【実施例】
【0069】
以下に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は実施例に何ら限定されるものではない。
以下の例において、光硬化性樹脂組成物の粘度、硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E
10)の測定、光造形して得られた光学的立体造形物の力学的特性[引張り特性(引張破断強度、引張破断伸度、引張弾性率)、降伏強度、曲げ特性(曲げ強度、曲げ弾性率)、衝撃強度]、収縮率、硬度、熱変形温度、光学的立体造形物における光を照射されている表面での380〜780nmの波長範囲(可視光域)の光の合計光照射強度Q(以下「可視光の合計照射強度Q」ということがある)、露光装置から放射される光の波長範囲、光学的立体造形物における光を照射されている表面での波長430〜500nmの光の合計照射強度(以下「光(430〜500nm)の合計照射強度」ということがある)並びに光学的立体造形物の黄色度の測定または算出は以下にようにして行った。
【0070】
(1)光硬化性樹脂組成物の粘度:
光硬化性樹脂組成物を25℃の恒温槽に入れて、光硬化性樹脂組成物の温度を25℃に調節した後、B型粘度計(株式会社東機産業製)を使用して回転速度20rpmで測定した。
【0071】
(2)光硬化性樹脂組成物の硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)及び作業硬化エネルギー(E
10):
非特許文献1に記載されている理論にしたがって測定した。具体的には、光硬化性樹脂組成物よりなる造形面(液面)に、半導体励起固体レーザのレーザ光(波長355nmの紫外光、液面レーザ強度100mW)を、照射スピードを6段階変化(照射エネルギー量を6段階変化)させて照射して光硬化膜を形成させた。生成した光硬化膜を光硬化性樹脂組成物液から取り出して、未硬化樹脂を取り除き、6段階のエネルギーに対応する部分の硬化膜の厚さを定圧のノギスで測定した。光硬化膜の厚さをY軸、照射エネルギー量をX軸(対数軸)としてプロットし、プロットして得られた直線の傾きから硬化深度[Dp(mm)]を求めると共に、X軸の切片を臨界硬化エネルギー[Ec(mJ/cm
2)]とし、0.25mmの厚さに硬化させるのに必要な露光エネルギー量を作業硬化エネルギー[(E
10/(mJ/cm
2)]とした。
【0072】
(3)光学的立体造形物の引張り特性(引張破断強度、引張破断伸度、引張弾性率):
以下の実施例または比較例で作製した光学的立体造形物(JIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片)[紫外線(高圧水銀灯)(波長365nm;強度30W/m
2)を20分間照射して後硬化したもの]を用いて、JIS K−7113にしたがって、試験片の引張破断強度(引張強度)、引張破断伸度(引張伸度)および引張弾性率を測定した。
【0073】
(4)光学的立体造形物の降伏強度:
上記(3)の引張り特性の試験において、光学的立体造形物が弾性から塑性に移る点における強度を降伏強度とした。
【0074】
(5)光学的立体造形物の曲げ特性(曲げ強度、曲げ弾性率):
以下の実施例または比較例で作製した光学的立体造形物(JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片)[紫外線(高圧水銀灯)(波長365nm;強度30W/m
2)を20分間照射して後硬化したもの]を用いて、JIS K−7171にしたがって、試験片の曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。
【0075】
(6)光学的立体造形物の衝撃強度:
以下の実施例または比較例で作製した光学的立体造形物(JIS K−7110に準拠した直方体形状の試験片)[紫外線(高圧水銀灯)(波長365nm;強度30W/m
2)を20分間照射して後硬化したもの]を用いて、JIS K−7110にしたがって、試験片のノッチ付きアイゾット衝撃強度を測定した。
【0076】
(7)収縮率:
光硬化させる前の光硬化性樹脂組成物(液体)の比重(d
0)と、光硬化して得られた光硬化物を紫外線(高圧水銀灯)(波長365nm;強度30W/m
2)を20分間照射して後硬化したものの比重(d
1)から、下記の数式により収縮率を求めた。
収縮率(%)={(d
1−d
0)/d
1}×100
【0077】
(8)光学的立体造形物の硬度(ショアD硬度):
以下の実施例および比較例で作製した光学的立体造形物(JIS K−7113に準拠したダンベル形状の試験片)[紫外線(高圧水銀灯)(波長365nm;強度30W/m
2)を20分間照射して後硬化したもの]の硬さ(ショアD硬度)を、25℃で、高分子計器社製の「アスカーD型硬度計」を使用して、JIS K−6253に準拠してデュロメーター法により測定した。
【0078】
(9)光学的立体造形物の熱変形温度:
以下の実施例または比較例で作製した光学的立体造形物(JIS K−7171に準拠したバー形状の試験片)[紫外線(高圧水銀灯)(波長365nm;強度30W/m
2)を20分間照射して後硬化したもの]を用い、東洋精機社製「HDTテスタ6M−2」を使用して、試験片に1.81MPaの荷重を加えるJIS K−7207(A法)に準拠して、試験片の熱変形温度を測定した。
【0079】
(10)可視光の合計照射強度Q:
光学的立体造形物(縦×横×厚さ=50mm×30mm×5mmの直方体)[紫外線(高圧水銀灯)(波長365nm;強度30W/m
2)を20分間照射して後硬化したもの]を、平らな台上に、縦×横=50mm×30mmの2つの方形表面が上面と下面になるようにして載置し、光学的立体造形物の縦×横=50mm×30mmの方形の上面における対角線のほぼ交点に相当する位置に、放射照度計(鶴賀電気社製「HD2302」)のプローブを取り付け、光学的立体造形物の上方から光学的立体造形物に対して光を照射して光学的立体造形物の光を照射された表面での380〜780nmの波長範囲(可視光域)における合計照射強度Q(W/m
2)を測定した。
【0080】
(11)光(430〜500nm)の合計照射強度:
(11−i) 上記(10)における光学的立体造形物への光照射時に、光スペクトラムアナライザ(安藤電機社製「AQ−6311」)のプローブを、光学的立体造形物の縦×横=50mm×30mmの方形の上面における対角線のほぼ交点に相当する位置に前記した放射照度計(鶴賀電気社製「HD2302」)のプローブと並べて取り付け、光学的立体造形物の光を照射された表面での340〜850nmの波長範囲(可視光域)にわたって、5nm刻みで相対分光強度を測定して、相対分光強度曲線Fを求めた。
(11−ii) 上記(11−i)で求めた相対分光強度曲線Fから、380〜780nmの波長範囲(可視光域)での相対分光強度の積分値L
Aおよび430〜500nmの波長範囲での相対分光強度の積分値L
Bをそれぞれ算出し、式:Q×(L
B/L
A)から、光学的立体造形物の光を照射されている表面での波長430〜500nmの光の合計照射強度(W/m
2)を求めた。
【0081】
(12)光源から放射される光の波長範囲およびピーク強度:
