【文献】
GARCIA-GARCIA PILAR,A POWERFUL CHIRAL COUNTERANION MOTIF FOR ASYMMETRIC CATALYSIS,ANGEWANDTE CHEMIE,2009年 5月13日,V48,P4363-4366
【文献】
TRESKOW M,BINBAM-A NEW MOTIF FOR STRONG AND CHIRAL BRONSTED ACIDS,EUROPEAN JOURNAL OF ORGANIC CHEMISTRY,2009年 6月17日,P3693-3697
【文献】
FARRAR W V,REACTIONS OF SOME ARENESULPHONYL CHLORIDES,JOURNAL OF THE CHEMICAL SOCIETY,英国,CHEMICAL SOCIETY,1960年 7月 1日,N7,P3036-3069
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アルドール反応、ビニレン同族体アルドール反応、ムカイヤマ(Mukaiyama)・アルドール反応、ビニレン同族体ムカイヤマ(Mukaiyama)・アルドール反応、ムカイヤマ(Mukaiyama)・マイケル反応、マイケル付加、マンニッヒ反応、アルデヒド及びケトン上へのTMSCN付加、エステル化、エーテル化、ピナコール転位、アセタール化及び関連反応、シクロ付加、ヒドロアミン化、ヒドロアルコキシル化、水和、一般的なオレフィン活性化、フリーデル−クラフツ反応、エポキシドの開環、リッター反応、アルコールの求核性置換、不斉開環、不斉還元、トランスファー水素添加、アルキン付加、アリル化、エポキシ化、オレフィン複分解、異性化、イミニウム触媒反応及びエナミン触媒反応における、触媒としての式IVを有する化合物の使用。
【技術分野】
【0001】
本発明は、キラルなジスルホンイミドならびにその塩及び金属錯体、及び該化合物の触媒としての使用に関する。
【0002】
数多くの化学的変換は、ブレンステッド酸によって触媒される。まさに、エナンチオ選択的有機触媒反応においては、金属不含の触媒反応の前記方法が存在し、キラルなブレンステッド酸の場合には、エナンチオ選択的触媒反応の前記方法も存在し、適用の増加と共に、分枝の急速な成長が存在する。有機触媒反応の前記範囲内で、水素架橋触媒、例えばチオ尿素ならびにTADDOL誘導体及びBINOL誘導体と強いブレンステッド酸、例えば燐酸ジエステル及びその誘導体とは、区別される。しかし、このキラルな有機ブレンステッド酸による活性化の方法は、反応性の求電子試薬、例えばイミン及びニトロオレフィンに限定され、ならびにケトンと活性化アルデヒドとに個別化する。従って、簡単なケトン、アルデヒド及びアルケンを活性するための極めて強いキラルなブレンステッド酸の製造は、追求に値するものである。
【0003】
J.Am.Chem.Soc.2006,128,9626−9627において、ヤマモト(Yamamoto)等は、キラルな置換N−トリフリルホスホルアミド(N−Triflylphosphoramide)を強いブレンステッド酸としてケトンの活性化のために導入している。同様に、強いキラルなブレンステッド酸、1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジスルホン、の製出は、既にBarber及びSmilesによってJ.Am.Chem.Soc.,1928,1141−1149中に記載されている。Armarego及びTurnerは、J.Am.Chem.Soc.,1957,13−22において、前記酸の光学活性及び光学安定性を研究している。特開2005−132815号公報、特開2005−132816号公報及び特開2005−134365号公報には、前記酸のエナンチオマー純粋な製出、ラセミ体分割のための試薬としての使用及びNMRシフト試薬としての使用が開示されている。List他は、Adv.Synth.Catal.2008,350,962−966及びChem.Asian.J.2008,3,430−437中で前記酸をキラルなブレンステッド酸触媒として使用したが、しかし、エナンチオ選択性を達成することはなかった。イシハラ(Ishihara)等は、J.Am.Chem.Soc.2008,130,16858−16860中で1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジスルホン酸を置換ピリジンとの組合せでキラルなブレンステッド酸−塩基有機触媒として利用した。
【0004】
同様に、1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジスルホン酸の知られていない環式ジスルホンイミド、その置換誘導体及び1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジスルホン酸の置換誘導体は、強いブレンステッド酸として使用することができる。ジスルホン酸及びジスルホンイミドの共役塩基は、同様にキラルなアニオンとしてエナンチオ選択性の対アニオンにより媒介される触媒反応及びルイス酸の触媒反応に適している。
【0005】
それに応じて、本発明は、キラルなジスルホンイミド及びキラルなジスルホンイミドを製造するための簡単な方法ならびに該化合物の触媒反応での使用を提供するという課題に基づくものであった。
【0006】
それに応じて、本発明の対象は、一般式I〜III
【化1】
