特許第5738420号(P5738420)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5738420タービンエンジンにおける対象高温域を監視する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5738420
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】タービンエンジンにおける対象高温域を監視する方法
(51)【国際特許分類】
   F02C 9/00 20060101AFI20150604BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20150604BHJP
   F01D 9/02 20060101ALI20150604BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20150604BHJP
   G01J 5/48 20060101ALI20150604BHJP
   G01N 21/27 20060101ALN20150604BHJP
【FI】
   F02C9/00 B
   F02C7/00 A
   F01D9/02 102
   H04N5/225 C
   G01J5/48 A
   !G01N21/27 Z
【請求項の数】19
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-535038(P2013-535038)
(86)(22)【出願日】2011年10月19日
(65)【公表番号】特表2013-543079(P2013-543079A)
(43)【公表日】2013年11月28日
(86)【国際出願番号】US2011056884
(87)【国際公開番号】WO2012054602
(87)【国際公開日】20120426
【審査請求日】2013年10月1日
(31)【優先権主張番号】13/274,766
(32)【優先日】2011年10月17日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/405,377
(32)【優先日】2010年10月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599078705
【氏名又は名称】シーメンス エナジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(72)【発明者】
【氏名】ゾンボ、ポール ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】レミュー、デニス エイチ
(72)【発明者】
【氏名】ハッチャー、クリフォード
【審査官】 寺町 健司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−142247(JP,A)
【文献】 米国特許第03623368(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0063509(US,A1)
【文献】 米国特許第04037473(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 1/00−9/58
F23R 3/00−7/00
F01D 1/00−11/10
G01J 5/00−62
G01J 3/00−4/04
G01J 7/00−9/04
G01N 21/00−01,17−61
Thomson Innovation
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンエンジンにおける対象領域を監視する方法であって、
内部冷却固定ベーンを備え、
該固定ベーンに監視ポートを設け、
監視具を前記監視ポートと動作可能に接続して対象領域の視野を提供し、
前記監視具に接続されたデータ取得デバイスによって、前記対象領域からデータを取得し、
前記監視具に視認具を備えると共に前記データ取得デバイスに赤外線(IR)撮像デバイスを備え、
前記対象領域からのデータ取得は、前記赤外線(IR)撮像デバイスに接続された前記視認具によって、前記対象領域から撮像データを取得する、
ことを含む方法。
【請求項2】
前記対象領域からのデータ取得は、高温測定データ、分光データ及び化学組成データからなるグループから選択される非撮像データを取得することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記IR撮像デバイスにIRカメラを備え、
前記対象領域を前記IRカメラの視認軸内に入れるために、前記対象領域から遠ざかる前記IRカメラの視認軸に対して後方視野を提供するように、前記視認具の視野をアレンジすることをさらに含む、