上記(11−i)で求めた相対分光強度曲線Fから、光源から放射される光の波長範囲およびピーク強度を求めた。
【0082】
(13)黄色度の測定:
下記の実施例および比較例において光学的立体造形を行って得られた光学的立体造形物(縦×横×厚さ=50mm×30mm×5mmの直方体)[紫外線(高圧水銀灯)(波長365nm;強度30W/m
2)を20分間照射して後硬化したもの]について、光照射による後処理を施す前の黄色度および所定の時間にわたって光照射による後処理を施した後の黄色度を、直径60mmの積分球を備えた分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製「U−3900H」)に取り付け、板厚5mmの分光透過率を測定し、これにより得られた分光透過率を、当該分光光度計に付属したソフトウェア(UV Solutions)を用いてJIS−K7373に規定された方法で数値計算することによって、補助イルミナントC、視野2度の条件における黄色度を求めた。
【0083】
《実施例1》
(1)光硬化性樹脂組成物の調製:
(i) 水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル(新日本理化株式会社製「HBE−100」)60質量部、3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタン(東亞合成株式会社製「OXT−101」)5質量部、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル(東亞合成株式会社製「OXT−221」)15質量部、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(サンアプロ株式会社製「CPI−101A」)(カチオン重合開始剤)4質量部、ジペンタエリスリトールポリアクリレート(新中村化学工業株式会社製「A−9550」)10質量部、ラウリルアクリレート(新中村化学工業株式会社製)6質量部および1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン(チバスペシャリティケミカル社製「Irgacure 184」)(ラジカル重合開始剤)3質量部をよく混合して光硬化性樹脂組成物を調製し、これを遮光したタンクに収容した。
(ii) 上記(i)で得られた光硬化性樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ、200mPa・sであった。
(iii) 上記(i)で得られた光硬化性樹脂組成物について、その硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E
10)を上記した方法で求めたところ、硬化深度(Dp)=0.2mm、臨界硬化エネルギー(Ec)=22mJ/cm
2、および作業硬化エネルギー(E
10)=79mJ/cm
2であった。
【0084】
(2)物性測定用の光学的立体造形物の製造:
(i) 上記(1)の(i)で調製した光硬化性樹脂組成物を用いて、超高速光造形システム(ナブテスコ株式会社製「SOLIFORM500B」)を使用して、スペクトラフィジックス社製「半導体励起固体レーザーBL6型」(出力1000mW;波長355nm)を表面に対して垂直に照射して、照射エネルギー100mJ/cm
2の条件下に、スライスピッチ(積層厚み)0.10mm、1層当たりの平均造形時間2分で光学的立体造形を行って力学的特性[引張り特性(引張破断強度、引張破断伸度、引張弾性率)、降伏強度、曲げ特性(曲げ強度、曲げ弾性率)、衝撃強度]、収縮率、硬度(ショアD硬度)および熱変形温度を測定するための光学的立体造形物をそれぞれ製造し、得られた光学的立体造形物(試験片)に紫外線(高圧水銀灯)(波長365nm;強度30W/m
2)を20分間照射して後硬化した。
(ii) 上記(i)で得られた光学的立体造形物(紫外線で後硬化したもの)を用いて、上記した方法で各種物性を測定したところ、引張破断強度=49MPa、引張破断伸度=6.8%、引張弾性率=1690MPa、降伏強度=43MPa、曲げ強度=65MPa、曲げ弾性率=2010MPa、衝撃強度=1.6kJ/m
2、収縮率=5.4%、硬度(ショアD硬度)=84および熱変形温度=50℃であった。
【0085】
(3)光学的立体造形物の光照射処理:
(i) 上記(1)の(i)で調製した光硬化性樹脂組成物を用いて、上記(2)の(i)と同じ光造形条件を採用して光学的立体造形物(縦×横×厚さ=50mm×30mm×5mmの直方体)を製造し、次いでこの光学的立体造形物に紫外線(高圧水銀灯)(波長365nm;強度30W/m
2)を20分間照射して後硬化した。
これにより得られた紫外線による後硬化後の光学的立体造形物は、全体として透明であったが、黄変しており、上記した方法で測定した黄色度は2.9であった。
(ii) 上記(i)で得られた黄変した光学的立体造形物(紫外線照射して後硬化したもの)を、平らな台上に、縦×横=50mm×30mmの2つの方形表面が上面と下面になるようにして載置し、青色光を放射する光源(発光ダイオード)(LEDパラダイス社製「LP−R5B40」、放射光の波長範囲=420〜505nm、ピーク波長=455nm、波長400nm以下の光を放射せず)の100個を方形に集積して各々に15mAを通電したものを用いて、光学的立体造形物の上方から青色光を延べ5時間にわたって照射した。
(iii) 上記(ii)の青色光の照射の際に、光学的立体造形物の表面での380〜780nmの波長範囲(可視光域)における合計照射強度Q(W/m
2)を上記した方法で測定すると共に、光学的立体造形物の光を照射されている表面での380〜780nmの波長範囲(可視光域)での相対分光強度の積分値L
Aおよび430〜500nmの波長範囲での相対分光強度の積分値L
Bを上記した方法で求めて、式:Q×(L
B/L
A)から、光学的立体造形物の光を照射されている表面での波長430〜500nmの光の合計照射強度(W/m
2)を求めたところ、下記の表1に示すとおりであった。
(iv) また、上記(ii)の青色光の照射の際に、青色光を30分間照射した後、2時間照射した後および5時間照射した後の時点で、光学的立体造形物の黄色度を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0086】
《実施例2》
(1) 実施例1の(1)の(i)で調製したのと同じ光硬化性樹脂組成物を用いて、実施例1の上記(2)の(i)と同じ光造形条件を採用して光学的立体造形物(縦×横×厚さ=50mm×30mm×5mmの直方体)を製造し、次いでこの光学的立体造形物に紫外線(高圧水銀灯)(波長365nm;強度30W/m
2)を20分間照射して後硬化した。
これにより得られた紫外線による後硬化後の光学的立体造形物は、全体として透明であったが、黄変しており、上記した方法で測定した黄色度は2.7であった。
(2) 上記(1)で得られた黄変した光学的立体造形物(紫外線照射して後硬化したもの)を、平らな台上に、縦×横=50mm×30mmの2つの方形表面が上面と下面になるようにして載置し、青緑光を放射する光源(発光ダイオード)(LEDパラダイス社製「AQ−L5030BGC」、放射光の波長範囲=455〜565nm、ピーク波長=505nm、波長400nm以下の光を放射せず)の100個を方形に集積して各々に15mAを通電したものを用いて、光学的立体造形物の上方から青緑光を延べ5時間にわたって照射した。
