【実施例】
【0036】
実施例1
6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−3−(2−メチル−2H−インダゾール−5−イルチオ)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン
【化5】
DMF(20mL)中の6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−3−チオール(2.3g、10.0mmol)に、5−ヨード−2−メチル−2H−インダゾール(2.6g、10.0mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(460mg;502.7μmol)、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(580mg、1.0mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(4mL、22.9mmol)を加える。混合物をN
2でパージし、100℃にて18時間攪拌する。DMFを真空下で除去し、残留物を、DCM/メタノール(20:1)で溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィー(Combi−Flash、シリカゲル)により精製して、粗生成物を得る。粗生成物を20mLのDCM中に懸濁してスラリーを得て、純生成物を濾過により回収して、標題化合物(1.9g、52.5%)を黄色固体として得る。MS(m/z):363.1(M+H)。
【0037】
実施例1a
6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−3−(2−メチル−2H−インダゾール−5−イルチオ)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン
【化6】
DMF(750mL)中の6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−3−チオール(50g、268mmol)の溶液に、5−ヨード−2−メチル−2H−インダゾール(55.5g、215.1mmol)、2−ピリジンカルボン酸(5.5g、44.7mmol)、ヨウ化銅(I)(4g、21.0mmol)、および炭酸セシウム(212.5g、652.2mole)を加える。混合物をN
2下で100℃にて10時間攪拌する。次いで反応混合物を室温まで冷却し、水(2000mL)中に注ぐ。室温にて30分間攪拌した後、混合物を混合溶媒(2LX2、CHCl
3/IPA=3/1)で抽出する。次いで合わせた有機層を混合溶液(25%NH
4OH
(aq)/ブライン=1/4;800mL)、飽和LiCl
(aq)(1L)、飽和ブライン(1.5L×2)で4回洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させる。有機溶液を減圧下で濃縮し、茶色の粗固体生成物を得る。粗生成物を酢酸エチル(800mL)で室温にて3時間粉砕し、純生成物を濾過により回収して、標題化合物(68g、87.2%)を白色固体として得る。MS(m/z):363.0(M+H)。
【0038】
本発明の化合物は、高い効力、c−Met受容体に対する高い選択性が観察されており、これは許容可能なPK/PD特性を示し、持続的な有効性を実証している。
【0039】
本願明細書において記載される以下のアッセイを実質的に実施し、これらのアッセイは、本発明の化合物が、細胞中のc−Metリン酸化を強力に阻害すること、インビボ中でc−Metを強力に阻害することを実証し、また、特定の異種移植片モデル中での用量依存的抗腫瘍活性を実証する。
【0040】
cMet均一時間分解蛍光(HTRF)インビトロアッセイ
このアッセイは、HTRF技術に基づいており、cMet酵素によりビオチン標識されたチロシンペプチドのリン酸化を検出するために用いられる。反応が完了した後に、XL665標識されたストレプトアビジンを用いてビオチンユニットを認識し、ユーロピウム(Eu3+)標識された抗リン酸チロシン抗体を用いてリン酸化チロシンを認識する。検出プロセスは、励起されたEu3+とXL665標識されたストレプトアビジンとの間のエネルギー移動に依存する。このプロトコルの目的は、この反応における生成物のリン酸化を阻害する試験化合物の能力を計算することと、これらの相対IC
