特許第5738585号(P5738585)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5738585
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20150604BHJP
【FI】
   A63F7/02 320
【請求項の数】1
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2010-284531(P2010-284531)
(22)【出願日】2010年12月21日
(65)【公開番号】特開2012-40343(P2012-40343A)
(43)【公開日】2012年3月1日
【審査請求日】2013年11月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】391010943
【氏名又は名称】株式会社藤商事
(74)【代理人】
【識別番号】110001645
【氏名又は名称】特許業務法人谷藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前川 伊知郎
【審査官】 下井 功介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−291228(JP,A)
【文献】 特開2010−125091(JP,A)
【文献】 特開2010−088781(JP,A)
【文献】 特開2006−340984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変動開始条件の成立に基づいて図柄を変動表示する図柄表示手段と、
前記図柄表示手段による図柄変動中に所定の演出画像を表示する演出画像表示手段と、
記演出画像を複数種類の中から選択する演出画像選択手段と
を備えた遊技機において、
前記演出画像表示手段による前記演出画像の表示を行わせるための開始処理手段を備え、
前記開始処理手段は、
前記演出画像選択手段により前記複数種類の演出画像のうちの特定演出画像が選択された場合前記特定演出画像を表示させる前に、所定の報知手段を作動させると共に第1操作期間を開始させ、
前記第1操作期間中は操作手段が操作されたか否かを判定する第1判定処理を行い、前記第1判定処理で前記操作手段が操作されたと判定した場合には第2操作期間を開始させる一方、前記第1判定処理で前記操作手段が操作されることなく前記第1操作期間が経過した場合には前記第2操作期間を開始させず、
前記第2操作期間中は前記操作手段が操作されたか否かを判定する第2判定処理を行い、前記第2判定処理で前記操作手段が操作されたと判定した場合にはその時点で前記特定演出画像の表示を開始させるように構成し、
前記第2操作期間よりも前記第1操作期間を短時間に設定した
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機、アレンジボール機、スロットマシン等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等の遊技機では、始動入賞口への遊技球の入賞等、所定の変動開始条件の成立に基づいて図柄を変動させ、その変動後の停止図柄が予め定められた特定態様となることに基づいて、大入賞手段の開放等の利益状態を発生させるように構成したものが一般的である。またこの種の遊技機では、図柄変動を盛り上げるべく、その図柄変動中に各種の演出画像を表示する演出画像表示手段を、図柄表示手段と同じ又は別の画像表示装置上に設けたものが多い(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−291228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、遊技者の操作に基づいて演出表示を行うことが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、変動開始条件の成立に基づいて図柄を変動表示する図柄表示手段29と、前記図柄表示手段29による図柄変動中に所定の演出画像を表示する演出画像表示手段32と、前記演出画像を複数種類の中から選択する演出画像選択手段71とを備えた遊技機において、前記演出画像表示手段32による前記演出画像の表示を行わせるための開始処理手段71