(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【技術分野】
【0001】
本発明は、電着コーティング組成物、その製造方法、導電性基材上にコーティングを電着する方法並びに電着されたコーティングに関する。
【0002】
開示の背景
この箇所の記載は、単に、本開示に関連した情報を提供するだけで、先行技術を成さないこともある。
【0003】
腐蝕性環境で使用される金属物品の工業的コーティングには、1つ以上の無機の及び有機の処理及びコーティングの適用が含まれうる。自動車組み立て工場での塗装システム("塗装作業場")は、大きく、複雑で、かつ高価である。金属の自動車車体("ボディ・イン・ホワイト")及び部品には、Claffeyによる米国特許第5,868,820号に記載されるように、1つ以上のクリーニング浴もしくは吹き付けタンクにおけるクリーニング、リン酸塩処理浴における金属前処理段階としての水性リン酸塩コーティング材料の適用、続いての様々なすすぎ、そして追加の仕上げ処理という多段階処理がなされる。リン酸塩前処理段階は、金属の耐腐食性の改善と、引き続いてのコーティングと金属との付着性の改善のために着手される。クリーニング段階とリン酸塩処理段階は、10又は12個の吹き付け装置の個別の処理ステーション又は浸漬タンクを有することがある。
【0004】
電着コーティング("電着")は、前処理段階の後に、金属車体へと適用される。電着浴は、通常は、水中もしくは水と有機助溶剤との混合物中でイオン性安定化を有する、主たる皮膜形成性のエポキシ樹脂(本開示では"ポリマー"及び"樹脂"が同義で使用される)の水性の分散液もしくはエマルジョンを含む。耐久性の電着被膜が望まれる自動車もしくは工業的な用途においては、電着組成物は、硬化性(熱硬化性)の組成物として調合される。これは、通常は、主たる被膜形成性の樹脂と一緒に、該主たる樹脂上の官能基と好適な条件下で、例えば熱を加えることで反応することができ、こうしてコーティングを硬化しうる架橋剤を乳化させることによって達成される。電着の間に、比較的低い分子量を有するイオン的に荷電された樹脂を含有するコーティング材料は、導電性基体上へと、電着浴中に前記基体を浸し、次いで該基体と反対の電荷の極、例えばステンレス鋼電極との間に電位をかけることによって析出される。荷電されたコーティング材料は、導電性の基体上に移動し、そこに析出する。コーティングされた基体は、次いで加熱され、コーティングは硬化もしくは架橋する。
【0005】
電着組成物及び電着方法の利点の1つは、適用されたコーティング組成物が、形状もしくは構造にかかわらず、様々な金属製の基材上に均一かつ連続した層を形成することである。これは、該コーティングが、車両車体などの不規則な表面を有する基材上に耐蝕性コーティングとして適用される場合に特に好ましい。金属製の基材の全ての部分上での連続的なコーティング層でさえも、最高の耐蝕効果を提供する。しかしながら、リン酸塩前処理は、今まで、自動車車体については腐蝕から保護するにあたり不可欠な段階であった。McMurdie他による米国特許第6,110,341号は、ヒドロカルビルリン酸塩及びホスホン酸エステルであってポリエポキシド結合基を含みうるものは、腐蝕保護の改善のために、浴質量全体に対して500ppmまでの量で電着浴中に導入できることを教示している。フェニルホスホン酸を含む例は、未処理のスチールパネル上での腐蝕保護において僅かな増加を有すると報告された。McMurdieによるリン酸エステル及びホスホン酸エステルであってポリエポキシド結合基を含むものは、ジエポキシドの直鎖型のエステルである。
【0006】
開示の要旨
リン酸塩処理されていない金属の基材(すなわち、リン酸塩前処理されていない金属の基材)であってよい金属の基材上に電着コーティングを電着する組成物及び方法であって、その電着コーティングが優れた腐蝕保護を提供するものが開示される。リン酸塩前処理法のための工程及び装置の排除により、新たな塗装作業場の構築における主要なコスト削減を可能にし、目下の自動車生産プラントにおける塗装作業場の運転での簡素化とコスト削減とを可能とする。
【0007】
本方法は、水性の電着コーティング組成物(電着浴とも呼ばれる)であって、少なくとも1個のリン含有基を有する分岐型のエポキシ樹脂
【化1】
[式中、Xは、水素、一価の炭化水素基(すなわちヒドロカルビル基)、アルキル基、例えばアミノアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基又は酸素原子であり、その酸素原子は、リン原子に対して単独の共有結合を有し、かつそれぞれの酸素原子は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基又は樹脂に対して共有結合を有するが、但し、少なくとも1個の酸素原子は、樹脂に対して共有結合を有する]を含むバインダーを有する前記組成物を使用する。アルキル基は、シクロアルキル基であってよい。アルキル基及びアリール基は、ヒドロカルビル基であってよく、又はヘテロ原子を含んでよい。便宜上、本願においては、"樹脂"は、樹脂、オリゴマー及びポリマーを含めて使用され、かつリン含有基を有する分岐型のエポキシ樹脂は、"リン酸化"されているとされる。"分岐型"とは、エポキシ樹脂が、主鎖樹脂骨格中に少なくとも1箇所の分岐点を有することを意味する。"バインダー"は、コーティング組成物の被膜形成性の成分を指す。一般に、バインダーは、熱硬化性又は硬化性である。
【0008】
様々な実施態様においては、分岐型のリン酸化樹脂は、分岐型のポリエポキシド又はエポキシ樹脂のモノリン酸エステル又はモノホスホン酸エステルを含む。他の実施態様においては、リン酸化樹脂は、分岐型のポリエポキシ樹脂の二リン酸エステル、三リン酸エステル又は二ホスホン酸エステルを含む。他の実施態様においては、リン酸化樹脂は、これらのエステルの組み合わせを含む。リン酸化樹脂は、1個又は複数個のリン含有の基を有してよい。樹脂とリン原子との間で共有結合されていないリン原子上の残りの酸素は、エステル化されていてもよい。一定の実施態様においては、少なくとも1個のP−OH基はエステル化されていない状態のままである。すなわち、リン含有基は、少なくとも1個のP−OH基を有する。一定の実施態様においては、分岐型のリン酸化樹脂は、アミン官能性の樹脂を含む。
【0009】
分岐型のリン酸化樹脂は、ポリエポキシドを使用して、1種以上の連鎖延長剤との反応により連鎖延長して製造することができる。その際、連鎖延長剤は、少なくとも2個の活性水素含有基を有する材料である。分岐型の樹脂は、2個より多くのエポキシ基を有する少なくとも1種のポリエポキシを使用することによって、又は2個より多くの活性水素基もしくは活性水素含有基を有する少なくとも1種の延長剤を使用することによって、又はポリエポキシ樹脂のエポキシ基と延長剤との反応から生ずるヒドロキシル基が、該ポリエポキシ樹脂の更なるエポキシ基とも反応される反応条件を使用することによって得ることができる。
【0010】
一定の実施態様においては、分岐型のリン酸化樹脂は、電着コーティング組成物中でバインダー全体の質量に対して、約0.01%から約99%までであってよい。とりわけ、これらの実施態様は、分岐型のリン酸化樹脂が、電着コーティング組成物中でバインダー全体の質量に対して、約1%から約90%までである実施態様と、分岐型のリン酸化樹脂が、電着コーティング組成物中でバインダー全体の質量に対して、約5%から約80%までである実施態様である。一定の実施態様においては、バインダーは、分岐型のリン酸化樹脂のための架橋剤を含む。一定の実施態様においては、バインダーは、前記の分岐型のリン酸化樹脂ではないアミン官能性の樹脂を含む。これらのいずれの実施態様においても、バインダーは、電着されたコーティング層の硬化の間に、分岐型のリン酸化樹脂か、第二のアミン官能性の樹脂(存在すれば)か、又はその両方と反応する架橋剤を含んでもよい。
【0011】
