特許第5738231号(P5738231)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5738231
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】排ガス浄化用触媒材およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/652 20060101AFI20150528BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20150528BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   B01J23/652 A
   B01D53/36 104A
   B01D53/36 102B
   F01N3/10 AZAB
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-106205(P2012-106205)
(22)【出願日】2012年5月7日
(65)【公開番号】特開2013-233485(P2013-233485A)
(43)【公開日】2013年11月21日
【審査請求日】2013年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004293
【氏名又は名称】株式会社ノリタケカンパニーリミテド
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 洋祐
【審査官】 西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−279027(JP,A)
【文献】 特開平05−138024(JP,A)
【文献】 特開平06−211525(JP,A)
【文献】 特開2002−336703(JP,A)
【文献】 特開2004−057868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00−38/74
B01D 53/86
B01D 53/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒担体の表面に触媒活性物質と共に担持され、内燃機関から排出される排ガスを浄化するための排ガス浄化用触媒材であって、
Cr0.01〜0.5mol%含有するセリアジルコニア酸化物粒子を含むことを特徴とする排ガス浄化用触媒材。
【請求項2】
前記セリアジルコニア酸化物粒子は、30m/g以上の粒子比表面積を有するものであることを特徴とする請求項1の排ガス浄化用触媒材。
【請求項3】
前記セリアジルコニア酸化物粒子と、Zr酸化物およびCrからなる複合物とが複合していることを特徴とする請求項1または2の排ガス浄化用触媒材。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1の排ガス浄化用触媒材の製造方法であって、
ジルコニアゾルに硝酸クロム9水和物を混合させる第1混合工程と、
前記第1混合工程によって混合された前記ジルコニアゾルおよび前記硝酸クロム9水和物の混合液を乾燥・焼成させる第1乾燥・焼成工程と、
前記第1乾燥・焼成工程によって乾燥・焼成されたものにセリアジルコニア酸化物粒子を混合させる第2混合工程と
を含む排ガス浄化用触媒材の製造方法。
【請求項5】
請求項1または2の排ガス浄化用触媒材の製造方法であって、
ジルコニアゾルに硝酸セリウムおよび硝酸クロム9水和物を混合させる第3混合工程と、
前記第3混合工程によって混合された前記ジルコニアゾル、前記硝酸セリウム、前記硝酸クロム9水和物の混合液にアンモニア水を添加して混合させる第4混合工程と、
前記第4混合工程によって混合された前記ジルコニアゾル、前記硝酸セリウム、前記硝酸クロム9水和物の混合液を濾過してその混合液中の固体分を分離させる分離工程と、
前記分離工程によって分離された固体分を乾燥・焼成させる第2乾燥・焼成工程と
