特許第5738246号(P5738246)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5738246
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月17日
(54)【発明の名称】偏波共用アンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 21/24 20060101AFI20150528BHJP
   H01Q 9/16 20060101ALI20150528BHJP
【FI】
   H01Q21/24
   H01Q9/16
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-180967(P2012-180967)
(22)【出願日】2012年8月17日
(65)【公開番号】特開2014-39192(P2014-39192A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2012年8月17日
【審判番号】不服2014-10203(P2014-10203/J1)
【審判請求日】2014年6月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000217653
【氏名又は名称】電気興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(72)【発明者】
【氏名】天川 英二
【合議体】
【審判長】 河口 雅英
【審判官】 山中 実
【審判官】 山本 章裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−247818(JP,A)
【文献】 特開2011−244244(JP,A)
【文献】 特開2009−225030(JP,A)
【文献】 特開2004−242277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00 - H01Q 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心部にギャップが形成される形態で形成した第1、第2のダイポールアンテナ素子と、
前記第1のダイポールアンテナ素子を構成する各素子導体の外側端部と前記第2のダイポールアンテナ素子を構成する各素子導体の外側端部一体接続された環状導体と、を備え、
前記第1、第2のダイポールアンテナ素子を構成する各素子導体は、前記外側端部の幅が中間部の幅よりも小さく設定され、
前記第1のダイポールアンテナ素子と前記環状導体とによって第1の偏波に適用する第1の折返しダイポールアンテナ素子を構成するとともに、前記第2のダイポールアンテナ素子と前記環状導体とによって第2の偏波に適用する第2の折返しダイポールアンテナ素子を構成したことを特徴とする偏波共用アンテナ。
【請求項2】
前記第1、第2のダイポールアンテナ素子を構成する各素子導体及び前記環状導体は、それぞれ素子部誘電体基板にプリント形成されていることを特徴とする請求項1に記載の偏波共用アンテナ。
【請求項3】
前記第1のダイポールアンテナ素子に給電する給電用導体がプリント形成された第1の給電部誘電体基板と、
前記第2のダイポールアンテナ素子に給電する給電用導体がプリント形成された第2の給電部誘電体基板と、を備え、
前記第1、第2の給電部誘電体基板を互いに交差するように組み合わせるとともに、この組み合わせた第1、第2の給電部誘電体基板を前記素子部誘電体基板の面に対して鉛直に結合したことを特徴とする請求項2に記載の偏波共用アンテナ。
【請求項4】
前記第1、第2の給電部誘電体基板の前記給電用導体がバランを構成するように設けられていることを特徴とする請求項3に記載の偏波共用アンテナ。
【請求項5】
前記第1の偏波及び前記第2の偏波がそれぞれ垂直偏波及び水平偏波であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の偏波共用アンテナ。
【請求項6】
前記第1の偏波及び前記第2の偏波がそれぞれ+45°偏波及び−45°偏波であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の偏波共用アンテナ。
【請求項7】
前記第1のダイポールアンテナ素子を構成する各素子導体と前記第2のダイポールアンテナ素子を構成する各素子導体の形状及び/又は寸法が相違することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の偏波共用アンテナ。
