特許第5738573号(P5738573)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5738573
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】ベアリングを備えたウォータポンプ
(51)【国際特許分類】
   F01P 5/10 20060101AFI20150604BHJP
【FI】
   F01P5/10 B
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2010-238571(P2010-238571)
(22)【出願日】2010年10月25日
(65)【公開番号】特開2011-106447(P2011-106447A)
(43)【公開日】2011年6月2日
【審査請求日】2013年10月21日
(31)【優先権主張番号】10-2009-0112243
(32)【優先日】2009年11月19日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】510145439
【氏名又は名称】明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 承 ヨン
(72)【発明者】
【氏名】金 圭 煥
(72)【発明者】
【氏名】金 允 錫
(72)【発明者】
【氏名】朴 庸 善
(72)【発明者】
【氏名】李 鳳 相
(72)【発明者】
【氏名】呉 泰 星
(72)【発明者】
【氏名】金 敬 煥
(72)【発明者】
【氏名】李 正 勳
(72)【発明者】
【氏名】李 グァン 鎬
【審査官】 川口 真一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−072295(JP,A)
【文献】 実開平07−029327(JP,U)
【文献】 特開平05−099224(JP,A)
【文献】 実開昭56−081222(JP,U)
【文献】 特開2006−153109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01P 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する駆動軸と、
前記駆動軸の外周面一側に装着された半円弧形状の第1ベアリングと、
前記駆動軸の外周面他側に装着され、前記第1ベアリングに締結された半円弧形状の第2ベアリングと、
前記駆動軸が第1ベアリングと前記第2ベアリングで回転可能に、前記第1ベアリングと前記第2ベアリングを支持するハウジングと、を含み、
前記駆動軸の外周面に沿って装着溝が形成され、前記第1ベアリングと第2ベアリングそれぞれの内周面が、前記装着溝の外周面にスライドするように密着し、前記第1ベアリングと第2ベアリングそれぞれのベアリング側面が、装着溝の溝内側面に密着し、
前記第1ベアリングと第2ベアリングそれぞれの外周面が、前記駆動軸の外周面から設定された高さだけ突出し、
前記ハウジングの一側は、前記第1ベアリングと第2ベアリングの前記駆動軸の外周面から前記突出したそれぞれの側面および外周面に密着して前記第1ベアリングと第2ベアリングそれぞれを支持することを特徴とするベアリングを備えたウォータポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベアリングを備えたウォータポンプに関し、より詳しくは、電気で作動されて冷却水を円滑に循環させるベアリングを備えたウォータポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にエンジンには、部品が正常に作動できるように高熱から保護するクーリングシステムが必要である。クーリングシステムは、ウォータージャケット、サーモスタット、ウォータポンプ、ラジエータ、キャップ、ファン、ファンベルトおよび冷却水ホースを主構成部としている。そして、ウォータポンプは、それ自体に駆動力を有せず、エンジンのクランクシャフトの運動エネルギーが伝達されて作動するものが一般的である。
【0003】
従って、エンジンが始動されるとウォータポンプは作動し、エンジンの冷却水温や運転条件に関係なく冷却水をエンジン内部またはラジエータを循環させることになる。
一方、排気ガスの浄化効率を向上させるためには、排気ガスの温度が適正な高温(例えば、250℃)にならなければならないが、エンジンがウォームアップ(warm up)される前に冷却水が強制的に循環することで、排気ガスの温度を所定値に迄上げるのに時間を要することとなり、排気ガスの浄化といった面からは好ましくない。
【0004】
そこで、最近ではエンジンを迅速にウォームアップ(warm up)させ燃料の消耗を少く抑えるためにモータ駆動式ウォータポンプが装着されているものがある〔例えば、特許文献1参照〕。ウォータポンプを駆動するモータの駆動軸には、ベアリングが装着されており〔例えば、特許文献2、特許文献3参照〕、ベアリングは、組立性、耐久性、および水密性が良好でなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−142484号公報
