【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
本発明の目的は、先行技術の光源の欠点を克服するOCTのための「波長掃引光源」光源または波長掃引光源の他の応用例を提供することである。さらなる目的は、光干渉断層装置、光干渉断層モジュールを提供することである。
【0008】
本発明の第1の局面によれば、波長掃引光源であって、
少なくとも1つの光学的フィードスルーおよび複数の電気的フィードスルーを有する光モジュールケーシングと、
光増幅を行なうように動作可能な半導体利得装置と、
波長選択器と、
光再方向付け器とを備え、
利得装置、光再方向付け器および波長選択器は、利得装置によって放出されて波長選択器によって選択される光部分のためにマルチモード共振器が構築されるように光モジュールケーシングに互いに配置され、
共振器は外部キャビティレーザ共振器であり、たとえば自由空間に光路部分を備え、
共振器の1つの端部反射器は部分的に透過性であり、この1つの端部反射器を透過した光は、少なくとも部分的に光学的フィードスルーを通って出るように向けられる、光源が提供される。
【0009】
好ましい実施例では、本発明の第1の局面に係る波長掃引光源は、本発明の第2の局面の波長掃引光源の特徴を備え、以下に記載する光遅延装置を備える。これも有利であり得る他の実施例では、本発明の第1の局面に係る波長掃引光源は、光が複数回モジュールケーシング内の異なる経路部分上を行ったり来たりする折曲げられたキャビティを備える。
【0010】
光学的フィードスルーは、ファイバもしくは複数のファイバを備えていてもよく、または放射が通過する窓を備えていてもよい。
【0011】
本発明の第1の局面に係るアプローチの利点は、光源構成要素、ならびにおそらくは強度検出器、ビームスプリッタ/コンバイナ、波長計および/またはさらにはOCT機構の基準アームなどのさらなる装置の素子が、共通のパッケージに一体化されることである。パッケージに一体化されたこれらの装置は、好ましくは、MEMS格子またはMEMSミラーなどの可動部を含む。
【0012】
このアプローチは、コンパクトさ、取扱い、製造コスト、およびユーザによる較正努力の点で利点をもたらす。好ましい実施例によれば、パッケージのこれらの装置は、モジュールケーシング内の複数の構成要素が配置される台と接触する共通の熱電冷却器を有する。これは、安定性および再現性の点でさらなる利点をもたらし、製造時の複雑さの点で有利である。
【0013】
先行技術の光源としての光学的パッケージとは対照的に、本発明の第1の局面は、(可動MEMSミラーおよび格子またはファブリ・ペローフィルタ同調素子(たとえば、ファブリ・ペローMEMS装置)または回転走査ミラーおよび格子などを備えていてもよい)波長選択器を有する波長掃引光源を提供することを提案し、マルチモード動作を提案する。マルチモード動作は、許容可能な特定の最大値を超えないようにコヒーレンス長を制御できることを可能にする。さらに、単一モード動作では、複雑な機構を必要とするであろう同調中にキャビティ長が調整されなければ、モードホッピングが起こる。モードホッピングとは、レーザが短期間にわたってレージング動作をオフにし、次いで、チューナブルフィルタが次のレージングモードと一致すると再びレージング動作をオンにすることを意味する。しかしながら、レーザのオンにするプロセスは、(SS−OCTの応用例に必要な速い掃引速度に対して)比較的ゆっくりとしたプロセスであり得る。なぜなら、刺激を受けたレーザ放出は自然放出および増幅された自然放出から高まっていなければならず、したがって、低雑音および優れた信号対雑音比の安定したレーザ動作では、レーザキャビティにおいて数回の往復が必要になるためである。したがって、高速波長同調にはやはりマルチモードレーザキャビティが有利である。なぜなら、レーザキャビティは波長掃引中レージングを維持できるためである。しかしながら、(フーリエ領域モードロッキング(Fourier-domain mode-locking)(FDML)のような特別な技術が用いられない限り)レーザキャビティは長過ぎてはならない。これは、関連付けられた長い往復時間が再び高速波長同調を禁止するであろうという理由のためである。
