(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記読取部が行う読取処理は、シートの画像を保存するための第2読取処理をさらに含み、前記読取部が第2読取処理を行う場合、前記制御部は、前記入口ローラの回転速度を前記出口ローラの回転速度以下に設定する請求項1に記載の画像読取装置。
前記搬送路上を搬送されるシートの搬送経路を変更するため、搬送路に対して前記読取部へ接近する方向又は離間する方向へ移動可能な押し当て部材をさらに有する請求項2に記載の画像読取装置。
前記読取部が前記第2読取処理を行う場合、前記制御部は、前記押し当て部材を前記読取部へ接近させた第1の位置へ移動させ、前記搬送されるシートを強制的に前記読取部に接近させる請求項3に記載の画像読取装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明を実施するための実施形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
【0009】
以下に第1の実施形態について
図1乃至
図4を参照して説明する。本実施形態の画像読取装置は、消去装置の読取部として使用される。
【0010】
消去装置は、消色可能トナーや消色可能インク等の消色可能な色材により画像を形成された記録用紙等のシートに対し、画像の色を消す消色処理を施す。消色可能な色材は、呈色性化合物、顕色剤、消色剤を含む。呈色性化合物は、例えばロイコ染料が挙げられる。顕色剤は、例えばフェノール類が挙げられる。消色剤は、加熱されると呈色性化合物と相溶し、顕色剤と親和性を有さない物質が挙げられる。消色可能な色材は、呈色性化合物と顕色剤との相互作用により発色し、消色温度以上の加熱により呈色性化合物と顕色剤との相互作用が絶たれるため、消色する。以下、消色可能な色材を単に記録材料と呼ぶ。
【0011】
以下に、本実施形態の消去装置の構成及び動作について説明する。
【0012】
図1は、第1の実施形態における消去装置100の構成を説明する断面図である。消去装置100は、給紙トレイ110、給紙部材120、読取部130、消去部150、第1トレイ160、第2トレイ170、排出部材180、第1搬送路190、第2搬送路195、第3搬送路200、第4搬送路205、第1分岐部材210、第2分岐部材215、分岐点220、合流点225、操作部240及び複数の搬送ローラ286を有する。
【0013】
給紙トレイ110は、再利用させるシートを積載する。再利用させるシートは、例えば、記録材料で画像形成されたシートである。尚、シートはA3、A4、B5等、様々なサイズであって良い。給紙部材120は、ピックアップローラ、シート供給ローラ、及びシート供給ローラに対向配置される分離ローラ等を有する。給紙部材120は、給紙トレイ110上のシートを1枚ずつ消去装置100内部の第1搬送路190へ搬送する。
【0014】
給紙トレイ110は、給紙トレイ110上のシートの有無を検知する検知センサ112を有する。検知センサ112は、例えば、マイクロセンサやマイクロアクチュエータであって良い。
【0015】
第1搬送路190は、入口ローラ282及び出口ローラ284を有し、給紙トレイ110から、後述する第2搬送路195が分岐する分岐点220までの搬送路を形成する。入口ローラ282は、第1搬送路190に沿って設けられた後述する読取部130よりもシート搬送方向上流(以後、単に上流とする)に位置し、給紙されるシートを読取部130へ搬送する。出口ローラ284は、読取部130よりもシート搬送方向下流(以下、単に下流とする)に位置し、読取部130から搬送されるシートを分岐点220へ搬送する。尚、本実施形態の入口ローラ282及び出口ローラ284は、例えば、それぞれ駆動ローラと従動ローラで構成される。
【0016】
読取部130は、第1搬送路190に沿って給紙トレイ110の下流に配置される。読取部130は、例えば、第1搬送路190を挟んで対向して位置する第1読取ユニット132a及び第2読取ユニット132bを有する。第1読取ユニット132a及び第2読取ユニット132bは、搬送されるシートの第1面の画像及び裏面である第2面の画像を読み取る。すなわち読取部130は、第1読取ユニット132a及び第2読取ユニット132bにより、第1搬送路190を搬送されるシートの両面の画像を読み取る。
【0017】
