特許第5738532号(P5738532)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5738532
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】電子部品を持つハウジング
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/00 20060101AFI20150604BHJP
【FI】
   H05K5/00 C
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2009-553900(P2009-553900)
(86)(22)【出願日】2008年2月23日
(65)【公表番号】特表2010-521823(P2010-521823A)
(43)【公表日】2010年6月24日
(86)【国際出願番号】DE2008000317
(87)【国際公開番号】WO2008113315
(87)【国際公開日】20080925
【審査請求日】2011年1月25日
【審判番号】不服2013-25923(P2013-25923/J1)
【審判請求日】2013年12月12日
(31)【優先権主張番号】102007013695.3
(32)【優先日】2007年3月19日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102007027334.9
(32)【優先日】2007年6月14日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503355292
【氏名又は名称】コンティ テミック マイクロエレクトロニック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Conti Temic microelectronic GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100062317
【弁理士】
【氏名又は名称】中平 治
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】トレンネル, ウーベ
(72)【発明者】
【氏名】ヴイーチヨレク, マテイアス
(72)【発明者】
【氏名】ヘニンゲル, ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】カレル, ヘルムート
(72)【発明者】
【氏名】ヴエンク, アレクザンデル
(72)【発明者】
【氏名】フアルクネル, ローラント
(72)【発明者】
【氏名】ブール, ヨアヒム
【合議体】
【審判長】 田村 嘉章
【審判官】 新海 岳
【審判官】 藤井 昇
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭54−8327(JP,U)
【文献】 実開昭52−64324(JP,U)
【文献】 実開平3−65288(JP,U)
【文献】 特開平8−222863(JP,A)
【文献】 特開2004−345667(JP,A)
【文献】 特開2002−240851(JP,A)
【文献】 特開2002−104501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00- 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋(3)と下部(4)とから構成されるプラスチック製ハウジング(2)内の電子部品(1)の配置であって、
前記蓋(3)が、前記下部(4)に結合されていて前記蓋(3)が、その付け後に、前記下部(4)の縁(7)から突出する前記電子部品(1)力(F)を及ぼす当該ハウジングにおいて、
前記蓋(3)が、その取り付け後にばねとして作用するように、前記蓋(3)には、前記電子部品(1)の側面の上部稜線に沿って、少なくとも1つの取り巻き凹所(8)が設けられていて、前記取り巻き凹所(8)が、前記力(F)に応じて変形されることを特徴とすハウジング(2)
【請求項2】
前記蓋(3)は、ほぼ面平行に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のハウジング(2)。
【請求項3】
前記蓋(3)は、平面と凸面とから形成されていることを特徴とする請求項1に記載のハウジング(2)。
【請求項4】
前記蓋(3)は、凹面と凸面とから形成されていることを特徴とする請求項1に記載のハウジング(2)。
【請求項5】
前記蓋(3)は、ねじ止め、溶接、接着又はかしめによって前記下部(4)に結合されていることを特徴とする請求項1〜4の1つに記載のハウジング。
【請求項6】
蓋(3)と下部(4)とから構成されるプラスチック製ハウジング(2)内に電子部品(1)を固定するための方法であって、前記電子部品(1)が、前記下部(4)の縁部(7から突出し、前記蓋(3)が、その取付け後に、前記電子部品(1)に及ぼす力(F)が予め設定されていて、当該方法は、
a)前記ハウジング(2)を準備するステップと、
b)前記電子部品(1)を前記下部(4)内に入れるステップと、
