(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5738302
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】流体圧アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
F15B 15/18 20060101AFI20150604BHJP
F04B 9/02 20060101ALI20150604BHJP
F16D 29/00 20060101ALI20150604BHJP
F16H 25/20 20060101ALI20150604BHJP
【FI】
F15B15/18
F04B9/02 C
F16D29/00
F16H25/20 D
F16H25/20 B
F16H25/20 E
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-535623(P2012-535623)
(86)(22)【出願日】2010年10月7日
(65)【公表番号】特表2013-509541(P2013-509541A)
(43)【公表日】2013年3月14日
(86)【国際出願番号】DE2010001185
(87)【国際公開番号】WO2011050767
(87)【国際公開日】20110505
【審査請求日】2013年10月4日
(31)【優先権主張番号】102009051245.4
(32)【優先日】2009年10月29日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512006239
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクトア フランツ
(72)【発明者】
【氏名】マティアス エーアリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】ノアベアト エスリー
【審査官】
柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭48−040004(JP,A)
【文献】
特開平01−164856(JP,A)
【文献】
特公昭39−029400(JP,B1)
【文献】
特開2001−153050(JP,A)
【文献】
特開2007−051622(JP,A)
【文献】
特開平11−048929(JP,A)
【文献】
特開2008−215088(JP,A)
【文献】
実開昭55−069101(JP,U)
【文献】
特開平09−317708(JP,A)
【文献】
実開昭63−106904(JP,U)
【文献】
特開2001−234869(JP,A)
【文献】
実開平03−083873(JP,U)
【文献】
特表2009−504962(JP,A)
【文献】
特開平04−163286(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 15/18
F04B 9/02
F16D 29/00
F16H 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング(15)と、該ケーシング(15)内に軸線方向に可動であって、圧力媒体によって満たされた圧力室(42)を加圧するピストン(41)とを有するマスタシリンダ(40)を備え、スリーブ(34)、ギアスピンドル(19)及び前記スリーブ(34)と前記ギアスピンドル(19)との間を転動する遊星転動体(35)を有する、回動駆動を軸線方向運動に変換する遊星転がり伝動装置(33)を備え、かつ、ケーシング固定式に結合されたステータ(17)及び該ステータ(17)に対して回動可能なロータ(25)を有する、前記遊星転がり伝動装置(33)を駆動する電気モータ(2)を備えた流体圧アクチュエータ(1)において、
前記圧力室(42)は環状に形成されており、前記遊星転がり伝動装置(33)は、前記圧力室(42)の半径方向内側に配置されており、
前記圧力室(42)の半径方向外側に、前記圧力媒体のためのリザーバ(49)が設けられていることを特徴とする、流体圧アクチュエータ。
【請求項2】
前記電気モータ(2)及び前記遊星転がり伝動装置(33)は、互いに軸線方向に離間されて同軸的に配置されていることを特徴とする、請求項1記載の流体圧アクチュエータ。
