(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5738409
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】シールアセンブリ
(51)【国際特許分類】
B21B 31/07 20060101AFI20150604BHJP
F16C 33/74 20060101ALI20150604BHJP
【FI】
B21B31/07 F
F16C33/74 Z
【請求項の数】8
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-520716(P2013-520716)
(86)(22)【出願日】2011年6月23日
(65)【公表番号】特表2013-532582(P2013-532582A)
(43)【公表日】2013年8月19日
(86)【国際出願番号】US2011041555
(87)【国際公開番号】WO2012012077
(87)【国際公開日】20120126
【審査請求日】2014年6月2日
(31)【優先権主張番号】12/841,777
(32)【優先日】2010年7月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510002268
【氏名又は名称】シーメンス インダストリー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Siemens Industry, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン エス. プラット
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼフ エヌ. サイアラッバ
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド ジー. タイタス
【審査官】
川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭50−146759(JP,A)
【文献】
特開2005−040799(JP,A)
【文献】
実開平01−109306(JP,U)
【文献】
特開平04−258521(JP,A)
【文献】
特開2003−227522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 31/07
F16C 33/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントプレート及びバックプレートを備えたハウジングと、該ハウジングのフロントプレートから外部に突出した回転可能なシャフトとの間において使用するためのシールアセンブリであって、前記シャフトは、偏心カートリッジにおいて回転するように支持されており、前記偏心カートリッジ自体は、前記ハウジングのフロントプレート及びバックプレートにおいて回転するように支持されており、前記シールアセンブリは、
円形のフリンガであって、該フリンガは、前記シャフトと一緒に回転するように前記シャフトに取り付けられており、前記フリンガは、半径方向外方に突出したフランジを有し、該フランジの間に軸方向の空間を形成している、フリンガと、
該フリンガを包囲するシールキャリヤであって、該シールキャリヤは、前記フロントプレートに固定されたシールプレートによって支持されており、かつ該シールプレートの円形の開口において回転可能であり、前記フリンガの前記フランジの間の前記空間内へ半径方向内方に突出した、軸方向に間隔を置いて配置された、第1及び第2の内側縁部を有する、シールキャリヤと、
前記内側縁部によって支持されたリングシールと、
前記内側縁部を、互いに離れるように弾性的に付勢し、これにより、前記リングシールを前記フリンガのフランジと接触した状態に維持するための手段と、を備えることを特徴とする、シールアセンブリ。
【請求項2】
さらに、前記ハウジングに固定された、前記偏心カートリッジの回転軸線と軸方向で位置合わせされた円形の開口を形成する、シールプレートを備え、前記シールキャリヤは、前記シールプレートによって支持されておりかつ前記円形の開口内で回転可能であり、前記シールキャリヤの第1の内側縁部及び第2の内側縁部と、前記第1の内側縁部及び前記第2の内側縁部に支持されたリングシールとは、前記円形の開口に関して偏心して配置されかつ前記シャフトの回転軸線と軸方向で位置合わせされている、請求項1記載のシールアセンブリ。
【請求項3】