を備え、前記開始処理手段71は、前記演出画像選択手段71により前記複数種類の演出画像のうちの特定演出画像が選択された場合、前記特定演出画像を表示させる前に、所定の報知手段31を作動させると共に第1操作期間を開始させ、前記第1操作期間中は操作手段11が操作されたか否かを判定する第1判定処理を行い、前記第1判定処理で前記操作手段11が操作されたと判定した場合には第2操作期間を開始させる一方、前記第1判定処理で前記操作手段11が操作されることなく前記第1操作期間が経過した場合には前記第2操作期間を開始させず、前記第2操作期間中は前記操作手段11が操作されたか否かを判定する第2判定処理を行い、前記第2判定処理で前記操作手段11が操作されたと判定した場合にはその時点で前記特定演出画像の表示を開始させるように構成し、前記第2操作期間よりも前記第1操作期間を短時間に設定したものである。
また、変動開始条件の成立に基づいて図柄を変動表示する図柄表示手段29と、前記図柄表示手段29による図柄変動中に所定の演出画像を表示する演出画像表示手段32と、前記図柄表示手段29による図柄変動毎にその図柄変動中に表示する前記演出画像を複数種類の中から選択する演出画像選択手段71とを備えた遊技機において、前記演出画像選択手段71により前記複数種類の演出画像のうちの特定演出画像が選択されることに基づいて、所定の報知手段31を作動させると共に前記特定演出画像の表示に対応する前記図柄変動を開始待ち状態とし、その後の変動開始操作期間中に所定の操作手段11が操作されることに基づいて、前記開始待ち状態を解除して前記図柄変動及び前記特定演出画像の表示を開始させるように構成してもよい
【0011】
また、前記変動開始操作期間が所定時間に設定されており、前記操作手段11が操作されることなく前記変動開始操作期間が経過することに基づいて、前記開始待ち状態を解除して前記図柄変動及び前記特定演出画像の表示を開始させるように構成してもよい。
【0012】
また、前記変動開始操作期間の前に変動開始待ち操作期間を設け、その変動開始待ち操作期間中に前記操作手段11が操作された場合には前記変動開始操作期間を開始させ、前記操作手段11が操作されることなく前記変動開始待ち操作期間が経過した場合にはその時点で前記開始待ち状態を解除して前記図柄変動及び前記特定演出画像の表示を開始させるように構成してもよい。この場合、前記変動開始操作期間よりも前記変動開始待ち操作期間の方が短時間に設定することが望ましい。
【0013】
前記図柄表示手段29による変動後の停止図柄が特定態様となることに基づいて利益状態を発生させる利益状態発生手段65を備え、前記特定演出画像が表示された場合にその図柄変動において前記特定態様となる確率を、前記特定演出画像以外の演出画像が表示された場合にその図柄変動において前記特定態様となる確率よりも高く設定してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、遊技者の操作に基づいて演出表示を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施形態に係るパチンコ機の全体斜視図である。
図2】同パチンコ機の遊技盤の正面図である。
図3】同パチンコ機の制御系のブロック図である。
図4】同パチンコ機の変動開始処理のフローチャートである。
図5】同パチンコ機の変動パターンとその選択率の一例を示す図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係るパチンコ機の変動開始処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。図1図5は本発明をパチンコ機に採用した第1の実施形態を例示している。図1において、遊技機本体1は、矩形状の外枠2と、この外枠2の左右一側、例えば左側のヒンジ3を介して縦軸心廻りに開閉及び着脱自在に枢着された内枠4とを備えている。
【0017】
内枠4には、その上部側に図2に示す遊技盤5等が、下部側に発射手段(図示省略)等が夫々配置されており、その内枠4の前側には、遊技盤5の前側を覆うガラス扉6と、そのガラス扉6の下側で発射手段等の前側を覆う下部開閉扉7とがヒンジ3と同じ側のヒンジ8により開閉及び着脱自在に枢着されている。
【0018】
