【実施例】
【0040】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0041】
実施例1 本発明に係るバクテリオシン産生菌の同定
(1) 本発明に係るバクテリオシン産生菌の単離
赤カブの浅漬試作品の保存中における細菌の有無を確認するために、調味液試料を適宜希釈し、MRS寒天培地(MRS+1.2w/v%agar,Difco社製)を用い、30℃で48時間培養した。その結果、培地にはクリアゾーンが確認された。このクリアゾーンの中心には菌が生育していたことから、その菌がバクテリオシンを産生しているのではと考え、先ずは当該菌の単離を試みた。具体的には、上記MRS寒天培地から、クリアゾーンに生育している4菌株をMRS液体培地へ植菌し、30℃で48時間培養した。次いで、各菌株を顕微鏡観察し、培地のpHを測定し、また、ガス発生の有無とカタラーゼ反応の有無を調べた。顕微鏡観察の結果、4菌株は全て球菌であった。その他の結果を表3に示す。
【0042】
【表3】
【0043】
上記結果のとおり、4菌株は全て球菌であり、また、培地pHを低下させ、カタラーゼ反応を示さず、且つガスを発生していることから、4菌株ともヘテロ乳酸菌である可能性が高いと判断された。
【0044】
(2) 本発明に係るバクテリオシン産生菌の同定1
InstaGene Matrix(BIO RAD社製)を用い、上記菌株1のゲノムDNAを抽出した。得られたDNAを鋳型とし、PCRにより16SrDNAを増幅した。増幅された16SrDNAを精製し、ABI PRISM 3130 xl Genetic Analyzer System(Applied Biosystems社製)によりその塩基配列を解析した。塩基配列を、配列番号1(SEQ ID NO:1)に示す。
【0045】
DNA塩基配列データベースアポロンDB−BA4.0(テクノスルガ・ラボ)と国際塩基配列データベース(GenBank/DDBJ/EMBL)により、得られた16SrDNAの塩基配列と既知菌株の16SrDNA塩基配列との相同性を解析したところ、乳酸菌であるLeuconostoc mesenteroides subsp. dextranicum NRIC 1539株と100%、Leuconostoc mesenteroides subsp. mesenteroides NCDO 523株と100%、Leuconostoc mesenteroides subsp. cremoris NCDO 543株と99.9%の相同性が見られたことから、上記菌株1はLeuconostoc mesenteroidesに属すると決定した。
【0046】
(3) 本発明に係るバクテリオシン産生菌の同定2
API 50 CHL kit(bioMerieux社製,フランス)を用いて、上記菌株1〜4の糖類資化性試験を行った。本キット付属のマニュアルに従い、24時間および48時間経過後に、糖類資化性試験の結果を記録した。その結果、上記菌株1〜4の糖類資化性は全て同一であった。具体的な結果を表4に示す。
【0047】
【表4】
【0048】
上記の糖類資化性試験の結果をAPILAB Plusソフトウェアで解析したところ、Leuconostoc mesenteroides subsp. mesenteroides/dextranicum2と99.9%の相同性が見られた。以上の結果より、上記菌株1〜4は全て同じ菌であり、また、Leuconostoc mesenteroidesに属すると決定した。なお、上記菌株1は、(独)製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センターに、菌株名:Leuconostoc mesenteroides TK41401で寄託した。
【0049】
実施例2 本発明に係るバクテリオシン産生菌の抗菌活性の確認
上記菌株1を、市販のMRS液体培地(Difco社製)にて、30℃で24時間培養した。培養後、4℃、12000rpmで10分間遠心分離することにより、培養液の上清を得た。得られた上清を、孔径0.45μmのメンブランフィルター(ADVANTEC社製,DISMIC−25cs)を用いてフィルター滅菌した。
【0050】
