特許第5738276号(P5738276)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5738276眼科用レンズの設計の光学特性を評価するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5738276
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】眼科用レンズの設計の光学特性を評価するための方法
(51)【国際特許分類】
   G02C 13/00 20060101AFI20150604BHJP
   G02C 7/06 20060101ALI20150604BHJP
【FI】
   G02C13/00
   G02C7/06
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-507689(P2012-507689)
(86)(22)【出願日】2010年4月22日
(65)【公表番号】特表2012-525599(P2012-525599A)
(43)【公表日】2012年10月22日
(86)【国際出願番号】EP2010055377
(87)【国際公開番号】WO2010124991
(87)【国際公開日】20101104
【審査請求日】2013年4月1日
(31)【優先権主張番号】09305389.0
(32)【優先日】2009年4月30日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507229319
【氏名又は名称】エシロール アンテルナシオナル (コンパニー ジェネラル ドプティック)
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】セシール・プティニョー
(72)【発明者】
【氏名】バンジャマン・ルソー
(72)【発明者】
【氏名】マチュー・ギヨ
(72)【発明者】
【氏名】ポリーヌ・コラス
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・サレル
(72)【発明者】
【氏名】ヴァレリー・パルマンティエ
(72)【発明者】
【氏名】ジル・ガルサン
(72)【発明者】
【氏名】セシール・ピエトリ
【審査官】 藤岡 善行
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/048124(WO,A1)
【文献】 特表2000−508431(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/069006(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 13/00
G02C 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処方およびオプションとして設計詳細の領域にわたって眼科用レンズの設計の少なくとも選択された光学特性を評価する、コンピュータ手段によって実行される方法であって、 a)眼科用レンズが累進屈折力レンズ(PAL)であるという条件で、球面度数(SPH)、円柱度数(CYL)、円柱軸(AXE)、加入度数(ADD)からなるリストにおいて複数の処方パラメータを含む、処方およびオプションとして設計詳細のパラメータセットを選択し、前記処方およびオプションとして設計詳細の領域を定義するために、各選択された処方およびオプションとして設計詳細のパラメータについて処方およびオプションとして設計詳細の範囲を選択するステップと、
b)前記処方およびオプションとして設計詳細の領域内の座標の代表的なサンプルを取得するために前記処方およびオプションとして設計詳細の領域をメッシュし、したがって各座標が前記選択された処方およびオプションとして設計詳細のパラメータの一連の値からなる複数のメッシュ座標をそれらの処方およびオプションとして設計詳細の範囲内で提供するステップと、
c)前記眼科用レンズの設計の前記選択された光学特性の評価基準を提供するステップと、
d)ステップb)の各メッシュ座標について評価基準値を計算するステップと、
e)前記処方およびオプションとして設計詳細領域にわたって前記評価基準値の感覚表現を提供するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記眼科用レンズがPALであって、ステップa)の前記処方およびオプションとして設計詳細のパラメータセットが、眼球−頭部の係数、累進チャネル長、インセット、レンズの前面と背面との間の加入度の配分からなる前記リストの中で選択された設計詳細のパラメータを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記評価基準が、レンズ全体の光学パラメータの関数であり、前記レンズ全体の光学パラメータが、屈折力、非点収差、