【請求項3】
前記マスタシリンダ(40)のケーシング(15)と前記電気モータ(2)のケーシング(14)とは、一体に形成されていることを特徴とする、請求項1又は2記載の流体圧アクチュエータ。
【請求項4】
前記スリーブ(34)は相対回動不能にかつ軸線方向に移動可能に取り付けられており、前記ピストン(41)は前記スリーブ(34)によって軸線方向に移動することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項記載の流体圧アクチュエータ。
【請求項5】
前記ギアスピンドル(19)の少なくとも一回の回動運動を検出する回動角センサ(59)が設けられていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項記載の流体圧アクチュエータ。
【請求項6】
前記ピストン(41)の軸線方向ストロークを検知する軸線方向距離センサ(63)が設けられていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項記載の流体圧アクチュエータ。
【請求項7】
前記圧力室(42)における圧力を検知する圧力センサ(58)が設けられていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項に記載の流体圧アクチュエータ。
【請求項8】
前記電気モータ(2)のケーシング(14)の、前記マスタシリンダ(40)とは反対の側に、電子機器(55)が設けられていることを特徴とする、請求項5から7までのいずれか一項記載の流体圧アクチュエータ。
【請求項9】
前記電子機器(55)のプリント基板(56)に、前記流体圧アクチュエータ(1)の運転データを検知するために、少なくとも1つのセンサが配置されていることを特徴とする、請求項8記載の流体圧アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーシングと、ケーシング内に軸線方向に可動であって、圧力媒体によって満たされた圧力室を加圧するピストンとを有するマスタシリンダを備え、スリーブ、ギアスピンドル及びスリーブとギアスピンドルとの間を転動する遊星転動体を有する、回動駆動を軸線方向運動に変換する遊星転がり伝動装置を備え、かつ、ケーシング固定式に結合されたステータ及びステータに対して回動可能なロータを有する、遊星転がり伝動装置を駆動する電気モータを備える、流体静力学アクチュエータに関する。
【0002】
上位概念部に記載の流体静力学アクチュエータは、ドイツ連邦共和国特許出願第19700935号明細書において公知である。この明細書において、マスタシリンダのピストンは電気モータにより駆動される。電気モータの回動運動は、ウォームギアの形式の伝動装置により軸線方向の運動に変換される。ピストンは、ウォーム歯車に配置されている偏心ピンにより駆動される。
【0003】
さらに欧州特許出願公開第0320621号明細書において基本的に、遊星転がり伝動装置が公知になっている。この遊星転がり伝動装置は、ねじ山付きスピンドルと、このねじ山付きスピンドルに対して同軸的に配置されているスリーブと、ねじ山付きスピンドル及びスリーブの間を転動する遊星歯車とを有している。遊星歯車伝動装置は、電気モータによって回動駆動され、迅速な回動運動を緩慢な軸線方向運動に変換する。
【0004】
上記背景から本発明の目的は、特に効率の向上、所要構成スペースの減少及びマスタシリンダの運転圧の増大という背景に基づいて、有利には自動車において使用される流体静力学アクチュエータを改良しかつ発展させることにある。
【0005】
上記目的は、ケーシングと、このケーシング内に軸線方向に可動であって、圧力媒体によって満たされた圧力室を加圧するピストンとを有するマスタシリンダを備え、ギアスピンドル及びスリーブとギアスピンドルとの間を転動する遊星転動体を有する、回動駆動を軸線方向運動に変換する遊星転がり伝動装置を備え、ケーシング固定式に結合されたステータと、このステータに対して回動可能なロータとを有する、遊星転がり伝動装置を駆動する電気モータを備える、流体静力学アクチュエータであって、圧力室は環状に形成されており、遊星転がり伝動装置が圧力室の半径方向内側に配置されていることにより達成される。これに関して、軸線方向に短縮された構造がもたらされる。上記構成に対して択一的には、遊星転がり伝動装置が、Eモータのロータに配置されているようになっていてもよい。本発明において提案する遊星転がり伝動装置を、圧力室の半径方向内側に収容することは、上記択一的な構成と比べて、小さな直径を備えた流体静力学アクチュエータを提案することができる、という利点を有する。この理由として、ロータと遊星転がり伝動装置との択一的な入れ子式の構成は、特に遊星転がり伝動装置のスリーブが実質的にピストンのストローク量に相当する場合に、遊星転がり伝動装置及びマスタシリンダの本発明において設けられている入れ子式の構成より大きな構成スペースを必要とするからである。