ガラス扉6には、遊技盤5側の遊技領域5aに対応するガラス窓9が設けられ、また下部開閉扉7には、発射手段に供給するための遊技球を貯留する貯留皿10が設けられると共に、例えばその貯留皿10の前側に、演出用の操作ボタン(操作手段)11、貯留皿10内の遊技球を抜き取るための球抜きボタン12、貸球の払い出し等の操作を行うための貸出操作パネル13等が配置され、また貯留皿10の右側に、発射手段を作動させるための発射ハンドル14が配置されている。
【0019】
操作ボタン11には、LED等の発光体よりなる操作有効報知ランプ15が例えば内蔵されており、この操作ボタン11の操作が有効となる期間中に発光等することにより遊技者に操作が有効であることを報知するようになっている。
【0020】
遊技盤5には、図2に示すように、その前面側に発射手段から発射された遊技球を案内するガイドレール21が環状に装着されると共に、そのガイドレール21の内側の遊技領域5aに、センターケース22、普通図柄始動手段23、特別図柄始動手段24、大入賞手段25、普通入賞手段26等の各種遊技部品が配置されている。
【0021】
センターケース22には、液晶式等の画像表示装置27の他、普通図柄表示手段28、特別図柄表示手段(図柄表示手段)29、普通保留個数表示手段30、プレミア報知ランプ(報知手段)31等が設けられている。画像表示装置27は、演出画像表示手段32、特別保留個数表示手段33等を構成している。
【0022】
普通図柄表示手段28は、普通図柄を変動表示するためのもので、例えば「○」「×」の2種類の普通図柄に対応する2個の発光体(例えばLED)により構成されており、通過ゲート等よりなる普通図柄始動手段23が遊技球を検出することを条件にそれら2つの発光体が所定時間交互に点滅して、普通図柄始動手段23による遊技球検出時に取得された当たり判定乱数値が予め定められた当たり判定値と一致する場合には当たり態様に対応する「○」側の発光体が発光した状態で、それ以外の場合には外れ態様に対応する「×」側の発光体が発光した状態で、点滅が終了するようになっている。
【0023】
また、普通図柄表示手段28の変動表示中、又は後述する普通利益状態中に普通図柄始動手段23が遊技球を検出した場合には、その検出時に取得された当たり判定乱数値が予め定められた上限保留個数、例えば4個を限度として記憶されると共に、例えば上限保留個数と同数の発光体よりなる普通保留個数表示手段30がその発光個数により当たり判定乱数値の記憶個数(以下、普通保留個数という)を表示して、その時点での普通保留個数を遊技者に報知するようになっている。
【0024】
特別図柄始動手段24は、特別図柄表示手段29による図柄変動を開始させるためのもので、上下2つの特別始動口24a,24bと、下特別始動口24bを開閉する開閉手段34とを備え、例えばセンターケース22の下側に配置されている。上特別始動口24aは、開閉手段等を有しない非作動式入賞口である。下特別始動口24bは、開閉手段34により遊技球が入賞可能な開状態と入賞不可能な閉状態とに切り換え可能な作動式入賞口で、普通図柄表示手段28の変動後の停止図柄が当たり態様となって普通利益状態が発生したときに、開閉手段34が所定時間、所定回数だけ閉状態から開状態に変化するように構成されている。
【0025】
特別図柄表示手段29は、1個又は複数個、例えば1個の特別図柄(図柄)を変動表示可能な7セグメント式等の表示手段により構成されており、特別図柄始動手段24が遊技球を検出すること、即ち上下2つの特別始動口24a,24bの何れかに遊技球が入賞することを条件に特別図柄を所定時間変動表示して、上下の特別始動口24a,24bへの入賞時に取得された大当たり判定乱数値が予め定められた大当たり判定値と一致する場合には所定の大当たり態様(特定態様)で、それ以外の場合には外れ態様で停止するようになっている。
【0026】
特別図柄には、例えば大当たり態様及び外れ態様が夫々1又は複数種類ずつ設けられている。なお、それら各態様には夫々数字図柄等を割り当ててもよいし、遊技者がその特別図柄の種類を容易に区別できないように、任意の線や点の組み合わせのような特別な意味を持たない図柄を割り当ててもよい。
【0027】
また、特別図柄の変動表示中、又は後述する大当たり状態中に上下の特別始動口24a,24bに遊技球が入賞した場合には、その入賞時に取得された大当たり判定乱数値等が夫々所定の上限保留個数、例えば各4個を限度として記憶されると共に、特別保留個数表示手段33が大当たり判定乱数値の記憶個数(以下、特別保留個数という)を表示して、その時点での特別保留個数を遊技者に報知するようになっている。