発生非点収差、非点収差軸、屈折力勾配、非点収差勾配、発生非点収差勾配からなるリストにおいて選択され、前記レンズ全体の光学パラメータが、例えば遠方基準点を通過する遠方視力方向、近方視点を通過する近方視力方向、所与の到達加入度の角度経線を通過する方向、遠方視力領域を通過する方向、近方視力領域を通過する方向、累進領域を通過する方向からなるリストの中で選択される、少なくとも所与の注視方向により決定されることを特徴とする請求項1から2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記評価基準が、レンズ表面パラメータの関数であり、前記レンズ表面パラメータが、球面値、円柱値、球面値勾配、円柱値勾配からなるリストにおいて選択され、前記レンズ表面パラメータが、例えば幾何学的中心、プリズム基準点、遠方基準点、近方基準点、設計基準点、遠方視力ゾーン内の点、近方視力領域内の点、累進領域内の点からなるリストにおいて選択される少なくとも所与の表面点により決定されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記関数が、恒等関数、平均値関数、二乗平均関数、加重平均関数、2つの注視方向間もしくは2つの表面点間のフィールド値、閾値間で前記評価基準が含まれる面積、YESもしくはNOの2値関数、別の設計を有する比較関数、複合関数、エキスパートシステムによって提供される関数、またはその組合せからなるリストの中で選択されることを特徴とする請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記ステップe)の感覚表現が、視覚表現、聴覚表現、嗅覚表現、触覚表現、味覚表現、またはその組合せからなるリストの中で選択されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記視覚表現が、ステップa)の前記処方およびオプションとして設計詳細の領域にわたって、または前記処方およびオプションとして設計詳細の領域のゾーンにわたって、前記評価基準の変化を視覚化することにあることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
f)評価スケールに照会される評価値を取得するように前記感覚表現をマークするステップ、
をさらに含むことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
f)評価スケールに照会される評価値を取得するために前記感覚表現をマークするステップ、をさらに含み、
前記評価スケールがカラーチャートであることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記値が、2Dまたは3D表現により前記処方およびオプションとして設計詳細の領域にわたって視覚化される、請求項1から9のいずれかにより計算された前記評価基準値の前記視覚化のためのグラフィカルインタフェース装置
【請求項11】
眼科用レンズの設計を計算する、または最適化するための方法であって、
所与の眼科用レンズの設計を提供するステップと、
請求項1から9のいずれかによる前記所与の設計を評価するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
前記所与の設計の設計パラメータが、変更された設計を提供するように変更され、前記変更された設計が、前記ステップa)からe)を実現することによって前記変更された設計を評価することによって診断されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記設計パラメータの変更が、前記処方およびオプションとして設計詳細の領域にわたって、または前記設計パラメータの前記領域のサブ領域にわたって、閾値に到達するまで繰り返されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1から9及び11から13のいずれか一項に記載の方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項15】
前記コンピュータに請求項1から9及び11から13のいずれか一項に記載の方法を実行させるプログラム
が記録されたコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して視力改善の分野に関し、より詳細には、眼鏡用レンズの設計の光学特性を評価するための方法に関する。眼科用レンズは、例えば累進レンズ、単焦点レンズであることが可能である。単焦点レンズは、例えば非球面レンズであることが可能である。本発明はまた、眼科用レンズの設計を計算する、もしくは最適化するための方法、および眼鏡用レンズを製造するための方法に関する。さらに、本発明は、本発明の方法を実行するように設定されたソフトウェア、およびグラフィカルインタフェースに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの様々なタイプの視力障害を補正するために、眼鏡用レンズが装着され、広く使用されている。これらには、近視および遠視、乱視などの障害、通常加齢と関連する近距離視力の障害(老視)が含まれる。