導電性の基材、例えば金属の自動車の車体又は部品のコーティング方法であって、前記導電性の基材を、分岐型のリン酸化樹脂を含むカソード電着可能なバインダーを有する水性の電着コーティング組成物中に入れ、該導電性の基材をカソードとして使用して、該水性の電着コーティング組成物に電流を流して、前記導電性の基材上に前記バインダーを含むコーティング層を析出させることを含む前記方法。次いで、析出されたコーティング層を硬化させて、硬化されたコーティング層とすることができる。後続のコーティング層を、(任意に硬化された)電着されたコーティング層上に適用してよい。例えば、電着されたコーティング層は、プライマー層及び他の層、例えば任意の吹き付け適用されたプライマーサーフェイサー層であってよく、該電着されたコーティング層上に、1層もしくはそれより多層のトップコート層(例えば着色されたベースコート層及びクリヤーコート層)を適用してよい。
【0012】
前記方法の一実施態様においては、導電性の基材は、それがリン酸化樹脂を含む電着されたコーティングでコーティングされる前に、リン酸塩処理されていない。すなわち、前記基材は、リン酸塩前処理を含まない。
【0013】
本方法の一実施態様において、金属の自動車車体は清浄化され、そして清浄化された金属の自動車車体は、分岐型のリン酸化樹脂を含むカソード電着可能なバインダーを含む水性のコーティング組成物で電着される。このように、リン酸塩前処理は使用されない。分岐型のリン酸化樹脂は、アミノ基を含んでよく、加えて又は代わりに、電着コーティング組成物のバインダーは、リン含有基を有さない第二のアミン官能性の樹脂を含んでよい。一般に、一方もしくは両方の樹脂と反応性の架橋剤は該コーティング組成物中に含まれるので、電着されたコーティング層は硬化されうる。
【0014】
コーティングされた導電性の基材は、該基材上に電着されたコーティング層を含み、その際、該電着されたコーティング層は、分岐型のリン酸化樹脂を含むバインダーから形成される硬化されたコーティングを含む。様々な実施態様においては、該バインダーは、更に、リン酸化されたエポキシ樹脂と反応性の又は第二のアミン官能性樹脂などの第二のバインダー樹脂と反応性の架橋剤、又はその両方であって、硬化の間に反応して硬化されたコーティングを形成するものを含む。
【0015】
コーティング組成物中に分岐型のリン酸化エポキシ樹脂を含むことにより、未処理の、特にリン酸化処理されていない金属製の基材、例えば冷間圧延鋼上での腐蝕保護においてかなりの改善がもたらされる。
【0016】
"1つの"など、"その"など、"少なくとも1つ"など、"1もしくはそれより多く"などは、同義で、少なくとも1つのそのものが存在すること、複数のそのものが存在してよいことを示すために使用される。詳細な説明の終わりにある実施例以外では、特許請求の範囲を含む明細書中のパラメータ(例えば量もしくは条件)の全てのパラメータ値は、全ての場合において、その数値の前に実際に"約"があろうとなかろうと、用語"約"によって修飾されるものと理解されるべきである。"約"は、示された数値が幾らかの僅かな不正確さを可能にすることを示している(数値の正確さに対するいくらかのアプローチを伴って;その値にほぼ又はかなり近い;ほとんど)。"約"により与えられる不正確さがそれにもかかわらず当該技術分野においてこの通常の意味をもって理解されないのであれば、本願で示される"約"は、少なくとも、通常の測定法からかかるパラメータを用いて生じうるずれを示している。加えて、範囲の開示は、全ての値と、全範囲内の更に細分された範囲の開示も含む。
【0017】
更なる適用範囲の領域は、本願にある詳細な説明から明らかになる。詳細な説明及び特定の実施例は、説明を目的とするに過ぎず、本開示の範囲を制限することを意図するものではないと理解されるべきである。
【0018】
詳細な説明
以下の詳細な説明は、単に例示を性質とするものであり、本開示、用途もしくは使用を制限することを意図するものではない。
【0019】
リン酸塩処理されていなくてよい金属の基材は、分岐型のリン酸化樹脂を含むバインダーを有する水性の電着コーティング組成物で電着される。電着されたコーティング層は、硬化されてよく、1層もしくはそれより多層の追加のコーティング層で上塗りされてよい。前記分岐型のリン酸化樹脂は、構造
【化2】
[式中、Xは、水素、一価の炭化水素基(すなわちヒドロカルビル基)、アルキル基、例えばアミノアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基又は酸素原子であり、その酸素原子は、リン原子に対して単独の共有結合を有し、かつそれぞれの酸素原子は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基又は樹脂に対して共有結合を有するが、但し、少なくとも1個の酸素原子は、樹脂に対して共有結合を有する]を有する少なくとも1つの共有結合されたリン含有基を有する。それぞれの場合に、アルキル基は、シクロアルキル基であってよい。
【0020】
分岐型のリン酸化樹脂は、任意のエポキシ樹脂又は重合可能なモノマーであって、リン含有基とエステル化されうるエポキシ樹脂の製造で使用されるものを使用して製造できる。リン酸化樹脂は、アミン官能性であってよいので、それ自身がカソード電着可能であるか("主たる"樹脂)、又は該樹脂を、アミン官能性樹脂である第二の樹脂(その場合に第二の樹脂は主たる樹脂である)と組み合わせてよい。
【0021】
分岐型のリン酸化されたエポキシ樹脂は、様々な様式で製造されうる。分岐型の樹脂は、2個より多くのエポキシ基を有する少なくとも1種のポリエポキシを使用することによって、又は2個より多くの活性水素基もしくは活性水素含有基を有する少なくとも1種の延長剤を使用することによって、又はポリエポキシ樹脂のエポキシ基と延長剤との反応から生ずるヒドロキシル基が、該ポリエポキシ樹脂の更なるエポキシ基とも反応される反応条件を使用することによって得ることができる。リン含有の基を導入する第一の様式においては、分岐型のリン酸化エポキシ樹脂は、エポキシ官能性の又はヒドロキシル官能性のエポキシ樹脂と、−P(OR)
2=O基含有の酸又は酸誘導体との反応によって製造でき、その際、少なくとも1つのRは、水素原子又は低級アルキル基(これは、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を意味する)、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、ブチル又はt−ブチルであり、前記酸は、エステル交換されていてよく、例えばリン酸、リン酸のモノエステルもしくはジエステル、次リン酸、次リン酸のモノエステル、アルキルホスホン酸もしくはアリールホスホン酸、アルキルホスホン酸もしくはアリールホスホン酸のモノエステル及びこれらの組み合わせである。反応で使用されるリン酸又はリン酸源は、非水性のリン酸、水中85%のリン酸、より希釈された水性リン酸、ピロリン酸又はポリリン酸であってよい。他の好適なリン酸源は、Campbell他による米国特許第4,397,970号に記載されており、それは参照をもって開示されたものとする。エポキシ官能性の樹脂は、リン含有の酸又は酸誘導体との反応のために少なくとも1つのエポキシ基又はヒドロキシル基を有し、アミン基か、又はアミン基を含む化合物との反応のための更なる基(エポキシ基であってもよい)のいずれかを有する。
【0022】
ポリエポキシド樹脂であって、−P(OR)
2=O基を有する酸又は酸誘導体と反応されうる樹脂の好適な制限されない例は、複数のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、例えばジグリシジル芳香族化合物、例えば多価フェノール類、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシアセトフェノン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニレン)エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)イソブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、2−メチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン、1,5−ジヒドロキシ−3−ナフタレン及び他のジヒドロキシナフチレン類、カテコール、レゾルシノールなどのジグリシジルエーテル、例えばビスフェノールAのジグリシジルエーテル及び構造
【化3】
[式中、Qは
【化4】