上記上清を用い、Spot−on−lawn法で抗菌活性試験を行った。はじめに、上記MRS液体培地に1.2w/v%の割合で寒天を加えたMRS寒天培地のプレートを調製した。次に、表5に示す組成を有するLactobacilli Agar AOAC(Difco社製)の48.0g/L水溶液を試験管に5mLずつ分注し、加熱溶解後、その温度を55℃に調節した。表6に示す検定菌をMRS液体培地または表7に示す組成を有するTSB培地(Difco社製)で培養した後、上記水溶液に1v/v%接種し、上記MRS寒天液体培地に重層した。
【0051】
【表5】
【0052】
【表6】
【0053】
【表7】
【0054】
重層した寒天培地が固化した後、55℃に設定した恒温槽で15分間乾燥させた。上記の菌株1の液体培養液上清を、0.1w/w%ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(ナカライテスク社製,Tween80)を含む滅菌蒸留水で2倍段階希釈し、その10μLを寒天培地上に滴下した。滴下した試料液が乾燥した後、表6に示す検定菌の最適培養温度で18時間培養し、検定菌の生育阻止円が形成される最大希釈液を求めた。抗菌活性(AU/mL)は下記に示す式によって算出した。
抗菌活性(AU/mL)=2n(AU)/0.01(mL)
[式中、AU:arbitrary unit,n:希釈倍数]
【0055】
この方法では、抗菌活性が強いほど阻止円を形成する最大希釈倍数が大きくなるため、抗菌活性値が大きくなる。結果を表8に示す。
【0056】
【表8】
【0057】
上記結果のとおり、本発明に係るバクテリオシン産生菌は、グラム陰性菌であるE.coliなどには効果を示さないが、浅漬の変敗菌であるLactobacillus属乳酸菌を含むグラム陽性菌に対して広い抗菌活性を示すことが分かった。
【0058】
実施例3 本発明に係るバクテリオシンの性質の検討
(1) プロテアーゼ感受性
上記実施例2で得た培養液上清試料を用いて、本発明に係るバクテリオシンのプロテアーゼ感受性を試験した。プロテアーゼとしては、プロテアーゼK(Sigma社製,0.6unit/mg)を用いた。まず、50mM酢酸ナトリウム(pH7.5)を調製し、ここへ3mg/mlの濃度で上記酵素を溶解することにより酵素溶液を得た。当該酵素溶液に培養液上清を酵素溶液:培養液上清=3:7(v:v)の割合で混合し、37℃で15時間処理した。次いで、100℃で5分間の熱処理を行い、酵素を失活させた。これを用いて残存活性の測定を行った。測定は、検定菌としてLactobacillus sakei subsp. sakei JCM 1157とEnterococcus faecalis JCM 20050を用い、spot−on−lawn法によって測定した。また、コントロールとして50mM酢酸ナトリウム溶液:培養液上清を3:7(v:v)で混合し、且つ酵素処理しなかったものにつき、同様の測定を行った。結果を
図1に示す。
【0059】
図1のとおり、本発明に係る菌株1の上清は、プロテアーゼで処理することで抗菌活性を失った。よって、本発明に係る抗菌成分は、ペプチドであるバクテリオシンであることが明らかとなった。
【0060】
(2) pH安定性
本発明に係るバクテリオシンのpH安定性について検討した。上記実施例2で得た培養液上清試料のpHを、1M水酸化ナトリウム水溶液または1M塩酸により2.0から12.0まで調整した。pH調整後、37℃で1時間処理し、処理後に全てのサンプルのpHを6.0に調整した。得られた上清試料の抗菌活性を、検定菌としてLactococcus lactis subsp. lactis JCM 5805株を使用し、spot−on−lawn法によって測定した。pH4.5での抗菌活性を基準とし、各pHでの抗菌活性を相対値として算出した。また、バクテリオシンであるナイシンを産生するLactococcus lactis subsp.lactis NBRC 12007株を用い、同様の実験を行った。結果を
図2に示す。
【0061】
図2のとおり、本発明に係るバクテリオシンは、既知のバクテリオシンであるナイシンに比して、塩基性pH環境下でも抗菌活性を維持できることが分かった。
【0062】
(3) 熱安定性