第1分岐部材210は、読取部130の下流で第1搬送路190の分岐点220に配置される。第1分岐部材210は、読取部130を出て分岐点220へ搬送されるシートの搬送方向を切り替える。第1分岐部材210は、第1搬送路190を搬送されるシートを第2搬送路195又は第3搬送路200へ選択的に振り分ける。
【0018】
第2搬送路195は複数の搬送ローラ286を有し、分岐点220において第1搬送路190より分岐する。さらに、第2搬送路195は、読取部130よりも上流に位置する合流点225において、第1搬送路190と合流する。すなわち、第1搬送路190と第2搬送路195は、分岐点220および合流点225を介して循環する搬送路を形成する。第2搬送路195には、後述する消去部150が配置される。従って、循環する搬送路は、読取部130から搬送されてきたシートを、消去部150を経由して、再び、読取部130へ搬送することを可能とする。言い換えれば、消去装置100は、給紙部材120から供給されたシートを、第1分岐部材210を制御して、読取部130、消去部150、読取部130の順に搬送する。
【0019】
消去部150は、例えば、第1消去ユニット152aおよび第2消去ユニット152bを有し、この両ユニットは、
図1に示すように第2搬送路195に沿って対向して配置され、搬送されるシート両面の画像の色を消す消色処理を行う。以下、消色処理の説明を行う。消去部150は、例えば、搬送されるシートへ接触した状態でシートを消色温度まで加熱することにより、記録材料によりシート上に形成された画像の色を消色する。消去部150の第1消去ユニット152aは、シートの一方の面側からシートへ当接して加熱する。第2消去ユニット152bは、シートの他方の面側からシートへ当接して加熱する。すなわち、消去部150は、搬送されるシート両面の画像を一度の搬送で消色する。
【0020】
操作部240は、例えば、タッチパネル式の表示部と各種の操作キーとを有し、消去装置100本体の上部に配置される。操作キーは、例えば、テンキー、ストップキー、スタートキー等を有する。ユーザは、操作部240を介して、消色処理の開始又は消色するシートの画像の読み込み等の消去装置100の機能動作を指示する。操作部240は、消去装置100の設定情報や動作ステータスやログ情報等を表示する。
【0021】
尚、操作部240は、例えば、ネットワークを介して外部装置の操作装置と接続され、外部の操作装置から操作出来る構成であっても良い。又は、操作部240は、消去装置100本体から独立した形態で、有線又は無線通信によって消去装置100を操作する構成であっても良い。すなわち、本実施形態の操作部240は、消去装置100に対して処理の指示や情報の閲覧等が出来るものであれば良い。
【0022】
図1に示す第3搬送路200は、分岐点220を通過したシートを第2分岐部材215へ搬送する。第2分岐部材215を介して搬送されるシートは、
図1に示すように、上下に配置される第1トレイ160又は第2トレイ170のいずれかに収容される。例えば、第2分岐部材215は、第1トレイ160の後述する排出部材180の近傍に配置され、第1分岐部材210を介して搬送されたシートを第1トレイ160又は、第3搬送路200に第2分岐部材215を介して接続された第4搬送路205へ搬送する。第4搬送路205は搬送ローラ286を有し、シートを第2トレイ170へ搬送する。
【0023】
排出部材180は、詳述すると、消去装置100の下部に上下に配置された第1トレイ160、第2トレイ170にそれぞれ備えられる。排出部材180は、それぞれ第1トレイ160又は第2トレイ170へシートを排紙する。例えば、第1トレイ160は、シートの画像が消色され、再利用可能となったシートを収容する。第2トレイ170は、再利用不可能と判断されたシートを収容する。以下、第1トレイ160をリユーストレイと呼び、第2トレイ170をリジェクトトレイと呼ぶ。尚、リユーストレイとリジェクトトレイは、受け入れる対象とするシートを入れ替えることも可能である。それぞれのトレイがどのようなシートを収容するかの設定、すなわち、シートの搬送先の設定は、例えば、操作部240から可能である。
【0024】
消去装置100は、第1乃至第4搬送路190,195、200、205を搬送されるシートを検知する複数のシート検知センサ(図示せず)を有する。シート検知センサは、例えば、マイクロセンサやマイクロアクチュエータであって良い。シート検知センサは、搬送路の適切な位置に配置される。
【0025】