であり、RはH、メチル又はエチルであり、かつnは、0〜10の整数である]を有するビスフェノールAを基礎とする樹脂を含む。一定の実施態様においては、nは、1〜5の整数である。また好適なのは、脂肪族ジオールのジグリシジルエーテル、例えば1,4−ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ(テトラヒドロフラン)、1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンなどのジグリシジルエーテルである。ジカルボン酸のジグリシジルエステルは、またポリエポキシドとして使用することもできる。特定の化合物の例は、シュウ酸、シクロヘキサン二酢酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などのジグリシジルエステルを含む。
【0023】
ポリグリシジル反応物は、好ましくは少量でジエポキシド反応物と組み合わせて使用してよい。分岐型のエポキシ樹脂の製造の第一の様式は、2個より多くのエポキシ基を有するポリエポキシ樹脂を、分岐型のリン酸化エポキシ樹脂の製造における一つの反応物として使用することによるものである。ノボラックエポキシドは、ポリエポキシド官能性反応物として使用してよい。ノボラックエポキシ樹脂は、エポキシフェノールノボラック樹脂もしくはエポキシクレゾールノボラック樹脂から選択できる。他の好適な高級官能性ポリエポキシドは、トリオール及び高級ポリオールのグリシジルエーテル及びエステル、例えばトリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール及びグリセロール;トリカルボン酸もしくはポリカルボン酸のトリグリシジルエーテルである。また、ポリエポキシドとして有用なのは、エポキシ化アルカン、例えばシクロヘキセンオキシド及びエポキシ化脂肪酸及び脂肪酸誘導体、例えばエポキシ化大豆油である。他の有用なポリエポキシドは、制限されないが、ポリエポキシドポリマー、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂及びエポキシ樹脂及びポリマー並びにエポキシ変性されたポリブタジエン、ポリイソプレン、アクリロブタジエンニトリルコポリマー又は他のエポキシ変性されたゴムを基礎とする複数のエポキシ基を有するポリマーを含む。
【0024】
分岐型のエポキシ樹脂の製造の第一の様式は、2個より多くのエポキシ基を有するポリエポキシドを使用することによるものである。1もしくは複数のポリエポキシ樹脂を、延長剤と反応させて、β−ヒドロキシエステル結合を有するより高分子量を有するポリエポキシ樹脂を製造することができる。好適な延長剤の制限されない例は、ポリカルボン酸、ポリオール、ポリフェノール、及び2個以上のアミノ水素を有するアミン、特にジカルボン酸、ジオール、ジフェノール及びジアミンを含む。特に、好適な延長剤の制限されない例は、ジフェノール、ジオール及び二酸、例えばポリエポキシの形成に関連して前記されたもの;ポリカプロラクトンジオール及びエトキシ化ビスフェノールA、例えばBASF Corporation社から商品名MACOL(登録商標)として入手できるものを含む。他の好適な延長剤は、制限されないが、アミン官能性のアクリル、ポリエステル、ポリエーテル及びエポキシ樹脂及びポリマーを含む。更なる他の好適な延長剤は、制限されないが、ポリアミン、例えばジアミン、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノブチルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノブチルアミン、ジプロピルアミン及びピペリジン、例えば1−(2−アミノエチル)ピペラジン、ポリアルキレンポリアミン、例えばトリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、トリプロピレンテトラミン、テトラプロピレンペンタミン、ペンタプロピレンヘキサミン、N,N′−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)プロパン−1,3−ジアミン並びにポリオキシアルキレンアミン、例えばBASF AG社から商品名POLYAMIN(登録商標)として得られるもの又はHuntsman社から商品名JEFFAMINE(登録商標)として得られるものを含む。
【0025】
分岐型のエポキシ樹脂の製造の第二の様式は、ポリエポキシドと、該ポリエポキシドに関して3個以上の官能性を有する延長剤を含む1種の延長剤又は延長剤の組み合わせとを、分岐型のリン酸化エポキシ樹脂の製造における一つの反応物として反応させることによるものである。かかる延長剤の好適な制限されない例は、トリカルボン酸及び無水物、トリメリト酸無水物、3つ以上のフェノール性水素を有するポリフェノール、3つ以上のアミノ水素を有するアミン、例えばアミン官能性樹脂及び3つ以上の第一級ヒドロキシル基を有するポリオール、例えばトリメチロールプロパンである。
【0026】
一官能性の反応物は、場合によりポリエポキシ樹脂及び延長剤と、又はポリエポキシドと延長剤とが反応されて、エポキシ官能性樹脂が製造された後に反応されてよい。好適な一官能性反応物の制限されない例は、フェノール、アルキルフェノール、例えばノニルフェノール及びドデシルフェノール、他の一官能性のエポキシ反応性化合物、例えばジメチルエタノールアミン及びモノエポキシド、例えばフェノールのグリシジルエーテル、ノニルフェノールのグリシジルエーテル又はクレゾールのグリシジルエーテル及び二量体脂肪酸を含む。
【0027】
ポリエポキシ樹脂と延長剤及び任意に一官能性の反応物との反応のために有用な触媒は、オキシラン環を活性化する触媒、例えば第三級アミンもしくは第四級アンモニウム塩(例えばベンジルジメチルアミン、ジメチルアミノシクロヘキサン、トリエチルアミン、N−メチルイミダゾール、テトラメチルアンモニウムブロミド及びテトラブチルアンモニウムヒドロキシド)、スズ及び/又はリンの錯塩(例えば(CH
3)
3SNI、(CH
3)
4PI、トリフェニルホスフィン、エチルトリフェニルホスホニウムヨージド、テトラブチルホスホニウムヨージド)などを含む。当該技術分野においては、第三級アミン触媒は、幾つかの反応で好ましいことがあると知られている。該反応は、約100℃〜約350℃(他の実施態様においては160℃〜250℃)の温度で溶剤中又はストレートで実施してよい。好適な溶剤は、制限されないが、不活性有機溶剤、例えばケトン、例えばメチルイソブチルケトン及びメチルアミルケトン、芳香族溶剤、例えばトルエン、キシレン、Aromatic 100及びAromatic 150並びにエステル、例えばブチルアセテート、n−プロピルアセテート、ヘキシルアセテートを含む。
【0028】
分岐型のエポキシ樹脂の製造の第三の様式は、ポリエポキシ樹脂のエポキシ基と延長剤との反応から生ずるヒドロキシル基もポリエポキシ樹脂のエポキシ基と反応される反応条件を使用することによるものである。第一の実施態様においては、ポリエポキシ樹脂と延長剤及び任意の一官能性の反応物との反応のための触媒は、ポリエポキシ樹脂のエポキシ基と延長剤との反応から生ずるヒドロキシル基の反応も、ポリエポキシ樹脂のエポキシ基との反応も可能にする触媒を含む。かかる触媒の好適な制限されない例は、第三級アミン及び第四級アンモニウム塩、例えばベンジルジメチルアミン、ジメチルアミノシクロヘキサン、トリエチルアミン、N−メチルイミダゾール、テトラメチルアンモニウムブロミド及びテトラブチルアンモニウムヒドロキシドを含む。それは、分岐型のエポキシ樹脂を製造する際に、一官能性の反応物、例えばモノフェノール、例えばフェノール、p−クレゾール又はドデデシルフェノール又はモノエポキシドをエポキシ樹脂−延長剤の反応混合物中に導入して、質量平均分子量を制御し、そしてゲル化を避けるためにも有用である。
【0029】
ポリエポキシ樹脂と、リン含有の酸又は酸誘導体とは、ポリエポキシ樹脂と延長剤及び任意の一官能性の反応物との反応の前、その間又はその後に反応されうる。前記の酸又は酸誘導体との反応は、延長剤との反応の前又は後に行われる場合には、約50℃〜約150℃の温度で、既に挙げられた任意の溶剤を含む溶剤中で又はストレートで実施してよい。ポリエポキシ樹脂は、また、リン含有の酸又は酸誘導体及び任意に一官能性の反応物、例えば既に記載したものと反応されて、延長剤と反応されていなくてよい。
【0030】
