特許第5738375号(P5738375)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5738375機械式駐車装置の制御装置、方法、プログラム、及びパレットスタッカー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5738375
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】機械式駐車装置の制御装置、方法、プログラム、及びパレットスタッカー
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/18 20060101AFI20150604BHJP
【FI】
   E04H6/18 601A
   E04H6/18 610
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-204221(P2013-204221)
(22)【出願日】2013年9月30日
(62)【分割の表示】特願2011-190128(P2011-190128)の分割
【原出願日】2011年8月31日
(65)【公開番号】特開2014-5726(P2014-5726A)
(43)【公開日】2014年1月16日
【審査請求日】2013年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工メカトロシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(72)【発明者】
【氏名】高橋 すすむ
(72)【発明者】
【氏名】天野 信雄
(72)【発明者】
【氏名】大倉 一政
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 隆
【審査官】 土屋 真理子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−047169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を入出庫させる入出庫部と、車両を載せて搬送するためのパレットが配置された複数の格納棚及び前記パレットが配置されない空き領域となる1箇所以上の格納棚が格子状に配置された格納庫と、前記入出庫部と前記格納庫の間を昇降して前記パレットを搬送する昇降装置と、を備え、前記パレットが前記格納棚間を水平面内で縦方向及び横方向に移動することで、前記格納庫内で車両の搬送を行う機械式駐車装置に適用される制御装置であって、
前記昇降装置に隣接しない格納棚に配置され、前記車両の載置されていない前記パレットである空きパレットを格納するパレットスタッカーに、前記空きパレットを格納させる格納制御手段を具備し、
前記パレットスタッカーは、高さ方向に所定の間隔で前記パレットを支える保持用フックを有する支持柱と、前記空きパレットを格納する格納スロットを複数備え、最下段の前記格納スロットは前記空きパレットが通過可能にされており、
前記格納制御手段は、前記パレットスタッカーの最上段の前記格納スロットから順に前記空きパレットを格納する制御装置。
【請求項2】
駐車能力に関するパラメータの設定値を取得する取得手段を備え、
前記格納制御手段は、前記取得手段によって取得された前記設定値に基づいて、前記パレットスタッカーに格納させる前記空きパレットの枚数を調整する請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記格納制御手段は、前記空きパレットの枚数が第1閾値より大きくなる状態が、第1所定期間継続した場合に、前記格納棚の少なくとも1つの前記空きパレットを、前記パレットスタッカーに格納する請求項1または請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記格納制御手段は、前記空きパレットの枚数が第2閾値より小さくなる状態が、第2所定期間継続した場合に、前記パレットスタッカーの少なくとも1つの前記空きパレットを、前記格納棚に取り出す請求項1から請求項3のいずれかに記載の制御装置。
【請求項5】
前記格納庫が層状に配置されている場合に、
前記パレットスタッカーは、層毎に設けられ、
層毎及び全層の前記空きパレットの枚数を管理する層管理手段を備える請求項1から請求項4のいずれかに記載の制御装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の制御装置を備えた機械式駐車装置。
【請求項7】
車両を入出庫させる入出庫部と、車両を載せて搬送するためのパレットが配置された複数の格納棚及び前記パレットが配置されない空き領域となる1箇所以上の格納棚が格子状に配置された格納庫と、前記入出庫部と前記格納庫の間を昇降して前記パレットを搬送する昇降装置と、を備え、前記パレットが前記格納棚間を水平面内で縦方向及び横方向に移動することで、前記格納庫内で車両の搬送を行う機械式駐車装置に適用されるパレットスタッカーであって、
前記パレットの対向する2辺を把持して前記パレットを上下方向に搬送する昇降機構と、高さ方向に所定の間隔で前記パレットを支える保持用フックを有する支持柱と、前記空きパレットを格納する複数の格納スロットとを備え、
前記支持柱は、前記昇降機構に把持される前記パレットの前記対向する2辺を支えるように前記格納棚の対向位置に設けられ、
最下段の前記格納スロットは前記空きパレットが通過可能にされているパレットスタッカー。
【請求項8】
請求項7に記載のパレットスタッカーを備えた機械式駐車装置。
【請求項9】
車両を入出庫させる入出庫部と、車両を載せて搬送するためのパレットが配置された複数の格納棚及び前記パレットが配置されない空き領域となる1箇所以上の格納棚が格子状に配置された格納庫と、前記入出庫部と前記格納庫の間を昇降して前記パレットを搬送する昇降装置と、を備え、前記パレットが前記格納棚間を水平面内で縦方向及び横方向に移動することで、前記格納庫内で車両の搬送を行う機械式駐車装置の制御方法であって、
前記昇降装置に隣接しない格納棚に配置され、前記車両の載置されていない前記パレットである空きパレットを格納するパレットスタッカーに、前記空きパレットを格納させ、前記パレットスタッカーは、高さ方向に所定の間隔で前記パレットを支える保持用フックを有する支持柱と、前記空きパレットを格納する格納スロットを複数備え、前記パレットスタッカーの最上段の前記格納スロットから順に前記空きパレットを格納させ、最下段の前記格納スロットは前記空きパレットが通過可能にされる機械式駐車装置の制御方法。