請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記固定ベーンに別の監視ポートを設けることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ベーン内で前記監視具を位置換えして前記別の監視ポートに動作可能に接続することをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記ベーン内の監視具の位置換えは、前記監視具を回転させること及び半径方向に移動させることの少なくともいずれかを含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記ベーン内のガイドチューブによって前記監視具を案内し、前記監視具の末端を受け入れるように前記ガイドチューブを構成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記監視ポートを通る空気の流れを制限することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記IR撮像デバイスにIRカメラを備え、
前記タービンの内側ケースと外側ケースとにより画定されるプレナムに前記IRカメラを配置することをさらに含む、
請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記監視具を用いてブレード先端のクリアランスを監視することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記監視具の視野を燃焼器からの燃焼流に向け、第1のベーン列の上流に位置した前記対象領域から得られる化学的及び物理的指標の少なくともいずれかを監視することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
タービンエンジンにおける対象領域を監視する方法であって、
内部冷却固定ベーンを備え、
前記固定ベーンに監視ポートを設け、
監視具を前記監視ポートと動作可能に接続して対象領域の視野を提供し、
前記監視具に接続したデータ取得デバイスによって、前記対象領域からデータを取得し、
前記データ取得デバイスからのデータを処理して少なくとも前記対象領域の測定結果を生成し、
前記監視具に視認具を備えると共に前記データ取得デバイスに赤外線(IR)撮像デバイスを備え、
前記対象領域からのデータ取得は、前記赤外線(IR)撮像デバイスに接続された前記視認具によって、前記対象領域から撮像データを取得する、
ことを含む方法。
【請求項13】
前記対象領域からのデータ取得は、高温測定データ、分光データ及び化学組成データからなるグループから選択される非撮像データを取得することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも2つ又はこれより多い監視デバイスをそれぞれの前記監視ポートと動作可能に接続し、前記対象領域のそれぞれの視野を提供することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも2つ又はこれより多い監視デバイスからのデータ処理は、前記対象領域の3次元の測定結果及び画像の少なくともいずれかを生成するように設定される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記2以上の監視デバイスのうちの少なくとも数個を互いに隣接させて配置し、前記対象領域の部分的重複視野を提供することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記2以上の監視デバイスのうちの少なくとも数個を所定間隔離れた位置に配置し、前記対象領域の少なくとも異なる斜視視野を提供することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記対象領域からのデータ取得は、少なくとも2つの異なる波長でデータを取得することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも2つの異なる波長で取得したデータの処理は、前記対象領域からの多重スペクトル画像及び多重スペクトル測定結果の少なくともいずれかを生成するように設定される、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、参照してここに組み込まれる米国仮特許出願61/405,377の出願日2010年10月21日の優先権を主張する。本願は、本願と合わせて出願され、参照してここに組み込まれる、米国特許出願13/274,692(代理人整理番号2010P20143US01、発明の名称「タービンエンジンにおける対象高温域を監視するシステム」)に関連する。
【0002】
本発明の態様は、タービンエンジン、そして特に、タービンの固定ベーンの内部に配置された監視具によって実施可能であるような、対象高温域を監視するシステムに関係する。
【背景技術】
【0003】
本発明の譲受人は、タービンエンジンの回転及び固定部品の少なくともいずれかをオンラインで監視する装置及び技術を成功裏に実証した。例えば、米国特許7,690,840、発明の名称「タービン断熱部品の故障をオンラインで測定する方法及び装置」(全体的に参照してここに組み入れられる)に記載された装置及び技術が参照される。
【0004】
