上でマップ処理を行わせる。そして、不要領域特定部220に、コロナル像上でマップ処理を行わせる。そして、不要領域除去部230に除去処理を行わせる(ステップS1316)。そして、投影像生成部210に、除去後MRA画像からMIP像を生成させ(ステップS1317)、受付画面910を生成し表示装置124に表示する(ステップS1318)。そして、表示画像生成部200は、承認または却下の指示を待つ。
【0050】
オペレータから却下の指示を受け付けた場合(ステップS1319)、表示画像生成部200は、ステップS1331へ移行する。
【0051】
一方、ステップS1319でオペレータから承認の指示を受け付けた場合、表示画像生成部200は、除去後MRA画像を表示画像データとして表示画像DB330に保存し(ステップS1320)、処理を終了する。なお、ここでは、サジタル像上での処理をコロナル像上での処理より先に行うよう構成しているが、コロナル像上での処理を先に行うよう構成してもよい。
【0052】
また、ここでは、アキシャル像、サジタル像、コロナル像それぞれにおける除去処理後に処理結果の可否を判別しているが、必ずしも可否を判別しなくてもよい。例えば、アキシャル像上で除去後、可否判断無しにサジタル像またはコロナル像での除去に移行するよう構成してもよい。
【0053】
本実施形態によれば、以上の手順で、頭部といった複雑な形状を有し、不要組織である脂肪が複雑に分布する部位が撮影対象部位である場合であっても、自動的に効率よくクリッピング処理を行うことができる。なお、ここでは、撮影対象部位として頭部、不要組織として脂肪、とする場合を例に挙げて説明したが、撮影対象部位または不要組織が他のものであっても基本的に同様である。また、ここでは、アキシャル像、サジタル像、コロナル像の全てのMIP像の上でマップ処理および除去処理を行うよう構成しているが、全ての像で行う必要はなく、少なくとも1つの像で行えばよい。例えば、下肢の場合は、アキシャル像と、サジタル像およびコロナル像のいずれか一方で行えばよい。
【0054】
撮影対象部位が下肢で、不要組織が脂肪の場合の表示画像処理用のアルゴリズムの一例を示す。まず、MIP像の中のアキシャル像上で、皮下の脂肪領域を特定し、上述のように、z軸方向全範囲にわたり、MRA画像から除去する。そして、除去結果の可否の判断を受け、可であれば、除去後のMRA画像からMIP像を生成し、そのサジタル像上で、残存する皮下の脂肪領域を特定し、サジタル像に直交する方向の全範囲にわたり、除去する。皮下の特定は、例えば、
図14に示すプロファイルを作成し、背景部と脂肪と筋肉との境界を判別することにより行う。なお、サジタル像の代わりにコロナル像を用いるよう構成してもよい。
【0055】
また、下肢の脂肪領域除去に対応するテンプレート410として、それぞれ、アキシャル像上で皮下の脂肪領域を特定するもの、コロナル像(またはサジタル像)上で皮下の脂肪領域を特定するもの、が登録される。アキシャル像上で脂肪領域を特定するテンプレート410の一例を
図10(a)に示す。
【0056】
下肢の場合、アキシャル像上において、左右にそれぞれ独立した2つの処理対象領域が存在する。従って、
図10(a)に示すように、2つの楕円を有するテンプレート410が登録される。また、脂肪領域として、それぞれの楕円において、短軸および長軸方向に予め定めた範囲を特定する情報が保持される。なお、2つの楕円について、それぞれ独立して、中心および輪郭を合致させる形状変換処理を行い、不要領域を特定する。
図10(b)は、テンプレート410とアキシャル画像との積算に用いるマスク画像430の一例であり、
図10(c)は、本実施形態の表示画像生成処理を施した除去後MRA画像から生成したMIP像(アキシャル像)440である。
【0057】
以上説明したように、本実施形態によれば、MRA画像からMIP像を生成するにあたり、撮影対象部位、不要組織に応じて、自動でクリッピング処理を行う。このため、煩雑な操作無しに、不要組織を除去されたMRA画像から投影像を得ることができる。従って、MRA画像からMIP像を生成する際のオペレータの操作を軽減でき、オペレータの技量を問わず、不要な組織が適切に除去された高い品質の投影像を得ることができる。
【0058】
また、MIP像生成後の従来の手動による処理を妨げることがないため、オペレータは、本実施形態によるクリッピング後に、解剖学的な知識や検査毎に異なる不要組織等の詳細な除去を通常どおり行うことができる。このとき、典型的な不要組織を除去後のMIP像においてクリッピング処理を行うことになるため、容易かつ適切に行うことができる。