50値を計算することである。
【0041】
参照化合物は、必要であれば、100%DMSO中の1mMのストック溶液として調製してもよく、試験化合物は、100%DMSO中の10mMのストック溶液として調製する。1mM参照化合物および10mM試験化合物を96ウェル希釈プレート中で8μMと80μMの10%DMSO溶液に予め希釈する。化合物をTecan Freedom EVO 200を用いて連続的に希釈(1:3)し、10点の希釈曲線を試験された各化合物について生成する。10μLの連続的に希釈された化合物をTemo(Tecan)を用いて96ウェルアッセイプレートに移動する。各アッセイプレートは、酵素最高活性および酵素最低活性のコントロールを含む。最高活性のコントロールのウェルは、10μLの10%DMSOを含み、最低活性のコントロールのウェルは、10%DMSO中に溶解された10μLの500mMエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)を含む。20μLの基質溶液[酵素希釈バッファ(EDB)トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン中で調製されたBio−PolyGT(CisBio)(0.576μM)およびATP(65.14uM);Trizma(登録商標)塩基性バッファ、pH7.5、50mM;DL−ジチオスレイトール(DTT)、2mM;0.0005%TX−100;MgCl
2、10mM;およびEDTA、250μM)]をMultidrop(Thermo)を用いてアッセイプレートに加える。10μLの酵素混合物[EDB中で調製されたcMET(12nM)]をMultidrop(Thermo)を用いてアッセイプレートに加えて、反応を開始する。アッセイプレートを30秒間振り、次いで室温で90分間インキュベートする。90分間のインキュベーションの後、40μLの検出バッファを、アッセイプレート[2.6
*KF/EDTA4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−エタンスルホン酸中で調製されたストレプトアビジン−XL665(SA−XL665)(Cisbio)(144nM)およびEu3+標識された抗リン酸チロシン抗体(EuK)(CisBio)(6nM);N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸(HEPES)バッファ、pH7.0、50mM;BSA、0.2%;EDTA、20mM;KF、800mM)]に、Multidrop(Thermo)を用いて加える。アッセイプレートを室温にて60分間インキュベートし、その後Victor3機器(PerkinElmer Corporation)において620nm発光および665nm励起にて蛍光信号を読む。665/620比を各プレートについて正規化し、阻害値パーセントを化合物濃度に対してプロットして、相対IC
50値を計算する。実施例1の化合物についてのIC
50値は、標準偏差0.00071およびサンプルサイズ2で0.010μMである。実施例1のメシラート塩形態についてのIC
50値は、標準偏差0.0082およびサンプルサイズ2で0.025μMである。これらのデータは、本発明の化合物がc−Metの強力な阻害剤であることを実証している。
【0042】
HGF刺激性Met(pY1349)NCI−H460セルベースELISA
NCI−H460細胞(ATCCから購入)を、10%ウシ胎仔血清(FBS)で補充され、96ウェル平底プレート中にプレーティングされた(70%コンフルエンスになる前)RPMI 1640培地(Invitorgen)中で、80μL容量でウェルあたり20,000細胞の密度で培養する。次いで、細胞を細胞培養インキュベータ(5%CO