〔式中、式Iの化合物中の基A及びB、式IIの化合物中の基C及びD、及び式IIIの化合物中の基E及びFの少なくとも1つは、キラルな基であるか又は基E及びFは一緒になってキラルな主鎖を形成し、
Gは、H、C
1〜C
6アルキル、C
2〜C
6アルケニル又はC
2〜C
6アルキニル、アリール、アリール−(C
1〜C
6)−アルキル、ヘテロ(C
1〜C
6)−アルキル、ヘテロアリール、又はSiR
14R
15R
16、Br、Cl、I、Fを表わし、この場合R
14、R
15、R
16は、場合により置換されていてよい、それぞれC
1〜C
6アルキル、C
2〜C
6アルケニル又はC
2〜C
6アルキニル、アリール、アリール−(C
1〜C
6)−アルキル、ヘテロ(C
1〜C
6)−アルキル、ヘテロアリールを表わし、
Xは、C、Si、O、N又はSを表わし、nは、0、1、2、3、4、5又は6を表わし、この場合nは、XがCを表わす場合にのみ1を上廻る〕を有するキラルなジスルホンイミドならびにそれらの有機塩、金属塩及び金属錯体である。
【0007】
式I、II及びIIIを有する化合物は、一般式Z
【化2】
にまとめることもできる。R
a及びR
bの一方又は双方は、基A、B、C、D、E及びFを表わすようなキラルな基であるか、又はR
a及びR
bは一緒になっていわゆるキラルな主鎖を形成し、Gは、H、C
1〜C
6アルキル、C
2〜C
6アルケニル又はC
2〜C
6アルキニル、アリール、アリール−(C
1〜C
6)−アルキル、ヘテロ(C
1〜C
6)−アルキル、ヘテロアリール、又はSiR
14R
15R
16、Br、Cl、I、Fを表わし、この場合R
14、R
15、R
16は、場合により置換されていてよい、それぞれC
1〜C
6アルキル、C
2〜C
6アルケニル又はC
2〜C
6アルキニル、アリール、アリール−(C
1〜C
6)−アルキル、ヘテロ(C
1〜C
6)−アルキル、ヘテロアリールを表わす。
【0008】
TADDOL(実施例中の17+18)、BINOL(1−3、21+22)及びVAPOL(4)に由来する化合物において、及びスピロ化合物(19)の場合、基E及びFは一緒になってキラルな主鎖を形成する。キラリティーは、BINOL及びVAPOLに由来する化合物及びスピロ化合物の場合、軸方向のキラリティーを生じる。この種のキラリティーの場合、アリール(E)−アリール(F)結合(X)の軸を中心とする回転可能性は、制限される。2つのアリールは、それらだけではキラルではなく、自由な回転可能性が制限される軸を介する結合によって、これらのアリールは一緒になってキラル軸を形成する。その中から、ジスルホンイミドのためのキラルな主鎖が生じる。式Zを有する化合物又は式I、II及びIIIを有する化合物は、ヘリカル、キラル又はプレーナな主鎖、例えば化合物24を有することもできる。
【0009】
キラルなスルホンイミドは、本発明の範囲内で、エナンチオマーの1つが過剰量で存在する、即ち含量が増加されているか又は反応生成物がエナンチオマー純粋な形で存在することを意味する。本発明による化合物が反応生成物としてのラセミ体混合物又は非ラセミ体混合物として得られる限り、エナンチオマーは、公知技術水準から良好に公知の方法により、例えばキラルな分取HPLCによる分離によるか、又は化合物とキラルな薬剤との反応及び引続くジアステレオマーの分離により分離されてよい。エナンチオマーは、過剰量で存在するエナンチオマーの含量をさらに増加させる、即ちee値を上昇させる場合に、分離されてもよい。
【0010】
キラルな基としては、任意のキラルな基がこれに該当する。それぞれ別の基がキラルでない限り、基A又はB、C又はD及びE又はFは、飽和又は不飽和で直鎖状、環式又はヘテロ環式の芳香族及び/又はヘテロ芳香族であってよい任意の有機基を表わす。式I、II及びIIIを有する化合物の例は、次に示される:
【化3】
【0011】
有機合成、殊に製薬学的作用物質の合成において、キラルな化合物は、しばしば触媒として使用され、望まし生成物が高いエナンチオマー純粋又はジアステレオマー純粋で得られる。有機合成における触媒としての使用には、式I〜IIIの化合物中の基がBINOLに由来する化合物が特に好適であることが判明した。この好ましい化合物ならびにそれらの有機塩、金属塩及び金属錯体は、一般式IV
【化4】
〔式中、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11及びR
12は、同一でも異なっていてもよく、互いに無関係にH、OH、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、NO、SO
2、SO
3H、NH
2、PH
3、COOH、SO
3X、COOY、但し、X及びYは、Na又はKを表わすものとし、場合により置換されていてよい、C
1〜C
20アルキル、C
2〜C
20アルケニル又はC
2〜C
20アルキニル、アリール、アリール−(C
1〜C
6)−アルキル、ヘテロ(C
1〜C
6)−アルキル、ヘテロアリールを表わし、
R
13は、H、C
1〜C
6アルキル、C
2〜C
6アルケニル又はC
2〜C
6アルキニル、アリール、アリール−(C
1〜C
6)−アルキル、ヘテロ(C
1〜C
6)−アルキル、ヘテロアリール又はSiR
14R
15R
16、Br、Cl、I、Fを表わし、この場合R
14、R
15、R
16は、場合により置換されていてよい、それぞれC
1〜C
6アルキル、C
2〜C
6アルケニル又はC
2〜C
6アルキニル、アリール、アリール−(C
1〜C
6)−アルキル、ヘテロアリールである〕で表わされる。
