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特許5738355ガスタービンの排気セクション用のディフューザおよびこのようなディフューザを備えたガスタービン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5738355
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】ガスタービンの排気セクション用のディフューザおよびこのようなディフューザを備えたガスタービン
(51)【国際特許分類】
   F01D 25/30 20060101AFI20150604BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20150604BHJP
   F02C 7/24 20060101ALI20150604BHJP
【FI】
   F01D25/30 B
   F02C7/00 B
   F02C7/00 E
   F02C7/24 A
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-136455(P2013-136455)
(22)【出願日】2013年6月28日
(65)【公開番号】特開2014-9693(P2014-9693A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2013年12月27日
(31)【優先権主張番号】12004853.3
(32)【優先日】2012年6月28日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503416353
【氏名又は名称】アルストム テクノロジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】エドゥアート ブリューヴィラー
【審査官】 寺町 健司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2004/0107690(US,A1)
【文献】 米国特許第05669812(US,A)
【文献】 実開平07−022108(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 25/30
F02C 7/00,24
Thomson Innovation
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービン(10)の排気セクション用のディフューザ(11)であって、
機械軸線(34)に沿って延びておりかつ排気流(18)用のチャネルの境界を定める少なくとも1つの円錐体(13,14)であって、該少なくとも1つの円錐体(13,14)は、内部構造を備える壁部(28)を有し、前記内部構造は、軸方向に延びかつ排気流(18)と接触する円錐形のライナ(15a,15b)を形成する複数の長手方向ライナセグメント(29,30)と、前記円錐形のライナ(15,15a,15b)に対して所定の距離に同軸に配置された支持構造(17,17a,17b)と、前記円錐形のライナ(15,15a,15b)と前記支持構造(17,17a,17b)との間のスペースを満たす断熱材(16,16a,16b)とを含む、ガスタービン(10)の排気セクション用のディフューザ(11)において、
前記ライナセグメント(29,30)のそれぞれは、1つの固定箇所(35)において周方向及び長手方向で固定されており、それぞれのライナセグメント(29,30)は、前記固定箇所(35)の周囲の複数の分配された箇所において支持エレメント(26a,26b,31a,31b)によって支持されており、該支持エレメントは、前記円錐形のライナ(15,15a,15b)と前記支持構造(17,17a,17b)との間のスペースに閉じ込められており、かつ前記ライナセグメント(29,30)の周方向の熱膨張を可能にしていることを特徴とする、ガスタービン(10)の排気セクション用のディフューザ(11)。
【請求項2】
内側円錐体(13)および外側円錐体(14)を備え、前記内側円錐体(13)および前記外側円錐体(14)は、同軸に配置されており、前記内側円錐体(13)および前記外側円錐体(14)はそれぞれ、
軸方向に延びておりかつ排気流(18)と接触する円錐形のライナ(15,15a,15b)を形成する複数の長手方向ライナセグメント(29,30)と、
前記円錐形のライナ(15,15a,15b)に対して所定の距離に同軸に配置された支持構造(17,17a,17b)と、