分岐型のリン酸化樹脂は、アミン官能性のリン酸化樹脂であってよい。アミン官能性の場合に、分岐型のリン酸化樹脂は、少なくとも1個のアミン基を有し、このアミン基は、リン酸化反応の前又は後に導入されうる。前に導入される場合に、アミン官能性は、ポリエポキシ樹脂と、第三級アミン基を有する延長剤又は第三級アミン基を有する一官能性の反応物との反応によって導入することができる。アミン基を有する延長剤及び一官能性の反応物の好適な制限されない例は、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジブタノールアミン、ジイソブタノールアミン、ジグリコールアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルアミノプロピルアミン及び第一級アミン基を有する化合物であって、ケチミンの形成により保護されているもの、例えばジエチレントリアミンのケチミンを含む。
【0031】
ポリエポキシ樹脂、延長されたポリエポキシ樹脂又はエポキシ官能性の樹脂を、次いで、リン含有の酸又は酸誘導体、例えば前記のいずれかのものと反応させて、リン酸化樹脂が製造される。
【0032】
リン酸化樹脂は、モノホスホン酸エステル、ジホスホン酸エステル、モノリン酸エステル、二リン酸エステル及び三リン酸エステル並びにこれらの組み合わせを含んでよい。更に、リン酸化樹脂は、1個又は複数個のリン含有のエステル基を有してよい。リン含有の酸又は酸誘導体のエステル化の程度並びに樹脂中に導入されたリン含有のエステル基の数は、とりわけ、反応物の相対当量によって制御される。一例では、約1当量から約3当量の樹脂(エポキシ基及びヒドロキシル基に対して)を、それぞれの当量のリン酸又はリン酸誘導体と反応させる。もう一つの例では、約1当量から約2当量の樹脂(エポキシ基及びヒドロキシル基に対して)を、それぞれの当量のリン酸又はリン酸誘導体と反応させる。樹脂の反応性基の当量は、酸又は酸誘導体の過剰な当量であってもよい。樹脂及びリン酸もしくはホスホン酸又はそれらの酸誘導体を一緒に混合し、所望の反応の程度が得られるまで反応させてよい。一定の実施態様においては、エポキシ官能性樹脂の反応後のエポキシ当たりの質量は、約180〜約1200である。
【0033】
樹脂及びリン含有の酸又は酸誘導体に加えて使用できる他の反応物は、アルコール、例えばn−ブタノール、イソプロパノール及びn−プロパノール;グリコールエーテル、例えばエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、及びプロピレングリコールモノプロピルエーテル;アミン、例えば上述のいずれか;水及びこれらの組み合わせを含んでよい。これらの反応物は、また、樹脂と酸又は酸誘導体との反応の後に過剰のオキシラン基と反応させるために使用することもできる。
【0034】
アミン官能性は、場合により、2つの様式のいずれかでリン酸化樹脂に付与することができる。第一の様式では、エポキシ基と反応性の少なくとも1つの活性水素を有するアミンは、エポキシ官能性樹脂及びリン酸又はリン酸源の反応における反応物として含まれる。第二の様式では、エポキシ官能性のエポキシ樹脂及びリン酸の反応生成物(及び任意の更なる反応物)は、エポキシ官能性の生成物であり、それは次いで更に、エポキシ基と反応性の少なくとも1つの活性水素を有するアミンと反応される。好適なアミン化合物の例は、制限されないが、ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、N−アミノエチルピペラジン、アミノプロピルモルホリン、テトラメチルジプロピレントリアミン、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジブチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジメチルアミノブチルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノブチルアミン、ジプロピルアミン、メチルブチルアミン、アルカノールアミン、例えばメチルエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、アミノプロピルモノメチルエタノールアミン並びにジエタノールアミン、ジケチミン(1モルのジエチレントリアミンと2モルのメチルイソブチルケトンとの反応生成物)及びポリオキシアルキレンアミンを含む。
【0035】
一定の実施態様においては、リン酸化樹脂は、延長剤、つまり上述のいずれかと反応されているエポキシ官能性樹脂である。
【0036】
電着コーティング組成物は、カソード電着可能な少なくとも1種の樹脂、すなわち少なくとも1種の主たる樹脂を含む。リン酸化樹脂が、カソード電着のために、アミン官能性を有さない場合に、アミン官能性を含む主たる樹脂を、電着コーティング組成物においてリン酸化されたエポキシ樹脂と組み合わせることができる。様々なかかる樹脂は公知であり、それには制限されないが、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂及びポリブタジエン樹脂が含まれる。カソード電着コーティングのためには、該樹脂は、塩形成される塩基性基(例えば第一級、第二級又は第三級のアミン基)又は第四級基(例えばアンモニウム、スルホニウム又はホスホニウム基)を有する。一実施態様においては、該リン酸化されたエポキシ樹脂は、少なくとも約0.01質量%のバインダー、又は約0.01〜約99質量%のバインダー、又は約1〜約90質量%のバインダー、又は約5〜約80質量%のバインダーである。他の実施態様においては、該リン酸化されたエポキシ樹脂は、約0.01〜約30質量%のバインダー、又は約1〜約30質量%のバインダー、又は約5〜約20質量%のバインダーであるが、一方で、電着可能な樹脂は、約45〜約75質量%のバインダー、又は約50〜約70質量%のバインダーである。
【0037】
前記のように、様々なカソード電着可能な樹脂が知られている。該樹脂は、カソード堆積のためには、塩形成される塩基性基(例えば第一級、第二級又は第三級のアミン基)又は第四級基(例えばアンモニウム、スルホニウム又はホスホニウム基)を有する。好適な樹脂の例は、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ビニル樹脂、例えばポリアクリレート樹脂及びポリブタジエン樹脂を含む。一実施態様においては、該樹脂は、アミン基で官能化されたエポキシ樹脂である。該エポキシ樹脂は、ポリグリシジルエーテルから製造できる。例えば、ポリグリシジルエーテルは、ビスフェノールA又は類似のポリフェノール類のポリグリシジルエーテルであってよい。また、エポキシ樹脂を、過剰のエポキシ基当量と、変性材料、例えばポリオール、ポリアミン又はポリカルボン酸と反応させることにより延長して、被膜特性を改善することが好ましいこともある。好ましくは、ポリグリシジルエーテルは、ビスフェノールAで延長される。この種の有用なエポキシ樹脂は、GPCによって測定できる質量平均分子量を、約3000〜約6000で有する。エポキシ当量は、約200〜約2500、好ましくは約500〜約1500の範囲であってよい。
【0038】
アミン基は、上記のように、ポリフェノールのポリグリシジルエーテルとアミン又はポリアミンとを反応させることによって導入することができる。典型的なアミン及びポリアミンは、制限されないが、ジブチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジメチルアミノプロピレンアミン、ジメチルアミノブチルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノブチルアミン、ジプロピルアミン及び類似の化合物並びにそれらの組み合わせを含む。好ましい一実施態様においては、エポキシ樹脂状のエポキシ基は、第二のアミン基を含む化合物及び少なくとも1種の潜伏性第一級アミンと反応される。潜伏性第一級アミン基は、好ましくはケチミン基である。第一級アミンは、樹脂が乳化される場合に再生される。
【0039】
第四級アンモニウム基を導入してよく、該基は、例えば第三級アミンから、その酸による塩形成と、その次の塩形成性水素と、例えばエポキシ基を有する化合物との反応で、アンモニウム基を生成することによって形成される。本発明により使用される樹脂は、好ましくは、約300〜約3000の第一級アミン当量、より好ましくは約850〜約1300の第一級アミン当量を有する。
【0040】