【請求項10】
車両を入出庫させる入出庫部と、車両を載せて搬送するためのパレットが配置された複数の格納棚及び前記パレットが配置されない空き領域となる1箇所以上の格納棚が格子状に配置された格納庫と、前記入出庫部と前記格納庫の間を昇降して前記パレットを搬送する昇降装置と、を備え、前記パレットが前記格納棚間を水平面内で縦方向及び横方向に移動することで、前記格納庫内で車両の搬送を行う機械式駐車装置の制御プログラムであって、
前記昇降装置に隣接しない格納棚に配置され、前記車両の載置されていない前記パレットである空きパレットを格納するパレットスタッカーに、前記空きパレットを格納させる処理と、
前記パレットスタッカーは、高さ方向に所定の間隔で前記パレットを支える保持用フックを有する支持柱と、前記空きパレットを格納する格納スロットを複数備え、最下段の前記格納スロットは前記空きパレットが通過可能にされ、前記パレットスタッカーの最上段の前記格納スロットから順に前記空きパレットを格納させる処理と
をコンピュータに実行させるための機械式駐車装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置の制御装置、方法、プログラム、及びパレットスタッカーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
N行×M列の格子状に配置され、車両を格納する格納棚を有する格納庫を備え、格納棚に車両を載置して搬送するための複数のパレットが配置され、該パレットが格納棚間を水平面内の縦方向及び横方向に移動することで、格納庫内で車両の搬送を行う機械式駐車装置が開発されている。より具体的には、上記機械式駐車装置は、格納棚として、パレットが配置された格納棚と、パレットが配置されず空き領域となる格納棚とがあり、空き領域の格納棚へパレットを送ることで、パレットを移動させる。機械式駐車装置は、このようなパレットの移動動作を繰返し行うことにより、目的のパレットを指定した位置の格納棚へ移動させる。
【0003】
車両の入庫時には、機械式駐車装置の乗入階にある入出庫部で、入庫させる車両が停車され、乗員が車両から降りる。そして、機械式駐車装置は、昇降装置(以下、「リフト」という。)上のパレットに車両を載せ、該パレットを格納庫まで搬送し、車両が載置されたパレットをリフトから格納庫へ移動させることで、車両を格納する。一方、出庫時には、機械式駐車装置は、格納庫内のパレットを移動させて、出庫させる車両の載置されたパレットをリフトへ移動させ、当該パレットをリフトによって乗入階の入出庫部へ搬送することで、車両を出庫させる。
【0004】
このような機械式駐車装置において、パレットが空き領域に送られることにより格納庫内を移動するため、空き領域の数が多いほど、多くの棚間を移動でき、入出庫に要する時間が短縮できる。一方で、空き領域を多くすることは、機械式駐車装置に格納できる車両の台数を低減させ、設備としての収容効率を低下させることになるので、機械式駐車装置の空き領域の数と格納できる車両の台数とは、収容効率と利便性のトレードオフによって決定される必要があった。
【0005】
例えば、特許文献1には、リフトに隣接する位置に、パレットを段積みにして収容することができる段積みバッファ棚を設け、車両が載置されていない空きパレットを段積みバッファ棚に収容させることにより空き領域の数を増やし、入庫台数が多くなった場合には段積みバッファからパレットを取り出して入庫させることで、総収容台数を低減させずに入出庫の待ち時間を短縮させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4046169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の方法では、リフトに隣接する位置に段積みバッファ棚を設けているので、リフトに出し入れされるパレットの移動経路が少なくとも1つ塞がれる状態となる。つまり、移動させたいパレットが配置される格納棚とリフトとの間に、段積みバッファがある場合には、機械式駐車装置は、移動させたいパレットを当該段積みバッファから迂回させて移動させる必要がある。このため、入出庫動作によって高い頻度で使用されるエリアが段積みバッファ棚で占有されることにより、パレットをリフトに到達させるための経路が制約され、入出庫にかかる時間が長くなり、利便性が低下するという問題があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、リフトへのパレット搬送処理を妨げず、かつ、利用者の待ち時間を低減させる機械式駐車装置の制御装置、方法、プログラム、及びパレットスタッカーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、車両を入出庫させる入出庫部と、車両を載せて搬送するためのパレットが配置された複数の格納棚及び前記パレットが配置されない空き領域となる1箇所以上の格納棚が格子状に配置された格納庫と、前記入出庫部と前記格納庫の間を昇降して前記パレットを搬送する昇降装置と、を備え、前記パレットが前記格納棚間を水平面内で縦方向及び横方向に移動することで、前記格納庫内で車両の搬送を行う機械式駐車装置に適用される制御装置であって、前記昇降装置に隣接しない格納棚に配置され、前記車両の載置されていない前記パレットである空きパレットを格納するパレットスタッカーに、前記空きパレットを格納させる格納制御手段を具備し、前記パレットスタッカーは、高さ方向に所定の間隔で前記パレットを支える保持用フックを有する支持柱と、前記空きパレットを格納する格納スロットを複数備え、最下段の前記格納スロットは前記空きパレットが通過可能にされており、前記格納制御手段は、前記パレットスタッカーの最上段の前記格納スロットから順に前記空きパレットを格納する制御装置を提供する。
【0010】
このような構成によれば、車両を入出庫させる入出庫部と、車両を載せて搬送するためのパレットが配置された複数の格納棚及びパレットが配置されない空き領域となる1箇所以上の格納棚が格子状に配置された格納庫と、入出庫部と格納庫の間を昇降してパレットを搬送する昇降装置と、を備える機械式駐車装置において、パレットが格納棚間を水平面内で縦方向及び横方向に移動することで、格納庫内で車両の搬送を行う。また、車両の載置されていないパレットである空きパレットが、昇降装置に隣接しない格納棚に配置されるパレットスタッカーに格納される。
【0011】
