特許第5738289号(P5738289)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5738289ハロゲンシランを不均化するため及び異種金属を除去するための方法及びアミノ官能性樹脂の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5738289
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】ハロゲンシランを不均化するため及び異種金属を除去するための方法及びアミノ官能性樹脂の使用
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/107 20060101AFI20150604BHJP
【FI】
   C01B33/107 B
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-519943(P2012-519943)
(86)(22)【出願日】2010年5月18日
(65)【公表番号】特表2012-532828(P2012-532828A)
(43)【公表日】2012年12月20日
(86)【国際出願番号】EP2010056771
(87)【国際公開番号】WO2011006697
(87)【国際公開日】20110120
【審査請求日】2012年7月12日
(31)【優先権主張番号】102009027730.7
(32)【優先日】2009年7月15日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501073862
【氏名又は名称】エボニック デグサ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100112793
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳大
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100128679
【弁理士】
【氏名又は名称】星 公弘
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100156812
【弁理士】
【氏名又は名称】篠 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100167852
【弁理士】
【氏名又は名称】宮城 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】エッケハルト ミュー
(72)【発明者】
【氏名】ハートヴィヒ ラウレーダー
(72)【発明者】
【氏名】ヤロスラフ モンキーヴィッツ
(72)【発明者】
【氏名】ラインホルト ショアク
【審査官】 森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭50−119798(JP,A)
【文献】 特開昭63−303807(JP,A)
【文献】 特表2011−500489(JP,A)
【文献】 特開平03−141113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/00 − 33/193
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のハロゲンシランを不均化し、かつ少なくとも1種のハロゲンシラン及び得られた少なくとも1種のシランの異種金属及び/又は異種金属を含有する化合物の含量を低下させる方法であって、
・一般式I
nSiClm (I)
[式中、n及びmは整数であり、かつn=1、2又は3であり、かつ
m=1、2又は3であり、かつn+m=4である]で示される少なくとも1種のハロゲンシランを、
・粒状の有機アミノ官能性樹脂と接触させ、かつ一般式II
aSiClb (II)
[式中、a及びbは整数であり、かつa=0、2、3又は4であり、かつb=0、1、2又は4であり、ここでa+b=4であり、かつ式Iは式IIと同じでない]で示される少なくとも2種のシランを、
・取得し、前記シラン中で異種金属及び/又は異種金属を含有する化合物の含量が式Iのハロゲンシランに比べて低下されており、
・前記樹脂中の水又は有機溶剤の含量がそれぞれ、前記樹脂の全質量を基準として2.5質量%未満であり、かつ前記樹脂が、ジアルキルアミノ官能化又はジアルキルアミノメチレン官能化ジビニルベンゼン−スチレンコポリマー又はトリアルキルアンモニウム官能化又はトリアルキルアンモニウムメチレン官能化ジビニルベンゼン−スチレンコポリマーを含み、かつ
・異種金属及び/又は異種金属を含有する化合物が、ホウ素及び/又は鉄を含む、
少なくとも1種のハロゲンシランを不均化し、かつ少なくとも1種のハロゲンシラン及び得られる少なくとも1種のシランの異種金属及び/又は異種金属を含有する化合物の含量を低下させる方法。