(3) 上記(2)の青緑光の照射の際に、光学的立体造形物の表面での380〜780nmの波長範囲(可視光域)における合計照射強度Q(W/m
2)を上記した方法で測定すると共に、光学的立体造形物の光を照射されている表面での380〜780nmの波長範囲(可視光域)での相対分光強度の積分値L
Aおよび430〜500nmの波長範囲での相対分光強度の積分値L
Bを上記した方法で求めて、式:Q×(L
B/L
A)から、光学的立体造形物の光を照射されている表面での波長430〜500nmの光の合計照射強度(W/m
2)を求めたところ下記の表1に示すとおりであった。
(4) また、上記(2)の青緑光の照射の際に、青緑光を30分間照射した後、2時間照射した後および5時間照射した後の時点で、光学的立体造形物の黄色度を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0087】
《実施例3》
(1) 実施例1の(1)の(i)で調製したのと同じ光硬化性樹脂組成物を用いて、実施例1の上記(2)の(i)と同じ光造形条件を採用して光学的立体造形物(縦×横×厚さ=50mm×30mm×5mmの直方体)を製造し、次いでこの光学的立体造形物に紫外線(高圧水銀灯)(波長365nm;強度30W/m
2)を20分間照射して後硬化した。
これにより得られた紫外線による後硬化後の光学的立体造形物は、全体として透明であったが、黄変しており、上記した方法で測定した黄色度は2.7であった。
(2) 上記(1)で得られた黄変した光学的立体造形物(紫外線照射して後硬化したもの)を、平らな台上に、縦×横=50mm×30mmの2つの方形表面が上面と下面になるようにして載置し、白色光を放射する光源(発光ダイオード)(LEDパラダイス社製「LP−508H196WC−1」、放射光の波長範囲=415〜740nm、ピーク波長=450nmおよび540nm、波長400nm以下の光を放射せず)の100個を方形に集積して各々に15mAを通電したものを用いて、光学的立体造形物の上方から白色光を延べ5時間にわたって照射した。
(3) 上記(2)の白色光の照射の際に、光学的立体造形物の表面での380〜780nmの波長範囲(可視光域)における合計照射強度Q(W/m
2)を上記した方法で測定すると共に、光学的立体造形物の光を照射されている表面での380〜780nmの波長範囲(可視光域)での相対分光強度の積分値L
Aおよび430〜500nmの波長範囲での相対分光強度の積分値L
Bを上記した方法で求めて、式:Q×(L
B/L
A)から、光学的立体造形物の光を照射されている表面での波長430〜500nmの光の合計照射強度(W/m
2)を求めたところ、下記の表1に示すとおりであった。
(4) また、上記(2)の青緑光の照射の際に、白色光を30分間照射した後、2時間照射した後および5時間照射した後の時点で、光学的立体造形物の黄色度を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0088】
《実施例4》
(1) 実施例1の(1)の(i)で調製したのと同じ光硬化性樹脂組成物を用いて、実施例1の上記(2)の(i)と同じ光造形条件を採用して光学的立体造形物(縦×横×厚さ=50mm×30mm×5mmの直方体)を製造し、次いでこの光学的立体造形物に紫外線(高圧水銀灯)(波長365nm;強度30W/m
2)を20分間照射して後硬化した。
これにより得られた紫外線による後硬化後の光学的立体造形物は、全体として透明であったが、黄変しており、上記した方法で測定した黄色度は3.0であった。
(2) 上記(1)で得られた黄変した光学的立体造形物(紫外線照射して後硬化したもの)を、平らな台上に、縦×横=50mm×30mmの2つの方形表面が上面と下面になるようにして載置し、光源としてメタルハライドランプ(ウシオライティング社製「GL−30201BF」、放射光の波長範囲:下限360nmおよび上限780nmを超え、ピーク波長=365nm、405nm、420nm、435nm、545nm、580nm、640nm)を使用し、光源の下方にアクリル製紫外線カット板(三菱レイヨン株式会社製「アクリライトN549」、光源から放射される光に含まれる波長400nm以下の光の除去率=99.92%)を配置して、光学的立体造形物の上方から紫外線をカットした後の光を延べ5時間にわたって照射した。
(3) 上記(2)の光の照射の際に、光学的立体造形物の表面での380〜780nmの波長範囲(可視光域)における合計照射強度Q(W/m
2)を上記した方法で測定すると共に、光学的立体造形物の光を照射されている表面での380〜780nmの波長範囲(可視光域)での相対分光強度の積分値L
Aおよび430〜500nmの波長範囲での相対分光強度の積分値L
Bを上記した方法で求めて、式:Q×(L
B/L
A)から、光学的立体造形物の光を照射されている表面での波長430〜500nmの光の合計照射強度(W/m
2)を求めたところ、下記の表1に示すとおりであった。
(4) また、上記(2)の光の照射の際に、光を30分間照射した後、2時間照射した後および5時間照射した後の時点で、光学的立体造形物の黄色度を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0089】
《比較例1》
(1) 実施例1の(1)の(i)で調製したのと同じ光硬化性樹脂組成物を用いて、実施例1の上記(2)の(i)と同じ光造形条件を採用して光学的立体造形物(縦×横×厚さ=50mm×30mm×5mmの直方体)を製造し、次いでこの光学的立体造形物に紫外線(高圧水銀灯)(波長365nm;強度30W/m
2)を20分間照射して後硬化した。
これにより得られた紫外線による後硬化後の光学的立体造形物は、全体として透明であったが、黄変しており、上記した方法で測定した黄色度は2.9であった。
(2) 上記(1)で得られた黄変した光学的立体造形物(紫外線照射して後硬化したもの)を、平らな台上に、縦×横=50mm×30mmの2つの方形表面が上面と下面になるようにして載置し、赤色光を放射する光源(発光ダイオード)(株式会社東芝製「TLRE180AP」、放射光の波長範囲=600〜675nm、ピーク波長=645nm、波長400nm以下の光を放射せず)の100個を方形に集積して各々に15mAを通電したものを用いて、光学的立体造形物の上方から赤色光を延べ5時間にわたって照射した。
(3) 上記(2)の赤色光の照射の際に、光学的立体造形物の表面での380〜780nmの波長範囲(可視光域)における合計照射強度Q(W/m
2)を上記した方法で測定すると共に、光学的立体造形物の光を照射されている表面での380〜780nmの波長範囲(可視光域)での相対分光強度の積分値L
Aおよび430〜500nmの波長範囲での相対分光強度の積分値L
Bを上記した方法で求めて、式:Q×(L
B/L
A)から、光学的立体造形物の光を照射されている表面での波長430〜500nmの光の合計照射強度(W/m
2)を求めたところ、下記の表2に示すとおりであった。
