特許第5738290号(P5738290)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5738290フォトバイオリアクタのためのポリマー組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5738290
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】フォトバイオリアクタのためのポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20150604BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20150604BHJP
   C08K 3/00 20060101ALI20150604BHJP
   C08K 5/357 20060101ALI20150604BHJP
   C08K 5/45 20060101ALI20150604BHJP
   B01F 5/00 20060101ALI20150604BHJP
   B01F 3/12 20060101ALI20150604BHJP
   A01G 33/00 20060101ALI20150604BHJP
【FI】
   C08L101/00
   C08K3/22
   C08K3/00
   C08K5/357
   C08K5/45
   B01F5/00 D
   B01F3/12
   A01G33/00
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-522063(P2012-522063)
(86)(22)【出願日】2010年7月1日
(65)【公表番号】特表2013-500363(P2013-500363A)
(43)【公表日】2013年1月7日
(86)【国際出願番号】EP2010059344
(87)【国際公開番号】WO2011012397
(87)【国際公開日】20110203
【審査請求日】2013年4月26日
(31)【優先権主張番号】09166463.1
(32)【優先日】2009年7月27日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512022701
【氏名又は名称】ゲオルク フィッシャー デカ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Georg Fischer DEKA GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100112793
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳大
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100128679
【弁理士】
【氏名又は名称】星 公弘
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100156812
【弁理士】
【氏名又は名称】篠 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100167852
【弁理士】
【氏名又は名称】宮城 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン シュスラー
(72)【発明者】
【氏名】イノ ガウル
(72)【発明者】
【氏名】ハラルト クッペルマイアー
(72)【発明者】
【氏名】ヘリト プロパー
【審査官】 河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/129850(WO,A1)
【文献】 特開平02−180932(JP,A)
【文献】 特開平04−107142(JP,A)
【文献】 特開平11−035812(JP,A)
【文献】 特開2005−015716(JP,A)
【文献】 特開2007−326939(JP,A)
【文献】 特開2008−342348(JP,A)
【文献】 特表2002−541788(JP,A)
【文献】 特表2008−528766(JP,A)
【文献】 特表2010−514446(JP,A)
【文献】 特表2008−528790(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/153202(WO,A1)
【文献】 国際公開第02/030365(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00 − 13/08
C08L 1/00 − 101/14
C12M 1/00 − 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
改良された吸収挙動および透過挙動を有する、太陽光または適した人工光源にさらされる、フォトバイオリアクタのプラスチック成形体中で使用するためのポリマー組成物において、その際、紫外線を反射するための反射剤が前記ポリマー組成物中に提供されているものであって、前記ポリマー組成物が、以下の物質:
−長波長の放射線を吸収するための無機または有機の近赤外線吸収剤、