【0028】
演出画像表示手段32は、例えば特別図柄表示手段29による特別図柄の変動表示と並行して演出画像を表示するもので、特別図柄始動手段24が遊技球を検出すること、即ち上下2つの特別始動口24a,24bの何れかに遊技球が入賞すること(変動開始条件の成立の一例)に基づいて、1個又は複数個、例えば左右方向に3個の演出図柄を含む演出画像を特別図柄の変動開始と同時に所定の変動パターンに従って画像表示装置27の表示画面27a上で変動開始すると共に、特別図柄の変動停止と同時に最終停止するように、演出図柄を左、右、中等の所定の順序で停止させるようになっている。
【0029】
演出図柄には、例えば「0」〜「9」の10種類の数字図柄が用いられ、「6・6・6」「7・7・7」等、3つの図柄が全て同じ図柄で揃ったものが大当たり態様、少なくとも1つの図柄が異なるものが外れ態様となっている。なお、本実施形態では、特別図柄が大当たり態様となる場合には演出図柄も大当たり態様となり、特別図柄が外れ態様となる場合には演出図柄も外れ態様となるものとする。
【0030】
演出図柄を含む演出画像の変動パターンは複数種類設けられており、本実施形態では、図5に示すように演出図柄がリーチ状態を経ることなく外れ態様となるリーチなし変動パターンが1種類、リーチ状態を経て大当たり態様又は外れ態様となるリーチ変動パターンが5種類設けられている。
【0031】
特別保留個数表示手段33は、特別保留個数分のシンボルXの表示個数により特別保留個数を表示するもので、表示画面27a上の所定部分、例えば下部側に保留個数分のシンボルXを表示するようになっている。
【0032】
大入賞手段25は、遊技球が入賞可能な開状態と入賞不可能な閉状態とに切り換え可能な開閉板35を備えた開閉式入賞手段で、特別図柄表示手段29による変動後の停止図柄が大当たり態様となることに基づいて大当たり状態(利益状態)が発生したときに、開閉板35が所定の開放パターンに従って前側に開放して、その上に落下した遊技球を内部へと入賞させるようになっている。
【0033】
図3は本パチンコ機の制御系のブロック図である。図3において、41は主制御基板、42は演出制御基板で、これら各制御基板41,42は、遊技盤5に装着されたセンターケース22、その他の複数個の遊技部品を裏側から一括して覆う裏カバーの裏側等、内枠4及び遊技盤5を含む遊技機本体1の裏側の適宜箇所に着脱自在に装着された基板ケースに夫々収納されている。
【0034】
主制御基板41は、主に遊技盤5側の遊技動作に関わる制御を行うためのもので、CPU,ROM,RAM等により構成される普通乱数作成処理手段51、普通始動口チェック処理手段52、普通乱数記憶手段53、普通図柄処理手段54、普通利益状態発生手段55、普通図柄表示制御手段56、特別乱数作成処理手段61、特別始動口チェック処理手段62、特別乱数記憶手段63、特別図柄処理手段64、大当たり状態発生手段65、特別図柄表示制御手段66、特別遊技状態発生手段67、制御コマンド送信手段68等を備えている。
【0035】
普通乱数作成処理手段51は、変動後の普通図柄を当たり態様とするか否かの判定に用いる当たり判定乱数等を所定時間毎に繰り返し発生するように構成されている。普通始動口チェック処理手段52は、普通図柄始動手段23による遊技球の検出に基づく処理を行うもので、普通図柄始動手段23が遊技球を検出することに基づいて、普通乱数作成処理手段51で作成された当たり判定乱数値を1個取得し、その当たり判定乱数値を予め定められた上限保留個数(例えば4個)を限度として普通乱数記憶手段53に記憶させるように構成されている。
【0036】
普通図柄処理手段54は、普通図柄の変動表示に関する処理を行うもので、普通図柄表示手段28が変動表示可能な状態となり且つ普通乱数記憶手段53に1個以上の当たり判定乱数値が記憶されていること(普通保留個数が1以上であること)を条件に、普通乱数記憶手段53に最も早く記憶された当たり判定乱数値を取り出し、その当たり判定乱数値が予め定められた当たり判定値と一致するか否かに応じて当たり/外れの判定を行う当たり判定機能、当たり/外れの判定結果に基づいて普通図柄の変動後の停止図柄の種類を選択する普通停止図柄選択機能、普通図柄の変動時間を選択する変動時間選択機能等を備えている。