【0059】
また、可否を受け付ける処理を設け、表示画像生成部によるクリッピング結果が満足のいくものでない場合、クリッピング前のMRA画像に戻すよう構成することにより、本実施形態によるクリッピング結果が所望のものでない場合、従来どおり手動でクリッピング処理を行うことができる。
【0060】
なお、本実施形態では、MIP像のアキシャル像上で不要組織領域を特定し、アキシャル像に直交する方向全領域に渡って、楕円筒状に除去する場合を例にあげて説明しているが、これに限られない。所定間隔のスライス毎に、マップ処理を行い、スライス厚分、除去処理を行うよう構成してもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、2次元の関数モデルをテンプレートとする場合を例にあげて説明しているが、これに限られない。例えば、テンプレートは3次元関数モデルであってもよい。この場合、3次元関数モデルのテンプレートをMRA画像に合致するよう形状変換を行い、MIP像を生成することなく、3次元データであるMRA画像上でフィッティングさせる。そして、特定された除去対象領域を除去する。
【0062】
<<第二の実施形態>>
次に本発明を適用する第二の実施形態について説明する。本実施形態のMRI装置は、基本的に第一の実施形態と同様の構成を有する。第一の実施形態では、マップ処理に用いるテンプレートとして、予め保持する関数テンプレートを用いている。しかし、本実施形態では、テンプレートを、3次元画像データの取得に先行して行う他種の撮影で得た画像から生成する。以下、本実施形態の詳細について、第一の実施形態と異なる構成に主眼をおいて説明する。本実施形態においても、MRA画像としてMRA法により得た画像(MRA画像)、投影像としてMIP像を例にあげて説明する。
【0063】
まず、本実施形態の計算機120の機能構成について説明する。
図11は、本実施形態の計算機120の機能ブロック図である。本実施形態の計算機120は、基本的に第一の実施形態の計算機120と同様の機能を備える。但し、上述のようにテンプレート410を生成するため、本実施形態の計算機120は、さらに、テンプレート作成部270を備える。本機能も、他の機能同様、計算機120のCPU121が、記憶装置123に格納されたプログラムをメモリにロードして実行することにより実現される。
【0064】
また、記憶部300のアルゴリズムDB320には、撮影対象部位、不要組織毎に、テンプレートを生成するために実行すべき撮影シーケンス、撮影パラメータ、および、テンプレート作成手順がさらに記憶される。なお、テンプレートを生成するために実行すべき撮影パラメータの中で、撮影領域に関する撮影パラメータについては、MRA画像を取得する撮影における撮影領域に関する撮影パラメータと同じものを用いる。
【0065】
以下、本実施形態のテンプレート作成部270によるテンプレート作成処理について説明する。ここでは、撮影対象部位を頭部、除去対象組織を脂肪とする。脂肪は、T1強調画像およびT2強調画像の双方において高信号を示す。従って、テンプレート410を生成するための実行すべき撮像として、アルゴリズムDB320には、T1強調画像取得シーケンスおよびT2強調画像取得シーケンスが格納される。
【0066】
テンプレート作成部270は、T1強調画像とT2強調画像において、共に予め定めた閾値以上の高信号を示す領域を脂肪領域とすることにより、脂肪領域を特定するテンプレート410を生成する。すなわち、T1強調画像およびT2強調画像それぞれのMRA画像から、3方向のMIP像(アキシャル像、サジタル像、コロナル像)を生成する。そして、各MIP像において、閾値以上の高信号を示す領域を脂肪領域(除去対象領域)とし、該当する画素の信号値(画素値)を0とする。また、背景部分と脂肪領域とを除く領域を、非除去領域とし、該当する画素の信号値(画素値)を1とする。そして、両者を積算し、3方向のテンプレート410(アキシャル方向用、サジタル方向用、コロナル方向用)を生成する。
【0067】
本実施形態の撮影処理全体の流れを
