(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電気的に直列接続される各組において前記並列接続される感圧スイッチは、前記シートパンに形成される孔を挟んで前記クッションパッドにおける幅方向に沿って配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の座席装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1は、座席装置のクッションパッドが、正規に着座した人から、座席表皮を介して受ける荷重の分布を示す図である。
図1において、色の濃い部分程、クッションパッドが高い荷重を受けていることが分かる。人が着座している状態において、人とクッションパッドとの間には、座席表皮のみが介在するため、
図1に示すように、クッションパッドには、人の臀部が位置する部分に最も大きな荷重が加わる。そして、上記特許文献1に記載の着座センサは、クッションパッド上における人の臀部が位置する部分に、感圧スイッチを配置されることにより、人の着座を検出することができる。
【0006】
しかし、上記特許文献1に記載の着座センサは、座席装置の座席表皮と、その座席表皮に覆われるクッションパッドとの間に配置されているため、座席に着座する人が、座席表皮を介してクッションパッドによる感触と異なる感触を着座センサから受け、座席の着座部分に違和感を覚える場合がある。
【0007】
そこで、本発明は、違和感を防止しつつ、クッションパッドが異なることに起因する感圧スイッチの非感知を低減できる着座センサ及び座席装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記の様な着座センサによる違和感を防止することについて鋭意検討を行った。その結果、着座センサによる違和感を防止するには、座席装置のクッションパッドを支えるものとして座席装置の下に設置される板材上に着座センサを配置すれば良いという結論に至った。この板材はシートパンと呼ばれ、一般には、金属板を加工することにより形成される。このように着座センサがシートパン上に配置された場合、シートパンとクッションパッドとの間に着座センサが介在することになるため、着座時における着座センサによる違和感を防止することができる。
【0009】
しかし、一般に、複数のクッションパッドを完全に同じものとして形成することは困難であり、クッションパッドの大きさ、形状又は材質などが僅かながらも相違するものである。また設計や、クッション性を向上させる対策の1つとして、クッションパッドの底面などに凹凸が形成される場合もある。こういった個々のクッションパッドの相違が要因となって、クッションパッドとシートパンとの間に感圧スイッチが設置されたときに、クッションパッドの押圧力が感圧スイッチに伝わり難い場合が生じるという問題があるということが分かった。そこで、本発明者は、更に鋭意検討を重ねて、本発明をするに至った。
【0010】
本発明は、シートパンと、クッションパッドとの間に配される複数の感圧スイッチを備え、前記複数の感圧スイッチの少なくとも2つは電気的に並列接続されることを特徴とするものである。
【0011】
このような着座センサによれば、複数の感圧スイッチの少なくとも2つの感圧スイッチが並列接続されているため、クッションパッドの押圧力が、並列接続される感圧スイッチの1つにさえ伝われば、他の感圧スイッチに対して伝わり難いとしても接続状態が維持される。したがって、感圧スイッチの配置位置を変更することなく、クッションパッドが異なることに起因する感圧スイッチの非感知を、並列接続されていない場合に比べて確実に低減できる。
【0012】
また、前記複数の感圧スイッチは、電気的に並列接続される少なくとも2つの感圧スイッチの組を複数組有し、それら組同士は直列接続されることが好ましい。
【0013】
並列接続される少なくとも2つの感圧スイッチの組が複数存在するため、1つの場合に比べて、各組それぞれの感圧スイッチの1つの接続状態が維持されたときに限り導通されることになる。このため、クッションパッドが異なることに起因する感圧スイッチの非感知を低減しつつも、臀部に比べて荷重が集中しやすい傾向にある荷物の誤感知を低減できる。
【0014】
本発明は、座席装置であって、シートパンと、クッションパッドと、前記シートパンと、前記クッションパッドとの間に配され、複数の感圧スイッチを有する着座センサとを備え、前記複数の感圧スイッチの少なくとも2つの感圧スイッチは電気的に並列接続されることを特徴とするものである。
【0015】
このような座席装置によれば、複数の感圧スイッチの少なくとも2つの感圧スイッチが並列接続されているため、クッションパッドの押圧力が、並列接続される感圧スイッチの1つにさえ伝われば、他の感圧スイッチに対して伝わり難いとしても接続状態が維持される。したがって、感圧スイッチの配置位置を変更することなく、クッションパッドが異なることに起因する感圧スイッチの非感知を、並列接続されていない場合に比べて確実に低減できる。
【0016】
さらに、前記少なくとも2つの感圧スイッチは、前記クッションパッドにおける幅方向に沿って配置されることが好ましい。
【0017】
人の骨盤は前後方向に比べて左右方向に広がっているため、着座によりシートパンがクッションパッドから受ける押圧力は、クッションパッドの前後方向に比べて幅方向へ大きく広がる。この幅方向に対応して、電気的に並列に接続された少なくとも2つの感圧スイッチが沿って配置されることになるため、クッションパッドが異なることに起因して、シートパンがクッションパッドから受ける単位領域当たりの押圧力に差が生じたとしても、どちらか一方にさえ、荷重が伝わればオンになる。従って、クッションパッドが異なることに起因する感圧スイッチの非感知はより一段と低減される。
【0018】
さらに、前記少なくとも2つの感圧スイッチは、前記クッションパッドの前後方向にずれて配置されることが好ましい。
【0019】
本発明者は、人が正規着座した場合、シートパンがクッションパッドから受ける押圧力の最大荷重領域は、ヒップポイントよりも前方側の領域となることを見出した。この理由として、クッションパッドを押す力は、重力によって鉛直方向に働くことに加えて、前方向にも働くからであると考えている。この前方向に働く力は、座席装置に背もたれがある場合には、背もたれが背中を押す力であり、背もたれがない場合には、後ろ側に倒れないように着座者自身が前かがみになることに起因する力であると考えている。ただし、最大荷重領域がヒップポイントから前方側となることに変わりはないが、ヒップポイントからどのくらい前方側に最大荷重領域が位置するのかはクッションパッドの大きさ、形状又は材質などに応じて異なる。この点、少なくとも2つの感圧スイッチが、クッションパッドの前後方向にずれて配置されていた場合、クッションパッドの相違に応じてヒップポイントから前方側へ移る最大荷重領域の程度が変わることに起因する感圧スイッチの非感知は低減される。
【0020】
なお、本明細書において、「正規着座」とは、臀部が座面の奥深くに位置して、背中が背もたれに接触する状態で着座することを意味する。また、「ヒップポイント」とは、人が正規着座した状態で、臀部において最も下側に出る部位を差す。また、「最大荷重領域」とは、シートパンがクッションパッドから最も押圧力を受けていない場所における押圧力を0として、シートパンがクッションパッドから最も大きな押圧力を受けている場所における押圧力を100とする場合に、90以上の押圧力をうける領域をいう。
【0021】
さらに、前記少なくとも2つの感圧スイッチは、前記クッションパッドの前後方向に沿って配置される。
【0022】
このような着座センサによれば、上述したように、クッションパッドの相違に応じてヒップポイントから前方側へ移る最大荷重領域の程度が変わることに起因する感圧スイッチの非感知は低減される。また、人が正規着座した場合、足の大腿部位は前後方向へ直線状に配置されるものである。したがって、クッションパッドの前後方向に感圧スイッチが配置されていれば、クッションパッドに相違があったとしても、少なくとも一方の感圧スイッチには荷重がかかり検知可能となるため好ましい。
