特許第5738697号(P5738697)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 豊興工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5738697-ソレノイド駆動回路 図000002
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5738697
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】ソレノイド駆動回路
(51)【国際特許分類】
   H02H 9/02 20060101AFI20150604BHJP
   H01F 7/18 20060101ALI20150604BHJP
   F16K 31/06 20060101ALI20150604BHJP
【FI】
   H02H9/02 E
   H01F7/18 L
   F16K31/06 310Z
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-154615(P2011-154615)
(22)【出願日】2011年7月13日
(65)【公開番号】特開2013-21853(P2013-21853A)
(43)【公開日】2013年1月31日
【審査請求日】2014年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241267
【氏名又は名称】豊興工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】赤堀 作一
【審査官】 大手 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−177818(JP,A)
【文献】 特開2010−103262(JP,A)
【文献】 特開昭59−155906(JP,A)
【文献】 実開平3−94743(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 9/02
F16K 31/06
H01F 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁弁の弁体を駆動する第1ソレノイドと第2ソレノイドとを備え、第1ソレノイドと第2ソレノイドがともに非通電で、電磁弁の弁体を中立位置に位置し、第1ソレノイドを通電して弁体を一方向に駆動すると共に、第2ソレノイドを通電して弁体を他方向に駆動するソレノイド駆動回路において、直流電源に対し第1ソレノイドと第2ソレノイドとを並列に電気接続し、前記直流電源と第1ソレノイドとは第1回路と第2回路とで電気接続すると共に、前記直流電源と第2ソレノイドとは前記直流電源と第1ソレノイドとを電気接続する第1回路と格別の第3回路と前記直流電源と第1ソレノイドとを電気接続する共通の第2回路で電気接続し、第1回路には第1回路側から第2回路側へ電流が流れることを阻止するよう第1ソレノイドと直列に第1ダイオードを配設し、第3回路には第3回路側から第2回路側へ電流が流れることを阻止するよう第2ソレノイドと直列に第2ダイオードを配設し、第2回路には作動信号の付与で閉作動して第1ソレノイドもしくは第2ソレノイドと前記直流電源との間を電気接続すると共に、作動信号の解除で開作動して第1ソレノイドもしくは第2ソレノイドと前記直流電源との間の電気接続を遮断するスイッチング素子を配設し、前記直流電源から第1ソレノイドもしくは第2ソレノイドへ流れる電流の遮断により誘起されるサージ電流を吸収するサージ吸収手段を前記スイッチング素子と並列に電気接続してスイッチング回路を構成し、サージ電流を前記スイッチング回路の前記サージ吸収手段で吸収するようサージ電流を循環する整流素子を第2回路に分岐接続する第4回路に配設し、第4回路を第1回路へ第5回路で電気接続すると共に、第4回路を第3回路へ第6回路で電気接続し、第5回路には第4回路側から第1回路側へ電流が流れることを阻止するよう第3ダイオードを配設し、第6回路には第4回路側から第3回路側へ電流が流れることを阻止するよう第4ダイオードを配設し、各ソレノイドへの通電に応じて前記スイッチング素子を閉作動するよう作動信号を前記スイッチング素子に付与する作動回路を前記直流電源と前記スイッチング素子との間を電気接続して設け、前記直流電源から各ソレノイドへ流れる電流を遮断したときに前記サージ吸収手段から流れるサージ電流により閉作動する第2スイッチング素子を前記整流素子と直列に第4回路に配設し、第2スイッチング素子は閉作動により前記スイッチング素子へ付与する作動信号を解除するよう前記スイッチング素子に電気接続したことを特徴とするソレノイド駆動回路。
【請求項2】
前記スイッチング素子を電界効果トランジスタとし、前記第2スイッチング素子をPNP型のトランジスタとし、電界効果トランジスタのゲートをトランジスタのコレクタに電気接続したことを特徴とする請求項1に記載のソレノイド駆動回路。
【請求項3】
