(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5738558
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】フロントパネルモジュール、電子機器およびカラオケ装置
(51)【国際特許分類】
G11B 33/02 20060101AFI20150604BHJP
G10K 15/04 20060101ALI20150604BHJP
【FI】
G11B33/02 301A
G10K15/04 302D
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2010-197235(P2010-197235)
(22)【出願日】2010年9月3日
(65)【公開番号】特開2012-53962(P2012-53962A)
(43)【公開日】2012年3月15日
【審査請求日】2013年8月20日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390004710
【氏名又は名称】株式会社第一興商
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 力
(72)【発明者】
【氏名】松本 邦廣
(72)【発明者】
【氏名】小澤 二穂
(72)【発明者】
【氏名】中島 彰信
【審査官】
臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】
特開平03−292523(JP,A)
【文献】
特開平04−326417(JP,A)
【文献】
特開2002−023952(JP,A)
【文献】
米国特許第05233502(US,A)
【文献】
特開平08−062587(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 33/02
G10K 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定形状に成形されたフロントパネルと、
該フロントパネルの背面側に配置されたシャーシと、
該シャーシの前記フロントパネル側表面に配置されたメイン基板と、
該メイン基板に対して、着脱可能なコネクタもしくはコネクタケーブルのみを介して接続されるとともに、着脱可能に固定される機能モジュールと、
を備えたフロントパネルモジュールであって、
前記機能モジュールは、前記シャーシに固定され、前記フロントパネルには固定されておらず、
かつ該機能モジュールは、タッチセンサを含み、
前記フロントパネルモジュールを正面視した、前記タッチセンサの配置領域には、前記フロントパネルにタッチ部が配置され、
該タッチ部は、前記タッチセンサでタッチ操作を検出可能な材質で形成されている、フロントパネルモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のフロントパネルモジュールであって、
前記機能モジュールは液晶のタッチパネルモジュールを含み、
前記フロントパネルモジュールを正面視した、前記液晶のタッチパネルモジュールの配置領域には、前記フロントパネルに開口窓が形成されている、フロントパネルモジュール。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のフロントパネルモジュールを備えた電子機器。
【請求項4】
請求項3に記載の電子機器を備えたカラオケ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザからの各種操作入力を受け付ける操作入力手段を備えるとともに、表面が所定のデザインで成形されるフロントパネルモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
カラオケ装置に用いられるフロントパネルモジュールは、その使用用途から、選曲等の各種操作入力を受け付ける機能を備えるとともに、フロントパネルのデザインも一つの重要な要素となる。
【0003】
したがって、ユーザが歌唱中等に不注意でフロントパネルを破損した場合等には、交換を行う必要がある。
【0004】
また、現在、このようなフロントパネルモジュールでは、操作入力手段として、液晶のタッチパネルモジュールを用いているものもある。このように、液晶のタッチパネルモジュールを備えた場合には、フロントパネルの破損と同様に、タッチパネルモジュールのみを破損してしまうこともある。そして、この場合も、当然に交換が必要になる。
【0005】
このようなフロントパネルモジュールの交換方法としては、従来、特許文献1に示すように、フロントパネルモジュール全体を完全に交換する方法が用いられている。
【0006】