【0003】
眼科医または検眼士は、日常的に、球面(SPH)、円柱(CYL)、および円柱軸(AXE)に関して眼鏡着用者の目の屈折異常を補正することによって、着用者の視力を向上させる。着用者が老眼であるとき、近方視力ゾーンの加入度(ADD)もまた処方される。ある特定の場合には、他のデータ、具体的にはプリズムが処方されることも可能である。
【0004】
本明細書では、レンズの設計とは、眼科用製品の特徴を記述するものである。「眼科用製品」という用語は、すべての処方のレンズ系列を指し、レンズ系列のすべてのレンズは共通の機能を有する。
【0005】
本発明の枠組みにおいて、眼鏡用レンズの「設計」は、着用者の球面、円柱、円柱軸、および加入度の値からなる着用者の標準的な処方パラメータによっては直接決定されない、上記レンズの光学系の特徴として理解されなければならない。
【0006】
言い換えれば、「設計」とは、一般的な光学系の光機能を定義することができる、上述の着用者の標準的な処方パラメータを除き、パラメータのセットを示すために、当業者には既知の広く使用される用語であり、各眼科用レンズ製造業者は独自の、具体的には非球面レンズ、および累進屈折力レンズ(PAL)の設計を有する。一例として、PALの「設計」は、老眼の人がすべての距離でよく見えるように能力を回復させ、さらに中心視力、中心外視力、両眼視力などのすべての生理学的視覚機能を最適に考慮し、かつ望ましくない非点収差を最小にするように、累進表面を最適化した結果である。PALの「設計」は、商品化される前に、厳しい臨床試験を通してテストされる。
【0007】
眼科用レンズの製造は、そのレンズの設計の光学性能を絶えず向上させる。
【0008】
現在の動向によれば、設計は、例えば個人専用パラメータなど、いくつかの設計詳細(design particularities)を考慮に入れるのにも好適であることが可能である。
【0009】
数多くのパラメータを考慮に入れなければならないので、所与の処方範囲内の眼科用レンズ設計の結果として生じる光学特性を判断するのは容易ではない。さらに、所与の処方範囲内の様々な眼科用レンズ設計を信頼できる方法で比較することもまた困難である。上記の光学特性の判断または設計の比較は、今日まで、レンズの一部の特性ポイントおよび非常に限られた数の処方データのみが選択され、ポイントごとに行われている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】国際標準ISO 13666、「Ophthalmic Optics − spectacle lenses − vocabulary」参照番号ISO 13666:1998(E/F)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする問題は、少なくとも処方領域にわたって眼科用レンズ設計の光学特性をより良く評価することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的のために、本発明の主題は、次のステップを含む、処方およびオプションとして設計詳細の領域にわたって、眼科用レンズ設計の少なくとも選択された光学特性を評価する方法である:
a)眼科用レンズが累進屈折力レンズ(PAL)であるという条件で、球面度数(SPH)、円柱度数(CYL)、円柱軸(AXE)、加入度数(ADD)からなるリストに複数の処方パラメータを含む、処方およびオプションとして設計詳細のパラメータセットを選択し、処方およびオプションとして設計詳細の領域を定義するために、選択された各処方およびオプションとして設計詳細のパラメータについて、処方およびオプションとして設計詳細の範囲を選択するステップ。
b)処方およびオプションとして設計詳細の領域内の座標の代表サンプルを取得するために、処方およびオプションとして設計詳細の領域をメッシュし、したがって、各座標が、その処方およびオプションとして設計詳細の範囲内の選択された処方およびオプションとして設計詳細のパラメータの一連の値からなる複数のメッシュ座標を提供するステップ。
c)眼科用レンズの設計の選択された光学特性の評価基準を提供するステップ。
d)ステップb)の各メッシュ座標について評価基準値を計算するステップ。
e)処方およびオプションとして設計詳細の領域にわたる評価基準値の感覚表現を提供するステップ。
【0013】
一実施形態によれば、上記の方法は、コンピュータ手段によって実行される。
【0014】
本明細書で使用される用語は、主として国際標準ISO 13666、「Ophthalmic Optics − spectacle lenses − vocabulary」参照番号ISO 13666:1998(E/F)を参照する。