【0014】
本発明の第2の局面によれば、掃引波長光源であって、
光増幅を行なうように動作可能な半導体利得装置と、
光遅延装置とを備え、遅延装置は材料からなるブロックを備え、材料からなるブロック内の明確に規定されたビーム経路長を有するビーム経路は、利得装置によって生成された光のために規定され、上記光源はさらに、
波長選択器と、
ベースとを備え、
利得装置、遅延装置および波長選択器は、利得装置によって放出されて波長選択器によって選択される光部分のために共振器が構築されるようにベース上に互いに配置され、これは、(共振器端部ミラーを含む)追加のミラー、レンズ、偏光選択素子、他の受動光学的構成要素などの共振器に寄与するさらなる素子の存在を除外するものではなく、
遅延装置におけるビーム経路は、共振器のビーム経路の一部である、光源が提供される。
【0015】
本文全体を通して、「光」という用語は、スペクトルの赤外線部分、可視部分および紫外線部分における電磁放射を指すために用いられる。本発明に係る光源は、スペクトルの近赤外線部分または可視部分において光を生成することに特に適している。
【0016】
したがって、本発明の第2の局面の実施例における遅延装置は、光学的外部キャビティレーザ共振器の一部である。遅延装置おける光路は、好ましくは、光共振器長の主な実質的な部分を構成する。遅延装置における経路長(したがって、反射の数も)この構成によって明確に規定される。たとえば、遅延装置における光路長は、光共振器長の少なくとも30%、少なくとも40%または少なくとも50%もしくは60%である(光路長は、局所的な屈折率を乗じた物理的な経路長として規定される)。遅延装置内のパスの数は、たとえば少なくとも4つであり、好ましくは少なくとも6つであり、またはさらには8つ以上である。多くの実施例では、遅延装置において占められる経路長の割合は、光学的パッケージ内に光学的キャビティを一体化できるほど十分に高い。装置内の光跡が必ずしも平行ではない光遅延装置の実施例がある。一般に、「パス」は、2つの後続の反射間の遅延装置内の経路部分である。
【0017】
光共振器長は、しばしば1cm〜1mであり、多くの場合3cm〜30cmである。
第1および/または第2の局面の実施例では、利得装置、遅延装置および波長選択器は共通のベース上に配置され、多くの実施例では、それらは光モジュールパッケージにパッケージングされて光モジュールを構成する。光モジュールパッケージは、少なくとも1つの光学的フィードスルーと、パッケージ内の構成要素に給電し、パッケージ内の構成要素を制御し、必要ならばパッケージ内から信号を読出すための複数の電気的フィードスルーとを有するパッケージハウジングを形成する。光学的パッケージはたとえば共通の熱電冷却器を備え、パッケージの光学装置はすべて、熱電冷却器と直接的に熱的に接触する。すなわち、パッケージの光学装置はたとえば、熱電冷却器と直接的に物理的に接触する共通の熱伝導キャリアプレート上にある。光学的パッケージはたとえば、ベース上の構成要素が電気的フィードスルーおよび/または光学的フィードスルーによって精々アクセス可能であるように外部に対して閉じられ、おそらくは封止されている。遅延装置は、たとえばバタフライパッケージのような当該技術分野において公知のものなどの標準的な光モジュールに組立てることができるようにチューナブル外部キャビティの構成の小型化を可能にする。比較的単純な光学的構成は、好適な利得ブロック(または、場合によっては、自由空間共振器の共振器形態)および構成要素上の光学コーティングを利用することによって、SS−OCTのための対象のすべての波長範囲で動作するように容易に適合可能である。
【0018】
マルチモード動作および対応するキャビティ寸法要件を達成するにも関わらず、パッケージ全体の寸法はコンパクトであり、(台の平面における)二次元的広がりは、好ましくは22mm*60mm以下であり、好ましい実施例では13mm×30mm以下である。たとえば、全体的な広がりは、22mm*60mm*20mm以下であり、好ましくは20mm*40mm*20mm以下であり、特に15mm*35mm*10mm以下または13mm*30mm*10mm以下である。