ここで、特許文献1に記載のフロントパネルモジュールは、液晶のタッチパネルモジュール単体で成り立っているが、従来のカラオケ装置のフロントパネルモジュールは、上述のように液晶のタッチパネルモジュールを含む全ての機能部が、フロントパネルの背面側に固定して実装されていた。
【0007】
したがって、従来のカラオケ装置のフロントパネルモジュールの場合でも同様に、フロントパネルモジュール全体を完全に交換する方法が用いられていた。もしくは、一旦、全ての部品が装着されたフロントパネルモジュールを取り外し、さらに故障部品を個別に取り外す作業を行わなければならなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−184582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のフロントパネルモジュールの交換方法を用いた場合、フロントパネルモジュール全体を交換するため、交換コストが高くなってしまう。特に、上述のように、比較的交換頻度が高いカラオケ装置のフロントパネルモジュールでは、保守にかかるコストが特に高くなってしまう。
【0010】
また、フロントパネルに全ての機能部が固定実装されているので、部品単体、例えば、液晶のタッチパネルモジュールのみを交換しようとすると、手数をかけてフロントパネルモジュールを分解した後に、液晶のタッチパネルモジュールを取り替え、さらに組み立てなければならず、交換の部品コストは抑えられるものの、交換作業の負荷が増え、結果的に保守にかかるコストが高くなってしまう。
【0011】
したがって、本発明の目的は、保守に係るコストを低減でき、交換が容易な構造のフロントパネルモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、フロントパネルモジュールの機構に関する。このフロントパネルモジュールは、所定形状に成形されたフロントパネルと、該フロントパネルの背面側に配置されたシャーシと、を備える。さらに、このフロントパネルモジュールは、シャーシのフロントパネル側表面に配置されたメイン基板と、該メイン基板に対して着脱可能なコネクタもしくはコネクタケーブルのみを介して接続されるとともに、着脱可能に固定された機能モジュールと、を備える。
【0013】
この構成では、フロントパネルと機能モジュールとが一体化されておらず、そそれぞれを個別で、容易に交換することが可能である。
【0014】
また、この発明のフロントパネルモジュールでは、機能モジュールは液晶のタッチパネルモジュールであり、フロントパネルモジュールを正面視した液晶のタッチパネルモジュールの配置領域には、フロントパネルに開口窓が形成されている。
【0015】
この構成では、機能モジュールの具体例として、液晶のタッチパネルモジュールを用いた場合を示している。このような液晶のタッチパネルモジュールの場合、ユーザからの操作入力を受け付けるには、表面がフロントパネルから露出する必要がある。このため、フロントパネルには開口窓が設けてある。そして、このような構成の場合、液晶のタッチパネルモジュールは、フロントパネルの表面に近い領域に配置されることになるが、このような場合であっても、液晶のタッチパネルモジュールを背面のシャーシ側に固定することで、それぞれを個別で、容易に交換することが可能になる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、フロントパネルモジュールのフロントパネルや機能モジュールが個別に破損、故障しても、それぞれを個別で、容易に交換することができる。これにより、保守コストを抑えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係るフロントパネルモジュール1の正面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るフロントパネルモジュール1の背面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るフロントパネルモジュール1の上面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るフロントパネルモジュール1の下面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るフロントパネルモジュール1の右側面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るフロントパネルモジュール1の左側面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るフロントパネル10の三面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係るメインモジュール20の構造を示す三面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態に係るカラオケ装置のフロントパネルモジュールについて、図を参照して説明する。なお、本実施形態では、カラオケ装置のメインモジュールを備える本体と、主にユーザインターフェースおよび電飾を備えるフロントパネルモジュールとが、一体化されていない構造の場合を例に示すが、フロントパネルモジュールのメインモジュールが本体表面に実装されるような構造であっても、本実施形態の構成を適用することができる。