図12に示す。オペレータから撮影開始の指示を受け付けると、撮影部280は、オペレータから入力され記憶装置123に記憶されている撮影パラメータと予め記憶装置123に記憶されているパルスシーケンスとに従って、シーケンサ116に指示を与え、T1強調画像データを生成可能な計測を実行し、エコー信号を収集し、画像再構成部290は、得られたエコー信号からT1強調画像を再構成する(ステップS1401)。次に、撮影部280は、同様にT2強調画像データを生成可能な計測を実行し、エコー信号を収集し、画像再構成部290は、得られたエコー信号からT2強調画像を再構成する(ステップS1402)。なお、ステップS1401およびステップS1402は、いずれが先であってもよい。
【0068】
次に、撮影部280は、オペレータから入力され記憶装置123に記憶されている撮影パラメータと予め記憶装置123に記憶されているパルスシーケンスとに従って、シーケンサ116に指示を与え、MRA画像を生成可能な計測を実行し、エコー信号を収集し、画像再構成部290は、収集したエコー信号からMRA画像を再構成する(ステップS1403)。
【0069】
この間、テンプレート生成部270は、得られたT1強調画像およびT2強調画像から、テンプレート410を生成し、テンプレートデータベース310に記憶する(ステップS1404)。表示画像生成部200は、ステップS1403で取得した3次元画像に対し、ステップS1403で記憶したテンプレート410を用いて表示画像生成処理を行い、クリッピング処理後のMRA画像を記憶装置123に記憶するとともに表示装置124に表示する(ステップS1405)。なお、表示画像生成処理は、第一の実施形態と同様である。
【0070】
以上の手順で、本実施形態では、MRA画像から不要組織を除去し、MIP像を生成する。このとき、上述のように、テンプレート410を作成する基礎としたT1強調画像およびT2強調画像は、クリッピングの対象とするMRA画像と同じ被検体102の同じ撮影領域を撮影したものである。従って、テンプレート410と、クリッピング対象のMRA画像から生成したMIP像との形状、サイズは略合致する。従って、マップ処理において、形状変換処理は、基本的には行わなくてもよい。なお、両者のサイズが異なる場合は、第一の実施形態同様、形状変換処理を行い、合致させてから、不要領域を特定し、不要領域除去処理を行う。
【0071】
以上、本実施形態における、MRA画像からクリッピングにより不要領域からの信号を除去し、投影像を生成する手法について説明した。本実施形態において、表示画像生成処理は、第一の実施形態で説明したいずれの手法も用いることができる。
【0072】
以上説明したように、本実施形態によれば、MRA画像を取得する撮影対象を撮影して得た別の画像から生成したテンプレートをマップ処理に用いる。従って、第一の実施形態同様、MRA画像から効率的に不要領域の特定ができるとともに、同対象から得たデータからテンプレートを生成するため、マップ処理時に形状変換処理を行わなくても、精度良く合致させることができる。
【0073】
なお、本実施形態では、T1強調画像およびT2強調画像とからテンプレート410を生成する例をあげたが、テンプレートを生成する撮影はこれに限られない。例えば、上述のように不要組織が脂肪である場合、水脂肪分離撮影を行い、脂肪画像を取得し、それを元にテンプレート410を生成してもよい。
【0074】
また、本実施形態においても、生成するテンプレートは、3次元のものであってもよい。この場合、取得した3次元データであるT1強調画像およびT2強調画像からそのまま作成する。また、マップ処理および除去処理は第一の実施形態の、テンプレートが3次元モデルである場合と同様である。
【0075】
<<第三の実施形態>>
次に、本発明を適用する第三の実施形態を説明する。本実施形態では、処理対象の3次元画像データそのものから、テンプレートを生成する。本実施形態のMRI装置は、基本的に上記各実施形態のいずれかと同様である。以下、本実施形態について、第一の実施形態と異なる構成に主眼をおいて説明する。本実施形態においても、MRA画像としてMRA法により得た画像(MRA画像)、投影像としてMIP像を例にあげて説明する。
【0076】
本実施形態においても、計算機120は、第二の実施形態同様、テンプレート生成部270を備える。ただし、本実施形態のテンプレート生成部270は、MRA画像からテンプレート410を生成する。以下、本実施形態のテンプレート生成部270によるテンプレート生成処理について
図13および
図14を用いて説明する。
図13は、本実施形態のテンプレート生成部270によるテンプレート生成処理の処理フローである。また、
図14は、本実施形態のテンプレート生成処理を説明するための図である。