(4) また、上記(2)の赤色光の照射の際に、赤色光を30分間照射した後、2時間照射した後および5時間照射した後の時点で、光学的立体造形物の黄色度を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
【0090】
《比較例2》
(1) 実施例1の(1)の(i)で調製したのと同じ光硬化性樹脂組成物を用いて、実施例1の上記(2)の(i)と同じ光造形条件を採用して光学的立体造形物(縦×横×厚さ=50mm×30mm×5mmの直方体)を製造し、次いでこの光学的立体造形物に紫外線(高圧水銀灯)(波長365nm;強度30W/m
2)を20分間照射して後硬化した。
これにより得られた紫外線による後硬化後の光学的立体造形物は、全体として透明であったが、黄変しており、上記した方法で測定した黄色度は2.9であった。
(2) 上記(1)で得られた黄変した光学的立体造形物(紫外線照射して後硬化したもの)を、平らな台上に、縦×横=50mm×30mmの2つの方形表面が上面と下面になるようにして載置し、黄緑光を放射する光源(発光ダイオード)(株式会社東芝製「TLGE183P」、放射光の波長範囲=530〜595nm、ピーク波長=570nm、波長400nm以下の光を放射せず)の100個を方形に集積して各々に15mAを通電したものを用いて、光学的立体造形物の上方から黄緑光を延べ5時間にわたって照射した。
(3) 上記(2)の黄緑光の照射の際に、光学的立体造形物の表面での380〜780nmの波長範囲(可視光域)における合計照射強度Q(W/m
2)を上記した方法で測定すると共に、光学的立体造形物の光を照射されている表面での380〜780nmの波長範囲(可視光域)での相対分光強度の積分値L
Aおよび430〜500nmの波長範囲での相対分光強度の積分値L
Bを上記した方法で求めて、式:Q×(L
B/L
A)から、光学的立体造形物の光を照射されている表面での波長430〜500nmの光の合計照射強度(W/m
2)を求めたところ、下記の表2に示すとおりであった。
(4) また、上記(2)の黄緑光の照射の際に、黄緑光を30分間照射した後、2時間照射した後および5時間照射した後の時点で、光学的立体造形物の黄色度を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
【0091】
《比較例3》
(1) 実施例1の(1)の(i)で調製したのと同じ光硬化性樹脂組成物を用いて、実施例1の上記(2)の(i)と同じ光造形条件を採用して光学的立体造形物(縦×横×厚さ=50mm×30mm×5mmの直方体)を製造し、次いでこの光学的立体造形物に紫外線(高圧水銀灯)(波長365nm;強度30W/m
2)を20分間照射して後硬化した。
これにより得られた紫外線による後硬化後の光学的立体造形物は、全体として透明であったが、黄変しており、上記した方法で測定した黄色度は2.7であった。
(2) 上記(1)で得られた黄変した光学的立体造形物(紫外線照射して後硬化したもの)を、平らな台上に、縦×横=50mm×30mmの2つの方形表面が上面と下面になるようにして載置し、緑色光を放射する光源(発光ダイオード)(豊田合成株式会社製「E1L53−AG0A2−04」、放射光の波長範囲=465〜610nm、ピーク波長=525nm、波長400nm以下の光を放射せず)の100個を方形に集積して各々に15mAを通電したものを用いて、光学的立体造形物の上方から緑色光を延べ5時間にわたって照射した。
(3) 上記(2)の緑色光の照射の際に、光学的立体造形物の表面での380〜780nmの波長範囲(可視光域)における合計照射強度Q(W/m
2)を上記した方法で測定すると共に、光学的立体造形物の光を照射されている表面での380〜780nmの波長範囲(可視光域)での相対分光強度の積分値L
Aおよび430〜500nmの波長範囲での相対分光強度の積分値L
Bを上記した方法で求めて、式:Q×(L
B/L
A)から、光学的立体造形物の光を照射されている表面での波長430〜500nmの光の合計照射強度(W/m
2)を求めたところ、下記の表2に示すとおりであった。
(4) また、上記(2)の緑色光の照射の際に、赤色光を30分間照射した後、2時間照射した後および5時間照射した後の時点で、光学的立体造形物の黄色度を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
【0092】
《比較例4》
(1) 実施例1の(1)の(i)で調製したのと同じ光硬化性樹脂組成物を用いて、実施例1の上記(2)の(i)と同じ光造形条件を採用して光学的立体造形物(縦×横×厚さ=50mm×30mm×5mmの直方体)を製造し、次いでこの光学的立体造形物に紫外線(高圧水銀灯)(波長365nm;強度30W/m
2)を20分間照射して後硬化した。
これにより得られた紫外線による後硬化後の光学的立体造形物は、全体として透明であったが、黄変しており、上記した方法で測定した黄色度は2.9であった。
(2) 上記(1)で得られた黄変した光学的立体造形物(紫外線照射して後硬化したもの)を、平らな台上に、縦×横=50mm×30mmの2つの方形表面が上面と下面になるようにして載置し、近紫外光を放射する光源(発光ダイオード)(LEDパラダイス社製「LP−R5UV400」、放射光の波長範囲=380〜435nm、ピーク波長=400nm)の100個を方形に集積して各々に15mAを通電したものを用いて、光学的立体造形物の上方から近紫外光を延べ5時間にわたって照射した。
(3) 上記(2)の近紫外光の照射の際に、光学的立体造形物の表面での380〜780nmの波長範囲(可視光域)における合計照射強度Q(W/m
2)を上記した方法で測定すると共に、光学的立体造形物の光を照射されている表面での380〜780nmの波長範囲(可視光域)での相対分光強度の積分値L
Aおよび430〜500nmの波長範囲での相対分光強度の積分値L
Bを上記した方法で求めて、式:Q×(L
B/L
A)から、光学的立体造形物の光を照射されている表面での波長430〜500nmの光の合計照射強度(W/m
2)を求めたところ、下記の表2に示すとおりであった。
(4) また、上記(2)の近紫外光の照射の際に、近紫外光を30分間照射した後、2時間照射した後および5時間照射した後の時点で、光学的立体造形物の黄色度を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
【0093】
《比較例5》
(1) 実施例1の(1)の(i)で調製したのと同じ光硬化性樹脂組成物を用いて、実施例1の上記(2)の(i)と同じ光造形条件を採用して光学的立体造形物(縦×横×厚さ=50mm×30mm×5mmの直方体)を製造し、次いでこの光学的立体造形物に紫外線(高圧水銀灯)(波長365nm;強度30W/m
2)を20分間照射して後硬化した。
これにより得られた紫外線による後硬化後の光学的立体造形物は、全体として透明であったが、黄変しており、上記した方法で測定した黄色度は2.9であった。
(2) 上記(1)で得られた黄変した光学的立体造形物(紫外線照射して後硬化したもの)を、平らな台上に、縦×横=50mm×30mmの2つの方形表面が上面と下面になるようにして載置し、光源としてメタルハライドランプ(ウシオライテジング社製「GL−30201BF」、放射光の波長範囲=360〜780nm、ピーク波長=365nm、405nm、420nm、435nm、545nm、580nm、640nm、)を使用し、光学的立体造形物の上方から、光源からの光(紫外線を含む光)をそのまま延べ2時間にわたって照射した。