本発明に係るバクテリオシンの熱安定性について検討した。上記実施例2で得た培養液上清試料を、80℃で10分間、80℃で30分間、100℃で10分間、100℃で30分間、または121℃で15分間、熱処理した。次いで、検定菌としてLactococcus lactis subsp. lactis JCM 5805株を使用し、spot−on−lawn法によって、各熱処理後上清の抗菌活性を測定した。熱処理を実施しない対照区の抗菌活性を基準とし、各熱処理条件での抗菌活性を相対値として算出した。結果を
図3に示す。
【0063】
図3のとおり、本発明に係るバクテリオシンは、既知のバクテリオシンであるナイシンに比して、熱安定性により優れることが明らかとなった。
【0064】
実施例4 本発明に係るバクテリオシンの同定
(1) バクテリオシンの精製
上記菌株1(Leuconostoc mesenteroides TK41401)をMRS液体培地(Difco社製,1000mL)にて30℃で24時間培養した。培養後、培地のpHを1M塩酸で3.0に調整し、次いで、4℃、12000rpmで10分間遠心分離することにより培養液上清を得た。
【0065】
得られた培養液上清を、陽イオン交換クロマトグラフィーに供した。具体的には、SP−Sepharose fast flow(GEヘルスケア社製)を、エコノカラム(BIO−RAD社製,Φ1.0×10cm)に充填し、送液はMicro tube pump MP3(東京理化社製)を用いて行った。充填したSP−Sepharoseを50mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH3.0,以下、「緩衝液A」という)100mLで平衡化した後、上記上清を負荷した。次いで、緩衝液A(100mL)で洗浄した。その後、1M塩化ナトリウムを含む緩衝液A(50mL)で活性画分を溶出し、分取した。次に、疎水性相互作用クロマトグラフィーを行うため、終濃度が1Mになるよう硫酸アンモニウムを活性画分に添加した。
【0066】
疎水性相互作用クロマトグラフィーの担体としては、エコノカラム(BIO−RAD社製,Φ1.0×5.0cm)に充填したOctyl−Sepharose CL−4B(GEヘルスケア社製)を使用した。Octyl−Sepharoseを、50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH5.6,以下、「緩衝液B」という)で洗浄した。1M硫酸アンモニウムを含む緩衝液B(100mL)でゲルを平衡化し、1M硫酸アンモニウムを溶解した上記活性画分を負荷した。次に、緩衝液B(50mL)で洗浄し、70v/v%エタノールを含む緩衝液Bで活性画分を溶出した。
【0067】
次に、得られた活性画分を逆相高速液体クロマトグラフィー(Reversed−phase high−performance liquid chromatography;RP−HPLC)に供した。カラムとしてはResource RPC(GEヘルスケア社製,3mL)を使用し、溶離液としては、0.1v/w%TFAを含むMilliQ水(以下、「C液」という)と0.1v/w%TFAを含むアセトニトリル(関東化学社製,HPLC用)溶液(以下、「D液」という)の混合液を用いた。表9に示すC液とD液の濃度勾配により溶出し、フラクションコレクター(東京理化社製,SF2100)にて活性画分を分取した。
【0068】
【表9】
【0069】
(2) バクテリオシンの分子量の測定
活性画分に含まれるバクテリオシンの分子量を、electrospray ionization法により測定した。具体的には、ESI−TOF/MS測定装置(日本分光社製,JMS−T100LC AccuTOF)を用い、0.1v/w%TFAを含むアセトニトリル溶液を0.2ml/minで送液しながら、活性画分試料を3μL注入し、分子量を測定した。その結果、活性画分に含まれるバクテリオシンの分子量は、6116.60であることが明らかとなった。既知のバクテリオシンで分子量が6116.60のものは報告されていないことから、本発明に係るバクテリオシンは新規なものであることが示唆された。
【0070】
実施例5 本発明に係るバクテリオシンの構造解析
(1) アミノ酸配列の一部の決定