2、95%相対湿度(RH)および37℃)中で一晩インキュベートし、プレートに取り付け得る。次の朝に、細胞を2容量の減少させた血清培地(RSM、0.5%FBSで補充されたRPMI1640培地)で洗浄する。最後の洗浄物を除去した後、80μLのRSMを、セルプレートの各ウェルに加える。セルプレートを細胞培養インキュベータ中で2.5時間インキュベートし、次いで化合物を投与する。化合物阻害物を、100%DMSP中で10mMで最初可溶化し、次いで2%DMSO RSMで100μMに希釈する。続いて、化合物の連続希釈(1:3)を100μMから0.005μMの範囲にわたって調製する。細胞に、20μLの化合物ストックを加えて投与して、最終DMSO濃度を0.4%および最終化合物濃度投与範囲を20から0.001μMの間にする。化合物を投与した後、セルプレートを穏やかに攪拌して混合し、次いで細胞培養インキュベータ中で30分間インキュベートさせる。投与完了後、ウェル当たり20μLの肝細胞増殖因子(HGF)をRSM中で最終濃度100ng/mLにて加えて、細胞を刺激する(MINウェルを除いて全ウェルを刺激する;MINウェルには20μLのRSMが投与される)。細胞培養インキュベータ中で10分間インキュベートした後に、液体を細胞プレートウェルから除去し、ホスファターゼIおよびIIとプロテアーゼ阻害剤(Sigma,St.Louis,MO)で補充された、50μLの氷冷Meso Scale Discovery(登録商標)(MSD,Gaithersburg,Maryland)1×溶解バッファ(150mM NaCl、20 mMトリス、pH7.5、1mM EDTA、1mMエチレングリコールテトラ酢酸、および1%TRITON(登録商標)X−100)を追加して、細胞を溶解する。室温にて30分間溶解後、溶解物を、MSD(登録商標)マルチスポット96ウェル4スポットのリン酸Metプレート上に移動させて捕捉する。このプレートはBSAブロックされている(1×トリス洗浄バッファ中で30mg/mLのブロックAにて)。次いで、溶解物をトリス洗浄バッファで1回洗浄する。2時間捕捉した後(室温にて)、溶解物をMSD(登録商標)プレートから除去し、プレートを1×トリス洗浄バッファで洗浄する。ブロッティング後、25μLの5nMのスルフォタグ抗全Met抗体(検出抗体、10mg/mL BSAおよび0.1%Blocker D−R(MSD(登録商標)で補充された1×トリス洗浄バッファ中で調製されたMSD(登録商標))をMSD(登録商標)プレートのウェルに加える。1時間捕捉した後(室温にて)、MSD(登録商標)プレートウェルを1×トリス洗浄バッファで洗浄し、次いで150μLの1×リードバッファ T(界面活性剤を含む、MSD(登録商標))を加える。リードバッファを追加した直後、プレートをSECTOR 6000 MSD(登録商標)撮像プレートリーダーで分析する。相対IC
50値を、MSD活性ユニットを用いて、プレート「MIN」および「MAX」上のコントロールと比べて阻害率を計算し、次いで阻害率および10点投与反応データを4パラメータロジスティック方程式にフィッティングすることで、決定する。実施例1の化合物は、相対IC
50値0.036μM、n=1(メシラート塩形態について0.038μM、n=1) を示した。これは、実施例Iの化合物が細胞インビトロ中でc−Metリン酸化を強力に阻害することを示している。
【0043】
c−Metインビボ標的阻害(IVTI)アッセイ
S114細胞(ヒトHGFおよびヒトc−Metの両方とも過剰発現)を、10%ウシ胎仔血清が補充され、拡張された増殖培地(ダルベッコ改変イーグル培地)中で培養する。細胞を採取し、リン酸緩衝化生理食塩水で2回洗浄し、2×10
6細胞を等量のBD Matrigel(商標)マトリックス(BD Bioscience,Franklin,NJ)と混合し、ヌードマウス(Harlan,Indianapolis,INからの無胸線ヌード)のわき腹に皮下注入する。注入後8日目において、化合物(懸濁液として10%アカシアまたは1%カルボキシメチルセルロース/0.5%ラウリル硫酸ナトリウム/0.05%消泡剤中で調製された)を、50mg/kgにて強制経口投与により動物に投与する。動物を投与後2時間で死傷させ、腫瘍を採取し、必要となるまで凍結保存する。
【0044】