【特許文献2】特開2002−349481号公報
【特許文献3】特開2003−065296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、発明された本発明の目的は、組立てが容易であり、耐久性のある堅固な構造を有し、かつ水密性が良好なベアリングを備えたウォータポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべき本発明によるベアリングを備えたウォータポンプは、回転する駆動軸と、駆動軸の外周面一側に装着された半円弧形状の第1ベアリングと、駆動軸の外周面他側に装着され、第1ベアリングに締結された半円弧形状の第2ベアリングと、駆動軸が第1ベアリングと第2ベアリングで回転可能に、第1ベアリングと第2ベアリングを支持するハウジングとを含んで構成されている。
【0008】
さらに、好ましい形態では、以下の構成になっている。
駆動軸の外周面に沿って装着溝が形成され、第1ベアリングと第2ベアリングの内周面が、装着溝の外周面にスライドするように密着する。
第1ベアリングと第2ベアリングそれぞれの外周面は、駆動軸の外周面から設定された高さだけ突出する。
ハウジングの一側は、第1ベアリングと第2ベアリングの側面および外周面に密着して第1ベアリングと第2ベアリングを支持する。
駆動軸は、中空のパイプ構造である。
第1ベアリングと第2ベアリングの内周面は、駆動軸の外周面に装着され、駆動軸の外周面には、第1ベアリングと第2ベアリングを駆動軸の長さ方向に支持するリブが第1ベアリングと第2ベアリングの両側に突出して形成または装着される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によるベアリングを備えたウォータポンプによれば、二つの半円弧形状の第1ベアリングと第2ベアリングを駆動軸に装着することによって組立性が向上し、駆動軸に装着溝を形成してベアリングと駆動軸との間に堅固さが向上する。
また、ベアリング側面および内周面が駆動軸の装着溝の内側面および外周面にそれぞれ密着し、その外周面および側面がハウジングに堅固に密着固定されることによって水密性および耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態によるウォータポンプの斜視図である。
図2】本発明のウォータポンプの断面図である。
図3】本発明のウォータポンプの一部分解斜視図である。
図4】本発明のウォータポンプの一部分解側面図である。
図5】本発明の別の実施形態によるウォータポンプの一部分解断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態を添付した図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一つの実施形態であるウォータポンプの斜視図である。図1を参照すれば、ウォータポンプ100は、モータハウジング110、ドライバーケース120、インペラハウジング130、およびブラケット140を含む構成である。
【0012】
モータハウジング110の内部には、電気モーターの構成要素である固定子、回転子、および駆動軸が備えられ、ドライバーケース120には、固定子または回転子に電気を供給する電気供給装置が内蔵されている。また、インペラハウジング130には、冷却水の吸入口142と冷却水の供給口144がそれぞれ形成され、内部にインペラが備えられている。
【0013】
モータハウジング110の外周面一側には、ブラケット140が形成され、ブラケット140を用いてウォータポンプ100がエンジンのシリンダーブロック160に装着される。すなわち、ブラケット140とシリンダーブロック160との間にブッシュ150が介され、ブラケット140、ブッシュ150、およびシリンダーブロック160を貫通して固定ボルト180とナット170を装着して、ウォータポンプ100をシリンダーブロック160に堅固に固定する。ブッシュ150は、ウォータポンプ100をシリンダーブロックに堅固に固定すると同時に、ウォータポンプ100とシリンダーブロック160の間に発生する振動を吸収する役目も有している。
【0014】
図2は、ウォータポンプの断面図である。図2を参照すると、モータハウジング110の隔壁206を貫通して駆動軸200が配置され、駆動軸200における隔壁206の外部に突出した端部にインペラ250が装着される。ここで、インペラ250はインペラハウジング130内部に配置されている。
【0015】
モータハウジング110内部には、駆動軸200と共に回転する回転子ユニット240が配置され、回転子ユニット240と対応して固定子ユニット230が固定配置される。ドライバーケース120内に装着された電気供給装置(電源)からの電気が、固定子ユニット230または回転子ユニット240に供給されて駆動軸200とインペラを回転させ、これによりインペラハウジング130に形成された吸入口142で冷却水を吸入し、これを供給口144で冷却水をポンピングしていく。