【0019】
第2の局面の多くの実施例では、遅延装置は、材料からなるブロック内を伝搬する光部分を行ったり来たり反射させるための複数の反射面を備える。遅延装置は、材料、たとえばシリカもしくはLiNbO
3からなるブロックであってもよく、または関係している光の波長に透過的なその他の好適な材料からなるブロックであってもよい。ブロックは、実質的に平行であり得て、反射性を有するように少なくとも部分的にコーティングされ得る2つの対向する面を有していてもよい。好適なコーティングは、金属コーティング、誘電体コーティングまたは他の反射層を含んでいてもよい。遅延装置内の光路は、
入射角および幾何光学、ならびに
材料からなるブロック内に形成された導波構造、のうちの少なくとも1つによって規定されてもよい。
【0020】
特別な実施例では、遅延装置は循環光導波管構成を備えていてもよい。
他の実施例では、遅延装置は、使用すべき光を透過する材料からなる本体を備える。この本体は、互いに対して90°とは異なる角度をなすファセットを含む複数の平面ファセットを有する。ファセットのうちの少なくとも2つは、(反射コーティングを有することによって、および/または、内部反射の角度を超えるほど十分に浅い角度で当たる光によって)共振器内の光に対して少なくとも部分的に反射性があり、本体の内部からファセットに当たる光を反射して本体に戻す。この本体は、共振器における光路が非反射性の入口および出口端部ファセット(入口と出口との区別はある程度任意であり、共振器では、光は入口ファセットおよび出口ファセットを通って入ったり出たりする)におけるそれぞれの端部ファセットに対して垂直であり、反射コーティングを少なくとも部分的に備えたファセットに対して垂直でないように設計され、配置される。
【0021】
好ましい実施例では、遅延装置は、遅延装置における少なくとも1つの反射、好ましくはすべての反射が、低角度で、たとえば50°を下回る角度または全内部反射のための最大角度を下回る角度でファセットに入射する光によって引起されるように設計される。この手段によって、反射コーティングについて理想的ではないコーティングによって引起される挿入損失が回避される。また、これらの実施例では、それぞれのファセットはまた、非常に反射性のコーティングを備えていてもよい。
【0022】
透過性材料からなる本体は、たとえば、ガラス(特に内部反射される光が低角度で当たる実施例でも好適な材料である)、シリカ、ポリマー、半導体化合物などでできていてもよい。
【0023】
たとえば、遅延装置本体は、第1のファセットと、第1のファセットに平行ではない第2のファセットとを有する概して菱形の形状を有する。遅延装置は、第1のファセットへの入射角が垂直であるように配置される。遅延装置における光路は、幾何光学によって規定される。遅延装置からの光路の出口ポイントに、第2のファセットまたは第1のファセットは、出て行くときに、出るときに通る面に対して光路が垂直であるように、角度が付いた部分を備える。
【0024】
さらなる実施例では、遅延装置は、遅延装置においてより長いビーム経路長を可能にするように異なる垂直な平面に規定された導波管を有する光導波管構成を備えていてもよい。このような光導波管構成は、異なるレベルでの光軸を有する光学的構成要素への結合も容易にする。
【0025】
遅延装置は、1つ以上の光方向性結合器を含んでいてもよい。このような方向性結合器は、遅延装置内の光を、共振器経路とモニタリング経路とに分割する、サンプル出力と基準出力とに分割する、および/またはさらには入力と画像化出力とに分割するために用いられてもよい。
【0026】
第1および/または第2の局面の実施例における波長選択器は、格子などの波長選択素子と協働する走査微小光学電気機械システム(Micro-Opto-Electro-Mechanical Systems)(MOEMS)ミラー(時にはMEMSミラーとも呼ばれる)を備えていてもよい。MOEMSミラーおよび格子の構成要素は、外部キャビティレーザのチューナブルな特徴を提供するように配置される。格子は、キャビティのための狭い範囲の波長を選択するためのフィルタとしての役割を果たす。MOEMSミラーは、狭い範囲の波長の中心波長を変化させることができるように格子への光の入射角を変化させるように走査される。代替的に、格子は、MOEMS走査装置の表面上に一体化できるであろう。