このように、車両が載置されていない空きパレットをパレットスタッカーに格納することにより、格納庫にはパレットが配置されない空き領域が増えるので、車両が載置されるパレットが格納庫内を移動する場合の移動効率を向上させることができる。また、パレットスタッカーが、昇降装置に隣接しない格納棚に配置されるので、パレットスタッカーが昇降装置と格納庫との間におけるパレットの受け渡し(パレット搬送処理)を妨げることがなく、機械式駐車場の利便性を向上させることができる。また、昇降装置に隣接しない格納棚とは、昇降装置と水平面内で縦方向及び横方向にパレットが移動するときの昇降装置に接する格納棚以外の格納棚である。
また、このように、パレットスタッカーの最上段の格納スロットから順に空きパレットを格納し、最下段の格納スロットは空きパレットが通過可能とされているので、パレットスタッカーが、格納庫の外周でなく内側に設けられている場合であっても、空きパレットの通過に差し支えなく、パレット搬送処理を妨げることがない。
【0012】
上記制御装置は、駐車能力に関するパラメータの設定値を取得する取得手段を備え、前記格納制御手段は、前記取得手段によって取得された前記設定値に基づいて、前記パレットスタッカーに格納させる前記空きパレットの枚数を調整することとしてもよい。
【0013】
取得した駐車能力に関するパラメータの設定値に基づいてパレットスタッカーに格納する空きパレットの枚数が調整できるので、日毎の入出庫の変動パターンが大きく異なり、予測できない場合であっても、パレットの過不足に対し、速やかに対応できる。ここで、駐車能力に関するパラメータとは、例えば、収容可能台数、パレットスタッカーの収容パレット枚数、格納庫内空きパレット枚数、現在の車両収容台数等である。
【0014】
上記格納制御手段は、前記空きパレットの枚数が第1閾値より大きくなる状態が、第1所定期間継続した場合に、前記格納棚の少なくとも1つの前記空きパレットを、前記パレットスタッカーに格納することとしてもよい。
【0015】
空きパレットの枚数が第1閾値より大きくなる状態が第1所定期間継続している場合には、使用されずに格納棚に配置されている空きパレットをパレットスタッカーに格納するので、格納棚の空き領域を増やすことができ、格納庫内でパレットを移動させやすくなり、利便性につながる。
【0016】
上記格納制御手段は、前記空きパレットの枚数が第2閾値より小さくなる状態が、第2所定期間継続した場合に、前記パレットスタッカーの少なくとも1つの前記空きパレットを、前記格納棚に取り出すこととしてもよい。
【0017】
空きパレットの枚数が第2閾値より小さくなる状態が第2所定期間継続した場合には、空きパレットをパレットスタッカーから取り出すので、車両を載置できる空きパレットを格納棚に確保でき、格納棚の空きパレット不足を防ぐことができる。
【0018】
前記格納庫が層状に配置されている場合に、前記パレットスタッカーは、層毎に設けられ、上記制御装置は、層毎及び全層の前記空きパレットの枚数を管理する層管理手段を備えることとしてもよい。
【0019】
格納庫が層状に配置されており、層毎に空きパレット数のばらつきがある場合には、層毎にパレットの移動にかかる時間が異なり、機械式駐車装置全体として処理速度が安定しなくなる。本発明では、層毎にパレットの枚数が管理されることにより、層毎にパレットの移動にかかる時間を略均一にでき、機械式駐車装置全体として処理速度を安定させ、利用者の利便性を向上させることができる。
【0020】
本発明は、上記いずれかに記載の制御装置を備えた機械式駐車装置を提供する。
このように、機械式駐車装置が、車両の載置されていないパレットである空きパレットを、昇降装置に隣接しない格納棚に配置されるパレットスタッカーに格納させる制御装置を備えることにより、機械式駐車装置の格納棚の空き領域が増え、車両が載置されるパレットが格納庫内を移動する場合の移動効率を向上させることができる。
【0021】
本発明は、車両を入出庫させる入出庫部と、車両を載せて搬送するためのパレットが配置された複数の格納棚及び前記パレットが配置されない空き領域となる1箇所以上の格納棚が格子状に配置された格納庫と、前記入出庫部と前記格納庫の間を昇降して前記パレットを搬送する昇降装置と、を備え、前記パレットが前記格納棚間を水平面内で縦方向及び横方向に移動することで、前記格納庫内で車両の搬送を行う機械式駐車装置に適用されるパレットスタッカーであって、前記パレットの対向する2辺を把持して前記パレットを上下方向に搬送する昇降機構と、高さ方向に所定の間隔で前記パレットを支える保持用フックを有する支持柱と、前記空きパレットを格納する複数の格納スロットとを備え、前記支持柱は、前記昇降機構に把持される前記パレットの前記対向する2辺を支えるように前記格納棚の対向位置に設けられ、最下段の前記格納スロットは前記空きパレットが通過可能にされているパレットスタッカーを提供する。
【0022】
このような構成によれば、パレットは、対向する2辺が把持され、昇降機構によって上下方向に搬送され、昇降機構に把持される対向する2辺を支えるように格納棚の対向位置に設けられる支持柱に所定の間隔で設けられる保持用フックによって高さ方向で支えられる。
このように、対向する2辺を支えるように支持柱を設けることにより、支持柱を設けない上記対向する2辺に隣接する他の2辺の方向からパレットの格納及び取出しができる。
また、最下段の格納スロットは空きパレットが通過可能とされているので、パレットスタッカーが、格納庫の外周でなく内側に設けられている場合であっても、パレット搬送処理を妨げることがない。
【0023】
本発明の参考例の上記パレットスタッカーにおいて、前記保持用フックは、前記支持柱が回転することにより、前記パレットを支持する支持位置と、前記パレットを支持しない非支持位置との区間を移動可能にされており、前記保持用フックと前記支持柱とは、クラッチ機構により接続され、前記保持用フックに荷重が加えられる場合には、前記クラッチ機構が滑り、前記保持用フックを前記支持柱の回転運動に追従させず、前記保持用フックへの荷重が除かれる場合には、前記クラッチ機構が接続し、前記保持用フックを前記支持柱の回転運動に追従させる。
【0024】
参考例における保持用フックは、パレット等が乗せられ荷重が加えられている場合には、支持柱が回転しても回転運動に追従しないので、簡便にパレットを支持することができる。
【0025】
本発明は、上記いずれかに記載のパレットスタッカーを備えた機械式駐車装置を提供する。