前記円錐形のライナ(15,15a,15b)と前記支持構造(17,17a,17b)との間のスペースを満たす断熱材(16,16a,16b)と、を有し、
前記ライナセグメント(29,30)のそれぞれは、1つの固定箇所(35)において周方向及び長手方向で固定されており、それぞれのライナセグメント(29,30)は、前記固定箇所(35)の周囲の複数の分配された箇所において支持エレメント(26a,26b,31a,31b)によって支持されており、前記支持エレメントは、前記円錐形のライナ(15,15a,15b)と前記支持構造(17,17a,17b)との間のスペースに閉じ込められており、かつ前記ライナセグメント(29,30)の周方向の熱膨張を可能にする、請求項1記載のディフューザ。
【請求項3】
前記支持エレメント(26a,26b,31a,31b)はそれぞれ、
一対のC字形異形材(31a,31b)であって、ライナセグメント(29,30)の背面に溶接されており、これにより、前記背面に対して平行に延びるスロット付き案内チャネルを形成している、一対のC字形異形材と、
T字形支持体(26a,26b)であって、その基部においてそれぞれの支持構造(17a,17b)に溶接されておりかつその横棒前記一対のC字形異形材(31a,31b)により形成された前記スロット付き案内チャネルに係合している、T字形支持体と、を有する、請求項1または2記載のディフューザ。
【請求項4】
前記C字形異形材は、周方向溶接継目によってそれぞれのライナセグメント(29,30)に溶接されている、請求項3記載のディフューザ。
【請求項5】
T字形支持体(26a,26b)を介した支持構造(17a,17b)への熱伝達を最小限にするために、それぞれのT字形支持体(26a,26b)の基部は、楕円形の穴(36)を有する、請求項3または4記載のディフューザ。
【請求項6】
C字形異形材(31a,31b)の各対は、該C字形異形材の各対によって形成されるスロット付き案内チャネルが軸方向に延びるように配置されている、請求項3から5までのいずれか1項記載のディフューザ。
【請求項7】
前記固定箇所(35)において前記ライナセグメント(29,30)を横方向で固定するために、それぞれの固定箇所(35)に、前記支持構造(17a,17b)に結合された固定手段(27a,27b)が設けられている、請求項1から6までのいずれか1項記載のディフューザ。
【請求項8】
前記固定手段(27a,27b)は、ガジオンピン(33)を含み、該ガジオンピンは、組立て中に前記ライナセグメントに溶接され、かつ半径方向の管(38)の一方の端部に固定されたリング(37)と係合し、前記管(38)は、その他方の端部において前記支持構造(17a,17b)に溶接されている、請求項7記載のディフューザ。
【請求項9】
円錐体(13,14)の互いに隣接するライナセグメント(29,30)は、重なり合いストリップ(29a,30a)において互いに重なり合い、該重なり合いストリップは、それぞれのライナセグメント(29,30)を曲げることによって形成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載のディフューザ。
【請求項10】
外側円錐体(14)の場合、重なり合いは、ライナ(15b)の6時の位置において一種の樋が生じるように構成されており、該樋は、ディフューザを流れ落ちる場合がある液体がライナを通って断熱材内へ滴ることを防止する、請求項9記載のディフューザ。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載のディフューザ(11)を備えたガスタービン(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガスタービンに関する。本発明は、請求項1の前提部によるガスタービンの排気セクション用のディフューザに関する。本発明はさらに、このようなディフューザを備えたガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービン、特にコンバインドサイクル用途のためのガスタービンにおいて、排ガス温度は、排気ダクトの支持構造が排ガスと接触することをもはや許容されないほど高い。つまり、排気ダクトの支持構造は、断熱材によって保護されなければならず、この断熱材は、さらにライナセグメントによって被覆および保護されなければならない。この種の排気ダクトおよびディフューザは、たとえば米国特許第5104286号明細書、米国特許第5669812号明細書および米国特許第6807803号明細書に開示されている。
【0003】