【0027】
MOEMS装置(ミラーまたは代案としてたとえばMOEMSプリズムも用いることができるであろう)は、全体的な大きさに如何なる負の影響も与えることなく、共通のベース上および光電子パッケージへの一体化に好適な寸法を有するという利点を特徴としている。
【0028】
また、いくつかの実施例では、一体化した掃引波長光源は、これも共通のベース上に配置されるモニタリングフォトダイオードなどのモニタも備える。このモニタは、共振器内を循環する光の代表的な部分が共振器から結合され、モニタ上に向けられるように配置される。モニタは、光源の電子制御の可能性を提供するように電気的フィードスルーによってモジュールの外部から接触可能な電子モニタ出力を備える。
【0029】
用途によっては有利であり得る本発明の第1および/または第2の局面の実施例では、利得装置は、共振器端部ミラーとして用いられる反射性の端部ファセットを有する。たとえば、部分的に透過的なレーザ出力結合ミラーは、利得装置の(部分的に)反射性の端部ファセットと置換えられてもよい。反射性の端部ファセットを有する半導体利得装置は、反射性の半導体光増幅器(R−SOA)に対応する。利得装置および出力結合ミラーとしてR−SOAを用いるという単純な手段によって、装置の効率を向上させることができる。これは、レーザ共振器では、共振器内を循環する光が利得装置に結合されるときに結合損失があるためである。共振器の内部に設置された利得装置の代わりにR−SOAを用いると、2回ではなく共振器内での往復毎に1回だけ光を利得装置に結合させなければならない。これは、キャビティ損失を実質的に低減でき、したがってパワー、同調速度、同調範囲、信号対雑音比および/または他の光学的パラメータの点で掃引波長光源を改良できる。
【0030】
ここで、本発明の第2の局面に注目して、第2の局面の実施例は、以下の構成のうちの1つに従って実現されてもよい:
第1の構成タイプでは、遅延装置は利得装置と波長選択器との間に位置決めされる;
第2の構成タイプでは、遅延装置は利得ブロックおよび波長選択器の一方の側に位置決めされる。
【0031】
いずれの場合にも、「側」とは共振器における光ビーム経路を指す。
第1の構成タイプの場合、用いられる利得ブロックは、(それ自体が共振器であってもよい)反射性の半導体光増幅器であってもよい。光学的放射は、R−SOAの部分的に反射性の(たとえば、3%〜80%)ファセットから遅延装置を通って延びる経路に沿って伝搬し、たとえばMEMsミラーによって格子上に反射される。R−SOAと格子との間の光路長は、共振器(キャビティ)の長さおよび波長掃引光源のコヒーレンス特性を規定する。外部キャビティレーザ光は、部分的に反射性の半導体光増幅器における光ファイバに結合される。代替的に、第1の構成の場合、用いられる利得ブロックは、(非反射性の、たとえば<0.5%)半導体光増幅器(SOA)であってもよく、別個の出力結合ミラーが設けられる。しかしながら、R−SOAを有する実施例はよりコンパクトである。
【0032】
第2の構成タイプの場合、用いられる利得ブロックは半導体光増幅器(SOA)であってもよい。この場合、光学的放射は、遅延装置上の反射コーティングからSOAを通って延びる経路に沿って伝搬し、また(たとえば)MEMSミラーによって格子上に反射される。遅延装置の反射コーティングと格子との間の光路長は、キャビティの長さおよび波長掃引光源のコヒーレンス特性を規定する。外部キャビティレーザ光は、遅延装置における光ファイバに結合される。代替的な実施例では、(SOAと比較して)遅延装置の他方の側の別個の出力結合ミラーがキャビティの端部を規定する。
【0033】
第2の構成の特別な実施例では、遅延装置は、光ファイバまたは複数の光ファイバに結合される出力を有する追加の干渉計を備える。
【0034】
