(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0020】
図1は、本発明の特定の構成に従って、複数の割当てられた通信チャネルを介するデータ情報の転送をサポートする無線通信システムを示すブロック図である。多くの通信システムにおけるのと同様に、ユーザ間で無線帯域割当が競合する。したがって、無線通信10は、データ・スループット、および特定の用途ではデータ・スループットの高速バーストが最適化されるのが望ましい。
【0021】
本発明の特定の構成は、無線チャネル上を伝送するフィールド・ユニットの電力出力を制御して、同一の一般無線周波数帯を利用する別のフィールド・ユニットに最少の干渉しか与えないようにするという認識に基づいている。詳細には、伝送するフィールド・ユニットの電力出力レベルはできるだけ低く設定して、同一の基地局との通信を試みる別のフィールド・ユニットに干渉を与えないようにする。
【0022】
図示するとおり、通信システム10は、パーソナル・コンピュータ(PC)装置12−1、または携帯型PC12−2、ハンドヘルドのデータ対応無線電話12−H、個人用携帯情報端末(PDA)12−Mなどの他の種類の総称として顧客構内設備(CPE)32のようなデータ通信可能な複数の装置、およびページャ、自動車テレマティックス装置などの図示していないその他の装置(まとめて、ここではPCと称する)を有する。PC装置12−2,…,12−h,…,12−mは、それぞれ少なくとも1つの対応するフィールド・ユニットまたはアクセス端末24−1,24−2,…24−h,…,24−m、および対応する指向性アンテナ装置16−1,16−2,…,16−h,…,16−mを接続している。本明細書では、用語「フィールド・ユニット」を主として使用するが、「加入者ユニット」、「アクセス・ユニット」、「移動装置」等の別の用語を用いて、他の著者により同一装置を表すこともできる。
【0023】
中央に配置される設備は、基地局アンテナ18、ならびに無線送受信機と高速制御および処理能力とを有する、対応する基地局(本明細書では送受信基地局(BTS)とも呼ばれる)20を備える。
【0024】
基地局20および関連のインフラは、ネットワーク・ゲートウェイ22、インターネットのようなネットワーク33、およびネットワーク・ファイル・サーバ30との間のコネクションを提供する。
【0025】
好ましくは、通信システム10は、1つのノードから多数のノードへの無線通信システムへのデマンド・アクセスであって、これにより、PC装置は、順方向リンク40および逆方向リンク50を介して実現される双方向無線コネクションを含む論理コネクションに基づいて、ネットワーク・サーバ30との間でデータを送受信できる。すなわち、図示した1つのノードから多数のノードへの多重アクセス無線通信システム10に関しては、所定の基地局20が、携帯電話通信ネットワークと同様の方法で複数の別々のフィールド・ユニット24との通信をサポートする。したがって、システム10は、CDMA無線通信システムの基盤を提供でき、ディジタル情報は、複数の移動携帯電話ユーザとインターネットのような有線ネットワーク33の間を要求に応じて中継される。
【0026】
1つまたは複数のPC装置12が、それぞれケーブル13を介するEthernet(登録商標)方式コネクションのような適正な有線接続を介して対応するフィールド・ユニット24に接続される。
【0027】
各フィールド・ユニット24は、無線通信システムを用いて、このユニットに接続されたPC装置12をネットワーク・ファイル・サーバ30にアクセス可能にする。逆方向リンク50の方向では、すなわち、PC12からサーバ30方向に送信されるデータ・トラフィックについては、PC装置12は、例えば、インターネット・プロトコル(IP)レベル・ネットワーク・パケットに基づいて、フィールド・ユニット24に情報を送信する。次に、フィールド・ユニット24が、適正な無線コネクション・フレームで有線フレームすなわちEhernetフレームをカプセル化することにより、データ・パケットが通信システム10の無線リンク上を伝送可能になる。選択された無線プロトコルに基づき、適正にフォーマットされた無線データ・パケットは、フィールド・ユニット・アンテナ16を経由して基地局アンテナまでの逆方向リンク50を構成する無線チャネルの1つ上を伝送される。中央の基地局位置では、基地局20が次に無線リンクのフレーム化データ・パケットを抽出して、このパケットをIPフォーマットにフォーマットし直す。次にパケットは、ゲートウェイ22および任意の数またはタイプのネットワーク33を経由してネットワーク・ファイル・サーバ30のような最終宛先にルーティングされる。
【0028】
ある用途では、PC装置12で生成される情報はTCP/IPプロトコルに基づいている。したがって、PC装置12はインターネット上で利用できるwebページのようなディジタル情報に対するアクセスを有する。なお、別のタイプのディジタル情報も、本発明の原理に基づく通信システム10のチャネル上を伝送できる。別のタイプのディジタル情報の例は、ビデオおよびオーディオ・ストリーム等のような汎用データグラム・プロトコル(UPD)を用いて送信されるデータである。
【0029】
データ情報はまた、ネットワーク・ファイル・サーバ30からPC12に順方向で伝送される。この場合、ファイル・サーバ30で生じるIP(インターネット・プロトコル)パケットのようなネットワーク・データがネットワーク33上をゲートウェイ22を経由して伝送され、最後に基地局20に達する。逆方向リンクのデータ伝送について先に説明したとおり、無線順方向リンク40上の通信のために、IPパケットのような元のままのデータ(raw data)に適正な無線プロトコル・フレームを追加する。新しくフレーム化されたパケットは、次に、RF信号により、基地局アンテナ18およびフィールド・ユニット・アンテナ16を経由して意図する目標フィールド・ユニット24まで伝送される。該当する目標フィールド・ユニット24は無線パケット・プロトコル層を復号化し、パケットすなわちデータ・パケットを目的とするPC装置に送出する。このPCでは、IP層処理のようなさらなる処理を実行する。したがって、所定のPC装置12およびファイル・サーバ30は、IPレベルにおける論理コネクションの終端として見ることができる。基地局プロセッサ20と対応するフィールド・ユニット24の間に一旦コネクションが確立されると、PC装置12におけるユーザは、必要に応じて、データをファイル・サーバ30との間で送受信できる。
