(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5738239
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】粗製ロール
(51)【国際特許分類】
A21C 3/02 20060101AFI20150528BHJP
A23L 1/16 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
A21C3/02 B
A23L1/16 B
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-161081(P2012-161081)
(22)【出願日】2012年7月20日
(65)【公開番号】特開2014-18160(P2014-18160A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2013年6月10日
【審判番号】不服2014-5788(P2014-5788/J1)
【審判請求日】2014年3月31日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000132725
【氏名又は名称】株式会社ソディック
(72)【発明者】
【氏名】岩尾 健一
【合議体】
【審判長】
田村 嘉章
【審判官】
千壽 哲郎
【審判官】
森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】
実公昭31−5687(JP,Y1)
【文献】
特開2010−279316(JP,A)
【文献】
特開平9−163934(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21C
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動ロールと前記駆動ロールと同一直径の従動ロールとの一対のロールを含んで成り混練ミキサから供給される麺粒を前記一対のロールの間に形成される間隙に押し込んで導入し前記麺粒を前記間隙に集めて麺生地塊を形成しながら加圧して引き伸ばし麺生地板を送り出す粗製ロールにおいて、前記駆動ロールを所定の回転速度で回転させるモータと、前記駆動ロールに同期して前記従動ロールを前記所定の回転速度で回転させる伝達装置と、を備え、前記一対のロールの各外周面にそれぞれ前記一対のロールの各回転軸の中心軸線方向に対して平行に深さ0.6mmないし1.0mmの断面V形状の溝を所定ピッチ毎に設けるとともに、前記間隙において前記一対のロールのうちの一方のロールの外周面が前記溝であるときに前記溝に対向する他方のロールの外周面が常に前記溝が存在しない数μmRaないし数十μmRaの面粗さを有する平坦面であるように前記一対のロールを配置して回転させるようにし前記麺粒が押し潰されたときの麺生地が前記溝に向かって押され前記溝のテーパ面に沿って前記溝に入り込み前記溝に入り込んだ麺生地部位が引き出されるように前記テーパ面に沿って前記溝から抜け出るように構成されているロール式製麺機の粗製ロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、うどん、ラーメン、そばのような麺を製造するロール式製麺機に関する。特に、本発明は、混練ミキサから供給される麺粒を寄せ集め、麺粒どうしを固め合わせて麺生地塊を形成し、麺生地塊を引き伸ばして麺生地板を生成して送り出す粗製ロールに関する。
【背景技術】
【0002】
製麺機は、麺の生成方法によって押出式製麺機とロール式製麺機と手打式製麺機とに分類することができる。一般に、ロール式製麺機は、複数の加圧ロールによって引き伸ばされて生成される麺帯から製麺する構成を有する製麺機である。ロール式製麺機は、主に、混練ミキサと、複合機と、圧延機と、麺線切出機と、麺線切断機と、でなる。
【0003】