【請求項2】
n=1及びm=3である式Iのハロゲンシランが、トリクロロシランである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
n=1及びm=3である式Iのハロゲンシランを、トリクロロシラン含有部分流中で前記樹脂と接触させる、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1種のハロゲンシランを不均化するため及びこれらの異種金属及び/又は異種金属を含有する化合物の含量を低下させるための前記樹脂を、
・(i)トリクロロシランと接触させ、かつモノシラン、モノクロロシラン、ジクロロシラン及びテトラクロロシラン又は前記の化合物の少なくとも2種を含有する混合物を取得するか、又は
・(ii)ジクロロシランと接触させ、かつモノシラン、モノクロロシラン、トリクロロシラン及び四塩化ケイ素又は前記の化合物の少なくとも2種の混合物を取得し、かつ(i)又は(ii)において接触した後に異種金属又は異種金属を含有する化合物の含量が低下されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
請求項1の定義による、式IIのシランが、モノシランであり、このモノシランを前記樹脂との接触後に蒸留し、かつ超高純度シリコンに熱分解する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種のハロゲンシランを、この少なくとも1種のハロゲンシラン及び得られた少なくとも1種のシランの一つの処理工程において異種金属及び/又は異種金属を含有する化合物の含量を同時に低下させながら、不均化する方法に関するものであり、前記方法において、一般式I HnSiClm (I)[式中、n及びmは整数であり、かつn=1、2又は3及びm=1、2又は3及びn+m=4である]で示される少なくとも1種のハロゲンシランが、粒状の有機アミノ官能性樹脂と接触され、かつ一般式II HaSiClb (II)[式中、a及びbは整数であり、かつa=0、2、3又は4及びb=0、1、2又は4であり、ここでa+b=4である]で示される少なくとも1種のシランが1つの工程で取得され、かつ前記シラン中の異種金属及び/又は異種金属を含有する化合物の含量が式Iのハロゲンシランに比べて低下されている。本発明の対象は、さらに、ハロゲンシランを不均化するため及びモノシランの製造方法における異種金属又は異種金属を含有する化合物の吸着剤としての、この樹脂の使用に関する。
【0002】
半導体産業及びソーラー産業において、高純度及び最も高純度の、ケイ素化合物、Si−Hを有するケイ素化合物、例えばジクロロシラン又はシラン/モノシランが必要とされる。マイクロエレクトロニクスにおいて使用される、例えばエピタキシーを用いる高純度シリコンの製造用のケイ素化合物、又は窒化ケイ素(SiN)、酸化ケイ素(SiO)、オキシ窒化ケイ素(SiON)、オキシ炭化ケイ素(SiOC)又は炭化ケイ素(SiC)も、それらの純度への特に高い要求を満たさなければならない。これは、特にこれらの材料の薄い層の製造の場合にあてはまる。チップ製造において、金属不純物でのケイ素化合物の汚染は、エピタキシャル層、例えばエピタキシャルシリコン層の望ましくないドーピングをまねく。
【0003】
例えば、四塩化ケイ素(SiCl4)はとりわけ、光導波路の製造に使用される。これらの用途のためには、極めて高い純度のSiCl4が必要とされる。特に、その際金属不純物及び/又は金属をベースとする不純物は、検出限界の範囲内又は数μg/kg(=ppb)の量でのみ含まれている場合ですら、決定的に不利である。ハロゲンシラン中の金属不純物は、減衰値を高め、ひいては信号伝達を減少させることによって、光導波路の減衰挙動に不利な影響を及ぼす。
【0004】
そのうえ、モノシラン製造用の高純度HSiCl3又は超高純度シリコンへの熱分解用のモノシランは、太陽電池級シリコン又は半導体シリコンの製造の際の重要な供給原料である。一般的に、高純度のハロゲンシランは、エレクトロニクス、半導体産業の分野において並びに製薬産業において需要のある出発化合物である。
【0005】
水素を有するクロロシラン又はモノシランの製造は、より高クロロシランを、化学平衡をより迅速に調節するための不均化触媒の存在で不均化することにより行われる。例えば、モノシラン(SiH4)、モノクロロシラン(ClSiH3)及びまたジクロロシラン(DCS、H2SiCl2)は、トリクロロシラン(TCS、HSiCl3)から、連産品である四塩化ケイ素(STC、SiCl4)の形成下に製造される。相応する方法及びアミン官能化された無機担持されかつオルガノポリシロキサン不均化触媒は、DE 3711444 C2及びDE 3925357 C1に開示されている。
【0006】