このように、機械式駐車装置が、上記パレットスタッカーを備えることにより、支持柱が設けられる2辺以外の他の2辺方向からパレットの出し入れ、及び通り抜けをさせることができるので、パレットスタッカーとしての目的で使用するだけでなく、パレット通過の経路としても使用できる。また、パレットスタッカーに格納されたパレットがない場合には、パレットスタッカーの位置を格納棚の一部としてすることにより、収容台数を減らすことなく格納庫のスペースを利用でき、無駄がない。
【0026】
本発明は、車両を入出庫させる入出庫部と、車両を載せて搬送するためのパレットが配置された複数の格納棚及び前記パレットが配置されない空き領域となる1箇所以上の格納棚が格子状に配置された格納庫と、前記入出庫部と前記格納庫の間を昇降して前記パレットを搬送する昇降装置と、を備え、前記パレットが前記格納棚間を水平面内で縦方向及び横方向に移動することで、前記格納庫内で車両の搬送を行う機械式駐車装置の制御方法であって、前記昇降装置に隣接しない格納棚に配置され、前記車両の載置されていない前記パレットである空きパレットを格納するパレットスタッカーに、前記空きパレットを格納させ、前記パレットスタッカーは、高さ方向に所定の間隔で前記パレットを支える保持用フックを有する支持柱と、前記空きパレットを格納する格納スロットを複数備え、前記パレットスタッカーの最上段の前記格納スロットから順に前記空きパレットを格納させ、最下段の前記格納スロットは前記空きパレットが通過可能にされる機械式駐車装置の制御方法を提供する。
【0027】
本発明は、車両を入出庫させる入出庫部と、車両を載せて搬送するためのパレットが配置された複数の格納棚及び前記パレットが配置されない空き領域となる1箇所以上の格納棚が格子状に配置された格納庫と、前記入出庫部と前記格納庫の間を昇降して前記パレットを搬送する昇降装置と、を備え、前記パレットが前記格納棚間を水平面内で縦方向及び横方向に移動することで、前記格納庫内で車両の搬送を行う機械式駐車装置の制御プログラムであって、前記昇降装置に隣接しない格納棚に配置され、前記車両の載置されていない前記パレットである空きパレットを格納するパレットスタッカーに、前記空きパレットを格納させる処理と、前記パレットスタッカーは、高さ方向に所定の間隔で前記パレットを支える保持用フックを有する支持柱と、前記空きパレットを格納する格納スロットを複数備え、最下段の前記格納スロットは前記空きパレットが通過可能にされ、前記パレットスタッカーの最上段の前記格納スロットから順に前記空きパレットを格納させる処理とをコンピュータに実行させるための機械式駐車装置の制御プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、リフトへのパレット搬送処理を妨げず、かつ、利用者の待ち時間を低減させるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の第1の実施形態に係る機械式駐車装置の構成図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る機械式駐車装置の制御装置の電気的構成を示すブロック図である。
図3】パレットスタッカーの概略構成を示した図である。
図4】パレットスタッカーの保持用フックの動作を説明するための図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る制御装置の機能ブロック図である。
図6】制御装置が自動設定に基づいてパレットの枚数を調整する場合の処理の流れを示す動作フローである。
図7】本発明の第2の実施形態に係る機械式駐車装置の制御装置が手動設定に基づいてパレットの枚数を調整する場合の処理の流れを示す動作フローである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明に係る機械式駐車装置、及び機械式駐車装置の制御方法の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0031】
〔第1の実施形態〕
図1は、第1の実施形態に係る機械式駐車装置10の概略構成図である。
機械式駐車装置10は、車両12を入出庫させる入出庫部14と、車両12を載置して搬送するパレット(板状の台)16が配置された複数の格納棚18、及びパレット16が配置されない空き領域となる1箇所以上の格納棚18が格子状(例えば、N行×M列)に配置された格納庫20と、入出庫部14と格納庫20の間を昇降してパレット16を搬送するリフト(昇降装置)22とを備えている。また、機械式駐車装置10は、パレット16及びリフト22等の移動を制御する制御装置24を備えている。
【0032】
なお、パレット16には、各々異なる番号が予め付加されており、機械式駐車装置10は、該付加されている番号によって各パレット16を識別する。
入出庫部14には、扉26と操作盤28とが設けられている。
操作盤28は、機械式駐車装置10の利用者が操作可能なように、入出庫部14の外側に設けられ、例えば、スイッチ等を介して各種操作(入庫又は出庫の指示等)の入力を受け付けるとともに、液晶ディスプレイ装置等の画像表示装置によって、種々の情報を利用者のために表示する。
【0033】
そして、機械式駐車装置10は、パレット16を、格納棚18間で水平面内の縦方向及び横方向に移動(循環)させることで、格納庫20内で車両12の搬送を行う。すなわち、本実施形態に係る機械式駐車装置10は、パレットを水平循環させるパズル式の機械式駐車装置である。
【0034】
また、機械式駐車装置10は、リフト22に隣接しない格納棚18に配置され、車両12の載置されていないパレット16(本文中では「空きパレット16´」と呼ぶ)を格納するパレットスタッカー30を備えており、制御装置24によって、空きパレット16´がパレットスタッカー30に格納される。本実施形態においては、図1に示されるように、リフト22の対角に位置する格納庫20の最上段右奥にパレットスタッカー30を1つ設けることとしているが、パレットスタッカー30の位置及び個数はこれに限定されず、リフト22に隣接しない格納棚18であれば、どの位置に何個設けられていてもよい。
なお、本実施形態においては、特に明記しない場合には、パレットはパレット16として記述するが、格納棚18に配置され車両12の載置されていないパレットを示す場合には、空きパレット16´として記述する。
【0035】