【0019】
図1は本実施形態に係るフロントパネルモジュールの正面図である。
図2は本実施形態に係るフロントパネルモジュール1の背面図である。
図3は本実施形態に係るフロントパネルモジュール1の上面図である。
図4は本実施形態に係るフロントパネルモジュール1の下面図である。
図5は本実施形態に係るフロントパネルモジュール1の右側面図である。
図6は本実施形態に係るフロントパネルモジュール1の左側面図である。
【0020】
カラオケ装置は、
図1に示すようなフロントパネルモジュール1と、図示しない本体筐体に備えられた本体モジュールとを備える。フロントパネルモジュール1と本体モジュールとは、フロントパネルモジュール1の背面に形成されたコネクタ端子23と、本体モジュールに形成されたコネクタ端子とを、コネクタケーブルで接続することにより、電気的に接続される。フロントパネルモジュール1がユーザから受け付けた操作入力情報は、このコネクタケーブルを介して本体モジュールへ伝送される。本体モジュールは、この操作入力情報に基づいて、歌唱曲の再生等の処理を実行する。
【0021】
フロントパネルモジュール1は、フロントパネル10と、メインモジュール20とから構成される。
図7は本実施形態に係るフロントパネル10の三面図であり、正面図、背面図および側面図からなる。
図8は、本実施形態に係るメインモジュール20の構造を示す三面図であり、同様に正面図、背面図および側面図からなる。
【0022】
フロントパネル10は、
図2に示すように、樹脂成形された複数の部材により形成される。フロントパネル10は、上下方向に沿って三種の領域に分けられており、上部領域がタッチ入力領域、中間領域がボリューム操作入力領域、下部領域が電源操作入力およびリモコン信号受信領域となるように、形状および素材が選択されている。
【0023】
フロントパネル10の上部領域の幅方向の中央には、後述の液晶のタッチパネルモジュール30の表示画面が嵌り込む大きさの開口窓11が形成されている。開口窓11に対する幅方向の両側には、タッチ部12が形成されている。当該タッチ部12は、フロントパネル10の背面側に配置されるメインモジュール20のタッチセンサモジュール40A,40Bによって、ユーザによるタッチ部12の操作を検知できる材質で形成されている。
【0024】
フロントパネル10の中間領域には、正面側に突出する複数のボリューム操作子13が設置されている。当該ボリューム操作子13は、フロントパネル10の背面に実装されたボリューム操作検知用基板に対して機構的に接続している。このボリューム操作検知用基板は、少ない回路素子群からなる簡素な回路構成のものであり、着脱可能なコネクタケーブルによって、メインモジュール20のメイン基板22へ接続している。
【0025】
また、フロントパネル10の中間領域は、リモコン信号を透過可能な素材により形成されている。例えば、赤外線リモコンであれば、赤外線を透過する素材により形成されている。
【0026】
フロントパネル10の下部領域には、電源スイッチ14が設置されている。電源スイッチ14は、メインモジュールに20に実装されたタクトスイッチ56に対して正面視して重り、タクトスイッチの表面を覆うカバー部材から構成される。
フロントパネル10は、上述のような表面側構造とともに、当該表面壁から垂直に延びる側壁を備える。これにより、フロントパネル10の背面側には、表面壁と四側壁とにより囲まれるスペースが存在する。
【0027】
このようなフロントパネル10の背面側のスペースには、
図1に示すように、メインモジュール20が配置される。
【0028】
メインモジュール20は、
図3に示すように、シャーシ21、メイン基板22、液晶のタッチパネルモジュール30、タッチセンサモジュール40A,40B、赤外線センサ50、スピーカ55、およびタクトスイッチ56を備える。
【0029】
シャーシ21は、金属等の剛性の高い材質からなり、フロントパネル10の背面側の所定位置に複数のネジ止めのみにより固定される。
【0030】
シャーシ21の表面すなわちフロントパネル10側の面には、メイン基板22が配設されている。メイン基板22には、図示しないが、タッチパネルモジュール30、タッチセンサモジュール40A,40B、赤外線センサ50で取得した操作入力内容を解析して、上述のように操作入力情報として、本体モジュールへ出力する回路機能を備えている。
【0031】