シリコンからの例えばテトラクロロシラン又はトリクロロシランの製造方法によって制約されて、シリコン中に存在している不純物はたいてい同様に塩素化され、かつ一部は一緒に後続の合成工程へ連行される。特に塩素化された金属不純物、特に困難に分離可能な溶解された化合物は、エレクトロニクスの分野における構成部品の製造の際に不利に作用する。後続の不均化の前又は後での金属及び金属に含められる半金属のほぼ完全な除去は、繁雑であり、かつ高価である。
【0007】
ケイ素化合物から、ホウ素を含有する不純物を、CH3CNを用いてより高沸点のホウ素付加物の錯体の形成下に分離することはUS 2812235に開示されている。前記付加物の分離は、費用のかかる別の処理工程、通例、塔蒸留、例えば精留の原因となる。選択的に、前記分離は、吸着剤上での吸着によっても行われることができ、これらは引き続き機械的に、例えばろ過を用いて又は蒸留により分離されなければならない。知られた吸着剤は、活性炭、シリカ、例えば熱分解シリカ、又はケイ酸塩、例えばモンモリロナイト、並びにゼオライト、例えばWessalith F20、及び有機樹脂、例えばAmberlite XAD4である。
【0008】
DE 28 52 598には、まず最初にカチオン樹脂、及び次にアニオン樹脂及び第三工程において活性炭の使用下での繁雑な三段階の精製方法が開示されている。
【0009】
水素を含有するシラン又はクロロシランを高純度で提供する、経済的でより単純な方法を開発するという課題が本発明の基礎となっていた。さらに、前記方法の使用をより効率的にするという課題があった。
【0010】
前記課題は、特許請求の範囲の記載に相応して解決され、好ましい実施態様は、従属請求項に並びに詳細には明細書に説明されている。
【0011】
意外にも、式Iの少なくとも1種の使用されるハロゲンシランを、粒状の、特に純粋に有機の、アミノ官能性樹脂、好ましくはジアルキルアミノ官能化又はジアルキルアミノメチレン官能化もしくはトリアルキルアンモニウム官能化又はトリアルキルアンモニウムメチレン官能化ジビニルベンゼン−スチレンコポリマーと接触させることにより、一般式IIの少なくとも1種のシラン及び/又はまた式IIのハロゲンシランが取得され、前記シラン中で異種金属及び/又は異種金属を含有する化合物の含量が式Iの使用されるハロゲンシランに比べて明らかに低下されていることが見出された。それゆえ、ジアルキルアミノ官能化又はジアルキルアミノメチレン官能化もしくはトリアルキルアンモニウム官能化又はトリアルキルアンモニウムメチレン官能化ジビニルベンゼン−スチレンコポリマーが、式Iの使用されるハロゲンシランから、特にトリクロロシラン含有ハロゲンシランから、式IIの精製されるシランを取得するために、不均化触媒として並びに同時に吸着剤として唯一の処理工程において使用されることができることが意外にも見出された。精製される好ましい不均化生成物は、ジクロロシラン及び特に好ましくはモノシランである。使用されるアミノ官能化樹脂は、吸着剤及び触媒として作用する。前記樹脂は、本発明によれば、本質的には無水でかつ有機溶剤不含で本方法もしくは本使用へ装入される。
【0012】
本発明の対象は、それゆえ、少なくとも1種のハロゲンシラン;及び場合によりハロゲンシランを含有する混合物を;この少なくとも1種のハロゲンシランの異種金属及び/又は異種金属を含有する化合物の含量を同時に低下させながら、かつ少なくとも1種のシランを維持しながら、不均化する方法であり、
・前記方法において、一般式I
nSiClm (I)
[式中、n及びmは整数であり、かつn=1、2又は3及びm=1、2又は3であるが、ただしn+m=4を条件とし、好ましくはn=1及びm=3(トリクロロシラン)である;その際に好ましくはこのハロゲンシランは、本方法へ連続的に又は不連続に計量供給され、及び/又は還流下に導入される]で示される少なくとも1種のハロゲンシランを;
・粒状で、有機の;特に純粋に有機の;アミノ官能性樹脂と接触させ、かつ一般式II
aSiClb (II)
[式中、a及びbが整数であり、かつa=0、2、3又は4及びb=0、1、2又は4ここでa+b=4であり、好ましくはx=0、2又は4及びy=4、2又は0であり;かつ特に、式Iのハロゲンシランは、式IIのシランと同じではない]で示される少なくとも1種のシラン、好ましくは式IIの2種のシラン又は式IIの少なくとも1種のシランを含有する混合物が
・取得され、前記シラン中で異種金属及び/又は異種金属を含有する化合物の含量が、式Iのハロゲンシランに比べて低下されている。本発明によれば、ハロゲンシランの不均化及び精製されるシラン、ハロゲンシラン又はこれらを含有する混合物の取得は、唯一の処理工程において、特にトリクロロシラン(n=1、m=3)及びトリクロロシランを含有する部分流からモノシラン(a=4)及び/又はジクロロシラン(a=2、b=2)を製造するための反応蒸留又は反応精留中に行われる。
【0013】
本発明の対象は、それゆえ式Iのハロゲンシランを、式Iのシランを維持しながら不均化する方法であり、その際にこの式Iのシランは、式IIの使用されるハロゲンシランとは同じではなく、かつ特に前記樹脂と接触することで不均化され、かつ同時に異種金属及び/又は異種金属を含有する化合物の含量だけが低下される。