【0037】
普通利益状態発生手段55は、普通図柄処理手段54による判定結果が当たり判定となり、普通図柄表示手段28の変動後の停止図柄が当たり態様となったときに、特別図柄始動手段24を構成する下特別始動口24bの開閉手段34を例えば複数種類の開閉パターンの何れかに従って開状態に変化させるようになっている。
【0038】
普通図柄表示制御手段56は、普通図柄処理手段54による普通図柄処理に基づいて普通図柄表示手段28の表示制御を行うもので、普通図柄表示手段28が変動表示可能な状態となり且つ普通乱数記憶手段53に1個以上の当たり判定乱数値が記憶されていること(普通保留個数が1以上であること)を条件に普通図柄表示手段28による普通図柄の変動を開始させ、普通図柄処理手段54で選択された変動時間が経過することに基づいて、同じく普通図柄処理手段54で選択された停止図柄で普通図柄の変動を停止させるようになっている。
【0039】
特別乱数作成処理手段61は、変動後の特別図柄を大当たり態様、外れ態様の何れにするかについての判定に用いる大当たり判定乱数の他、変動後の特別図柄が大当たり態様となる場合の停止図柄の選択に用いる大当たり図柄乱数、変動後の特別図柄が外れ態様となる場合の停止図柄の選択に用いる外れ図柄乱数、演出画像の変動パターンの選択に用いる変動パターン乱数、その他の所定の乱数を繰り返し発生する特別乱数作成処理を行うように構成されている。
【0040】
特別始動口チェック処理手段62は、特別図柄始動手段24への遊技球の入賞に基づく処理を行うもので、特別図柄始動手段24が遊技球を検出すること、即ち上下の特別始動口24a,24bに遊技球が入賞することに基づいて、特別乱数作成処理手段61で作成された大当たり判定乱数値及び大当たり図柄乱数値を1個ずつ取得し、それら当たり判定乱数値及び当たり図柄乱数値を予め定められた上限保留個数(例えば各4個)を限度として特別乱数記憶手段63に記憶させるように構成されている。
【0041】
特別図柄処理手段64は、特別図柄の変動表示に関する処理を行うもので、変動開始処理手段71、変動中処理手段72、確認時間中処理手段73等を備えている。
【0042】
変動開始処理手段71は、特別図柄の変動を開始させる処理を行うもので、大当たり状態中でなく、且つ特別図柄が変動開始処理待ち状態のときに、図4に示す変動開始処理を実行するように構成されている。なお、この変動開始処理は、所定時間(例えば4msec)毎の定期割込において実行されるものとする。
【0043】
変動開始処理手段71による変動開始処理(図4)では、まず特別保留個数の値が0か否かが判定され(S1)、0であれば特別図柄の変動は開始されることなくここで変動開始処理は終了する。
【0044】
S1において特別保留個数が0でなければ、続いて特別図柄が変動中か否かが判定される(S2)。特別図柄が変動中であれば特別図柄の変動は開始されることなくここで変動開始処理は終了する。
【0045】
S2において特別図柄が変動中でなければ、特別図柄の変動を開始させるべく、大当たり判定処理(S3)、特別停止図柄選択処理(S4)、変動パターン選択処理(S5)が順次実行される。
【0046】
大当たり判定処理(S3)は、変動後の特別図柄を大当たり態様とするか否かの判定処理で、特別乱数記憶手段63に最も早く記憶された大当たり判定乱数値が取り出され、その大当たり判定乱数値が予め定められた大当たり判定値と一致するか否かに応じて大当たり/外れの判定が行われるようになっている。
【0047】
特別停止図柄選択処理(S4)は、特別図柄の変動後の停止図柄を選択する処理で、大当たり判定処理(S3)による大当たり/外れの判定結果と、特別乱数記憶手段63に大当たり判定乱数値と共に記憶されている大当たり図柄乱数値とに基づいて、特別図柄の変動後の停止図柄が選択されるようになっている。
【0048】
変動パターン選択処理(S5)は、演出画像の変動パターンを選択する処理で、大当たり判定処理(S3)による大当たり/外れの判定結果に基づいて、複数種類の変動パターンの中から1つが選択されるようになっている。
【0049】
本実施形態では、図5に示すように、リーチなし、ノーマルリーチ1、ノーマルリーチ2、スーパーリーチ1、スーパーリーチ2、プレミアリーチの6種類の変動パターンが設けられており、大当たり判定処理(S3)による判定結果に基づいて、各変動パターンが所定の選択率で選択されるようになっている。