−可視光線、近赤外線または赤外線を反射するための反射剤、
−プラスチック成形体の透過挙動を光強度依存的に改良するためのフォトクロミック染料、および
−フォトバイオリアクタ中の有機堆積物を回避またはその量を減少させるための抗菌性添加剤
の1種またはこれらの組合せを有する、前記ポリマー組成物。
【請求項2】
近赤外線吸収剤が、希土類金属ベースの無機顔料を有する、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
チオフェン−ベンゾキサゾールベースの化合物を有する蛍光増白剤を含む、請求項1または2に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
フォトクロミック染料が、スピロナフトオキサジンまたはスピロナフトピランを有する、請求項1から3までのいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項5】
抗菌性添加剤が、カルバメートベースまたは銀ベースの化合物を有する、請求項1から4までのいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
ポリマーがアモルファスまたは部分結晶の形で形成されている、請求項1から5までのいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
ポリマーとして、透明なポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートまたはこれらの組合せ物、部分フッ化または完全フッ化ポリマー、コポリマーまたはこれらのアロイを使用する、請求項1から6までのいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
フォトバイオリアクタとして使用可能なプラスチック成形体中における、請求項1から7までのいずれか1項に記載のポリマー組成物の使用であって、フォトバイオリアクタの壁が、管状または平板状に形成されていることを特徴とする、前記使用。
【請求項9】
フォトバイオリアクタとして使用可能なプラスチック成形体中における、請求項1から7までのいずれか1項に記載のポリマー組成物の使用であって、プラスチック成形体が異なる層から、共押出成形、貼合わせまたは被覆によって形成され、かつ、添加剤がこの異なる層中で異なる濃度を示すことを特徴とする、前記使用。
【請求項10】
フォトバイオリアクタ中における、請求項1から7までのいずれか1項に記載のポリマー組成物の使用であって、管状に押し出されたプラスチック成形体が、らせん形状の内面を含む管壁を有することを特徴とする、前記使用。
【請求項11】
フォトバイオリアクタ中における、請求項1から7までのいずれか1項に記載のポリマー組成物の使用であって、管壁が、デッドスペースのない内面を有することを特徴とする、前記使用。
【請求項12】
フォトバイオリアクタ中における、請求項1から7までのいずれか1項に記載のポリマー組成物の使用であって、管壁が、内側においてスタティックミキサとして形成されていることを特徴とする、前記使用。
【請求項13】
フォトバイオリアクタ中における、請求項1から7までのいずれか1項に記載のポリマー組成物の使用であって、管状プラスチック成形体が、トリクランプ構造を有するコネクタで連結可能に形成されていることを特徴とする、前記使用。
【請求項14】
フォトバイオリアクタ中における、請求項1から7までのいずれか1項に記載のポリマー組成物の使用であって、フォトバイオリアクタが、鉱物ガラスまたはセラミックから形成されていることを特徴とする、前記使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良された吸収挙動および透過挙動を有し、特に太陽光または適した人工光源にさらされる、プラスチック成形体からなるフォトリアクタまたはフォトバイオリアクタに適したポリマー組成物に関する。
【0002】
フォトリアクタは、光化学反応を実施するための反応容器である。反応媒体は、光反応の作用を受容する溶液または懸濁液である。フォトバイオリアクタは、植物界における光合成に類似する光生物学反応を実施するための反応容器である。このフォトバイオリアクタにおいて、たとえばバイオ燃料、たとえば再利用可能なエネルギーの形としてのバイオディーゼルを製造するための微藻類を使用する。微藻類の養殖におけるフォトバイオリアクタの使用は、さらに他の使用分野、たとえば魚の養殖での藻類濃縮物の製造における、食品添加物の製造における、あるいは火力発電所の廃ガス由来の二酸化炭素の結合剤または中和剤としての重要性が高まっている。
【0003】
この反応容器の壁材料に関しては、高い要求が課される。この壁のための原料は、紫外線に対して可能な限り高い耐性を有するものでなければならない。UV線は、反応媒体に有害であり、したがってこれを遠ざけるか、あるいは反射しなければならないか、あるいはこの反応媒体に適した放射線(400〜700nmの可視光)中で使用しなければならない。
【0004】
原料は、適切な放射のために可能な限り最適化された透明度を有していなければならない。太陽光中に含まれる近赤外線(NIR)は、フォトバイオリアクタおよび藻類懸濁液の加熱のために極めて重要である。藻類の成長は、定められた温度範囲でのみ最適に生じるので、この反応器を温度調整しなければならない。温度調整に対する概念は、フォトバイオリアクタデザイン上およびフォトバイオリアクタ効率に関して決定的な影響を与える。