図1は、このようなガスタービンの排気セクションの基本的な構成を示す。ガスタービン10から出てくる排ガスは、円錐形のディフューザ11において膨張させられ、次いで、排気ダクト12に入り、この排気ダクト12は、排ガス流18を、図示されていない煙突19へ導く。ディフューザ11は、機械軸線34に関して同軸に配置された、内側円錐体13および外側円錐体14を有する。内側円錐体13および外側円錐体14の壁部と、排気ダクト12とはそれぞれ、ライナ15と、中間断熱材16と、支持構造17とを含む内部構造を有する。特定の構成に応じ、内側および外側の円錐体13,14は、円筒状であってもよい。
【0004】
ライナの固定は、複数の問題により困難である:
・支持構造は低温で、ライナは高温であるため、異なる熱膨張が生じ、これは、フィクスチャもしくは固定手段によって安全に吸収されなければならない。
・フィクスチャが断熱材を横断し、これにより、熱的なブリッジ(伝達)を生じる。
・排気流に曝されるライナの側は、流れの妨害および乱流の発生を防止するためにできるだけ平坦でなければならず、ライナはどうにか取り付けられるので、これは達成するのが困難である。
・流れの中へ延びる長手方向リブは、高すぎない流速を備える幾つかの部分のためには許容できるが、ディフューザセクションにおいては許容できない。なぜならば、このセクションにおいては、依然として排ガス旋回が生じ、長手方向リブはディフューザ効率を低減するからである。したがって、1つの目的は、特にディフューザセクション内で、排気流側においてライナのなめらかな面を有することである。
【0005】
図2は、典型的な従来の解決手段を示す。この解決手段では、壁部は、U字形異形材24およびねじ山付ジョイント25によって固定された、支持構造21と、中間断熱材と、ライナ23とを有する。U字形異形材24およびねじ山付ジョイント25は、不利なことに、排気流内へ延びている。
【0006】
経験はさらに、溶接箇所によってねじ山付ボルトに固定されたナットが破損し、これにより、固定を危険性に曝すということを示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5104286号明細書
【特許文献2】米国特許第5669812号明細書
【特許文献3】米国特許第6807803号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、従来技術の解決手段の欠点を回避し、かつ滑らかな内面を、特にガスタービンの移行条件中の異なる熱膨張の安全な相殺と組み合わせるディフューザを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題およびその他の課題は請求項1によるディフューザにより達成される。
【0010】
本発明によるディフューザは、機械軸線に沿って延びておりかつ排気流用のチャネルの境界を定めている少なくとも1つの円錐体を有し、前記少なくとも1つの円錐体は、軸方向に延びた複数の長手方向ライナセグメントを有しかつ排気流と接触する円錐形のライナを形成した内部構造を備えた壁部と、前記円錐形のライナに対して所定の距離に同軸に配置された支持構造と、前記円錐形のライナと前記支持構造との間のスペースを満たす断熱材と、を備える。
【0011】
本発明によるディフューザは、前記ライナセグメントのそれぞれが1つの固定箇所において横方向(すなわち周方向および長手方向)で固定されており、各ライナセグメントは、前記固定箇所の外側の複数の分配された箇所において支持エレメントによって支持されており、前記支持エレメントは、前記円錐形のライナと前記支持構造との間のスペースに閉じ込められており、かつライナセグメントの横方向の熱膨張を許容することを特徴とする。
【0012】
発明の1つの実施の形態によれば、ディフューザは、同軸に配置されておりかつそれぞれが、内側円錐体および外側円錐体であって、軸方向に延びた複数の長手方向のライナセグメントを有しかつ排気流と接触する円錐形のライナを形成する、内側円錐体および外側円錐体と、前記円錐形のライナに対して所定の距離に同軸に配置された支持構造と、前記円錐形のライナと前記支持構造との間のスペースを満たす断熱材とを有し、前記ライナセグメントのそれぞれは、1つの固定箇所において横方向で固定されており、各ライナセグメントは、前記固定箇所の外側において複数の分配された箇所において支持エレメントによって支持されており、前記支持エレメントは、前記円錐形のライナと前記支持構造との間のスペースに閉じ込められており、かつ前記ライナセグメントの横方向の熱的膨張を許容する。
【0013】
発明の別の実施の形態によれば、支持エレメントはそれぞれ、ライナセグメントの背面に溶接されておりこれにより前記背面に対して平行に延びるスロット付き案内チャネルを形成した一対のC字形異形材と、基部においてそれぞれの支持構造に溶接されておりかつ前記スロット付き案内チャネルにおいて前記一対のC字形異形材と、その横棒部分において係合するT字形支持体と、を備える。