【0014】
好ましくは、前記方法は、トリクロロシランが、不連続に又は連続的に前記方法に供給され、かつ同時にトリクロロシラン含有部分流中で、前記樹脂と接触されるように実施される。トリクロロシラン含有部分流は、反応蒸留又は反応精留により生じうる。
【0015】
反応蒸留は、1つの装置、特に1つの塔中で及び場合により前記塔に組み込まれる1つの側部反応器中での反応及び蒸留による分離の組合せにより特徴付けられている。各空間要素(Raumelement)中のそれぞれ最も低沸点の化合物の連続な蒸留による除去により、常に、平衡状態と、より低沸点の化合物、例えばモノシランの実際の含量との間の最適な勾配が維持されるので、最大反応速度が生じる。
【0016】
特に、無水及び無溶剤の樹脂は、式Iのハロゲンシランの不均化及び精製に適しているので、式IIのシラン、特にモノシランの蒸留による分離後に、さらなる精製工程、例えば活性炭との接触はもはや不必要である。取得された式Iのシランは直接、好ましくはソーラー産業及びエレクトロニクス産業において使用される超高純度シリコンに熱分解されることができる。同様に、こうして得られた四塩化ケイ素は直接、光導波路の製造用のSiO2の製造に使用されることができる。
【0017】
本発明による方法及びまた本発明による使用にとっては、前記樹脂が本質的には無水でかつ有機溶剤不含であることがかなり本質的である。好ましくは、前記樹脂、例えばAmberlyst(登録商標) A21又はA26OHは、既に無水及び無溶剤で、保護ガス雰囲気下、例えば窒素、アルゴン下に、本方法へ及び場合により本方法を実施するための装置中へ導入される。これは、これまで大工業的に実施可能でないとみなされていた。故に、技術水準において、触媒又は吸着剤は、使用される設備中ではじめて有機溶剤で洗浄されるか、又は有機溶剤中で設備中へ移され、引き続き有機溶剤が除去される。好ましくは、前記樹脂と、他の吸着剤又は不均化触媒との混合物も、異種金属、例えば鉄、アルミニウム及びまた半金属、例えばホウ素の含量の最適な低下を達成するために使用されることができる。
【0018】
定義によれば、樹脂は、水又は有機溶剤の含量がそれぞれ、前記樹脂の全質量を基準として2.5質量%未満ないし例えば0.0001質量%である、特に1.5質量%未満、好ましくは1.0質量%未満、より好ましくは0.5質量%未満、特に好ましくは0.3質量%未満、より良くは0.1質量%未満又は理想的には0.01質量%未満ないし検出限界までである、例えば0.0001質量%までである場合に、本質的に無水及び有機溶剤不含であるとみなされる。
【0019】
その際に、異種金属含量及び/又は異種金属を含有する化合物の含量 − 通例、蒸留により劣悪に分離されうるかもしくはさらに分離されることができない異種金属又は異種金属を含有する化合物の残留含量である − が特に、互いに独立して、それぞれ、100μg/kg未満、特に75μg/kg未満、好ましくは25μg/kg未満、より好ましくは15μg/kg未満、特に好ましくは10μg/kg未満の範囲内の含量に減少されることができることが特に有利である。異種金属含量の低下の程度は、樹脂対ハロゲンシラン及び/又はシランの比及び接触時間によっても決定されている。当業者は、どのようにして最適な処理条件を求めるべきかを知っている。
【0020】
本発明により使用される純粋に有機のアミノ官能性樹脂は、不均化に、及び同時にハロゲンシラン及び/又は式IIの形成されたシラン中に溶解するか又は完全にその中に溶解されており、蒸留により劣悪に分離可能な異種金属を含有する化合物の吸着による分離に、卓越して適している。異種金属を含有する化合物の吸着による分離は、おそらく異種金属を含有する化合物及び前記樹脂の錯化により行われる。粒状で存在している異種金属は、見たところより早く、粒状で充填された樹脂により機械的に保持される。
【0021】
異種金属又は異種金属を含有する化合物の測定は通例、当業者にそれ自体として知られているような定量分析方法により、例えば原子吸光分析法(AAS)又は測光法を用いて、特に誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)並びに誘導結合プラズマ光学発光分光分析法(ICP−OES)により行われることができる − これらは幾つかの可能性を挙げたにすぎない。吸着剤は、本質的に無水及び無溶剤である。カール・フィッシャー(DIN 51 777)を通じて、吸着剤中の含水量は測定されることができ、かつ溶剤含量は、例えばTGA−MS、TGA−IR又は当業者に知られた他の分析方法を用いて検出可能である。アルコール、例えばメタノール、エタノール、又はアセトン及び芳香族溶剤、例えばトルエンが溶剤とみなされる。
【0022】