パレットスタッカー30は、格納棚18の空きパレット16´を格納する複数の格納スロットを有しており、最上段の格納スロットから順にパレット16を格納する。またパレットスタッカー30の最下段の格納スロットは、パレット16を格納することもできるが、パレット16を格納せず空き状態としている場合には、空きパレット16´を通過させることができる。つまり、パレットスタッカー30が、格納庫20の中央付近に設けられる場合であっても、最下段の格納スロットが空き状態とされていれば、空きパレット16´の通過の妨げになることを防ぐことができる。
【0036】
また、パレットスタッカー30は、全ての格納スロットからパレット16が取り出された場合には、車両12を格納できる格納棚18として使用できる。このように、パレットスタッカー30として使用される格納棚18は、駐車車両が少なく空きパレット16´を集約する場合にはパレットスタッカー30として使用でき、駐車車両が多く車両12の格納スペースを確保する場合には格納棚18の一部として使用できる。このように、本実施形態のパレットスタッカー30は、車両12の収容台数を減らすことがなく、効率的である。
【0037】
図1に示される機械式駐車装置10おいて、格納庫20の格納棚18は、3層として示されているが、これは一例であって層数は特に限定されず、1層、2層、又は4層以上であってもよいこととする。また、格納庫20は、入出庫部14よりも下層に配置されているが、これに限らず、格納庫20は、入出庫部14よりも上層に配置されていてもよいし、入出庫部14よりも上層及び下層の両方に配置されてもよい。さらに、各層の格納棚18は、リフト22によって接続されており、各層のレイアウト(格納棚の数及び縦横比、並びにパレットスタッカー30の設定数及び位置等)は、各々同じでも異なっていてもよい。つまり、パレットスタッカー30は、機械式駐車装置10に対して少なくともいずれか1つの層に設けられていればよく、例えば、機械式駐車装置10の各層にそれぞれ設けられていてもよい。
【0038】
次に、本実施形態に係る機械式駐車装置10の作用を説明する。
車両12を入庫させる場合、機械式駐車装置10は、格納棚18から車両12の載置されていない空きパレット16´を取り出し、取り出した空きパレット16´を入出庫部14まで移動させる。そして、入出庫部14において空きパレット16´に車両12が乗せられ、機械式駐車装置10は、車両12が載せられたパレット16を格納棚18へ格納することで入庫を完了させる。一方、車両12が出庫される場合、機械式駐車装置10は、格納棚18から出庫させる車両12の載置されるパレット16を取り出し、取り出したパレット16を入出庫部14まで移動させる。そして、入出庫部14で利用者によってパレット16から車両12が降ろされ、機械式駐車装置10は、空きパレット16´を格納棚18へ格納することで出庫を完了させる。
【0039】
図2は、機械式駐車装置10の制御装置24の電気的構成を示すブロック図である。
制御装置24は、CPU(Central Processing Unit)40、各種プログラムや各種パラメータ等が予め記憶されたROM(Read Only Memory)42、CPU40による各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM(Random Access Memory)44、各種プログラム及び各種情報を記憶する記憶手段としてのHDD(Hard Disk Drive)46を備えている。
【0040】
なお、HDD46には、機械式駐車装置10の利用者の暗証番号を示す暗号番号情報が記憶されている。そして、車両12が入庫される場合は、利用者の暗証番号と利用者の車両12を載置するパレット16の番号とが関係付けられて格納情報としてHDD46に記憶される。これにより、利用者と利用者の車両12とを関連付けすることができる。
【0041】
また、HDD46の代わりに、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、フラッシュメモリ、バッテリバックアップ付きのSRAM(Static Random Access Memory)等の記憶素子を用いてもよく、プログラム、利用者情報、及び設定値等のデータの種類に応じて記憶素子を使い分けて記憶させてもよい。
さらに、制御装置24は、パレット16やリフト22等を駆動させるためのモータ(不図示)を制御するモータ制御部48、及びパレット16やリフト22等の動作状態を検知するセンサ(不図示)からの信号を受信するセンサ信号受信部50を備えている。
【0042】
これらCPU40、ROM42、RAM44、HDD46、モータ制御部48、及びセンサ信号受信部50、並びに操作盤28は、システムバス52を介して相互に電気的に接続されている。従って、CPU40は、ROM42、RAM44、及びHDD46へのアクセス、操作盤28に対する操作状態の把握及び画像の表示、モータ制御部48を介したモータの駆動、並びにセンサ信号受信部50を介したパレット16やリフト22等の動作状態の把握を行なうことができる。
【0043】
図3は、パレットスタッカー30の概略構成の一例を示した図である。
パレットスタッカー30は、パレット16の対向する2辺を把持してパレット16を上下方向に搬送する昇降機構31と、高さ方向に所定の間隔でパレット16を支える保持用フック35を有する支持柱37を備える支持機構と、を備えている。具体的には、昇降機構31のリフト用モータ32が駆動することにより、パレット16を把持する昇降フック36が上下方向に移動し、パレット16が搬送される。支持柱37は、昇降機構31に把持されるパレット16の対向する2辺を支えるように格納棚18の対向位置に設けられる。
【0044】
また、昇降機構31と支持機構とは格納棚18の長手方向又は短手方向のどちらか一方の向かい合わせの2辺に設置する。これにより、上記機構が配置されていない他の2辺からパレット16の出し入れ、及び通り抜けをさせることができる。なお、昇降機構31と支持機構とは、設置される辺の梁の幅に収まるように設けられており、隣接する格納棚18に空間的にはみ出ることがなく、収容車両を傷つける等の影響はない。
【0045】
また、パレットスタッカー30は、長手方向に支持柱37が備えられ、支持柱37の高さ方向に所定の間隔で4個の保持用フック35が備えられており、最下段にパレット16を格納した状態を含めると、最大5枚のパレット16を格納できるので、格納スロットを5つ有するパレットスタッカーを示している。
【0046】
図4は、保持用フック35の拡大概略図を示している。