(3) 上記(2)の光の照射の際に、光学的立体造形物の表面での380〜780nmの波長範囲(可視光域)における合計照射強度Q(W/m
2)を上記した方法で測定すると共に、光学的立体造形物の光を照射されている表面での380〜780nmの波長範囲(可視光域)での相対分光強度の積分値L
Aおよび430〜500nmの波長範囲での相対分光強度の積分値L
Bを上記した方法で求めて、式:Q×(L
B/L
A)から、光学的立体造形物の光を照射されている表面での波長430〜500nmの光の合計照射強度(W/m
2)を求めたところ、下記の表2に示すとおりであった。
(4) また、上記(2)の光の照射の際に、光を30分間照射した後および2時間照射した後の時点で、光学的立体造形物の黄色度を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
【0094】
【表1】
【0095】
【表2】
【0096】
上記の表1にみるように、実施例1〜4では、光硬化性樹脂組成物を用いて製造してなる黄変の生じた光学的立体造形物に対して、430〜500nmの範囲内の波長を有する光を含み且つ波長が400nm以下の光を含まない光を、光学的立体造形物の表面での波長430〜500nmの光の合計照射強度が15W/m
2以上となるように照射したことによって、5時間照射後に光学的立体造形物の黄色度がいずれも2.4以下になっていて、黄色度は当初の黄色度の18.5%以上減少した。5時間照射後の実施例1〜4の光学的立体造形物を目視で観察したところ、黄変の割合が極めて低くなっていて無色透明に近いものであった。
【0097】
それに対して、表2にみるように、比較例1〜3では波長が400nm以下の光(特に紫外線)を含まない光を光学的立体造形物に照射したが、波長430〜500nmの光の合計照射強度が15W/m
2未満であったために、5時間照射後の黄色度は当初の約3〜10%しか減少しておらず、黄変の改善効果が極めて小さい。
また、比較例4および5では、波長が400nm以下の光(特に紫外線)を含む照射したことにより、波長430〜500nmの光の合計照射強度の大小に拘わらず、光学的立体造形物の黄色度が照射前よりも大幅に高くなっており、黄変の度合がむしろ大きく増している。
【0098】
《実施例5》
(1) 実施例1の(1)の(i)で調製したのと同じ光硬化性樹脂組成物を用いて、実施例1の上記(2)の(i)と同じ光造形条件を採用して光学的立体造形物(縦×横×厚さ=50mm×30mm×5mmの直方体)を複数製造し、次いでそれらの光学的立体造形物に紫外線(高圧水銀灯)(波長365nm;強度30W/m
2)を20分間照射して後硬化した。
これにより得られた紫外線による後硬化後の光学的立体造形物は、全体として透明であったが、黄変しており、上記した方法で測定した黄色度はいずれも2.9であった。
(2) 上記(1)で得られたそれぞれの光学的立体造形物(紫外線照射して後硬化したもの)に対して、実施例1の(3)で用いたのと同じ青色光を放射する光源(LEDパラダイス社製「LP−R5B40」)の100個を方形に集積して各々に15mAを通電したものを使用して青色光を照射し、その際に、パルス幅変調装置(PWM装置)(Audio−Q社製「AQP−224W−K」、24V用2Aパルス式LED減光キット)と定電圧電源を使用して、光学的立体造形物に照射する青色光の調光(照射強度の変更)を行って、光学的立体造形物の表面での波長430〜500nmの光の合計照射強度を40.8W/m
2、15.1W/m
2および2.8w/m
2に変更して照射実験を実施し、光を30分間照射した後、2時間照射した後および5時間照射した後の時点で、光学的立体造形物の黄色度を上記した方法で測定した。
その結果を、上記した実施例1の結果と併せて下記の表3に示す。
【0099】
【表3】
【0100】
《実施例6》
(1)光硬化性樹脂組成物の調製:
(i) 3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(ダウケミカル社製「UVR−6105」)40質量部、エトキシ化ビスフェノールAジグリシジルエーテル(新日本理化株式会社製「BPO−20E」)20質量部、3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタン(東亞合成株式会社製「OXT−101」)10質量部、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(サンアプロ株式会社製「CPI−101A」)(カチオン重合開始剤)4質量部、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製「A−DCP」)10質量部、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学工業株式会社製「A−BPE−4)10質量部、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業株式会社製「ATM−4P」)10質量部および1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン(チバスペシャリティケミカル社製「Irgacure 184」)(ラジカル重合開始剤)1.5質量部をよく混合して光硬化性樹脂組成物を調製し、これを遮光したタンクに収容した。
これにより得られた光硬化性樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ、340mPa・sであった。
(ii) 上記(i)で得られた光硬化性樹脂組成物について、その硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E
10)を上記した方法で求めたところ、硬化深度(Dp)=0.23mm、臨界硬化エネルギー(Ec)=21mJ/cm
2、および作業硬化エネルギー(E
10)=65mJ/cm
2であった。
【0101】
(2)物性測定用の光学的立体造形物の製造:
(i) 上記(1)の(i)で調製した光硬化性樹脂組成物を用いて、実施例1の(2)の(i)と同様にして光学的立体造形を行って力学的特性[引張り特性(引張破断強度、引張破断伸度、引張弾性率)、降伏強度、曲げ特性(曲げ強度、曲げ弾性率)、衝撃強度]、収縮率、硬度(ショアD硬度)および熱変形温度を測定するための光学的立体造形物をそれぞれ製造し、得られた光学的立体造形物(試験片)に紫外線(高圧水銀灯)(波長365nm;強度30W/m
2)を20分間照射して後硬化した。
(ii) 上記(i)で得られた光学的立体造形物(紫外線で後硬化したもの)を用いて、上記した方法で各種物性を測定したところ、引張破断強度=61MPa、引張破断伸度=5.1%、引張弾性率=2050MPa、降伏強度=54MPa、曲げ強度=84MPa、曲げ弾性率=2820MPa、衝撃強度=1.5kJ/m
2、収縮率=5.4%、硬度(ショアD硬度)=87および熱変形温度=47℃であった。