【0005】
さらに、最適なフォトバイオリアクタ配置の課題は、床面積あたりの放射される藻類成長のために使用可能な放射線に関して、可能な限りに完全に藻類成長のために使用可能にすることである。したがって、床面積単位あたりのフォトバイオリアクタ面積の最大化は、フォトバイオリアクタの効率を最適化する上で重要な課題である。フォトバイオリアクタの有利な層の構築は、可能なかぎり大きい反応器面積上で生じる放射線の効果的な分配と同時に課題でなければならない。
【0006】
さらに原料は、可能な限り高い機械的安定性を示すものでなければならない。反応器の透明な壁は、堆積物によって汚染されず、すなわち、反応器内部における堆積物を回避するものでなければならない。光生物学反応の実施のための極めて大きい反応器は、極めて長い管を必要とされることが報告されることから、さらに反応容器の質量および価格は、極めて大きな役割を担う。
【0007】
EP 1127612から、ソーラーフォトリアクタが知られている。反応容器は、1個の二重壁を有する管系からなり、その際、反応媒体は、2個の管の隙間において運搬される。反応媒体は、外側および内側から太陽光放射エネルギーまたは適した人工光源にさらされる。この反応容器のために、光放射のためのガラスまたはプラスチックからなる透明な管が提案されている。
【0008】
これらの技術水準に基づいて、本発明の課題は、フォトリアクタ、特にフォトバイオリアクタのためのポリマー組成物を提供することであって、この場合、この組成物は、光合成のプロセス条件に反応器壁を最適に適合することが可能であり、可能な限り小さい質量を示し、かつ可能な限り長い寿命を保証するものである。
【0009】
これらの課題は、改良された吸収挙動および透過挙動を有し、特に太陽光または人工光源にさらされる、プラスチック成形体からなるフォトリアクタまたはフォトバイオリアクタに適したポリマー組成物によって解決され、その際、ポリマーは、従来の標準的な添加剤に加えて選択的に、以下の物質の1種または組合せを含む:長波長の放射線を吸収するための無機または有機の近赤外線吸収剤、紫外線を反射するための無機または有機の反射剤、可視光線、近赤外線または赤外線を反射するための無機または有機の反射剤、吸収された紫外線を可視光線または蛍光線に変換するための蛍光増白剤または蛍光染料、プラスチック成形体の透過挙動を光強度依存的に改良するためのフォトクロミック染料、ならびにフォトバイオリアクタ中の有機堆積物を回避または減少させるための抗菌性添加剤。
【0010】
本発明の有利な態様は、従属請求項に示す。
【0011】
フォトバイオリアクタ中の反応媒体が、紫外線に対して保護されるという利点を有する。これらは、反射剤が、サブマイクロメーターまたはナノメーターの範囲内の粒度の二酸化チタン粒子を有することにより達成される。ナノスケールの二酸化チタン粒子は、相当する大きさで、かつ最適化された分散によりUV吸収剤として選択的かつ持続的な作用下で使用することができる。ナノスケールの二酸化チタンとサブミクロンスケールの二酸化チタンとの組合せにより、常用のUV吸収剤を使用することなしに可能な限り少ない添加剤を使用して、UV線の最適な反射と同時に可視光線およびNIR線に対する広帯域の保護を達成する。
【0012】
さらに反応器中の熱の管理を制御できるという利点を有する。これは、近赤外線吸収剤が、特に、希土類金属をベースとする無機顔料を有することによって達成される。NIR吸収剤は、管の全壁厚に亘って均一に分配して配置することができるか、あるいは共押出成形による管の場合には外部の層にのみに均一に分配して配置することができる。
【0013】
さらに有害なUV線を、無害の青または緑の光に変換するという利点を有する。これは蛍光増白剤、特にチオフェン−ベンゾキサゾールベースの化合物を有することによって達成される。
【0014】
さらにフォトバイオリアクタ中で、最適化された光強度を提供するといった利点を有する。これは、フォトクロミック染料、特にスピロ−ナフトオキサジンまたはナフトピランを有することにより達成される。
【0015】
さらに反応器内表面上での藻類成長による堆積物を回避または減少するといった利点を有する。これは、抗菌性添加剤、特にカルバメートまたは銀をベースとする化合物を有することにより達成される。これはさらに、管壁が、デッドスペースなしの内表面を有することにより達成される。これはさらに、反応壁がその内側でスタティックミキサとして形成されることにより達成される。このスタティックミキサは、さらに藻類懸濁液の均一な放射を支持し、かつ反応器媒体中における均一な温度分布をもたらす。
【0016】
壁材料は、新規のポリマー組成物によって、フォトバイオリアクタ中における全滞留時間に亘って、藻類の成長のため、ならびにバイオマスまたはバイオディーゼルの効率的な製造のための最適な条件を提供するよう改良される。ここで「最適」とは、放射スペクトルからの正確な波長を正確な強度で通過させ、有害な波長を反射するか、あるいは藻類の成長に関して無害の放射線に変更し、かつ壁内側を堆積物に対して保護することを意味する。この壁材料は、フォトバイオリアクタ中における操作のために最適な性質を維持するものであって、この場合、これは、反応器の全滞留時間に亘って一定に維持され、すなわち、壁材料の光透過性は一定に維持され、かつ壁は不透明ではない。