タービンエンジン内の限られた空間のアクセスを背景として生じ得る幾何学的及び熱的制約の観点から、周知装置により提供される熱的及び空間的視野は、一般的に、タービンの筒状構造に対して半径方向内方に位置した領域に限定される。例えば、半径方向外方に位置した領域の熱的及び空間的視野の少なくともいずれかを得ることは、不可能であるか、サイズ及び入射角のいずれか又は両方において実質的に制限されている。
【0005】
さらに、周知装置は、タービンの作動ガス経路に通常生じる高温及び高圧のすくなくともいずれかから空間的に離した所に配置されるので、比較的多数の光学要素(中継光学機器など)を通例必要とする比較的長い光学経路を、必要とする。長い光学経路は、設計者に、比較的低反射特性をもつ光学要素の使用を必要とする場合など、当該長い光学経路の状況において必要とされ得る光学的トレードオフを要する光学要素を使用することを、強いる。例えば、比較的高反射特性をもつ光学要素は、当要素を多数必要とする長い光学経路には不向きであり、光学要素の数が少なくてよい短い光学経路に向いている。これらの考慮は、高めの反射特性をもったより凹凸の多い光学材料を使用する可能性といった、設計者の可能性を、光学設計を他のトレードオフに対処するべく合わせるために、いくぶんか減じ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、上述の考慮の観点から、タービンエンジンにおける対象高温域を監視するのに有用な、向上した装置及び技術の少なくともいずれかの必要性が存在している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の態様は、次の図面を参照して後欄において説明される。
図1】本発明の態様に係り、タービンエンジンにおける対象高温域を監視するために使用されるシステムの例示実施形態の概略を部分的に示す。
図2】本発明の態様に係り、固定ベーンの視認ポートへ動作可能に接続されて対象領域の視野を提供する監視具(例えば視認具)を含んだ固定ベーンの例示実施形態の切断図を示す。
図3】本発明の態様に係り、固定ベーンの視認ポートへ動作可能に接続されて対象領域の視野を提供する監視具(例えば視認具)を含んだ固定ベーンの例示実施形態の切断図を示す。
図4】本発明の態様に係り、固定ベーンの視認ポートへ動作可能に接続されて対象領域の視野を提供する監視具(例えば視認具)を含んだ固定ベーンの例示実施形態の切断図を示す。
図5】ベーン中に視認具を固定すべく接続されるキャップアセンブリの例示実施形態の断面図。
図6】ベーン中に視認具を固定すべく接続されるねじりロックアセンブリの例示実施形態の断面図。
図7】例えば光ファイバ束から成る視認具の例示実施形態の切断図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、地上、海又は航空用途で利用可能な、タービンエンジン10内の対象高温域20のオンライン式監視に使用される、システム8の例示実施形態の概略を部分的に示す。当業者であれば分かるように、タービン10は、タービンの作動ガス経路に位置し、したがって比較的高温、例えば、2800°F以上といった華氏数千度にさらされる、複数の内部冷却(例えば空冷)固定ベーンを含む。
【0009】
本発明の態様に従い、ベーン12は、監視ポート141を含むように構成されると共にその中に、監視ポート141と動作可能に接続されて、例えば、ベーン12から離れた対象領域20の視野18を提供する、監視具16を収容するように構成される。本発明の態様はベーン12に形成される監視ポート141が1つのものに限定されないことが、理解される。例えば、ベーン12から離れた別の対象領域の各視野を提供するべく、監視ポート142,143などのさらなる監視ポートがベーン12に形成可能である。対象領域20に位置するタービン部品の例は、対応する回転ブレード(図示せず)の先端近くに位置した固定リングセグメント(図示せず)を含む。当業者なら分かるように、これらリングセグメントの断熱コーティング(TBC)は、少なくとも高圧条件下で高速高温のガスにさらされ又はブレード先端とハードにコンタクトするので、加速的な摩耗と亀裂を経験する。
【0010】
一つの例示実施形態において、システム8は、監視具16に接続されて対象領域からデータを取得するデータ取得デバイス22を含む。一つの例示実施形態において、データ取得デバイス22は、監視具16と接続されて対象領域の撮像データを取得するIRカメラなどの赤外線(IR)撮像デバイスである。一つの例示実施形態において、プロセッサ23は、IR撮像デバイス22からの撮像データを処理するよう動作可能に接続され、対象領域の画像(空間的及び熱的画像の少なくともいずれか)を生成する。IRカメラからの撮像データを処理する例示技術に関して一般的背景情報を望む読者には、米国特許7,690,840が参照される。監視具16、データ取得デバイス22及びプロセッサ23は(例えば所定用途の要求に基づいて)、高温測定データ、分光データ、化学組成データ、振動データ、音響データ、光学データ等を必要とする場合など、非撮像データの監視、取得及び処理のために選択的に採用されることが考えられるので、監視具16、データ取得デバイス22及びプロセッサ23はそれぞれ、撮像データの監視、取得及び処理に限定されないことが、理解される。以下の例示説明は例示撮像用途にフォーカスし、監視具16は視認具として参照される。しかしながら、上述した通り、当該例示説明は限定的意味に解釈されるべきではない。