【0023】
さらに、前記複数の感圧スイッチは、電気的に並列接続される少なくとも2つの感圧スイッチの組を複数組有し、それら組の少なくとも2組は、電気的に直列に接続され、前記クッションパッドにおける幅方向の左右に配置されるほうが好ましい。
【0024】
通常、人が正規着座した場合、クッションパッドの前後方向に比べて左右方向に広がる骨盤に起因して、クッションパッドはその幅方向の中心を通る鉛直平面を基準としておおむね左右均等に押圧される。これに対し、荷物は、クッションパッドの幅方向の中心に置かれるとは限らず、シートパンがクッションパッドから受ける押圧力は、鉛直平面を基準として左右対称にならない傾向にある。したがって、並列接続される少なくとも2つの感圧スイッチの組を、電気的に直列に接続し、鉛直平面を基準としてクッションパッドの左右に配置した場合、人の着座を適切に検出し、荷物を誤検出することを抑制することができる。
【0025】
さらに、前記複数組の少なくとも2つの組の感圧スイッチは、前記クッションパッドにおける幅方向に沿って配置されるほうが好ましい。
【0026】
座席に着座する人は、通常、座席の前方を向いて着座する。この時、人の左右の骨盤は、クッションパッドの幅方向に沿って、クッションパッドを押圧する。従って、複数組の少なくとも2つの組の感圧スイッチをクッションパッドにおける幅方向に並べて配置すれば、複数組における少なくとも2つの感圧スイッチが、着座によりシートパンがクッションパッドから受ける押圧力がより広がる方向に対応して並べられることになるため、人の着座をより適切に検出することができる。
【0027】
さらに、前記複数組の少なくとも2つの組の感圧スイッチは、前記クッションパッドにおける幅方向の中心を通る鉛直平面を境界として対称に配置されるほうが好ましい。
【0028】
通常、人がクッションパッドの幅方向の略中心に着座した場合、前後方向に比べて左右方向に広がる骨盤に起因して、クッションパッドはその幅方向の中心を通る鉛直平面を基準としておおむね左右均等に押圧される。これに対し、荷物は、クッションパッドの幅方向の中心に置かれるとは限らない。従って、荷物を座席装置に置く場合においては、シートパンがクッションパッドから受ける押圧力は、鉛直平面を基準として左右対称にならない傾向にある。したがって、並列接続される少なくとも2組の感圧スイッチが鉛直平面を基準として左右対称に配置された場合、人の着座を適切に検出し、荷物を誤検出することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、本発明によれば、違和感を防止しつつ、クッションパッドが異なることに起因する感圧スイッチの非感知を低減できる着座センサ及び座席装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る着座センサの好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0032】
(第1実施形態)
図2は、本発明の第1実施形態に係る着座センサを示す平面図である。
図2に示すように、着座センサ1は、第1電極シート10と、第2電極シート20と、第1電極シート10と第2電極シート20に挟まれるスペーサと、第1電極シート10に配置されるクッション部材とを主な構成要素として備える。
【0033】
図3は、
図2に示す第1電極シート10を示す平面図である。
図3に示すように、第1電極シート10は、可撓性を有するフィルム状の第1絶縁シート11と、第1絶縁シート11の表面に設けられる第1電極14A〜14Fと、第1絶縁シート11の表面に設けられる端子42A、42Bとを主な構成要素として備える。
【0034】
第1絶縁シート11は、座席装置の前方向に対応する前部位11Aと、座席装置の後方向に対応する後部位11Bと、座席装置の左方向に対応する左部位11Cと、座席装置の右方向に対応する右部位11Dとから成る。
【0035】
前部位11Aは、座席装置を構成するクッションパッドの幅の中心を通る鉛直平面VFのうち、座席装置の前方向に対応する位置を中心として左右に同じ長さだけ延び、その鉛直平面VFに対して垂直となる帯状のブロックとされる。なお、
図3では、便宜上、鉛直平面VFは直線として示している。後部位11Bは、鉛直平面VFのうち座席装置の後方向に対応する位置を中心として左右に同じ長さだけ延び、その鉛直平面VFに対して垂直となる帯状のベースブロックB1と、そのベースブロックB1の中心から前部位11Aの近傍にまで延びる帯状のテールブロックB2とされる。左部位11Cは、鉛直平面VFを等分平面とする左右の点P1,P2における左点P1を中心とした略矩形状の開口HLを形成する帯状の左側囲いブロックB3と、左側囲いブロックB3と前部位11Aの左端とを連結する帯状の連結ブロックB4と、左側囲いブロックB3と後部位11BにおけるベースブロックB1の左端とを連結する帯状の連結ブロックB5とされる。右部位11Dは、鉛直平面VFを等分平面とする左右の点P1,P2における右点P2を中心とした略矩形状の開口HRを形成する帯状の右側囲いブロックB6と、右側囲いブロックB6と前部位11Aの右端とを連結する帯状の連結ブロックB7と、右側囲いブロックB6と後部位11BにおけるベースブロックB1の右端とを連結する帯状の連結ブロックB8とされる。
【0036】
このように第1絶縁シート11(各部位11A〜11D)は、座席装置の幅の中心を通る鉛直平面VFを基準として左右対称に形成されている。なお、第1絶縁シート11を左右対称に形成することは必須の条件となるものではないが、製造効率や安定性などの観点では、左右対称に形成される絶縁シートのほうが好ましい。また第1絶縁シート11が可撓性を有していることは必須の条件となるものではないが、柔軟性や安定性などの観点では、可撓性を有する絶縁シートのほうが好ましい。
【0037】
第1電極14A〜14Fは、それぞれ略円形の形状とされる。第1電極14Aと、第1電極14Bは、前部位11Aにおける一方の表面のうち、鉛直平面VFと交わる部分となる線を基準として線対称の関係となり、該鉛直平面VFに対して垂直となる方向へ一列となる位置にそれぞれ設けられ、第1配線16Aにより互いに電気的に接続されている。第1電極14Cと14D、及び、第1電極14Eと14Fは、並列接続対象の組となる。第1電極14Cと14Dは、左部位11Cにおける一方の表面のうち、開口HLの中心を基準として点対称の関係となり、鉛直平面VFに対して垂直となる方向へ一列となる位置にそれぞれ設けられている。第1電極14Eと14Fは、右部位11Dにおける一方の表面のうち、開口HRの中心を基準として点対称の関係となり、鉛直平面VFに対して垂直となる方向へ一列となる位置にそれぞれ設けられている。さらに、一方の組となる第1電極14C及び14Dと、他方の組となる第1電極14E及び14Fとは、同一線上に並べられている。なお、第1電極14A〜第1電極14Fが設けられる表面は、第2電極シート20が対向される側の表面である。
【0038】
端子42A、42Bは、略四角形の形状をなし、テールブロックB2の表面における自由端側の端縁から所定の間隔をあけた位置に、テールブロックB2の長手方向に垂直な方向に沿って並設されている。
【0039】
端子42Aと第1電極14C及び第1電極14Dとは、第1配線16Bにより互いに電気的に接続され、端子42Bと第1電極14E及び第1電極14Fとは、第1配線16Cにより互いに電気的に接続されている。
【0040】
第1配線16Bの一端は端子42Aに接続され、他端はテールブロックB2の表面を直進し、テールブロックB2とベースブロックB1の連結部分において鉛直平面VFを基準として左側に折れ、ベースブロックB1の表面を直進している。そして、ベースブロックB1と連結ブロックB5の連結部分で折れ、連結ブロックB5の表面を直進し、連結ブロックB5と左側囲いブロックB3との連結部分で分岐している。分岐の一方は、左側囲いブロックB3の中心となる点を基準とする鉛直平面VFの左側となる第1電極14Cに接続され、分岐の他方は、左側囲いブロックB3の中心となる点を基準とする鉛直平面VFの右側となる第1電極14Dに接続されている。