混練ミキサは、原材料を微粉末状に粉砕した小麦粉あるいは蕎麦粉のような素材に加水ないし加塩して水分と塩分を全体的に均等に含ませる、いわゆる水回しを行ないながら素材を混練する。例えば、蕎麦粉に“つなぎ”として小麦粉を含ませる蕎麦を製麺する場合のように、複数種類の素材を使って製麺するときは、各種類の素材を適量配合して均一に混ぜ合わせる。素材は、種類によって異なる麺粒(ドウ)に成長する。複数の麺粒は、麺粒押込装置によって粗製ロールに導入される。
【0004】
複合機は、粗製ロールと複合ロールとを含んでなる。粗製ロールは、駆動ロールと従動ロールとの一対のロールを有する。粗製ロールは、混練ミキサから供給される大小様々な麺粒を一対のロールの間に形成される間隙に導入して寄せ集め、麺粒どうしを合わせて押し固めて麺生地塊を形成する。そして、麺生地塊を加圧し引き伸ばして板厚が7mm〜15mm程度の麺生地板(麺帯原型)を生成して複合ロールに送り出す。複合ロールは、麺生地板を重ね合わせて反物のような連続する1枚の粗麺帯を生成する。
【0005】
圧延機は、複数の圧延ロールからなる。圧延ロールは、それぞれ所定の間隙をもって対向配置されるオスロールとメスロールとの一対のロールを有する。複数の圧延ロールは、麺帯が送り出される方向に一列に並設される。複合機から引き出される粗麺帯は、複数の圧延ロールによって順次加圧され引き伸ばされて段階的に薄くされ、所要の厚さと幅を有する麺帯が形成される。麺線切出機は、圧延機から送り出されてくる所要の厚さと幅を有する麺帯を一対の切刃ロールで縦断して連続する所望の太さの麺線を生成する。麺線切断機は、カッタによって連続する麺線を同一の所定の長さに切断する。
【0006】
麺生地は表面が滑らかで弾力性が高いので、表面が円滑な加圧ロールでは、麺生地が十分にグリップされずに滑って麺生地を送り出せなくなることがある。特許文献1に開示されているように、外周面に凹凸を形成して麺生地を滑りにくくした加圧ローラがよく知られている。しかしながら、水分を含んだ麺生地の表層は粘着性が高いので、反対にロールの外周面に表層部位がくっ付いて剥離し、麺カスが発生する。特に、粗製ロールに導入されてくる麺粒は、水分がより多く残されていて十分に圧縮されていないので、麺生地の表層が外周面により貼り付きやすく、多くの麺カスを発生させる。
【0007】
麺生地から剥離した麺カスが麺帯の中に異物として混入すると麺帯の品質を低下させる。また、麺カスが加圧ロールの外周面に形成された凹凸の隙間に入り込んで比較的短時間でグリップ力が失われ、麺帯が寸断するおそれがある。そのため、清掃回数を多くして麺カスを頻繁に除去する必要があり、生産性を低下させている。とりわけ、加圧ロールの外周面に設けられている凹凸の隙間に入り込んだ麺カスを取り除く作業の負担が大きく、作業性を低下させている。
【0008】
麺カスがロールの外周面に貼り付きにくくするために、例えば、特許文献2に開示されているように、外周面に微細な凹凸を設けるとともに、フッ素樹脂コーティングを施した加圧ロールが考えられている。特許文献2の発明の加圧ロールによると、フッ素樹脂コーティングによって麺生地の離面性が向上し、麺カスが加圧ロールの外周面に一層貼り付きにくくすることができる。
【0009】
しかしながら、麺粒を集めて麺粒どうしを合わせ、加圧し引き伸ばして麺生地板を送り出す粗製ロールにおいては、離面性が高いフッ素樹脂コーティングが施されていると、十分なグリップ力を得るには至らず、麺粒がスリップして麺粒を一対のロール間に形成される間隙に上手く寄せ集めることができなくなる。その結果、麺帯に巣と称される空隙ができやすくなって品質低下の原因になり、場合によっては麺生地板が途切れたりすることがある。以下、粗製ロールにおける一対のロールの間に形成される間隙を単に粗製ロール間隙という。
【0010】
例えば、特許文献3に、金属製の円筒体の外周面に複数のディンプルを相互に可能な限り近接させて設け、外周面の全面にフッ素樹脂コーティングを施した粗製ロールを含んでなる複合機が開示されている。特に、特許文献3の発明における粗製ロールは、下地として金属溶射層が形成され、フッ素樹脂コーティング層の表面に微細な凹凸が形成されるようにされている。特許文献3の発明によると、麺生地の滑りを小さくしながら麺生地の離面性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】実開昭53−84690号公報