【0012】
更に、本発明の対象は、一般式V
【化5】
〔式中、
R
1'、R
2'、R
3'、R
3''、R
4'、R
4''、R
5'、R
5''、R
6'、R
6''、R
7'、R
7''、R
8'、R
8''、R
9'、R
9''、R
10'、R
10''、R
11'及びR
12'は、同一でも異なっていてもよく、互いに無関係にH、OH、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、NO、SO
2、SO
3H、NH
2、PH
3、COOH、SO
3X、COOY、但し、X及びYは、Na又はKを表わすものとし、場合により置換されていてよい、C
1〜C
20アルキル基、C
2〜C
20アルケニル基又はC
2〜C
20アルキニル基、アリール基、アリール−(C
1〜C
6)−アルキル基、ヘテロ(C
1〜C
6)−アルキル基、ヘテロアリール基を表わし、
R
13は、H、C
1〜C
6アルキル、C
2〜C
6アルケニル又はC
2〜C
6アルキニル、アリール、アリール−(C
1〜C
6)−アルキル、ヘテロ(C
1〜C
6)−アルキル、ヘテロアリール又はSiR
14R
15R
16、Br、Cl、I、Fを表わし、この場合R
14、R
15、R
16は、場合により置換されていてよい、それぞれC
1〜C
6アルキル、C
2〜C
6アルケニル又はC
2〜C
6アルキニル、アリール、アリール−(C
1〜C
6)−アルキル、ヘテロアリールである〕を有するH8−BINOLに由来するキラルなジスルホンイミドならびにそれらの有機塩、金属塩及び金属錯体である。
【0013】
更に、好ましい実施態様の対象は、次の一般式VI、VII、VIII及びIX
【化6】
〔式中、基R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11及びR
12、R
1'、R
2'、R
3'、R
3''、R
4'、R
4''、R
5'、R
5''、R
6'、R
6''、R
7'、R
7''、R
8'、R
8''、R
9'、R
9''、R
10'、R
10''、R
11'及びR
12'ならびにR
13は、上記の定義と同様である〕を有する化合物であり、この場合エナンチオマーは、98:2〜100:0、即ちエナンチオマー純粋な形で存在する。
【0014】
本発明による化合物は、エナンチオ選択的合成のための触媒として良好に好適であることが確認された。この場合、本発明による化合物は、キラルなブレンステッド酸として機能するか又はルイス酸又はその共役塩基としてのR
13=SiR
14R
15R
16の場合には、エナンチオ選択的対アニオンにより媒介される触媒反応におけるキラルなアニオンとして機能する。
【0015】
個々の基R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11及びR
12のための次の定義は、同様に基R
1'、R
2'、R
3'、R
3''、R
4'、R
4''、R
5'、R
5''、R
6'、R
6''、R
7'、R
7''、R
8'、R
8''、R
9'、R
9''、R
10'、R
10''、R
11'及びR
12'ならびに基R
13にも当てはまる。
【0016】
C
1〜C
20アルキルは、非分枝鎖状(直鎖状)又は分枝鎖状であってよく、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個の炭素原子を有する。アルキルは、特にC
1〜C
6アルキル、殊にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル又はt−ブチル、同様にペンチル、1−、2−又は3−メチルプロピル、1,1−、1,2−又は2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、1−、2−、3−又は4−メチルペンチル、1,1−、1,2−、1,3−、2,2、−2,3−又は3,3−ジメチルブチル、1−又は2−エチルブチル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、1,1,2−又は1,2,2−トリメチルプロピルである。好ましい置換アルキル基は、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル及び1,1,1−トリフルオロエチルである。
【0017】
シクロアルキルは、特にシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルである。アルキレンは、特にメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン又はヘキシレンであるが、分枝鎖状アルキレンでもある。
【0018】
アルキレンは、好ましくはビニルである。
【0019】
アルキニルは、好ましくはC≡CHである。
【0020】
ハロゲンは、F、Cl、Br又はIである。
【0021】
アルコキシは、特にメトキシ、エトキシ、プロポキシ又はブトキシである。
【0022】
N、O及びSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を有するC
3〜C