凍結腫瘍を乳棒と乳鉢を用いて粉砕する。粉砕された組織を溶解マトリックスDビーズ(MP Biomedicals,Solon,OH)および600μL溶解バッファ(Boston Bioproductsからの50mMトリス−HCl、pH7.4、150mM NaCl、1%NP−40、0.5%デオキシコール酸ナトリウム、0.1%SDSを含むRIPAバッファ、ホスファターゼ阻害剤IおよびIIとプロテアーゼ阻害剤(Sigma,St.Lousi,MO))を含むチューブに移す。FastPrep(登録商標)細胞破壊器(MP Biomedicals,Inc.)を用いて、組織を破壊し、細胞を溶解させる。溶解物を20ゲージ針を通し、無菌チューブへ移す。タンパク質濃度を当業者に公知のブラッドフォード法により決定する。
【0045】
腫瘍溶解物をMSD(登録商標)リン光体(phosphor)−Met ELISAプレート上にロードし、リン光体−c−MetレベルをH460セルベースELISAと同様のプロトコルを用いて決定する。実施例1の化合物に対するS114インビボ阻害ED
50値は、0.23mg/kgと0.41mg/kgで囲まれた95%信頼区間で、0.32mg/kgである。実施例1のTEC
50は、0.13μMと0.23μMで囲まれた95%信頼区間で、0.18μMである。これらの結果は、実施例1がインビボでの強力なc−Met阻害剤であることを示している。
【0046】
異種移植片腫瘍モデル
ヒト膠芽腫細胞U87MG、ヒト胃癌細胞MKN45、またはヒト膵臓KP4細胞を培養し、販売元から受け取った後に動物施設内で1週間順化させていたメスCD−1nu/nu株マウスのひ腹に皮下注入する。マウスは、グループ当たり10匹のマウスのグループへ無作為化する。試験化合物を適切なビヒクル中で調製し、腫瘍が樹立したとき(注入後7〜21日、または、平均腫瘍体積が約100mm
3に達したとき)、強制経口投与によって投与する。腫瘍反応を、治療期間の間に1週間に2回実施する腫瘍体積測定により決定する。体重における変動もまた、毒性の一般的な測定としてモニターする。実施例1の化合物を28日間の間に1日に2回経口投与する。
【0047】
統計解析のために、個々の被験体腫瘍体積をログ体積に変換し、時間による二元配置反復測定分散分析、および、SASソフトウェア(バージョン8.2)のMIXED手順を用いる処理を使用して分析する。反復測定のための相関モデルは、空間電力(spatial power)である。治療グループを最終時点でのコントロールグループと比較する。また、MIXED手順を各治療グループについて別個に使用し、各時点での調製平均および標準誤差を計算する。両方の分析は、各被験体内の自己相関を考慮する。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
これらのデータは、本発明の化合物がインビボで腫瘍増殖を阻害することを実証している。
【0052】
本発明の化合物は、統計的に関連付けられた化合物(例えば、国際公開第2008051808(A2)号の実施例25、以下本願明細書において「参照化合物」と呼ぶ)と比較して優れたインビボ特性を示すことが見出された。参照化合物および本発明の化合物は、類似する分子量および比較可能なインビトロ特性を有し、これらは最小有意比(MSR)内であるため、統計的な差異はない(0.015μMの参照化合物と比較した、0.010μMの実施例1の化合物についてc−MetIC
50)。H460アッセイは、0.065μMの参照化合物と比較して、実施例1の化合物について0.036μMのIC
50を示した。H460アッセイについて、効力値は、MSR内であり、互いに統計的な差異はない。
【0053】
同様に、実施例1の化合物および参照化合物の両方は、c−Met受容体に対して高度に選択的である。Express Diversity Kinase Profile(商標)を利用する99キナーゼのCerepスクリーニングにおいて、両方の化合物は、c−Metのみを阻害した。Express Diversity Kinase Profile(商標)は、Cerep SA(Paris,France)により開発されたスクリーニングサービスである。アッセイ条件および/または連絡先情報の詳細は、それらのウェブサイト(http://www.cerep.fr/cerep/users/pages/catalog/profiles/catalog.asp)から見出すことができる。
【0054】
しかしながら、参照化合物に対する実施例Iの化合物のヘッドツーヘッド(head to head)比較は、8時間後に式Iの化合物が、以下の表4に示すようなインビボ腫瘍阻害研究における参照化合物と比較して、プラズマ照射における有意な平均とS114腫瘍におけるリン酸cMET阻害とを示すことを示している。