図2は、第1の実施形態における読取部130の構成を示す断面図である。読取部130は、シートの第1面を読み取る第1読取ユニット132aと、シートの第2面を読み取る第2読取ユニット132bを有する。第1読取ユニット132aは、第1搬送路190を搬送されるシート表面に形成された画像を読み取る。第1読取ユニット132aは、読取ガラス134、反射ミラー136、レンズ138、及び受光素子140を有する。第1読取ユニット132aが第1搬送路190上のシートに形成された画像を読み取る場合、読取ガラス134を介して第1読取ユニット132a内に入射した画像を反射ミラー136がレンズ138へ反射させる。レンズ138は反射ミラー136からの反射光を受光素子140へ集光させる。受光素子140は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)スキャナ或いはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等である。尚、第2読取ユニット132bについても第1読取ユニット132aと同様の構成であるので同じ符号を付してその説明は省略する。
【0026】
以下に、上述の構成を有する消去装置100の制御を行う各部について説明する。
【0027】
図3は、第1の実施形態における消去装置100のハードウェア構成の制御ブロック図である。消去装置100は、読取部130、消去部150、操作部240、制御部250、記憶部260、検知部270、搬送部280、及び通信インターフェース(I/F)部290を有する。消去装置100の各部は、バス300を介して接続される。
【0028】
制御部250は、CPU(Central Processing Unit)或いはMPU(Micro Processing Unit)からなるプロセッサ252とメモリ254を有する。メモリ254は、例えば、半導体メモリであり、各種制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)256と、プロセッサ252に一時的な作業領域を提供するRAM(Random Access Memory)258を有する。例えば、ROM256は、再利用可否の閾値とするシートの印字率、画像が消色されたか否かを判断するための濃度閾値等を格納する。RAM258は、読取部130で読み取った画像を一時的に保存しても良い。
【0029】
記憶部260は、読取部130が読み取った画像を保存する。記憶部260は、例えば、ハードディスクドライブ、その他の磁気記憶装置、光学式記憶装置、若しくはフラッシュ・メモリ等の半導体記憶装置、又はこれらの任意の組み合わせであって良い。例えば、消去部150が消色処理する前に、制御部250は、読取部130が読み取ったシートの画像を電子化して記憶部260へ保存することにより、後で消色された画像のデータが必要となった場合に、画像データを取得することが出来る。
【0030】
検知部270は、検知センサ112やシート検知センサを有する。制御部250は、検知センサ112からの信号に基づいて給紙トレイ110上のシートの有無を判断する。
【0031】
搬送部280は、第1乃至第4搬送路190、195、200、205と、上記搬送路に配置される入口ローラ282、出口ローラ284、及び複数の搬送ローラ286と、並びにこれら各ローラを駆動する複数の搬送モータとを有する。
【0032】
通信I/F部290は、外部の機器と接続するインターフェースである。通信I/F部290は、例えば、Bluetooth(登録商標)、赤外線接続、光接続といったIEEE80、IEEE802.11、IEEE802.3、IEEE3304等の適切な無線または有線を介してネットワーク上の外部装置と通信する。通信I/F部290は、更に、USB規格の接続端子が接続されるUSB接続部やパラレルインターフェース等を含んでも良い。制御部250は、通信I/F部290を介して複合機、その他外部機器と通信する。尚、読取部130、消去部150および操作部240については、既に説明済みであるのでその説明については省略する。
【0033】
以下に、本実施形態の消去装置100が実行する各処理について説明する。
【0034】
消去装置100は、例えば、以下の各処理モードを有する。前述のシートの搬送経路は、消去装置100が実行する各処理モードに基づいて適宜変更される。以下に参照される分別処理(第1読取処理)は、読取部130が読み取ったシートの表面状態を示す画像を基に、シートが再利用可能か否かを制御部250が判定し、判定結果に応じて第1トレイ160又は第2トレイ170へ選択的に振り分ける処理である。保存処理(第2読取処理)は、読取部130が読み取ったシート上の画像を記憶部260へ保存する処理である。