【0006】
さらに有利には、電気モータと遊星歯車伝動装置とは、軸線方向に互いに離間されてかつ同軸的に配置される。こうして電気モータの直径を、マスタシリンダの直径に適合させることができるので、電気モータの直径は、マスタシリンダの直径と同じであるか、又はマスタシリンダの直径よりも小さくなっている。スリーブが環状の圧力室の半径方向内側に配置されると、ロータに提供されている内室を小さく形成することができ、電気モータは所定の直径において比較的頑強に設計することができる。マスタシリンダのケーシングに半径方向外側で配置されている圧力室の面積部分は、半径方向内側に小さな面積部分を備えた全面積に対してほんの少しだけ小さいので、圧力室の半径方向内側にある構成スペースをスリーブのために使用することができる。
【0007】
流体静力学アクチュエータは、例えば自動車のパワートレインにおいて、例えば内燃機関と伝動装置との間に配置されている開放又は閉鎖するように加圧される摩擦クラッチ、伝動装置に配置されている、段を切り換えるためのシフト軸又はシフトドラム、ブレーキを操作するためのブレーキシリンダ等のスレーブシリンダ(Nehmerzylinder)といった構成部品の軸線方向の移動のための従属装置へ、圧力室内の圧力ポート及び圧力管路を介して予め規定可能な圧力を提供するための、制御ユニットによって制御されている供給装置として適している。
【0008】
この構成において、例えばマスタシリンダのケーシング及び電気モータのケーシングが、例えばアルミニウム又は他の軽金属及びこれらの合金を使用して加圧鋳造といった鋳造法により、又は例えばプラスチックを使用した射出成形法により製造されていることで一体に形成されていると、有利であってよい。ケーシングを一体に構成することにより部品数は減じられ、マスタシリンダと電気モータとの間においてケーシングに支持されているピストンでもって、2つのケーシングの安定性は、特に圧力室の加圧時に高められる。
【0009】
例えばピストンに負荷がかけられていない状態において、マスタシリンダと、圧力管路と、スレーブシリンダとの間のハイドロリックシステムにおける圧力媒体損失時に、又は圧力室とリザーバとの間の温度変動時に交換される圧力媒体を貯めるためのリザーバが、構成スペースを顕著に大きくすることなく流体静力学アクチュエータ内に組み込まれると、有利であることが分かった。例えば所定の直径の電気モータにおいて、マスタシリンダの直径を電気モータの直径に適合させることができる。この構成において、リザーバは圧力室の半径方向外側の環状室に設けられている。また、この環状室は、回動軸線の長手方向に位置する中空シリンダによって分断することができる。この中空シリンダには、例えば自動車における収納時に流体静力学アクチュエータが不都合に傾いた場合の別体の及び/又は他のリザーバのためのポート、又はリザーバ、ひいては無負荷状態における圧力室と周囲との差圧を補償するために、周囲との圧力補償のための蛇腹が設けられていてよい。
【0010】
スリーブが相対回動不能にかつ軸線方向に移動可能にケーシング固定式に取り付けられていて、ピストンがスリーブによって駆動されると、電気モータから軸線方向に離間されている、遊星転がり伝動装置のスリーブにおいて、特に有利であると分かった。この構成において、スリーブはケーシングにおいて長手方向に案内されていて、かつピストンに相対回動不能に結合されていてよい。したがって、軸線方向の構成スペースに対して突出しているギアスピンドルは電気モータによって駆動され、ギアスピンドルの位置は軸線方向に不動であるので、ギアスピンドルは、例えば軸線方向の全構成スペースに亘って延びていてよく、流体静力学アクチュエータの両端面において支承することでき、軸線方向に位置固定することができる。この構成において、流体静力学アクチュエータの長さは、ストロークのないねじ山付きスピンドルに合わせて設計することができ、スリーブのストロークは、ピストンのストロークと一致するので、軸線方向の構成スペースはスリーブの軸線方向の移動により増大することもなく、小型の流体静力学アクチュエータを提供することができる。