c)前記蓋(3)を前記下部(4)上に載せるステップと、
d)前記蓋(3)と前記下部(4)とを結合するステップとを有する当該方法において、
前記蓋(3)が、その取り付け後にばねとして作用するように、前記蓋(3)には、前記電子部品(1)の側面の上部稜線に沿って、少なくとも1つの取り巻き凹所(8)が設けられていて、前記取り巻き凹所(8)が、前記力(F)に応じて変形されることを特徴とする方法。
【請求項7】
前記蓋(3)と前記下部(4)とが、ねじ止め、溶接、接着又はかしめによって気密に結合されることを特徴とする請求項6に記載の電子部品(1)を固定するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を設けるためのハウジング、及びハウジング内に電子部品を固定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品特にセンサは、測定技術、一般な監視技術及び特に自動車技術の分野において使用される。電子部品は変速機油のような侵食性媒体の環境において動作し、大きい温度変動及び大きい機械的負荷にさらされる。これらの電子部品はとりわけ圧力、回転数及び間隔のような量を検出する。そのため一般に、検出される部分に対する電子部品の位置を精確に設定し、全寿命にわたって維持することが必要である。更に電子部品をその収容部内に固定するための特定の力を超過してはならない。なぜならば、電子部品はしばしば圧力に対して敏感であり、大きすぎる力の作用で損傷する可能性があるからである。従って電子部品の寸法は狭い公差を守らねばならない。なぜならば、例えば過大の場合、電子部品が収容部内で圧縮されて損傷する可能性があるからである。
【0003】
今まで電子部品は、通常収容部として役立つパリソン内に取付けられ、このパリソンが射出成形金型へ入れられ、続いて部品ハウジングが別の工程で最終的に射出成形された。これは多くの製造段階を含み、さらに材料の割合が大きい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って本発明の課題は、電子部品が全寿命にわたって規定通りに機能を果たし、電子部品が特定の寸法公差を持っていてもよいように、最初にあげた種類のハウジングに電子部品を設けることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この課題は請求項1の特徴に記載の
蓋(3)と下部(4)とから構成されるプラスチック製ハウジング(2)内の電子部品(1)の配置であって、
前記蓋(3)が、前記下部(4)に結合されていて、前記蓋(3)が、その取り付け後に、前記下部(4)の縁部(7)から突出する前記電子部品(1)に力(F)を及ぼす当該ハウジングにおいて、
前記蓋(3)が、その取り付け後にばねとして作用するように、前記蓋(3)には、前記電子部品(1)の側面の上部稜線に沿って、少なくとも1つの取り巻き凹所(8)が設けられていて、前記取り巻き凹所(8)が、前記力(F)に応じて変形されることによって解決される。
さらに、この課題は、請求項6の特徴に記載の:
蓋(3)と下部(4)とから構成されるプラスチック製ハウジング(2)内に電子部品(1)を固定するための方法であって、前記電子部品(1)が、前記下部(4)の縁部(7から突出し、前記蓋(3)が、その取付け後に、前記電子部品(1)に及ぼす力(F)が予め設定されていて、当該方法は、
a)前記ハウジング(2)を準備するステップと、
b)前記電子部品(1)を前記下部(4)内に入れるステップと、
c)前記蓋(3)を前記下部(4)上に載せるステップと、
d)前記蓋(3)と前記下部(4)とを結合するステップとを有する当該方法において、
前記蓋(3)が、その取り付け後にばねとして作用するように、前記蓋(3)には、前記電子部品(1)の側面の上部稜線に沿って、少なくとも1つの取り巻き凹所(8)が設けられていて、前記取り巻き凹所(8)が、前記力(F)に応じて変形されることによって解決される。
本発明の核心は、加えられる力が所定の力範囲内にあり、特に特定の最大力を超過しないようにするため、取付けられた状態で蓋が及ぼす力に対する電子部品の高さ公差の影響が相殺されるように、ハウジングの蓋が構成されていることである。それにより電子部品の機能を維持しながら、全寿命にわたって電子部品の製造費が低減される。
【0006】
本発明は、簡単な手段により特定の寸法公差で電子部品を全寿命にわたって確実に位置ぎめしかつ固定するのに適したハウジングを提供する。
【0007】
本発明によれば、この課題は請求項2の特徴に記載のハウジングによって解決される。有利なように蓋が電子部品に及ぼす力は、電子部品をハウジング内に固定するために少なくとも必要とされる最小の力と、電子部品の機能を保証するために超過してはならない最大の力との間にある。
【0008】
本発明によれば、高さ公差の相殺が、蓋の所定の弾性係数又は蓋の厚さの所定の輪郭により行われる。両方の特徴の組み合わせも考えられる。蓋、一般にはハウジングもなるべくポリアミドまたは他のポリマから成っている。蓋の弾性係数は特に3GPaと10GPaとの間の範囲にある。蓋の厚さは有利なように0.15mmと3.0mmの間で変動する。蓋の厚さが中央から外方へ縮小する輪郭を持つかその逆であることも考えられる。