【0055】
【表4】
【0056】
上記結果は、実施例1の化合物が、参照化合物と比較して、より持続した薬力学的効果(8時間を超える)をもたらすことを示している。上記データは、実施例1の化合物が、それほど頻繁に(例えば、BIDまたは毎日の処方)投与しなくともよく、一方で、参照化合物は、介護者または患者によるコンプライアンス問題を生じさせ得るより頻繁な投与計画が求められ得ることを示唆している。リン酸(phos)−Met阻害データ(%)の分析は、実施例1の化合物の両方の用量(8mg/kgおよび20mg/kg)の血漿濃度が、p値が<0.0001での参照化合物の対応する用量と比較して、統計的な差異があることを示している。さらに、実施例1の化合物の用量の両方は、ビヒクルグループと統計的な差異があり(p<0.0001)、また、互いに統計的な差異がある(p=0.0058)。これらのデータは、一元配置分散分析を用いて分析した。全ての一対比較について第1種の誤りをおかす確率(experimentwise error rate)を、多重検定のためのターキー法を用いて5%に厳重に制御した。
【0057】
IVTIの研究において、各化合物を経口投与し、10%w/vアカシア中で調製する。マウス血液サンプルを心穿刺技術を用いて、投与後に抗凝固チューブ(EDTA−紫色先端バキュティナチューブ)に回収する。チューブを3〜5回反転させ、血漿を得るために3000RPM(1800×g)で10分間4℃にて遠心分離するまで氷上に置く。血漿のアリコートをピペットで取り、無菌96ウェルプレート内に保存する。血漿サンプルを迅速に80℃に保存する。血漿サンプルの積荷(shipments)はドライアイス中に包装し、サンプルを分析まで−80℃で凍結させる。
【0058】
各薬物の0.1mg/mLストック溶液を調製し、プールされたマウス血漿へ連続的に希釈して、1〜5000ng/mLの範囲の標準を調製する。96ウェルプレート中の血漿標準またはサンプル(0.025mL)を、内部標準を含む0.1〜0.2mlのメタノール:アセトニトリル(1/1、v/v)を追加した状態で、タンパク質沈殿により処理する。混合物を4000rpmで4℃にて10分間遠心分離し、得られた上清の画分のアリコート(0.05mL)を、異なる96ウェルプレートに移す。サンプルおよび標準を、島津HPLCシステム(LC−IOAD,Shimadzu Corporation)およびGilson215オートサンプラーを取り付けたSciex API 4000三連四重極質量分析計(Sciex,Division of MDS Inc.,Toronto,Canada)を用いて、分析する。サンプル(0.01mL)を、5μmBetasil C18 20×2.1mm Javelin(Thermo Electron Corp.カタログ番号70105−022106)のHPLCカラム上に注入し、勾配で溶出する。クロマトグラフィー条件は、1.5mL/分の流速で2.5分にわたって勾配させる、水/1M NH
4HCO
3(2000:10、v/v)の移動相AおよびMeOH/1M N NH
4HCO
3(2000:10、v/v)の移動相Bからなる。ターボスプレイでの陽イオンモード、および、740℃でのイオン供給源温度を、質量分析検出に用いる。定量を、以下の遷移条件で多重反応モニタリング(MRM)を用いて実施する。実施例1(m/z363.05〜m/z163.10)および参照化合物(m/z363.05〜m/z163.10)。内部標準ピーク領域比対薬物濃度に関する化合物の線形回帰プロットを、1/x
2二次式で生成する。
【0059】
本発明の化合物はまた、参照化合物よりも有意により可溶性である。
【0060】
実施例1および参照化合物(‘808文献の実施例25)の溶解度を、各ガラス瓶中に実施例1および参照化合物を少量を入れ、キャップし、周囲条件で一晩(18時間)瓶を回転させることで測定する。培地は、0.01N HCl、0.05%ラウリル硫酸ナトリウム、および0.2%NaClからなる擬似胃液(SGF);29mM NaH
2PO