【0077】
ここでは、撮影対象が頭部、不要組織を頭部頭蓋骨周辺の脂肪、眼窩の脂肪とする場合を例にあげて説明する。
図14に、一例として、仮想直線511として前後方向の仮想直線511aと左右方向の仮想直線511bとを設定した場合を示す。
図14(a)は中心断面画像510、
図14(b)は、前後方向の仮想直線511a上の信号プロファイル512aを、
図14(c)に左右方向の仮想直線511b上の信号プロファイル512bを示す。
図14(b)および
図14(c)において、横軸は、仮想直線に沿った位置、縦軸は信号強度を示す。
【0078】
MRA画像のヘッド・フット方向(体軸方向)に垂直な断面の複数のスライスの中から、当該ヘッド・フット方向の中心スライスを特定する(ステップS1501)。特定されたスライスの画像(中心断面画像)510を描出し、
図14(a)に示すように、中心断面画像510の中心P1を検出し、基準点とする(ステップS1502)。中心P1は、中心断面画像510上で、第一の実施形態で、頭部421の中心を求める手法と同様の手法で求める。または、中心断面画像の各画素値から算出した重心を中心P1としてもよい。
【0079】
次に、中心断面画像510上で、中心P1を通る仮想直線511を複数設定する(ステップS1503)。設定した複数の仮想直線511上の信号プロファイル512をそれぞれ導出する(ステップS1504)。
【0080】
これらの信号プロファイル512に対し、撮影部位毎、不要組織毎に予め定められた不要領域を検出し、不要領域を特定するテンプレート410を生成する(ステップS1505)。不要領域の検出は、不要対象領域の両側を構成する外側境界OBと内側境界IBとを特定することにより行う。外側境界OBは、頭蓋と背景との境界と合致し、内側境界IBは、頭蓋と脳との境界と合致する。従って、これらの両境界を検出し、それぞれ閉曲線を構成し、その閉曲線内で囲まれた領域を不要組織領域とするテンプレート410とする。
【0081】
まず、外側境界OBの検出を行う。外側境界OBは、信号プロファイル512上で、1)空間微分が大きい、2)頭部画像の端部が撮像範囲外である場合、信号プロファイル512の両端の信号強度が比較的高い値となる、といった特徴を有する。これらの特徴を踏まえ、両端それぞれについて、信号強度が予め定めた閾値より高いか否かを判別する。高い場合、頭部画像の端部が撮像範囲外と判断し、端部を外側境界OBとする。閾値以下である端部について、中心P1方向に向かって信号プロファイル512を走査し、最初に空間微分値が予め定めた閾値より大きくなる箇所を外側境界OBと判別する。以上の手順で各信号プロファイル512上で外側境界OBを検出する。そして、隣接した信号プロファイル512間の最寄りの外側境界OB同士を接続することにより、閉曲線を生成する。
【0082】
次に、内側境界IBの検出を行う、内側境界IBは、信号プロファイル512上で、1)空間微分が大きい、2)特定の箇所では、内側境界IBであっても、空間微分が低減し、不明瞭となることがある、といった特徴を有する。これらの特徴を踏まえ、まず、各信号プロファイル512上で検出した各外側境界OBから、中心P1方向に向かって信号プロファイル512を走査し、最初に空間微分値が予め定めた閾値より大きくなる箇所を内側境界IBと判別する。中心P1までの間にそのような箇所が検出されない場合は、隣接する仮想直線511であって、内側境界IBが検出された仮想曲線511上で、最寄りの外側境界OBとの間の距離d1を検出し、外側境界OBから距離d1だけ中心P1側の位置を当該仮想直線511上の内側境界IBとする。内側境界IBについても、外側境界OB同様、隣接した仮想直線511間の最寄りの内側境界IB同士を接続することにより、閉曲線を生成する。なお、
図14(c)の矢印で示す2箇所は、内側境界IBに該当する。
【0083】
なお、広い範囲にわたって、内側境界IBが検出不能である場合に備え、予め、対象部位、除去対象組織毎に、外側境界OBと内側境界IBとの間の除去対象組織の幅d2を予め定め、保持するよう構成してもよい。この場合、例えば、外側領域OBのみ検出し、仮想直線511上で内側領域IBはOBから距離d2だけ中心P1側の位置を、内側領域と決定するよう構成してもよい。
【0084】
次に、本実施形態の撮影処理全体の流れを