【特許文献2】特開2005−341831号公報
【特許文献3】特開2010−279316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
粗製ロールは、麺帯を加圧して薄くするだけの複合ロールまたは圧延ロールと異なって、麺粒を粗製ロール間隙に寄せ集め、麺粒どうしを固め合わせて麺生地塊を形成する作用が要求される。そのため、麺粒押込装置によって麺粒が粗製ロール間隙に押し込まれるものの、外形がおおよそ球形である麺粒と外周が円弧形状のロールとの接触面積が比較的小さいこともあって、フッ素樹脂コーティング層の表面に微細な凹凸を形成するだけでは、依然として麺粒を適切に粗製ロール間隙に集めて固め合わせるだけの十分なグリップ力を安定して得ることができず、更なる改良が望まれている。
【0013】
本発明は、上記課題に鑑みて、麺カスが発生しにくく、麺粒をより確実に捕捉して粗製ロール間隙に集めることができ、品質の低下がない麺帯を安定して供給することができる粗製ロールを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の粗製ロールは、上記課題を解決するために、駆動ロール(11M)と駆動ロール(11M)と同一直径の従動ロール(11T)との一対のロール(10A)を含んで成り混練ミキサ(1)から供給される麺粒(100A)を一対のロール(10A)の間に形成される間隙(G)に押し込んで導入し麺粒(100A)を間隙(G)に集めて麺生地塊を形成しながら加圧して引き伸ばし麺生地板(100B)を送り出す粗製ロール(10)において、駆動ロール(11M)を所定の回転速度で回転させるモータ(10B)と、駆動ロール(11M)に同期して従動ロール(11T)を所定の回転速度で回転させる伝達装置(10C)と、を備え、一対のロール(10A)の各外周面(11R)にそれぞれ一対のロール(10A)の各回転軸(O)の中心軸線方向に対して平行に深さ0.6mmないし1.0mmの断面V形状の溝(11C)を所定ピッチ(p)毎に設けるとともに、間隙(G)において一対のロール(10A)のうちの一方のロールの外周面(11R)が溝(11C)であるときに溝(11C)に対向する他方のロールの外周面(11R)が常に溝(11C)が存在しない数μmRa〜数十μmRaの面粗さを有する平坦面(11P)であるように一対のロール(10A)を配置して回転させるように
し麺粒(100)が押し潰されたときの麺生地が溝(11C)に向かって押されテーパ面に沿って溝(11C)に入り込み溝(11C)に入り込んだ麺生地部位が引き出されるようにテーパ面に沿って溝(11C)から抜け出るように構成される。
【0015】
上記課題を解決する手段において、図面に対応する符号を付して説明されているが、符号は、説明の便宜上付されたものであって、本発明が具体的な実施の形態に限定されることを意味するものではない。
【発明の効果】
【0016】
粗製ロールの外周面に所定ピッチ毎に設けられた断面V形状の溝(V溝)は、生成される麺生地板の送出方向に直交し、平坦面に対してテーパ形状を有するため、麺生地板の送出方向に移動しようとする弾力性の高い麺生地が食い込みやすく、同時に麺生地板の送出方向に対して抜けやすい。そのため、V溝に噛まれた麺粒が滑りにくく、より確実に粗製ロール間隙に寄せ集められて固め合わされる。また、麺生地に傷が付かないので麺生地塊の表層から麺生地が剥離しにくく、V溝の中に麺カスが残りにくい。
【0017】
特に、粗製ロール間隙において、粗製ロールの一対のロールのうちの一方のロールの外周面がV溝であるときに、そのV溝に対向する他方のロールの外周面が常にV溝が存在しない平坦面であるように配置され回転されるので、一方のロールで麺粒がV溝に捉えられやすく、他方のロールで麺生地が貼り付きにくくされる。そのため、麺粒が粗製ロール間隙により確実に集められ麺生地塊が形成される。また、麺カスの発生がより少ない。その結果、より安定して品質の低下がない麺生地板が生成されて送り出される。
【0018】