【0030】
逆方向リンク50は、アクセス・チャネル51、複数トラフィック・チャネル52−1,…52−m、およびメンテナンス・チャネル53などのさまざまなタイプの論理および/または物理無線チャネルを有する。逆方向リンク・アクセス・チャネル51は一般に、基地局20に対するコネクションの要求、および基地局20によるトラフィック・チャネルの割当の要求ために、フィールド・ユニット24が使用する。例えば、トラフィック・チャネル52は、必要に応じてユーザに割当てられる。逆方向リンク50で割当られるトラフィック・チャネル52は、フィールド・ユニット24から基地局20にペイロード・データを運ぶ。
【0031】
特に、基地局20とフィールド・ユニット24の間の所定のリンクは、所定の時点でこのリンクに割当られる複数のトラフィック・チャネルを有することができる。これにより、高速のデータ転送が可能になる。
【0032】
メンテナンス・チャネル53は、同期化、電力制御、チャネル品質報告、およびチャネル要求などの情報を運ぶのに用いられ、逆方向リンク50および順方向リンク40の両方上におけるディジタル情報伝送をさらにサポートできる。
【0033】
順方向リンク40はページング・チャネル41有することができ、基地局20はこのチャネル41を用いて、通信する1つまたは複数の順方向リンク・トラフィック・チャネル42が順方向リンク・データ伝送のために割当てられている、というような一般情報をフィールド・ユニット24に伝達する。順方向リンク40上のトラフィック・チャネル42−1,…42−nを用いて、ペイロード情報を基地局プロセッサ20から対応する目標フィールド・ユニット24に伝送する。
【0034】
メンテナンス・チャネル43を用いて、順方向リンク40上で、基地局プロセッサ20からフィールド・ユニット24に同期化および電力制御情報を伝送できる。さらに、ページング・チャネル41を用いて、逆方向リンク50の方向において割当てられたトラフィック・チャネル52をフィールド・ユニット24に伝達できる。
【0035】
順方向リンク40のトラフィック・チャネル42は、時分割多重化方式に基づき複数のフィールド・ユニット24間で共有できる。詳細には、順方向リンク・トラフィック・チャネル42は、選択的に所定数の周期的繰返しタイム・スロットに分割されて、基地局20から複数のフィールド・ユニット24にデータ・パケットを伝送できる。なお、所定のフィールド・ユニット24は、任意の時点で、使用用に割当られる複数のタイム・スロットを有することができ、または保有しないこともできる。
【0036】
したがって、フィールド・ユニット24は、アクセス・チャネル51のようなチャネル上でさまざまな種類のメッセージを基地局20に伝送できる。これより、アクセス・チャネル51は、フィールド・ユニット24から基地局20へのアクセス要求メッセージの伝送をサポートする必要がある。アクセス要求メッセージは、フィールド・ユニット24による、基地局コネクションを必要としているという要求を表すことができる。フィールド・ユニットがすでにコネクションを確立している場合、このユニットは送信準備完了のデータをすでに有しており、現在は、例えば、高速双方向通信リンクへのアクセスを必要としているという要求をアクセス要求メッセージが表すことができる。
【0037】
フィードバック・チャネル45は、基地局20がフィールド・ユニット24にフィードバック・メッセージを送信できる目的で提供されている。図示のように、フィードバック・チャネル45の少なくとも一部は、ブロードカスト・メッセージとしてフィールド・ユニット24群に一般メッセージを伝送するために確保される。これらメッセージは、オーバーヘッド、コール・セットアップ、無線チャネル割当、および伝送コード割当を有することができる。さらに、これらメッセージは、基地局20と通信するためにフィールド・ユニット24によって必要とされる他の情報のホストを有することができる。
【0038】
なお、このようなメッセージの1つの種類を用いて、フィールド・ユニット24の作動伝送電力レベルを制御することも可能である。この場合、フィールド・ユニット24は、基地局20から受信されたフィードバック情報に基づいて、後続のメッセージ伝送に対する電力出力レベルを調整できる。詳細には、フィールド・ユニット24は、フィードバック・チャネル45またはページング・チャネル41それぞれで受信されたフィードバック・メッセージに従って、目標電力出力レベルを調整できる。したがって、フィールド・ユニット24の電力出力レベルを最適化して、共通の無線周波数上で情報を伝送する他のフィールド・ユニット24との干渉を最少にできる。
【0039】
なお、フィールド・ユニット24は、少なくともアクティブ・モードおよびアイドル・モードを含む、いくつかの主要な作動状態の1つとなるように制御される。したがって、アクセス端末12のそれぞれは、アイドル・モードである時でさえも、逆方向リンク50上のメンテナンス・チャネル53を介して基地局20に同期化メッセージを周期的に送信する必要がある。同期化メッセージは、アクセス端末を少なくともアイドル状態に維持するのに十分な、時間追跡および電力制御情報の決定を可能にし、これにより、基地局20と同期化される。
【0040】
“CDMA2000”としてTIA(米国電気通信工業会)により公表された無線通信標準では、電力制御測定はBTS20においてしきい値と比較することによってなされ、次に、「アップ/ダウン」電力制御信号がフィールド・ユニット24に送信される。第3世代共同プロジェクト2(3GPP2)により提案されたインターネットCDMA(“I-CDMA”)システムのような別の提案システムでは、測定はBTS20でなされ、フィールド・ユニット24に送信され、その後、フィールド・ユニット24が電力制御レベル調整決定を行なう。