【0041】
第1配線16Cの一端は端子42Bに接続され、他端はテールブロックB2の表面を直進し、テールブロックB2とベースブロックB1の連結部分において鉛直平面VFを基準として右側に折れ、ベースブロックB1の表面を直進している。そして、ベースブロックB1と連結ブロックB8の連結部分で折れ、連結ブロックB8の表面を直進し、連結ブロックB8と右側囲いブロックB6との連結部分で分岐している。分岐の一方は、右側囲いブロックB6の中心となる点を基準とする鉛直平面VFの左側となる第1電極14Eに接続され、分岐の他方は、右側囲いブロックB6の中心となる点を基準とする鉛直平面VFの右側となる第1電極14Fに接続されている。
【0042】
このように第1電極シート10では、第1電極14Aと第1電極14Bとが、互いに電気的に接続され、第1電極14C及び第1電極14Dが端子42Aに対して並列接続され、第1電極14E及び第1電極14Fが端子42Bに対して並列接続されている。
【0043】
図4は、
図2に示す第2電極シートを示す平面図である。
図4に示すように、第2電極シート20は、可撓性を有するフィルム状の第2絶縁シート21と、第2絶縁シート21の表面に形成される第2電極24A〜24Fを主な構成要素として有する。なお、第2絶縁シート21における可撓性は、第1絶縁シート11と同程度とされるが、異なっていても良い。
【0044】
第2絶縁シート21は、第1絶縁シート11における前部位11A、後部位11B、左部位11C及び右部位11Dと同形同大でなる前部位21A、後部位21B、左部位21C及び右部位21Dを有する。なお、この第2絶縁シート21と第1絶縁シート11とは異なった形状又は大きさであっても良い。
【0045】
第2電極24A〜24Fは、第1電極14A〜14Fと同形同大とされている。さらに、第2電極24A〜24Fは、第2電極シート20が第1電極シート10と重ね合わせられたときに、第2絶縁シート21の第1電極シート10側の表面において、第1電極14A〜14Fと完全に重なる位置にそれぞれ設けられている。
【0046】
第2電極24Aと、第2電極24C及び第2電極24Dとは、第2配線26Aにより互いに電気的に接続されている。この第2配線26Aの一端は第2電極24Aに接続され、他端は、鉛直平面VFを基準として左側となる前部位21Aの表面を直進し、前部位21Aと左部位21Cの連結ブロックB4で折れる。そして、連結ブロックB4の表面を直進し、連結ブロックB4と左側囲いブロックB3との連結部分で分岐している。分岐の一方は、左側囲いブロックB3の中心となる点を基準として左側となる第2電極24Cに接続され、分岐の他方は、左側囲いブロックB3の中心となる点を基準として右側となる第2電極24Dに接続されている。
【0047】
また第2電極24Bと、第2電極24E及び第2電極24Fとは、第2配線26Bにより互いに電気的に接続されている。この第2配線26Bの一端は第2電極24Bに接続され、他端は、鉛直平面VFを基準として右側となる前部位21Aの表面を直進し、前部位21Aと右部位21Dの連結ブロックB7で折れる。そして、連結ブロックB7の表面を直進し、連結ブロックB7と右側囲いブロックB6との連結部分で分岐している。分岐の一方は、右側囲いブロックB6の中心となる点を基準として左側となる第2電極24Eに接続され、分岐の他方は、右側囲いブロックB6の中心となる点を基準として右側となる第2電極24Fに接続されている。
【0048】
このように第2電極シート20では、第2電極24C及び第2電極24Dが第2電極24Aに対して並列接続され、第2電極24E及び第2電極24Fが第2電極24Bに対して並列接続されている。
【0049】
図5は、第1電極シート10と第2電極シート20との間に挟まれるスペーサを示す平面図である。スペーサ30は、可撓性を有する絶縁シートからなる。そして、
図5に示すように、スペーサ30は、外形が第1電極シート10又は第2電極シート20と一致している。
【0050】
また、スペーサ30には、それぞれ同じ大きさである開口34A〜34Fが形成されている。開口34A〜34Fは、周縁が略円形の形状であり、第1電極14A〜14Fよりも直径が僅かに小さく形成されている。そして、開口34A〜34Fは、スペーサ30を第1電極シート10と重ね合わせて、スペーサ30に垂直な方向に沿って見る場合に、第1電極14A〜14Fのそれぞれの外周の内側にそれぞれの開口34A〜34Fが収まるような位置に形成されている。
【0051】
さらにスペーサ30には、空気抜け用のスリットであり開口34A〜34Fをスペーサ30の外部と空間的に接続するスリット36A〜36Fが形成されている。具体的には、それぞれのスリット36A〜36Fは、一端がスペーサ30の外部と接続されている。そして、スリット36A〜36Fの他端は、対応する開口34A〜34Fと接続されている。
【0052】
なお、スペーサ30の両面には、第1電極シート10及び第2電極シート20と接着されるための図示しない接着剤が塗布されている。
【0053】
図6は、
図2に示すV−V線に沿った断面の様子を示す図である。
図2、
図6に示すように、着座センサ1は、第1電極シート10と第2電極シート20とがスペーサ30を挟んで重ね合わせられており、スペーサ30の両面に塗布された接着剤により互いに固定されて一体化されている。
【0054】
このように第1電極シート10とスペーサ30と第2電極シート20とが、一体化された状態で、着座センサ1に対して垂直な方向から見る場合に、
図2に示すように第1電極シート10の第1電極14D、及び、第2電極シート20の第2電極24Dは、互いに重なっており、スペーサ30に形成されている開口34Dは、第2電極24Dの外周内に収まっている。そして、第1電極14Dと第2電極24Dとは、
図6に示すようにスペーサ30により所定の間隔を空けて互いに対向している。このようにして、第1、第2絶縁シート11、21と、開口34Dが形成されたシート状のスペーサ30と、開口34Dを介して互いに対向する一対の電極14D、24Dとを有する感圧スイッチ40Dが構成されている。
【0055】
同様に他の第1電極14A〜14C,14E〜14Fと、他の第2電極24A〜24C,24E〜24Fとが、それぞれスペーサ30の開口34A〜34C,34E〜34Fにおいて所定の間隔をあけて対向し、
図2に示すように感圧スイッチ40A〜40C,40E〜40Fが構成されている。
【0056】
また、
図2、
図6に示すように、第2電極シート20の表面のうち、スペーサ30に対向される表面に対して反対側となる表面には、弾性力を有し、圧力が加えられると潰れるように変形するクッション部材52が設けられている。また、第1電極シート10の表面のうち、スペーサ30に対向される表面に対して反対側となる表面には、クッション部材51が設けられている。
【0057】
なお、一対のクッション部材51,52は、それぞれ対応する第1電極シート10,第2電極シート20の一方の表面全体にわたって設けられていても良く、第1電極シート10,第2電極シート20の一方の表面のうち、感圧スイッチ40A〜40Fが配置される部分の反対側となる表面部分に設けられていても良い。また一対のクッション部材51,52が、感圧スイッチ40A〜40Fの全体又は一部を覆うように一体として設けられていても良い。少なくとも、スペーサ30に対向される表面に対して反対側となる表面の一部に設けられていれば良い。なお、クッション部材51,52は、便宜上、
図2では省略されている。
【0058】