【0014】
特に、前記C字形異形材は、周方向継目によってそれぞれのライナセグメントに溶接されている。たとえば隅肉継目であることができる溶接継目は、ライナからC字形異形材への良好な熱の流れにつながる。
【0015】
発明の別の実施の形態によれば、それぞれのT字形支持体の基部は、熱がT字形支持体を通って支持構造へ搬送されるのを最小限にするために、楕円形の穴を有する。
【0016】
発明の別の実施の形態によれば、C字形異形材の各対は、C字形異形材によって形成されたスロット付き案内チャネルが軸方向に延びるように配置されている。
【0017】
発明の別の実施の形態によれば、前記ライナセグメントを前記固定箇所において横方向で固定するために、それぞれの固定箇所において、支持構造に結合された固定手段が設けられている。
【0018】
特に、前記固定手段は、組立て中にライナセグメントに溶接されかつ半径方向管の一方の端部において固定されたリングと係合するガジオンピンを有し、前記菅は、他方の端部において支持構造に溶接されている。
【0019】
発明の別の実施の形態によれば、円錐体の互いに隣接するライナセグメントは、重なり合いストリップを伴って互いに重なり合っており、前記重なり合いストリップは、それぞれのライナセグメント内へ曲げられている。
【0020】
特に、外側円錐体の場合、重なり合いは、ライナの6時の位置において一種の樋(flume)が生じるように構成されており、これは、ディフューザを流れ落ちる場合がある液体がライナを通って断熱材内へ滴ることを防止する。
【0021】
本発明のガスタービンには、本発明によるディフューザが装備されている。
【0022】
ここで本発明を、複数の異なる実施の形態によって、添付された図面を参照して、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】ガスタービンの排気側およびそれぞれの壁部の内部構造の基本構成を示す図である。
図2】公知の従来技術の壁部の内部構造を示す図である。
図3】内側円錐体および外側円錐体を有する、本発明の実施の形態によるディフューザの縦断面図である。
図4図4は、図3によるディフューザの外側円錐体のライナセグメントの配列を示す斜視図であり、図4aは、図4の外側円錐体のためのライナセグメントと支持構造との間の膨張許容式結合のエレメントを示す拡大図である。
図5図5は、図3によるディフューザの内側円錐体のライナセグメントの配列を示す斜視図であり、図5aは、図5の内側円錐体のライナセグメントと支持構造との間の膨張許容式結合のエレメントを示す拡大図である。
図6】ライナセグメントの熱膨張の方向とともに図3の外側円錐体を示す断面図である。
図7】T字形支持体と支持構造との間の結合、および図3によるディフューザのために提供された低温時の遊びとを示す拡大図である。
図8図3によるディフューザのための固定手段とライナセグメントとの間の結合を示す図である。
図9図3によるディフューザのための内側円錐体のためのライナセグメントの図である。
図10】幾つかのライナセグメントの特別な重なり合いを備える、図3によるディフューザの外側円錐の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の特徴は以下のように概説することができる。
・各ライナセグメントのために、ライナセグメントと、その下側に位置する支持構造とを結合する固定手段を備えた1つの固定箇所のみが設けられている。
・ライナセグメントは、固定箇所の外側において異なる(横)方向にストレスフリーに自由に熱膨張する。
・下側に位置する断熱材を高温の排気流から保護するために、互いに隣接するライナセグメントは重なり合う。
・曲げによって形成された重なり合うセクション(ストリップ)は、ライナセグメントを剛性にし、これにより、セグメントの固有振動数を減じる。
・ライナセグメントと支持構造との間の膨張許容式結合を形成するために使用されるC字形異形材は、周方向でライナセグメントに溶接され、異形材とセグメントとの間の熱的応力が回避されるように、常にライナセグメントと同じ温度を有するように十分に小さい。
・固定箇所/固定手段は、ライナセグメントの平面のみを固定する。全ての他の自由度はブロックされておらず、これにより、ライナセグメントは、移動、もしくは回転するための多くの可能性を有し、これは、機械の移行条件のために重要である。
【0025】
この解決手段は、空気力学的理由から固定部材がディフューザセクションにおいて排気流内へ延びていないという要求を満たすために開発された。
【0026】