8ヘテロシクロアルキルは、特に2,3−ジヒドロ−2−、−3−、−4−又は−5−フリル、2,5−ジヒドロ−2−、−3−、−4−又は−5−フリル、テトラヒドロ−2−又は−3−フリル、1,3−ジオキソラン−4−イル、テトラヒドロ−2−又は−3−チエニル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−又は−5−ピロリル、2,5−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−又は−5−ピロリル、1−、2−又は3−ピロリジニル、テトラヒドロ−1−、−2−又は−4−イミダゾリル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−又は−5−ピラゾリル、テトラヒドロ−1−、−3−又は−4−ピラゾリル、1,4−ジヒドロ−1−、−2−、−3−又は−4−ピリジル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−又は−6−ピリジル、1−、2−、3−又は4−ピペリジニル、2−、3−又は4−モルホリニル、テトラヒドロ−2−、−3−又は−4−ピラニル、1,4−ジオキサニル、1,3−ジオキサン−2−、−4−又は−5−イル、ヘキサヒドロ−1−、−3−又は−4−ピリダジニル、ヘキサヒドロ−1−、−2−、−4−又は−5−ピリミジニル、1−、2−又は3−ピペラジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−又は−8−キノリル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−又は−8−イソキノリル、2−、3−、5−、6−、7−又は8−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニルである。
【0023】
場合により置換されていてよいとは、置換されていないか、又はモノ置換、ジ置換、トリ置換、テトラ置換又はペンタ置換されていることである。
【0024】
アリールは、特にフェニル、ナフチル又はジフェニルである。
【0025】
アリールアルキルは、特にベンジルである。
【0026】
N、O及びSから選択される1つ又は複数のヘテロ原子を有するヘテロアリールは、特に2−又は3−フリル、2−又は3−チエニル、1−、2−又は3−ピロリル、1−、2−、4−又は5−イミダゾリル、1−、3−、4−又は5−ピラゾリル、2−、4−又は5−オキサゾリル、3−、4−又は5−イソキサゾリル、2−、4−又は5−チアゾリル、3−、4−又は5−イソチアゾリル、2−、3−又は4−ピリジル、2−、4−、5−又は6−ピリミジニル、さらに好ましくは1,2,3−トリアゾール−1−、−4−又は−5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−、−3−又は−5−イル、1−又は5−テトラゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−又は−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−又は−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−又は−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−又は−5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−又は−5−イル、3−又は4−ピリダジニル、ピラジニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−又は7−インドリル、4−又は5−イソインドリル、1−、2−、4−又は5−ベンズイミダゾリル、1−、3−、4−、5−、6−又は7−ベンゾピラゾリル、2−、4−、5−、6−又は7−ベンゾキサゾリル、3−、4−、5−、6−又は7−ベンズイソキサゾリル、2−、4−、5−、6−又は7−ベンゾチアゾリル、2−、4−、5−、6−又は7−ベンズイソチアゾリル、4−、5−、6−又は7−ベンズ−2,1,3−オキサジアゾリル、2−、3−、4−、5−、6−、7−又は8−キノニル、1−、3−、4−、5−、6−、7−又は8−イソキノリル、3−、4−、5−、6−、7−又は8−キノリニル、2−、4−、5−、6−、7−又は−キナゾリニル、5−又は6−キノキサリニル、2−、3−、5−、6−、7−又は8−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニル、さらに好ましくは1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、1,4−ベンゾジオキサン−6−イル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4−又は−5−イル、又は2,1,3−ベンゾキサジアゾール−5−イルである。
【0027】
本発明の1つの好ましい実施態様において、R
1及びR
12の少なくとも1つ、又はR
1'及びR
12'の少なくとも1つは、水素でなく、フェニル−、2,4,6−トリイソプロピル−フェニル、メシチル、9−フェナントリル、9−アントラセニル、フェロセニル、N−(ペルフルオロフェニル)アセトアミド、N−(4−クロロフェニル)アセトアミド、N−(ナフタレン−1−イル)アセトアミド、N−ベンズヒドリルアセトアミド、N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)アセトアミド、1−アントラセニル、コランヌレン、ポルフィリン、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、3,5−(トリフルオロメチル)−フェニル、2,6−ジメチル−フェニル、t−ブチル、トリス−メシチル−シリル、トリス−フェニル−シリル、4−ニトロフェニル及び2,6−メチル−4−ブチル−フェニル、トリフルオロメチル、非分枝鎖状(直鎖状)及び分枝鎖状の(C