上記実施例4(1)で精製されたバクテリオシンのアミノ酸配列を、プロテインシーケンサーにより決定しようとしたが、シーケンス反応は全く進行しなかった。
【0071】
シーケンス反応が進行しなかった原因として、両末端アミノ酸同士が結合した環状構造を有する可能性を考え、バクテリオシンをBNPS−スカトール処理してから構造解析を行った。即ち、BNPS−スカトール処理によりトリプトファン残基のC末端を特異的に切断した後、得られたペプチド断片を上記実施例4(1)と同様の条件の逆相高速液体クロマトグラフィーにより精製した。得られたペプチド断片の分子量を上記実施例4(2)と同様の条件で分子量を測定したところ、2437.24であった。当該ペプチド断片のアミノ酸配列をプロテインシーケンサーにより決定したところ、配列番号2(SEQ ID NO.2)の38から61番目に相当する部分であった。
【0072】
(2) バクテリオシンのアミノ酸配列の決定
上記実施例5(1)で決定されたアミノ酸配列の情報を基にして、本発明に係るバクテリオシンのアミノ酸配列を、degenerate nested anchor PCRとInverse PCRにより決定した。
【0073】
具体的には、上記実施例1で単離したTK41401株の全ゲノムDNAを、表10に示す条件に従って、制限酵素BamHI、EcoRI、MboI、SacIまたはXbaIにより断片化した。反応温度は37℃、反応時間は一晩とし、また、制限酵素とバッファーは、ニッポンジーン社製のものを使用した。得られたDNA断片の中から上記実施例5(1)のアミノ酸配列をコードする遺伝子(以下、「構造遺伝子」という)を含む断片を選択し、ライゲーション試薬(東洋紡績社製,ligation high)を用いてpUC18ベクターにライゲーションした。なお、当該ライゲーション試薬の使用方法は説明書に従った。
【0074】
【表10】
【0075】
上記ライゲーションベクターを鋳型にし、上記構造遺伝子の末端配列を基に構築したプライマー(塩基配列を表11に示す)と、ベクター由来のMup−13プライマー(塩基配列を表12に示す)を用いてPCRを行い、上記構造遺伝子を含み、さらに下流の上記断片を含むPCR産物を得た。PCRの反応条件を表13に、反応液の組成を表14に示す。
【0076】
【表11】
【0077】
【表12】
【0078】
【表13】
【0079】
【表14】
【0080】
また、上記と同様の反応条件および反応液組成で、得られたPCR産物を鋳型として、同じく上記構造遺伝子の末端配列を基に構築したプライマー(塩基配列を表15に示す)と、ベクター由来のS−M−13プライマー(塩基配列を表16に示す)を用い、PCRを行った。得られたPCR産物の塩基配列を解析することにより、上記構造遺伝子と、その先の下流領域の配列を決定した。
【0081】
【表15】
【0082】
【表16】
【0083】
さらに、得られた塩基配列を基にしてInverse PCRを行い、上記構造遺伝子の完全な遺伝子配列を決定した。より詳しくは、上記表10に示した条件に従って、TK41401株の全ゲノムDNAを、制限酵素DdeI、DraI、DpnI、KpnIまたはSacIにより断片化し、上記構造遺伝子を含む断片をセルフライゲーションさせた。上記degenerate nested anchor PCRにより得られた上記構造遺伝子の塩基配列情報から、当該塩基配列に対応するフォワードプライマーとリバースプライマーを構築し、セルフライゲーションさせた環状DNAを鋳型としてPCRを行った。使用したプライマーの塩基配列を表17に、PCRの反応条件を表18に、反応液の組成を表19に示す。
【0084】
【表17】
【0085】
【表18】
【0086】
【表19】
【0087】
得られたPCR産物の塩基配列を解析することにより、上記構造遺伝子の完全な遺伝子配列を決定した。さらに、得られた遺伝子配列情報から、本発明に係るバクテリオシンのアミノ酸配列を決定した。当該アミノ酸配列を、配列番号2(SEQ ID NO.2)として示す。また、上記実施例5(1)のとおり、本発明に係るバクテリオシンは断片化しなければ全くシーケンス反応が進行しなかったことと、配列番号2のペプチドの分子量から環状化するための脱水反応分の18を引いた値が6115.13であり、この理論値と実施例4(2)の実測値である6116.60がほぼ一致したことから、本発明に係るバクテリオシンは末端のロイシンとトリプトファンが結合した環状ペプチドであることが強く示唆された。
