【課題を解決するための手段】
【0021】
したがって、本発明の1つの主題は、式(I):
【化1】
[式中、
【化2】
なる記号は、単結合又は二重結合である;
Yは、3位の
【化3】
が二重結合である際は、酸素又はグアニジノイミノである;
Yは、3位の
【化4】
が単結合である際は、ヒドロキシ、OR
4、又はSR
4であり、α又はβ配置を有してよい;
Rは、非置換又は置換された3−フリル又は4−ピリダジニル基である;
R
1は、水素;メチル;又はOH若しくはNR
5R
6によって置換されたエチル若しくはn−プロピルである;
R
2は、水素であるか、又はR
3とともにオキシラン環の結合である;
R
3は、水素であるか、又はR
2とともにオキシラン環の結合である;
R
4は、水素;メチル;又は第四級アンモニウム基、1以上のOR
7、NR
8R
9、ホルミル、アミジノ、グアニジノイミノ、若しくはNR
8R
9及びヒドロキシによって置換されているか若しくは非置換のC2−C6アルキル、C3−C6アルケニル、若しくはC2−C6アシルである;
R
5、R
6は、独立に、水素;メチル;又は1つのNR
10R
11若しくはNR
10R
11及びヒドロキシによって置換されているか若しくは非置換のC2−C6アルキルであるか、又はR
5及びR
6が、窒素原子とともに、非置換若しくは置換された、飽和若しくは不飽和のペンタ−若しくはヘキサ−モノ複素環(場合によって、酸素、硫黄、若しくは窒素から選択される他の複素原子を含有する)を形成する;
R
7は、水素、メチル、又は1以上のNR
10R
11若しくはNR
10R
11及びヒドロキシによって置換されているか若しくは非置換のC2−C4アルキルである;
R
8、R
9は、独立に、水素;メチル;又は1以上のNR
10R
11若しくはNR
10R
11及びヒドロキシによって置換されているか若しくは非置換のC2−C6アルキル若しくはC3−C6アルケニルであるか、又はR
8及びR
9が、窒素原子とともに、非置換若しくは置換された、飽和若しくは不飽和のペンタ−若しくはヘキサ−モノ複素環(場合によって、酸素、硫黄、若しくは窒素から選択される他の複素原子を含有する)を形成するか、又はR
8が水素であり、かつ、R
9がアミジノであるか;又はNR
8R
9がプロパルギルアミノである;
R
10、R
11は、独立に、水素若しくはC1−C6アルキルであるか、又はR
10及びR
11が、窒素原子とともに、飽和若しくは不飽和のペンタ−若しくはヘキサ−モノ複素環を形成する]
の化合物である。
【0022】
本発明には、基剤の生物学的活性を保持しており、かつ、既知の製薬学的に許容される酸、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、メタンスルホン酸、又は安息香酸に由来する、(I)の製薬学的に許容される塩も含まれる。
【0023】
前記アルキル及びアルケニル基は、分枝鎖又は直鎖の基であってよい。
【0024】
前記C1−C6アルキル基は、好ましくは、C1−C4アルキル基であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチルである。
【0025】
前記C2−6アルキル基は、好ましくは、C2−4アルキル基であり、例えば、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチルである。
【0026】
前記C3−6アルケニル基は、好ましくは、C3−4アルケニル基であり、例えば、2−プロペニル、2−ブテニルである。
【0027】
前記C2−C6アシルは、好ましくは、C2−4アシル基であり、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリルである。
【0028】
前記第四級アンモニウム基は、好ましくは、トリメチルアンモニウム基、N−メチルピロリジニウム基、又はN−メチルピペリジニウム基である。
【0029】
前記OR
7基は、好ましくは、ヒドロキシ、2−アミノエトキシ、3−アミノプロポキシ、2−ジメチルアミノエトキシ、2−ジエチルアミノエトキシ、3−ジメチルアミノプロポキシ、3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ、2,3−ジアミノプロポキシ、2−(1−ピロリジニル)エトキシ、3−(1−ピロリジニル)プロポキシである。
【0030】
前記NR
5R
6基は、好ましくは、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ピロリジニル、モルホリノ、ピペラジニル、1−イミダゾリル、2−アミノエチルアミノ、3−アミノプロピルアミノである。
【0031】
前記NR
8R
9基は、好ましくは、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソ−プロピルアミノ、アリルアミノ、プロパルギルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ピロリジニル、モルホリノ、ピペラジニル、1−イミダゾリル、1−グアニジノ、2−アミノエチルアミノ、3−アミノプロピルアミノ、2−(1−ピロリジニル)エチルアミノ、3−(1−ピロリジニル)プロピルアミノ、3−アミノ−2−ヒドロキシプロピルアミノ、3−(1−ピロリジニル)2−ヒドロキシプロピルアミノ、2,3−ジアミノプロピルアミノ、(2−(1−ピロリジニル)エチル)メチルアミノである。
【0032】
本発明に係る特定の化合物の好ましい例は、抗タンパク尿薬として使用するための、