【0011】
一つの例示実施形態において、IRカメラ22は、おおよそ対象領域20から遠ざかる視認軸24を有する。例えば、視認軸24は、タービンの回転軸に対して半径方向内方へ向かい、タービンの半径方向内方領域を監視するのに有用であるが、領域20など、タービンの外方領域を監視するのには貢献しない。したがって、本発明の態様によれば、視認具16は、適切に位置決めしたプリズム又はミラーアセンブリを用いて構成され、IRカメラの視認軸24の半径方向内向きの方向に対して(例えば斜めに遠ざかる)後方視野[retroview]を提供し、対象領域20がIRカメラの視認軸内に入るようにする。視認具16は、ベーン12の内側に位置換え可能に、例えば、少なくとも軸24を中心に回転可能に又は軸24に沿って半径方向へ移動可能に、取り付けられ、監視ポート141,142,143を通して実施される場合など、択一的な対象領域を監視する。
【0012】
一つの例示実施形態において、監視具16は、燃焼器へ向かう視野を提供する場合など、例えば第1のベーン列の上流に位置した対象領域から得られる、各種の化学的及び物理的指標の少なくともいずれかを測定するか又は見るために、もしくは測定し且つ見るために、配置される。これらの指標は、燃焼流の特性を特定するべく使用される。指標の例は、流れの特性、化学的組成、化学反応動力学などである。本発明の態様を具体化するシステムで可能な他の例示用途は、ブレード先端クリアランスの監視である。
【0013】
2以上の監視具から取得されたデータが、対象領域からステレオ(例えば視差)又は3Dの測定結果又は撮像を生成するべく処理されること、例えば、二重視認具16からの撮像データが対象領域のステレオ撮像に使用されることが、理解される。
【0014】
一つの例示実施形態において、このような二重の視認具は互いに近づけて配置され、(概念的に双眼鏡の二連スコープに似ている)、対象領域の部分的重複視野を提供することが、理解される。2以上の視認具は必ずしも互いに近づけて配置されるものではないことが、理解される。例えば、2以上の視認具は、正確に予定された間隔の離れた位置に配置されて所定対象領域の異なる斜視視野を提供し、これが処理されて対象領域のステレオ又は3Dの測定結果又は撮像を生成する。
【0015】
図1において理解できるように、一つの例示実施形態においてIRカメラ22は、タービンの内側ケース28と外側ケース30とで画定されるプレナム26に配置される。この例示実施形態において、プレナム26内の温度が、高温の作動ガスが作用する領域よりは実質的に冷えているが、おおよそ850°F以上といった華氏数百度になるので、IRカメラ22は水冷システム32を含む。IR撮像デバイス22は、水冷システム32が不要であり得る、タービンの外側ケース30の外など、他の領域に配置可能でもあるので、必ずしもプレナム26に配置される必要はないことが、理解される。
【0016】
視認具16は、多種の取り付け機構例のいずれかを使用して、ベーン12の内部に固定的に取り付けられることが、当業者に理解される。例えば、図2は、視認具16の末端部を受け入れるよう構成されたガイドチューブ33を含む、ベーン12の切断図を示す。図3は、視認具16を固定するための他の機構例を示し、ベーン12は、ベーン12中に視認具16を受け入れるための漏斗状チューブ36を支持するようにベーン12の手前端部で接続されたブラケット34を含んでいる。図3に示すように、視認ポート14は、制限部21(例えばボス)を含み、ベーンの視認ポートを通る冷却空気の流れを制限する。
【0017】
図4は、ブラケット34がキャップアセンブリ40と接続されている例示実施形態を示し、キャップアセンブリ40は、視認具16をベーン12内に固定し、視認具16のケース末端をベースプレート41へ向け付勢する軸方向の力を加えるように、アレンジされている。
【0018】
詳細を図5に示すように、一つの例示実施形態においてキャップアセンブリ40は、ブラケット34に接続されて雌キャップ46を受ける雄キャップ44により構成され、当キャップ44,46は、互いに螺合するようにアレンジされている。視認具16に形成されたフランジ50との間にスプリング付勢要素48が配置され、雄キャップ44に雌キャップ46をねじ込むと、スプリング付勢要素48により、視認具16の末端をベースプレート41(図4)に向け付勢する軸方向の力が加えられる。
【0019】
図6に示すように、別の例示実施形態においてブラケット34は、ねじりロックアセンブリ52を含み、該ねじりロックアセンブリ52は、視認具16に設けられたロックピン56を受け入れるロックスロット54を含み、さらに、ボトムプレートに向け視認具の末端を付勢する軸方向の力を加えるように組み入れられたスプリング付勢要素58を含む。図6から分かるように、ブラケット34は、ベーンを通り抜ける作動ガスに対する障害を減らすべく複数の貫通孔57を含む。
【0020】