メイン基板22の表面には、タッチパネルモジュール30およびタッチセンサモジュール40A,40Bが実装されている。
【0032】
タッチパネルモジュール30は、シャーシ21の幅方向の略中央で上側の領域に設置される。すなわち、上述したフロントパネル10の開口窓11と、タッチパネルモジュール30の表示画面とが略一致するように設置されている。タッチパネルモジュール30は、単体でモジュール機能を有するものであり、メイン基板22とは、コネクタケーブル60のみによって、電気的に接続されている。
【0033】
また、タッチパネルモジュール30は、着脱容易なモジュール固定枠31に嵌め込まれており、当該モジュール固定枠31をシャーシ21にネジ止めすることで、シャーシ21に対して着脱可能に固定されている。
【0034】
タッチパネルモジュール30の幅方向の両側には、それぞれタッチセンサモジュール40A,40Bが設置されている。この位置は、フロントパネルモジュール1を正面視した場合における上述のフロントパネル10のタッチ部12の背面側に対応する。これにより、タッチセンサモジュール40A,40Bは、タッチ部12への操作を検出することができる。
【0035】
また、タッチセンサモジュール40Aには赤外線センサ50が実装されている。
【0036】
タッチセンサモジュール40A,40Bは、背面側にコネクタ端子を備えており、メイン基板22に設置されたコネクタ端子と嵌合させることで、メイン基板22と電気的に接続するとともに、メイン基板22およびシャーシ21に機構的に固定される。なお、この際、タッチセンサモジュール40A,40Bは、複数のネジ止めによる簡素な固定により、さらにシャーシ21に対する固定状態を安定化させることもできる。
【0037】
スピーカ55およびタクトスイッチ56は、シャーシ21の下部領域、すなわち、フロントパネルモジュール1を正面視して、フロントパネル10の下部領域に対応する位置に実装されている。
【0038】
以上のような構成とすることで、メインモジュール20とフロントパネル10とを、容易に分離できる。したがって、フロントパネル10が破損した場合に、フロントパネル10のみを取り外して交換すれば良く、フロントパネルモジュール1全体を交換する必要はない。これにより、交換コストを抑えることができる。
【0039】
また、タッチパネルモジュール30は、フロントパネル10に固定されておらず、メイン基板22に対しても、コネクタケーブル60およびモジュール固定枠31で着脱可能に固定されているので、タッチパネルモジュール30も、他の回路機能部から、容易に分離できる。したがって、タッチパネルモジュール30が破損した場合には、タッチパネルモジュール30のみを容易に交換することができる。これによっても、交換コストを抑えることができる。
【0040】
また、同様に、タッチセンサモジュール40A,40Bも、容易に他の回路機能部から分離して交換することができる。
【0041】
なお、電源スイッチやボリュームは、フロントパネル10に固定されているが、回路が簡素であり安価であるので、予めフロントパネル10の一部として扱っても、交換コストに大きな影響を与えない。したがって、これら電源スイッチやボリュームが故障した場合は、フロントパネル10の一部として交換を行えばよい。このように交換コストが安価なものは、若干数程度であればフロントパネル10に固定していても、本願の効果を損なうことが殆どないので、フロントパネル10に固定することも可能である。
【0042】
もちろん、これら電源スイッチやボリュームは、フロントパネル10に対して簡素なネジ止めにより固定されており、交換は容易であるので、フロントパネル10取り外し作業に伴って、簡単に交換を行うことができる。これにより、さらに交換コストを抑えることも可能である。
【0043】
また、これら電源スイッチやボリュームも、フロントパネル10に固定せずに、メインモジュール20へ固定しても良い。この場合、フロントパネル10には、これら電源スイッチやボリュームが外部へ露出するための開口窓を設ければよい。
【0044】
以上のように、本実施形態の構成を用いることで、保守コストを抑えたカラオケ装置を実現することができる。
【0045】
なお、上述の説明では、カラオケ装置を例に説明したが、フロントパネルの破損や液晶のタッチパネルモジュールの破損等が起こりやすい他の電子機器に対しても、上述の構成を適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1−フロントパネルモジュール、10−フロントパネル、11−開口窓、12−タッチ部、13−ボリューム操作子、14−電源スイッチ、20−メインモジュール、21−シャーシ、22−メイン基板、23−コネクタ端子、30−タッチパネルモジュール、31−モジュール固定枠、40A,40B−タッチセンサモジュール、50−赤外線センサ、55−スピーカ、56−タクトスイッチ、60−コネクタケーブル