17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−3−β,14−β,17−α−トリオール;
3−β−(2−ヒドロキシエトキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(2−アミノエトキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(3−アミノプロポキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(2−メチルアミノエトキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(2−(1−ピロリジニル)エトキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(2−(3−(1−ピロリジニル)プロポキシ)エトキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(3−(1−ピロリジニル)プロポキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(2−(1−イミダゾリル)エトキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(2−(2−イミダゾリン−2−イル)エトキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(2−(2−アミジノ)エトキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(2−(2−(1−ピロリジニル)エトキシ)エトキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(2−グアニジノエトキシ)−17−β−(3−フリル)5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(3−グアニジノプロポキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(3−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(2,3−ジアミノプロポキシ)−17−β−(3−フリル)5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
17−β−(3−フリル)−17−α−メトキシ−5−β−アンドロスタン−3−β,14−β−ジオール;
17−β−(3−フリル)−17−α−(2−(1−ピロリジニル)エトキシ)−5−β−アンドロスタン−3−β,14−β−ジオール;
17−β−(3−フリル)−17−α−(3−アミノプロポキシ)−5−β−アンドロスタン−3−β,14−β−ジオール;
3−β−(2−(1−ピロリジニル)エトキシ)−17−β−(3−フリル)−17−α−メトキシ−5−β−アンドロスタン−14−β−オール;
3−β,17−α−ビス(2−(1−ピロリジニル)エトキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β−オール;
3−β,17−α−ビス(3−アミノプロポキシ)−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β−オール;
14−β,17−α−ジヒドロキシ−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−3−オン;
3−グアニジノイミノ−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
17−β−(4−ピリダジニル)−5−β−アンドロスタン−3−β,14−β,17−α−トリオール;
3−β−(2−ヒドロキシエトキシ)−17−β−(4−ピリダジニル)5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(3−アミノプロポキシ)−17−β−(4−ピリダジニル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(2−(1−ピロリジニル)エトキシ)−17−β−(4−ピリダジニル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
3−β−(3−(1−ピロリジニル)プロポキシ)−17−β−(4−ピリダジニル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
17−β−(4−ピリダジニル)−17−α−(3−アミノプロポキシ)−5−β−アンドロスタン−3−β,14−β−ジオール;
3−β−(2−(1−ピロリジニル)エトキシ)−17−β−(4−ピリダジニル)−17−α−メトキシ−5−β−アンドロスタン−14−β−オール;
3−β−(2−(1−ピロリジニル)エトキシ)−17−β−(4−ピリダジニル)−17−α−(3−アミノプロポキシ)−5−β−アンドロスタン−14−β−オール;
14−β,17−α−ジヒドロキシ−17−β−(4−ピリダジニル)−5−β−アンドロスタン−3−オン;
3−グアニジノイミノ−17−β−(4−ピリダジニル)−5−β−アンドロスタン−14−β,17−α−ジオール;
14−β,15−β−エポキシ−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−3−β,17−α−ジオール;