異種金属及び/又は異種金属を含有する化合物とみなされるのは、金属又は半金属がシリコンに相当しないものである。少なくとも1種の異種金属及び/又は異種金属を含有する化合物の吸着は、ハロゲンシラン及び/又はシランから特に選択的に行われ、その際、前記吸着は溶液中並びに気相中で行われることができる。異種金属又は異種金属を含有する化合物は、半金属又は半金属を含有する化合物、例えばホウ素及び三塩化ホウ素であるとも理解される。
【0023】
特に、低下されるべき異種金属及び/又は異種金属を含有する化合物は、金属ハロゲン化物、金属水素ハロゲン化物及び/又は金属水素化物並びにこれらの化合物の混合物である。金属ハロゲン化物は、極めて良好な結果を伴って除去されることができる。これらの例は、三塩化アルミニウム又はまた塩化鉄(III)並びに連続的に進行するプロセスに由来しうる連行される粒状金属でありうる。
【0024】
好ましくは、ホウ素、アルミニウム、カリウム、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム及び/又は鉄の含量は減少されることができ、特に好ましくは、ハロゲンシラン及び/又はシラン中のホウ素及び鉄の含量が明らかに減少されることができ、特に、これらの金属をベースとする化合物が分離される。上で説明したように、前記化合物、例えばBCl3はしばしば溶解されて前記組成物中に存在し、かつ蒸留により劣悪に分離されることができる。
【0025】
本発明による方法及び本発明による使用は、沸点が式IIのシランの沸点の範囲内であるか又はこれと共にアゼオトロープとして留出するであろう、異種金属を含有する化合物の分離もしくは減少に特に適している。異種金属を含有するこれらの化合物は、部分的には困難にのみ蒸留により分離されることができるか又は総じて分離されることができない。シランの沸点の範囲内である沸点とみなされるのは、常圧(約1013.25hPa又は1013.25mbar)で式IIのシランの1種の沸点の±20℃の範囲内である沸点である。
【0026】
吸着すべき化合物は、通例、ハロゲンシラン、シラン又はこれらを含有する混合物中に完全に溶解されて存在し、かつ劣悪にのみ蒸留により分離されることができることにより特徴付けられる。
【0027】
一般的に、異種金属及び/又は異種金属を含有する化合物は、50〜99質量%だけ低下されることができる。好ましくは、異種金属含量は、70〜90質量%だけ、好ましくは70〜99質量%だけ、特に好ましくは85〜99質量%だけ低下される。鉄を含有するハロゲンシラン、シラン又はこれらを含有する混合物については、本方法は、70質量%、好ましくは95〜99質量%だけの残留含量の減少を可能にする。一般的に、例えば、特に1つの処理工程において、好ましくは不均化工程の範囲内で直接、鉄含量は50〜99質量%、好ましくは70〜99質量%だけ及びホウ素含量は少なくとも90質量%、好ましくは95〜99.5質量%だけ減少されることができる。
【0028】
ハロゲンシラン、シラン又はこれらを含有する混合物中の異種金属含量及び/又は異種金属を含有する化合物の含量は好ましくは、金属化合物を基準として、特に互いに独立して、それぞれ、100μg/kg未満から検出限界まで、特に25μg/kg未満、好ましくは15μg/kg未満、特に好ましくは0.1〜10μg/kgからそれぞれの検出限界までの範囲内の含量に減少されることができる。
【0029】
本方法を実施するためには、特に好ましくは純粋に有機のアミノ官能性樹脂として、アルキル官能化された第二級アミノ基、第三級アミノ基及び/又は第四級アミノ基を有するアミノ官能化芳香族ポリマーが使用されることができる。アルキル基は、線状、分枝鎖状又は環状であってよく、好ましくはメチル又はエチルである。本発明によれば、アミノ官能化ジビニルベンゼン−スチレンコポリマー、すなわちジビニルベンゼン架橋ポリスチレン樹脂が使用されることができ、その際にジアルキルアミノ官能化もしくはジアルキルアミノメチレン官能化ジビニルベンゼン−スチレンコポリマー又はトリアルキルアンモニウム官能化もしくはトリアルキルアンモニウムメチレン官能化ジビニルベンゼン−スチレンコポリマーの群からのものが特に好ましく、特にここでアルキルはメチル又はエチルであり、好ましくは、それぞれジメチル置換又はトリメチル置換された前記の種類である。
【0030】
ジメチルアミノ官能化され、ジビニルベンゼンで架橋された多孔質ポリスチレン樹脂に加えて、別の、第四級アミノ基及び同時に場合により第三級アミノ基で官能化され、ジビニルベンゼンで架橋された多孔質ポリスチレン樹脂も本発明による方法において又は本方法における本発明による使用のために使用されることができる。前記樹脂は、全てが高い比表面積、多孔度及び高い化学的安定性により特徴付けられる。
【0031】
次の式は、前記の官能化ジビニルベンゼン−スチレンコポリマーの構造を理想化して説明する:
【化1】