【請求項8】
請求項1ないし7に記載の偏波共用アンテナを垂直方向もしくは水平方向あるいは垂直方向と水平方向の双方に多段配列したことを特徴とするアレイ構造の偏波共用アンテナ。
【請求項9】
反射板を併設したことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の偏波共用アンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体通信基地局に使用される偏波共用アンテナ装置に関し、詳しくは2つの直交する偏波を独立して送受信することができる偏波ダイバーシチアンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動体通信システム用の基地局アンテナでは、量産性や電気的調整の容易性から、プリントダイポールアンテナ素子を用いることが多い。このプリントダイポールアンテナ素子を用いた偏波ダイバーシチアンテナは、例えば、特許文献1によって提案されている。
【0003】
この特許文献1のアンテナは、中心部にギャップが形成される形態で同一形状の四つの素子導体を90°間隔で素子用誘電体基板上に形成し、x軸上に位置された素子導体の対によって水平偏波用の第1のダイポールアンテナ素子を構成するとともに、前記ギャップを挟んでy軸上に位置された前記素子導体の対によって垂直偏波用の第2のダイポールアンテナ素子を構成している。上記四つの素子導体は、ギャップ側に位置する頂点部位から途中の部位に至る領域において所定の開き角で徐々に拡がる平面形状を有する。
この特許文献1に係る偏波ダイバーシチアンテナによれば、V.S.W.R.<1.5を満たす比帯域が約42%であるという広帯域特性を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−244244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、我が国では、携帯電話で使用される周波数帯域として、800MHz帯,900MHz帯,1.5GHz帯,2GHz帯が割り当てられているが、データ通信の分散を目的に、2.4GHz帯(Wi−Fi)、2.5G帯(WiMAX)も使用され始めている。
ここで、1.5GHz帯から2.5GHz帯を考慮すると、約60%の比帯域が必要となるので、更なる広帯域化が求められる。また、移動体通信基地局におけるセクタの品質上、上記帯域内で一定の水平面内ビーム幅が求められる。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑み、広帯域化を一層図れ、かつ、使用帯域内でのビーム幅及び利得の均一化を図ることが可能な偏波共用アンテナを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、中心部にギャップが形成される形態で形成した第1、第2のダイポールアンテナ素子と、前記第1のダイポールアンテナ素子を構成する各素子導体の外側端部と前記第2のダイポールアンテナ素子を構成する各素子導体の外側端部一体接続された環状導体と、を備えている。前記第1、第2のダイポールアンテナ素子を構成する各素子導体は、前記外側端部の幅が中間部の幅よりも小さく設定され、前記第1のダイポールアンテナ素子と前記環状導体とによって第1の偏波に適用する第1の折返しダイポールアンテナ素子を構成するとともに、前記第2のダイポールアンテナ素子と前記環状導体とによって第2の偏波に適用する第2の折返しダイポールアンテナ素子を構成している。
【0008】
施の形態として、前記第1、第2のダイポールアンテナ素子を構成する各素子導体及び前記環状導体は、それぞれ素子部誘電体基板にプリント形成されている。
【0009】
また、実施の形態として、前記第1のダイポールアンテナ素子に給電する給電用導体がプリント形成された第1の給電部誘電体基板と、前記第2のダイポールアンテナ素子に給電する給電用導体がプリント形成された第2の給電部誘電体基板とが備えられる。前記第1、第2の給電部誘電体基板は互いに交差するように組み合わされ、この組み合わされた第1、第2の給電部誘電体基板は前記素子部誘電体基板の面に対して鉛直に結合される。
【0010】
前記第1、第2の給電部誘電体基板の前記給電用導体は、バランを構成するように設けることができる。
前記第1の偏波及び前記第2の偏波は、例えば、垂直偏波及び水平偏波である。この第1の偏波及び前記第2の偏波は、+45°偏波及び−45°偏波であっても良い。