【0041】
基地局は順方向リンク40を介して電力制御メッセージに返答する。電力制御メッセージは電力制御コマンドまたは電力制御測定値を含み、これらコマンドは、後続メッセージの電力レベルを誘導して、アクセス端末24を基地局20との同期化状態に維持する。電力レベルは、基地局20またはフィールド・ユニット24に配置されたデータまたは信号プロセッサのいずれかで実行される電力レベル制御機能によって決定され、アイドルおよびアクティブ・データ伝送状態の両方の目標電力レベルを計算する。
【0042】
なお、フィールド・ユニット24は、いくつかの主要作動状態の1つになるように制御される。さらに詳細には、本発明は、加入者ユニットに接続されたコンピュータが電源オン状態であるが、現時点では実際にデータを送受信していないときなどのような、拡張されたアイドル期間の間、加入者ユニットと基地局との間の比較的多数の仮想物理コネクションを逆方向リンク上で効率的に提供する。これは、基地局20およびフィールド・ユニット24を同相および時間同期に維持できる、別の種類の制御メッセージを送信することによって達成される。
【0043】
いわゆるアイドル・モードにおいては、加入者ユニットは同期化「ハートビート」信号、パイロット信号またはメッセージを、逆方向リンク・メンテナンス53チャネル上で、加入者ユニットが基地局との同期を維持できさえすればよいデータ・レートで送信する。この信号の持続時間は、チャネルがさらに要求される可能性のある最大遅延に基づいて、基地局の受信機のコード位相固定回路(code phase locking circuit)のキャプチャまたはロッキング・レンジ(locking range)を含むいくつかの要因を考慮することによって決定されるか、要求される電力制御速度によって決定されるか、もしくは要求表示を送信するのに必要とされる速度によって決定されるか、またはこれらの組み合わせによって決定される。
【0044】
順方向リンク40および逆方向リンク50はさらに、フィールド・ユニット24がアクティブ・モードにあるとき、無線メッセージの伝送に用いるデータ・トラフィック・チャネルを備える。データ・トラフィック・チャネルは、アクセス端末12がデータを送信または受信するときに、基地局20によりアクセス端末12に割当てられる。以下に詳細に述べるように、データ伝送状態は、アクセス端末12にデータ・トラフィック・チャネルが割当られているか否かを示す。データ伝送状態がアクティブである場合、同期化メッセージまたは信号が、時間追跡および電力制御に加えて、データ・トラフィック・チャネル上で伝送されるメッセージに対する位相基準を提供する。
【0045】
しかし、時間追跡同期および電力制御のためのみに使用される同期化メッセージまたは信号は、アクティブ・データ伝送状態の間に位相基準を提供するのに用いられる、同期化メッセージまたは信号ほどの大きい電力を必要としない。したがって、同期化メッセージまたは信号はアイドル・データ伝送状態では、低電力レベルで送信できる。追加電力が、位相基準に対して使用される場合に、同期化メッセージまたは信号に対して提供される。
【0046】
したがって、同期化メッセージは、アイドル・データ伝送状態では、アクティブ・データ伝送状態に比べて低電力レベルで送信される。
図2は、メンテナンス・チャネル53を用いて同期化メッセージおよび/または信号を送信する方法の1つの可能な具体化を示す図である。この実施形態では、アイドル(データ・オフ)・データ伝送状態63の間、同期化メッセージおよび/または信号はゲーティング・レートに従ってゲート制御方式で送信される。1/4のゲーティング・レートが代表例として示されており、別のゲーティング・レートを用いることもできる。アクティブ(データ・オン)伝送状態65では、同期化メッセージおよび/または信号は連続的に送信される。ゲーティング期間に対するこの制御方式は、CDMA2000のようなシステムで使用される。
【0047】
本発明の特定の別の好ましい実施形態においては、メンテナンス・チャネル53をタイム・スロットに分割することにより、チャネルを複数ユーザで共用できるようにする。
図3は、同期化信号をこの方法で、タイム・スロットに分配する機能を示す図である。図は、このようにタイム・スロットに分割された逆方向チャネルの1つを示し、これはI-CDMAシステムで使用される。ここで、26msデータ・フレームが128のスロット70に分割されている。各スロットは、最大128のフィールド・ユニット24の1つに固有に割当てられる。
【0048】
この実施形態においては、計算により、いずれのユーザがいずれのタイム・スロットに割当てられるかを決定する。詳細には、
図4に示すとおり、ユーザ識別子62および複数のスロット64をモジュロ関数60に入力して、ユーザ・スロット66の番号を決定する。次に、得られたユーザ・スロット66を用いて、フィールド・ユニット(ユーザ)24を有効なタイム・スロットおよび/またはフレーム・オフセットに分配する。同一のモジュロ関数が、基地局20およびフィールド・ユニット24の両方で使用されることにより、基地局20およびフィールド・ユニット24が適正に連携して作動するようにする。計算されたユーザ・スロット66を用いて、所定のフィールド・ユニット24を、逆方向メンテナンス・チャネル上の特定のタイム・スロット70に組み合わせる。
【0049】
ユーザ識別子62は、ユニットの製造番号、またはメディア・アクセス制御層識別子(MAC_ID)のようなその他の番号に関連付けできる。全てのユーザ識別子62が異なる限り、ユーザは有効なタイム・スロット間に等しく分配され、それにより、干渉が減少する。
【0050】