さらに、前記シールキャリヤを前記偏心カートリッジに回転可能に固定するための位置決め手段を備える、請求項1記載のシールアセンブリ。
【請求項4】
前記位置決め手段は、前記シールキャリヤから前記偏心カートリッジにおける開口内へ突出したピンから成る、請求項3記載のシールアセンブリ。
【請求項5】
前記シールキャリヤは、円形のプレートから成り、前記第1の内側縁部は、前記円形のプレートの一体の部分から成り、前記第2の内側縁部は、前記円形のプレートの内側縁部とは別個でありかつ該内側縁部に支持された環状の構成部材から成る、請求項2記載のシールアセンブリ。
【請求項6】
前記第1の内側縁部と前記第2の内側縁部とを互いに離れるように弾性的に付勢するための前記手段は、前記フリンガの周囲の周方向に間隔を置いた位置において前記内側縁部の間に位置決めされた皿ばねアセンブリから成る、請求項1記載のシールアセンブリ。
【請求項7】
前記開口は、前記ピンの旋回運動を提供するよう構成されている、請求項4記載のシールアセンブリ。
【請求項8】
フロントプレート及びバックプレートを備えたハウジングと、該ハウジングのフロントプレートから外部に突出した回転可能なシャフトとの間において使用するためのシールアセンブリであって、前記シャフトは、偏心カートリッジにおいて回転するように支持されており、前記偏心カートリッジ自体は、前記ハウジングのフロントプレート及びバックプレートにおいて回転するように支持されており、前記シールアセンブリは、
円形のフリンガであって、該フリンガは、前記シャフトと一緒に回転するように該シャフトに取り付けられており、前記フリンガは、半径方向外方に突出したフランジを有し、該フランジの間に軸方向の空間を形成している、フリンガと、
前記ハウジングに固定されかつ前記偏心カートリッジの回転軸線と軸方向で位置合わせされた円形の開口を形成する、シールエンドプレートと、
前記フリンガを包囲するシールキャリヤであって、該シールキャリヤは、前記フロントプレートに固定された前記シールエンドプレートによって支持されており、かつ前記円形の開口において回転可能であり、かつ前記フリンガのフランジの間の空間内へ半径方向内方に突出した第1の内側縁部及び第2の内側縁部を有する、シールキャリヤと、
前記シールキャリヤを前記偏心カートリッジに回転可能に固定するための位置決め手段であって、該位置決め手段は、前記シールキャリヤから前記偏心カートリッジにおける開口内へ突出したピンから成り、該ピン及び前記開口は、前記偏心カートリッジに対する前記ピンの旋回運動を提供するよう構成されている、位置決め手段と、
前記シールキャリヤの前記内側縁部によって支持されたリングシールと、
前記内側縁部を互いに離れるように弾性的に付勢し、これにより前記リングシールを前記フリンガのフランジと接触した状態に維持するための手段と、を備えることを特徴とする、シールアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.発明の分野
本発明は、概して、いわゆる"片持ちされた"圧延機に関し、この圧延機において、ワークロールは、シャフト軸受、歯車、ロール分離量調節機構などを収容するハウジングから突出したロールシャフトの端部にオーバハング形式で取り付けられている。本発明は、特に、このようなハウジングからの潤滑剤の漏洩を防止しかつ外部汚染物、例えば冷却水及び同伴された汚れ、黒皮などの進入を防止するための改良されたシールアセンブリに関する。
【0002】
2.従来技術の説明
例えば米国特許第4910987号明細書(ウッドロウ)に開示されているように、公知のシールアセンブリは、典型的には、回転するロールシャフトに取り付けられたフリンガの隣接する面と接触する固定されたデュアルリップシールを使用する。このような配列は、複数の欠点を有する。この欠点は、シールリップの急速な摩耗及び熱的な劣化から生じる漏洩や、軸受間隙から及び荷重により誘発されるシャフトの撓みから生じる、回転する構成部材と定置の構成部材との間の位置合わせ不良を自己補償することができないことを含む。
【0003】
発明の概要
本発明の1つの態様によれば、円形のフリンガがロールシャフトに取り付けられている。フリンガは、軸方向に間隔を置いて配置された、半径方向外方に突出したフランジを有する。シールキャリヤはフリンガを包囲している。シールキャリヤは、フリンガのフランジの間の空間内へ半径方向に突出した、軸方向に間隔を置いて配置された内側縁部を有する。リングシールは、シールキャリヤの内側縁部によって支持されている。内側縁部は、リングシールが通常の摩擦摩耗を受けたときにリングシールをフリンガのフランジとシール接触した状態に維持するため、互いに離れるように弾性的に付勢されている。
【0004】