本実施形態においては、一対のクッション部材51、52が潰れる厚さの合計は、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Fにおける、対向する電極間の距離以上とされている。また、クッション部材51、52は、互いに同じ厚さとされ、それぞれのクッション部材51、52は、同じ材質で、同じ弾性力を有しており、同じ圧力が印加される場合に、同じように潰れるように構成されている。従って、着座センサ1は、第1電極シート10と第2電極シート20のどちらを上にして、使用しても着座の検出感度を同じようにすることができる。
【0059】
図7は、
図2に示す着座センサ1の回路構成を等価回路で示す回路図である。上述のように構成されるそれぞれの感圧スイッチ40A〜40F、及び、それぞれの端子42A、42Bは、
図7に示すように、第1絶縁シート11の表面に形成される第1配線16A〜16C、及び、第2絶縁シート21の表面に形成される第2配線26A、26Bにより互いに接続されている。このように各感圧スイッチ40A〜40Fが接続されることで、着座センサ1の回路が構成されている。
【0060】
また、感圧スイッチ40C及び40Dは、端子42A及び感圧スイッチ40Aに対して並列接続され、感圧スイッチ40E及び40Fは、端子42B及び感圧スイッチ40Bに対して並列接続されている。そして、端子42A、感圧スイッチ40C又は40D、感圧スイッチ40A、感圧スイッチ40B、感圧スイッチ40E又は40F、端子42Bが直列として接続されている。すなわち、端子42Aと、端子42Bとの間の経路に設けられる感圧スイッチ40A〜感圧スイッチ40Fのうち、2組の感圧スイッチ40C及び40D、40E及び40Fは並列接続されている。このため、クッション部材51又は52の押圧力が感圧スイッチ40C又は40D、40E又は40Fの一方にさえ伝われば、他方の感圧スイッチに対して伝わり難いとしても接続状態が維持される。
【0061】
図8は、本発明の実施形態に係る座席装置の様子を示す図である。具体的には、
図8の(A)は、着座センサ1が配置された座席装置9の様子を上方から示す図であり、
図8の(B)は、着座センサ1が配置された座席装置9の様子を側方から示す図である。
図8の(A)及び(B)に示すように、座席装置9は、シートパン92と、シートパン92の上に配置されるクッションパッド93と、背もたれ96と、シートパン92上に配置され、シートパン92とクッションパッド93とにより挟まれている着座センサ1と、を主な構成として備えており、座席装置9は、例えば、車両用の座席装置とされる。
【0062】
シートパン92は、合成の高い金属板が折曲げ加工されて構成されており、
図8の(A)に示すように、クッションパッド93の幅方向の中心を通る鉛直平面VFを基準として、線対称の形状をしている。また、シートパン92には、略中央に略四角形の孔94Aが形成されており、さらに、孔94Aよりも後方に略四角形の孔94Bが形成されている。
図8の(B)に示すように、この孔94Aは、座席装置9に人が正規着座した状態におけるヒップポイントHPよりも前方に形成されており、孔94Bは、ヒップポイントHPよりも僅かに後方に形成されている。
【0063】
なお、「正規着座」とは、臀部が座面の奥深くに位置して、背中が背もたれ96に接触する状態で着座することを意味し、「ヒップポイント」とは、
図9の(B)に示すように、人が着座した状態で、臀部が最も下側に出ている点をいう。
【0064】
そして、このシートパン92により、クッションパッド93が支えられている。このクッションパッド93は、発泡ウレタンから構成されており、クッション性を有する。すなわち、クッションパッド93は、弾性力を有し、押圧力が加わると潰れるように変形する。また、クッションパッド93は、図示しない布製の表皮に覆われている。また、背もたれ96は、クッションパッド93の後方において、クッションパッド93に接触するように、図示しない手段によりシートパン92と接続されている。
【0065】
また、
図8の(B)に示すように、着座センサ1は、車両等の座席装置9におけるシートパン92上に配置され、シートパン92とクッションパッド93とにより挟まれている。また、着座センサ1がこのように配置された状態において、第2絶縁シート21がクッションパッド93側に配置されて、クッション部材52がクッションパッド93と第2絶縁シート21とにより挟まれ、さらに、第1絶縁シート11がシートパン側に配置されて、クッション部材51がシートパン92と第1絶縁シート11とにより挟まれている。
【0066】
そして、
図8の(A)に示すように、シートパン92の孔94Aが、着座センサ1の第1、第2絶縁シート11、21に形成された四角形の開口内に位置するようにして、着座センサ1は配置される。この状態において、感圧スイッチ40A、40Bは、鉛直平面VFを基準とした左側及び右側で互いに対称の関係となり孔94Aの前方となる位置に、クッションパッド93の幅方向(鉛直平面VFに対して垂直となる方向)に沿って配置される。また、並列接続される2組の感圧スイッチ40C及び40D、40E及び40Fは、鉛直平面VFを基準とした左側及び右側で孔94Aを挟んで互いに対称の関係となる位置に、クッションパッド93の幅方向に沿って配置される。上述のように孔94Aは、ヒップポイントHPよりも前方に形成されているため、着座センサ1は、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Fが、シートパン92上における正規着座する人のヒップポイントHPよりも前方となるように配置されている。
【0067】
そして、端子42A、42Bが、孔94Aから導出されて、外部の図示しない電源と測定部に電気的に接続され、端子42A、42Bに電圧が印加される。
【0068】
なお、本実施形態においては、クッションパッド93は、クッション部材51、52と同じ弾性力を有している。従って、クッションパッド93及びクッション部材51、52に対して、同じ押圧力が印加される場合、クッションパッド93とクッション部材51、52は、それぞれ同じように第1絶縁シート11、第2絶縁シート21を押圧する。
【0069】
次に、座席装置9における着座センサ1の動作について説明する。
【0070】
図9は、
図8の(B)において破線で示すように、座席装置9に人が正規着座した状態で、座席装置9のシートパン92が、表皮及びクッションパッド93を介して、人から受ける荷重の分布を示す概念図である。
【0071】
図1を用いて説明したように、人が座席装置に着座する場合、クッションパッドの表面においては、人の臀部が位置する場所に押圧力が集中しているが、
図9に示すように、シートパン92が人の荷重によりクッションパッド93から受ける押圧力は、シートパン92上に広く分散している。そして、人が正規着座する場合、シートパン92に形成された孔94Aと隣接する領域92Aが、クッションパッド93から最も高い押圧力を受け、更に領域92Aの外側の領域92Bが、次に高い押圧力を受け、そして、領域92Bの外側の領域92Cが次に高い押圧力を受ける。このように、人の着座時において、シートパン92は、シートパン92のそれぞれの孔と隣接する領域において、他の部分と比べてクッションパッド93から比較的強い押圧力を受けている。特に、ヒップポイントHPよりも前方で、鉛直平面VF上に形成されている孔94Aと隣接する領域は、孔94Bと隣接する領域や他の孔と隣接する領域よりも強い力で押圧されており、孔94Aの横方向に形成された他の孔と隣接する領域が、孔94Aと隣接する領域の次に強く押圧されている。
【0072】