【0017】
新規ポリマー組成物の反射特性によって、フォトバイオリアクタのこのようにして改良された壁は光希釈のために効果的に寄与する。反射された放射線は、隣接するフォトバイオリアクタ面で反射することができる。したがって、床面積単位あたりに衝突する光の量は、放射されたフォトバイオリアクタのより大きい面上で分配される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】フォトバイオリアクタのための本発明による管の断面図
図2】フォトバイオリアクタのための管の他の断面図
図3】本発明によるポリマー組成物を含むフォトバイオリアクタにおける熱管理のための測定結果の一覧を、通常のポリマーの場合と比較して示した図
図4】UV線を可視光線に変換するための添加剤の効果を、通常のポリマーの場合と比較により表したグラフ図
図5】二酸化チタン粒子の適した添加を含む本発明によるポリマー組成物と比較して、通常のポリマー材料のための波長を関数として透過特性を表したグラフ図
図6】フォトクロミック添加剤の適した添加を含む本発明によるポリマー組成物と比較して、通常のポリマー材料のための波長を関数として透過特性を表したグラフ図
【0019】
本発明の実施例は、図面を用いて示す。図面は、以下のとおりである:
図1は、フォトバイオリアクタのための本発明による管の断面図を示し、図2は、フォトバイオリアクタのための管の他の断面図を示し、図3は、常用のポリマーとの比較における本発明によるポリマー組成物を有するフォトバイオリアクタ中での、熱管理のための測定結果の一覧を示し、図4は、常用のポリマーとの比較におけるUV線を可視光線に変更する添加剤の作用を説明するものであり、図5は、適した二酸化チタン粒子添加剤を有する本発明によるポリマー組成物との比較における、常用のポリマー材料の波長に依存する透過挙動を説明するものであり、かつ、図6は、適したフォトクロミック添加剤を有する本発明によるポリマー組成物との比較における、常用のポリマー材料の波長に依存する透過挙動を説明するものである。
【0020】
図1では、PVC管1を切断して表す。PVC管1は、押出成形によりプラスチック成形体として製造され、かつ管壁2の内側にらせん形状の内面3を有する。これによって反応媒体の流れは、スタティックミキサ中における流れのように作用する。らせん溝4によって、あるいは内表面3をデザインすることによって、管反応器中で、低い流速であっても反応媒体の効率のよい混合を大きな圧力損失なしに可能にする。内表面3は、デッドスペースなく、すなわち、流速を局所的に減少させて堆積物を生じさせるような領域を示さない。内表面3は、さらに簡単に十分に清浄化され、かつ反応媒体に対する放射線に関しての散乱および結合損失のない構造によって実施される。
【0021】
しかしながら透明なPVCに代えて、吸収挙動および透過挙動をフォトバイオリアクタ中におけるプロセスのために改良することができる他のポリマー材料を使用することができる。適したポリマーに関する例として、透明なポリ塩化ビニルの他、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートまたはこれらの組合せ、部分または完全にフッ化されたポリマー、たとえばポリフッ化ビニリデンまたはパーフルオロアルコキシアルカン、これらのコポリマーまたはアロイであってもよい。
【0022】
図2は、フォトバイオリアクタの管5によるさらなる断面図を示す。図2からの管5は、共押出成形によって製造される。管壁は、厚い支持層である内層6および薄い機能層である外層7から構築される。内層6は、抗菌性添加剤および蛍光増白剤または蛍光染料と一緒に備えられていてもよい。外層7は、特に1mm未満の厚さであり、かつ吸収挙動および透過挙動の改良のために備えられている。外層7は、ナノスケールの二酸化チタンとサブミクロンスケールの二酸化チタンとの組合せ、ならびに近赤外線吸収剤、特に希土類金属をベースとする無機顔料を含有する。
【0023】
波長の管理を薄い外層7中に移行することによって、以下の利点を達成する:内層6(主要な層)は断熱材として役立つ。それにより、面積単位あたりの、一定の冷却効果を達成するために絶対不可欠な外層7中のNIR吸収剤の添加量が減少する。内層6および/または外層7における蛍光増白剤の寿命が顕著に延び、それというのも、UV線量を顕著に減少させることができるか、あるいは制御することができるためである。内層6において、わずかな量の常用のUV保護添加剤のみが必要とされる。この層構造によってさらに、外層7中で遮断された波長の全反射が可能になる。内層6および外層7における添加剤の分配によって、異なる添加剤間の破壊的な相互作用を回避し、それによって複合材料の寿命を延ばす。
【0024】
共押出成形によるプラスチック管に代えて、存在する管材料をその外側で本発明によるポリマー材料で被覆して貼合わせるか、あるいは薄いフィルムで積層することができる。さらに、ガラスまたはセラミックからなる存在する反応器管をこのようなフィルムで被覆することも可能である。
【0025】