(1)保存処理を行わず、消色処理のみを行う第1消色モード
(2)保存処理後、消色処理を行う第2消色モード
(3)保存処理を行わず、消色処理後、分別処理を行う第3消色モード
(4)保存処理後、消色処理を行い、さらに分別処理を行う第4消色モード
(5)分別処理後、必要に応じて消色処理を行い、さらに分別処理を行う第5消色モード
(6)消色処理を行わず、保存処理を行う読取モード
上述の各処理モードは、消去装置100の操作部240で選択出来る。また、各処理モードの選択は、消去装置100の操作部240に限らず、外部の端末から設定しても良い。第1乃至第5消色モードでは、シートは必ず消去部150へ搬送される。一方、読取モードでは、消去装置100は、第1分岐部材210を制御して、シートを消去部150へ搬送することなく、読取部130を経由して排紙する。
【0035】
制御部250は、例えば、操作部240で設定された上述の各処理モードに応じて、読取部130、消去部150、及びその他の構成を制御する。例えば、第1乃至第5消色モードが選択された場合には、制御部250は、消去部150にシートの画像を消色させる。
【0036】
消去部150がシートの画像を消色した後に、この消色されたシートの画像を読取部130が読み取る場合(第3消色モード、第4消色モード、第5消色モード)、制御部250は、読取部130が読み取った画像のデータに基づいて、シートの折り目、破れ目、又はしわ等による影の有無、並びに消し残りの割合を基にシートが再利用可能か否かを判定する。制御部250は、上記判定結果に基づいて、シートの搬送先をリユーストレイ又はリジェクトトレイに決定する(分別処理)。
【0037】
尚、第5消色モードにおける1回目の分別処理においては、制御部250は、読取部130が読み取った画像のデータに基づいて、シートの折り目、破れ目、又はしわ等による影の有無、並びに印字率を基にシートが再利用可能か否かを判定する。制御部250は、上記判定結果に基づいて、シートの搬送先を消去部150又はリジェクトトレイに決定する
。
【0038】
他方、消去部150へシートが搬送される前に、読取部130がシートの画像を読み取る場合(第2消色モード、第4消色モード)、制御部250は、読取部130で読み取った画像を記憶部260へ保存する(保存処理)。ここで、制御部250は、読取部130が読み取ったシートの画像のデータ中に機密データ等の消色を禁止すべき禁止データが含まれているか否かを判定しても良い。
【0039】
消色処理を行わずに、シートの画像を読み取る読取モードが設定された場合には、制御部250は、第1分岐部材210を制御して、読取部130がシートの画像を読み取った後、シートを消去部150へ搬送せず、読取部130で読み取った画像を記憶部260へ保存する。
【0040】
次に、第1搬送路190の搬送処理について
図2を参照して説明する。制御部250は、分別処理を行う場合と保存処理を行う場合とで入口ローラ282及び出口ローラ284の回転速度を変化させる。制御部250は、分別処理を行う場合、入口ローラ282の回転速度を出口ローラ284の回転速度よりも速く設定する(第1の設定)。すなわちシートの搬送速度は、搬送方向下流に向かって遅くなるため、シートには搬送方向両端部から中央部へ向かって撓む力が加わる。シートが撓むことで、シートの折れ、破れ、又はしわ等による影が顕著に表れるため、制御部250は、高い精度で分別処理を行うことが出来る。
【0041】
他方、保存処理を行う場合、制御部250は、入口ローラ282の回転速度を出口ローラ284の回転速度よりも遅く設定する(第2の設定)。入口ローラ282及び出口ローラ284は、それぞれの回転速度の差によりシートを搬送する速度にも差が生じる。すなわちシートの搬送速度は、下流に向かって速くなるため、シートには搬送方向への張力が与えられる。このような構成により読取部130は、シートをしわのない状態で読み取ることが出来る。尚、図中Pはシートの搬送経路を示す。
【0042】
次に、第4消色モードを例にとって制御部250の制御フローを説明する。