本発明の別の態様によれば、シールキャリヤは、軸受間隙から及び荷重により誘発されるシャフトの撓みから生じる、回転する構成部材と定置の構成部材との位置合わせ不良を補償し、これにより、フリンガのフランジとのリングシールの最適な位置決め及び接触を維持するために、自己位置合わせしている。
【0005】
ここで、本発明のこれらの特徴及び付随する利点並びにその他の特徴及び付随する利点が、添付の図面に関してさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】ハウジングから外部へ突出したロールシャフトのうちの1つを示す、片持ちされた圧延機のロールスタンドの部分的な断面図であり、本発明によるシールアセンブリは、シャフトとハウジングとの間のシールを提供している。
【
図2A】
図1において円で囲まれた領域2Aの拡大図である。
【
図2B】
図1において円で囲まれた領域2Bの拡大図である。
【
図3】シールアセンブリの拡大された横断面図である。
【0007】
詳細な説明
最初に
図1を参照すると、片持ちされた圧延機の一部が示されている。この圧延機において、ロールシャフト10は、偏心カートリッジ14に支持されたスリーブ軸受12a,12bにおいて回転するよう支持されている。偏心カートリッジ14自体は、ハウジングアセンブリ18のフロントプレート及びバックプレート16a,16bにおいて回転するよう支持されている。シャフト10は、コンパニオンシャフト(図示せず)の別の歯車と噛み合う歯車20を有する。シャフトの端部は、フロントハウジングプレート16aから外部へ突出している。ワークロール22は、外部へ突出したシャフト端部に支持されており、内部のテーパしたスリーブ24とキャップ26とによって所定の位置に固定されている。本発明によるシールアセンブリは、概して符号28で示されている。
【0008】
さらに
図2A、
図2B及び
図3を参照すると、シールアセンブリは、シャフト10と一緒に回転するようにシャフト10に取り付けられた円形のフリンガ30を有することが見て取れる。フリンガは、シャフトにおける肩部32とワークロール22との間に捕捉されており、半径方向外方に突出したフランジ30a,30bを有する。これらのフランジは、間に軸方向空間34を形成している。Oリング36は、フリンガとシャフトとの間のシールを形成している。
【0009】
シールプレート38は、フロントハウジングプレート16aに固定されている。シールプレート38は、偏心カートリッジ14の回転軸線A
1と位置合わせされた円形の開口を形成している。
【0010】
円形のシールキャリヤ40は、シールプレート38の円形の開口に回転可能に支持されている。シールキャリヤ40は、一体の第1の内側縁部40aと、別個の、軸方向に間隔を置いて配置された第2の内側縁部40bとを有する。内側縁部40a,40bは、シールプレート開口に関して偏心的に配置されており、かつシャフト10の回転軸線A
2と軸方向で位置合わせされており、フリンガ30のフランジ30a,30bの間の空間34内へ半径方向内方に突出している。リングシール42は、シールキャリヤ40の第1及び第2の内側縁部40a,40bによって支持されている。内側縁部は、互いに離れるように、弾性的に付勢されており、これにより、リングシール42をフリンガのフランジ30a,30bに接触した状態に維持する。好適には、そうするために必要とされる弾性力は、フリンガ30の周囲に周方向に間隔を置いた位置に位置決めされた皿ばねアセンブリ44によって提供される。
【0011】
位置決めピン46は、シールキャリヤ40から、偏心カートリッジ14の前面における開口48内へ突出している。位置決めピンは、シールキャリヤを偏心カートリッジに回転可能に固定するために働き、開口48は、ピン46の旋回運動を提供するように構成されている。
【0012】
前記のことを考慮すると、本発明のシールアセンブリは顕著な利点を提供することが当業者によって理解されるであろう。例えば、シールキャリヤ40の内側縁部40a,40bを互いに離れるように弾性的に付勢することによって、リングシール42は、通常の摩耗を受けるときにシールの有効寿命に亘ってフリンガのフランジ30a,30bと接触した状態に維持される。シールキャリヤ40は、常時、全ての荷重条件下で、ロールシャフトに関して自己位置合わせしている。
【0013】
本発明の上記実施の形態は、単に発明の原理を説明するものであり、それに限定するものと考えるべきではない。その代わり、本発明の範囲は、前記説明によってではなく、以下の請求項によって決定され、請求項の均等物の意味及び範囲に含まれる全ての変更及び修正は、本発明の範囲に含まれる。