4、3mM Naタウロコール、0.75mMレシチン、103mM NaCl、およびNaOH pH6.5からなる絶食状態擬似腸液(SIF絶食);144mM酢酸、15mM Naタウロコール、3.75mMレシチン、204mM NaCl、およびNaOH(pH5.0)からなる摂食状態擬似腸液(SIF摂食);および28−56mMリン酸バッファであるpH4.5、6、7.5バッファを含む。化合物濃度は、UV検出器を備えたAgilent 1200 HPLC(LC5)を用いて決定する。移動相は、0.1%TFAを含む水であるA(85%)と、ACNであるB(15%)を、1mL/分の流速および10分の実行時間にて用いる。Zorbax,Bonus−RP(3.5μm、4.6×75mm;SN:USTM002428)のカラムを研究に用いる。
【0061】
以下のデータは、実施例1の化合物が、絶食状態および摂食状態にてそれぞれ参照化合物と比較した場合に、擬似腸液(SIF)中で約13倍および14倍以上、より可溶性であることを示している。
【0062】
【表5】
【0063】
溶解度2:動態溶解度スクリーン
アッセイを用いて、化合物が10mMにてDMSO中の予め溶解されて溶液から沈殿するような濃度範囲を決定する。アッセイを96ウェルプレート上のスクリーニングフォーマットにおいて実施し、リン酸バッファ(50mM;pH7.4)水溶液中の沈殿化合物から比濁度(光散乱)を測定する。この方法は、10、20、40、60、80および100μM(この場合、DMSO%を一定に保つ)の濃度にてバッファ中の化合物を2時間RT(室温)でインキュベートすることからなる。プレートを比濁計により予め読んで、散乱または塵粒子が存在するかを決定し、これをバックグラウンド除去に用いる。報告値は、最後の可溶性物質および最初の不溶性物質が達成されたときの濃度である。これらのアッセイを最適化することなく、平衡溶解度を評価するか、または、「真」の動態溶解度を決定する。
【0064】
以下のスクリーニングデータは、実施例1の化合物が、参照化合物と比較した場合にpH7.4バッファ中で少なくとも3倍以上、より可溶性であることを示している。
【0065】
【表6】
【0066】
本発明の化合物は、ラットの生物学的利用能研究において参照化合物と比較して薬物動態的パラメータにおける有意な差異を示している。本発明の化合物は、溶液調製物中の1mg/kg静脈内投与後、18倍低い血漿クリアランスおよび4倍長い最終排泄相の半減期を提供する。10%のアカシア懸濁液組成物中の10mg/kg経口投与後、本発明の化合物は、ピーク血漿濃度またはカーブ(AUC)下の血漿領域により測定される、それぞれ57倍および93倍高い露出(exposure)を提供する。本発明の化合物の経口生物学的利用能は、参照化合物についての14.6%と比較して、65.8%であり、4.5倍増加している。
【0067】
ラット生物学的利用能研究において、各化合物を、静脈内(IV)投与または経口(PO)投与する。静脈内投与物を溶液調製物中で調製し、経口投与物を10%w/vアカシア中で調製する。ラット血液サンプルを、抗凝固(EDTA)回収チューブを用いて回収し、遠心分離を実施して、血漿サンプルを得る。血漿のアリコートを、ピペットで取り、迅速に−20℃未満にて保存する。血漿サンプルの積荷は必要であればドライアイス中に包装し、サンプルを分析まで−20℃未満で凍結させる。
【0068】
各薬物のストック溶液を調製し、プールされたラット血漿へ希釈して、標準を調製する。血漿標準またはサンプルを、内部標準を含む有機溶媒を用いてタンパク質沈殿または液液抽出により処理する。混合物を遠心分離し、得られた上清画分のアリコートを移す。タンパク質沈殿の場合、上清を希釈し、HPLCシステムおよびオートサンプラーを取り付けた質量分析計を用いて分析する。液液抽出の場合、上清をN
2下で40℃にて乾燥させ、再構成し、HPLCシステムおよびオートサンプラーを取り付けた質量分析計を用いて分析する。定量を、多重反応モニタリング(MRM)を用いて実施し、内部標準ピーク領域比対薬物濃度に関する化合物の線形回帰プロットを生成する。
【0069】
【表7】
【0070】
上記データは、実施例1の化合物のメシラート塩が参照化合物よりも生物学的に利用可能であることを示している。さらに、経口投与のために、利用可能なデータは、実施例1の化合物の塩基形態および塩形態について類似の露出レベルを示唆している。
【0071】
実施例1の化合物はまた、適切な抗癌剤または他の補助療法を組み合わせたレジメンにおいて、調製および/または投与することができる。このような組み合わせは、異なる治療の個々の用量が一緒に、連続的に、または、適切な間隔の後に投与される場合のカクテルの形態で有り得る。