1〜C
12)ペルフルオロアルキル、3,4,5−トリフルオロフェニル、1,3−ビス(ペルフルオロプロパン−2−イル)−フェニル、1,3−ビス(ペルフルオロブチル)−フェニル及び/又はペンタフルオロフェニルならびにクロリド、ヨージド、フルオリド、B(OH)
2、B(アルキル)
2、B(Oアルキル)
2、B(ピナコール)、BF
3X、但し、X=Na又はK、OTf、MgCl、MgBr、ZnClである。別の基は、特に水素である。
【0028】
本発明のもう1つの好ましい実施態様において、基R
4及びR
9の少なくとも1つ又はR
4'、R
4''、R
9'及びR
9''の少なくとも1つは、NO
2又はIから選択される。
【0029】
本発明による化合物は、当業者によく知られた処理工程で有機塩、金属塩又は金属錯体に変換されてよい。1つの可能な実施態様において、ジスルホンイミドは、相応する金属塩、例えば相応する金属の炭酸塩と反応される。
【0030】
有機塩、金属塩又は金属錯体の例は、次の反応式に示される:
【化7】
【0031】
反応式1において、任意の金属又は有機カチオン、例えば第三アンモニウムイオンは、Mによって表わすことができる。Lは、任意の配位子を示し、この場合数nは、0〜10である。反応式1における化合物が塩として表わされる場合でも、金属を有する正確な構造は、公知でなく、この構造は、金属錯体の構造を有することもできる。従って、本発明の範囲内で金属塩又は金属錯体の処方が使用される。金属化合物は、一定の金属化合物又は金属錯体に限定されない。適当な金属化合物は、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Al、Pb、La、Sm、Eu、Ybから誘導される。
【0032】
【化8】
【0033】
A及び/又はB、C及び/又はD、ならびにE及び/又はFがキラルな脂肪族基を表わすような合成経路の例:
【化9】
【0034】
【化10】
【0035】
A、B、C、D、E、Fが芳香族基である場合、合成は、ニューマン−クワート転位(Newman−Kwart Umlagerung)により実施されてよい:
【化11】
【0036】
本発明の1つの好ましい製造法は、一般式I又はIIを有する置換ジスルホンイミド、即ちキラルなBINOL及びH8 BINOL主鎖を有する置換ジスルホンイミドの製造法である:
【化12】
【0037】
上記式中、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
1'、R
2'、R
3'、R
3''、R
4'、R
4''、R
5'、R
5''、R
6'、R
6''、R
7'、R
7''、R
8'、R
8''、R
9'、R
9''、R
10'、R
10''、R
11'及びR
12'ならびにR
13は、上記の定義と同様であり、但し、
(A)一般式Xを有するビノール誘導体又は一般式XIを有するH8−ビノール誘導体は、
【化13】
一般式XII
【化14】
〔式中、R
17及びR
18は、同一でも異なっていてもよく、C
1〜C
6アルキル基を表わす〕で示されるチオカルバモイルクロリドと反応され、一般式XIII又はXIV
【化15】
を有するO−アリールチオカルバメートが形成され、
(B)式XIIを有するO−アリールチオカルバメートは、式XV又はXVI
【化16】
を有する相応するS−アリールチオカルバメートに変換され、及び
(C)S−アリールチオカルバメートは、酸化剤の存在下で式XVII又はXVIII
【化17】
を有する化合物に変換される。
処理工程(D)において、式VIを有するスルホン酸は、自体公知の方法で、R
19がCl、Br、I又はFである、式XIX又はXX
【化18】
を有する酸ハロゲン化物に変換され、次の処理工程で
(E)引続き、アンモニア又は第1アミンにより式IV又はVを有する相応するイミドに変換される。
【0038】
他の選択可能な方法によれば、前記の合成経路において、式XV又はXVIを有するS−アリールチオカルバメートは、当業者に公知の処理工程(D1)で直接に式XIX又はXXを有する酸ハロゲン化物に変換されることができ、この場合R
19は、Cl、Br、I又はFである。
【0039】
他の選択可能な合成経路において、一般式IVa又はVa
【化19】
を有する3,3’−非置換ジスルホンイミドから出発し(R
1、R
12=H又はR
1'、R
12'=H)、この場合この3,3’−非置換ジスルホンイミドは、上記の合成経路により製出されてよい。
【0040】
この3,3’−非置換ジスルホンイミドは、当業者に公知の処理工程F)で一般式XX又はXXI
【化20】
を有する3,3’−ジハロゲン化物(R
1、R
12=Cl、Br、I又はF、又はR
1'、R
12'=Cl、Br、I又はF)又は3,3’−ジトリフラート(R
1、R
12=OTf又はR
1'、R
12'=OTf)に変換される。
【0041】
他の選択可能な方法によれば、この合成経路でジスルホンイミドIVa又はVaは、当業者に公知の処理工程G)で一般式XXII又はXXIII
【化21】
を有する3,3’−ジボロネート(R
1、R
12=B(OH)
2、B(アルキル)