エポキシ変性されたノボラックは、電着コーティング組成物中での樹脂として使用することができる。該エポキシノボラック樹脂は、エポキシ樹脂について上述したのと同じように封鎖することができる。
【0041】
カチオン性のポリウレタン及びポリエステルを使用してもよい。かかる材料は、例えばアミノアルコールでの末端封鎖によって製造でき、又はポリウレタンの場合には、上記の塩形成可能なアミン基を含む同じ化合物が有用なこともある。
【0042】
ポリブタジエン、ポリイソプレン、又は他のエポキシ変性ゴムベースのポリマーは、本発明において樹脂として使用することができる。エポキシゴムは、塩形成可能なアミン基を含む化合物で封鎖することができる。
【0043】
選択的な一実施態様においては、カチオン性のアクリル樹脂を使用することができる。アクリルポリマーは、アミノ含有モノマー、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N,N′−ジメチルアミノエチルメタクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、ビニルピロリジン又は他のかかるアミノモノマーによってカソード性にすることができる。選択的に、エポキシ基は、重合反応でエポキシ官能性モノマーを含めることによって導入することができる。かかるエポキシ官能性のアクリルポリマーは、エポキシ基とアミンとを、エポキシ樹脂について上述した方法に従って反応させることによってカソード性にすることができる。
【0044】
カチオン性樹脂のマイン当量又はアノード樹脂の酸当量は、約150〜約5000の範囲であってよく、好ましくは約500〜約2000の範囲であってよい。該樹脂のヒドロキシル当量は、一般に、約150〜約2000であり、好ましくは約200〜約800である。
【0045】
分岐型のリン酸化されたエポキシ樹脂は、電着コーティング組成物(電着浴としても知られる)の製造に使用される。一般に、バインダーは、分岐型のリン酸化樹脂を含めて、かつリン酸化樹脂がそれ自体アミン官能性でない場合には任意のアミン官能性樹脂を含めて製造され、次いで該バインダーは、水性媒体中で、該バインダー中に存在するアミン基を酸と塩形成させることにより分散される。
【0046】
該バインダーは、また、基材上に形成されるコーティング層の硬化の間に、分岐型のリン酸化樹脂、第二のアミン官能性の樹脂(存在する場合は)又は両方の樹脂と反応する架橋剤を含んでよい。架橋剤の好適な例は、制限されないが、ブロックトポリイソシアネートを含む。芳香族の、脂肪族のもしくは脂環式のポリイソシアネートの例は、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート(MDI)、2,4−もしくは2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、p−フェニレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、フェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、2−イソシアナトプロピルシクロヘキシルイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン2,4′−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、二量体脂肪酸から誘導されるジイソシアネートの混合物であって、Henkel社によって市販名DDI1410として販売されているもの、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、1,7−ジイソシアナト−4−イソシアナト−メチルヘプタンもしくは1−イソシアナト−2−(3−イソシアナトプロピル)シクロヘキサン並びに高級ポリイソシアネート、例えばトリフェニルメタン−4,4′,4′′−トリイソシアネート又はこれらのポリイソシアネートの混合物を含む。好適なポリイソシアネートは、また、ポリイソシアネートであって、これらから誘導され、イソシアヌレート、ビウレット、アロファネート、イミノオキサジアジンジオン、ウレタン、ウレアもしくはウレットジオン基を有するものを含む。ウレタン基を有するポリイソシアネートは、例えば、幾つかのイソシアネート基とポリオール、例えばトリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール及びグリセロールなどのポリオールとを反応させることによって得られる。イソシアネート基は、ブロッキング剤と反応される。好適なブロッキング剤の例は、フェノール、クレゾール、キシレノール、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、ジエチルマロネート、ジメチルマロネート、エチルアセトアセテート、メチルアセトアセテート、アルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、イソブタノール、t−ブタノール、ブタノール、グリコールモノエーテル、例えばエチレンもしくはプロピレングリコールモノエーテル、酸アミド(例えばアセトアニリド)、イミド(例えばスクシンイミド)、アミン(例えばジフェニルアミン)、イミダゾール、ウレア、エチレンウレア、2−オキサゾリドン、エチレンイミン、オキシム(例えばメチルエチルケトキシム)などを含む。
【0047】
場合により、可塑剤もしくは溶剤又はその両方は、バインダー混合物に添加してよい。凝集溶剤の制限されない例は、アルコール、グリコールエーテル、ポリオール及びケトンを含む。特定の凝集溶剤は、エチレングリコールのモノブチル及びモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールのフェニルエーテル、エチレングリコールのモノアルキルエーテル、例えばエチレングリコールもしくはプロピレングリコールのモノメチル、モノエチル、モノプロピル及びモノブチルエーテル;エチレングリコールもしくはプロピレングリコールのジアルキルエーテル、例えばエチレングリコールジメチルエーテル及びプロピレングリコールジメチルエーテル;ブチルカルビトール;ジアセトンアルコールを含む。可塑剤の制限されない例は、ノニルフェノール、ビスフェノールA、クレゾールのエチレンもしくはプロピレンオキシド付加物又は他のかかる材料、又はエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを基礎とするポリグリコールを含む。凝集溶剤の量は、決定的ではなく、一般に、樹脂固体の全質量に対して、約0〜15質量%、好ましくは約0.5〜5質量%である。可塑剤は、樹脂固体に対して15質量%までの水準で使用できる。
【0048】
バインダーは、酸の存在下で水中に乳化される。好適な酸の制限されない例は、リン酸、ホスホン酸、プロピオン酸、ギ酸、酢酸、乳酸又はクエン酸を含む。塩形成する酸は、バインダーを水に添加する前に、バインダーと配合してよく、水と混合してよく、又はその両方であってよい。該酸は、水分散性をバインダーに付与するのに十分なアミノ基を中和するのに十分な量で使用される。該アミン基は、完全に中和されてもよいが、部分中和は、通常は、所望の水分散性の付与に十分である。樹脂が少なくとも部分的に中和されているとは、該バインダーの少なくとも1個の塩形成可能な基が中和され、かかる基の全てまでが中和されていてよいことを意味する。特定のバインダーに必要な水分散性を与えるのに必要な中和の程度は、その組成、樹脂の分子量、分岐型樹脂の質量割合及び他のかかる要素に依存し、それは当業者によって簡単な実験を通じて容易に決定することができる。
【0049】