【0015】
本発明の枠内では、次の用語は、本明細書では以下に示す意味を有する:
− 「処方パラメータ」は、例えば目の前に配置するレンズによって個人の視力障害を補正するために眼科医によって決定された、球面度数(SPH、屈折力とも呼ばれる)、円柱度数(CYL、「円柱」とも呼ばれる)、円柱軸(AXE)、加入度数(ADD)、処方されたプリズム(prescribed prism)などの光学特性である。「非点収差」という用語は、振幅値および軸の値で形成されるデータ対を示すために使用される。これは言語の誤用であるが、非点収差の振幅のみを示すために使用されることもある。目の非点収差は、屈折異常が経線によって起こるときに発生する。これは通常、1つまたは複数の屈折表面、最も一般的には円環形状を有する前角膜によるものである。文脈により当業者は、用語がどのように使用されることを意図されているかを理解できる。一般的に言えば、累進屈折力レンズの処方データは、屈折力(SPH)の値、遠方視力点(distance-vision point)における非点収差(CYL)および円柱軸(AXE)の値、ならびに加入度値(ADD)を含む。
− 「設計詳細」は、設計に主要な傾向を与える設計上の特徴であり、例えば、累進チャネル長(progression channel length)、レンズの前面と背面との間の加入度の配分(addition repartition)、近方および/または中間および/または遠方視力ゾーンの大きさなどであり、また「設計詳細」は、前述の設計詳細の個人化、着用者のインセット(inset)、着用者の眼球−頭部の係数(eye-HEAD coefficient)など、着用者のためのレンズ設計を最適化するのに好適な個人化された特性を含む。
− 「光学特性」は、レンズのレンズ全体の光学パラメータもしくはレンズ表面のパラメータ、または上記レンズの複数のレンズ全体の光学パラメータおよび/またはレンズ表面のパラメータの組合せであり、「レンズ全体」という用語は、レンズの全表面、レンズの屈折率および互いと比較した各表面の位置、ならびにオプションとして着用者の目と比較したレンズの位置(すなわち着用状況)によって定義される光学系を指し、「レンズ表面」という用語は、レンズの表面の一方を指す。
− PALに関しては、遠方視力領域は、遠方視力点(「遠方基準点」とも呼ばれる)を囲む累進屈折力レンズの領域であり、この中で、レンズの屈折力および非点収差の局所的光学特性は、遠方視力点におけるものと実質的に同一であり、近方視力領域は、近方視力点(「近方視点」とも呼ばれる)を囲む累進屈折力レンズの領域であり、この中で、レンズの屈折力および非点収差の局所的光学特性は、近方視力点の光学特性と実質的に同一であり、累進屈折力レンズの加入度数(ADD)は、近方視力点レンズの屈折力の値と、遠方視力点の屈折力の値との差である。
− 「処方およびオプションとして設計詳細の範囲」は、所与の処方およびオプションとして設計詳細のパラメータの値の範囲を指す。
− 「処方およびオプションとして設計詳細の領域」は、複数の処方およびオプションとして設計詳細の範囲を指し、それぞれ複数の処方およびオプションとして設計詳細のパラメータ内の処方およびオプションとして設計詳細のパラメータに対して定義される。
【0016】
眼科用レンズ設計の選択される特性を評価する本方法により、信頼できる方法で処方全体およびオプションとして設計詳細の領域にわたって評価基準値の表現を取得することができる。レンズ設計者またはアイケア施術者は、したがって、指定の処方およびオプションとして設計詳細の領域にわたって、所与のレンズ設計の所望の特性を診断する、または様々なレンズ設計を比較することができる。
【0017】
本評価する方法の様々な実施形態によれば、本方法は、結合されることが可能である:
− 眼科用レンズはPALであり、ステップa)の処方パラメータセットはさらに、眼球−頭部の係数、累進チャネル長、インセット、レンズの前面および背面の間の加入度の配分からなるリストにおいて選択される設計詳細パラメータを含む。
− 評価基準は、レンズ全体の光学パラメータの関数であり、上記レンズ全体の光学パラメータは、屈折力、非点収差、発生非点収差(resulting astigmatism)、非点収差軸、屈折力勾配(optical power gradient)、非点収差勾配(astigmatism gradient)、発生非点収差勾配(resulting astigmatism gradient)からなるリストにおいて選択され、上記レンズ全体の光学パラメータは、例えば、距離基準点を通過する遠方視力方向、近方視点を通過する近方視力方向、所与の到達加入度値について経度線を通過する方向、遠方視力領域を通過する方向、近方視力領域を通過する方向、累進領域を通過する方向からなるリストにおいて選択される、少なくとも所与の注視方向により決定される。