しかし、ユーザが共通チャネル・コードを共有する、I-CDMAのようなシステムにおいては、複数の異なるユーザ24は同一のタイム・スロット70にマッピングされないように保証するように注意する必要がある。したがって、一般に、フィールド・ユニットがアイドル・モードに入るたびに、フィールド・ユニットに順序番号を割当てる必要がある。
【0051】
CDMA2000のような別のシステムにおいては、フィールド・ユニット24を異なる符号化チャネル上で同時に送信することができる。この場合、MAC_IDのような大きく、「ランダムな」数を用いて、タイム・スロット70を決定できる。
【0052】
図5は、CDMA2000システムで使用される可能性のある、ゲート制御される逆方向リンク・チャネルの詳細な図である。CDMA2000においては、フィールド・ユニット24は、信号トラフィックを均等に配分するために、ゲート・オン期間80〜83に配分される。CDMA2000はロング・コード・オフセットに基づいてユーザ24を識別するので、同一のゲート・オンのスロット80〜83に割当てられた複数ユーザ24を有することが問題を生じさせることはない。基地局20の受信機は、ユーザのロング・コードを検出することによって、ユーザをそれぞれ識別できる。このような通信システム22(例えば、CDMA2000)がゲート制御された逆方向データ・チャネルを使用する場合、各フィールド・ユニット24も異なるゲーティング・レートを有することができる。
【0053】
ここで、モジュロ関数60で生成されるモジュロ・ユーザ・スロット番号66を用いて、ゲート期間の1つを特定ユーザに割当てる。したがって、例えば、可能な4つのゲート・オン期間80〜83がある場合、その各々は対応する係数0,1,2、または3を有し、その係数に対し、任意のMAC_IDまたは他の識別子が、オフセット期間80〜83の特定の1つに対応付けされる。この方法では、フィールド・ユニット24はおおよそ均等にゲート・オン期間に割当てられる。
図6は、この概念をより詳細に示す。フレーム・オフセット・逆方向リンク・データ・チャネルを用いる通信システム22においては、計算されたユーザ・スロット66を用いて、フレーム・オフセット90を決定する。例えば、ユーザ1にはフレーム・オフセット90=0が割当てられ、一方、ユーザ2にはフレーム・オフセット=2が割当てられる。異なるフレーム・オフセットは、通信システム22内の通信の間の干渉の低減を可能にする。
【0054】
1つの好ましい実施形態においては、複数ユーザに対するメンテナンス・チャネル53のデータは、複数のフレーム・オフセット90全体に拡散され、これにより、メンテナンス信号データは低電力レベルで送信可能になる。ゲート制御トラフィック・チャネルに対してのような、別の実施形態においては、同様の方式を用いて利点を得ることができる。
【0055】
先に簡単に述べたとおり、好ましくは、同期化メッセージは制御された電力レベルで伝送される。電力レベルは基地局20によって管理され、電力制御メッセージによりアクセス端末12に送信される。アクセス端末12は、基地局により禁止された電力レベルで伝送することにより、応答する。基地局20は、アクセス端末が伝送すべき電力レベルを示す目標の電力レベル(以下で述べる)を計算する。一般に、電力レベルは、デシベル(dBm)で示す実効放射電力で表されるが、別の測定基準を用いることもできる。
【0056】
本発明の一実施形態においては、データ伝送状態がアクティブ(データ・オン)65に遷移すると、電力レベル67は増加し、同期化メッセージは位相基準に対しても使用可能になる。したがって、基地局はこれらデータ伝送状態のそれぞれに対して目標電力レベルを維持する。1つは、データ・オン伝送状態に相当するいわゆるアクティブ目標電力レベルであり、別の1つは、データ・オフ伝送状態に相当するいわゆるアイドル目標電力レベルである。
【0057】
図7はこの概念をより詳細に示す。期間46はデータ・オフ伝送状態に相当し、期間48はデータ・オン伝送状態に相当する。電力レベル67は同期化メッセージの電力レベルを示す。点線47で示すアイドル目標電力レベルは、データ・オフ伝送状態の間に同期化メッセージが送信されるべき電力レベルを示す。点線49で示すアクティブ目標電力レベルは、データ・オン伝送状態の間に同期化メッセージが送信されるべき電力レベルを示す。
【0058】
この最終結果を得るために、基地局20は、順方向リンク40で基地局20から送信される電力制御メッセージによって、アクセス端末24から送信されるメッセージの伝送電力を管理する。これにより、アイドルおよびアクティブ目標電力レベル51,52を調整する。アクセス端末24は、次に、アイドルおよびアクティブ目標電力レベル51,52を維持する。詳細には、アクセス端末24は、データ伝送状態が変化してアクティブおよびアイドル伝送電力レベルの間で切替わる時を決定し、対応する電力レベルに従って伝送する。基地局20はデータ伝送状態の変化を決定し(以下に述べる)、それに応じて電力制御メッセージを調整する。
【0059】
データ伝送状態は、伝送がアクティブまたはアイドル電力レベルのいずれで実行されるかに影響を与えるが、別の要因もまた検知される電力レベルに影響を与える。アクセス端末24から基地局20までの距離、介在物体、他の発生源からの干渉、および他の要因すべてが、無線メッセージの検知電力レベルに影響を与える可能性がある。したがって、基地局20は、受信メッセージの電力レベルを示す受信信号品質を検査し、これにより電力制御メッセージを計算する。アクセス端末24からのメッセージが低すぎる検知電力レベルで受信されている場合、基地局は高い電力レベルで伝送すべきことを示す電力制御メッセージを伝送する。同様に、アクセス端末24からのメッセージが高すぎる検知電力レベルで受信される場合、基地局は低い電力レベルで伝送すべきことを示す電力制御メッセージを伝送する。このように、基地局は目標電力レベルに焦点を合わせて、アクセス端末から伝送されるメッセージの電力レベルを管理する。
【0060】