を含む排ガス浄化用触媒材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関から排出される排ガスを浄化する排ガス浄化用触媒材およびその製造方法に関し、特に、高価な希土類元素であるセリウム(Ce)の使用量を低減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1乃至3等に示すように、内燃機関から排出される排ガスを浄化する排気ガス浄化装置において、触媒担体に担持されて、触媒活性物質を大きく分布させる表面積の大きな排ガス浄化用触媒材として、セリウム(Ce)とジルコニウム(Zr)とからなるセリアジルコニア酸化物(CeZr1−X)やそれにランタン等の希土類元素が添加された材料が提案されている。
【0003】
上記のようなセリアジルコニア酸化物系材料は、白金(Pt)、パラジウム、ロジウム等の触媒活性物質に酸素を供給し或いは脱離する役割を果たし、酸素貯蔵能材と称される。すなわち、セリアジルコニア酸化物系材料では、酸素の吸脱着機能が活用されており、この機能を有する特殊な機能性のもとはセリウムとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05−277373号公報
【特許文献2】特開平05−285386号公報
【特許文献3】特許第2690654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、レアアース価格の高騰の問題から、酸素貯蔵能材の主要構成元素であるセリウムの含有量をなるべく低減することが求められており、セリウムの含有量を低減させた酸素貯蔵能材が求められている。しかしながら、セリウムの含有量を低減させると酸素貯蔵能性能が低下する傾向があり、そのセリウムの含有量の低減は、酸素貯蔵能特性の低下だけでなく、実際の使用条件の高温上限範囲(800〜1000℃)で比表面積を低下させてしまうという問題も発生する。比表面積が低下すると、担持した触媒活性物質の活性が低下したり、剥離したりする問題がある。特に、高排気量自動車、ハイブリッド自動車等の用途では、そのセリウムの含有量を高く調整されるのが一般的であるため、そのような問題が顕著である。このため、セリウムの含有量を低減しても、従来の排ガス浄化用触媒材と同等以上の酸素貯蔵能性能を有しながら、高温(800〜1000℃)において比表面積が低下しない排ガス浄化用触媒材の創成が課題となっていた。
【0006】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、セリウムの含有量を低減しても従来と同等以上の酸素貯蔵能性能および比表面積を有する排ガス浄化用触媒材およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は以上の事情を背景として種々検討を重ねた結果、排ガス浄化用触媒材であるセリアジルコニア酸化物系材料において、クロム(Cr)をジルコニア或いはセリアジルコニアに所定量添加することによって、セリウムの含有量を低減させても、従来に比較して高い酸素貯蔵能性能および高い比表面積を有することを見い出した。本発明はこのような知見に基づいて為されたものである。
【0008】
前記目的を達成するための本発明の排ガス浄化用触媒材の要旨とするところは、(a) 触媒担体の表面に触媒活性物質と共に担持され、内燃機関から排出される排ガスを浄化するための排ガス浄化用触媒材であって、(b) Cr0.01〜0.5mol%含有するセリアジルコニア酸化物粒子を含むことである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の排ガス浄化用触媒材によれば、Cr0.01〜0.5mol%含有するセリアジルコニア酸化物粒子が含まれている。このため、Crがセリアジルコニア酸化物に添加されることで、セリウムの含有量を従来の排ガス浄化用触媒材におけるセリウムの含有量より低減させても、従来に比較して高い酸素貯蔵能性能および高い比表面積を有することができる。
【0010】
ここで、好適には、前記セリアジルコニア酸化物粒子は、30m/g以上の粒子比表面積を有するものであるので、従来の排ガス浄化用触媒材と同等以上の粒子比表面積を有する。
【0011】
また、好適には、前記セリアジルコニア酸化物粒子と、Zr酸化物およびCrからなる複合物とが複合しているので、従来に比較して前記排ガス浄化用触媒材の酸素貯蔵能性能および比表面積を好適に高めることができる。