粗製ロール間隙に確実に麺粒が集められることから、V溝を0.6mmないし1.0mmの比較的浅い深さに形成することができる。そのため、V溝の中に入り込んだ麺生地部位は、麺生地板の送出方向に容易に抜け出ることができるので、V溝の中に麺カスが残って詰まるおそれがより小さい。その結果、V溝が直ぐに麺カスで埋められるということがなく、長時間グリップ力を維持することができる。
【0019】
したがって、本発明の粗製ロールによると、水分の含有量に関係なく麺粒が滑りにくく確実に粗製ロール間隙に寄せ集められ、押し固めて合わされて麺生地塊が形成されて空隙のない麺生地板が生成されるとともに、麺カスの発生が抑えられて麺カスが混入されない麺生地板が生成されて送り出されるので、低加水から多加水までの品質の低下のない麺帯を長時間連続して安定して製造することができ、生産性と作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の粗製ロールが設けられるロール式製麺機の全体構成を模式的に示す側面図である。
【
図2】本発明の粗製ロールの平面図および側面図である。
【
図3】本発明の粗製ロールの従動ロールの斜視図である。
【
図4】本発明の粗製ロール間隙における一対のロールの外周を部分的に示す断面図である。
【
図5】本発明の粗製ロール間隙における一対のロールの外周を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に、代表的なロール製麺機の全体の概容が示されている。実施の形態の製麺機では、製造される麺をうどんとし、主な原材料を小麦として説明する。製麺機は、混練ミキサ1と、複合機2と、圧延機3と、麺線切出機4と、麺線切断機5と、を備える。複合機2は、粗製ロール10と複合ロール20を含んでなる。
【0022】
混練ミキサ1は、小麦粉に加水および加塩して水回しを行ないながら小麦粉を混練する。小麦粉を混練し続けると、大小様々な麺粒(ドウ)100Aに成長する。麺粒100Aはホッパ6に送られる。ホッパ6に集積された麺粒100Aは、麺粒押込装置7によって粗製ロール10の一対のロールの間に形成される間隙(粗製ロール間隙)Gに押し込まれる。粗製ロール間隙Gは、実質的に生成される麺生地板(麺帯原型)100Bの板厚と同じ7mm〜15mm程度の大きさである。
【0023】
粗製ロール10は、混練ミキサ1から供給される麺粒100Aを粗製ロール間隙Gに導入し麺粒100Aを粗製ロール間隙Gに寄せ集める。粗製ロール10は、麺粒100Aを押し合わせて固めて麺生地塊を形成しながら加圧して引き伸ばし麺生地板100Bを送り出す。粗製ロール10は、複合ロール20で重ね合わせる麺生地板100Bの数に対応して複合機のコンベアに沿って複数並設される。複合ロール20は、粗製ロール10で生成された複数の麺生地板100Bを重ね合わせて連続する一枚の粗麺帯100Cを生成する。
【0024】
圧延機3は、複数の圧延ロール30を備える。各圧延ロール30は、それぞれメスロール30Mとオスロール30Tとの一対のロールを含んでなる。複数の圧延ロール30は、麺帯100Dの送出方向Fに沿って並設される。複数の圧延ロール30は、それぞれ予め規定された間隙で一対のロールを対向配置し、麺帯100Dを加圧しながら引き伸ばし、麺帯100Dの送出方向Fに向かって設置されている次の圧延ロール30に送り出す。圧延機3は、麺帯100Dを複数の圧延ロール30で加圧しながら引き伸ばして段階的に麺帯厚を薄くしていく。
【0025】
圧延ロール30のメスロール30Mは、モータによって回転する。オスロール30Tは、メスロール30Mの回転に従動して回転する。メスロール30Mにはフランジ30Fが設けられており、麺帯100Dをメスロール30Mとオスロール30Tとの一対のロールで挟み込むときに、一対のロールの回転軸に直交する方向にのみ麺帯100Dを引き伸ばして麺帯厚を薄くする。したがって、麺帯100Dの送出方向Fの最下流に位置する圧延ロール30Lから所望の厚さと幅を有する麺帯100Dが送り出される。
【0026】
一対の切刃ロール40を有する麺線切出機4は、切刃ロール40を回転させて圧延機3から供給される連続する所望の麺帯厚の麺帯100Dを縦断し、所望の太さの麺線100Eを切り出すとともに麺線100Eを麺線切断機5に送り出す。麺線切断機5は、連続する麺線100Eを所定の長さに切断する。