【0072】
本発明の化合物は、好ましくは医薬組成物として調製され、これに限定されないが、経口、直腸、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、および、鼻腔内を含む種々の経路により投与される。本発明の化合物は、好ましくは、経口投与または静脈内投与される。化合物は、好ましくは投与前に調製され、どの経路を使用するかの選択は、主治医または資格のある介護者によりなされる。最も好適には、本発明の化合物の組成物は、経口投与のために調製される。本発明の化合物の特に好ましい投与形態は、タブレット、カプレット、またはカプセルである。また好ましくは、迅速に放出する固体形態である。この固体形態には、患者の年齢または好みに応じて治療のコンプライアンスが容易となるように適切なコーティングまたは風味付けがされ得る。さらに別の好ましい形態において、本発明の医薬組成物は更に、1つ以上の追加の治療剤を含む。
【0073】
医薬組成物およびそれらを調製するプロセスは、当該技術分野において周知である。例えば、REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY(A.Gennaroら,,eds.,19
thed.,Mack Publishing Co.,1995)を参照のこと。よって、当業者は、本発明の化合物を、固体、液体、静脈内、皮下デポー、経皮貼布、または、他の調製物として、過度の実験を行うことなく調製することができる。
【0074】
本発明の化合物は、一般的に広範な用量範囲にわたって有効である。例えば、一日当たりの用量は、約1mgから約1000mgの1日当たりの総量の範囲内、好ましくは、10mgから500mgの1日当たりの総量の範囲内であり得る。より好ましくは、用量は一日当たり約50〜200mgである。最も好ましくは、用量は、日に二度(b.i.d)約50〜80mgである。場合によっては、上述の範囲の下限以下の用量がより適切であり得、一方で他の場合は、更に大きい用量が用いられ得る。上述の用量範囲は、本発明の範囲を限定することを何ら意図していない。実際に投与される本発明の化合物の量は、治療される病態、選択される投与経路、カクテルまたは固定用量併用治療の場合に投与される化合物、年齢、体重、個々の患者の反応性、および、他の要因の中の患者の症状の重篤度を含む、関連する状況に基づいて医師により決定される。
【0075】
c−Met関連腫瘍および異種移植片モデル
c−Met過剰発現は、肺、胸、結腸直腸、胃、腎臓、膵臓、頭頸部を含む多くのヒト腫瘍について共通の特徴である(1,2)。キナーゼドメイン内のc−Met活性化変異は、例えば遺伝性乳頭状腎臓細胞癌、小児肝細胞癌、および、胃癌等のいくつかの腫瘍の原因として関係がある(3−7)。Pfizerからのc−Met阻害剤は、U87MG、GTL16、H441、Caki−1、およびPC3を含む多くのヒト異種移植片腫瘍における抗腫瘍効能を実証した(8)。
【0076】
1.Christinsen,JG.,Burrows,J.,and Salgia,R.Cancer Letters225:1−26,2005.
2.Birchmeier,C.,Birchmeier,W.,Gherardi,E.,and Vande Woude,GF.Nat Rev Mol Cell Biol 4:915−925,2003.
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4.Lee,JH.,Han,SU,Cho,H.et al.Oncogene19:4947−4953,2000.
5.Ma,PC.,Kijima,T.,Maulik,G.et al.Cancer Res 63:6272−6281,2003.
6.Park,WS.,Dong,SM.,Kim,SY.et al.Cancer Res59:307−310,1999.
7.Schmidt,L.,Duh,FM.,Chen,F.,et al.Nat Genet 16:68−73,1997.
8.Zou,H−yli,Qiuhua.,Lee, JH.,et al.Cancer Res 67:4408−4417,2007.