【0011】
一方で電気モータを電子的に整流されているモータとして設計することができるようにし、他方でギアスピンドルの回動運動を監視することができるようにするために、流体静力学アクチュエータには、ギアスピンドルの少なくとも一回の回動運動を検知するセンサ装置が設けられている。この構成において、センサ装置は、ホールセンサとして相対角を、又はインクリメンタルセンサとして磁石パルスの数を、ギアスピンドルの一回の回動角を介して検知することができ、角度は検知された磁石パルスの数から算出される。差角といった規定される基準点に合わせてインクリメンタルセンサを構成するために、適切な措置を講じることができる。例えば制御機器によって認知されるストッパが設けられていてよい。ホールセンサは改良された可能な配線に基づいて、有利にはケーシング固定式に配置されているセンサ部分と、このセンサ部分に対して可動な構成部材に配置されている1つ又は複数のセンシング磁石とから形成されている。こうしてギアスピンドルの周面に亘って分配されているセンシング磁石の数に応じて、若しくはセンシング磁石から形成される、磁石パルスを発生させる磁石セグメントから、ギアスピンドルの回動角の十分な角度解析が可能になる。
【0012】
電気的若しくは電子的なノイズ敏感性に基づき、前置電子機器のプリント基板に少なくとも1つのセンサが、流体静力学アクチュエータの運転データを検知するために配置されている。この構成において、プリント基板はセンサの最適な位置決め部に直接的に配置されていてよいか、又はこの領域において上記構成スペースが提供されていない場合には、信号の算出のために電子的でない値、例えば機械的又は内的な物理的な値を位置決めされたプリント基板の領域に導くことができる。
【0013】
ギアスピンドルの回動角を検知するために択一的に又は付加的には、例えばホールセンサによるスリーブ若しくはピストンのストロークの算出が有利であることが分かった。このために適切なセンサが、ケーシングとピストン若しくはスリーブとの間の領域に直接的に設けられていてよい。この構成においてケーブルは、必要に応じて設けられている、信号変換のための前置電子機器に向かってケーシングにおいて導かれるか、又はケーシングから導出される。特に構成スペースの理由から空間的に離されている前置電子機器において、センサが前置電子機器の近くに又は前置電子機器に位置決めされ、ピストン又はスリーブの運動がロッドを介してセンサに伝達されると、この種のセンサが電磁的に妨害されにくいという理由から有利であることがまた分かった。特にギアスピンドルの回動角の信号検知、及びピストンの軸線方向の移動から、場合によっては存在する、遊星転がり伝動装置の滑りを算出することができ、かつ補償することができる。
【0014】
圧力室へのピストンの作用を択一的に又は冗長的に算出するために、圧力室の圧力は、1つの圧力センサにより検知することができる。圧力室から空間的に離されている前置電子機器のプリント基板に配置されている圧力センサにより圧力を直接的に検知できるように、ケーシング内に、特にマスタシリンダと電気モータとの一体のケーシングおいて、圧力室に接続孔が設けられていてよい。この接続孔は前置電子機器にまで延びている。本発明の意図において前置電子機器は、マスタシリンダとは反対の、電気モータのケーシングの側に設けられていてよいか、又はケーシング若しくは流体静力学アクチュエータのケーシングの必要でないフリースペースに位置決めされていてよい。この構成において、前置電子機器が、電気モータ及びこの電気モータのケーシングの側から組み付けられた構成部材の組付け後に閉鎖するカバーの領域又はカバーに配置されていると、有利であることが分かった。この構成において制御機器に対する差込み接続部が、カバー又はケーシングに設けられていてよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る流体静力学アクチュエータを示す図である。
【
図2】以下の図面の断面図の断面線を記す、
図1に示した流体静力学アクチュエータの平面図である。