【0102】
(3)光学的立体造形物の光照射処理:
(i) 上記(1)の(i)で調製した光硬化性樹脂組成物を用いて、実施例1の(2)の(i)と同じ光造形条件を採用して光学的立体造形物(縦×横×厚さ=50mm×30mm×5mmの直方体)を製造し、次いでこの光学的立体造形物に紫外線(高圧水銀灯)(波長365nm;強度30W/m
2)を20分間照射して後硬化した。
これにより得られた紫外線による後硬化後の光学的立体造形物は、ほぼ透明であったが、黄変しており、上記した方法で測定した黄色度は6.0であった。
(ii) 上記(i)で得られた黄変した光学的立体造形物(紫外線照射して後硬化したもの)を、平らな台上に、縦×横=50mm×30mmの2つの方形表面が上面と下面になるようにして載置し、青色光を放射する実施例1で使用したのと同じ光源(LEDパラダイス社製「LP−R5B40」、放射光の波長範囲=420〜505nm、ピーク波長=455nm、波長400nm以下の光を放射せず)の100個を方形に集積して各々に15mAを通電したものを用いて、光学的立体造形物の上方から青緑光を延べ2時間にわたって照射し、2時間照射した後の時点で、光学的立体造形物の黄色度を上記した方法で測定したところ、下記の表4に示すとおりであった。
その際に、光学的立体造形物の光を照射されている表面における、380〜780nmの波長範囲(可視光域)における合計照射強度Q(W/m
2)、380〜780nmの波長範囲(可視光域)での相対分光強度の積分値L
Aおよび430〜500nmの波長範囲での相対分光強度の積分値L
Bは、実施例1と同じであった。
【0103】
《実施例7》
(1)光硬化性樹脂組成物の調製:
(i) 水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル(新日本理化株式会社製「HBE−100」30.75質量部、エトキシ化ビスフェノールAジグリシジルエーテル(新日本理化株式会社製「BPO−20E」)22質量部、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(サンアプロ株式会社製「CPI−101A」)(カチオン重合開始剤)4質量部、ジペンタエリスリトールポリアクリレート(新中村化学工業株式会社製「A−9550」)8質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製「カヤラドDPHA」)4質量部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン(チバスペシャリティケミカル社製「Irgacure 184」)(ラジカル重合開始剤)3質量部、2−メルカプトベンゾチアゾール(東京化成株式会社製)1質量部、プロポキシ化グリセリン(三洋化成株式会社製「GP−400」)9質量部、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバスペシャリティケミカル社製「Irganox 1010」)1.25質量部および蒸留水1質量部をよく混合して光硬化性樹脂組成物を調製し、これを遮光したタンクに収容した。
これにより得られた光硬化性樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ、540mPa・sであった。
(ii) 上記(i)で得られた光硬化性樹脂組成物について、その硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E
10)を上記した方法で求めたところ、硬化深度(Dp)=0.07mm、臨界硬化エネルギー(Ec)=14mJ/cm
2、および作業硬化エネルギー(E
10)=650mJ/cm
2であった。
【0104】
(2)物性測定用の光学的立体造形物の製造:
(i) 上記(1)の(i)で調製した光硬化性樹脂組成物を用いて、実施例1の(2)の(i)と同様にして光学的立体造形を行って力学的特性[引張り特性(引張破断強度、引張破断伸度、引張弾性率)、降伏強度、曲げ特性(曲げ強度、曲げ弾性率)、衝撃強度]、収縮率、硬度(ショアD硬度)および熱変形温度を測定するための光学的立体造形物をそれぞれ製造し、得られた光学的立体造形物(試験片)に紫外線(高圧水銀灯)(波長365nm;強度30W/m
2)を20分間照射して後硬化した。
(ii) 上記(i)で得られた光学的立体造形物(紫外線で後硬化したもの)を用いて、上記した方法で各種物性を測定したところ、引張破断強度=26MPa、引張破断伸度=15.2%、引張弾性率=1130MPa、降伏強度=23MPa、曲げ強度=37MPa、曲げ弾性率=1320MPa、衝撃強度=1.6kJ/m
2、収縮率=4.8%、硬度(ショアD硬度)=82および熱変形温度=35℃であった。
【0105】
(3)光学的立体造形物の光照射処理:
(i) 上記(1)の(i)で調製した光硬化性樹脂組成物を用いて、実施例1の(2)の(i)と同じ光造形条件を採用して光学的立体造形物(縦×横×厚さ=50mm×30mm×5mmの直方体)を製造し、次いでこの光学的立体造形物に紫外線(高圧水銀灯)(波長365nm;強度30W/m
2)を20分間照射して後硬化した。
これにより得られた紫外線による後硬化後の光学的立体造形物は、ほぼ透明であったが、黄変しており、上記した方法で測定した黄色度は7.0であった。
(ii) 上記(i)で得られた黄変した光学的立体造形物(紫外線照射して後硬化したもの)を、平らな台上に、縦×横=50mm×30mmの2つの方形表面が上面と下面になるようにして載置し、青色光を放射する実施例1で使用したのと同じ光源(LEDパラダイス社製「LP−R5B40」、放射光の波長範囲=420〜505nm、ピーク波長=455nm、波長400nm以下の光を放射せず)の100個を方形に集積して各々に15mAを通電したものを用いて、光学的立体造形物の上方から青緑光を延べ2時間にわたって照射し、2時間照射した後の時点で、光学的立体造形物の黄色度を上記した方法で測定したところ、下記の表4に示すとおりであった。
その際に、光学的立体造形物の光を照射されている表面における、380〜780nmの波長範囲(可視光域)における合計照射強度Q(W/m
2)、380〜780nmの波長範囲(可視光域)での相対分光強度の積分値L
Aおよび430〜500nmの波長範囲での相対分光強度の積分値L
Bは、実施例1と同じであった。
【0106】
《実施例8》
(1)光硬化性樹脂組成物の調製:
(i) 水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル(新日本理化株式会社製「HBE−100」50質量部、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート(サンアプロ株式会社製「CPI−200K)(カチオン重合開始剤)4質量部、ジペンタエリスリトールポリアクリレート(新中村化学工業株式会社製「A−9550」)15質量部、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(チバスペシャリティケミカル社製「Darocure 1173」)(ラジカル重合開始剤)2質量部およびシクロヘキサンジメタノール(新日本理化株式会社製「CHDM」)10質量部をよく混合して光硬化性樹脂組成物を調製し、これを遮光したタンクに収容した。