したがって、アクセス端末24がデータ伝送状態を変更すると、基地局は異なる電力レベルでメッセージを受信する。基地局は電力レベルの変化がデータ伝送状態の変化に起因するものであって、前述の他の要因に起因しないことを判断し、これによりアイドルおよびアクティブ電力レベルの計算を続行する。アクセス端末24はまた、データ伝送状態を切り換えた後の所定の期間は電力制御メッセージを無視する。したがって、アクセス端末は、電力制御メッセージを送信してくる基地局26には構わずに、アクティブおよびアイドル電力レベルの間を切り換えることができる。ただし、この電力制御メッセージは、他の点では電力が低減された同期化メッセージの伝送を阻む可能性がある。
【0061】
図1を再度参照して、アクセス端末24は、最初に、逆方向リンク・トラフィック・チャネル52上を伝送される準備のできたデータが存在するか否かを判断する。データ伝送状態を設定するか維持するかのチェックが実行される。伝送を待つデータが存在しない場
合、アクセス端末24はアイドルのデータ送信状態に入るかまたはアイドルのデータ伝送状態を維持する。伝送を待つデータが存在する場合、アクセス端末24はアクティブのデータ伝送状態に入るかまたはアクティブのデータ伝送状態を維持する。
【0062】
アイドル・データ伝送状態では、アクセス端末24はメンテナンス・チャネル53上の伝送電力レベルをアイドル目標電力レベルに設定する。次に、アクセス端末はアイドル状態メッセージのゲーティング・レートを確認する。アイドル・モードでは、前述のように、メッセージは、例えば1/4,1/2または1のようにゲート制御され、すなわち周期的に送信される。ゲーティング・レートは、次の同期化メッセージを送信する前の周期的遅延を発生させる。
【0063】
アクティブ・データ伝送状態では、アクセス端末24は、伝送電力レベルをアクティブ目標電力レベルに設定する。次に、アクセス端末はメッセージを連続するように、つまりゲート制御せずに設定する。
【0064】
次に、アクセス端末24は同期化メッセージまたは信号を基地局20に送信する。基地
判断されたデータ伝送状態を検査するためにチェックを実行する。データ伝送状態がアイドルである場合、基地局は新しいアイドル目標電力レベルを計算または維持する。データ伝送状態がアクティブである場合、基地局は新しいアクティブ目標電力レベルを計算する。次に、基地局20は計算した目標電力レベルを示す電力制御メッセージをアクセス端末24に送信する。
【0065】
アクセス端末24は、新しい目標電力レベルを含む電力制御メッセージを受信する。次に、アクセス端末24は、送信の準備がされたデータがトラフィック・チャネル上に存在する場合、ゲーティング・レートに従って次の同期化メッセージまたは信号を送信する時を判断し、前の判断ステップへ制御を戻す。ゲート制御方式では、アクセス端末24は、ゲーティング・レートに従って周期的に同期化メッセージまたは信号を送信する。したがって、
図3の上部に示すように、アクセス端末24は、各経過時間である1.25msの電力制御グループ期間を1つ以上の間待機し、その後に次の同期化メッセージまたは信号を送信する。一方、アクティブ・データ伝送状態では、
図2に示すように、同期化メッセージまたは信号は連続的に送信される。
【0066】
基地局20はアクセス端末24から同期化メッセージまたは信号を受信する。基地局は、アクセス端末24のデータ送信状態を判断するのに使用する測定基準を判断する。アクセス端末がデータ伝送状態をアクティブとアイドルの間で切換えるため、基地局は、同期化メッセージまたは信号を受信すると、そのメッセージまたは信号から現在のデータ伝送状態を決定する。それに応じて、次に、基地局20は電力制御メッセージに反映される目標電力レベルの設定を試みる。
【0067】
基地局20は同期化メッセージまたは信号の受信品質レベルを検査して、このメッセージまたは信号が送信された電力レベル、およびこれによりアイドルまたはアクティブのいずれのデータ伝送状態であるかを判断する。前述のとおり、アクセス端末24は、データ伝送状態に応じて、アイドルまたはアクティブ電力レベルのいずれかで伝送する。しかし、基地局20は、目標電力レベルを調整して、アクセス端末伝送が基地局20で均一に受信されるようにする。したがって、基地局20はリンク品質測定基準に基づいて伝送品質を判断する。受信品質レベルはアクセス端末24によって使用される伝送電力に加えて他の要因、例えば、雑音、干渉、反射などの影響を受ける可能性があるため、別の測定基準を用いて、受信信号品質を評価し、送信電力レベルを判断することもできる。
【0068】
代わりに、基地局は周期間隔に従って、個別のデータ伝送状態表示を受信することができる。この所定の間隔はゲーティング・レートに従ってもよく、または以下に述べるように、基地局とアクセス端末によって取り決められた所定の間隔に従うこともできる。
【0069】
基地局20はまた、同期化メッセージに組み込まれたデータ伝送状態を受信できる。同期化メッセージに組み込まれた検出可能な信号は基地局で検出され、これを使用して、基地局において、データ伝送状態および関連する目標電力制御レベルを設定する。別の実施形態においては、基地局は物理層状態変化を用いて、データ伝送状態を判断する。物理層状態変化遷移は同期化メッセージ内の信号によって表される。基地局は、以下に述べるとおり、物理層状態変化を検出し、これにより、データ伝送状態を設定する。
【0070】
別の実施形態では、他の方法を用いて、基地局20でデータ伝送状態の変化を検出できる。したがって、基地局20は同期化メッセージまたは信号からデータ伝送状態を判断でき、これにより基地局自体の指標を設定する。目標電力レベルの判断にこの指標を使用して、電力制御メッセージを設定する。目標電力レベルに影響を与える他の要因には、受信電力レベルに加えて、C/I(搬送波対干渉)比またはSNR(信号対雑音比)が挙げられる。アクセス端末24におけるアイドルまたはアクティブのデータ伝送状態に応じて、目標電力レベルが判断されると、制御は前のデータ伝送状態の判断ステップに戻る。
【0071】