【0088】
実施例6 本発明に係るバクテリオシンの構造解析
本発明に係るバクテリオシンの酵素に対する安定性を試験することにより、その構造を検討した。具体的には、本発明に係るバクテリオシンを、ペプシン、α−キモトリプシン、トリプシン、カルボキシエンドペプチダーゼ、ライシルエンドペプチダーゼ、アスパラギンNペプチダーゼ、プロテアーゼKまたはV8−プロテアーゼで処理した上で、Lactobacillus sakei subsp. sakei JCM 1157を検定菌とし、37℃で4時間インキュベートした。
【0089】
その結果、ヒトの消化酵素であるペプシンとα−キモトリプシン、および切断箇所の特異性が低く且つペプチド切断能力の高いプロテアーゼKで処理した場合には、抗菌活性が見られず、本発明に係るバクテリオシンが分解されていた。その他の酵素で処理した場合には抗菌活性は維持されており、バクテリオシンは分解されていないことが分かった。特に、ペプチドのC末端から切断するカルボキシエンドペプチダーゼでも分解されていないことから、本発明に係るバクテリオシンはC末端を有しない、即ち末端が結合されている環状構造であることが明らかとなった。
図4に、本発明に係るバクテリオシンの一次構造を示す。
【0090】
実施例7 本発明に係る環状バクテリオシンを用いた浅漬の製造
(1) バクテリオシン溶液の調製
培養液として、酵母エキス(BD社製)2.0w/v%、ブドウ糖1.0w/v%、酢酸ナトリウム0.2w/v%、クエン酸三ナトリウム0.5w/v%、リン酸水素二カリウム0.2w/v%を含む溶液を調製した。当該培養液(10mL)に、Leuconostoc mesenteroides TK41401を植菌し、30℃で24時間培養した。培養後、4℃、12000rpmで10分間遠心分離することにより培養液上清を得た。得られた培養液上清を、孔径0.45μmのメンブランフィルター(ADVANTEC社製,DISMIC−25 cs)でフィルター滅菌した。
【0091】
(2) 浅漬の製造
適度に切断した白菜100質量部に対して45質量部の10w/w%食塩水を加え、これらと同質量の荷重を負荷することにより、24時間下漬した。次いで、下漬された白菜を水切りした。別途、2.2w/w%食塩、1.0w/w%グルタミン酸ナトリウム、0.4w/w%グリシン、および1.0w/w%エタノールを含む浅漬調味液を調製した。得られた下漬白菜(40g)に浅漬調味液(40g)を加えて浅漬を製造した。その際、浅漬に対する濃度が1w/w%または2w/w%になるように上記培養液上清試料を添加した区(以下、それぞれ「1%添加区」と「2%添加区」という)、ナイシン(Sigma社製)を200IU(5ppm)添加した区(以下、「ナイシン添加区」という)および何も添加していない浅漬(以下、「コントロール区」という)の4区分のサンプルを作製した。
【0092】
これらを10℃で保存し、実験開始時、および実験開始から2日後、5日後、7日後および9日後に、pHの測定、酸度の測定、一般生菌数の測定、官能評価を実施した。官能評価は、試料を成人男性2名、成人女性1名に食べてもらい、試験開始直後の試料と食味が変わらない場合またはかえって食味が改善されている場合を5点、試験開始直後の試料より劣化してはいるが商品価値があるものを3点、到底食べられる状態ではないものを1点とし、5段階で評価を行った。結果を表20に示す。
【0093】
【表20】
【0094】
上記結果のとおり、コントロール区ではpHの低下と酸度の上昇が見られたが、本発明に係るTK41401株の培養上清を添加した場合、それらが抑制されていることが示された。官能評価においても、コントロール区では9日間の保存により商品価値が無いほどの食味の低下が見られ、TK41401株の培養上清を1v/w%添加した場合でも食味の低下が見られたが、2v/w%添加した場合には、ナイシンと同程度に、賞味期間を延長できることが示された。よって、本発明に係る環状バクテリオシンは、実際に食品のペプチド系保存料として用いられているナイシンと比較しても遜色ない抗菌活性を有することが証明された。