【0012】
また、好適には、前記排ガス浄化用触媒材は、(a) ジルコニアゾルに硝酸クロム9水和物を混合させる第1混合工程と、(b) 前記第1混合工程によって混合された前記ジルコニアゾルおよび前記硝酸クロム9水和物の混合液を乾燥・焼成させる第1乾燥・焼成工程と、(c) 前記第1乾燥・焼成工程によって乾燥・焼成されたものにセリアジルコニア酸化物粒子を混合させる第2混合工程とを含む製造方法によって製造される。
【0013】
上記排ガス浄化用触媒材の製造方法によれば、前記第1混合工程においてジルコニアゾルに硝酸クロム9水和物が混合され、前記第1乾燥・焼成工程において前記第1混合工程によって混合された前記ジルコニアゾルおよび前記硝酸クロム9水和物の混合液が乾燥・焼成され、前記第2混合工程において前記第1乾燥・焼成工程によって乾燥・焼成されたものにセリアジルコニア酸化物粒子が混合されて、セリウムの含有量を従来の排ガス浄化用触媒材におけるセリウムの含有量より低減させても、従来に比較して高い酸素貯蔵能性能および高い比表面積を有する排ガス浄化用触媒材が製造される。
【0014】
また、好適には、前記排ガス浄化用触媒材は、(a) ジルコニアゾルに硝酸セリウムおよび硝酸クロム9水和物を混合させる第3混合工程と、(b) 前記第3混合工程によって混合された前記ジルコニアゾル、前記硝酸セリウム、前記硝酸クロム9水和物の混合液にアンモニア水を添加して混合させる第4混合工程と、(c) 前記第4混合工程によって混合された前記ジルコニアゾル、前記硝酸セリウム、前記硝酸クロム9水和物の混合液を濾過してその混合液中の固体分を分離させる分離工程と、(d) 前記分離工程によって分離された固体分を乾燥・焼成させる第2乾燥・焼成工程とを含む製造方法により製造される。
【0015】
上記排ガス浄化用触媒材の製造方法によれば、前記第3混合工程においてジルコニアゾルに硝酸セリウムおよび硝酸クロム9水和物が混合され、前記第4混合工程において前記第3混合工程によって混合された前記ジルコニアゾル、前記硝酸セリウム、前記硝酸クロム9水和物の混合液にアンモニア水が添加されて混合され、前記分離工程において前記第4混合工程によって混合された前記ジルコニアゾル、前記硝酸セリウム、前記硝酸クロム9水和物の混合液を濾過してその混合液中の固体分が分離され、前記第2乾燥・焼成工程において前記分離工程によって分離された固体分が乾燥・焼成されて、セリウムの含有量を従来の排ガス浄化用触媒材におけるセリウムの含有量より低減させても、従来に比較して高い酸素貯蔵能性能および高い比表面積を有する排ガス浄化用触媒材が製造される。
【0016】
ここで、好適には、前記ジルコニアゾルは、水の中にジルコニア粒子がコロイド状態で分散されたものであり、前記ジルコニアゾルの液性はアルカリ或いは酸性であり、前記ジルコニア粒子の粒子径は1〜数百nm程度の大きさである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の排ガス浄化用触媒材が好適に適用された三元触媒コンバータである排気ガス浄化装置の触媒相の一部を拡大して示す模式図である。
図2図1の排ガス浄化用触媒材の製造方法を説明する工程図である。
図3図2の排ガス浄化用触媒材の製造方法とは異なる他の製造方法を説明する工程図である。
図4図2または図3の製造方法で製造された排ガス浄化用触媒材の酸素貯蔵能および比表面積の測定結果を示す図であり、排ガス浄化用触媒材にセリウムが10mol%含有されているものである。
図5図2または図3の製造方法で製造された排ガス浄化用触媒材の酸素貯蔵能および比表面積の測定結果を示す図であり、排ガス浄化用触媒材にセリウムが20mol%含有されているものである。
図6図2または図3の製造方法で製造された排ガス浄化用触媒材の酸素貯蔵能および比表面積の測定結果を示す図であり、排ガス浄化用触媒材にセリウムが30mol%含有されているものである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確には描かれていない。
【実施例】
【0019】