【0016】
図2を参照すると、インペラ250と回転子ユニット240との間に隔壁206が配置され、駆動軸200が隔壁206を貫通して配置され、隔壁206と駆動軸200との間にはフロントベアリング210が介される。
フロントベアリング210は、インペラハウジング130内部のポンプ室204と回転子ユニット240が配置される回転子チャンバー202とを密封すると同時に、駆動軸200の回転ベアリング機能を行う。そして、フロントベアリング210と対応して駆動軸200の後端部にはリアベアリング220が配置される。
【0017】
図3を参照してフロントベアリング210および駆動軸200の構造について詳細に説明する。図3は、本発明の実施形態によるウォータポンプの一部分解斜視図である。
図3を参照すると、駆動軸200の外周面に沿って装着溝300が形成される。
フロントベアリング210(以下、単に「ベアリング」という)は、第1ベアリング310aと第2ベアング310bで構成され、第1ベアリング310aと第2ベアリング310bは、それぞれ半円弧状の形状であって、その内周面が装着溝300の外周面に密着する構造である。
【0018】
図4は、本発明の実施形態によるウォータポンプの一部分解側面図である。図4を参照すると、第1ベアリング310aのベアリング側面400は、装着溝300の溝内側面405と密着し、第1ベアリング310aのベアリング内周面410は、装着溝300の溝外周面415と密着する構造であり、インペラハウジング130のポンプ室204の冷却水がモータハウジング110の回転子チャンバー202に侵入することができない。
【0019】
また、図2および図4を参照すると、インペラ250と回転子ユニット240との間に配置される隔壁206は、第1ベアリング310aのベアリング側面400とベアリング外周面412に密着し、インペラハウジング130のポンプ室204の冷却水がモータハウジング110内部に侵入することができない。
【0020】
そして、第1ベアリング310aと第2ベアリング310bのベアリング外周面412は、駆動軸200の外周面から設定された距離Pだけ突出して形成される。
【0021】
このような構造によって、第1ベアリング310aと第2ベアリング310bは、装着溝300で分れて装着されることによって、組み立てが容易となる。そして、第1ベアリング310aと第2ベアリング310bが装着溝300内に装着されることによって、駆動軸200の長さ方向に位置が安定し、堅固に維持される。
また、第1ベアリング310aと第2ベアリング310bは、駆動軸200の外周面から設定された長さPだけ突出して形成され、その側面400およびその外周面412が隔壁206により支持されるため、その結合構造が堅固となる。
【0022】
図5は、本発明の別の実施形態であるウォータポンプの一部分解断面図である。図5を参照すると、駆動軸500は中空のパイプ構造を有しており、ベアリング530が駆動軸500に装着される。ベアリング530は、第1ベアリング530aと第2ベアリング530bで構成され、それぞれ駆動軸500の外周面に分かれて装着される。
【0023】
第1ベアリング530aと第2ベアリング530bは、駆動軸500の外周面に設けられたリブ510に挟まれて装着されることから、駆動軸500の長さ方向に動くのを防止することができる。ここで、リブ510は、駆動軸500と一体に形成されても良く、あるいは図5に示したように固定部材520により装着してもよい。
【0024】
以上で、好適な実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は、これら実施形態に限定されるものではなく、当該発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が上記した実施形態から容易に変更し得るもの、特許請求の範囲の記載と均等であると認められるものの全ての範囲を含んでいる。
【符号の説明】
【0025】
100:ウォータポンプ
110:モータハウジング
120:ドライバーケース
130:インペラハウジング
140:ブラケット
142:(冷却水)吸入口
144:(冷却水)供給口
150:ブッシュ
160:シリンダーブロック
170:ナット
180:ボルト
200、500:駆動軸
202:回転子チャンバー
204:ポンプ室
206:隔壁
210:フロントベアリング
220:リアベアリング
230:固定子ユニット
240:回転子ユニット
300:装着溝
310a、530a:第1ベアリング
310b、530b:第2ベアリング
400:ベアリング側面
405:溝内側面
410:ベアリング内周面
412:ベアリング外周面
415:溝外周面
510:リブ
520:固定部材
530:ベアリング
図1
図2
図3
図4
図5