図8は、電力制御設定値を2つの異なるレベルに維持するために、基地局20とフィールド・ユニット24の間に実現されたこの電力設定値制御ループを示す。一般に、各設定値は2つの別々の信号方式にそれぞれ対応付けられる。例えば、第1パイロット設定値100はパイロット・チャネルに対応づけられ、第2ゲート制御パイロット設定値110はゲート制御パイロット・チャネルに対応付けられる。フィールド・ユニット24または基地局20は、フィールド・ユニット24が現在送信しているチャネルに応じて、パイロット設定値100またはゲート制御パイロット設定値110の値のいずれかを選択する。これらの値はBTS20からフィールド・ユニット24に提供されるか、またはBTS20により提供されるパラメータからフィールド・ユニット24によって判断される。これらチャネルをアクティブにする前に、例えば、パイロット設定値またはゲート制御パイロット設定値がアクセス・チャネルまたはページング・チャネル上でBTS20からフィールド・ユニットに提供され、その後、フィールド・ユニットは、コール・セットアップの間のような、アクティブ・モードに入ることができる。これらの値は、基地局のアンテナ、受信機(検出器)150、フィルタ152、およびA/Dコンバータ154を通してBTS20で得られる測定値から導き出される。A/Dコンバータ154により提供される値は一般に、ミリボルトを基準にするデシベル(dBm)表に当てはめられ、受信電力測定値が得られる。別の実施形態では、信号対雑音(SNR)または搬送波対干渉(C/I)を用いて、逆方向リンク電力を制御する。次に測定値は、フィールド・ユニット24が伝送するモードに従って、2つの設定値100または110の一方と比較される。1つの好ましい実施形態(CDMA2000)においては、比較は基地局20においてなされる。別の好ましい実施形態(I-CDMA)においては、比較はフィールド・ユニット24においてなされる。
【0072】
1つの好ましい実施形態(CDMA2000)においては、測定値と設定値との比較の結果は、基地局20内の積分器122に供給される。別の好ましい実施形態(I-CDMA)においては、測定値と設定値との比較の結果は、フィールド・ユニット24内の積分器122に供給される。設定値レジスタから利得ブロック120への経路および積分器122からdB−電圧表128までの経路に接続された切換器118および124が、特定のアクティブ・チャネルに応じて選択される。切換器124および118が同時に切換えられる場合(基地局20およびフィールド・ユニット24の両方が状態変化を認識する場合)、積分器122は現在の伝送を維持するのに必要な電力レベルの増減の影響を受けない。dB−電圧表128は、積分器122により保持される積算誤差信号(integrated error signal)を、D/Aコンバータ130に供給できる電圧値に変換する。パイロット・チャネルまたはゲート制御パイロット・チャネルのそれぞれに供給される信号に対応する伝送波形が、波形発生器132により生成される。次に、これら信号は、複合の同相(I)および直交(Q)変調器134に供給され、さらに可変利得増幅器140への入力信号として提供される。可変利得増幅器の利得設定は、DAC130により与えられる。次に、結果として得られる利得制御信号は出力電力増幅器142に供給され、その後フィールド・ユニット・アンテナに供給される。
【0073】
この方法においては、異なる電力レベル設置値を異なるチャネルに対応付けできる方法を見ることができる。例えば、設定値100または110はそれぞれ、別の種類のチャネルに対応付けできる。
【0074】
図9は、アイドル・モード・コネクションを維持する方法のフローチャートであり、識別子およびモジュロ関数を用いて、コード位相内のスロットまたはフレーム・オフセットを割当てる。スロットが割当てられると、フィールド・ユニット24は信号を逆方向リンク上で伝送できる。3GPP2により公表された1xEV DV提案に記載されるようなシステムにおいては、順方向リンク上で共通のパケット・データ・チャネルを利用するアクティブ・ユーザごとに固有のIDが存在する。これらはMAC_IDと呼ばれる。
【0075】
本発明の1つの実施形態は、フィールド・ユニットに割当てられるMAC_IDを用いて、制御保持ゲート制御モードの間フィールド・ユニット24(ユーザ)を逆方向リンク上の特定の時分割多重化(TDM)スロットに「ハッシュ(hash)」する。MAC_IDを用いて、ユーザがゲート制御モードに対して使用可能な有効タイム・スロットの1つまたは有効フレーム・オフセットの1つを選択する。BTS20は、フィールド・ユニットとBTS20にコネクションが確立されるごとに、MAC_IDを割当てできる。これらMAC_IDは、フィールド・ユニットのコネクションが切断されるまで、通信セッションを通して使用できる。BTS20は全てにチャネル割当を制御するため、タイム・スロット割当などを認識している。
【0076】
すべてのMAC_IDは異なるため、ユーザはTDMA方式で配信され、その結果干渉が低減する。フレーム・オフセットを用いて、セル・サイトとPSTNの間の音声回路のバックホール負荷を管理できる。フレーム・オフセットはまた、何人かのユーザの間のゲート・オン期間にオフセットを与えて、干渉を防止する効果も有する。本発明は、いずれのフィールド・ユニットをいずれのスロットに割当てるかの決定から、フレーム・オフセットの切離しを提供する。
【0077】
各フィールド・ユニット24には、固有でフィールド・ユニット24を一意的に定められるMAC_IDが割当てられる。MAC_IDを利用し、これにモジュロ関数を適用することで、その結果をフレーム・オフセットまたはゲート・オンおよびゲート・オフする時間周期の定義のいずれかに使用することにより、フィールド・ユニット24のユーザ間のTDM特性は保証される。モジュロは、いくつのTDMスロットまたはフレーム・オフセットが確定されているかに基づいて決定される。モジュロ関数の結果は、すべての伝送に使用でき、すなわち、アイドル(パイロット伝送)、オーバーヘッド信号を有する伝送、またはユーザ・ペイロード伝送に使用できる。異なるモジュロ関数が、フィールド・ユニットのゲーティング・レートに応じて異なるフィールド・ユニット24に適用される。一般に、MAC_IDの割当は、逆方向リンク上のTDM効果に関してなされる。MAC_IDは、順番に割当てられるか、各スロットの占有数の生成に基づくか、または最少の占有モジュロ状態への追加を得るために常に次のMAC_IDが割当てられるかである。MAC_IDは周期的に再割当てされて、TDMスロットに対するユーザのピーク数を最少にして少数のユーザにすることができる。