図4は、第1の実施形態における第4消色モードの制御フローチャートである。ユーザによって第4消色モードが選択されると、制御部250は、給紙部材120のピックアップローラを駆動させて給紙トレイ110に載置されたシートの給紙を行う(ACT101)。制御部250は、給紙されたシートを搬送ローラ286により第1搬送路190へ搬送する(ACT102)。次に制御部250は、シートの保存処理を行う(ACT103)。制御部250は、入口ローラ282及び出口ローラ284の回転速度を第2の設定(入口ローラ282の回転速度を出口ローラ284の回転速度よりも遅く設定する)に制御する。読取部130において、第1読取ユニット132a及び第2読取ユニット132bがシート両面の画像を読み取り、読み取った画像を記憶部260へ保存する。保存処理が終了すると制御部250は、保存処理が済んだシートを第2搬送路195へ搬送する(ACT104)。制御部250は、第1分岐部材210を駆動することにより、シートを第1搬送路190から第2搬送路195へ搬送する。第2搬送路195へ搬送されてくるシートに対して制御部250は、消去部150を介して消色処理を施す(ACT105)。次に制御部250は、消色処理が済んだシートを第2搬送路195より合流点225を介して第1搬送路190へ搬送する(ACT106)。
【0043】
再び第1搬送路190へ搬送されてくるシートに対して、制御部250はシートの分別処理を行う(ACT107)。制御部250は、入口ローラ282及び出口ローラ284の回転速度を第1の設定(入口ローラ282の回転速度を出口ローラ284の回転速度よりも速く設定する)に制御する。読取部130において、第1読取ユニット132a及び第2読取ユニット132bがシート両面の画像を読み取る。制御部250は、読み取った画像を基にシートが再利用可能か否かを判定する(ACT108)。シートが再利用可能である場合(ACT108、Yes)、制御部250は、シートを第1トレイ160へ排紙する(ACT109)。他方、シートが再利用不可能である場合(ACT108、No)、制御部250は、シートを第2トレイ170へ排紙する(ACT110)。
【0044】
上述した第1の実施形態によれば、制御部が分別処理を行う場合に、シートの搬送を第1の設定にして、入口ローラの回転速度よりも出口ローラの回転速度を遅くすることで、読取対象のシートを撓ませる。シートが撓むことで、シートの折れ、破れ、又はしわ等による影が顕著になるため、読取部は、シート表面の状態を高い精度で認識することが出来る。
(第2の実施形態)
【0045】
以下に、第2の実施形態について、
図5及び
図6を参照して説明する。
【0046】
第2の実施形態における消去装置の第1搬送路は、搬送経路を制御するために可動式の押し当て部材をさらに有する。
【0047】
図5は、第2の実施形態における読取部130の断面図である。本実施形態における第1搬送路190aは、第1の実施形態における第1搬送路190と比べて第1読取ユニット132a及び第2読取ユニット132bの間である搬送幅が広く形成される。
【0048】
第1搬送路190aは、第1搬送路190aを挟んで第1読取ユニット132aの読取ガラス134と対向する位置に、シートの搬送経路Pを制御するために可動式の第1押し当て部材312aを有する。第1押し当て部材312aは、例えば、シートとの接触部が従動ローラで構成される。第1押し当て部材312aは、制御部250からの指示に従って読取ガラス134へ接近する方向又は離間する方向へ、例えば、ステッピングモータの駆動により移動する。
【0049】
尚、第1搬送路190aは、同様に第1搬送路190aを挟んで第2読取ユニット132bの読取ガラス134と対向する位置に、シートの搬送経路Pを制御するために可動式の第2押し当て部材312bを有する。第2押し当て部材312bは、第1押し当て部材312aと同様の構成であるのでその説明は省略する。また、第1押し当て部材312a及び第2押し当て部材312bを総称して押し当て部材とする。
【0050】
図5(a)は、制御部250が保存処理を実行する場合の押し当て部材の位置を示す断面図である。制御部250が保存処理を実行する場合、入口ローラ282と出口ローラ284の回転速度を第2の設定にするとともに、それぞれの押し当て部材を第1の位置へ配置する。第1の位置は、シートの搬送経路Pを搬送幅方向中央部よりも各読取ユニット132a、132b側へ導く位置である。入口ローラ282と出口ローラ284の回転速度の差による効果に加えて、押し当て部材がシートと各読取ユニット132a、132bとの距離を強制的に近づけるため、読取部130は、シート上の画像を高品質で読み取ることが出来る。