図15に示す。オペレータから撮影開始の指示を受け付けると、撮影部280は、オペレータから入力され記憶装置123に記憶されている撮影パラメータと予め記憶装置123に記憶されているパルスシーケンスとに従って、シーケンサ116に指示を与え、MRA法による計測を実行し、エコー信号を収集する(ステップS1601)。画像再構成部290は、収集したエコー信号からMRA画像を再構成する(ステップS1602)。
【0085】
次に、テンプレート生成部270は、上記テンプレート生成処理を行い、MRA画像からテンプレート410を生成する(ステップS1603)。その後、表示画像生成部200は、ステップS1603で生成したテンプレート410を用い、MRA画像に対し、クリッピング処理を自動的に行う表示画像生成処理を行い、投影像(ここでは、MIP像)を生成し、クリッピング処理後のMRA画像を記憶装置123に記憶するとともに表示装置124に表示する(ステップS1604)。なお、本実施形態においても、表示画像生成処理は、第一の実施形態と同様である。
【0086】
以上説明したように、本実施形態によれば、MRA画像そのものからテンプレートを生成し、不要領域を除去するため、形状変換処理が不要である。また、第二の実施形態のように、テンプレートを作成するための撮像が不要である。このため、上記各実施形態で得られる効果に加え、短時間に高精度な除去を実現することができる。
【0087】
なお、上記においては、中心断面画像510上で作成したテンプレート410のみを用い、MRA画像から筒状に不要領域を除去しているが、これに限られない。例えば、全スライスに渡り、上記同様の処理を行い、テンプレートを生成し、スライス毎に、不要領域を特定し、除去するよう構成してもよい。各スライスでテンプレートを生成し、不要領域を除去するよう構成することにより、より精度の高い不要領域除去処理を実現することができ、より高品質の画像を得ることができる。
【0088】
スライス毎にテンプレートを生成する場合、仮想直線511上において、隣接するスライスで特定した外側領域OBおよび内側領域IBの近傍のみを走査し外側領域OBおよび内側領域IBを検出するよう構成し、処理時間を短縮してもよい。
【0089】
また、スライス毎にテンプレートを生成する場合、MRA画像の空間分解能を低減し、テンプレートを生成してもよい。例えば、MRA画像が、512×512×64画素で構成される場合、近傍画素の平均値を新たな画素とし、256×256×32の画素で構成される画像データに再構築し、その後、テンプレート作成処理を行う。ここでは、テンプレートに対し拡大処理を行うことにより、不要領域特定処理を行う。
【0090】
また、全スライスのテンプレートを生成するのではなく、予め定めた間隔のスライス毎に上記手順でテンプレートを生成し、当該間隔ごとに筒状に不要領域を除去するよう構成してもよい。
【0091】
また、本実施形態においても、生成するテンプレートは3次元であってもよい。この場合、3次元画像データの重心を決定し、この重心を通り、異なる面上の少なくとも3本の仮想直線上の信号プロファイルから、上記手法により外側領域OBおよび内側領域IBを決定する。そして3次元空間において2つの閉曲面を決定し、除去領域を特定可能なテンプレートを生成する。マップ処理および除去処理は第一の実施形態と同様である。
【0092】
以上、関数テンプレートを用いるもの、他の画像から生成するテンプレートを用いるもの、MRA画像から生成するテンプレートを用いるもの、それぞれ独立した実施形態として説明した。しかし、計算機120に上記各実施形態で説明した全機能を持たせ、いずれの実施形態のテンプレートを用いて除去するか、オペレータが選択可能なように構成してもよい。この場合の選択画面920の一例を
図16に示す。選択画面920を生成するための画像データは、記憶部300に予め保持される。オペレータが、クリッピング処理を含んだ表示画像生成処理を行う指示を入力したことを受けて、計算機120は、画像データから選択画面920を生成し、表示装置124に表示する。そして、計算機120は、受け付けた手法に従って、撮影、画像再構成を行い、表示画像生成処理を行う。
【0093】
選択画面920は、撮像部位の指定を受け付ける撮像部位指定領域921、不要領域を特定する手法の指示を受け付ける特定手法選択領域922と、詳細条件表示入力領域923とを備える。
【0094】