図7に示すように、一つの例示実施形態において、視認具16は、対象領域20からのIR放射を視認するべくアレンジされた1以上の光ファイバ束60(フレキシブル医用内視鏡の構造に類似)から構成することも考えられるので、視認具16は固定光学実装(写真技術の望遠レンズの構造に類似)に限られないことが、理解される。この実施形態は、固定光学実装と比較して、光学ルートの柔軟性を提供可能であることが、理解される。例えば、光ファイバ束60とIRカメラ22(図1)との間の光学カップリングは、IRカメラ22の配置に関する応用性の点などで、設計者に応用性を提供する。
【0021】
運転時、本発明の態様を実施する電気−光学−機械システムは、対象領域のタービン部品の温度マッピング及び空間撮像の少なくともいずれかを提供するように構成される。一つの例示実施形態において、IRデータが相対又は絶対温度で計算されて対象領域のタービン部品の温度マップを生成する。例えば、これにより、当該タービン部品の1以上の領域が熱的疲労を経験しているか否かを判断することが可能となる。当業者に理解されるように、この熱的疲労は、該当タービン部品の寿命劣化又はダメージにつながる。
【0022】
運転時、本発明の態様を実施する電気−光学−機械システムは、対象領域の温度及びコンディションをリアルタイムで又はほぼリアルタイムで監視するように構成される。本発明の態様に係るシステムは、対象領域に向かった後方範囲視認(例えばほぼ後ろ向きの視認)を提供するように革新的にアレンジされる。該システムは、タービンの様々な運転コンディション(例えば、スタートアップ、ベース負荷、及びシャットダウン)のもとで対象領域を監視するように構成される。
【0023】
一つの例示実施形態において、IRデータは、対象領域のタービン部品の空間撮像を生成するように処理される。例えば、空間撮像は、物理的疲労を経験している該当タービン部品の1以上の領域の可視化に有用である。空間撮像は、さらに、予定通りに機能していないタービン部品に関する運転上の問題点の認識に有用である。熱マッピング及び空間撮像は、対象領域のタービン部品の各種特性、例えば運転上のパフォーマンス、寿命劣化又はダメージの原因因子、製造欠陥、使用で生じた欠陥などに関する実体的知識を得るべく相乗的に組み合わせて使用されることが、理解される。本発明の態様を実施する監視具により取得されるデータは、異なる波長で取得されることが、理解される。これらデータは、その後、例えば、該当の対象領域からの多重スペクトル画像及び測定結果の少なくともいずれかを生成するべく使用される場合など、温度又は他のスペクトル測定結果の特性評価又は定量化をさらに生成するために処理される。
【0024】
本発明の例示態様は、動作又は静止しているTBC被覆部品の診断のための熱的及び空間的撮像の少なくともいずれか、タービン運転を中断させず又は最小限の中断で定量的測定を実行する能力、及び、TBC損傷に起因するリスク及びダメージを低減するために本質的にリアルタイムの運転決定を行う能力、を含む。本発明の態様を実施するシステムは、オンライン運転に限定されず、オフラインモードにあるタービンで新しい、使用に供された、及び使用に供されて修理された部品など、各種セッティング下の非破壊及び非接触の定量的測定を可能にする場合というような、オフライン運転に適用されることが、理解される。
【0025】
一例のオンライン実施形態において、少なくとも測定結果を示すか又は対象領域の画像を生成するのに適したデータは、タービンのほぼリアルタイム運転で周期的に監視及び追跡される。少なくともエキスパート又はスーパーバイザリサブシステムを利用するような、高速分析及び判断システムが、収集データを分析しタービンの運転に関する判断を行うために使用されることが、理解される。エキスパート及びスーパーバイザリサブシステムの少なくともいずれかは、所定の不完全なコンディションが検出されたときに利用可能な予測運転時間を許容するなどの、予測アルゴリズムを含む。エキスパート及びスーパーバイザリサブシステムの少なくともいずれかは、オペレータが本質的にリアルタイムでタービン運転コンディションを変更すること及びスーパーバイザリコントローラとコミュニケートして本質的にリアルタイムでタービン運転コンディションを変更することの少なくともいずれかを可能とするように構成される。
【0026】
本発明の種々の実施形態をここに示して説明したが、当実施形態は一例として提供されるにすぎないことが理解される。多数の変形、改変及び代替が、本願の発明から逸脱することなくなされ得る。したがって、特許請求の範囲によってのみ本発明は限定されるということが意図されている。
【符号の説明】
【0027】
8 システム
10 タービン(タービンエンジン)
12 ベーン
14(141,142,143) 監視ポート
16 監視具(視認具)
18 視野
20 対象領域(対象高温域)
22 データ取得デバイス(IR撮像デバイス、IRカメラ)
24 視認軸
26 プレナム
28 内側ケース
30 外側ケース
32 水冷システム
34 ブラケット
36 漏斗状チューブ
40 キャップアセンブリ
41 ベースプレート
44 雄キャップ
46 雌キャップ
48 スプリング付勢要素
50 フランジ
52 ねじりロックアセンブリ
54 ロックスロット
56 ロックピン
58 スプリング付勢要素
60 光ファイバ束
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7