− 評価基準は、レンズ表面パラメータの関数であり、上記レンズ表面パラメータは、球面値、円柱値、球面値勾配、円柱値勾配からなるリストにおいて選択され、上記レンズ表面パラメータは、例えば、幾何学的中心、プリズム基準点(PRP)、距離基準点、近方視点、設計基準点、遠方視力ゾーン内の点、近方視力領域内の点、累進領域内の点からなるリストにおいて選択される、少なくとも所与の表面ポイントにより決定される。
− 前述の関数は、恒等関数、二乗平均関数、加重平均関数、2つの注視方向間もしくは2つの表面ポイント間のフィールド値、閾値間に評価パラメータが含まれる面積、YESもしくはNOの2値関数、別の設計との比較関数、複素数学関数、領域内の勾配正負変換(gradient sign change)の数、エキスパートシステムによって提供される関数、またはその組合せからなるリストにおいて選択され、エキスパートシステムは、人工知能問題もしくは他のレンズ設計の特性を理解して定義される統計的計算を解くために神経回路網を使用するソフトウェアであることが可能である。
− ステップe)の感覚表現は、視覚表現、聴覚表現、嗅覚表現、触覚表現、味覚表現、またはその組合せからなるリストにおいて選択され、一実施形態によれば、視覚表現は、ステップa)の処方およびオプションとして設計詳細の領域にわたって、または上記処方およびオプションとして設計詳細の領域のゾーンにわたって、評価基準の変化を視覚化することにある。
− 評価する方法はさらに、評価スケールに照会される評価値を取得するために、感覚表現をマークするステップf)を含み、一実施形態によれば、評価スケールはカラーチャートである。
【0018】
また本発明は、前述の評価方法により評価基準値を視覚化するためのグラフィカルインタフェースに関し、上記値は、2Dまたは3D表現により、処方およびオプションとして設計詳細の領域にわたって視覚化される。
【0019】
本発明はまた、以下のステップを含む、眼科用レンズの設計を計算するまたは最適化するための方法に関する:
− 所与の眼科用レンズの設計を提供するステップ。
− 前述の評価の方法により所与の設計を評価するステップ。
【0020】
眼科用レンズの設計を計算するまたは最適化するための上記の方法の様々な実施形態によれば、
− 所与の設計の設計パラメータは、変更された設計を提供するように変更され、変更された設計は診断され、例えば所与の設計と比較される、および/または例えば前述の評価の方法による評価方法によって診断される。
− 設計パラメータの変更は、処方およびオプションとして設計詳細の領域にわたって、または上記設計パラメータの上記領域のサブ領域にわたって、閾値に到達するまで繰り返される。
【0021】
本発明はまた、次のステップを含む所与の処方により眼科用レンズを製造する方法に関する:
− レンズブランク(lens blank)を提供するステップ。
− 計算された、または最適化された眼下用レンズの設計および所与の処方に合うレンズを取得するために、レンズブランクの少なくとも表面を機械加工する。
【0022】
レンズブランクは、計算された、または最適化された設計に適合する前面を有する半完成製品とすることが可能であり、この場合、背面のみが所与の処方に適合するように機械加工される。
【0023】
本発明はまた、プロセッサにアクセスすることができ、プロセッサによって実行されるとき、前述の方法の様々な実施形態の諸ステップのうちの少なくとも1つをプロセッサに実行させる、1つまたは複数の格納された一連の命令を含むコンピュータプログラム製品に関する。
【0024】
本発明はまた、前述のコンピュータプログラム製品の1つまたは複数の一連の命令を実行するコンピュータ可読媒体に関する。
【0025】
特に別段の指定がなければ、次の記述から明らかなように、明細書の記述全体を通して、「演算する」、「計算する」、「生成する」などの用語を使用することは、コンピュータもしくはコンピュータシステム、または同様の電子計算装置の動作および/または処理のことを指し、これらはコンピュータシステムのレジスタおよび/またはメモリ内で、電子のような物理的な量として表されるデータを操作および/または変換して、コンピュータシステムのメモリ、レジスタ、または他のこのような情報記憶装置、転送装置、もしくは表示装置内の物理量として同様に表される他のデータに変換する。
【0026】
本発明の諸実施形態は、本明細書では演算を行う装置を含むことができる。この装置は、特に所望の目的のために構築されることが可能であり、あるいはこの装置は、汎用コンピュータ、またはコンピュータに格納されたコンピュータプログラムによって選択的に作動されるもしくは再構成されるデジタル信号プロセッサ(「DSP」)を含むことができる。このようなコンピュータプログラムは、フロッピーディスク(登録商標)、光ディスク、DC−ROM、磁気光ディスク、読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、電気的プログラマブル読出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能かつプログラマブル読出し専用メモリ(EEPROM)、磁気もしくは光カード、または電子命令を格納するのに好適であって、コンピュータシステムのバスに結合可能である他のタイプの媒体のような、これらに限定ではないが、コンピュータ可読記憶媒体に格納されることが可能である。