図3は、常用のポリマーとの比較における、本発明によるポリマー組成物を有するフォトバイオリアクタ中での熱管理に対する測定結果の一覧を示す。試料成形体として、3mmの厚さを有する未処理の透明なPVC−U−プレートの他、100ppmのNIR吸収剤を有するPVC−U−プレートと、未処理のプレートと4000ppmの同様のNIR吸収剤を有する40μmの厚さの貼合わされたPVC−U−フィルムとの複合体とを互いに比較した。プレート下のそれぞれ残りの空気容積中において、平衡を確立するまでの時間、空気温度および平衡状態における黒体温度を測定した。黒体温度は、管に運搬された媒体上での減少した熱流に関する尺度とみなすことができ、かつ、これによりNIR吸収剤の効果を実証することができる。
【0026】
測定データは、100ppmのNIR吸収剤で均一に着色された壁の場合に、温度の顕著な減少を達成することを示す。しかしながら、NIR吸収剤を薄い外層中に集中的に添加する場合には、NIR−吸収剤の消費量を全体として顕著に減少させるのみならず、温度のさらなる減少をも達成することができる。複合材料において、内部に存在する層は断熱材として使用される。NIR障壁は外層に移行する。NIR吸収剤として、たとえばLumogen(BASF社)を添加する。
【0027】
図4において、強度を、参考試料(曲線8)および蛍光増白剤を含む試料(曲線9)の波長を関数として示す。ここで、常用のポリマーとの比較における、UV線を可視光線へ変換する添加剤の効果が説明される。試料成形体として、0.3mmの厚さのPVC−U−プレートにプレスした。試料成形体に、100ppmのUV活性蛍光染料を添加した。双方のプレートについて、UV範囲のレーザー照射による刺激後にその放出スペクトルが記録された。
【0028】
この比較から、蛍光線が、藻類の成長に適切な光の波長400〜700nmと正確に一致することがみてとれる。蛍光染料として、たとえばUvitex OB(CIBA社)を添加する。
【0029】
図5において、透過挙動を、適した二酸化チタン粒子添加剤を含む本発明によるポリマー組成物との比較における常用のポリマー材料の波長(曲線10)を関数として示す。試料成形体として、再度0.3mmの厚さのPVC−U−プレートにプレスした。試料成形体において、0.5質量%のナノスケールの二酸化チタンを添加した(曲線11)。さらなる試料成形体において、0.5質量%のナノスケールの二酸化チタンおよび0.003質量%のサブミクロンスケールの二酸化チタンを添加した(曲線12)。
【0030】
この比較から、ナノスケールの二酸化チタン添加剤を単独で用いた場合に、常用のUV吸収剤を使用することなしに、極めて効果的なUV保護を達成することが明らかである。さらになおも極めて少ない量のサブミクロンスケールの二酸化チタンを添加する場合には、可視光およびNIRの波長に関する広い帯域の反射剤保護を達成する。
【0031】
図6において、透過挙動を、適したフォトクロミック染料粒子添加剤を含む本発明によるポリマー組成物(曲線14)との比較における常用のポリマー粒子(曲線13)の波長を関数として示す。試料成形体として、再度0.3mmの厚さの透明なPVC−U−プレートにプレスした。試料成形体において、300ppmのフォトクロミック染料を添加し、かつハロゲンランプを用いて5分照射した(曲線14)。フォトクロミック染料として、たとえばReversacol(James Robinson社)を使用する。
【0032】
このスペクトルから、UV線の作用によってフォトクロミック染料が着色された形に移行され、かつ、さらに藻類の成長に適した範囲で正確に吸収することが明らかである。このプロセスは可逆的である。さらにこれにより、ポリマー組成物の透過挙動の光強度依存的制御を達成することができる。
【0033】
0.1%のカルバメートベースの抗菌性添加剤(Fungitrol (ISP社))を含む通常のUV安定化された処方に基づく63×3.0mmの寸法のPVC−U−管からなるパターンの、標準的な運転条件下(T=25℃、p<1bar)での藻類溶液中における4週間に亘る堆積物試験によって、抗菌剤を添加していない管試料に対して顕著に減少した藻類の繁殖が確認される。繁殖減少の効果は、約50%まで評価された。
【0034】
フォトバイオリアクタ中のポリマー組成物のここで記載した使用は、さらに他のフォトリアクタ中においても使用することができる。これらの管は、特にいわゆるトリクランプコネクタにより連結される。トリクランプコネクタは、軽量であり、場所をとらず、かつしかも簡単かつ迅速にはずすことが可能である。管末端はさらに工事現場で、角度のついたフランクを有するカラーブッシュを用いて接着するか、あるいは溶接する。この連結のタイプは時間節約的であり、かつメンテナンスの点で順応性は高い。管に代えてさらに、新規ポリマー組成物を含むプレートまたは他のプラスチック成形体を製造することもできる。
【符号の説明】
【0035】
1 PVC管、 2 管壁、 3 らせん形状の内面、 4 らせん溝、 5 フォトバイオリアクタ管、 6 内層、 7 外層、 8 参考試料、 9 および蛍光増白剤を含む試料、 10 常用のポリマー材料、 11 0.5質量%のナノスケールの二酸化チタンを添加した試料成形体、 12 0.5質量%のナノスケールの二酸化チタンおよび0.003質量%のサブミクロンスケールの二酸化チタンを添加した試料成形体、 13 常用のポリマー粒子、 14 適したフォトクロミック染料粒子添加剤を含む本発明によるポリマー組成物
図1
図2
図3
図4
図5
図6