図1は、本発明が好適に適用された排気ガス浄化装置の一部である表面を拡大して示す模式図である。上記排気ガス浄化装置は、内燃機関からの排ガス中に含まれる有害成分である一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)および窒素酸化物(NOx)を浄化させる三元触媒コンバータであり、上記内燃機関からの排ガスを挿通させるハニカム形状の複数の挿通穴を有し例えば多孔質セラミックで構成された図示しない本体部材と、その本体部材の複数の挿通穴の内周面に設けられた上記内燃機関からの排ガス中に含まれる有害成分を浄化させる触媒相10とによって構成されている。なお、図1は、前記三元触媒コンバータの触媒相10の一部を拡大させた拡大図である。
【0020】
触媒相10は、例えば、触媒活性物質である白金などの貴金属の硝酸塩などの水溶液中にアルミナなどの耐火性無機酸化物の粉末とセリウムおよび添加物を含有するジルコニウム酸化物の粉末とを十分に混合して含浸させたものを乾燥・焼成させて得られた粉末を、ボールミル等を用いて湿式粉砕してスラリー化させて、そのスラリーに前記本体部材を浸漬させて乾燥・焼成させることによって形成されたものである。すなわち、触媒相10には、図1に示すように、前記本体部材の複数の挿通穴の内周面に担持されたアルミナ粉末(触媒担体)12と、そのアルミナ粉末12の表面12aに白金(触媒活性物質)14の粉末と共に担持されたセリアジルコニア酸化物粒子を含む排ガス浄化用触媒材16の粉末とが備えられている。排ガス浄化用触媒材16は、多孔質であって白金14を付着させる大きな表面積を有している。
【0021】
排ガス浄化用触媒材16は、排ガス中の酸素濃度が運転条件などにより変動することによって白金14の効率が悪くなるのを抑制するために、触媒相10の周囲の酸素が過剰な時は酸素を貯蔵し、触媒相10の周囲の酸素が不足した時は酸素を放出する酸素貯蔵能性能を有する酸素貯蔵能材として機能する。
【0022】
排ガス浄化用触媒材16は、従来の排ガス浄化用触媒材に比較してセリウム(Ce)の含有量が低減されて製造されたものであるが、セリアジルコニア酸化物粒子に所定量のクロム(Cr)を含有させることによって従来と同等以上の酸素貯蔵能性能および比表面積を有するものである。以下において、排ガス浄化用触媒材16の2通りの製造方法すなわち製法1および製法2を図2図3を用いて説明すると共に、その製法1または製法2によって製造された排ガス浄化用触媒材16の酸素貯蔵能性能および比表面積を測定して従来と同等以上の酸素貯蔵能性能および比表面積を有することを示す。
【0023】
図2に示す製法1では、先ず、混合工程(第1混合工程)P1において、ジルコニア(Zr酸化物)の粒子が液体中にコロイド状態で分散された市販されているジルコニアゾルに、Crからなる複合物すなわち硝酸クロム9水和物を所定量すなわち0.01mol%〜0.5mol%の範囲内の量を添加した混合液が、例えばスターラーにおいて攪拌子の回転によって常温で6時間混合された。
【0024】
次に、乾燥・焼成工程(第1乾燥・焼成工程)P2において、混合工程P1によって混合されたジルコニアゾルおよび硝酸クロム9水和物の混合液が、80℃で乾燥された後、800℃で3時間焼成された。
【0025】
次に、混合工程(第2混合工程)P3において、乾燥・焼成工程P2によって乾燥・焼成されたものに、セリウム(Ce)の含有量が全体の10mol%、20mol%、30mol%のいずれかになるようにCeZrOナノ粒子(セリアジルコニア酸化物粒子)が混合された。これによって、前述した排ガス浄化用触媒材16が得られた。なお、上記CeZrOナノ粒子は、例えば、硝酸セリウムと硝酸ジルコニウムとを含む溶液にアルカリを添加させて複数種類の難溶性塩を同時に沈殿させる共沈法により、予め作られたものである。また、必要に応じて、混合工程P3の後に焼成工程を加えることができる。
【0026】
図3に示す製法2では、先ず、混合工程(第3混合工程)P4において、市販されているジルコニアゾルに、硝酸セリウムおよび硝酸クロム9水和物を所定量添加させた混合液がスターラーにおいて攪拌子を回転させて常温で6時間混合された。なお、混合工程P4では、セリウムの含有量が全体の10mol%、20mol%、30mol%のいずれかになるように調整されて硝酸セリウムが添加されており、硝酸クロム9水和物が0.01mol%〜0.5mol%の範囲で添加されている。
【0027】