【0050】
リーチなし変動パターンは、リーチ状態を経ることなく外れ態様となる変動パターンで、大当たり判定処理による判定結果が外れの場合にのみ選択される。また、プレミアリーチ変動パターンは、他のリーチ変動パターンとは異なる特定演出画像を表示する、いわゆるプレミア演出に対応するもので、大当たり判定処理による判定結果が大当たりの場合にのみ選択されるようになっている。即ち、このプレミアリーチ変動パターンによる演出図柄変動が行われた場合にその図柄変動において大当たり態様となる確率は100%であり、他の変動パターンのどれよりも高くなっている。
【0051】
なお、この変動パターン選択処理(S5)を行う変動開始処理手段71が、特別図柄表示手段29による図柄変動毎にその図柄変動中に表示する演出画像を複数種類の中から選択する演出画像選択手段の一例である。
【0052】
変動パターン選択処理(S5)が終了すると、選択された変動パターンがプレミアリーチ変動パターンであるか否か、即ちプレミア演出が選択されたか否かが判定され(S6)、プレミア演出でない場合には、その時点で特別図柄の変動開始指令が出力される(S12)。
【0053】
一方、S6においてプレミア演出が選択されたと判定された場合には、プレミア演出が出現することを報知すべく、例えばプレミア報知ランプ31が点灯される(S7)と共に変動開始操作期間が開始され(S8)、特別図柄の変動は開始待ち状態となる。この変動開始操作期間中は、例えば操作有効報知ランプ15が点灯してその操作が有効であることを報知するようになっている。なお、変動開始操作期間は、遊技者がプレミア演出の撮影準備をすることができる最低限の時間を確保することが必要であるが、あまりにも長い時間になることは避けるべきであり、長くても数十秒程度とすることが望ましい。
【0054】
そして、その変動開始操作期間内に操作ボタン11が押下された場合には(S9:Yes)、その時点で変動開始操作期間は終了し(S11)、特別図柄の変動開始指令が出力される(S12)。また、操作ボタン11が押下されることなく変動開始操作期間の開始から所定時間が経過した場合には(S10:Yes)、その時点で変動開始操作期間は終了し(S11)、特別図柄の変動開始指令が出力される(S12)。
【0055】
変動中処理手段72は、変動開始処理手段71により開始された特別図柄の変動を停止させるまでの処理を行うもので、例えば特別図柄の変動開始からその変動パターンに対応する変動時間が経過することに基づいて、特別図柄変動停止指令を出力するように構成されている。
【0056】
確認時間中処理手段73は、特別図柄の変動を終了させるための処理を行うもので、特別図柄の変動に係る各種変数等を初期化すると共に、その変動後の停止図柄が大当たり態様となった場合には、例えば大当たり状態に係る各種変数等に初期値を設定するなど、大当たり状態を開始するための準備処理を行うようになっている。
【0057】
大当たり状態発生手段(利益状態発生手段)65は、大当たり状態(利益状態)を発生させるためのもので、大当たり判定処理(S3)による判定結果が大当たりとなり、特別図柄表示手段29による特別図柄の変動後の停止図柄が大当たり態様となることに基づいて、大入賞手段25を所定の開放パターンに従って開放する大当たり状態を発生させるようになっている。本実施形態の開放パターンは、大入賞手段25の開放から所定時間(例えば28秒)経過するか、それまでに所定個数(例えば9個)の遊技球が入賞することを条件に大入賞手段25を閉鎖する動作を、所定ラウンド数(例えば15ラウンド)繰り返すように設定されているものとするが、複数種類の開放パターンを設け、例えば大当たり図柄乱数値に基づいてそれらの何れかを選択するように構成してもよい。
【0058】
特別図柄表示制御手段66は、特別図柄表示手段29の表示制御を行うもので、変動開始処理手段71によって特別図柄の変動開始指令が出力されたときに特別図柄の変動を開始させ、変動中処理手段72によって特別図柄の変動停止指令が出力されたときにその変動を停止させるように構成されている。
【0059】
特別遊技状態発生手段67は、大当たり状態終了後の所定期間に遊技者に有利な特別遊技状態を発生させるためのもので、例えば特別図柄の大当たり態様の種類等に応じて、時短状態と確変状態との何れかの特別遊技状態を発生させるように構成されている。
【0060】