これは、次のように考えられる。つまり、人が背もたれ96を備える座席装置9に正規着座するとき、人の背中が背もたれ96に接触して、背もたれ96により背中が押され、背中にかかる力が人の臀部を前方に押す。従って、着座する人の臀部は、重力により鉛直方向にクッションパッド93を押圧すると共に、背中からの力により前方に向かってクッションパッド93を押す。こうして、シートパン92がクッションパッド93から受ける押圧力は、正規着座する人のヒップポイントHPよりも前方において、他の部分よりも強くなる。そして、人が着座する際、通常、人はクッションパッドの幅方向の略中心に着座する。従って、クッションパッド93の幅方向の中心付近、すなわち、鉛直平面VFの付近が、大きな力で押圧される傾向がある。こうして、ヒップポイントHPよりも前方で、クッションパッド93の幅方向の中心に形成されている孔94Aと隣接する領域が、孔94Bと隣接する領域や、他の孔と隣接する領域よりも大きな力で押圧されている。なお、本実施形態においては、シートパン92がクッションパッド93から大きな押圧力を受ける場所(最大荷重領域)MGは、孔94Aに横方向に隣接する領域となっている。また、上述のように人が着座する際、通常、人はクッションパッドの幅方向の略中心において、左右対称に着座するため、シートパン92がクッションパッド93から受ける押圧力は、鉛直平面VFに対して略対称になっている。
【0073】
なお、「最大荷重領域MG」とは、シートパンがクッションパッドから最も押圧力を受けていない場所における押圧力を0として、シートパンがクッションパッドから最も大きな押圧力を受けている場所における押圧力を100とする場合に、シートパン92が90以上の押圧力をうける領域をいう。
【0074】
上述のように、着座センサ1の感圧スイッチ40A、40Bは、孔94Aの前方に配置され、2組の感圧スイッチ40C及び40D、40E及び40Fは、孔94Aを挟んでシートパン92の幅方向に配置される。そして、本実施形態では、少なくとも感圧スイッチ40D、40Eが配置されている場所が、最大荷重領域MGと重なっており、残りの感圧スイッチ40A、40B、40C、40Fも、人が正規着座する場合に、比較的大きな押圧力を受ける最大荷重領域MGの近傍に配置されている。従って、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Fは、人が正規着座する場合に、適切に人の着座による押圧力を検知することができる。
【0075】
図10は、座席装置9内に着座センサ1が配置された状態で、例えば感圧スイッチ40Dがオンする様子を
図6と同じ視点で示す図である。なお、
図10においては、理解の容易のため、シートパン92及びクッションパッド93は、一部分のみを示している。
【0076】
人が着座すると、ヒップポイントHPよりも前方で、最大荷重領域MGに配置されている感圧スイッチ40Dは、着座センサ1の両面に対して垂直な方向から、シートパン92及びクッションパッド93によって、矢印で示すように適切に押圧される。つまり、クッション部材52は、座席のクッションパッド93から押圧力を受け、クッション部材51は、シートパン92から押圧力を受ける。このときクッション部材51、52は、押圧力により、潰れるように変形する。そして、第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21は、クッション部材51、52の弾性力により、クッション部材51、52から押圧力を受けて、スペーサ30の開口34Dに入り込むようにして撓む。このため、スペーサ30の開口34Dを介して対向する絶縁シート11、20に設けられた電極14D、24Dが接触する。こうして、感圧スイッチ40Dがオンとなる。
【0077】
そして、鉛直平面VFを基準として、感圧スイッチ40Dと対称な位置に配置されている感圧スイッチ40Eも、感圧スイッチ40Dと同様にして、クッション部材51、52の弾性力により、第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21が押圧されて撓むことでオンになる。また、
図9を用いて上述のように、ヒップポイントHPよりも前方で、最大荷重領域MGの近傍に配置されている感圧スイッチ40A、40B、40C、40Fも、感圧スイッチ40D,40Eと同様にして、クッション部材51、52の弾性力により、第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21が押圧されて撓むことでオンになる。
【0078】
並列接続の組となる感圧スイッチ40C及び40D、40E及び40Fの少なくとも一方がオンになり、感圧スイッチ40A及び40Bがオンになる場合に、端子42Aと端子42Bとが導通する。こうして、着座センサ1により感知する感知信号を図示しない測定部が測定することにより人の着座を検出する。
【0079】
なお、本実施形態の着座センサ1では、上述のように、クッション部材51、52が潰れる厚さの合計が、電極14A〜14Fと電極24A〜24Fとの間の距離以上とされている。従って、クッション部材51、52が撓まずに潰れる変形をすることのみによって、感圧スイッチ40A〜40Fをオンにすることができるため、適切に着座の検出を行うことができる。
【0080】
また、シートパン92と、クッションパッド93が対向される部分にはクッション部材51、52が設けられているため、クッションパッド93の底面が不均一であることに起因して、単位領域当たりの押圧力に差が生じても、その差が緩和される。従って、シートパン92からクッション部材51に加えられる押圧力と、クッションパッド93からクッション部材52に加えられる押圧力とは略同じとなる。そして、本実施形態では、上述のようにクッション部材51、52は、同じ弾性力を有するため、同じ押圧力が加えられると、クッション部材51、52が、絶縁シート11、21を同じ弾性力で押圧する。従って、絶縁シート11、21は、同じように撓み、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Fにおける一対の電極14A〜14F、24A〜24Fは、開口34A〜34F内において、スペーサ30の厚さ方向における、略中心付近において接触する。このため、一方の絶縁シートの撓み量が大きくなるということが抑制されており、着座の検出感度が向上されている。
【0081】
また、第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21が撓む際、各開口34A〜34F内の空気は、スリット36A〜36Fを介して外部に排出される。従って、各感圧スイッチ40A〜40Fがオンになるとき、適切に第1絶縁シート11及び第2絶縁シートが撓むことができ、各感圧スイッチ40A〜40Fの一対の電極が接触し易くされている。
【0082】
以上説明したように、本実施形態の座席装置9によれば、着座センサ1が、シートパン92上に配置されるため、着座センサ1による違和感を防止することができる。また、着座センサ1を構成する感圧スイッチ40A〜40Fのうち、感圧スイッチ40C及び40D、40E及び40Fは並列接続されている。このため、クッションパッド93の押圧力が感圧スイッチ40C又は40D、40E又は40Fの一方にさえ伝われば、他方の感圧スイッチに伝わらないとしても接続状態が維持される。したがって、感圧スイッチの配置位置を変更することなく、底面の不均一に起因する感圧スイッチの感度を、並列接続されていない場合に比べて向上することが可能となる。
【0083】
さらに、感圧スイッチ40A〜40Fのうち、クッションパッド93が対向される部分にはクッション部材51、52が設けられている。このため、クッションパッド93の底面が不均一であることに起因して、単位領域当たりの押圧力に差が生じても、その差が緩和されて感圧スイッチ40A〜40Fに伝達される。つまり、底面の不均一に起因する各感圧スイッチ40A〜40Fに対する伝達効率が向上する。したがって、底面の不均一に起因する感圧スイッチ40A〜40Fの感度がより一段と向上される。
【0084】
さらに、並列接続対象とされる感圧スイッチ40Cと40Dとは座席装置の幅の中心を通る鉛直平面VFに対して垂直となる方向に沿って配置されている。上述したように、人の骨盤は前後方向に比べて左右方向に広がっているため、座席装置9への着座によりシートパン92がクッションパッド93から受ける押圧力は、クッションパッド93の前後方向に比べて幅方向へ大きく広がる。このため、クッションパッド93の底面が不均一であることに起因して、単位領域当たりの押圧力に差が生じたとしても、感圧スイッチ40C又は40Dの一方に伝わる確率は、感圧スイッチ40C及び40Dとを前後方向に並べる場合に比べて向上する。また、感圧スイッチ40Eと40Fとの配置関係も同様である。よって、底面の不均一に起因する各感圧スイッチ40A〜40Fに対する伝達効率が向上する。したがって、底面の不均一に起因する感圧スイッチ40A〜40Fの感度がより一段と向上される。