次に、混合工程(第4混合工程)P5において、混合工程P4によって混合されたジルコニアゾル、硝酸セリウム、硝酸クロム9水和物の混合液に、アンモニア水が添加されてボールミルで湿式混合された。
【0028】
次に、分離工程P6において、混合工程P5によって混合されたジルコニアゾル、硝酸セリウム、硝酸クロム9水和物の混合液が濾過されてその混合液中の固体分が分離された。
【0029】
次に、乾燥・焼成工程(第2乾燥・焼成工程)P7において、分離工程P6によって分離された固体分が、80℃で乾燥されて、800℃で3時間焼成された。これによって、排ガス浄化用触媒材16が得られた。なお、従来の排ガス浄化用触媒材のセリウムの含有量は全体の50mol%程度であるが、製法1または製法2で製造された排ガス浄化用触媒材16のセリウムの含有量は、全体の10mol%、20mol%、30mol%であるので従来に比較して大きくセリウムの含有量が減少されている。
【0030】
ここで、上記製法1または製法2を用いて、Crの添加量およびセリウムの含有量を上述した所定範囲内で変化させることによって、24種類の排ガス浄化用触媒材16、すなわち図4乃至図6に示す実施例11乃至18、実施例21乃至28、実施例31乃至38の排ガス浄化用触媒材16を作成し、それら排ガス浄化用触媒材16の酸素貯蔵能(L/mol)および比表面積(m/g)を測定した。また、上記実施例11乃至18、実施例21乃至28、実施例31乃至38の排ガス浄化用触媒材16と比較するために設けられた図4乃至図6に示す比較例11乃至16、比較例21乃至25、比較例31乃至35の排ガス浄化用触媒材16を作成し、それら排ガス浄化用触媒材16の酸素貯蔵能(L/mol)および比表面積(m/g)を測定した。以下、図4乃至図6を用いてその測定結果を示す。なお、排ガス浄化用触媒材16の酸素貯蔵能(L/mol)は、例えば、熱重量分析器を用いて還元時の重量変化の測定するTPR(Temperature Programed Reduction)法により求めた。すなわち、排ガス浄化用触媒材16を酸素を含む窒素中で酸化させ、室温まで冷却した後、水素を含む窒素中で昇温しながら重量減少量を測定した。この重量減少量が放出した酸素の量に相当する。また、排ガス浄化用触媒材16の比表面積(m/g)は、例えば窒素ガスなどの物理吸着を用いて吸着温度が一定(1000℃)である吸着等温線を測定し、BET法により算出したものである。
【0031】
図4に示すように、実施例11乃至18および比較例11乃至15の排ガス浄化用触媒材16はそれぞれセリウムの含有量が10mol%であり、製法1でそれぞれ製造された実施例11乃至14および比較例11、12はCrが添加される添加量がそれぞれ異なっている点で相違しその他は略同様であり、製法2でそれぞれ製造された実施例15乃至18および比較例13乃至15はCrが添加される添加量がそれぞれ異なっている点で相違しその他は略同様である。なお、比較例11乃至15の排ガス浄化用触媒材16において、Crが添加される添加量は、0.01mol%乃至0.5mol%の所定の範囲内から外れている。また、比較例16の排ガス浄化用触媒材16は、従来の排ガス浄化用触媒材のセリウムの含有量と略同等例えばセリウムが50mol%含有されたものである。
【0032】
図4の実施例11乃至18および比較例11乃至16の排ガス浄化用触媒材16における酸素貯蔵能および比表面積の測定結果から示すように、製法1または製法2で製造されたに関わらずCrが0.01mol%乃至0.5mol%の範囲内で含有された実施例11乃至18の排ガス浄化用触媒材16は、それぞれ、酸素貯蔵能が5.0(L/mol)以上であり且つ比表面積が30(m/g)以上である。また、実施例11乃至18の排ガス浄化用触媒材16において、製法1および製法2でのCrの添加量がそれぞれ同じもの、例えば実施例11と実施例15、実施例12と実施例16等を比較した場合に、製法1で製造された排ガス浄化用触媒材16の酸素貯蔵能(L/mol)および比表面積(m/g)の少なくとも一方が、製法2で製造された排ガス浄化用触媒材16より大きくなっている。また、製法1または製法2で製造されたに関わらず含有されるCrが0.01mol%乃至0.5mol%の範囲内から外れている比較例11乃至15の排ガス浄化用触媒材16は、それぞれ、酸素貯蔵能が5.0(L/mol)以下であり且つ比表面積が30(m/g)以下である。また、比較例16の排ガス浄化用触媒材16は、酸素貯蔵能が5.0(L/mol)以下であるが、比表面積が30(m/g)である。なお、本実施例では、排ガス浄化用触媒材16の酸素貯蔵能(L/mol)において、実用的な酸素貯蔵能性能として、一般的に5.0(L/mol)以上は必要であり5.0(L/mol)以上を合格品としている。また、排ガス浄化用触媒材16の比表面積(m/g)において、実用的な比表面積特性として、一般的に30(m/g)以上は必要であり30(m/g)以上を合格品としている。