2、B(Oアルキル)
2、B(ピナコール)、BF
3X、但し、X=Na、K又はR
1'、R
12'=B(OH)
2、B(アルキル)
2、B(Oアルキル)
2、B(ピナコール)、BF
3X、但し、X=Na、K)に変換されてよい。
【0042】
一般式XX又はXXIを有するハロゲン化物及びジトリフラート、又は一般式XXII又はXXIIIを有するボロネートは、処理工程H)としての当業者によく知られたカップリング反応のための出発物質として使用され、式IV又はVを有するイミドを生じる。
【0043】
本発明による方法の個々の反応工程は、公知技術水準から公知の方法である。処理工程Aにおいて、式IV又はVを有するジヒドロキシ化合物は、水素化物の存在下で溶剤中で高められた温度で式XIIのチオカルバモイルクロリドと反応される。溶剤としては、反応に不利な影響を及ぼさない全ての有機溶剤がこれに該当する。
【0044】
反応工程Bは、特に適当な溶剤中で、又は溶剤不含で工程Aで得られたO−アリールチオカルバメートを加熱することによって行なわれる。式XV又はXVIを有する得られたS−アリールチオカルバメートは、直ぐ次の処理工程Cにおいて式XVII又はXVIIIを有するスルホン酸に変換される。この処理工程は、特に酸化剤、例えばH
2O
2及び酸及び/又は有機過酸の存在下で行なわれる。
【0045】
式IV又はVを有する酸イミドへの式XVII又はSVIIIを有するスルホン酸の変換は、自体公知の方法で当業者によく知られた処理工程により行なうことができる。
【0046】
他の選択可能な方法によれば、前記の合成経路において、式XV又はXVIを有するS−アリールチオカルバメートは、当業者に公知の処理工程(D1)で直接に式XVII又はXVIIIを有する酸ハロゲン化物に変換されることができ、この場合R
19は、Cl、Br、I又はFである。
【0047】
BINOL XからジスルホンイミドIVへの一般的な合成経路のための1例は、反応式3から確認することができる。ジスルホンイミドVのための合成経路は、同様であり、H8−BINOL XIから出発する(反応式4)。出発物質は、相応する置換BINOL X又は置換H8−BINOL XI、又は非置換BINOL X又は非置換H8−BINOL XIであり、これらは、ジメチルチオカルバモイルクロリドにより相応するO−アリールチオカルバメートXIII又はXIVに変換される。ニューマン−クワート転位(Newman−Kwart Umlagerung)により、S−アリールチオカルバメートXV又はXVIが得られ、これらは、酸化条件下でジスルホン酸XVII又はXVIIIに変換される。相応するスルホン酸ハロゲン化物XIX又はXXへの前記酸の変換及びアンモニアによる閉環は、ジスルホンイミドIV又はVを生じる。
【0048】
他の選択可能な方法によれば、前記の合成経路において、式XV又はXVIを有するS−アリールチオカルバメートは、当業者に公知の処理工程(D1)で直接に式XIX又はXXを有する酸ハロゲン化物に変換されることができる。アンモニアを用いての閉環は、ジスルホンイミドIV又はVを生じる。ジスルホンイミドを製出するための一般的な記載は、実験に基づく記載部分にある。
【0049】
【化22】
【0050】
【化23】
【0051】
他の選択可能な合成経路において、上記の経路により製出されたジスルホンイミドIVa又はVa(R
1、R
12=H又はR
1'、R
12'=H)は、出発物質と見なされる。ジスルホンイミドIVa又はVaは、当業者によく知られた処理工程により、一般式XX又はXXIを有するハロゲン化物又はジトリフラート、又は一般式XXII又はXXIIIを有するボロネートに変換される。これらの化合物は、式IV又はVを有するイミドへのカップリング反応のための出発物質として使用される。直接的なオルト金属化によりインサイチュー(in−situ)で形成された金属種(R
1、R
12=Li、Mg、Zn、Cu又はR
1'、R
12'=Li、Mg、Zn、Cu)をハロゲン源で急冷するのではなく、別の適当な求電子試薬、例えばCO
2、ペルフルオロアルキルヨージド又はイソシアネート、アルデヒド又はケトンで急冷することにより、ジスルホンイミドIVa又はVaによるR
1、R
12又はR
1'、R
12'の変形も可能である。
【0052】
【化24】
【0053】
【化25】
【0054】
触媒としての使用
本発明によるジスルホンイミドI〜IIIならびにこれらの有機塩、金属塩及び金属錯体は、ケトン、アルデヒド及びアルケンを活性化するための多数の反応のために、強いキラルなブレンステッド酸触媒又はキラルなルイス酸触媒として特に好適である。R
13がH、F、Cl、Br、I又はSiR
14R
15R
16を表わすような化合物は、特に良好な触媒活性を示し、この場合R
14、R
15、R
16は、それぞれC
1〜C
6アルキル、C
2〜C
6アルケニル又はC
2〜C
6アルキニルである。特に好ましくは、R
13は、SiR
14R
15R
16又はIを表わす。
【0055】
本発明による化合物が触媒として使用されてよい反応には、アルドール反応、ビニレン同族体アルドール反応、ムカイヤマ(Mukaiyama)・アルドール反応、ビニレン同族体ムカイヤマ(Mukaiyama)・アルドール反応、ムカイヤマ(Mukaiyama)・マイケル反応、マイケル付加、マンニッヒ反応、アルデヒド及びケトン上へのTMSCN付加、エステル化、エーテル化、ピナコール転位、アセタール化及び関連反応、シクロ付加、ヒドロアミン化、ヒドロアルコキシル化、水和、一般的なオレフィン活性化、フリーデル−クラフツ反応、エポキシドの開環、リッター反応、アルコールの求核性置換、不斉開環、不斉還元、トランスファー水素添加、アルキン付加、アリル化、エポキシ化、オレフィン複分解、異性化、イミニウム触媒反応及びエナミン触媒反応が含まれる。