【0085】
また上述のように、通常、人がクッションパッドの幅方向の略中心に着座した場合、前後方向に比べて左右方向に広がる骨盤に起因して、クッションパッドはその幅方向の中心を通る鉛直平面VFを基準としておおむね左右均等に押圧される。これに対し、荷物は、クッションパッド93の幅方向の中心に置かれるとは限らない。従って、荷物を座席装置9に置く場合においては、シートパン92がクッションパッド93から受ける押圧力は、鉛直平面VFを基準として左右対称にならない傾向にある。本実施形態の2組の感圧スイッチ40C及び40Dと、40E及び40Fとは、座席装置の幅の中心を通る鉛直平面VFを基準として左右対称に配置されるため、人の着座を適切に検出し、荷物を誤検出することを抑制することができる。
【0086】
また上述したように、背もたれ96を備える座席装置9に人が正規着座して、クッションパッド93に荷重がかかるとき、シートパン92がクッションパッド93から受ける押圧力は、正規着座する人のヒップポイントHPよりも前方において、他の部分よりも比較的強い。従って、本実施形態の座席装置9によれば、感圧スイッチ40A〜40Fが、正規着座する人のヒップポイントHPよりも前方に配置されているため、人の着座を適切に検出することができる。そして、座席装置9に用いる着座センサ1の配置方法によれば、着座センサ1をシートパン92上に配置するため、着座センサ1による違和感を防止することができ、さらに、感圧スイッチ40A〜40Fが、正規着座する人のヒップポイントHPよりも前方に配置されるため、人の着座を適切に検出することができる。
【0087】
また、本発明者の知見によれば、感圧スイッチ40A〜40Fがオンするような人の体重ほどの重量を有する荷物は、箱体に収納されていることが多い。そして、このような重量のある箱状の荷物を座席上に置く場合においては、通常、荷物が座席装置9の形状に応じて傾くため、クッションパッド93は、箱の稜線部分から最も荷重を受ける。このため、箱状の荷物の荷重によりシートパン92がクッションパッド93から受ける押圧力は、直線状に広がる傾向がある。しかし、本実施形態の着座センサによれば、感圧スイッチ40A、40Bと、並列接続対象となる各組の感圧スイッチ40C及び40D、40E及び40Fとが非直線状に配置され、シートパン92上において分散している。このため、着座センサ1がシートパン92上に配置された座席装置9によれば、このような重量のある荷物が座席装置9に置かれる場合においても、感圧スイッチ40A、40Bと、並列接続対象となる各組の感圧スイッチ40C及び40D、40E及び40Fの少なくともいずれか一方とがオンになることを抑制することができる。そして、感圧スイッチ40A、40Bと、並列接続対象となる各組の感圧スイッチ40C及び40D、40E及び40Fとは、電気的に直列に接続されているため、一部の感圧スイッチがオンになる場合においても、荷物の配置を人の着座として、誤検出することを抑制することができる。
【0088】
次に、着座センサ1を構成する材料について説明する。
【0089】
第1電極シート10の絶縁シート11、及び、第2電極シート20の絶縁シート21、及び、スペーサ30は、可撓性を有する絶縁性の樹脂から構成される。このような樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)等が挙げられる。中でもPENが耐熱性に優れる観点から好ましい。
【0090】
また、スペーサ30の両面に塗布される接着剤としては、アクリル系の接着剤が好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの一種または二種以上を単量体成分として用いたアクリル系重合体をベースとするものが挙げられる。
【0091】
また、第1電極14A〜14F、及び、第2電極24A〜24F、及び、第1配線16A〜16C、及び、第2配線26A、26B、及び、端子42A、42Bは、導電性ペーストや、めっきにより形成される金属箔等から構成される。このうち一部を導電性ペーストにより構成し、他の部分をめっきによる金属箔により構成しても良い。導電性ペーストとしては、銀ペーストなどの各種金属ペーストやカーボンペースト等が挙げられる。また、めっきにより形成される金属箔としては、銅やニッケル、或いは、これらの積層体等が挙げられる。
【0092】
特に、第1電極14A〜14F、及び、第2電極24A〜24Fの少なくとも一方は、温度の上昇に伴い、抵抗値が上昇する材料から構成されることが好ましい。第1絶縁シート11、第2絶縁シート21のような可撓性を有する樹脂は、通常、温度の上昇と共に撓み易くなり、座席装置9が置かれる環境の温度が上昇すると、弱い押圧力で第1電極14A〜14Fと第2電極24A〜24Fとが接触し易くなる。この場合において、上述のように、第1電極14A〜14F、及び、第2電極24A〜24Fの少なくとも一方が、温度の上昇に伴い抵抗値が上昇する電極であれば、温度の上昇と共に第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21が撓み易くなり、第1電極14A〜14Fと第2電極24A〜24Fとが接触し易くなるが、接触した電極に電流が流れづらくなる。従って、電極同士の接触のしやすさと、電極に流れる電流の流れづらさとが相殺し合って、座席装置9の環境温度が変化する場合においても、感圧スイッチ40A〜40Fがオンとなる押圧力が変化することを抑制することができる。特に、座席装置9が自動車に搭載される場合においては、車内の温度の変化が大きい。そして、一般にシートパン92は金属性であるため、着座センサ1に熱が伝達し易い。従って、上述のように第1電極14A〜14F、及び、第2電極24A〜24Fの少なくとも一方が、温度の上昇に伴い抵抗値が上昇する材料から構成されれば、車内が温度変化する場合においても、適切に人の着座を感知することができる。従って、このような座席装置9は、特に自動車用途に有用である。このような電極としては、銀ペースト上にカーボンペーストが塗布された2層の電極を挙げることができる。
【0093】
また、クッション部材51、52は、上述のように弾性力を有し、潰れるように変形する部材である。このような部材を構成する材料であれば、特に制限されるものではないが、クッション部材51、52の材料としては、多数の空孔が設けられたスポンジ状の樹脂や、弾性力を有する樹脂製の繊維が絡み合った不織布や、ゴム等を挙げることができる。このような樹脂としては、シリコン、ポリエステルの少なくとも一方を含有する樹脂をあげることができ、このような樹脂であれば、温度の変化による弾性力の変化が少ないため、着座センサ1が自動車等の環境温度の変化が大きい場所に配置される場合においても、着座の検出荷重の変化を抑制することができるため好ましい。
【0094】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について
図11〜
図14を参照して詳細に説明する。なお、特に説明する場合を除き、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して、重複する説明は省略する。
図11は、例えば座席装置9に用いられる着座センサを示す平面図である。
【0095】
図11に示すように、本実施形態における着座センサ2では、感圧スイッチ40A〜40Fのうち、並列接続対象とされる感圧スイッチ40Cと40Dの配置位置が、第1実施形態の着座センサ1と異なる。具体的には、感圧スイッチ40Cと40Dとが、クッションパッド93の幅の中心を通る鉛直平面VFに対して平行となる方向へ沿って配置されている点で、その鉛直平面VFに対して垂直となる方向へ沿って配置されている第1実施形態と異なる。また、感圧スイッチ40Eと40Fの配置位置も同様である。