【0033】
図5に示すように、実施例21乃至28および比較例21乃至25の排ガス浄化用触媒材16はそれぞれセリウムの含有量が20mol%であり、製法1でそれぞれ製造された実施例21乃至24および比較例21、22はCrが添加される添加量がそれぞれ異なっている点で相違しその他は略同様であり、製法2でそれぞれ製造された実施例25乃至28および比較例23乃至25はCrが添加される添加量がそれぞれ異なっている点で相違しその他は略同様である。なお、比較例21乃至25の排ガス浄化用触媒材16において、Crが添加される添加量は、0.01mol%乃至0.5mol%の所定の範囲内から外れている。
【0034】
図5の実施例21乃至28および比較例21乃至25の排ガス浄化用触媒材16における酸素貯蔵能および比表面積の測定結果から示すように、製法1または製法2で製造されたに関わらずCrが0.01mol%乃至0.5mol%の範囲内で含有された実施例21乃至28の排ガス浄化用触媒材16は、それぞれ、酸素貯蔵能が5.0(L/mol)以上であり且つ比表面積が30(m/g)以上である。また、実施例21乃至28の排ガス浄化用触媒材16において、製法1および製法2でのCrの添加量がそれぞれ同じもの、例えば実施例21と実施例25、実施例22と実施例26等を比較した場合に、製法1で製造された排ガス浄化用触媒材16の酸素貯蔵能(L/mol)および比表面積(m/g)の少なくとも一方が、製法2で製造された排ガス浄化用触媒材16より大きくなっている。また、製法1または製法2で製造されたに関わらず含有されるCrが0.01mol%乃至0.5mol%の範囲内から外れている比較例21乃至25の排ガス浄化用触媒材16は、それぞれ、酸素貯蔵能が5.0(L/mol)以下であり且つ比表面積が30(m/g)以下である。
【0035】
図6に示すように、実施例31乃至38および比較例31乃至35の排ガス浄化用触媒材16はそれぞれセリウムの含有量が30mol%であり、製法1でそれぞれ製造された実施例31乃至34および比較例31、32はCrが添加される添加量がそれぞれ異なっている点で相違しその他は略同様であり、製法2でそれぞれ製造された実施例35乃至38および比較例33乃至35はCrが添加される添加量がそれぞれ異なっている点で相違しその他は略同様である。なお、比較例31乃至35の排ガス浄化用触媒材16において、Crが添加される添加量は、0.01mol%乃至0.5mol%の所定の範囲内から外れている。
【0036】
図6の実施例31乃至38および比較例31乃至35の排ガス浄化用触媒材16における酸素貯蔵能および比表面積の測定結果から示すように、製法1または製法2で製造されたに関わらずCrが0.01mol%乃至0.5mol%の範囲内で含有された実施例31乃至38の排ガス浄化用触媒材16は、それぞれ、酸素貯蔵能が5.0(L/mol)以上であり且つ比表面積が30(m/g)以上である。また、実施例31乃至38の排ガス浄化用触媒材16において、製法1および製法2でのCrの添加量がそれぞれ同じもの、例えば実施例31と実施例35、実施例32と実施例36等を比較した場合に、製法1で製造された排ガス浄化用触媒材16の酸素貯蔵能(L/mol)および比表面積(m/g)の少なくとも一方が、製法2で製造された排ガス浄化用触媒材16より大きくなっている。また、製法1または製法2で製造されたに関わらず含有されるCrが0.01乃至0.5mol%の範囲内から外れている比較例31乃至35の排ガス浄化用触媒材16は、それぞれ、酸素貯蔵能が5.0(L/mol)以下であり且つ比表面積が30(m/g)以下である。
【0037】