【0027】
本明細書に提示する処理および表示は、本質的にいかなる特定のコンピュータまたは他の装置にも関連しない。本明細書における教示に従ったプログラムを用いて様々な汎用目的のシステムが使用されることが可能であり、またはより特化された装置を構築して所望の方法を行うことは便利であることがわかる。様々なこれらのシステムの所望の構造は、以下の説明から明らかになるであろう。さらに、本発明の諸実施形態は、特定のプログラミング言語を参照して記述されない。様々なプログラミング言語が使用されて本明細書に記載する発明の教示を実行することが可能であることは理解されるであろう。
【0028】
本発明の特徴、ならびに本発明自体は、その構造も、その動作も、添付の説明と併用される、添付の非限定の図面および例から最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の枠内で使用される特性ポイントの例を含む累進屈折力レンズの度数マップの一例を示す図である。
図2】本発明の枠内で使用される特性ゾーンの例を含む累進屈折力レンズの度数マップを示す図である。
図3】本発明による評価基準を表す一例を示す図である。
図4】本発明による評価基準を表す一例を示す図である。
図5】本発明による評価基準を表す一例を示す図である。
図6】本発明による評価基準を表す一例を示す図である。
図7】本発明による方法のステップを説明する概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1および図2は、累進屈折力レンズ10の度数等高線図のマップであり、従来、度数等曲線(iso-curves)は、2つの注視方向の角度、すなわちアルファ(上下角度)とベータ(左右角度)により引かれる。2本の線の間の度数差は、0.25ジオプタである。線11は、上から下への注視の軌道に対応する「角度経線(angular meridian Line)」に対応する。
【0031】
本発明によりレンズ表面パラメータが評価される特性ポイントの例が図1に示されており、ポイントAは基準点であり、ポイントBはマウンティングクロス(mounting cross)であり、ポイントCは近方視点である。
【0032】
2つのポイント間のフィールド値を評価するために選択されることが可能であるポイントの例が図2に示されている。ポイントDおよびEは、同じアルファ値で遠方視力ゾーンの線12上に位置している。ポイントDおよびEは、角度経線11と線12を交差するポイントにおける度数値と比べて+0.25ジオプタに相当する同じ度数値で、それぞれレンズの側頭部側と鼻側に位置している。DとEの間の距離は、遠方視力領域において0.25ジオプタの視力フィールドを定義する。
【0033】
ポイントF、G、H、Iは、同じアルファ値で、線13に沿って指定の加入度値に到達する角度経線11の方向に対して横方向に位置するゾーンに位置している。ポイントFおよびG、HおよびIは、それぞれレンズの側頭部側、鼻側に位置している。ポイントGおよびHは、角度経線11および線13を交差するポイントにおける度数値に比べて+0.25ジオプタに位置しているが、ポイントFおよびIは、同じポイントに比べて+0.50ジオプタに位置している。したがってこの領域のフィールドが定義される。
【0034】
ポイントJ、K、L、Mは、同じアルファ値で、線14に沿った近方視力ゾーンに対して横方向に位置するゾーンに位置している。点JおよびK、LおよびMは、それぞれレンズの側頭部側、鼻側に位置している。ポイントKおよびLは、角度経線11および線13と交わるポイントにおける度数値と比べて+0.25ジオプタに位置しているが、ポイントJおよびMは、同じポイントと比べて+0.50ジオプタに位置している。したがって累進部領域のフィールドが定義される。
【0035】
図3から6は、累進屈折力レンズ設計の評価値の提示に関する。
【0036】
頻繁に使用される実施形態によれば、レンズ設計は、限定数のベースカーブシリーズ(base-curves series)によるレンズ製造によって実行される。選ばれた設計を有する上記ベースカーブにより、半完成レンズブランクが製造される。各ベースカーブは、その曲率によって特徴づけられる。光学面の「曲率」は、ゾーンまたは上記表面の特定のポイントにおける曲率である。表面が球面である場合、曲率は一定であって、どこでも決定可能である。表面が単焦点非球面である場合、その曲率は通常、光心において測定または決定される。表面が累進屈折力表面である場合、その曲率は通常、遠方視力点で測定または決定される。上述のポイントは好ましいが、本発明による曲率が測定または決定可能である限定のポイントではない。