バインダーエマルジョンは、その際、電着コーティング組成物(もしくは浴)の製造において使用される。電着浴は、無色又は澄明な電着コーティング層を生成するために顔料を含有しなくてよいが、電着浴は、通常は、1種又はそれより多種の顔料を含み、別個に顔料ペーストの部分として添加され、そして任意の更なる所望の材料、例えば凝集助剤、抑泡助剤及び樹脂の乳化の前もしくは後に添加してよい他の添加剤を含有してよい。電着プライマーのための慣用の顔料は、二酸化チタン、酸化第二鉄、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、沈殿硫酸バリウム、ホスホモリブデン酸アルミニウム、クロム酸ストロンチウム、塩基性のケイ酸鉛もしくはクロム酸鉛を含む。該顔料は、粉砕樹脂もしくは顔料分散剤を用いて分散されてよい。電着浴中での顔料対樹脂の質量比は、重要なことがあり、好ましくは50未満:100、より好ましくは40未満:100、通常は約10〜30:100であるべきである。より高い顔料対樹脂固体の質量比は、凝集及び流動に悪影響を及ぼすことが判明した。通常は、顔料は、浴中の不揮発性材料の質量に対して10〜40質量%である。好ましくは、顔料は、浴中の不揮発性材料の質量に対して15〜30質量%である。電着プライマーで通常使用される任意の顔料及び充填剤が含まれていてよい。クレイなどの無機増量剤及び腐食防止顔料が通常は含まれる。
【0050】
電着コーティング組成物は、随意の成分、例えば染料、流動調節剤、可塑剤、触媒、湿潤剤、界面活性剤、UV吸収剤、HALS化合物、酸化防止剤、消泡剤などを含有してよい。界面活性剤及び湿潤剤の例は、アルキルイミダゾリン、例えばCiba−Geigy Industrial Chemicals社からAMINE C(登録商標)として入手されるもの、アセチレン系アルコール、例えばAir Products and Chemicals社から商品名SURFYNOL(登録商標)として入手されるものを含む。界面活性剤及び湿潤剤の量は、存在する場合には、一般に、樹脂固体の質量に対して2%までである。
【0051】
スズ触媒などの硬化触媒は、該コーティング組成物中で使用してよい。典型的な例は、制限されないが、スズ及びビスマス化合物、例えばジブチルスズジラウレート、ジブチルスズオキシド、次サリチル酸ビスマス、ビスマスオキシド及びビスマスオクトエートである。使用される場合に、触媒は、一般に、全体の樹脂固体の質量に対するスズの質量に対して約0.05〜2質量%の量で存在する。
【0052】
電着コーティング組成物は、金属製の基材上に電着される。前記基材は、幾つかの制限されない例として、冷間圧延鋼、亜鉛メッキ(亜鉛コーティング)綱、電気亜鉛メッキ綱、ステンレス鋼、酸洗い綱、GALVANNEAL(登録商標)、GALVALUME(登録商標)及びGALVAN(登録商標) 亜鉛−アルミニウム合金がコーティングされた綱及びそれらの組合せであってよい。有用な非鉄金属の制限されない例は、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム及びこれらの合金を含む。本発明によるコーティング調製物の電着は、公知法によって実施することができる。電着コーティング組成物は、好ましくは、乾燥膜厚10〜35μmへと適用することができる。該方法の一実施態様においては、導電性の基材はリン酸塩処理されていない。すなわち、該基材は、リン酸塩での前処理が施されていない。本発明の組成物でコーティングされる物品は、金属製の自動車部品もしくは車体であってよい。導電性の基材、例えば金属の自動車の車体又は部品のコーティング方法であって、清浄化されているが、好ましくはリン酸塩前処理がなされていない前記導電性の基材を、電着コーティング組成物中に入れ、そして該導電性の基材をカソードとして使用して、コーティング層をもたらす電着コーティング組成物に電流を流して、該導電性の基材上に析出させる前記方法。適用後に、コーティングされた物品は、浴から取り出され、脱イオン水ですすがれる。前記コーティングは、好適な条件下で、例えば約275゜F〜約375゜Fで約15〜60分の間にわたり、電着されたコーティング層上に付加的なコーティング層を適用する前に焼き付けることによって硬化させることができる。
【0053】
自動車の車体は、電着されていてよい。自動車の車体は、清浄化され、そして清浄化された金属の自動車の車体は、分岐型リン酸化樹脂を含む水性の電着コーティング組成物で電着される。
【0054】
1つ又はそれより多くの付加的なコーティング層、例えば吹き付け適用されたプライマーサーフェイサー、単独のトップコート層又は複合カラーコート(ベースコート)及びクリヤーコート層を、電着層上に適用してよい。単層のトップコートは、またトップコートエナメルとも呼ばれる。自動車産業において、該トップコートは、一般に、ベースコートであり、それはクリヤーコート層で上塗りされる。プライマーサーフェイサー及びトップコートエナメル又はベースコート及びクリヤーコート複合トップコートは、水系、溶剤系、又は粉末の塗料であってよく、粉末の塗料は、乾燥粉末又は水性粉末スラリーであってよい。
【0055】
本発明の複合コーティングは、一層として、プライマーコーティング層を有してよく、該層は、プライマーサーフェイサー層又はフィラーコーティング層とも呼ばれうる。プライマーコーティング層は、溶剤系の組成物、水性の組成物、又は粉末の組成物、例えば粉末スラリー組成物から形成することができる。プライマー組成物は、好ましくは、熱硬化性のバインダーを有するが、熱可塑性のバインダーも公知である。好適な熱硬化性のバインダーは、自己架橋性のポリマー又は樹脂を有してよく、又は該バインダー中にポリマーもしくは樹脂と反応性の架橋剤を含んでよい。好適なバインダーポリマー又は樹脂の制限されない例は、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリウレタン樹脂を含む。かかるポリマー又は樹脂は、官能基として、ヒドロキシル基、カルボキシル基、無水物基、エポキシ基、カルバメート基、アミン基などを含んでよい。とりわけ、かかる基と反応性の好適な架橋剤は、アミノプラスト樹脂(ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルバメート基及びアミン基と反応性である)、ポリイソシアネート、例えばブロックトポリイソシアネート(ヒドロキシル基及びアミン基と反応性である)、ポリエポキシド(カルボキシル基、無水物基、ヒドロキシル基及びアミン基と反応性である)及びポリ酸及びポリアミン(エポキシ基と反応性である)である。好適なプライマー組成物の例は、例えば米国特許第7,338,989号;同第7,297,742号;同第6,916,877号;同第6,887,526号;同第6,727,316号;同第6,437,036号;同第6,413,642号;同第6,210,758号;同第6,099,899号;同第5,888,655号;同第5,866,259号;同第5,552,487号;同第5,536,785号;同第4,882,003号;及び同第4,190,569号に開示されており、それぞれはBASF社に譲渡されており、それぞれ参照をもって開示されたものとする。
【0056】
電着プライマー上に適用されたプライマーコーティング組成物を次いで硬化させて、プライマーコーティング層を形成させることができる。電着プライマーは、プライマーコーティング層と同時に、"ウェット・オン・ウェット"コーティングとして知られる方法で硬化させることができる。
【0057】
トップコート組成物は、電着層上に又はプライマーコーティング層上に適用し、好ましくは硬化させることで、トップコート層を形成することができる。好ましい一実施態様においては、電着層又はプライマー層は、カラー・プラス・クリヤー(ベースコート−クリヤーコート)トップコートとして適用されるトップコートでコーティングされる。ベースコート−クリヤーコートトップコートにおいては、顔料着色されたコーティング、すなわちベースコートは、透明なコーティング、すなわちクリヤーコートの外部層で覆われる。ベースコート−クリヤーコートトップコートは、魅力的な滑らかかつ光沢のある仕上げを提供し、一般に改善された性能をもたらす。
【0058】