前記第1のダイポールアンテナ素子を構成する各素子導体と前記第2のダイポールアンテナ素子を構成する各素子導体の形状及び/又は寸法を相違させても良い。
【0011】
上記構成の波共用アンテナを垂直方向もしくは水平方向あるいは垂直方向と水平方向の双方に多段配列してアレイ構造の偏波共用アンテナを構成することも可能である。また、反射板を併設するとも可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1のダイポールアンテナ素子と環状導体とによって第1の偏波に適用する第1の折返しダイポールアンテナ素子を構成するとともに、第2のダイポールアンテナ素子と環状導体とによって第2の偏波に適用する第2の折返しダイポールアンテナ素子アンテナ素子を構成しているので、V.S.W.R.(定在波比)の広帯域化を図れるとともに、素子形状を略楕円形状にしてボウタイアンテナのように作用させることによって更なる広帯域特性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る偏波共用アンテナを示す斜視図である。
図2】素子部の構成例を示す平面図である。
図3】給電部の構成を示す平面図である。
図4】本発明に係る偏波共用アンテナの垂直偏波についてのV.S.W.R.特性を示すグラフである。
図5】本発明に係る偏波共用アンテナの水平偏波についてのV.S.W.R.特性を示すグラフである。
図6】本発明に係る偏波共用アンテナの垂直偏波について水平面内指向性を示すグラフである。
図7】本発明に係る偏波共用アンテナの水平偏波について水平面内指向性を示すグラフである。
図8】本発明に係る偏波共用アンテナの利得特性を示すグラフである。
図9】本発明に係るアレー構造の偏波共用アンテナを示す斜視図である。
図10】素子導体の他の形状を示す平面図である。
図11】素子導体の更に別の形状を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に本発明の一実施形態に係る偏波共用アンテナを示す。この偏波共用アンテナANは、素子部10、給電部20,30、支持板40及び反射板50を備えている。
図2は、素子部10の構成例を示す平面図である。この素子部10は、円形の誘電体基板11上に同一形状の4つの素子導体12と環状導体13を形成した構成を有する。
各素子導体12は、略楕円状の平面を有し、それらの長軸が90°の間隔をなすように、かつ、それらの内側端部相互間にギャップ14が形成されるように配列されている。なお、各素子導体12の内側端部は、先細となるようにテーパが付されている。
【0015】
ギャップ14を挟んでy軸上に位置された一対の素子導体12は、一方の偏波(例えば、垂直偏波)に適用する第1のダイポールアンテナ素子を構成し、また、ギャップ14を挟んでx軸上に位置された一対の素子導体12は、他方の偏波(例えば、水平偏波)に適用する第2のダイポールアンテナ素子を構成している。
【0016】
環状導体13は、誘電体基板11の外周縁部に沿って形成され、各素子導体12の外側端部に結合されている。
この環状導体13は、折返しダイポールアンテナ(フォールデッドダイポールアンテナ)の折返し導体として設けたものであり、上記第1のダイポールアンテナ素子と組み合わされて3線式の第1の折返しダイポールアンテナ素子を構成し、また、上記第2のダイポールアンテナ素子と組み合わされて3線式の第2の折返しダイポールアンテナ素子を構成する。
なお、各素子導体12及び環状導体13は、誘電体基板11上に貼着された金属箔(例えば銅箔)からなり、いわゆるプリント配線パターンの形成手法を用いてプリント形成されている。
【0017】
本実施形態における素子導体12は、長さL1が約0.24λ(λは使用周波数帯域の中心周波数の波長)に設定され、中間部幅W1が約0.18λに設定されている。また、上記第1、第2のダイポールアンテナ素子は、全長L2が約0.5λに設定されている。
環状導体13は、幅が約0.006λに設定されている。そして、この環状導体13に対する各素子導体12の接続幅W2は、約0.05λに設定されている。
【0018】
次に、図3を参照して給電部20,30の構成について説明する。
給電部20は、誘電体基板21の一方の面に一対の接地導体22a,22bを形成し、該誘電体基板21の他方の面に給電線路導体23を形成している。もちろん、この接地導体22a,22bおよび給電線路導体23も金属箔よってプリント形成されている。