【0037】
ベースカーブは、通常、1.53の標準屈折率を基準として表現されるが、他の屈折率が基準として使用され、ベースカーブを表現することも可能である。
【0038】
半完成レンズブランクの前面は、通常、最終的なレンズの最終的な前面となるものとし、他方の面は、最終的なレンズの光学系が着用者の眼科処方に適合するように機械加工される。前面の軽微な機械加工を行う場合があるが、その曲率を変更することはない。
【0039】
半完成レンズブランクは、通常、射出成形によって、または鋳型に流し込むことによって取得される。半完成レンズブランクはまた、ブランクを機械加工することによって製造されることも可能である。
【0040】
製造業者は、一般に、それぞれが独自のベースカーブを有する一連の半完成レンズブランクを製造する。この「ベースカーブシリーズ」は、前面の曲率が徐々に増加する半完成レンズブランクのシステムである。
【0041】
ベースカーブシリーズの半完成レンズブランクの前面は、開始点として機能し、ここから着用者の処方(または焦点度(focal power))により背面の光学面が計算され、最終的なレンズが製造される。
【0042】
「ベースカーブシリーズ」の半完成レンズブランクの前面は、球面、非球面、累進屈折面であることが可能である。
【0043】
一例については、累進屈折力レンズ(PAL)は、球面または非球面の前面を有する半完成レンズブランクによって製造されることが可能であり、累進屈折面は、機械加工されて最終的なレンズの裏面を形成する。累進屈折力レンズはまた、累進屈折面を有する半完成レンズブランクによって製造されることも可能であり、ブランクの裏面は、球面または円環面を形成するように機械加工される。累進屈折面を有する半完成レンズブランクによってPALを製造し、第2の累進屈折面を取得して「dual add(二重屈折)」PALを提供するようにレンズブランクの裏面を機械加工することも可能である。
【0044】
シリーズになった各ベースカーブは、従来、製造業者によって指定されるように、処方のレンジを作り出すように使用される。製造業者は、シリーズになった各ベースカーブについて推奨される処方レンジを提供するベースカーブ選択チャートを使用する。選択チャートは、乱視視力を矯正するための球面度数SPHおよび円柱度数CYLの関数として、所与の処方により選ばれるべき1つのベースカーブを示す。図3から6は、遠方部分と近方部分との間で度数が連続的に変化する、累進屈折力レンズ(PAL)に関する選択チャートに基づいた表示を示す。同じタイプの選択チャートは、例えば単焦点レンズ(球面および/または円環、非球面レンズ)、二焦点レンズ、PALのような、あらゆる種類の眼科用レンズに広く使用される。
【0045】
図3から6の選択チャートは、6つのベースカーブを含み、1.53の屈折率に対して、様々なベースカーブの曲率は、ゾーン1では1.75ジオプタ、ゾーン2では2.75ジオプタ、ゾーン3では3.75ジオプタ、ゾーン4では5.25ジオプタ、ゾーン5では6.6ジオプタ、ゾーン6では8.0ジオプタである。
【0046】
図3から6は、評価基準の2つの設計値間の様々な違いを表し、2つの設計は、球面(SPH)および円柱(CYL)により同じ選択チャートを有する。
【0047】
選ばれた処方パラメータにより同じ選択チャートを持たない2つの設計を比較し、比較を処理しやすい共通ゾーンを定めることもまた可能である。
【0048】
図3は、0に等しい円柱軸および1.50ジオプタに等しい加入度について遠方視力点(図1のA)で測定された発生非点収差の幅からなる、評価基準例の2つのレンズ設計値間の違いの変化を表す。変化スケール30は、上記値の変化を濃度レベルで表す。上記変化スケールは、カラーチャートとすることもできる。遠方視力点における発生非点収差の差は、例えば、円柱値が2ジオプタ未満であるときの、8ジオプタベースカーブ領域(ゾーン6)については、正値を有することがわかる。一実施形態によれば、レンズ設計者は、2つの設計間の遠方点における発生非点収差の差が処方領域全体にわたって均一であることを望む。したがってレンズ設計者は、新しい設計の計算を行って、処方領域全体にわたって均一に負値を取得するように、2ジオプタ未満の円柱値、およびゾーン6に労力を集中させることになる。
【0049】
図4は、円柱軸0および1.50ジオプタの加入度について、設計シンメトリ(design symmetry)に関する別の評価基準例の2つのレンズ設計値間の差の変化を表す。上記基準は、次のように計算される:遠方視力点(図2の線12上の点DおよびE)のアルファ位置において、+0.25ジオプタの変化に対して2つの等非点収差の半分の幅の間の差を計算する。結果は、スケール40により半分の幅の値の差のパーセンテージで提示される。ついで、2つの設計間で等非点収差の半分の幅を比較し、2つの設計間で最良の「シンメトリ」を見積もることができる。上記最適なシンメトリは、ゾーンごとに異なる可能性がある。一実施形態によれば、レンズ設計者は、最も均整のとれた設計を判断し、選択することができる。上記選択は、領域全体についての結果として生じる設計により、レンズの鼻部分と側頭部分との間のシンメトリを設計者が最適化するのに役立つ。