第1および/または第2の局面の実施例では、光源は、その性能を調節および調整するために電子コントローラをさらに備えていてもよい。これは、たとえば電子構成要素を制御すること、ならびに/または、PC、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラもしくはFPGAなどの一般的なハードウェア上で実行されるソフトウェアおよび/またはファームウェアを制御することを含む制御装置を備えていてもよい。コントローラは、電気的フィードスルーなどの電気的接触手段によってベース上の構成要素に接続されるかまたは接続可能である。
【0035】
本発明はまた、光干渉断層装置であって、
本発明の第1および/または第2の局面に係る光源と、
光源と光学的に通信する干渉計と、
光源から生じる光部分をサンプルの選択された場所上に集束させ、上記場所およびサンプルが互いに対して動かされる走査を行なうことに好適な光学機器ユニットとを備え、
干渉計は、光源によって生成されてサンプルから戻った光の部分を、光源によって生成されて基準経路を経由して干渉計に戻った光の部分と組合せるように動作可能であり、
上記装置はさらに、
組合せられた光を干渉計から受けるように位置決めされた検出器ユニットを備える、装置に関する。
【0036】
ここでは、「干渉計」とは、2つの経路から来る光を再び組合せる干渉計の少なくとも一部を指す。他の物理的な定義は、照射時に光部分が放出されて戻されるサンプル、反射ミラーおよび検出器を含む、光路を構成するすべての素子が干渉計に属していることを要求するが、これは本文で用いられる定義ではない。したがって、以下では、2つの経路から来る光を再び組合わせる干渉計(または干渉計部分)は、時には「干渉計の部分」とも呼ばれる。
【0037】
上述のように、遅延装置が少なくとも1つの方向性結合器を含む光源の実施例がある。これらは、方向性結合器または方向性結合器のうちの1つが4つの導波管分岐部を備える実施例を含む:
共振器に結合された第1の分岐部;
2つの出力ファイバに結合された第2および第3の分岐部であって、第1の分岐部から来る光は、第2の分岐部と第3の分岐部とに分割される;および
(高感度フォトダイオードなどの)検出器に結合された第4の分岐部であって、第2および第3の分岐部から来る光部分は方向性結合器において干渉し、干渉する光部分のうちのいくらかは第4の分岐部に結合される(その他は再び第1の分岐部に結合され得る)。
【0038】
上述の種類の光干渉断層装置がこのような実施例に係る光源を備える場合、(方向性結合器によって形成される)干渉計の部分は、光源に一体化され、したがって任意に検出器である。そして、光学機器ユニットは、一体化した光源および検出器モジュールを単に備えていなければならないかもしれない。
【0039】
本発明はさらにまた、光干渉断層装置のための光干渉断層モジュールであって、
本発明の第1および/または第2の局面に係る光源を備え、
光源によって生成された光の特性を検知し、および/または、干渉計信号の測定を行なうように位置決めされ、備付けられたセンサ構成をさらに備える、モジュールを指す。
【0040】
実施例では、このモジュールは、光源に加えて、
光源と光学的に通信し、光源によって生成されサンプルから戻った光の部分を、光源によって生成され基準経路から戻った光の部分と組合せるように動作可能な干渉計の部分と、
組合せられた光を干渉計から受けるように位置決めされた(センサ構成であるまたはセンサ構成に属する)検出器ユニットと、を備えていてもよい。
【0041】
一体化した干渉計および検出器を有する上述の種類の実施例では、モジュールは一体化した光源である。他の実施例では、モジュールは、パッケージングされた光源に加えて、別個のものであるが場合によっては固定的に取付けられた干渉計および検出器を備えていてもよい。
【0042】
モジュールは、モジュールケーシングの外側に、センサ構成によって生成されたデータを評価するための分析器および/または評価器を含む電子機器ユニットをさらに備えていてもよい。
【0043】