支持柱37は、図3に示される回動モータ34が駆動することにより、回転が制御される。図4に示されるように、保持用フック35は、回動モータ34が駆動し支持柱37が回転することにより、パレット16を支持する支持位置(B方向)と、パレット16を支持しない非支持位置(A方向)との区間を移動可能にされている。図4において、パレット16の支持位置と非支持位置との移動角度は90°としているが、パレット16の支持と非支持に支障のない位置であればよく、角度は特に限定されない。
【0047】
保持用フック35と支持柱37とは、クラッチ機構Cにより接続されており、保持用フック35に荷重が加えられる場合には、クラッチ機構Cが滑り、保持用フック35を支持柱37の回転運動に追従させない。一方、保持用フック35への荷重が除かれる場合には、クラッチ機構Cが接続し、保持用フック35を支持柱37の回転運動に追従させる。
【0048】
ここで、図3図4を用いて、パレットスタッカー30における空きパレット16´の格納の場合の動作(A手順)と、取り出しの場合の動作(B手順)について、詳しく説明する。
空きパレット16´を格納する場合には、(A−1)保持用フック35を非支持位置に配置しておき、(A−2)リフト用モータ32を駆動させ、昇降機構31により、昇降フック36によって把持されたパレット16を格納スロットの最下段から所定の停止位置(例えば、1枚目の空きパレットである場合には最上段の格納スロット、2枚目の空きパレットである場合には最上段から数えて2番目の格納スロット)まで上昇させる。(A−3)回動モータ34を駆動し、支持柱37を90°旋回させ、非支持位置に配置されていた保持用フック35を支持位置に動かす。
【0049】
(A−4)リフト用モータ32を駆動し、昇降機構31が制御され、パレット16を把持していた昇降フック36を下降させると、パレット16が保持用フック35に預けられる。(A−5)回動モータ34によって、保持用フック35が非支持位置の向きなるよう支持柱37が90°回転させられ(つまり、−90°回転し、元の位置に戻される)、保持用フック35を非支持位置へ移動させる。そうすると、パレット16の荷重がかかっていない保持用フック35は、クラッチ機構Cが接続し、支持柱37の回転運動に追従して、非支持位置に移動する。
【0050】
また、パレット16の荷重がかかっている保持用フック35は、クラッチ機構Cが滑り、支持柱37の回転運動に追従せず、支持位置にてパレット16を支持し続ける。そして、格納するパレットが増える場合には、上記手順(A−2)の停止位置を1段ずつ変えて繰り返すことにより、順次パレット16を格納する。なお、上記手順では、(A−4)昇降フック36の下降後に(A−5)保持用フック35の旋回動作をさせることとして記述していたが、これに限定されず、例えば、昇降フック36の下降開始後の所定期間経過後に保持用フック35を旋回させ、下降動作と旋回動作とを並行して行うこととしてもよい。
【0051】
続いて、空きパレットの取り出しの場合には、次のようになる。
(B−1)パレットスタッカー30の最下段の格納スロットにパレット16があれば、格納棚18に排出する。(B−2)最下段の格納スロットにパレット16がなければ、昇降フック36が、パレット16を格納している最下段の格納スロット位置まで上昇し、パレット16をすくい上げる。(B−3)回動モータ34を駆動し、保持用フック35を、非支持位置から支持位置に移動させ、続いて、非支持位置に移動させる。(B−4)リフト用モータ32を駆動させ、パレット16を把持している昇降フック36を下限位置まで下降させる。そして、次に取り出すパレットがある場合には、上記手順(B−2)の停止位置を1段ずつ変えて繰り返すことにより、順次パレット16を格納棚18に排出する。
【0052】
図5は、制御装置24の構成を機能ブロックで示した図である。
図5に示されるように、制御装置24は、格納制御部(格納制御手段)60、及び層管理部(層管理手段)61を備えている。
格納制御部60は、パレットスタッカー30に、空きパレット16´を格納させる。具体的には、格納制御部60は、空きパレット16´の枚数が第1閾値より大きくなる状態が、第1所定期間継続した場合に、格納棚18の少なくとも1つの空きパレット16´を、パレットスタッカー30に格納する。また、格納制御部60は、空きパレット16´の枚数が第2閾値より小さくなる状態が、第2所定期間継続した場合に、パレットスタッカー30の少なくとも1つのパレット16を格納棚18に取り出す。さらに、格納制御部60は、パレットスタッカー30の最上段の空いている格納スロットから順次空きパレット16´を格納する。
【0053】
より具体的には、格納制御部60は、格納棚18における空きパレット16´の枚数、パレットスタッカー30のパレット16の枚数、及び格納棚18における空き領域の数等を計数するカウント部(図示せず)と、計時するタイマ部(図示せず)とを有しており、カウント部とタイマ部とのそれぞれに対して設けられた閾値と現在値とを比較し、空きパレット16´のパレットスタッカー30への格納と、パレットスタッカー30からのパレット16の取り出しを制御する。
【0054】
以下に、図1から図6を用い、具体的な数値を例に挙げてパレットスタッカー30への空きパレット16´の格納と取出し制御について説明することとするが、これらの台数や枚数は一例であって、特に制限されるものでない。例えば、本実施形態においては、機械式駐車装置10に駐車できる車両12の最大収容台数を40台とし、パレット16が配置されない空き領域の数が3、パレットスタッカー30の格納スロットを5(つまり、パレット16を最大5枚収容)、パレットスタッカー30は機械式駐車装置10に1個あることとし、第1閾値を10枚、第2閾値を20枚とする。また、第1所定期間及び第2所定期間は、同じ値を用いて説明するが、異なっていてもよい。
【0055】
営業開始に伴い機械式駐車装置10が稼働され、その時点で収容車両が0台であるとすると、営業開始時点の空きパレット16´の現在値は40である。制御装置24において、格納棚18の空きパレット16´の枚数情報が取得され(ステップSA1)、空きパレット16の枚数の変化の有無が判定される(ステップSA2)。変化があった場合には(ステップSA2のYes)、制御装置24に設けられたタイマ部のタイマーがリセットされ(ステップSA3)、新たにタイマーをスタートさせる(ステップSA4)。新たにタイマーをスタートさせた場合、或いは、パレット枚数に変化がない(ステップSA2のNo)場合には、タイマーが稼働され(ステップSA5)、タイマー値が、所定期間(=第1所定期間=第2所定期間)を上回ったか否かが判定される(ステップSA6)。
【0056】