【0027】
図2は、実施の形態の粗製ロールの構成を示す。
図2では、一対のロールの各回転軸を支承する支持枠体と軸受とを含めて本発明に直接関係がない部材が図示省略されている。
図3は、従動ロールの回転体の外形を示す。
図4と
図5は、一対のロールの断面を部分的に示す。ただし、説明の便宜上、
図5では、一対のロールの各外周面の輪郭形状が直線で示されている。
【0028】
粗製ロール10は、
図2に示されるように、駆動ロール11Mと駆動ロール11Mと同一直径の従動ロール11Tとの一対のロール10Aと、駆動ロール11Mを所定の回転速度で回転させるモータ10Bと、駆動ロール11Mに同期して従動ロール11Tを駆動ロール11Mと同じ所定の回転速度で回転させる伝達装置10Cと、を備えている。実施の形態における粗製ロール10の伝達装置10Cは、具体的に複数のギアである。
【0029】
駆動ロール11Mと従動ロール11Tは、それぞれ全長lで直径dの円筒形状または円柱形状を有する金属製の回転体である。駆動ロール11Mの回転体の両端には、麺生地塊が一対のロール10Aの各回転軸Oの中心軸線方向に対して平行な方向にはみ出さないように規制して麺生地板100Bが送出方向Zに送り出されるようにするフランジ11Fが設けられている。フランジ11Fは、駆動ロール11Mの回転体の直径dに対して粗製ロール間隙Gより大きい幅の鍔を形成する直径を有する。言い換えると、生成される麺生地板100Bの板厚よりも大きい幅の鍔を形成する大きさのフランジ11Fが設けられる。
【0030】
具体的に、例えば、
図3に示されるように、粗製ロール10の従動ロール11Tは、回転体の全長が約400mmで直径が約205mmのステンレス製の円柱形状の回転体である。粗製ロール10の一対のロール10Aの各外周面11Rにそれぞれ一対のロール10Aの各回転軸Oの中心軸線方向に対して平行に深さ0.6mm〜1.0mmの断面V形状の溝(V溝)11Cが所定ピッチ毎に設けられている。以下、外周面11RにおけるV溝11Cが設けられていない面を平坦面11Pという。
【0031】
V溝11Cの深さが0.5mm程度にも満たないとき、麺粒ないし麺生地塊を麺生地板100Bの送出方向Zに向かって引っ張っていく十分な力を得ることができない。また、V溝11Cの深さが1mmよりもある程度大きいと、特に多加水の麺生地塊の麺生地部位がV溝11Cにはまり込んでくっ付いてV溝11Cから抜け出なくなり、表層の麺生地部位が麺生地塊から千切れて引き離されてV溝11Cの中に麺カスが残ってしまう。
【0032】
駆動ロール11Mは、フランジ11Fが設けられていることを除いて基本的に従動ロール11Tと同じ大きさを有する。駆動ロール11Mには、従動ロール11Tと同じ深さのV溝11Cが同じピッチ毎に同数設けられている。調整して設定することができる粗製ロール間隙Gの大きさが、例えば15mm未満である場合、フランジ11Fは、回転体の直径dに対して30mm程度大きい直径を有し、15mmより若干大きい幅の鍔を形成している。従動ロール11Tは、駆動ロール11Mの両端のフランジ11Fの間に嵌装されるように配置される。
【0033】
モータ10Bは、駆動ロール11Mを所定の回転速度で回転させる。駆動ロール11Mの回転軸OMの一端に図示しないモータ10Bの駆動軸が連結される。実施の形態の粗製ロール10では、モータ10Bの駆動軸が駆動ロール11Mの回転軸OMと直交する方向にあるため、ギアボックス内のベベルギアで連結するように構成されているが、モータ10Bの駆動軸を駆動ロール11Mの回転軸OMに直結させることができる。
【0034】
伝達装置10Cは、駆動ギア12Mと従動ギア12Tとを含んでなる。駆動ロール11Mの回転軸OMの他端に回転軸OMと同軸に駆動ギア12Mが取り付けられる。また、駆動ギア12Mと噛合うように駆動ギア12Mに対して平行に駆動ギア12Mと同径同歯数の従動ギア12Tが設けられる。従動ギア12Tは、従動ロール11Tの回転軸OTの一端に回転軸OTと同軸に取り付けられる。駆動ギア12Mと従動ギア12Tのギア比が1対1であるので、従動ロール11Tは、駆動ロール11Mと同一の回転速度で回転する。伝達装置10Cは、ギアに代えて、スプロケットとチェーンまたは無端ベルトを用いることができる。