本発明の如何なる局面にも係る光源は、掃引が線形またはおよそ線形であることを保証するための手段をさらに組入れてもよい。共振器では、可動部が、調子を合わせて線形である電気信号によって単に駆動される場合、または、たとえば正弦波的に振動するようにクロックのような信号によって駆動される共振MEMS構造である場合、しばしば出力放射の非線形の周波数依存性が結果として生じることになる。しかしながら、OCTの応用例では、周波数領域での(k−空間での)経時的な線形掃引が有利である。組入れられた手段は、以下のもののうちの1つ以上を含んでいてもよい:
(i) 周波数領域においてこのような線形掃引を提供するために、(MEMSミラーなどの)波長選択器の可動部は特徴的な傾斜パターンで駆動される;
(ii) 光ビームが掃引している範囲にわたってピッチ(格子定数)が一定でない(波長選択器が回折格子を備える実施例における)波長選択器の回折格子。一定でないピッチ、すなわち一種の特別な「チャープ」は、調子を合わせたより線形の周波数掃引が達成されるように選択される;
(iii) 格子への入射角は、光源の可動部(同調素子、たとえばミラー)と格子との間の光学的構成要素によって変更される。このような追加の光学的構成要素は、やはり、経時的に掃引特性を変化させ、掃引特性を周波数領域においてより線形にするであろう。
【0044】
本発明の第3の局面によれば、光モジュールであって、
たとえば本発明の第1および/または第2の局面に係る波長掃引レーザ光源と、
光源によって出力された光の波長および/または周波数の大きさを発するように動作可能であり、位置決めされた波長計とを備え、上記波長計は、
光源によって生成された一次ビームのタッピングされたビーム部分を主要ビーム経路とは別個の経路上に向けることができるビームタップと、
タッピングされたビーム部分がフィルタに当たるように配置された、波長依存性の透過特性を有するフィルタ装置と、
フィルタ装置を透過したタッピングされたビーム部分の一部の強度を検出するように配置された第1の波長計検出器と、
フィルタ装置を透過しなかったタッピングされたビーム部分の一部の強度を検出するように配置された第2の波長計検出器と、を備える、モジュールが提供される。
【0045】
そして、電子機器ユニットは、量(I
T−I
R)/(I
T+I
R)を計算するように構成されてもよく、そこから公知のまたは最初に測定されたフィルタ特性を前提として、波長または関連の量が計算されてもよい。
【0046】
フィルタ装置は、光源出力波長が掃引する光源波長範囲において、フィルタ特性が顕著な波長依存性を有するように選択される。好ましくは、光源波長範囲では、フィルタ透過特性は、波長の厳密に単調な関数である。そして、波長範囲の最低波長での透過と波長範囲の最高範囲での透過との差はできる限り高いことが好ましい。フィルタは、ハイパスフィルタであってもよく、またはローパスフィルタであってもよい。しかしながら、好ましい実施例では、フィルタはバンドパスフィルタであり、その通過帯域は、波長範囲がフィルタ透過特性の傾斜部分にあるように波長範囲に対してオフセットされる。たとえば波長掃引光源OCTに用いられる波長範囲内で急な特性を有するバンドパスフィルタが利用可能である。
【0047】
SS−OCTシステムの先行技術では、周波数領域(k−空間)において周期的な透過反応または反射反応を有する光学フィルタ、たとえばマッハ・ツェンダー干渉計またはファブリ・ペローフィルタを用いて、このような周期的な光学フィルタの自由スペクトル範囲と同一の一定量だけ波長掃引光源が周波数を変化させるたびに極大またはピークを示す信号である光学的k−クロックを生成する。この光学的k−クロック信号は、光検出器によって検出され、電気的なk−クロック信号に変換され、この電気的なk−クロック信号は次いで、たとえば干渉計から受取ったOCT信号のサンプリングを担当するSS−OCTシステムの他のクロック信号と同期させられる。
【0048】
しかしながら、たとえばマイケルソンまたはフィゾー干渉計の原理に基づく先行技術の波長計とは対照的に、本発明の第3の局面に係る提案されている波長計は、単純であり、堅固であり、可動部を有しておらず、出力信号の分析が容易である。
【0049】
また、この波長計からの信号は、波長掃引レーザの光出力パワーから独立しており、したがって、波長または周波数の真の大きさである。
【0050】