時短状態中は、特別図柄に関して変動時間が通常変動時間よりも短い短縮変動時間に切り換えられる他、普通図柄に関して、当たり確率が通常確率(例えば1/10)から高確率(例えば1/1.3)へ、変動時間が通常変動時間(例えば27秒)から短縮変動時間(例えば2.7秒)へ、下特別始動口24bの開閉手段34の開閉パターンが通常開閉パターン(例えば0.2秒×1回開放)から特別開閉パターン(例えば2秒×3回開放)へ、夫々切り換えられるようになっている。この時短状態は、大当たり状態発生後、例えば特別図柄が所定回数(例えば50回)変動するまで継続される。
【0061】
また、確変状態中は、それ以外の通常確率状態中よりも大当たり判定値の数が例えば1個から10個へ増加されることにより、特別図柄が大当たり態様となる確率が通常確率 (例えば1/350)よりも高い高確率(例えば1/35)に切り換えられると共に、時短状態と同様の処理が並行して行われるようになっている。この確変状態は、大当たり状態発生後、例えば次の大当たり状態が発生するまで継続される。
【0062】
制御コマンド送信手段68は、所定の制御コマンドを一方向通信により演出制御基板42等のサブ制御基板側に送信して制御指令を与えるためのもので、変動開始処理手段71によって特別図柄の変動開始指令が出力されることに基づいて、特別保留個数の減少を指定する保留減少コマンド、演出画像の変動パターンを指定する変動パターンコマンド、特別図柄の停止図柄を指定する図柄指定コマンドを演出制御基板42側に送信し、変動中処理手段72によって特別図柄の変動停止指令が出力されることに基づいて、演出画像の変動停止を指示する変動停止コマンドを演出制御基板42側に送信する機能、特別保留個数が増加したときに特別保留個数の増加を指定する保留増加コマンドを演出制御基板42側に送信する機能、特別遊技状態発生手段67による特別遊技状態の発生時及び終了時にその特別遊技状態に応じて特別遊技状態発生コマンド、特別遊技状態終了コマンド等を演出制御基板42側に送信する機能の他、例えば大当たり状態等の各種遊技状態に基づいて、画像、音声、ランプの制御コマンドを演出制御基板42側に送信する機能等を備えている。
【0063】
演出制御基板42は、特別保留個数表示手段33、演出画像表示手段32、音声出力手段81、ランプ手段82等の各種演出手段を制御するためのもので、特別保留個数表示制御手段83、演出画像制御手段84等を備えている。
【0064】
特別保留個数表示制御手段83は、特別保留個数表示手段33の表示制御を行うもので、特別図柄始動手段24により新たに遊技球が検出され、主制御基板41から保留増加コマンドを受信したときに、その保留増加コマンドに基づいて、画像表示装置27の表示画面27a上の所定位置に特別保留個数分のシンボルXを表示し、例えば主制御基板41から保留減少コマンドを受信することに基づいて、表示中のシンボルXの数を1個減少させて前側にシフトさせるように構成されている。
【0065】
演出画像制御手段84は、演出画像表示手段32による演出画像の表示制御及びそれらに伴う音声出力手段81、ランプ手段82等の制御を行うもので、例えば主制御基板41から変動パターンコマンドを受信し、その後所定時間内に図柄指定コマンドを受信することを条件に、変動パターンコマンドで指定された変動パターンに基づいて演出画像の変動演出を開始させると共に演出画像中の演出図柄を左、右、中等の所定の順序で仮停止させ、主制御基板41から変動停止コマンドを受信したときに演出図柄を停止・確定させるようになっている。
【0066】
なお、主制御基板41側の特別図柄処理手段64によって演出画像の変動パターンとしてプレミアリーチ変動パターンが選択された場合には(図4のS6:Yes)、変動パターンコマンドはその時点では送信されず、所定時間の変動開始操作期間内に操作ボタン11が操作されるか(S8:Yes)、操作ボタン11が操作されることなく変動開始操作期間が経過した時点(S9:Yes)で送信される。即ち、プレミアリーチ変動パターンによる演出画像の表示(プレミア演出)は、プレミア演出が出現することがプレミア報知ランプ31等によって報知された後、所定時間の変動開始操作期間内に操作ボタン11が操作されるか、操作ボタン11が操作されることなく変動開始操作期間が経過した時点で、特別図柄の変動と共に開始される。
【0067】