[式中、R'は、ポリマー担体、特にジビニルベンゼンで架橋されたポリスチレン、すなわちジビニルベンゼン−スチレンコポリマーを表し、アルキルは独立して、好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル又はイソブチルを表し、かつA-は独立して、 − 例えば、しかしこれら以外を排除するものではないが − OH-(ヒドロキシ)、Cl-(塩化物)、CH3COO-(酢酸塩)又はHCOO-(ギ酸塩)の中からのアニオンを表す、特にOH-を表す]。
【0032】
第三級アミノ基を有するジビニルベンゼンで架橋されたポリスチレン樹脂が不均化触媒として及び同時に吸着剤として、例えばAmberlyst(登録商標) A 21、樹脂のポリマー主鎖上にジメチルアミノ基を有するジビニルベンゼン架橋ポリスチレン樹脂をベースとするイオン交換樹脂が、本発明による方法又は使用に特に適していることが判明している。Amberlyst(登録商標) A21は、遊離塩基の形で及び約0.49〜0.69mmの平均直径及び全質量を基準として54〜60質量%までの含水量を有する小さい球体で得ることができる弱塩基性アニオン交換樹脂である。表面積は約25m2/gであり、かつ平均孔径は400Åである。
【0033】
同様に、第四級トリメチルアミノ官能化ジビニルベンゼン−スチレンコポリマーをベースとし、かつ著しく多孔質の構造を有するAmberlyst(登録商標) A 26 OHは、本発明による方法においてかつ本発明による使用に使用されることができる。前記樹脂の平均粒径は、通常0.5〜0.7mmである。前記樹脂は、イオン型(いわゆる水酸化物型、"OH")として販売されている。含水量は、全質量を基準として66〜75質量%であってよい。表面積は、290Åの平均孔径で約30m2/gである。
【0034】
本発明の対象は、少なくとも1種のハロゲンシランの不均化のため及びこれら及び前記の不均化生成物、すなわち式I及び/又はIIの、異種金属及び/又は異種金属を含有する化合物の含量の低下のための、純粋に有機の、特に本質的に無水及び無溶剤のアミノ官能性樹脂を、
・(i)式Iの、トリクロロシランと接触させ、かつ式IIのシラン、例えばモノシラン、モノクロロシラン、ジクロロシラン及びテトラクロロシラン又は前記の化合物の少なくとも2種を含有する混合物を取得するか、又は
・(ii)式Iの、ジクロロシランと接触させ、かつ式IIのシラン、例えばモノシラン、モノクロロシラン、トリクロロシラン及び四塩化ケイ素又は前記の化合物の少なくとも2種の混合物を取得し、かつ(i)又は(ii)において接触した後に異種金属又は異種金属を含有する化合物の含量が低下されている
ことによる方法でもある。
【0035】
本発明による方法の特別な利点は、技術水準の方法におけるように、より高塩素化ハロゲンシラン、例えばテトラクロロシラン中の不純物の含量が豊富化されないことにある。本発明による方法により、純粋なモノシラン、ジクロロシラン、モノクロロシラン並びに純粋なテトラクロロシランが、場合により蒸留による分離後に、得られることができる。異種金属又は異種金属を含有する化合物又は有機不純物の分離のための下流又は上流の工程は、場合によりリンを含有する化合物を除き、行われなくてよい。
【0036】
本発明のさらなる一態様によれば、好ましくは上での定義による、粒状の有機アミノ官能性樹脂は、一般式Iの少なくとも1種のハロゲンシランの不均化のため及び前記ハロゲンシラン及び式IIの得られる少なくとも1種のシラン又はこれらを含有する混合物の少なくとも1種の異種金属及び/又は少なくとも1種の異種金属を含有する化合物の含量の本質的に同時の低下のために使用され、その際に式I及びIIは上で定義されているとおりである。
【0037】
好ましくは、ハロゲンシラン又はハロゲンシランを含む混合物を不均化するための使用及び、少なくとも1種のハロゲンシラン、シラン又はハロゲンシランを含む混合物の少なくとも1種の異種金属及び/又は少なくとも1種の異種金属を含有する化合物の含量の低下のための特に同時の使用は、上に記載された方法、特に好ましくは請求項1から8までのいずれかに記載の方法により行われる。本発明によれば、前記樹脂は本質的に無水で及び有機溶剤不含で使用される。
【0038】
一般的に、処理工程における不均化及び吸着のための、本発明による方法又はアミノ官能性樹脂の本発明による使用は、次のようにして実施される:まず最初に前記樹脂は場合により1)高純度脱イオン水で洗浄され、かつ2)引き続き水を含有する樹脂は、さらに処理せずに、減圧もしくは真空の適用下に及び場合により温度の制御下に、特に200℃を下回る温度で、無水にし;その際に場合により3)工程において、不活性ガス又は乾燥空気を用いて真空を破り;かつ無水及び無溶剤の触媒は、工程2)又は3)の後に得られる。後続の工程において、こうして製造された触媒は、式Iのハロゲンシランと、本発明による方法の実施のために、特に請求項1から10までのいずれか1項に従って、接触されることができる。
【0039】