【0096】
図12は、
図11に示す第1電極シートを示す平面図である。
図12に示すように、第1電極14Cと、第1電極14Dは、左部位11Cにおける一方の表面のうち、鉛直平面VFを等分平面とする左右の点P1,P2における左点P1を基準として点対称の関係となり、該鉛直平面VFに対して平行となる方向へ一列となる位置にそれぞれ設けられている。第1電極14Eと、第1電極14Fは、右部位11Dにおける一方の表面のうち、鉛直平面VFを等分平面とする左右の点P1,P2における右点P2を基準として点対称の関係となり、該鉛直平面VFに対して平行となる方向へ一列となる位置にそれぞれ設けられている。
【0097】
なお、第1電極14C及び14Dと、第1電極14E及び14Fとは、鉛直平面VFからそれぞれ同じ距離とされる。また、第1電極14C及び第1電極14Dは第1配線16Bにより端子42Aに対して並列接続され、第1電極14E及び第1電極14Fは第1配線16Cにより端子42Bに対して並列接続されている。
【0098】
図13は、
図11に示す第2電極シートを示す平面図である。
図13に示すように、第2電極24C及び24Dと、第2電極24E及び24Fとは、第2電極シート20が第1電極シート10と重ね合わせられたときに、第1電極14C及び14Dと、第1電極14E及び14Fと完全に重なる位置にそれぞれ設けられている。
【0099】
また第2電極24C及び24Dは、第2配線26Aにより第2電極24Aに対して並列接続され、第2電極24E及び24Fは、第2配線26Bにより第2電極24Bに対して並列接続されている。
【0100】
図14は、
図12に示す第1電極シート10と
図13に示す第2電極シート20との間に挟まれるスペーサを示す平面図である。このスペーサ30には、スペーサ30を第1電極シート10と重ね合わせて、スペーサ30に垂直な方向に沿って見る場合、第1電極14A〜14Fのそれぞれの外周の内側にそれぞれ対応する開口が収まるような位置に開口34A〜34Fが形成される。
【0101】
そして、
図12に示す第1電極シート10と、
図13に示す第2電極シート20とが、
図14に示すスペーサ30を介して重ねられて一体化され、
図11に示すように、感圧スイッチ40C〜40Fが構成されている。
【0102】
また感圧スイッチ40A、40Bは孔94Aの前方に配置され、クッションパッド93の前後方向に並べられる2組の感圧スイッチ40C及び40D、40E及び40Fは、孔94Aを挟んで最大荷重領域MGに配置される。
【0103】
上述したように、着座する人がクッションパッド93を押す力は、重力によって鉛直方向に働くことに加えて、背もたれ96が背中を押す力によって前方向にも働くため、シートパン92がクッションパッド93から受ける押圧力の最大荷重領域MGは、ヒップポイントHPよりも前方側の領域となる。しかし、クッションパッド93の大きさ、形状又は材質などは、メーカーや車種などの違いに応じて異なるものであり、この相違に伴って、ヒップポイントHPから前方側へ移る最大荷重領域MGの程度が異なる。つまり、最大荷重領域MGがヒップポイントHPから前方側となることに変わりはないが、ヒップポイントHPからどのくらい前方側に最大荷重領域MGが位置するのかはクッションパッド93の大きさ、形状又は材質などに応じて異なる。
【0104】
この点、本実施形態における着座センサ2では、感圧スイッチ40Cと40D、及び、40Eと40Fが、クッションパッド93の幅の中心を通る鉛直平面VFに対して平行となる方向に沿って配置されているため、ヒップポイントHPから前方側へ移る最大荷重領域MGの程度が異なった場合であっても適切に着座を感知できる。
【0105】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について
図15〜
図17を参照して詳細に説明する。なお、特に説明する場合を除き、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して、重複する説明は省略する。
図15は、本発明の第2実施形態に係る座席装置に用いられる着座センサを示す平面図である。
【0106】
図15に示すように、本実施形態における着座センサ3は、感圧スイッチ40A〜40Fの第1電極14A〜14Fが櫛歯電極から構成されている点において、第1実施形態の着座センサ1と異なる。
【0107】
図16は、
図15に示す第1電極シートを示す平面図である。
図16に示すように、第1電極14A〜14Fを構成する櫛歯電極は、互いに平行な複数本の導体が一方側において互いに接続されており、更に、互いに平行な他の複数本の導体が他方側において互いに接続されている。そして、一方側で接続された複数本の平行導体の間に、他方側で接続された他の複数本の平行導体が入り込むように配置されており、それぞれの導体が交互に並べられている。そして、一方側で接続された複数本の平行導体と、他方側で接続された他の複数本の平行導体とは、互いに一定の間隔をあけて、互いに絶縁されている。このように櫛歯電極においては、1つの電極内に互いに絶縁されている一組の平行導体を有する。
【0108】
そして、第1電極14C,14Dにおける一方側で接続された複数本の平行導体は、第1実施形態と同様の第1配線16Bに接続され、他方側で接続された他の複数本の平行導体は、第1配線16Dの一端に接続される。第1配線16Dの他端は、第1電極14Aにおける一方側で接続された複数本の平行導体に接続され、第1電極14Aにおける他方側で接続された複数本の平行導体は、第1実施形態と同様の第1配線16Aに接続される。一方、第1電極14E,14Fにおける一方側で接続された複数本の平行導体は、第1実施形態と同様の第1配線16Cに接続され、他方側で接続された他の複数本の平行導体は、第1配線16Eの一端に接続される。第1配線16Eの他端は、第1電極14Bにおける一方側で接続された複数本の平行導体に接続され、第1電極14Bにおける他方側で接続された複数本の平行導体は、第1実施形態と同様の第1配線16Aに接続される。
【0109】
図17は、
図15に示す第2電極シートを示す平面図である。
図17に示すように、本実施形態の第2電極シート20は、第2配線26A、26Bが設けられていない点において、第1実施形態の第2電極シート20と異なる。
【0110】
そして、
図15に示すように、
図16に示す第1電極シート10と
図17に示す第2電極シート20とが、第1実施形態と同様のスペーサ30を介して重ねられて一体化されている。
【0111】
本実施形態の着座センサ3は、第1実施形態の着座センサ1と同様に座席装置に配置され、座席装置に人が着座することにより、クッションパッドとシートパンにより感圧スイッチ40A〜40Fが押圧されると、第2電極24A〜24Fが、第1電極14A〜14Fにおけるそれぞれの平行導体に接触する。このため、第1電極14A〜14Fにおける互いに絶縁されている一組の平行導体同士が、第2電極24A〜24Fを介して、電気的に接続される。こうして、感圧スイッチ40A〜40Fがオンとなる。このように感圧スイッチ40A〜40Fがオンとなることにより、着座センサ3により人の着座が検出される。
【0112】
以上、本発明について、第1実施形態〜第3実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0113】
例えば、上記実施形態では、着座センサ1〜3の感圧スイッチの数が6つとされたが、5つ以下でもよく、7つ以上でも良い。また、並列接続される感圧スイッチの数は2つとされたが、2つ以上であれば良い。さらに、並列接続される感圧スイッチ群40C,40Dと40E,40Fの組が2組であったが、1組又は3組以上でもよい。ただし、並列接続される感圧スイッチ群の組数は、対称性の観点では、偶数であるほうが好ましい。
【0114】