図3図5に示したように、ライナセグメント29および30を備えた内側円錐体13および外側円錐体14のライナ15aおよび15bは、それぞれ固定手段27aおよび27bによって1つの固定箇所(図5および図8における35)において固定されている。固定箇所の外側において、ライナ15aおよび15bのライナセグメント29および30は、分配されたT字形支持体26aおよび26bによってそれぞれの支持構造17aおよび17bに結合されている。これらのT字形支持体26a,26bは、それらの基部において支持構造17a,17bに溶接されており、それぞれその横棒においてC字形異形材31a,31bと係合する。C字形異形材31a,31bは、ライナセグメント29,30の背面(断熱側)に溶接されており、これにより、前記背面に対して平行に延びた、スロット付き案内チャネルを形成している(図4図4aおよび図5図5a)。
【0027】
ライナセグメント29および30は、固定箇所35においてそれらの位置に固定されている。C字形異形材31a,31bは、セグメントの長手方向もしくは流れまたは軸方向でそれぞれ整列させられている。これは、図3に示したように、断熱材16a,16bが存在する場合にも容易な取り付けを可能にする(矩形またはほぼ矩形の取付け矢印を参照)。さらに、ライナセグメント29および30は、長手方向(流れまたは軸方向)に自由に膨張することができる。
【0028】
図6および図7に示したように、周方向での膨張は、T字形支持体26a,26bの横棒の互いに反対の側または向き合ったC字形異形材31a,31bにおいて、異なる低温時遊びを提供することによって可能にされる。
【0029】
固定箇所35において、固定手段27a,27bは、長手方向および周方向でのみライナセグメント29,30を固定している。これは、ガジオンピン33によって達成される。ガジオンピン33は、組立て中にライナセグメント29,30に溶接され、半径方向の管38の一方の端部に固定されたリング37と係合する。管38は、他方の端部において支持構造17a,17bに溶接されている。たとえばセグメント平面に対して垂直な、その他の移動および公差は、応力を生じることなく可能である。
【0030】
支持構造への熱伝達を最小限にするために、各T字形支持体26a,26bの基部は楕円形の穴(図4aにおける36)を有する。C字形異形材とT字形支持体との組み合わせの利点は、小さな接触面積であり、これは、ライナセグメントとT字形支持体の基部、ひいては支持構造との間の熱伝達を減じる。
【0031】
各C字形異形材31a,31bは、周方向溶接継目によってライナセグメントに溶接することができる。両部分の間の比較的大きな接触面積に関連して、これは、ライナセグメントからC字形異形材への良好な熱伝達を生じる。その結果、ガスタービンを始動および停止させるような移行条件中に、溶接継目において実質的な熱応力は発生されない。
【0032】
滑らかな全体的な面を達成するために、隣接するライナセグメントの間の接触面積は、重なり合い形式で設計されており、この場合、一方のライナセグメントは、重なり合いストリップ29a,30aにおいて他方のライナセグメントと重なり合う。重なり合いストリップ29a,30aは、それぞれのライナセグメントを曲げることによって形成される。これは、ライナセグメントの厚さを変化させることなく、ライナセグメントの高められた剛性につながる。
【0033】
特に図10に見られるように、2つのライナセグメントが6時と12時の位置に設けられており、これは、重なり合いに関して他方のライナセグメントと異なる。全ての他のライナセグメントは、1つの重なり合いストリップのみを有するが、これらの2つのライナセグメントは、互いに反対の側に2つの重なり合いストリップを有する。6時の位置におけるライナセグメントの場合、この構成は、一種の樋を生じ、これは、ディフューザを流れ落ちる可能な液体がライナを通って断熱材内へ滴ることを防止する。
【符号の説明】
【0034】
10 ガスタービン
11 ディフューザ
12 排気ダクト
13 内側円錐体(または円筒体)
14 外側円錐体
15,15a,15b ライナ
16,16a,16b 断熱材
17,17a,17b 支持構造
18 排気流
19 煙突
20 壁部
21 支持構造
22 断熱材
23 ライナ
24 異形材
25 ねじ山付ジョイント
26a,26b T字形支持体
27a,27b 固定手段
29,30 ライナセグメント
29a,30a 重なり合ったストリップ
31a,31b C字形異形材
32 膨張方向
33 ガジオンピン
34 軸線
35 固定箇所
36 楕円形の穴
37 リング
38 管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10