架橋性組成物は、1つもしくはそれより多くのトップコート層として好ましい。この種のコーティングは当該技術分野でよく知られ、それには水系の組成物、溶剤系の組成物、並びに粉末組成物及び粉末スラリー組成物が含まれる。ベースコート組成物及びクリヤーコート組成物において有用であることが当該技術分野で知られるポリマーは、制限されないが、アクリルポリマー、ビニルポリマー、ポリウレタンポリマー、ポリカーボネートポリマー、ポリエステルポリマー、アルキドポリマー及びポリシロキサンポリマーを含む。アクリルポリマー及びポリウレタンポリマーは、なかでもトップコートバインダーのために好ましいポリマーである。熱硬化性のベースコート組成物及びクリヤーコート組成物も好ましく、その目的のためには、好ましいポリマーは、1種又はそれより多くの種類の架橋可能な官能基、例えばカルバメート、ヒドロキシ、イソシアネート、アミン、エポキシ、アクリレート、ビニル、シラン、アセトアセテートなどを含む。該ポリマーは、自己架橋性であってよく、又は好ましくは該組成物は、ポリイソシアネート又はアミノプラスト樹脂などの架橋剤を含んでよい。好適なトップコート組成物の例は、例えば米国特許第7,375,174号;同第7,342,071号;同第7,297,749号;同第7,261,926号;同第7,226,971号;同第7,160,973号;同第7,151,133号;同第7,060,357号;同第7,045,588号;同第7,041,729号;同第6,995,208号;同第6,927,271号;同第6,914,096号;同第6,900,270号;同第6,818,303号;同第6,812,300号;同第6,780,909号;同第6,737,468号;同第6,652,919号;同第6,583,212号;同第6,462,144号;同第6,337,139号;同第6,165,618号;同第6,129,989号;同第6,001,424号;同第5,981,080号;同第5,855,964号;同第5,629,374号;同第5,601,879号;同第5,508,349号;同第5,502,101号;同第5,494,970号;同第5,281,443号に開示されており、それぞれはBASF社に譲渡されており、それぞれ参照をもって開示されたものとする。
【0059】
更なるコーティング層は、電着コーティング層へと、当該技術分野でよく知られる多くの技術のいずれかに従って適用することができる。これらには、例えば吹き付けコーティング、浸漬コーティング、ローラコーティング、カーテンコーティングなどが含まれる。自動車用途のためには、1つもしくはそれより多くの更なるコーティング層は、好ましくは、吹き付けコーティング、特に静電吹き付け法によって適用される。1ミルより厚いコーティング層は、通常、2つ以上のコート(パス)において、溶剤又は水性媒体の幾らかを蒸発させるか又は適用された層から"フラッシング"するのに十分な時間を隔てて適用される。フラッシングは、周囲温度又は高められた温度であってよく、例えばフラッシングは、放射熱を利用することができる。適用されたコーティングは、乾燥時に0.5ミルから3ミルまでであってよく、十分な数のコーティングを適用して、所望の最終コーティング厚が得られる。
【0060】
プライマー層は、トップコートを適用する前に硬化させることができる。硬化されたプライマー層は、約0.5ミルから約2ミルまでの厚さであってよく、好ましくは約0.8ミルから約1.2ミルの厚さであってよい。
【0061】
カラー・プラス・クリヤートップコートは、通常はウェット・オン・ウェットで適用される。該組成物は、複数のコーティングにおいてフラッシングによって隔てられて上記のように適用され、その際、フラッシングはまたカラー組成物の最後のコーティングと最初のクリヤーなコーティングとの間でもよい。2つのコーティング層は、次いで、同時に硬化される。好ましくは、硬化されたベースコート層は、0.5〜1.5ミルの厚さであり、硬化されたクリヤーコート層は、1〜3ミル、より好ましくは1.6〜2.2ミルの厚さである。
【0062】
選択的に、プライマー層及びトップコートは、"ウェット・オン・ウェット"で適用できる。例えば、プライマー組成物を適用でき、次いで適用された層がフラッシングされ、次いでトップコートが適用され、フラッシングされ、次いでプライマー及びトップコートが同時に硬化されうる。再び、トップコートは、ウェット・オン・ウェットで適用されたベースコート層及びクリヤーコート層を含んでよい。プライマー層は、また、未硬化の電着コーティング層に適用させて、全ての層を一緒に硬化させてもよい。
【0063】
記載されるコーティング組成物は、好ましくは熱を用いて硬化される。硬化温度は、トップコートもしくはプライマー組成物であって非封鎖酸触媒を含むものについては、好ましくは約70℃〜約180℃であり、特に好ましくは約170゜F〜約200゜Fであり、又はトップコートもしくはプライマー組成物であって封鎖酸触媒を含むものについては、約240゜F〜約275゜Fである。前記温度での典型的な硬化温度は、15〜60分の範囲であり、好ましくはその温度は、約15〜約30分の硬化時間を可能にするように選択される。好ましい一実施態様においては、コーティングされる物品は自動車の車体又は部品である。
【0064】
本発明を、以下の実施例において更に説明する。実施例は、単に説明を目的とするものであって、発明の詳細な説明及び特許請求の範囲の範囲をなんら限定するものではない。全ての部は、特に記載がない限り、質量部である。
【0065】
実施例
調製物A: 分岐型のリン酸化エポキシ樹脂の製造
撹拌機と還流凝縮器を備えた反応器に、25.85質量部のノルマルブタノール、10.20質量部のエチレングリコールモノブチルエーテル及び55.62質量部のビスフェノールAのジグリシジルエーテルを装填する。該反応器の内容物を、約15分間撹拌し、引き続き3.11部のジエタノールアミンを添加する。得られた混合物を77゜F(25℃)に加熱し、次いで加熱を中止し、そして反応混合物を発熱状態にさせる。反応温度は、120.2〜122゜F(49〜50℃)にまで上がり続ける。該反応混合物を、140〜149゜F(60〜65℃)で30分間保持する。該反応器に、4.261質量部のリン酸(75%水性)及び1.77質量部のノルマルブタノールの混合物を添加する。その添加の間に、温度は、102.2゜F(49℃)未満に保持する。該反応混合物を、約15分にわたり撹拌し、次いで該反応器を220〜250゜F(104.4〜121.1℃)に加熱する。反応は、生成物のエポキシ当たりの質量が800又はそれより高くなるまで継続させる。次いで、脱イオン水を、0.899質量部の第一の部で添加し、該反応混合物を、220〜250゜F(104.4〜121.1℃)で1時間にわたり保持する。脱イオン水の第二の部、すなわち0.70質量部を、次いで該反応混合物に添加する。再び反応混合物を、220〜250゜F(104.4〜121.1℃)で1時間にわたり保持する。脱イオン水の最後の部、すなわち0.70質量部を、次いで該反応混合物に添加する。再び反応混合物を、220〜250゜F(104.4〜121.1℃)で1時間にわたり保持する。生成物を、次いでノルマルブタノールで72質量部の非揮発性物質にまで希釈する。
【0066】
調製物B: 分岐型のリン酸化エポキシ樹脂を有するバインダーエマルジョンの製造
付属の加熱マントルを有する5Lのフラスコ中で、以下の材料:ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(DGEBA)(18.03部)、ビスフェノールA(BPA)(4.1部)、フェノール(1.41部)及びプロピレングリコール n−ブチルエーテル(0.36部)を合する。
【0067】
撹拌しながら、温度を257゜F(125℃)に高める。引き続き、トリフェニルホスフィン(0.04部)を添加し、発熱が392゜F(200℃)として記録される。該混合物を次いで275゜F(135℃)に冷却させ、エポキシ当たりの質量(WPE)測定(ターゲット=525±25)を行い、それは526である。194゜F(90℃)に冷却し、加熱マントルをオフにした後に、2.36部のPLURACOL(登録商標)710R(BASF Corporationにより販売)を添加し、次いで、1.73部のジエタノールアミンを導入し、発熱は、239゜F(115℃)として記録される。該反応混合物を、発熱に至った後に、221゜F(105℃)でさらに30分間にわたり撹拌させる。30分間撹拌した後に、3−ジメチルアミノプロピルアミンを221゜F(105℃)で添加し(0.84部)、発熱は、280.4゜F(138℃)として記録される。該混合物を、さらに1時間にわたり撹拌する。架橋剤(ポリマーMDI及び一官能性アルコールを基礎とするブロックトイソシアネート)(13.6部)を添加する。該混合物を、221〜230゜F(105〜110℃)で30分にわたり撹拌する。調製物A、すなわち分岐型のリン酸化エポキシ樹脂(6.47部)を添加し、そして該混合物を221〜230゜F(105〜110℃)でさらに15分間にわたり撹拌する。
【0068】