上記第1実施形態では、並列接続対象とされる感圧スイッチ40Cと40D、及び、40Eと40Fが、鉛直平面VFに対して垂直となる方向へ並べられているとしたが、該鉛直平面VFの垂線を境界として、クッションパッドの前後方向にずれた状態で配置されていてもよい。上述したように、最大荷重領域はヒップポイントよりも前方側の領域となるが、そのヒップポイントからどのくらい前方側に最大荷重領域が位置するのかはクッションパッドの大きさ、形状又は材質などに応じて異なる。この点、感圧スイッチの組が、クッションパッド92の前後方向にずれて配置されていれていれば、クッションパッド92の形状等の相違に応じてヒップポイントから前方側へ移る最大荷重領域の程度が変わることに起因する感圧スイッチの非感知が低減される。
【0115】
上記第1実施形態では、並列接続対象とされる感圧スイッチ40Cと40D、及び、40Eと40Fが、クッションパッド93の幅方向に沿って配置され、上記第2実施形態では、クッションパッド93の前後方向に沿って配置されたが、これらを組み合わせるようにしても良い。なお、並列接続対象とされる感圧スイッチの2以上の組同士がクッションパッド93の幅方向に沿ってさえいれば、必ずしも、その組を構成する感圧スイッチ同士が幅方向又は前後方向に沿っていなくても良い。また、並列接続対象とされる感圧スイッチの2以上の組同士がクッションパッド93の幅方向に沿ってさえいれば、必ずしも、その組同士が一列に配置されていなくても良く、組同士の間に非並列接続対象の感圧スイッチが介在していても良い。
【0116】
上記実施形態では、並列接続対象の組となる感圧スイッチ40Cと40D、40Eと40Fの配置位置が、互いに同じ高さ位置とされたが、互いに異なる高さ位置とされていてもよい。具体的には、例えば、着座センサ1,2又は3のクッション部材51又は52の厚みが、中心に近づくほど薄くされる。このようにすれば、感圧スイッチ40C、40Fに対してヒップポイントからの距離が近い感圧スイッチ40D、40Eの高さ位置が低くなる。このため、クッション部材51又は52の厚みが同じである場合に比べて、ヒップポイントHPに対する各感圧スイッチ40C〜40Fまでの距離を同等とすることが可能となる。したがって、外側に配置される感圧スイッチ40C、40Fの感度が、クッション部材51又は52の厚みが同じである場合に比べて、向上する。なお、鉛直平面VFを基準として左右異なる厚みとしても良い。
【0117】
また、上記実施形態では、感圧スイッチ40Aと40B、並列接続対象の感圧スイッチ40C,40Dと40E,40Fが、鉛直平面VFを境界として左右対称となるように配置されているとしたが、鉛直平面VFを境界として、一方側のみに配置されても良い。
【0118】
また、各感圧スイッチ40A〜40Fにおける、第1電極14A〜14Fと第2電極24A〜24Fとは形状、大きさが一致しており、互いに完全に重なるものとされたが、押圧力を感知できる範囲で、大きさや形状等が異なっていても良い。例えば、感圧スイッチ40A,40Bにおける開口34A、34Bの直径が、感圧スイッチ40C〜40Fにおける開口34C〜34Fの直径よりも大きく形成されても良い。つまり少なくとも2つの感圧スイッチが、互いに開口の直径が異なるようにしても良い。人が座席装置に着座する場合において、シートパン92がクッションパッド93から受ける押圧力は、シートパン92の場所により異なるが、着座センサ1をこのように構成することにより、シートパン92上において、クッションパッド93から比較的小さな押圧力がかかる場所に開口の直径が大きな感圧スイッチを配置して、比較的大きな押圧力がかかる場所に開口の直径が小さな感圧スイッチを配置することができる。このように着座センサを配置することにより、クッションパッド93上に人が着座して、スペーサ30に形成された開口の直径が互いに異なるそれぞれの感圧スイッチに対して、異なる押圧力がかかる場合に、それぞれの感圧スイッチにおける絶縁シート11、21が適切に撓み、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Fが適切にオンすることができる。このため、人の着座を適切に検出することができる。そして、このように少なくとも2つの感圧スイッチが、互いに開口の直径が異なる場合においては、互いに開口の直径が異なるそれぞれの感圧スイッチは、互いに電気的に直列に接続されていることが好ましい。
【0119】
またさらに、上記の様に、少なくとも2つの感圧スイッチが、互いに開口の直径が異なるようにする場合、さらに、開口の直径が互いに等しい少なくとも2つの感圧スイッチを備え、鉛直平面VFを基準とした左側及び右側に、開口の直径が互いに等しい感圧スイッチが少なくとも1つずつ配置されることが好ましい。人は、通常、クッションパッド93の幅方向の中心に着座するため、人の着座をより適切に検出して、クッションパッド93の幅方向に中心に配置されない荷物を人の着座として荷物を誤検出することを抑制することができる。そして、このように構成する場合、さらに鉛直平面VFの左側及び右側に配置される開口の直径が互いに等しい感圧スイッチの少なくとも一組は、クッションパッド93の幅方向に沿って配置されていることが好ましく、鉛直平面VFの左側及び右側に配置される開口の直径が互いに等しい感圧スイッチの少なくとも一組は、鉛直平面VFを基準として互いに対称な位置に配置されていることがより好ましい。このように構成することにより、人の着座を更に適切に検出し、荷物を人の着座として誤検出することを更に抑制できる。このように構成するには、例えば、感圧スイッチ40A〜40Fの位置が上述の実施形態と同様にされ、感圧スイッチ40A,40Bにおける開口34A、34Bの直径が、感圧スイッチ40C〜40Fにおける開口34C〜34Fの直径よりも大きく形成され、さらに、感圧スイッチ40C,40Dと40Bにおける開口34C,34Dと34Bを同じ直径にして、感圧スイッチ40E,40Fと40Aにおける開口34E,34Fと34Aを同じ直径にすれば良い。
【0120】
更に、上記実施形態において、クッション部材52を設けず、クッション部材51のみが設けられる構成であっても良い。この場合においても、着座センサ1は、従って、クッション部材51が、シートパン側の絶縁シート11がスペーサの開口に入り込むように、絶縁シート11を押圧し、クッションパッド93側の絶縁シート21は、クッションパッド93の弾性力により、スペーサ30の開口34A〜34Fに入り込むように撓む。こうして、一対の絶縁シートが撓むことにより、スペーサの開口を介して対向する一対の電極同士が接触することができるので、適切に感圧スイッチをオンすることができ、着座を適切に検出することができる。さらに、クッション部材51、52は、必ずしも必要ではない。この場合においても、クッションパッド93が、絶縁シート21を押圧することで、人の着座を感知することができる。
【0121】
また、上記実施形態のように、一対のクッション部材51、52が設けられている場合、クッション部材51、52は、同じ弾性力を有し、同じ厚さとされたが、本発明は、これに限らず、クッション部材51、52が互いに異なる弾性力を有しても良く、互いに異なる厚さであっても良い。
【0122】
また、上記実施形態のように、一対のクッション部材51、52が設けられている場合、クッション部材51、52は、着座センサ1に垂直な方向から見る場合に、互いに異なる形状であっても良い。この場合、クッション部材51は、第1絶縁シート11を介して少なくともスペーサ30の開口34A〜34Fを覆い、クッション部材52は、第2絶縁シート21を介して、少なくともスペーサ30の開口34A〜34Fを覆うように配置されていれば良く、クッション部材51、52の少なくとも一方が、スペーサ30の開口と重なる位置のみに設けられていてもよい。
【0123】
また、上記実施形態においては、第1絶縁シート11と第2絶縁シート21とが、互いに同じ可撓性を有し、同じ力が加わると同じように撓むとしたが、第1絶縁シート11と第2絶縁シート21とは、互いに異なる可撓性を有していても良い。