特定手法選択領域922には、表示画像生成部200が用いるテンプレートの種別が表示され、オペレータが選択可能なように構成される。ここでは、一例として、上記第一の実施形態に示す、予め記憶装置123に保持する関数テンプレートを用いる幾何学法と、第二の実施形態に示す、MRA画像の取得に先立ち、テンプレート生成に適した異なる撮影を行い、その結果からテンプレートを生成する脂肪マップ法と、第三の実施形態に示す、MRA画像そのものからテンプレートを生成する自己参照法とを示す。
【0095】
詳細条件表示入力領域923には、例えば、第一の実施形態で説明した関数データによるテンプレートを用いる手法が選択された場合に、使用可能なテンプレートを表示し、オペレータによるいずれのテンプレートを使用するかの指示を受け付ける。また、処理に用いる各種の閾値の初期値を表示させ、オペレータからの変更を受付ける。
【0096】
なお、撮像部位指定領域921はなくてもよい。撮像部位の情報は。撮像のために入力される撮像パラメータを流用してもよい。あるいは、撮像に使用する受信コイルを検出し、撮像部位を特定するよう構成してもよい。
【0097】
なお、撮影開始前に、他の撮影パラメータをオペレータが入力するタイミングで、選択画面920を表示させ、オペレータからの入力を受付けるよう構成してもよい。この場合、選択画面920からオペレータが入力した情報を、記憶装置123に記憶するよう構成してもよい。MRA画像を取得後、自動的にクリッピング処理が行われ、不要領域が特定され、除去された表示画像データを得ることができる。また、3次元画像取得する撮影が成される場合は、必ず、クリッピング処理を実行するよう構成してもよい。
【0098】
また、各実施形態で説明した手法を併用可能なよう構成してもよい。例えば、撮影対象部位が頭部であり、除去対象組織が脂肪である場合、頭蓋骨周りの脂肪の除去には、MRA画像から生成したテンプレートを用い、これにより除去後の表示画像データから、眼窩周りの脂肪について、T1強調画像およびT2強調画像から生成したテンプレートを用い除去する。なお、このとき、眼窩周りの脂肪を除去するためのテンプレートの生成において、予め保持するテンプレートを参照し、おおよその位置を特定して決定するよう構成してもよい。
【0099】
この場合は、例えば、撮影対象部位の、処理対象MIP像毎に、特定手法の選択が可能なように構成する。また、計算機120は、アルゴリズム生成部を備えるよう構成する。
このアルゴリズム生成部が、MIP像毎に使用するテンプレートを特定し、表示画像生成処理のテンプレートを完成させる。
【0100】
表示画像生成処理の特定手法として、脂肪マップ法が選択された場合、撮影部280は、MRA画像の取得に先立ち、T1強調画像およびT2強調画像を取得する。例えば、上記例の場合、T1強調画像およびT2強調画像を取得する。そして、テンプレート生成部270は、これらから第一のテンプレートを生成し、テンプレートDB310に記憶する。また、T1強調画像およびT2強調画像取得後、撮影部280は、MRA画像を取得し、テンプレート生成部270は、MRA画像から第二のテンプレートを生成し、テンプレートDB310に記憶する。その後、表示画像生成部200は、アルゴリズムDB320に格納されている手順および使用するテンプレートに従って、各MIP像から不要領域を除去し、表示画像データを生成する。
【0101】
このように構成することにより、撮影対象部位の、処理対象MIP像毎に最適なクリッピング処理を自動的に行うことができる。従って、より精度良く不要組織が除去されたMRA画像およびそこから生成されるMIP像を得ることができる。すなわち、煩雑な操作を行うことなく、目的とする組織の視認性の高い高品質の画像を得ることができる。
【0102】
なお、上記各実施形態では、MRA画像からMIP像を生成する場合を例にあげて説明したが、これに限られない。3次元画像データの種類、投影像の種類を問わず、3次元画像データから投影像を生成する際のクリッピング処理に適用することができる。
【0103】
また、上記各実施形態では、撮影により3次元画像データ取得後、連続して表示画像生成処理を行うよう記載しているが、これに限られない。例えば、3次元画像データ等表示画像生成処理に必要なデータを一旦記憶装置123に保持するよう構成し、オペレータからの指示を受け付けた際、表示画像生成処理を行うよう構成してもよい。
【0104】
また、上記各実施形態では、表示画像生成部200を、MRI装置100が備える計算機120上で実現するものとして記載しているが、これに限られない。例えば、MRI装置100が備える計算機120とデータの送受信可能な、外部の情報処理装置上で実現するよう構成してもよい。