【
図3】
図1及び
図2に示した流体静力学アクチュエータの、断面線A−Aの長手方向に沿った断面図である。
【
図4】
図1及び
図2に示した流体静力学アクチュエータの、断面線B−Bの長手方向に沿った断面図である。
【
図5】
図1及び
図2に示した流体静力学アクチュエータの、断面線C−Cの長手方向に沿った断面図である。
【0016】
本発明を
図1〜5に示した実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0017】
図1に、電気モータ2のケーシング及びマスタシリンダのケーシングから一体に形成されているケーシング3と、圧力補償開口7を備えたカバーキャップ6により閉鎖されているリザーバドーム5を備えたケーシング区分4とを有する流体静力学アクチュエータ1を三次元的に示す。他のカバーキャップ11により閉鎖されている組付け開口12は、構成部材の組付け、及び、特に流体静力学アクチュエータ
(流体圧アクチュエータ)1のセンサ装置の機能検査のために働く。
【0018】
ケーシング3に、流体静力学アクチュエータ1を、例えば自動車の隔壁といった、ケーシング固定型の構成部材に固定するためのホルダ8が固定されている。さらにケーシング3に、マスタシリンダの圧力室に結合されている、スレーブシリンダ(図示せず)に対する結合部を形成する圧力管路10の圧力ポート9が、例えば迅速継手として取り付けられている。ケーシング区分は、ギアスピンドルを収容するための軸受を内側に有しており、補強リブ13により外側で補強されている。ケーシング区分4は、加圧鋳造法又は射出成形法により、アルミニウムといった軽金属の素材及び軽金属の合金又はプラスチックから製造されていてよい。
【0019】
図2に、リザーバドーム5及び組付け開口12を備えたケーシング区分4と、ケーシング3(
図1)に固定されているホルダ8と、圧力ポート9と共に、
図1の流体静力学アクチュエータの平面図を示す。断面線A−A,B−B,C−Cは、
図3,4,5に示す流体静力学アクチュエータの断面図の断面を明示する。
【0020】
図3に、流体静力学アクチュエータ1を
図2の断面線A−Aに沿った断面図において、電気モータ2のケーシング14及びマスタシリンダ16のケーシング15から一体に形成されているケーシング3と、このケーシング3に、例えばねじ止め、プレス嵌めされているか、又は溶接されて取り付けられたケーシング区分4と共に示す。
【0021】
電気モータ2のステータ17は、センタリングスリーブ18の半径方向内側に収容されている。このセンタリングスリーブ18は同時に、軸線方向に成形された軸受ドーム20によるギアスピンドル19のセンタリング及び支承を担う。ステータ17は、軸受ディスク21とセンタリングスリーブ18との間において軸線方向に緊締されていて、センタリングスリーブ18内に相対回動不能に収容されている。軸線方向において軸受ディスク21をケーシング3のストッパ22に位置固定し、センタリングスリーブ18自身をストッパディスク23、及びケーシング3に、例えばねじ止めされて結合されたカバー24により、センタリングスリーブ18は軸線方向に位置固定されている。
【0022】
ステータ17の半径方向内側に配置されているロータ25は、半径方向内側において軸線方向に軸受スリーブ26に不動に取り付けられていてかつセンタリングされている。軸受スリーブ26は、軸受ディスク21により軸線方向に不動にかつ回動可能に取り付けられている。このために軸受ディスク21の両側においてアキシャル軸受27、本発明においては針状ころ軸受が配置されている。この針状ころ軸受は一方で軸受スリーブ26の環状つば28と共に、他方で固定ディスク29により軸線方向において軸受スリーブ26に位置固定されているロータ25と共に軸受シートを形成する。軸受スリーブ26はギアスピンドル19と相対回動不能に、例えばギアスピンドル19に焼嵌めされて結合されているので、軸受スリーブ26ひいてはロータ25の半径方向のセンタリングは、ラジアル軸受30により、センタリングスリーブ18を介してケーシング3において行われ、また、ケーシングにおけるギアスピンドル19の軸線方向の支承は、軸受ディスク21を介して行われる。ギアスピンドル19の第2の支承は、ケーシング区分4の軸受ドーム32におけるラジアル軸受31により行われる。
【0023】