【0078】
例えば、システムに5つのフィールド・ユニットを有する、4のゲート(1/4のゲーティング・レート)の(CDMA2000におけるような)システムを仮定する。ユーザ1はMAC_ID1を割当てられ、その結果、ユーザ1は1 Mod 4=1で確定されるゲート・オン期間(またはフレーム・オフセット)を割当てられる。ユーザ2,3および4はそれぞれ、MAC_ID2,3および4を割当てられる。ユーザ5は5 mod 4=1、すなわち第1フィールド・ユニット24と同一のフレーム・オフセットを得る。このように、時間全体にわたり、フィールド・ユニット24は均一に分配されて、空きのスロット数が、空きのスロットを得るために競う全てのフィールド・ユニット24に均等に分配される傾向になるようにする。基地局20の受信機部分で同様の方法を使用し、いずれのフィールド・ユニット24がいずれの特定タイム・スロットで伝送されるかを決定する。
【0079】
図9のフローチャートに示すとおり、遠隔(移動)またはいわゆるフィールド・ユニット(SU)とBTSとの間のアイドル・モード・コネクションを維持する方法を、ステップ402に示す、特定のSUに対応する識別子(例えば、MAC_ID)を決定することを含む。識別子は固有であり、そのSUを一意に定められる。ステップ404では、モジュロ関数を識別子に適用し、その結果を用いて、フレーム・オフセットを計算するか、またはいずれの時間周期がゲート・オンでいずれの時間周期がゲート・オフ(スロット)かの確定を行い、ステップ406に示すように、メッセージを送信するときに、共有チャネルの各ユーザ間での時分割(TDM)特性を保証する。
【0080】
図10は、電力レベルを調整するために、明示的状態変化を要求して、検出することにより、アイドル・モード・コネクションを維持する方法のフローチャートである。状態変化の検出により、状態に応じて異なるレベルの電力制御目標に調整することができる。例えば、フィールド・ユニット24はC/Iビット(オーバーヘッド)またはユーザ・データ・ペイロードのようなデータが存在するときは、パイロット・チャネル上で、高電力レベルで伝送し、データが存在しないときは逆である、ことが望ましい。これにより、データが通過しないときに、逆方向リンク上でのフィールド・ユニット24間の干渉を低減できる。このように、受信データを常に検出してBTSにおける電力レベル目標を切り換えるのではなく、本発明は最初に物理層状態変化の信号を送り、その後、電力制御目標を切り換える。
【0081】
状態変化の信号伝達および検出は、層1(L1)または層2(L2)の信号伝達を含む、任意の便利な方法で実行できる。先に簡単に述べたとおり、一定の無線データ・システムは少なくとも2つの主要な伝送状態、すなわちアクティブおよびアイドルを有する。CDMA2000は、逆方向リンク上に、アクティブ、制御保持、および休止を含むいくつかのMAC状態を有する。状態間の遷移はネットワーク標準で定義された特定信号を用いて実行される。I-CDMAシステムにおいては、状態は、アクティブ、スタンバイ、およびアイドルである。これらの状態は、CDMAにおける遷移が層2信号伝達(メッセージを使用する)を用いて実行されるのに対して、I-CDMAにおいては、遷移の一部が物理層信号伝達(層1)によって要求されることを除いて、ほぼ類似する。物理層信号伝達は、例えば、各メンテナンス・チャネル・タイム・スロットにおいて「ハードビート」または「要求を伴うハートビート」を送信することによる。
【0082】
図10に示す実施形態においては、アクティブになる状態変化は明示的に信号伝達される。この信号伝達は、「要求を伴うハートビート」または別の方法(例えば、上述のようにパイロット信号のゲート制御されたモードからゲート制御されないモードに移ること)を用いることを基本として物理層においてなされるか、または、変調されたメッセージ(層2)として送信される。
【0083】
この場合、電力制御目標値は制御保持状態とアクティブ状態とでは異なる。目標値は、データ・ペイロードの存在または存在の可能性により変化するが、データそのものを検出する必要がない。状態変化の表示のみが信号伝達から検出され、電力制御目標値の変化を表す。この場合、データはこの新しい制御保持状態では送信されず、状態変化時に、信号伝達および可能なペイロード・データが送信される。したがって、電力制御目標値はBTSで異なる。
【0084】
本発明の好ましい実施形態では、ステップ502に示すとおり、状態変化が必要とされるか否かを判断する。次のステップ504では、フィールド・ユニット24は物理層における状態変化の要求の表示(例えば、要求を伴うハートビートまたはゲート制御からゲート制御されないパイロットなど)を伝送する。ステップ506では、この状態変化は、物理層表示を検出することにより、検出される。ペイロードなしすなわち信号伝達を運んでいる状態から、ペイロードすなわち信号を運んでいる状態に変化すると、ステップ508に示すとおり、電力制御目標値はBTS20で変化する。状態を変更するためにオーバーヘッド要求が検出され、状態をペイロードなしの信号を運んでいる状態からペイロードありの信号を運んでいる状態に変更すると、BTS20において電力制御目標値が変化する。
【0085】
したがって、本発明により、ゲーティング期間の間にBTS20により維持される電力制御設定値が変更可能になり、その結果、フィールド・ユニット24の出力電力は、トラフィック・チャネルを単にオフに調整するよりもさらに減少する。
【0086】