また、給電部20は、誘電体基板21の上端部両側に舌片25a,25bをそれぞれ設けるとともに、該誘電体基板21の下端部両側に舌片26a,26bをそれぞれ設けてある。
【0019】
接地導体22a,22bは、誘電体基板21の上下中心軸線に対して線対称の関係になるように該誘電体基板21の上端から下端に亘って延設されている。この接地導体22a,22bの間に形成された帯状の無金属箔部分24には、その下端から上方に向かう切り欠き溝27が形成されている。本実施形態において、無金属箔部分24の長さは、約0.25λである。
【0020】
給電線路導体23は、一方の接地導体(本実施形態では、接地導体22b)の背部において誘電体基板21の下端から上方に延びた後、横に折れ曲って無金属箔部分24の背部上方を横断し、次いで、他方の接地導体22aの背部で下方に折り返すように形成されている。この給電線路導体23は、無金属箔部分22の中点に位置する部位から先端に至る部分の長さが約0.25λに設定されている。また、この給電線路導体23の下端部は、舌片26bの背面に位置している。
【0021】
他方の給電部30は、給電部20の構成要素21,22a,22b,23、24,25a,25b,26a,26b,27に対応する構成要素31,32a,32b,33、34,35a,35b,36a,36b,37を有する。
しかし、切り欠き溝37は、無金属箔部分34の上端から下方に向かって延びており、この点で給電部20の切り欠き溝27と相違する。この切り欠き溝37の長さは、上記切り欠き溝27の上端から無金属箔部分24の上端に至る距離と同じになるように設定されている。
【0022】
給電部20,30は、次のように組み合わされる。すなわち、給電部20の切り欠き溝27に給電部30における切り欠き溝37の下端よりも下方に位置した部分が挿入され、給電部30の切り欠き溝37に給電部20における切り欠き溝27の上端よりも上方の部分が挿入される。これによって、給電部20,30は、図1のように、互いが交差する形態で組み合わされて一体化される。
【0023】
図2に示すように、素子部10の各素子導体12の内側端部には、誘電体基板11を貫通する長方形状の孔15がそれぞれ形成されている。この4つの孔15には、上記一体化された給電部20,30から上方に突出する舌片25a,25b,35a,35bが図1に示すように挿入され、これによって、素子部10の面に給電部20,30が鉛直に結合される。
【0024】
誘電体基板11の上面側に突出した舌片25a,25b,35a,35bには、図3に示す接地導体22a,22b,32a,32bがそれぞれ貼着されている。そこで、図2のx軸上に位置された一方と他方の素子導体12がそれぞれ舌片25a,25bの接地導体22a,22bにハンダ等の手段を用いて電気的に接続され、図2のy軸上に位置された一方と他方の素子導体12がそれぞれ舌片35a,35bの接地導体32a,32bに同様の手段を用いて電気的に接続される。
【0025】
図1の支持板40は誘電体で形成されている。上記一体化された給電部20,30は、それらから下方に突出する舌片26a,26b,36a,36bをこの支持板40に形成された孔に挿入することによって該支持板40に固定支持されている。
挿入された舌片26a,26b,36a,36bの表面に貼着された接地導体22a,22b,32a,32b、及び、挿入された舌片26b,36bの背面に貼着された給電線路導体23,33の基端部(図3参照)は、支持板40にプリント形成された図示していない給電線路導体にハンダ等の手段を用いて電気的に接続される。
反射板50は、支持板40の背部に設けられている。本実施形態における反射板50は、素子部10の素子導体12から約0.26λ離隔した位置に設けられている。
【0026】
以上のように構成された本実施形態に係る偏波共用アンテナANは、図3に示す舌片26a、26b上の接地導体22a,22b(接地部)が上記支持板40の給電線路導体を介して図示していない第1の同軸ケーブルの外部導体に接続され、また、給電線路導体23の基端部が上記支持板40の給電線路導体を介して上記第1の同軸ケーブルの内部導体に接続される。
【0027】
同様に、図3に示す舌片36a、36b上の接地導体32a,32b(接地部)が図1に示す支持板40の給電線路導体を介して図示していない第2の同軸ケーブルの外部導体に接続され、また、給電線路導体33の基端部が上記支持板40の給電線路導体を介して上記第2の同軸ケーブルの内部導体に接続される。
【0028】