【0056】
前記反応の選択は、反応式7及び8に示されている。
【0057】
【化26】
【0058】
【化27】
【0059】
ジスルホンイミドVIIaを用いてムカイヤマ(Mukaiyama)・アルドール反応で達成された第1の結果は、反応式9中に例示的に示されている。
【0060】
【化28】
【0061】
更に、本発明による化合物の使用分野は、次の通りである。
a)金属錯体のための配位子として;例示的に公知のグルブス触媒及びホベイダ・グルブス触媒(Hoveyda−Grubbs−Katalysatoren)における一般式I〜IIIのジスルホンイミドによる2つのクロリド配位子の交換が挙げられる。
b)脱プロトン化された形で、一般式I〜IIIを有するジスルホンイミドは、不斉合成において適している。
【0062】
更に、本発明の対象は、NMRシフト試薬及びラセミ分割のための試薬としての式I〜IIIを有する化合物の使用である。
【0063】
実験に基づく記載部分
室温でのムカイヤマ(Mukaiyama)・アルドール反応のための一般的な規定
ジスルホンイミドVIIa(0.41mg、0.5モル%)及びベンズアルデヒド(10μl、0.1ミリモル)をトルエン又はペンタン0.5ml中に室温で装入する。t−ブチル(1−メトキシビニルオキシ)ジメチルシラン又はt−ブチル(1−イソプロポキシビニルオキシ)ジメチルシラン(0.11ミルモル)を滴加し、室温で1〜2時間攪拌する。その後に、溶剤を減圧下で除去し、Ph
3CH0.05ミリモルをNMR測定のための内部標準として収量の測定のために添加する。CDCl
3約1ml中に溶解し、NMR測定のために0.5〜0.75mlを取り出す。残りの溶液を分別薄層クロマトグラフィーのために使用する。前記の薄層クロマトグラフィーから単離された生成物を用いて、エナンチオマー過剰量をキラルなGC測定又はキラルなHPLC測定により測定する。
【0064】
【化29】
【0065】
ビニレン同族体ムカイヤマ(Mukaiyama)・アルドール反応のための一般的な合成規定
ジスルホンイミドVIa(2.05mg、5モル%)及び相応するアルデヒド(0.05ミリモル、1当量)を−78℃でEt
2O0.25ml中に装入する。(Z)−t−ブチル((1−エトキシブタ−1,3−ジエン−1−イル)オキシ)ジメチルシラン(0.065ミリモル、1.3当量)を滴加し、−78℃で72時間攪拌する。その後に、飽和NaHCO
3溶液(0.25ml)で急冷し、ジクロロメタン(5ml)で希釈する。この溶液をNa
2SO
4上で乾燥する。その後に、溶剤を減圧下で除去し、Ph
3CH0.05ミリモルをNMR測定のための内部標準として収量の測定のために添加する。CDCl
3約1ml中に溶解し、NMR測定のために0.5〜0.75mlを取り出す。残りの溶液を分別薄層クロマトグラフィーのために使用する。前記の薄層クロマトグラフィーから単離された生成物を用いて、エナンチオマー過剰量をキラルなGC測定又はキラルなHPLC測定により測定する。
【0066】
【化30】
【0067】
アルデヒドをアリル化するための一般的な合成規定
ジスルホンイミドVIa(2.05mg、5モル%)及び相応するアルデヒド(0.05ミリモル、1当量)を−78℃でEt
2O0.25ml中に装入する。トリメチル(2−メチルアリル)シラン(0.065ミリモル、1.3当量)を滴加し、−78℃で12〜16時間攪拌する。その後に、飽和NaHCO
3溶液(0.25ml)で急冷し、ジクロロメタン(5ml)で希釈する。この溶液をNa
2SO
4上で乾燥する。その後に、溶剤を減圧下で除去し、Ph
3CH0.05ミリモルをNMR測定のための内部標準として収量の測定のために添加する。CDCl
3約1ml中に溶解し、NMR測定のために0.5〜0.75mlを取り出す。残りの溶液を分別薄層クロマトグラフィーのために使用する。前記の薄層クロマトグラフィーから単離された生成物を用いて、エナンチオマー過剰量をキラルなGC測定又はキラルなHPLC測定により測定する。
【0068】
【化31】
【0069】
ヘテロ・ディールス・アルダー反応のための一般的な合成規定
ジスルホンイミドVIa(2.05mg、5モル%)及び相応するアルデヒド(0.05ミリモル、1当量)を−78℃でEt
2O0.25ml中に装入する。(E)−((4−メトキシブタ−1,3−ジエン−2−イル)オキシ)トリメチルシラン(0.06ミリモル、1.2当量)を滴加し、−78℃で攪拌する。その後に、ジクロロメタン中の10%のTFA溶液を用いて−78℃で急冷する。溶剤を減圧下で除去し、Ph
3CH0.05ミリモルをNMR測定のための内部標準として収量の測定のために添加する。CDCl
3約1ml中に溶解し、NMR測定のために0.5〜0.75mlを取り出す。残りの溶液を分別薄層クロマトグラフィーのために使用する。前記の薄層クロマトグラフィーから単離された生成物を用いて、エナンチオマー過剰量をキラルなGC測定又はキラルなHPLC測定により測定する。
【0070】
【化32】
【0071】
アルデヒド上へのTMSCN付加のための一般的な合成規定
ジスルホンイミドVIa(2.05mg、5モル%)及び相応するアルデヒド(0.05ミリモル、1当量)を−25℃でEt