【0050】
図5は、角度経線11の方向に対して横方向に位置するゾーンのポイントにおける等度数値について度数幅に関する別の評価基準例の2つのレンズ設計値間の差の変化を表し、ゼロの円柱軸および1.5ジオプタの加入度について、0.50ジオプタの変化の同じアルファ値(図2の線13上のポイントFおよびI)では、特定の加入度値が、線13に沿って広がる。結果は、スケール50により提示される。
【0051】
図6は、円柱軸が90°、加入度が2.5ジオプタである、0.25ジオプタの変化(図2の線12上の点DおよびE)の遠方視力領域に対して横方向に位置するゾーンの点における等度数値についての度数幅に関する別の評価基準例の2つのレンズ設計値間の差の変化を表す。ゾーン65は、特に興味深い。上記評価基準の差は、1.75ジオプタのベースカーブに対応するゾーン1の処方に非常に重要であることがわかる。一実施形態によれば、レンズ設計は、この情報を使用して、処方範囲全体にわたって点DおよびEの間の等度数値について、度数幅の比較的均一な値を得るために、上記ゾーンの第2の設計を最適化することになる。
【0052】
図7は、本発明による方法のステップを説明する概略ブロック図を示し、入力データは、選択された処方およびオプションとして設計詳細のパラメータにより、第1の設計D1の選択、ステップ101、第2の設計D2の選択、ステップ102、分析タイプA_Sの選択、ステップ103である。他の入力データは、第1の設計についてのカスタマイズ基準C1、ステップ107、および第2の設計についてのカスタマイズ基準C2、ステップ109の選択である。ステップ111、113において、ラップ(wrap)、装着時前傾角(pantoscopic angle)などの着用条件W1、W2もまた、各設計に取り入れられることが可能である。
【0053】
第1および第2の設計に好適な選択チャートD1 D2_SCをステップ105において定義するために、第1および第2の設計のそれぞれ選択チャートD1_SC、ステップ103、およびD2_SC、ステップ104が考慮に入れられる。
【0054】
処方およびオプションとして選択された処方の設計詳細領域およびオプションとして設計詳細パラメータの設計詳細領域は、処方およびオプションとして設計詳細領域内の座標のサンプルを表すものを取得するように定義され、メッシュされる。評価基準の計算は、ステップ106、CALCにおいて行われ、カスタマイズ基準C1、C2によりレンズL1、L2の光学特性の計算、ならびに第1および第2の設計のそれぞれの装着条件W1、W2の計算が行われるステップ108、110と、各設計について評価基準A−D1、A−D2が計算され、比較関数COMPにより結合されるステップ115とを含む。上記計算は、処方およびオプションとして設計詳細の領域のメッシュ座標について行われる。
【0055】
評価スケールSCAは、結果の視覚化を最適化するように、ステップ116において決定される。上記スケールは、例えば、COMPの最大値と最小値(A−D1、A−D2)の間の範囲を含むように定義されることが可能である。結果は、その後例えば選択チャートD1 D2_SCにより、または上記選択チャートのゾーンにより、ステップ117、DISPにおいて表示され、COMPの値(A−D1、A−D2)は、したがって例えばカラーチャートを使用して視覚化される。ユーザは、その後、視覚化された情報を容易に考慮に入れて、2つのレンズ設計を比較することができ、例えば、上記情報を使用して2つの設計のうちの1つを最適化することもできる。
【0056】
本発明について、全体的な発明の概念を限定することなく、諸実施形態を用いて説明したが、詳細には数多くの評価基準が選択可能であり、あらゆる種類の眼鏡用レンズの数多くの特徴が、本発明により評価可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 ゾーン
2 ゾーン
3 ゾーン
4 ゾーン
5 ゾーン
6 ゾーン
10 累進屈折力レンズ
11 角度経線
12 線
13 線
14 線
40 スケール
50 スケール
A−D1 評価基準
A−D2 評価基準
A_S 分析タイプ
C1 第1の設計についてのカスタマイズ基準
C2 第2の設計についてのカスタマイズ基準
COMP 比較関数
D1 第1の設計
D2 第2の設計
D1 D2_SC 第1および第2の設計に好適な選択チャート
D1_SC 第1の設計の選択チャート
D2_SC 第2の設計の選択チャート
L1 レンズ
L2 レンズ
SCA 評価スケール
W1 着用条件
W2 着用条件
図3
図4
図5
図6
図7
図1
図2