上述のように、実施例11乃至18、実施例21乃至28、実施例31乃至38の排ガス浄化用触媒材16によれば、0.01mol%〜0.5mol%のCrを含有するセリアジルコニア酸化物粒子が含まれている。このため、Crがセリアジルコニア酸化物に添加されることで、セリウムの含有量を従来の排ガス浄化用触媒材におけるセリウムの含有量例えば50mol%より低減例えば10mol%、20mol%、30mol%にさせても、従来に比較して高い例えば5.0(L/mol)以上の酸素貯蔵性能および30(m/g)以上の比表面積を有することができる。
【0038】
また、実施例11乃至18、実施例21乃至28、実施例31乃至38の排ガス浄化用触媒材16によれば、セリアジルコニア酸化物粒子によって構成される排ガス浄化用触媒材16は、30m/g以上の粒子比表面積を有するものであるので、従来の排ガス浄化用触媒材すなわちセリウムの含有量が比較的に多い例えばセリウムの含有量が50mol%である比較例16の排ガス浄化用触媒材16と同等以上の粒子比表面積を有する。
【0039】
また、実施例11乃至14、実施例21乃至24、実施例31乃至34の排ガス浄化用触媒材16によれば、製法1において、CeZrOナノ粒子と、酸化ジルコニウムおよび硝酸クロム9水和物とが複合しているので、従来に比較して排ガス浄化用触媒材16の酸素貯蔵性能および比表面積を高めることができる。また、製法2により製造された排ガス浄化用触媒材16に比べて酸素貯蔵性能および比表面積の少なくとも一方を好適に高めることができる。
【0040】
また、実施例11乃至14、実施例21乃至24、実施例31乃至34の排ガス浄化用触媒材16の製造方法(製法1)によれば、混合工程P1においてジルコニアゾルに硝酸クロム9水和物が混合され、乾燥・焼成工程P2において混合工程P1によって混合されたジルコニアゾルおよび硝酸クロム9水和物の混合液が乾燥・焼成され、混合工程P3において乾燥・焼成工程P2によって乾燥・焼成されたものにCeZrOナノ粒子が混合されて、セリウムの含有量を従来の排ガス浄化用触媒材におけるセリウムの含有量例えば50mol%より低減例えば10mol%、20mol%、30mol%にさせても、従来に比較して高い例えば5.0(L/mol)以上の酸素貯蔵性能および30(m/g)以上の比表面積を有する排ガス浄化用触媒材16が製造される。
【0041】
また、実施例15乃至18、実施例25乃至28、実施例35乃至38の排ガス浄化用触媒材16の製造方法(製法2)によれば、混合工程P4においてジルコニアゾルに硝酸セリウムおよび硝酸クロム9水和物が混合され、混合工程P5において混合工程P4によって混合されたジルコニアゾル、硝酸セリウム、硝酸クロム9水和物の混合液にアンモニア水が添加されて混合され、分離工程P6において混合工程P5によって混合されたジルコニアゾル、硝酸セリウム、硝酸クロム9水和物の混合液を濾過してその混合液中の固体分が分離され、乾燥・焼成工程P7において分離工程P6によって分離された固体分が乾燥・焼成されて、セリウムの含有量を従来の排ガス浄化用触媒材におけるセリウムの含有量例えば50mol%より低減例えば10mol%、20mol%、30mol%にさせても、従来に比較して高い例えば5.0(L/mol)以上の酸素貯蔵性能および30(m/g)以上の比表面積を有する排ガス浄化用触媒材16が製造される。
【0042】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0043】
本実施例において、排ガス浄化用触媒材16は、触媒担体であるアルミナ粉末12の表面12aに触媒活性物質である白金14の粉末と共に担持されていた。しかしながら、触媒担体が必ずしもアルミナ粉末12である必要なく、触媒活性物質が必ずしも白金14である必要はない。例えば、白金に代えてパラジウム、ロジウム等が使用されても良い。
【0044】
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0045】
12:アルミナ粉体(触媒担体)
12a:表面
14:白金(触媒活性物質)
16:排ガス浄化用触媒材
P1:混合工程(第1混合工程)
P2:乾燥・焼成工程(第1乾燥・焼成工程)
P3:混合工程(第2混合工程)
P4:混合工程(第3混合工程)
P5:混合工程(第4混合工程)
P6:分離工程
P7:乾燥・焼成(第2乾燥・焼成工程)
図1
図2
図3
図4
図5
図6