これにより得られた光硬化性樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ、352mPa・sであった。
(ii) 上記(i)で得られた光硬化性樹脂組成物について、その硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E
10)を上記した方法で求めたところ、硬化深度(Dp)=0.39mm、臨界硬化エネルギー(Ec)=26mJ/cm
2、および作業硬化エネルギー(E
10)=50mJ/cm
2であった。
【0107】
(2)光学的立体造形物の光照射処理:
(i) 上記(1)の(i)で調製した光硬化性樹脂組成物を用いて、実施例1の(2)の(i)と同じ光造形条件を採用して光学的立体造形物(縦×横×厚さ=50mm×30mm×5mmの直方体)を製造し、次いでこの光学的立体造形物に紫外線(高圧水銀灯)(波長365nm;強度30W/m
2)を20分間照射して後硬化した。
これにより得られた紫外線による後硬化後の光学的立体造形物は、ほぼ透明であったが、黄変しており、上記した方法で測定した黄色度は4.2であった。
(ii) 上記(i)で得られた黄変した光学的立体造形物(紫外線照射して後硬化したもの)を、平らな台上に、縦×横=50mm×30mmの2つの方形表面が上面と下面になるようにして載置し、青色光を放射する実施例1で使用したのと同じ光源(LEDパラダイス社製「LP−R5B40」、放射光の波長範囲=420〜505nm、ピーク波長=455nm、波長400nm以下の光を放射せず)の100個を方形に集積して各々に15mAを通電したものを用いて、光学的立体造形物の上方から青緑光を延べ2時間にわたって照射し、2時間照射した後の時点で、光学的立体造形物の黄色度を上記した方法で測定したところ、下記の表4に示すとおりであった。
その際に、光学的立体造形物の光を照射されている表面における、380〜780nmの波長範囲(可視光域)における合計照射強度Q(W/m
2)、380〜780nmの波長範囲(可視光域)での相対分光強度の積分値L
Aおよび430〜500nmの波長範囲での相対分光強度の積分値L
Bは、実施例1と同じであった。
【0108】
《実施例9》
(1)光硬化性樹脂組成物の調製:
(i) 3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(ダウケミカル社製「UVR−6105」)50質量部、3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタン(東亞合成株式会社製「OXT−101」)50質量部および4−(2−クロロ−4−ベンソイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(ADEKA社製「SP−172)(カチオン重合開始剤)3質量部をよく混合して光硬化性樹脂組成物を調製し、これを遮光したタンクに収容した。
これにより得られた光硬化性樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ、48mPa・sであった。
(ii) 上記(i)で得られた光硬化性樹脂組成物について、その硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E
10)を上記した方法で求めたところ、硬化深度(Dp)=0.10mm、臨界硬化エネルギー(Ec)=12mJ/cm
2、および作業硬化エネルギー(E
10)=156mJ/cm
2であった。
【0109】
(2)光学的立体造形物の光照射処理:
(i) 上記(1)の(i)で調製した光硬化性樹脂組成物を用いて、実施例1の(2)の(i)と同じ光造形条件を採用して光学的立体造形物(縦×横×厚さ=50mm×30mm×5mmの直方体)を製造し、次いでこの光学的立体造形物に紫外線(高圧水銀灯)(波長365nm;強度30W/m
2)を20分間照射して後硬化した。
これにより得られた紫外線による後硬化後の光学的立体造形物は黄変の度合が大きく、上記した方法で測定した黄色度は35.4であった。
(ii) 上記(i)で得られた黄変した光学的立体造形物(紫外線照射して後硬化したもの)を、平らな台上に、縦×横=50mm×30mmの2つの方形表面が上面と下面になるようにして載置し、青色光を放射する実施例1で使用したのと同じ光源(LEDパラダイス社製「LP−R5B40」、放射光の波長範囲=420〜505nm、ピーク波長=455nm、波長400nm以下の光を放射せず)の100個を方形に集積して各々に15mAを通電したものを用いて、光学的立体造形物の上方から青緑光を延べ2時間にわたって照射し、2時間照射した後の時点で、光学的立体造形物の黄色度を上記した方法で測定したところ、下記の表4に示すとおりであった。
その際に、光学的立体造形物の光を照射されている表面における、380〜780nmの波長範囲(可視光域)における合計照射強度Q(W/m
2)、380〜780nmの波長範囲(可視光域)での相対分光強度の積分値L
Aおよび430〜500nmの波長範囲での相対分光強度の積分値L
Bは、実施例1と同じであった。
【0110】
《実施例10》
(1)光硬化性樹脂組成物の調製:
(i) 8官能ウレタンアクリレートメタクリレート(新中村化学工業株式会社製「U8−231」;プロポキシ化ペンタエリスリトール1分子、イソホロンジイソシアネート4分子およびグリセリンアクリレートメタクリレート4分子を反応させたもの)50質量部、アクリロイルモルホリン(新中村化学工業株式会社製「A−MO」)25質量部、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製「A−DCP」)25質量部およびベンジルジメチルケタール(チバスペシャリティケミカル社製「Irgacure 651」)(ラジカル重合開始剤)4質量部をよく混合して光硬化性樹脂組成物を調製し、これを遮光したタンクに収容した。
これにより得られた光硬化性樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ、540mPa・sであった。
(ii) 上記(i)で得られた光硬化性樹脂組成物について、その硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E
10)を上記した方法で求めたところ、硬化深度(Dp)=0.13mm、臨界硬化エネルギー(Ec)=2.8mJ/cm
2、および作業硬化エネルギー(E
10)=19.3mJ/cm
2であった。
【0111】
(2)光学的立体造形物の光照射処理:
(i) 上記(1)の(i)で調製した光硬化性樹脂組成物を用いて、実施例1の(2)の(i)と同じ光造形条件を採用して光学的立体造形物(縦×横×厚さ=50mm×30mm×5mmの直方体)を製造し、次いでこの光学的立体造形物に紫外線(高圧水銀灯)(波長365nm;強度30W/m
2)を20分間照射して後硬化した。
これにより得られた紫外線による後硬化後の光学的立体造形物は黄変の度合が大きく、上記した方法で測定した黄色度は9.3であった。