【0051】
図5(b)は、制御部250が分別処理を実行する場合の押し当て部材の位置を示す断面図である。制御部250が分別処理を実行する場合、入口ローラ282と出口ローラ284の回転速度を第1の設定にするとともに、それぞれの押し当て部材を第2の位置へ配置する。第2の位置は、シートの搬送経路Pに干渉しない位置である。すなわち第2の位置は、第1搬送路190の搬送幅方向中央部よりも各読取ユニット132a、132bから離れた位置である。入口ローラ282と出口ローラ284の回転速度の差による効果に加えて、押し当て部材がシートの搬送経路Pに干渉しないことで、第1搬送路190a上のシートは湾曲される。すなわち、シートの折れ、破れ、又はしわ等による影を読取部130が検知しやすくなり、認識精度を高めることが出来る。
【0052】
以下、第4消色モードを例にとって制御部250の制御フローを説明する。
図6は、第2の実施形態における第4消色モードの制御フローチャートである。
【0053】
図6において、
図4のACT101及びACT102と同様に、ACT201にて給紙されたシートが、ACT202で第1搬送路190aへ搬送されると、第2の実施形態では、
図5(a)に示すように、制御部250は、押し当て部材をそれぞれ第1の位置へ駆動させる(ACT203)。この状態で、保存処理が実行される(ACT204)。この状態では、それぞれの押し当て部材は、搬送経路を変更させ、搬送されるシートを読取ユニット132a、132bへ近づけるように作用する。次のACT204〜ACT207は、
図4のACT103〜ACT106と同様なのでその説明は省略する。
【0054】
次に、ACT207(
図4のACT106)により消色処理が実行されたシートが再び第1搬送路190aへ搬送されると、第2の実施形態では、
図5(b)に示すように、制御部250は、それぞれの押し当て部材を第2の位置へ駆動させる(ACT208)。この状態で、分別処理を伴う以降の処理がされるが、
図6のACT209以降の処理は、
図4のACT107以降の処理と同様なのでその説明は省略する。
【0055】
上述した第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果に加え、第1搬送路の搬送幅を広げることで、制御部が分別処理を実行する場合、シートが第1搬送路の中でシートが湾曲するため、読取部は、シートの折れ、破れ、又はしわ等による影を検知しやすくなり、認識精度を高めることが出来る。また制御部が保存処理を実行する場合には、各押し当て部材がシートをそれぞれの読取ユニット側へ近づけることで、保存処理の読取精度も保つことが出来る。
(第3の実施形態)
【0056】
以下に、第3の実施形態について、
図7及び
図8を参照して説明する。
【0057】
第3の実施形態の第1搬送路が第2の実施形態の第1搬送路と異なる点は、押し当て部材を読取ガラスと対向しない位置へ配置し、制御部が分別処理を実行する場合にシートの搬送経路を変えることである。
【0058】
図7は、第3の実施形態における第1搬送路190bの断面図である。本実施形態の第1搬送路190bは、第1の実施形態と同様の搬送幅に設定される。本実施形態の押し当て部材は、第2の実施形態における押し当て部材と同様の構成をしており、第1押し当て部材312a及び第2押し当て部材312bからなる。本実施形態の押し当て部材は、第1読取ガラス134とは対向しない、例えば、読取ガラス134よりもそれぞれ下流側へ配置される。
【0059】
図7(a)は、制御部250が保存処理を実行する場合の押し当て部材の位置を示す断面図である。制御部250が保存処理を実行する場合、入口ローラ282と出口ローラ284の回転速度を第2の設定にするとともに、押し当て部材を第3の位置へ配置する。第3の位置は、シートの搬送経路Pに干渉しない位置である。すなわち第3の位置は、押し当て部材が第1搬送路190bの幅方向中央部よりも各読取ユニット132a、132bから離れた位置である。
【0060】
図7(b)は、制御部250が分別処理を実行する場合の押し当て部材の位置を示す断面図である。制御部250が分別処理を実行する場合、入口ローラ282と出口ローラ284の回転速度を第1の設定にするとともに、押し当て部材を第4の位置へ配置する。第4の位置は、押し当て部材がシートの搬送経路Pを幅方向中央部よりも各読取ユニット132a、132b側へ近づいた位置である。