図11は、所定の間隔を用いて、調整された電力レベルでメンテナンス・データを伝送する、アイドル・モード・コネクションを維持する方法のフローチャートである。前述のように、提案された1xEV DVシステムにおいては、制御保持状態の間に、特定の信号が周期的に送信される場合がある。これは周期的で所定の副次状態変化と定義される。制御保持モードのこのような副次状態の1つは、例えば、固定間隔で周期的に送信される、伝送の搬送波対干渉(C/I)情報(または他の信号)を含む。この間隔は、電力制御およびパイロット伝送レートに比べて低速ではあるが、事前に知られている。例えば、全部で4つのパイロット伝送の内の1つはC/I情報を含むと定義できる。この場合、他の無信号の副次状態の間、パイロット電力を自動的に低下させるのは有利である。
【0087】
フローチャートに示すとおり、第1状態602においては、副次状態変化idの所定の間隔を求める。次にステップ604に示すとおり、この間隔はフィールド・ユニット24および基地局20の両方に通信される。これは、移動ユニットと基地局BTSの間で事前に取り決められ、同意および調整された条件として、またはメッセージ交換により、起こる。次にステップ606において、BTSは、C/Iオン期間に対する非C/I期間の間に、電力制御目標値を変更し、これにより電力制御ビットを生成する。次にステップ608に示すとおり、メッセージは調整された電力レベルで伝送される。さらに、ステップ610のとおり、基準信号品質レベルが調整された電力レベルで伝送されるメッセージに応答して調整される。
【0088】
この方法すべての必要事項は、信号オン期間と信号オフ期間の間の電力伝送ステップがフィールド・ユニットおよびBTSの両方で認識されているという、特定の前提同意である。この方法においては、フィールド・ユニット24およびBTS20は、周期的および相互同意の動的目標値を決定できる。次に、電力制御グループまたは周期的間隔におけるステップにより、フィールド・ユニット24が「オン」期間中にそのパイロット電力伝送を自動的に増加する。
【0089】
したがって、このような周期的間隔は、オーバーヘッドまたはユーザ・ペイロード・データが伝送されない時間中に発生する。周期的間隔は一般に、1(無し),2,1/4,1/16等のような電力制御グループの増加に分類されるが、BTS20およびフィールド・ユニット24により同意される任意の所定の間隔にもできる。
【0090】
調整は一般に、電力制御メッセージに添付されるハートビート信号にカプセル化されるような、BTSとフィールド・ユニットの間のメッセージ形式か、または別個のメッセージである。当業者には、BTSとフィールド・ユニットの間の調整を維持する別の機構が実現可能である。このような機構は所定のサイクルを可能にし、所定の間隔で同意の間、フィールド・ユニットは追加の電力レベルで伝送し、固定ステップに従って、BTSは比例して目標電力制御レベルを増加し、この間隔の間の同期化を維持する。
【0091】
特定の逆方向リンク・チャネルの種類に対する電力制御目標値は、現在使用しているチャネルに基づき変更できる。逆方向リンク・パイロットをC/I信号送出に用いる場合、電力は増加できる。また、逆方向リンク・パイロットをBTS20とのタイミングおよび電力制御の維持のみに用いる場合、電力は減少できる。
【0092】
所定の副次状態間隔のようなパラメータがいくつかの異なる方法で制御される(ステップ604)。CDMA2000においては、ネゴシエーションが一般に、コール・セットアップまたは任意選択のサービスの間のいずれかで発生し、ゲート制御期間、信号伝達期間等において、BTS20およびフィールド・ユニット24が動的電力制御ステップを処理する方法を決定する。一般にフィールド・ユニット24は送信容量のリストをBTS20に送り、BTS20はそのリストの実行可能性を検討し、最低限の共通一般水準をフィールド・ユニット24に送り返す。他のパラメータは、BTSにより同期化およびページング・チャネル上でブロードキャストされる。フィールド・ユニット24はこれらパラメータを用いて、BTSと情報を交換する方法を決定する。
【0093】
前述の実施形態は、説明したとおり、アイドルおよびアクティブの2つの電力制御レベルを含む。しかし、フィールド・ユニット24と基地局20の間に、複数の電力レベルしきい値を維持することもできる。したがって、本発明を用いることにより、各レベルで使用される信号伝送容量レベルに応じて、複数レベルのスタンバイすなわちアイドル状態を実現でき、これにより、干渉を最少にし、アクセス端末24と基地局20の間の同期化を維持する。
【0094】
当業者には、本明細書で定義した同期化メッセージ電力制御のシステムおよび方法を、多くの形式の無線デバイスに適用できることが容易に理解されるであろう。これらの形式には、a)ROMデバイスのような書込み不可能な記憶媒体に永久に格納された情報、b)フロッピー(登録商標)・ディスク、磁気テープ、CD、RAMデバイス、ならびに他の磁気的および光学的媒体などの書込み可能な記憶媒体に変更可能に格納された情報、またはc)例えばベースバンド信号方式もしくはブロードバンド信号方式を利用して、インターネットもしくは電話モデム回線などの電子ネットワークにおけるような、通信媒体を介してコンピュータに伝送される情報、が含まれるが、これに限定されるものではない。動作および方法は、プロセッサで実行可能なソフトウェアにおいて、または搬送波に埋め込まれた命令セットとして実現できる。代わりに、動作および方法は、ASIC(特定用途向け集積回路)、自動機械、コントローラもしくは他のハードウェア構成要素(ハードウェア装置)、またはハードウェア、ソフトウェアおよびファームウェア構成要素の組合せのような、ハードウェア構成要素を全体または一部に使用して具体化できる。
【0095】
本発明を好ましい実施形態により図示し、説明してきたが、当業者には、添付の特許請求項に定義された本発明の範囲から逸脱することなく、形態または細部に各種の変更を加えるのが可能であることは理解されるであろう。