3−β−(2−ヒドロキシエトキシ)−14−β,15−β−エポキシ−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−17−α−オール;
3−β−(3−アミノプロポキシ)−14−β,15−β−エポキシ−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−17−α−オール;
3−β−(2−(1−ピロリジニル)エトキシ)−14−β,15−β−エポキシ−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−17−α−オール;
3−β−(3−(1−ピロリジニル)プロポキシ)−14−β,15−β−エポキシ−17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−17−α−オール;
3−β−(2−(1−ピロリジニル)エトキシ)−17−β−(3−フリル)−17−α−メトキシ−14−β,15−β−エポキシ−5−β−アンドロスタン;
17−α−ヒドロキシ−17−β−(3−フリル)−14−β,15−β−エポキシ−5−β−アンドロスタン−3−オン;
3−グアニジノイミノ−17−β−(3−フリル)−14−β,15−β−エポキシ−5−β−アンドロスタン−17−α−オール;
14−β,15−β−エポキシ−17−β−(4−ピリダジニル)−5−β−アンドロスタン−3−β,17−α−ジオール;並びに
上述の3−β誘導体の3α誘導体、及び対応する3α及び3−βチオ誘導体(Y=S)である。
【0033】
本発明に係る特定の化合物の最も好ましい例は、17−β−(3−フリル)−5−β−アンドロスタン−3−β,14−β,17−α−トリオールであり、以下においては、「ロスタフロキシン」又は「PST2238」と称する。
【0034】
本発明のさらなる主題は、抗糸球体硬化薬として使用するための式(I)の化合物である。
【0035】
本発明のさらなる主題は、抗腎不全薬として使用するための式(I)の化合物である。
【0036】
本発明のさらなる主題は、タンパク尿、糸球体硬化、及び腎不全の予防又は治療のための医薬の製造のための、式(I)の化合物の使用である。
【0037】
本発明のさらなる主題は、式(I)の化合物の治療上有効量を投与する工程を含む、タンパク尿、糸球体硬化、又は腎不全に罹患した哺乳動物の治療方法である。本明細書で使用する用語「治療上有効量」は、標的とする病気又は疾患を治療又は改善するために必要な治療剤の量、又は検出可能な治療効果を示すために必要な治療剤の量である。
【0038】
任意の化合物に関して、治療上有効量は、細胞培養アッセイ又は動物モデル、通常はマウス、ウサギ、イヌ、又はブタのいずれかにおいて最初に見積もることができる。
【0039】
前記動物モデルを使用して、適当な濃度範囲及び投与経路を決定してもよい。そのような情報は、次いで、ヒトに投与するための有用な投与量及び経路の決定に使用することができる。
【0040】
ヒトの対象に対する正確な有効量は、疾患状態の重度、対象の一般的な健康、対象の年齢、体重、及び性別、食事、投与時間及び頻度、併用薬、反応感度、及び治療に対する耐性/反応に依存する。この量は、ルーチンな実験によって決定されてよく、臨床医の判断の内にあってよい。一般的には、1日あたりの有効量は、0.05mgから20mg、好ましくは0.5mgから15mg、最も好ましくは5mgから10mgであろう。
【0041】
投与処置は、医師の判断によって、単回投与計画又は複数回投与計画であってよい。
【0042】
組成物は、患者に個別に投与されてよく、又は他の薬剤、薬物、又はホルモンと併用して投与してよい。
【0043】
医薬は、治療剤の投与のための、製薬学的に許容される担体も含有してよい。そのような担体は、抗体並びに他のポリペプチド、遺伝子、及び他の治療剤、例えば、リポソームを含むが、前記担体は、それ自体で、組成物を接種する個体に有害な抗体の産生を誘導せず、過度の毒性なしで投与され得る。
【0044】
適切な担体は、大きく、ゆっくりと代謝される高分子、例えば、タンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、アミノ酸ポリマー、アミノ酸コポリマー、及び不活性ウイルス粒子であってよい。
【0045】
製薬学的に許容される担体の詳細な議論が、Remington's Pharmaceutical Sciences (Mack Pub. Co., N. J.1991)で得られる。
【0046】
治療用組成物中の製薬学的に許容される担体は、追加で、液体、例えば、水、生理食塩水、グリセロール、及びエタノールを含有してよい。加えて、補助的な物質、例えば、湿潤剤又は乳化剤及びpH干渉物質などが、そのような組成物中に存在してよい。そのような担体は、患者による摂取のために、医薬組成物を錠剤、丸薬、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、及び懸濁剤などに製剤化することを可能にする。
【0047】
一度製剤化されると、本発明の組成物は、対象に直接投与することができる。治療対象は動物であってよく、特にヒトの対象を治療することができる。
【0048】
本発明の医薬は、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、鞘内、脳室内、経皮若しくは経皮膚適用、皮下、腹腔内、鼻内、腸内、局所、舌下、直腸への手段、又は外科手術後の疾患組織への局所的な投与を含むが、それらに限らない、任意の数の経路で投与されてよい。本発明の化合物は、制御放出マトリックスに組み込まれたステントに適用(コーティング)してもよい。