タイマー値が所定期間を上回っていない場合には(ステップSA6のNo)、ステップSA1に戻り、ステップSA1からの処理を繰り返す。タイマー値が、所定期間を上回った場合には(ステップSA6のYes)、現在格納棚18に出ている空きパレットの数が、第1閾値(=10枚)を下回っているか否かが判定される(ステップSA7)。空きパレット16´の現在値(=40枚)が第1閾値を下回っていない場合には(ステップSA7のNo)、空きパレット16の現在値(=40枚)が第2閾値(=20枚)を上回っているか否かが判定される(ステップSA9)。
【0057】
空きパレット16の現在値(=40枚)が第2閾値を上回っている場合には(ステップSA9のYes)、駐車スペースに余裕があることと判断し、格納棚18の空きパレット16´をパレットスタッカー30に1枚格納させ(ステップSA10)、現在値の枚数情報をマイナス1(=39枚)して更新し、ステップSA1に戻り、本処理を繰り返す。
【0058】
また、空きパレット16の現在値が第1閾値を下回っている場合には(ステップSA7のYes)、駐車スペースの確保が必要であることと判断し、パレットスタッカー30よりパレット16を取出し(ステップSA8)、空きパレット16の現在値の枚数情報を1インクリメントし、ステップSA1に戻る。また、空きパレット16の現在値が第1閾値を下回らず、かつ、第2閾値を上回っていない場合には(ステップSA9のNo)、駐車スペースが適正範囲内であることと判断し、パレット16の格納処理及び取出し処理のいずれも行わずに、ステップSA1に戻る。
【0059】
このように、タイマーが所定期間を経過するごとに、空きパレット16´の現在値の情報が、第1閾値、第2閾値と比較され、必要に応じて格納または取出し処理される。即ち、営業開始時に空きパレット16´の枚数が第2閾値を超過しているような場合には、タイマー経過毎に順次パレット16が格納されていくので、本処理を行う期間中に車両駐車の処理が発生しない場合には、パレットスタッカーに収容可能な枚数である5枚の空きパレットを格納することとなり、結果として格納棚18の空き領域を8(=元の空き領域3+格納5枚)とすることができる。
【0060】
このように、駐車車両がなく空きパレット16´が格納棚18に出ている場合には空きパレット16´をパレットスタッカー30へ格納して空き領域を増やした方がパレット16の移動がし易くなり、処理速度が速くなるので、利用者の利便性につながる。
また、駐車車両が増え、空きパレット16´の現在値が第1閾値を下回った場合には、パレットスタッカー30よりパレット16が取り出されるので、閾値に基づいて、駐車可能なパレット16の枚数を確保することができ、駐車能力を低減させることがない。
【0061】
また、上記動作フローにおいては、タイマー値(所定期間の設定値)を1つ設けることとして説明していたが、これに限定されず、空きパレット16´の現在値と閾値との差の大きさに応じて、タイマー値を異ならせることとしてもよい。例えば、パレットスタッカー30に格納するパレット16が多い場合は、格納棚18の車両収容台数が少ないときであるので、このような場合には、車両の駐車に余裕があると推定しタイマー値を長く設定しておき、パレットスタッカー30からパレット16を取り出すまでの期間を長く設定する。或いは、パレットスタッカー30に格納するパレットが少なくなった場合には、格納棚18の車両収容台数が増えているときであるので、このような場合には、格納棚18のパレット不足に対処するべくパレットスタッカー30より速やかに取出し処理がなされるようタイマー値を短く設定する、等の運用方法が考えられる。
【0062】
また、タイマー値で設定した所定期間より短い間隔で車両の入出庫がなされ、タイマー値が所定期間を超える以前にパレット枚数が頻繁に変化する状態(つまり、図6のステップSA6のNoとステップSA1とを繰り返し、現在値と第1閾値の比較であるステップSA7、及び現在値と第2閾値との比較であるステップSA9まで進まない状態)が生じた場合には、タイマー値に関わらず、速やかにパレット16を取出処理及び格納処理させる等の別途設定した処理(例えば、空きパレットの枚数が1枚になったらタイマー値に関わらず取出処理を行う等)に切り替えることとしてもよい。
【0063】
以上説明してきたように、本実施形態に係る制御装置24、その方法、プログラム、及びパレットスタッカー30によれば、車両12を入出庫させる入出庫部14と、車両12を載せて搬送するためのパレット16が配置された複数の格納棚18及びパレット16が配置されない空き領域となる1箇所以上の格納棚18が格子状に配置された格納庫20と、入出庫部14と格納庫20の間を昇降してパレットを搬送するリフト22と、を備え、パレット16が格納棚18間を水平面内で縦方向及び横方向に移動することで、格納庫20内で車両12の搬送を行う。また、車両12の載置されていないパレット16である空きパレット16´が、リフト22に隣接しない格納棚18に配置されるパレットスタッカー30に格納される。
【0064】
このように、車両12が載置されていない空きパレット16´をパレットスタッカー30に格納することにより、格納庫20にはパレット16が配置されない空き領域が増えるので、車両12が載置されるパレット16が格納庫20内を移動する場合の移動効率を向上させることができる。また、パレットスタッカー30が、リフト22に隣接しない格納棚18に配置されるので、パレットスタッカー30がリフト22と格納庫20との間におけるパレット16の受け渡し(パレット搬送処理)を妨げることがなく、機械式駐車装置10の利便性を向上させることができる。また、リフト22に隣接しない格納棚18とは、リフト22と水平面内で縦方向及び横方向にパレット16が移動するときのリフト22に接する格納棚18以外の格納棚18である。
【0065】
また、所定期間使用していない空きパレット16´がある場合には、パレットスタッカー30に格納させることにより、空きパレット16´が配置されていた格納棚18を空き領域とすることができるので、格納庫20内でパレット16を移動させやすくなり、利便性につながる。また、空きパレットの枚数が所定期間不足している状態になっている場合には、パレット16をパレットスタッカー30から取り出すことにより、必要に応じて、車両12を載置できる空きパレット16´を格納棚20に確保できるので、格納棚20における空きパレット16´の不足を未然に防ぐことができる。
【0066】
さらに、本実施形態においては、予め設けられた第1閾値及び第2閾値と比較しながら、空きパレット16´の格納と取り出しを制御していたので、日々の入出庫パターンが略均一的に行われている場合に用いて好適である。