電気モータ2に対して軸線方向に離間して遊星転がり伝動装置33が配置されている。この遊星転がり伝動装置33は、ギアスピンドル19、スリーブ34、及びギアスピンドル19とスリーブ34との間を転動する遊星転動体35により形成される。ロータ25によって回転させられたギアスピンドル19の回転運動を、スリーブ34の軸線方向運動へ変更するために、スリーブ34の粗目の歯列37を介して噛み合う歯列36と、ギアスリーブの雄ねじ山39と噛み合う細目ねじ山38とが遊星転動体に設けられている。
【0024】
遊星転がり伝動装置33の半径方向外側にマスタシリンダ40が配置されている。このマスタシリンダ40は、スリーブ34により軸線方向に動かされるピストン41と、ケーシング15及びピストン41により形成され、圧力ポート9(
図1)を備えた圧力室42とを有する。ピストン41及び圧力室42は夫々、スリーブ34の周囲に環状に配置されている。圧力室42は、ピストン41とケーシング15との間に配置されている溝付き環状シール43,44により外方にシールされている。他の溝付き環状シール45が、ピストン41をケーシング区分4の内室に対してシールする。2つの溝付き環状シール43,44の間に、当接リング(Auflaufring)46が設けられている。ケーシング区分4はケーシング15に対して環状シール47によりシールされている。
【0025】
図示の実施の形態においてマスタシリンダ40は、完全に操作された状態において示されている。つまり、ピストン41は電気モータ2に向かって圧力形成するために、ピストン41が引っ張られた配置に該当する状態に移動するので、圧力の力回路は電気モータの外側に実現され、もってピストン41は実質的に軸線方向力によって自由に運転することができる。ピストン41を移動させるために遊星転がり伝動装置33によって軸線方向に加えられる力は、軸受ディスク21によってケーシング3において支持され、ピストン41によって圧力室42に加えられる圧力同様にケーシング3にも導入されるので、短い力回路が低い弾性でもって形成される。
【0026】
牽引・摩擦モーメントに基づくスリーブの回動を防ぐために、スリーブ34はケーシング15において回動に対してロックされた状態で収容されかつ案内される。このためにスリーブ34とケーシング15との間には長手方向案内部48が設けられており、この長手方向案内部48は、周方向に分布している1つ又は複数の長手方向溝から形成されていてよい。この長手方向溝内に、この長手方向溝に対して相補的な長手方向キーが半径方向に係合する。特に溝付き環状シール43,44の摩擦学的な挙動を改良するために、長手方向案内部48は少し螺旋状に形成することができ、例えば小さな度数の、例えば周方向における小さい角度成分を有することができる。
【0027】
ケーシング3内に一方の側から押し込まれ、次いでケーシングをこの一方の側からカバー24により閉鎖される構成ユニットを、ステータ17、ロータ25及び遊星転がり伝動装置33から形成することができる。他方の側からマスタシリンダ40が組み付けられ、ピストン41はスリーブ34と少なくとも軸線方向に不動に、例えばかしめられているか、係止されているか、又はスリーブ34に懸架されて結合される。
【0028】
図4に、
図2の断面線B−Bに沿った流体静力学アクチュエータ1の断面図を示す。この交角から、流体静力学アクチュエータ1が圧力室42を介して包囲されている流体静力学システムの運転のためのリザーバ49の配置が明確になる。このリザーバ49は、ケーシング区分4における圧力室42の半径方向外側において延在しており、当接リング46を介して画成される。リザーバ49及び圧力室42の体積の交換は、ピストン41の静止状態において行われ、ピストン41は
図4においては完全に操作された状態において示されている。静止状態においてピストン41は、このピストン41が溝付き環状シール43を通過して、リザーバ49が当接リング46に設けられている1つ又は複数の通路50を介して圧力室42に接続されるように、軸受ドーム32に向かって半径方向に移動する。この接続の開閉の移行を良好に制御するために、ピストン41にいわゆる複数の吸込み溝(Schnueffelnuten)51を設けることができる。
【0029】
リザーバ49に、リザーバドーム5が図示されていない個所で、例えば開口を介して結合されている。リザーバドーム5は、一方の側でリザーバ49と、他方の側で圧力補償開口7を介して周囲と接続しているベローズ52を有しているので、リザーバ49と周囲との差圧が補償される。