【0009】
請求項によれば、蓋は特に平行な面、平面と凸又は凹な面と凸な面を持つことができる。電子部品の方へ湾曲する蓋の形状の利点は、それにより付加的な予荷重が得られることである。
【0010】
本発明によれば、蓋が所定伸び個所として役立つ凹所を持っている。
【0011】
ハウジングの蓋と下部との結合は、例えばねじ止め、溶接、接着又はかしめにより行うことができる。
【0012】
この課題は請求項の特徴に記載の方法によって解決される。
【0013】
この課題は請求項の特徴に記載の方法によって解決される。
【0014】
電子部品をハウジング内に固定する方法では、まず電子部品がハウジングの下部へ入れられる。続いて蓋が下部の上に載せられ、その際有利なように所定の力が制御されて蓋に及ぼされる。力に対する電子部品の高さ公差の影響は、加えられる力が力範囲内にあり、とりわけ所定の最大力を超過しないように、蓋の性質により相殺される力範囲は、特にハウジング内に固定するために少なくとも必要な最小の力と、電子部品の機能を保証するために超過してはならない最大の力との間にある。ハウジングの蓋と下部との結合は,例えばねじ止め、溶接、接着又はかしめによって行うことができる。
【0015】
下部の上へ載せる前に蓋を加熱できるのが好ましい。加熱は部分的に又は蓋の全面にわたって行うことができる。その際蓋の厚さにわたる温度推移は、均一でなくてもよい。蓋の加熱の際、塑性変形のための限界温度を超過しないようにする。加熱により蓋の材料が軟らかくなり、電子部品を押し、上の公差にある高さを持つ電子部品を、減少する力でハウジング下部の中へ押込み、それにより電子部品が損傷するのを防止する。
【0016】
本発明のそれ以外の利点及び特徴は、図面による本発明の実施例の以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】 取付け前の蓋を持つハウジング内の電子部品を示す。
図2】 取付けられた蓋を持つ図1と同様なハウジングを示す。
図3】 蓋に取巻き凹所を持つ図2のハウジングを示す。
図4】 上から見た図3のハウジングを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、ハウジング2の下部4内にある電子部品の例としてのセンサ1を示し、ハウジング2の蓋3はまだ取付けられていない。センサ1は下部4の縁7から突出している。従ってセンサ1の高さ寸法は、上の公差大きさにある。下部4の縁7には、特に円柱状の少なくとも2つのほぞ5が設けられている。蓋3は凹な面と凸な面の輪郭を持ち、蓋3の凸な部分はセンサ1の方を向いている。蓋3の外側範囲は、ほぞ5を受入れるために設けられた少なくとも2つの貫通口6を持っている。
【0019】
図2は、蓋3を取付けられたハウジング2内のセンサ1を示す。ハウジング2の蓋3と下部4との結合部は、なるべく外の周囲に対して密である。ほぞ5は蓋3の対応する貫通口6内に設けられ、かつかしめられている。蓋3は取付けにより変形している。以前は凹な面と凸な面であった輪郭は今や平行な面をなしている。蓋はばねのように作用する。それによりセンサ1の高さ公差に関係してセンサ1に加わる力Fの差は、蓋3の取付けの際少なくなる。蓋3が力を監視されて取付けられると、センサ1への一層大きい予荷重が得られる。それにより蓋の材料の老化による弛緩によって、力Fの減少が阻止される。
【0020】
蓋の輪郭は平面と凸面、平行な面又はメニスカスレンズであってもよい。その場合蓋の弾性作用は蓋3の形状寸法によって得られる。その代わりに弾性作用は、蓋の材料の弾性係数の選択によっても得られる。蓋の適当な形状寸法と材料の組合わせも考えられる。
【0021】
図3は、蓋3のセンサ側面に取巻き凹所8を持つハウジング2を示している。凹所8は大体においてセンサ1とほぞ5との間に延びている。しかし凹所8の形状及び位置は、異なっていてもよい。蓋3は1つ又は直線状になるべく平行に延びる複数の凹所8を持っていてもよい。U字状に延びる凹所8も考えられる。凹所8は蓋3のセンサ1とは反対側の面に設けることもできる。
【0022】
図4図3のハウジング2の平面図を示す。
【0023】
力Fを所定の力範囲Bに限定する別の図示しない可能性は、取付け前に蓋3を少なくとも部分的に加熱することである。その際蓋3は、材料または形状寸法に対する大きい要求のない標準蓋であってもよい。有利なように軟らかい蓋3により、力がセンサ1にわたって均一に分布される。特に蓋3によるセンサ1のはまり合い固定が可能である。この実施形態の別の利点は、蓋3をストッパ上に取付けることができ、即ち蓋3が取付けられた状態で下部4の縁7上に載ることである。力の費用がかかる監視は、加熱される蓋3の取付けの際なくすことができる。
【0024】
本発明は、前記の説明により、本発明の原理およびその実際の使用をできるだけよく説明するために説明された。しかし本発明は適当な変化で、もちろん他の多数の実施形態で実現される。
【符号の説明】
【0025】
1 センサ
2 ハウジング
3 ハウジングの蓋
4 ハウジングの下部
5 ほぞ
6 蓋にある貫通口
7 下部の縁
8 蓋にある凹所
F センサに加わる蓋の力
B 力Fの力範囲
図1
図2
図3
図4