先行技術のOCTモジュールのk−クロックとは対照的に、相対的な大きさだけでなく、波長の絶対値の大きさが測定される。さらに、波長値の測定は、いつでも、すなわち別個のクロックによって設定された如何なるサンプリングレートでもなされることができる。したがって、信号の測定をサンプリングするために用いられるクロック(システムクロック)、たとえば測定すべきOCT干渉信号の強度Iまたはこのようなシステムクロックと調子を合わせた他のクロックを用いることができる。装置を同期させることは、k−クロック自体の信号ピークが同期信号の働きをしなければならなかった先行技術のアプローチよりもはるかに容易である。波長計が必要な信号と同期してサンプリングされる場合、(必要な)強度データおよび必要な強度データが生成された波長のデータ対が直接得られる。したがって、好ましい実施例によれば、モジュールの電子機器ユニットは、第1および第2の波長計検出器信号のサンプリングを起動するように動作可能なクロックをさらに備える。このクロックはさらに、必要な強度信号のサンプリングを起動するように動作可能であってもよい。
【0051】
レーザを安定させるための波長選択フィルタを用いることが知られている。しかしながら、本発明の第3の局面の実施例は、信号と同期してサンプリング可能な波長計の構成要素としてこのようなフィルタを用いることを提案することによって、他の方向に行っている。
【0052】
本発明の第1、第2および/または第3の局面に係る光モジュールの実施例は、以下のもののうちの1つまたは組合せをさらに任意に備えていてもよい:
DC信号オフセット補償:このようなDC信号オフセット補償は、ヘテロダイン平衡検出の原理に基づいていてもよい。DC信号オフセット補償は、たとえば(生成された放射強度が何らかの波長依存性を有する場合)掃引周波数とともに周期的に生じ得るまたは温度変化などの変化するパラメータに対する反応としてゆっくりと生じ得る一次光源強度変化の効果を無くし得る。たとえば、ビームスプリッタ/コンバイナの2つの出力が用いられ、2つの検出器に向けられてもよく、これらの検出器で測定された強度を互いに引算する。2つの検出器において干渉信号が180°位相がずれて生じるので、2つの信号を引算することはヘテロダイン干渉信号を加えるが、過剰な雑音を取去る;
一次ビームをサンプルアームと基準アームとに分割し、サンプルアームおよび基準アームから戻ってくる光部分を組合せ、組合せられた干渉する光部分を必要信号強度検出器(この検出器は好ましくは光モジュールの素子でもある)上に向けるために用いられるOCT装置(OCT干渉計)のビームスプリッタ/コンバイナ。任意に、光モジュールは、基準光ビームをビームスプリッタ/コンバイナから規定の光路長を有する光路に沿ってビームスプリッタ/コンバイナに戻るように向ける光偏向手段および/または光案内手段を有する基準アームをさらに備えていてもよい。これによって、光モジュールは、「OCTエンジン」、すなわち、(OCT干渉計サンプルアームの)サンプル放射を出力し、干渉させてサンプルアームにおけるサンプルから戻ってくる放射を分析するための手段を備える装置になり得る;
たとえば同等のまたはほぼ同等の強度のビームスプリッタ。そして、モジュールは、2つのビームスプリッタ/コンバイナと、(DCオフセット補償を任意に含んでいてもよい)2つの対応する検出手段と、任意に2つの基準アームと、対応する光学的な(および電気的な)出力/入力とをさらに備えていてもよい。これによって、光モジュールは、単一の光源によって2つのOCT測定を同時に行なうことに好適である。
【0053】
これらの任意の特徴はすべて、コンパクトな光モジュールのパッケージに、およびモジュールハウジング内に、好ましくは共通の台の上に、共通の熱電冷却器と熱的に接触させて組入れられてもよい。
【0054】
本文中の本発明の局面に係る光源および光モジュールについては主にOCTの重要な応用例を参照しながら説明するが、他の用途でも有利に用いることができる。このような他の用途は、たとえばファイバ・ブラッグ質問器などを含む。
【0055】
以下では、図面を参照して本発明の実施例および局面について説明する。図面はすべて概略的であり、一定の比例に応じておらず、同一の参照番号は同一または類似の要素を指す。