(ii) 上記(i)で得られた黄変した光学的立体造形物(紫外線照射して後硬化したもの)を、平らな台上に、縦×横=50mm×30mmの2つの方形表面が上面と下面になるようにして載置し、青色光を放射する実施例1で使用したのと同じ光源(LEDパラダイス社製「LP−R5B40」、放射光の波長範囲=420〜505nm、ピーク波長=455nm、波長400nm以下の光を放射せず)の100個を方形に集積して各々に15mAを通電したものを用いて、光学的立体造形物の上方から青緑光を延べ2時間にわたって照射し、2時間照射した後の時点で、光学的立体造形物の黄色度を上記した方法で測定したところ、下記の表4に示すとおりであった。
その際に、光学的立体造形物の光を照射されている表面における、380〜780nmの波長範囲(可視光域)における合計照射強度Q(W/m
2)、380〜780nmの波長範囲(可視光域)での相対分光強度の積分値L
Aおよび430〜500nmの波長範囲での相対分光強度の積分値L
Bは、実施例1と同じであった。
【0112】
《実施例11》
(1)光硬化性樹脂組成物の調製:
(i) トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製「DCP」)50質量部、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製「BPE−200」)50質量部および1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバスペシャリティケミカル社製「Irgacure 184」)(ラジカル重合開始剤)4質量部をよく混合して光硬化性樹脂組成物を調製し、これを遮光したタンクに収容した。
これにより得られた光硬化性樹脂組成物の粘度を上記した方法で測定したところ、320mPa・sであった。
(ii) 上記(i)で得られた光硬化性樹脂組成物について、その硬化深度(Dp)、臨界硬化エネルギー(Ec)および作業硬化エネルギー(E
10)を上記した方法で求めたところ、硬化深度(Dp)=0.37mm、臨界硬化エネルギー(Ec)=25mJ/cm
2、および作業硬化エネルギー(E
10)=49.5mJ/cm
2であった。
【0113】
(2)光学的立体造形物の光照射処理:
(i) 上記(1)の(i)で調製した光硬化性樹脂組成物を用いて、実施例1の(2)の(i)と同じ光造形条件を採用して光学的立体造形物(縦×横×厚さ=50mm×30mm×5mmの直方体)を製造し、次いでこの光学的立体造形物に紫外線(高圧水銀灯)(波長365nm;強度30W/m
2)を20分間照射して後硬化した。
これにより得られた紫外線による後硬化後の光学的立体造形物は黄変の度合が大きく、上記した方法で測定した黄色度は61.3であった。
(ii) 上記(i)で得られた黄変した光学的立体造形物(紫外線照射して後硬化したもの)を、平らな台上に、縦×横=50mm×30mmの2つの方形表面が上面と下面になるようにして載置し、青色光を放射する実施例1で使用したのと同じ光源(LEDパラダイス社製「LP−R5B40」、放射光の波長範囲=420〜505nm、ピーク波長=455nm、波長400nm以下の光を放射せず)の100個を方形に集積して各々に15mAを通電したものを用いて、光学的立体造形物の上方から青緑光を延べ2時間にわたって照射し、2時間照射した後の時点で、光学的立体造形物の黄色度を上記した方法で測定したところ、下記の表4に示すとおりであった。
その際に、光学的立体造形物の光を照射されている表面における、380〜780nmの波長範囲(可視光域)における合計照射強度Q(W/m
2)、380〜780nmの波長範囲(可視光域)での相対分光強度の積分値L
Aおよび430〜500nmの波長範囲での相対分光強度の積分値L
Bは、実施例1と同じであった。
【0114】
【表4】
【0115】
上記の表4の実施例6〜11の結果および上記した表1の実施例1〜4の結果から明らかなように、430〜500nmの範囲内の波長を有する光(青色光)を含み且つ波長が400nm以下の光を含まない光を、光学的立体造形物の表面での波長430〜500nmの光の合計照射強度が15W/m
2以上となるように照射して光学的立体造形物の黄変などの変色を低減させる本発明の処理方法は、光学的立体造形物の樹脂の種類や成分など(光学的立体造形物の製造に用いた光硬化性樹脂組成物を構成する成分の種類や成分組成など)が異なっていても有効に実施することができる。
【0116】
《参考例1》
(1) 実施例1の(1)の(i)で調製したのと同じ光硬化性樹脂組成物を用いて、実施例1の上記(2)の(i)と同じ光造形条件を採用して複数の光学的立体造形物(縦×横×厚さ=50mm×30mm×5mmの直方体)を製造し、次いでこれらの光学的立体造形物に紫外線(高圧水銀灯)(波長365nm;強度30W/m
2)を20分間照射して後硬化した。
これにより得られた紫外線による後硬化後の光学的立体造形物は、いずれも、全体として透明であったが、黄変しており、上記した方法で測定した黄色度は2.9であった。
(2)(i) 上記(1)で得られた光学的立体造形物(紫外線照射して後硬化したもの)のうちの1つは、遮光した状態(アルミニウムをラミネートした遮光フイルムで包んだ後に、金属缶に収容)で室温下に2日間保存し、2日後に缶から取り出してその黄色度を上記した方法で測定したところ、下記の表5に示すとおりであった。
(ii) また、上記(1)で得られた光学的立体造形物(紫外線照射して後硬化したもの)のうちの別の1つは、室内(紫外線カット蛍光灯で照明した室内)の中央に、露出状態でそのまま2日間放置し、2日後にその黄色度を上記した方法で測定したところ、下記の表5に示すとおりであった。なお、この上記(ii)の実験では、室内に放置した光学的立体造形物の表面での380〜780nmの波長範囲(可視光域)における合計照射強度Q(W/m
2)を上記した方法で測定すると共に、光学的立体造形物の光を照射されている表面での380〜780nmの波長範囲(可視光域)での相対分光強度の積分値L
Aおよび430〜500nmの波長範囲での相対分光強度の積分値L
Bを上記した方法で求めて、式:Q×(L
B/L
A)から、光学的立体造形物の光を照射されている表面での波長430〜500nmの光の合計照射強度(W/m
2)を求めたところ、下記の表5に示すとおりであった。
(iii) 更に、上記(1)で得られた光学的立体造形物(紫外線照射して後硬化したもの)のうちの更に別の1つは、透明なガラス越しに太陽光が当たる南向の窓辺に露出した状態で2日間放置し、2日後にその黄色度を上記した方法で測定したところ、下記の表5に示すとおりであった。なお、この(iii)の実験では、窓辺に放置した光学的立体造形物の表面での380〜780nmの波長範囲(可視光域)における合計照射強度Q(W/m
2)を上記した方法で測定すると共に、光学的立体造形物の光を照射されている表面での380〜780nmの波長範囲(可視光域)での相対分光強度の積分値L
Aおよび430〜500nmの波長範囲での相対分光強度の積分値L
Bを上記した方法で求めて、式:Q×(L
B/L
A)から、光学的立体造形物の光を照射されている表面での波長430〜500nmの光の合計照射強度(W/m
2)を求めたところ、下記の表5に示すとおりであった。
【0117】
【表5】