均質な混合物に至った後に、樹脂と架橋剤のブレンドを、一定の撹拌をしつつ、脱イオン水(34.95部)及びギ酸(88%)(0.62部)の酸/水混合物に添加する。全ての成分を金属製のスパチュラを用いて徹底的に混ぜた後に、固体をさらに水の添加(18.55部)によって減少させる。流動添加剤パック(flow−additive package)(2.51部)を前記酸混合物に添加する。
【0069】
調製物C: 第三級アンモニウム基を有する粉砕樹脂溶液
EP0505445号B1に従って、有機粉砕樹脂水溶液を、第一段階で2598部のビスフェノールAグリシジルエーテル(エポキシ当量(EEW)188g/当量)、787部のビスフェノールA、603部のドデシルフェノール及び206部のブチルグリコールをステンレス鋼反応容器中で4部のトリフェニルホスフィンの存在下で130℃でEEW(エポキシ当量)が865g/当量に到達するまで反応させることによって製造する。冷却の過程で、そのバッチを、849部のブチルグリコール及び1534部のD.E.R(登録商標)732(ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、DOW Chemical,米国)で希釈し、そしてさらに90℃で266部の2,2′−アミノエトキシエタノール及び212部のN,N−ジメチルアミノプロピルアミンと反応させる。2時間後に、樹脂溶液の粘度は、一定である(5.3dPas;SOLVENON(登録商標)PM(メトキシプロパノール、BASF(ドイツ))中40%;コーン・プレート粘度計で23℃)。それを、1512部のブチルグリコールで希釈し、そしてベースの基は、201部の氷酢酸で部分的に中和され、そして該生成物をさらに1228部の脱イオン水で希釈し、排出させる。それにより、60%濃度の有機樹脂水溶液であって、その10%希釈がpH6.0を有する溶液が得られる。該樹脂溶液は、ペースト製造のために直接的に使用する。
【0070】
調製物D: 顔料ペースト
まず、125部の水と594部の調製物Bの粉砕樹脂からプレミックスを形成する。次いで、7部の酢酸、9部のTetronic(登録商標)901、8部のカーボンブラック、547部の二酸化チタンTI−PURE(登録商標)R900(DuPont、米国)、44部のジ−n−ブチルスズオキシド、47部の次サリチル酸ビスマス及び120部のASP200クレイ(Langer&Co./ドイツ)を添加する。該混合物を、高速溶解撹拌機で30分にわたり予備分散させる。該混合物を引き続き、小さい研究室用のミル(Motor Mini Mill,Eiger Engineering Ltd,英国)中で、それが12μm未満又はそれに等しいヘグマン粒度を測定するまで分散させ、そして固体含有率を追加の水で調整する。得られた顔料ペーストは、固体含有率:67質量%(110℃で1時間)を有する。
【0071】
実施例1
1096.1部の調製物Bと、147.3部の調製物Dと、1256.6部の脱イオン水とを合することによって浴を調製した。水・調製物Bの樹脂エマルジョンを一定の撹拌をしつつ1つの容器中で合し、そして調製物Dを撹拌しながら添加する。前記浴の固体含有率は、19質量%である。
【0072】
実施例1は、リン酸化された冷間圧延鋼とベアな冷間圧延鋼の両方の4インチ×6インチの試験パネルを100〜225ボルト(0.5アンペア)で実施例1において浴温度88〜98゜F(31〜36.7℃)で2.2分にわたりコーティングし、該コーティングされたパネルを350゜F(177℃)で28分間にわたり焼き付けすることによって試験する。析出され、焼き付けられたコーティングは、約0.8ミル(20μm)の塗膜形成を有する。3種のパネルを、それぞれの温度及び基材についてコーティングした。
【0073】
対照群
対照パネルを、実施例1について記載される通りであるが、U32AD500(BASF Corporationにより販売される市販品)を使用して製造した。
【0074】
焼き付けの後に、それらのパネルを、以下のように試験するか、又は更にトップコートでコーティングしてから試験する。
【0075】
腐食試験GMW15288の説明: 各パネルを直接的に真っ二つにけがき、試験する。説明は以下の通りである: 月曜日に、各パネルを、60℃で1時間にわたり空気循環炉内で保持し、次いで冷キャビネットへと−25℃で30分間にわたり施す。引き続き、それらのパネルを15分にわたり水中の5質量%のNaCl(食塩水)中に浸す。除去後に、それらのパネルを室温で75分にわたり空気乾燥させる。それらのパネルを次いで湿潤キャビネット(60℃、85%湿度)へと15m/フィートを超えないパネルを横切る気流をもって移送し、21時間にわたり保持する。火曜日から金曜日まで、それらのパネルを、再び前記食塩水中に15分にわたり浸し、室温で75分まで空気乾燥させ、次いでそれらを湿潤キャビネットに戻す(22時間)。土曜日と日曜日で、それらのパネルは前記湿潤キャビネット中に保持する。月曜日から次の月曜日までの全曝露シーケンスは、5サイクルを構成する。次いで試験を全体で20サイクルにわたり繰り返す。完了した後に、それぞれのパネルを、水ですすぎ、金属製のスパチュラで掻き取る。腐蝕は、けがき長さに沿った選ばれたポイントのけがき幅の平均として測定される。
【0076】
SAE J2334 DEC2003の説明: 焼き付け後に、それぞれのパネルを直接的に真っ二つにけがき、以下のように試験する。6時間にわたり、それらの試験パネルを、100%のRH(相対湿度)に50℃で施し、周囲条件で15分間塩溶液に浸す。その際、該塩溶液は、0.5%のNaCl、0.1%のCaCl
2及び0.075%のNaHCO
3からなる。残りの17時間と45分にわたり、それらの試験パネルを、60℃及び50%RHで置く。そのサイクルを20回繰り返す。完了した後に、それぞれのパネルを、水ですすぎ、金属製のスパチュラで掻き取る。腐蝕は、けがき長さに沿った選ばれたポイントのけがき幅の平均として測定される。
【0077】
以下の系のそれぞれのためのトップコーティングプロセスは、以下の製品/手順を用いて手動での適用により実施した:
統合プロセスSB(溶剤系):
− U28AU227(BASF Corporationにより販売される市販品)を0.9ミルまで適用し、引き続き5分間室温でフラッシングする
− E38WU466L(BASF Corporationにより販売される市販品)を0.9ミルまで適用し、引き続き8分間室温でフラッシングする
− R10CG392(BASF Corporationにより販売される市販品)を1.8ミルまで適用し、引き続き8分間室温でフラッシングし、引き続き5分間200゜Fでフラッシングし、引き続き17分間285゜Fでフラッシングする
【0078】
水系のベースコート/2成分系のクリヤーコートプロセス:
− U28WW554(BASF Corporationにより販売される市販品)を1.0ミルまで適用し、5分間室温でフラッシングし、引き続き30分間265゜Fでフラッシングする
− E54WW301(BASF Corporationにより販売される市販品)を0.5ミルまで適用し、5分間150゜Fでフラッシングする
− E211WW328(BASF Corporationにより販売される市販品)を0.4ミルまで適用し、5分間150゜Fでフラッシングする
− E10CG081(BASF Corporationにより販売される市販品)を1.8ミルまで適用し、10分間室温でフラッシングし、引き続き10分間180゜Fでフラッシングし、25分間255゜Fでフラッシングする
【0079】
粉末トップコートプロセス:
− 960KM0002(BASF Corporationにより販売される市販品)を2.0ミルまで適用し、20分340゜Fで硬化させる
【0080】
湿分試験は、ASTM D3359に従って実施し、チップ試験は、GMW 14700に従って実施した。
【0081】
試験の結果を、以下の第1表〜第3表に示す。
【0082】
第1表 腐食試験GMW15288
【表1】
【0083】
第2表 トップコートパネル上でのSAE J2334による腐蝕
【表2】
【0084】
第3表 トップコートパネルでのチップと湿分
【表3】
【0085】
均一電着性は、FORD Laboratory試験法B1 120−02に従って試験した。結果を、第4表に示す。
【0086】
第4表 均一電着性
【表4】
【0087】
詳細な説明は、単に例示的な性質にすぎず、従って本開示の骨子から逸脱しない別形も本発明の一部である。それらの別形は、本開示の趣旨及び範囲から逸脱するものとして見なされるべきではない。