【0030】
さらに
図4に示されている断面図から、ケーシング3における圧力室42の軸線方向の延長部53が明確になる。この延長部53は端面側の段部53aにまで延在しており、この段部53aに前置電子機器(流体静力学アクチュエータ1の電気モータ2が配置されている側の端部に設けられている電子機器)(図示せず)が位置決めされているので、延長部は、前置電子機器のプリント基板に設けられていて、圧力室42ひいてはマスタシリンダ40の作動圧を検知するための圧力センサに直接的に通じていて、圧力センサは電気的な線路を用いずに使用することができる。
【0031】
図5に、センサ装置54を見える状態で、
図2の断面線C−Cに沿った流体静力学アクチュエータ1を示す。センサ装置54は、電気モータ2を制御しかつ給電し、センサによって検出された測定信号を処理しかつ/又は伝達するために必要な電子構成部材が配置されている、少なくとも電子的なプリント基板56から形成されている前置電子機器55に配置されていてよい。前置電子機器55は、ケーシング3又はカバー24を通じて案内されていてよいポート57を有し、かつ信号・給電線路を有し、外部の制御機器に接続されていてよい。前置電子機器55は、センタリングスリーブ18とカバー24との間に配置されていて、位置固定されている。
【0032】
図示の実施の形態においては、プリント基板56において流体静力学アクチュエータを制御するための全てのセンサを、ひいては接続線路を用いずに中央に位置決めするようになっている。このために圧力センサ58はプリント基板56に取り付けられ、圧力センサ58は
図4の接続孔といった延長部53に接している圧力を検知し、かつ延長部53をシールする。さらに、プリント基板56に配置されている回動角センサ59は、ギアスピンドル19の回動角を検知する。回動角センサ59はホールセンサであってよい。ギアスピンドル19には付属のセンシング磁石60が配置されている。ピストン41の軸線方向ストロークを検知するために、ピストン41にロッド61が懸架又は係止されて結合されている。このロッド61はケーシング区分4の案内部62において軸線方向に案内されていて、プリント基板56に接近する。これにより、プリント基板56に取り付けられていて、ケーシング3に形成されているフリースペース65内において延在している軸線方向距離センサ(単に示唆する)63は、この軸線方向距離センサ63に対して空間的に、例えば軸線方向に離間されている、ピストン41の軸線方向のストロークを検知する。軸線方向距離センサ63は、有利にはホールセンサとして形成されており、ロッド61に組付けられているセンシング磁石64との間隔に基づいて軸線方向距離を検知する。ロッド61の組付け及び軸線方向距離センサ63の機能検査のために、ケーシング区分4に、カバーキャップ11により閉鎖される組付け開口12が設けられている。
【符号の説明】
【0033】
1 流体静力学アクチュエータ
2 電気モータ
3 ケーシング
4 ケーシング区分
5 リザーバドーム
6 カバーキャップ
7 圧力補償開口
8 ホルダ
9 圧力ポート
10 圧力管路
11 カバーキャップ
12 組付け開口
13 補強リブ
14 ケーシング
15 ケーシング
16 マスタシリンダ
17 ステータ
18 センタリングスリーブ
19 ギアスピンドル
20 軸受ドーム
21 軸受ディスク
22 ストッパ
23 ストッパディスク
24 カバー
25 ロータ
26 軸受スリーブ
27 アキシャル軸受
28 環状つば
29 固定ディスク
30 ラジアル軸受
31 ラジアル軸受
32 軸受ドーム
33 遊星転がり伝動装置
34 スリーブ
35 遊星転動体
36 歯列
37 歯列
38 細目ねじ山
39 雄ねじ山
40 マスタシリンダ
41 ピストン
42 圧力室
43 溝付き環状シール
44 溝付き環状シール
45 溝付き環状シール
46 当接リング
47 環状シール
48 長手方向案内部
49 リザーバ
50 通路
51 吸込み溝
52 ベローズ
53 延長部
54 センサ装置
55 前置電子機器
56 プリント基板
57 ポート
58 圧力センサ
59 回動角センサ
60 センシング磁石
61 ロッド
62 案内部
63 軸線方向距離センサ
64 センシング磁石
65 フリースペース
A−A 断面線
B−B 断面線
C−C 断面線