2O0.25ml中に装入する。TMSCN(0.15ミリモル、3当量)を添加し、−78℃で攪拌する。その後に、ジクロロメタン中の10%のTFA溶液を用いて−25℃で急冷する。溶剤を減圧下で除去し、Ph
3CH0.05ミリモルをNMR測定のための内部標準として収量の測定のために添加する。CDCl
3約1ml中に溶解し、NMR測定のために0.5〜0.75mlを取り出す。残りの溶液を分別薄層クロマトグラフィーのために使用する。前記の薄層クロマトグラフィーから単離された生成物を用いて、エナンチオマー過剰量をキラルなGC測定又はキラルなHPLC測定により測定する。
【0072】
【化33】
【0073】
ジスルホンイミドを製出するための一般的な方法
a)O−アリールチオカルバメートXIII又はXIVの製出
相応するジオール(1当量)を室温で0℃でDMF(0.2M)中に装入する。油中の60%のNaH(4当量)を急速にではあるが、少量ずつ添加する。室温で5分間攪拌した後、DMF中のN,N−ジメチルチオカルバモイルクロリド(6ミリモル/ml)を注射器で添加する。引続き、12〜18時間、85℃に加熱する。冷却後、溶液に2%のKOHを添加する。生じる沈殿物を吸引濾過し、2%のKOHで後洗浄し、ジクロロメタン中に溶解し、及び水で洗浄する。有機相をNa
2SO
4上で乾燥し、蒸発濃縮する。カラムクロマトグラフィー(SiO
2、酢酸エチル/ヘキサン)は、望ましいO−アリールチオカルバメートを供給する。
b)S−アリールチオカルバメートXV又はXVIの製出
O−アリールチオカルバメートをアルゴンの下で80〜90分間、250℃に加熱する。カラムクロマトグラフィー(SiO
2、酢酸エチル/ヘキサン)による精製は、望ましいS−アリールチオカルバメートを供給する。
c)ジスルホン酸XVI又はXVIIIの製出
酢酸及び蟻酸(30%のH
2O
2の10倍の容量)を0℃又は室温で装入し、30%のH
2O
2(30当量)を滴下法で添加する。室温で1時間攪拌した後、酢酸、THF又はジクロロメタン中に溶解した(30%のH
2O
2の5倍の容量)、S−アリールチオカルバメートを添加する。室温で1〜72時間の攪拌後、溶液を蒸発濃縮するか、又は溶液をシリカゲルを介して濾過し、その後に蒸発濃縮する。カラムクロマトグラフィー(SiO
4、ジクロロメタン/メタノール)は、望ましい酸の塩を供給する。この塩を2〜6MのHClを用いて洗浄するか又はイオン交換クロマトグラフィーにより望ましい酸に変換する。
d)ジスルホン酸クロリドXIX又はXXの製出
相応するジスルホン酸をアルゴンの下で塩化チオニル中に装入する。触媒量のDMFを添加した後、1〜4時間還流下に加熱する。塩化チオニルを真空下に除去し、ジエチルエーテルを用いて温浸することによって精製するか又はカラムクロマトグラフィーによって精製する(SiO
2、ヘキサン/酢酸エチル)。
d1)ジスルホン酸クロリドXIX又はXXの製出
相応するS−アリールチオカルバメートを0℃で2MのHCl−アセトニトリルの混合物中に懸濁させる。その上、N−クロロスクシンイミド(4〜30当量)を少量ずつ添加する。まさに20℃未満で10〜240分間、攪拌した後、懸濁液をジエチルエーテルで抽出し、飽和NaCl溶液で洗浄し、及び蒸発濃縮する。精製をカラムクロマトグラフィーを用いて行なう(SiO
2、酢酸エチル/ペンタン)。
e)ジスルホンイミドIV又はVの製出
相応するジスルホン酸クロリドをTHF中に溶解する。メタノール中のアンモニア(5〜30当量)を少量ずつ、又はシリンジポンプを用いて−10℃〜60℃で添加し、この温度で6〜120時間攪拌する。溶剤を除去した後、カラムクロマトグラフィー(SiO
2、ヘキサン/酢酸エチル)を用いての精製によってジスルホンイミドの塩が得られる。この塩を2〜6MのHClを用いて洗浄するか又はイオン交換クロマトグラフィーにより望ましい酸に変換する。
e1)ジボロネートXXII又はXXIII、又はジハロゲン化物XX又はXXIによるジスルホンイミドIV又はVの製出
相応するジスルホンイミドIVa又はVa(R
1、R
12=H、又はR
1'、R
12'=H)を−78℃〜0℃でn−BuLi、s−BuLi又はt−BuLiにより脱プロトン化する。ハロゲン化物源又は硼素源を−78℃〜0℃で添加することにより、ジハロゲン化物XX又はXXI、又はジボロネートXXII又はXXIIIが得られる。室温で1〜120時間の攪拌後、溶液を塩化アンモニウムで急冷する。水相を適当な有機溶剤で抽出する。有機相をNa
2SO
4上で乾燥し、蒸発濃縮する。カラムクロマトグラフィー(SiO
2、ジクロロメタン/メタノール)は、望ましいジハロゲン化物XX又はXXIの塩、又はジボロネートXXII又はXXIIIを供給する。この塩を2〜8MのHClで洗浄することにより、又はイオン交換クロマトグラフィーにより望ましい酸に変換する。
【0074】
ジヨージドを相応するボロン酸(2〜20当量)及びPd(PPh
3)
41〜40モル%を用いてアルゴンの下で2MのNaCO
3aq(2〜30当量)とDMEとからなる脱ガス化された混合物中で1〜72時間、50〜150℃に加熱する。混合物の冷却後、水で希釈する。酢酸エチルで抽出し、有機相をNa
2SO
4上で乾燥し、及び蒸発濃縮する。カラムクロマトグラフィー(SiO
2、ジクロロメタン/メタノール)は、望ましいジスルホンイミドIV又はVの塩を供給する。この塩を2〜6MのHClで洗浄することにより、又はイオン交換クロマトグラフィーにより望ましい酸に変換する。
【0075】
【化34】
【0076】
【化35】