これにより、プレミア演出が出現する旨の報知からプレミア演出の開始までに最低限の時間を確実に確保することができると共に、プレミア演出の開始タイミングを一定の制限内で遊技者自身が決めることができるため、遊技者が容易且つ確実にプレミア演出を視認し又は撮影することが可能となる。
【0068】
図6は本発明の第2の実施形態を例示し、変動開始操作期間の前に変動開始待ち操作期間を設け、その変動開始待ち操作期間中に操作ボタン11が操作された場合には変動開始操作期間を開始させ、操作ボタン11が操作されることなく変動開始待ち操作期間が経過した場合にはその時点で開始待ち状態を解除して特別図柄変動及びプレミアリーチ変動パターンによる演出画像の表示を開始させるように構成した例を示している。
【0069】
本実施形態の変動開始処理(図6)は、S21〜S25が追加されている点で第1の実施形態に係る変動開始処理(図4)と相違している。以下、この相違部分を中心に本実施形態の変動開始処理(図6)について説明する。
【0070】
変動パターン選択処理(S5)が終了すると、選択された変動パターンがプレミアリーチ変動パターンであるか否か、即ちプレミア演出が選択されたか否かが判定され(S6)、プレミア演出でない場合には、その時点で特別図柄の変動開始指令が出力される(S12)。
【0071】
一方、S6においてプレミア演出が選択されたと判定された場合には、プレミア演出が出現することを報知すべく、例えばプレミア報知ランプ31が点灯される(S7)と共に変動開始待ち操作期間が開始され(S21)、特別図柄の変動は開始待ち状態となる。この変動開始待ち操作期間中は、例えば操作有効報知ランプ15が点灯してその操作が有効であることを報知するようになっている。
【0072】
そして、その変動開始待ち操作期間内に操作ボタン11が押下された場合には(S22:Yes)、その時点で変動開始待ち操作期間は終了し(S24)、続いて変動開始操作期間が開始される(S8)。このS8以降の処理は第1の実施形態と同様である。
【0073】
また、操作ボタン11が押下されることなく変動開始待ち操作期間の開始から所定時間が経過した場合には(S23:Yes)、その時点で変動開始待ち操作期間は終了し(S25)、変動開始操作期間が開始されることなく特別図柄の変動開始指令が出力される (S12)。
【0074】
なお、変動開始待ち操作期間は、変動開始操作期間よりも短かい時間に設定することが望ましい。変動開始操作期間は遊技者がプレミア演出の撮影準備等を行うための期間であるのに対し、変動開始待ち操作期間はプレミア演出の撮影等を行うか否かについて遊技者の意志を確認するための期間だからである。このような変動開始待ち操作期間を設けることで、遊技者にプレミア演出の撮影意志がないにも拘わらず特別図柄の変動開始が長期間遅延することを防止できる。
【0075】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、プレミア演出の出現を報知するための報知手段は、LED等の発光手段に限られるものではなく、例えば画像表示装置27等にプレミア演出が出現する旨の画像を表示するもの、音声出力によるもの、可動体を作動させるもの等でもよい。また、操作ボタン11に設けられた操作有効報知ランプ15をプレミア演出の報知手段としてもよい。
【0076】
操作手段11は、プレミア演出に関して専用に設けてもよいし、他の演出で用いる操作手段と兼用としてもよい。また、操作手段11は遊技者が遊技中に容易に操作可能であれば押しボタン式でなくてもよく、またその配置位置も任意である。
【0077】
プレミア演出に相当する変動パターンを複数種類設けてもよい。また、プレミア演出に相当する変動パターンは、例えばその図柄変動において大当たり態様となる確率が、他の変動パターンによる図柄変動において大当たり態様となる確率よりも高ければよく、それが100%である必要はない。
【0078】
また本発明は、パチンコ機に限らず、アレンジボール機、雀球遊技機等の弾球遊技機の他、スロットマシン等の各種遊技機において同様に実施することが可能である。
【符号の説明】
【0079】
11 操作ボタン(操作手段)
29 特別図柄表示手段(図柄表示手段)
31 プレミア報知ランプ(報知手段)
32 演出画像表示手段
65 大当たり状態発生手段(利益状態発生手段)
71 変動開始処理手段(演出画像選択手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6