図7(b)に示すように、押し当て部材がシートの搬送経路Pを湾曲させることで、シートの折れ、破れ、又はしわ等による影が顕著になるため、読取部130はシート表面の認識精度を高めることが出来る。
【0061】
以下、第4消色モードを例にとって制御部250の制御フローを説明する。
図8は、第3の実施形態における第4消色モードの制御フローチャートである。
【0062】
図8において、
図6のACT201及びACT202と同様に、ACT301にて給紙されたシートが、ACT302で第1搬送路190bへ搬送されると、第3の実施形態では、
図7(a)に示すように、制御部250は、押し当て部材をそれぞれ第3の位置へ駆動させる(ACT303)。この状態で、保存処理が実行される(ACT304)。この状態では、それぞれの押し当て部材は、シートの搬送経路Pに干渉しない位置である。次のACT304〜ACT307は、
図4のACT204〜ACT307と同様なのでその説明は省略する。
【0063】
次に、ACT307(
図6のACT207)により消色処理が実行されたシートが再び第1搬送路190bへ搬送されると、第3の実施形態では、
図7(b)に示すように、制御部250は、押し当て部材をそれぞれ第4の位置へ駆動させる(ACT308)。この第4の位置は、押し当て部材がシートの搬送経路Pを幅方向中央部よりも各読取ユニット132a、132b側へ近づいた位置である。それぞれの押し当て部材は、シートの搬送経路を変更させる。この状態で、分別処理を伴う以降の処理がされるが、
図8のACT309以降の処理は、
図6のACT209以降の処理と同様なのでその説明は省略する。
【0064】
上述した第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果に加え、制御部が分別処理を実行する場合に、押し当て部材がシートを湾曲させることで、読取部はシートの折れ、破れ、又はしわ等による影を検知しやすくなり、認識精度を高めることが出来る。
【0065】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、制御部がシートの分別処理を実行する場合に、入口ローラの回転速度を出口ローラの回転速度よりも速く設定することでシートが撓むため、読取部は、シートの折れ、破れ、又はしわ等による影を撮像し易くなる。すなわち、読取部はシートの表面状態を高い精度で認識することが出来る。
【0066】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、読取部が読み取った画像は、消去装置の記憶部が記憶するとしたが、これに限定されなくとも良い。制御部は、例えば、外部機器であるユーザ端末(Personal Computer)、複合機(Multi−Functional Peripheral)、又はサーバと通信I/F部を介して通信し、これら外部機器の記憶部へ画像を保存するようにしても良い。外部機器へ保存された画像データは、複合機の操作部又はユーザ端末から読み出すようにすれば良い。また、消去装置が、使用者を個人認証するため、ログイン、ログアウト機能を備える場合には、消去装置のログアウト時に、消去装置のRAM或いは記憶部に保存された画像のデータを外部装置に送信し、保存するようにしても良い。
【0067】
また、制御部が分別処理においてシートの折れ、破れ、又はしわ等の有無を判定するために検知する影に対して濃度閾値を設定しても良い。すなわち影の濃度が所定の閾値を超える場合、シートに折れ、破れ、又はしわ等があると判定し、閾値を超えない場合は、これら折れ、破れ、又はしわ等が無いと判定する。この閾値はユーザによって変更可能にすることで、ユーザの目的に合った品質レベルでのシートの再利用が可能となる。
【0068】
また、上記実施形態の説明では、「消色処理」は、画像の色を消すと記述したが、画像を消去するという意味を含んで良い。すなわち、本実施の形態に記載の消色装置は、熱により画像の色を消す装置に限定されるものではない。例えば、光の照射によってシート上の画像の色を消す装置でも、特殊シートに形成された画像を消す装置等シート上の画像を除去(消去)する装置であっても良い。消去装置は、シートを再利用可能にするために、シート上の画像を見えなくする構成であれば良い。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。