次に、本実施形態に係る偏波共用アンテナANの動作について説明する。ただし、ここでは、図2におけるy軸上に位置された素子導体12の対を含む第1の折返しダイポールアンテナ素子を垂直偏波に適用し、x軸上に位置された素子導体12の対を含む第2の折返しダイポールアンテナ素子を水平偏波に適用するものとする。
【0029】
上記垂直偏波用の第1の折返しダイポールアンテナ素子は給電部20を介して給電され、また、上記水平偏波用の第2の折返しダイポールアンテナ素子は給電ユニット30を介して給電される。
すなわち、第1の折返しダイポールアンテナ素子は、図3に示す給電線路導体23の折り曲げ横断部から給電されて励振動作し、また、第2の折返しダイポールアンテナ素子は、図3に示す給電線路導体33の折り曲げ横断部から給電されて励振動作する。
このとき、接地導体22a,22bと給電線路導体23は、バラン(平衡−不平衡変換器)として機能し、また、接地導体32a,32bと給電線路導体33もバランとして機能する。
【0030】
ところで、上記第1、第2の折返しダイポールアンテナ素子は、折返し導体として設けられた図2に示す環状導体13を共用しているので、この環状導体13を介した相互間の影響をできるだけ低減することが望ましい。
本実施形態に係る偏波共用アンテナANでは、素子導体12の外側端部の幅を中間部の幅よりも小さく設定して、環状導体13に対する素子導体12の接続面積を小さくしているので、上記第1、第2の折返しダイポールアンテナ素子間の影響を低減して、後述するような広帯域特性を得ることが可能である。
【0031】
図4及び図5は、本実施形態に係る偏波共用アンテナANの垂直偏波及び水平偏波についてのV.S.W.R.特性をそれぞれ示す。これらの図から明らかなように、本実施形態に係る偏波共用アンテナANによれば、V.S.W.R.1.5以下を満たす比帯域を約60%にすること、つまり広帯域特性を向上することが可能である。なお、fは中心周波数である。
【0032】
一方、図6及び図7は、本実施形態に係る偏波共用アンテナANの垂直偏波及び水平偏波についての水平面内指向性特性をそれぞれ示す。これらの図から明らかなように、本実施形態に係る偏波共用アンテナANによれば、比帯域内においてほぼ一定のビーム幅を得ることが可能である。
さらに、本実施形態に係る偏波共用アンテナANによれば、図8に示すように、垂直偏波及び水平偏波とも比帯域においてほぼ一定の利得特性を得ることができる。
【0033】
図9は、上記偏波共用アンテナANを垂直方向に所定の間隔で複数(この例では2個)配設したアレー構成の偏波ダイバーシチアンテナの実施形態を示す。このアレー構成の偏波ダイバーシチアンテナでは、各アンテナANにおいて共通使用される支持板40’及び反射板50’が設けられている。このアレー構成の偏波共用アンテナによれば、利得の向上を図ることができる。
【0034】
本発明は、上記実施形態に限定されず、以下に例示するような種々の変形態様を含み得るものである。
(a)素子部10に形成される素子導体の形状は、図2に示す形状に限定されない。すなわち、中間部の幅よりも内側端部および外側端部の幅が小さいという条件が満たされるなら、例えば図10図11に示すような素子導体12’,12”を用いることができる。図10に示す素子導体12’は多角形状に形成されている。また、図11に示す素子導体素子12”は、略楕円形状の主部12aの内側に四角状の副部12Bを付加した形状を有する。
(b)反射板を配置した場合やアレー構造とした場合、それらがアンテナの動作に与える影響は一方の偏波についてのものと他方の偏波についてのものとで相違することがある。本発明に係るアンテナにおいては、一方の偏波用の素子導体の形状(寸法)と他方の偏波用の素子導体の形状(寸法)とを相違させることによって上記の相違を補正することが可能である。
(c)素子導体12の配列形態を変えて、±45度偏波で共用できるように構成することも可能である。
(d)図9の実施形態では、垂直方向に多段化しているが、水平方向に多段化することも可能である。また、必要に応じて垂直方向と水平方向の双方に多段化しても良い。
【符号の説明】
【0035】
10 素子部
11 誘電体基板
12、12’,12” 素子導体
13 環状導体
14 ギャップ
15 孔
20,30 給電部
21,31 誘電体基板
22a,22b 接地導体
23,33 給電線路導体
24,34 無金属箔部分
25a,25b,35a,35b 舌片
26a,26b,36a,36b 舌片
40,40’ 支持板
50,50’ 反射板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11