好ましくは、前記樹脂は、真空下に高められた温度で、特に好ましくは150℃を下回って、処理される。一選択肢によれば、前記樹脂の処理方法は工程1)なしでも実施されることができる。アミノ官能性樹脂の処理は好ましくは、−196℃〜200℃、特に15℃〜175℃、より好ましくは15℃〜150℃、特に好ましくは20℃〜135℃、極めて特に好ましくは20℃〜110℃の温度範囲で行われ、その際にここでは20℃〜95℃の温度範囲が特に好ましい。通常、処理は60℃〜140℃、特に60℃〜95℃の温度範囲内の温度に調節した後に、好ましくは減圧下に及び場合により粒状樹脂の運動下に、実施される。
【0040】
その際に、アミノ官能性樹脂の処理が、0.0001mbar〜1012mbar(mbar絶対)の減圧下で行われる場合が好ましい。特に、減圧は、0.005mbar〜800mbar、好ましくは0.01mbar〜600mbar、特に好ましくは0.05〜400mbar、さらに好ましくは0.05mbar〜200mbar、より有利には0.05mbar〜100mbar、特に0.1mbar〜80mbar、より良くは0.1mbar〜50mbar、さらにより良くは0.001〜5mbar、さらにより好ましくは、圧力は1mbar未満の値である。好ましくは、高められた温度で、特に15℃〜180℃、特に好ましくは20℃〜150℃で、50mbar〜200mbar、好ましくは1mbar未満及び50mbarを除く減圧もしくは真空に調節される。好ましくは、100℃未満及び0.001〜100mbar、好ましくは0.001〜70mbarの範囲内の圧力で処理される。測定可能な含水量の変動幅は、おおよそ±0.3質量%でありうる。
【0041】
80℃〜140℃の温度範囲内で50mbar〜200mbar〜1mbar未満まででの減圧下に、40〜70質量%までの水を含有するアミノ官能性樹脂の上記の処理は、前記構造を同時に維持しながら、2質量%未満、好ましくは0.8質量%未満ないし0.5質量%未満の含水量に調節するために特に有利であることが判明している。そのうえ、これらの条件下で、乾燥は、大工業的に受け入れることができる処理期間内で行われることができる。有機溶剤の使用は、完全に放棄されることができ、前記樹脂を式Iの高純度シラン及び/又は高純度テトラクロロシランの製造に不均化触媒として及び吸着剤として使用することができる。特に、前記樹脂が、減圧下での乾燥により、その内部の多孔質構造及びその外形、ひいては吸着剤及び同時に不均化触媒としてのその活性を維持し、かつ失わないことを強調することができる。こうして処理されたアミノ官能性樹脂の含水量は、好ましくは2.5質量%未満、特に好ましくは0.00001〜2質量%である。
【0042】
含水量は、例えばカール・フィッシャーにより測定されることができる(カール・フィッシャー滴定、DIN 51 777)。本発明による処理により調節可能なアミノ官能性樹脂の含水量は、好都合には0、すなわちカール・フィッシャーで検出不可能ないし2.5質量%、特に0.0001質量%〜2質量%、好ましくは0.001〜1.8質量%、特に好ましくは0.001〜1.0質量%、さらに好ましくは0.001〜0.8質量%、より良くは0.001〜0.5質量%、0.001〜0.4質量%又は0.001〜0.3質量%である。同時に、前記樹脂の前記の処理は、有機溶剤の使用を回避しながら不均化触媒及び吸着剤の構造を維持することを可能にする。
【0043】
前記樹脂の上に挙げた処理方法は、触媒床を用いる反応/蒸留による反応の範囲内で、不純物を含まず、本質的に無水で、無溶剤で同時に高純度の樹脂が使用されることができることを保証する。それゆえ、前記樹脂自体は、例えば缶出液と共に反応/蒸留により操作する設備から除去されなければならなかった不純物の付加的な導入をまねかない。
【0044】
式Iの少なくとも1種のハロゲンシランの不均化のため及び異種金属又は異種金属を含有する化合物の含量の低下のためには、前記樹脂は、精製すべきシランの加水分解を阻止するために、上に記載されるように処理され、保護ガス雰囲気下にハロゲンシランと接触され、場合により撹拌される。好適には、接触は室温及び常圧で数時間にわたって行われる。通常、ハロゲンシランは、1分ないし10時間まで、通例5時間まで、前記樹脂と接触される。不均化され、かつ精製されたシラン及び/又はハロゲンシランの取得又は分離は、通例、蒸留により行われる。選択的に、本方法は、反応/蒸留により、上に記載されるように実施することが好ましい。
【0045】
同様に本発明の対象は、クロロシランを不均化するため、及び異種金属及びこれらを含有する化合物を吸着するため、特に同時に吸着するため、特に、出発物質に比べてより純粋である、より高置換クロロシランからジクロロシラン、モノクロロシラン又はモノシランを製造するための、上記の方法により処理された樹脂の使用である。好ましくは、処理された樹脂は、(i)トリクロロシランを、モノシラン、モノクロロシラン、ジクロロシラン及びテトラクロロシラン又は前記の化合物の少なくとも2種を含有する混合物を維持しながら不均化するのに又は(ii)ジクロロシランを不均化するのに使用されることができ、かつモノシラン、モノクロロシラン、トリクロロシラン及び四塩化ケイ素又は前記の化合物の少なくとも2種の混合物が取得されることができる。