【0035】
本発明の粗製ロール10は、
図4に示されるように、粗製ロール間隙Gにおいて、一対のロール10Aのうちの一方のロール、例えば、駆動ロール11Mにおける外周面11Rの形状がV溝11Cであるときに、そのV溝11Cに対向する他方のロール、例えば、従動ロール11Tの外周面11Rが常にV溝11Cが存在しない平坦面11Pであるように一対のロール10Aを配置して回転させるようにされている。言い換えると、一対のロール10Aは、一方のロールと他方のロールの各V溝11Cどうしが必ず対向しないように配置される。
【0036】
具体的に、実施の形態の粗製ロール10では、直径dが205mmの一対のロール10Aにおける粗製ロール間隙Gが10mmに設定されているとき、
図5に示されるV溝11Cの深さδを0.6mm、V溝11Cの開き角θを90度(テーパ角度45度)、V溝11C間のピッチpを2.0mmにしている。駆動ロール11Mと従動ロール11Tとが同じ回転速度で回転するので、粗製ロール間隙Gにおいて、一方のロールの外周面11RがV溝11Cであるときには、必ず対向する他方のロールの外周面11RがV溝11Cのない平坦面11Pになる。
【0037】
図5に示されるように、粗製ロール間隙Gに集められてくる麺粒100Aが押し潰されたときの麺生地は、全体的に一方のロールの平坦面11Pに対して反対の方向の力νによってV溝11Cに向かって押され、テーパ面に沿ってV溝11Cに滑り込むように入り込む。
【0038】
一対のロール10Aは、麺生地板100Bの送出方向Zに回転しているので、麺粒100Aが押し合わされてできる麺生地塊が麺生地板100Bの送出方向Zに引っ張られて加圧され、引き伸ばされて麺生地板100Bが生成される。このとき、V溝11Cに入り込んだ麺生地部位は、送り出される麺生地板100Bに引き出されるようにV溝11Cのテーパ面に沿って滑るようにしてV溝11Cから抜け出る。
【0039】
したがって、実施の形態の粗製ロール10では、麺粒100Aが確実にグリップされて粗製ロール間隙Gに集められ押し固められる。このとき、麺生地塊の表層から麺生地部位が剥離することがなく、麺カスがV溝11Cの中に残らない状態で麺生地塊が形成される。そして、麺生地塊が加圧され引き伸ばされて麺生地板100Bが生成されて送り出される。そのため、麺生地板100Bの中に巣と称される空隙ができたり、麺生地板100が上手く生成されずに途切れることがない。
【0040】
実施の形態の粗製ロール10では、外周面11Rの平坦面11Pは、数μmRa〜数十μmRa程度の所定の面粗さを有している。望ましくは、一対のロール10AのV溝11Cの表面を含む外周面11Rの全体に均一にフッ素樹脂コーティングが施される。フッ素樹脂コーティングが施された外周面11Rを有する一対のロール10Aは、麺生地の離面性に優れ、長時間使用しても麺生地によって外周面11Rにおける所定の面粗さの微細な凹凸が埋められることがなく、麺生地のグリップ力を低下させずに麺カスの発生が一層抑制される。
【0041】
以上に説明される本発明のロール式製麺機の粗製ロールは、実施の形態の粗製ロールの構成に限定されるべきではなく、既にいくつかの具体的な例が示されているように、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で変形して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、うどん、ラーメン、そばのような麺の製造に利用できる。本発明は、ロール式製麺機における生産性と作業性を向上させて製麺の製造技術の進歩に貢献し、製麺業の発展に寄与する。
【符号の説明】
【0043】
1:混練ミキサ
2:複合機
3:圧延機
4:麺線切出機
5:麺線切断機
6:ホッパ
7:麺粒押込装置
10:粗製ロール
10A:一対のロール
10B:モータ
10C:伝達装置
11M:駆動ローラ
11T:従動ローラ
11F:フランジ
11R:外周面
11C:断面V形状の溝(V溝)
11P:平坦面
12M:駆動ギア
12T:従動ギア
20:複合ロール