【0067】
本実施形態においては、支持柱37は、昇降機構31に把持されるパレット16の対向する2辺を支えるように格納棚18の対向位置に設けられることとし、格納棚の長手方向の向かい合わせの2辺を設置位置として選定していたが、これに限定されず、短手方向の向かい合わせの2辺を設置位置とし選定してもよい。
【0068】
〔変形例〕
本実施形態においては、機械式駐車装置10にパレットスタッカー30が1つ設けられている場合を例に挙げて説明していたが、これに限定されず、パレットスタッカーが層毎に設けられることとしてもよい。例えば、制御装置24に層管理部61を設け、層管理部61において、パレットスタッカー30の層毎及び全層の空きパレット16´の枚数を管理させる。そのような場合であっても上記実施形態で示したように、同様の動作フローによって稼働させることができる。このように、層毎に空きパレット16´の枚数が管理されることにより、層毎にパレット16の移動にかかる時間を略均一にでき、機械式駐車装置全体として処理速度が安定し、利用者の利便性向上につながる。
【0069】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について、図7を用いて説明する。
本実施形態にかかる制御装置が第1の実施形態と異なる点は、空きパレットをパレットスタッカーに格納する処理、及びパレットスタッカーから空きパレットを取出す処理を、外部から指定された値(手動設定)によって制御する点である。以下、本実施形態の制御装置について、第1の実施形態と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0070】
本実施形態における機械式駐車装置の制御装置は、イベント会場や野球場等において催し物の内容によって来場車の動向が変化するような場合に用いて好適である。
制御装置は、上記第1の実施形態に記載の各部に加えて、取得部を備える。
取得部は、駐車能力に関するパラメータの設定値を取得する。駐車能力に関するパラメータとは、例えば、収容可能台数、パレットスタッカーの収容パレット数、格納庫内空きパレット数、現在の車両収容台数等である。具体的には、駐車能力に関するパラメータの設定値は、操作盤を操作する係員等によって外部から入力される値である。
格納制御部は、取得部によって取得された設定値に基づいて、パレットスタッカーに格納させる空きパレットの枚数を調整する。
操作盤は、画像表示装置に、収容可能台数、パレットスタッカーの収容パレット数、格納庫内空きパレット数、現在の車両収容台数等の情報を提示するとともに、所定の間隔で表示内容を更新し、現在値の情報が利用者に提示されるようになっている。
【0071】
ここで、操作盤を操作する係員によって、駐車能力に関するパラメータ「収容可能台数」が設定された場合における、制御装置によるパレットの調整方法について図7を用いて説明する。
機械式駐車装置を開始させると、操作盤には、現在の状況が提示される(図7のステップSB1)。操作盤を操作する係員等によって駐車能力に関するパラメータ値(例えば、収容可能台数)の手動設定値が入力され、制御装置は入力された手動設定値を取得する(ステップSB2)。取得された手動設定値と現在値とが比較され(ステップSB3)、一致している場合には、ステップSB1に戻り、一致していない場合には、現在値が手動設定値よりも大きいか否かが判定される(ステップSB4)。
【0072】
現在値の方が大きい場合には、つまり、設定された収容可能台数よりも現在の収容可能台数の方が大きい場合には、空きパレットが多く格納棚に確保されていることとなるので、空きパレットを格納し(ステップSB5)、ステップSB1に戻る。また、現在値の方が小さい場合には、格納棚に確保されている空きパレットの不足が推定されるので、パレットスタッカーから空きパレットを取出し(ステップSB6)、ステップSB1に戻り、本処理を繰り返す。
【0073】
また、収容可能台数とは、機械式制御装置に既に駐車している収容台数と、格納棚18に配置されている空きパレット数との和である。例えば、収容可能台数の現在値と設定値とが等しい場合(例えば、現在値=設定値=35台)であっても、(既に駐車している収容台数0台)+(空きパレット35枚)のケースもあれば、(既に駐車している収容台数30台)+(空きパレット5枚)のケースもある。
【0074】
本第2の実施形態の制御装置では、設定値に基づいてパレットの取出及び格納を決定するので、パレットスタッカーに空きパレットがある状態であっても取り出されないことがある。しかしながら、これにより空き領域を一定数確保することができ、搬送処理性能を一定以上で確保することができる。
【0075】
なお、第1の実施形態では、格納と取り出しを予め決められた所定値と比較してパレット数の調整を行い(自動制御)、本第2の実施形態では、取得部から取得した設定値と比較してパレット数の調整を行って(手動制御)いたが、これらを組み合わせることとしてもよい。例えば、パレットの取り出しを自動制御で行い、格納を手動制御することとしてもよいし、パレットの取り出しを手動制御し、パレットの格納を自動制御することとしてもよい。
【0076】
このように、本実施形態によれば、取得した駐車能力に関するパラメータの設定値に基づいてパレットスタッカーに格納する空きパレットの枚数が調整できるので、日毎の入出庫の変動パターンが大きく異なる場合であっても、パレットの過不足に対し、速やかに対応できる。
【0077】
以上、本発明を、上記各実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記各実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0078】
例えば、上記各実施形態では、機械式駐車装置10は、入出庫共通の1つのリフト22を備える形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、機械式駐車装置10は、リフト22を入庫、出庫別々に複数備える形態としてもよい。
【符号の説明】
【0079】
10 機械式駐車装置
12 車両
14 入出庫部
16 パレット
18 格納棚
20 格納庫
22 リフト(昇降装置)
24 制御装置
28 操作盤
30 パレットスタッカー
36 保持用フック
37 支持柱
60 格納制御部(格納制御手段)
61 層管理部
C クラッチ機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7