【0046】
特に好ましくは、本発明による方法は、次の工程:1)トリクロロシランを製造し、2)異種金属又は異種金属を含有する化合物を不均化及び吸着し、3)式IIの超高純度シランに蒸留し、かつ4)シラン(モノシラン)を超高純度シリコンへ熱分解することを含む超高純度シリコンを製造する多段階の全体の方法へ組み込まれる。超高純度シランは、太陽電池級シリコン又は半導体シリコンとして使用するための超高純度シリコンの製造に適しているシランであると理解される。
【0047】
本発明は、以下の実施例によってより詳細に説明されるが、これらの実施例に限定されるものではない。
【0048】
例1.1
前記樹脂もしくは純粋な吸着剤の前処理。吸着剤を、精製すべきハロゲンシランの加水分解を防止するために、本方法において使用する前に注意深く乾燥させる。
【0049】
例1.2
異種金属及び/又は金属化合物で汚染されたハロゲンシランを処理するための一般処理規定。
【0050】
定義された量のアミノ官能化樹脂又は吸着剤を、冷却器(水、ドライアイス)、滴下漏斗、撹拌機、温度計及び窒素連結部を備えたガラス製四つ口フラスコを含む500ml撹拌装置中へ装入し、真空(<1mbar)下でかつa)アミノ官能化樹脂並びにAmberlite(商標)XAD 4を95℃で乾燥させ、かつb)別の吸着剤を170℃で、それぞれ5時間にわたって乾燥させ、その後、乾燥窒素をゆっくりと通気し、冷却する。
【0051】
引き続き、ハロゲンシラン250mlの添加を、滴下漏斗を通じて行う。5時間の期間にわたって、吸着過程を常圧下に室温で保護ガス雰囲気下で実施する。吸着剤をシランから、これをガラスろ過器(Por. 4)を通して、排出装置を備え、真空排気された500mlガラスフラスコ中へ吸引することによって分離する。その後、ガラスフラスコに窒素を通気し、窒素ですすいだショットガラスびん中へ排出する。
【0052】
例1.3 − 比較例
次の例を、一般処理規定に従い、ここで示された量で実施した。
【0053】
Amberlite(商標)XAD 4 36.0gを、例1.2で記載されたように一般規定に従い前処理し、トリクロロシラン250mlを添加した。処理の前及び後の金属含量を、ICP−MSを用いて測定した。トリクロロシラン含量を、ガスクロマトグラフィーにより測定した(面積パーセント)。
【0054】
第1.3表
処理の前及び後の異種金属含量:
【表1】
【0055】
例1.4 − 比較例
次の例を、一般処理規定に従い、ここで示された量で実施した。
【0056】
モンモリロナイトK 10 36.9gを、例1.2での一般規定に記載されたように前処理し、トリクロロシラン250mlを添加した。処理の前及び後の金属含量を、ICP−MSを用いて測定した。トリクロロシラン含量を、ガスクロマトグラフィーにより測定した(面積パーセント)。
【0057】
第1.4表
処理の前及び後の異種金属含量:
【表2】
【0058】
例1.5 − 比較例
次の例を、一般処理規定に従い、ここで示された量で実施した。
【0059】
Wessalith F 20 20.0gを、例1.2での一般規定に記載されたように前処理し、トリクロロシラン250mlを添加した。処理の前及び後の金属含量を、ICP−MSを用いて測定した。トリクロロシラン含量を、ガスクロマトグラフィーにより測定した(面積パーセント)。
【0060】
第1.5表
処理の前及び後の異種金属含量:
【表3】
【0061】
例1.6 − 本発明による
次の例を、一般処理規定に従い、ここで示された量で実施した。
【0062】
Amberlyst(登録商標) A21 14.2g(乾燥質量)を、例1.2で一般規定に記載されたように前処理し、トリクロロシラン250mlを添加した。処理の前及び後の金属含量を、ICP−MSを用いて測定した。組成を、ガスクロマトグラフィーにより測定した(面積パーセント)。
【0063】
第1.6表 処理の前及び後の異種金属含量並びに組成:
【表4】
【0064】
* モノクロロシランは、痕跡量で検出され得た。低い沸点に基づき、反応生成物であるモノクロロシラン及びモノシランは、反応混合物中に定量的に保持されることができなかった。
【0065】
例1.7 − 本発明による
次の例を、一般処理規定に従い、ここで示された量で実施した。
【0066】
Amberlyst(登録商標) A21 80.2g(乾燥質量28.9g)を、例1.2で一般規定に記載されたように前処理し、トリクロロシラン250mlを添加した。組成を、ガスクロマトグラフィーにより測定した(面積パーセント)。
【0067】
第1.7表 − 組成
【表5】
【0068】
* モノクロロシランは、痕跡量で検出され得た。低い沸点に基づき、反応生成物であるモノクロロシラン及びモノシランは、反応混合物中に定量的に保持されることができなかった。