前記作動回路は前記電界効果トランジスタのゲートを前記第1回路へ第7回路で電気接続すると共に、前記第3回路へ第8回路で電気接続し、第7回路には前記第1回路側から前記第3回路側へ電流が流れることを阻止する第5ダイオードと前記第1ソレノイドへの通電により発光する第1発光素子とを直列に配設し、第8回路には前記第3回路側から前記第1回路側へ電流が流れることを阻止する第6ダイオードと前記第2ソレノイドへの通電により発光する第2発光素子とを直列に配設したことを特徴とする請求項2に記載のソレノイド駆動回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁弁の弁体を駆動するソレノイドに対する直流の駆動電流の遮断時に発生するサージエネルギーの迅速な吸収が可能とされるソレノイド駆動回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のソレノイド駆動回路は、電磁弁の弁体を駆動するソレノイドにスイッチング回路を直列に接続し、スイッチング回路はエミッタ・コレクタ間に抵抗を接続したトランジスタから構成し、ソレノイドおよびスイッチング回路にダイオードを並列に接続し、直流の駆動電流の遮断時に、ソレノイドに発生するサージエネルギーがスイッチング回路の抵抗およびダイオードによって吸収し、オフ作動の遅れを短縮するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平7−39249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、かかる従来のソレノイド駆動回路では、電磁弁の弁体を駆動するソレノイドを2個備えると、各ソレノイドにそれぞれスイッチング回路を必要とするため、部品点数が増加し、構成が複雑になる問題点があった。
【0005】
本発明の課題は、電磁弁の弁体を駆動する2個のソレノイドを、共通のスイッチング回路で制御し、部品点数を低減して構成を簡素化し、各ソレノイドへの電流遮断時に各ソレノイドのオフ作動の遅れを短縮し得るソレノイド駆動回路を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を達成すべく、本発明は次の手段をとった。即ち、
電磁弁の弁体を駆動する第1ソレノイドと第2ソレノイドとを備え、第1ソレノイドと第2ソレノイドがともに非通電で、電磁弁の弁体を中立位置に位置し、第1ソレノイドを通電して弁体を一方向に駆動すると共に、第2ソレノイドを通電して弁体を他方向に駆動するソレノイド駆動回路において、直流電源に対し第1ソレノイドと第2ソレノイドとを並列に電気接続し、前記直流電源と第1ソレノイドとは第1回路と第2回路とで電気接続すると共に、前記直流電源と第2ソレノイドとは前記直流電源と第1ソレノイドとを電気接続する第1回路と格別の第3回路と前記直流電源と第1ソレノイドとを電気接続する共通の第2回路で電気接続し、第1回路には第1回路側から第2回路側へ電流が流れることを阻止するよう第1ソレノイドと直列に第1ダイオードを配設し、第3回路には第3回路側から第2回路側へ電流が流れることを阻止するよう第2ソレノイドと直列に第2ダイオードを配設し、第2回路には作動信号の付与で閉作動して第1ソレノイドもしくは第2ソレノイドと前記直流電源との間を電気接続すると共に、作動信号の解除で開作動して第1ソレノイドもしくは第2ソレノイドと前記直流電源との間の電気接続を遮断するスイッチング素子を配設し、前記直流電源から第1ソレノイドもしくは第2ソレノイドへ流れる電流の遮断により誘起されるサージ電流を吸収するサージ吸収手段を前記スイッチング素子と並列に電気接続してスイッチング回路を構成し、サージ電流を前記スイッチング回路の前記サージ吸収手段で吸収するようサージ電流を循環する整流素子を第2回路に分岐接続する第4回路に配設し、第4回路を第1回路へ第5回路で電気接続すると共に、第4回路を第3回路へ第6回路で電気接続し、第5回路には第4回路側から第1回路側へ電流が流れることを阻止するよう第3ダイオードを配設し、第6回路には第4回路側から第3回路側へ電流が流れることを阻止するよう第4ダイオードを配設し、各ソレノイドへの通電に応じて前記スイッチング素子を閉作動するよう作動信号を前記スイッチング素子に付与する作動回路を前記直流電源と前記スイッチング素子との間を電気接続して設け、前記直流電源から各ソレノイドへ流れる電流を遮断したときに前記サージ吸収手段から流れるサージ電流により閉作動する第2スイッチング素子を前記整流素子と直列に第4回路に配設し、第2スイッチング素子は閉作動により前記スイッチング素子へ付与する作動信号を解除するよう前記スイッチング素子に電気接続したことを特徴とするソレノイド駆動回路がそれである。
【0007】
この場合、前記スイッチング素子を電界効果トランジスタとし、前記第2スイッチング素子をPNP型のトランジスタとし、電界効果トランジスタのゲートをトランジスタのコレクタに電気接続しても良い。また、前記作動回路は前記電界効果トランジスタのゲートを前記第1回路へ第7回路で電気接続すると共に、前記第3回路へ第8回路で電気接続し、第7回路には前記第1回路側から前記第3回路側へ電流が流れることを阻止する第5ダイオードと前記第1ソレノイドへの通電により発光する第1発光素子とを直列に配設し、第8回路には前記第3回路側から前記第1回路側へ電流が流れることを阻止する第6ダイオードと前記第2ソレノイドへの通電により発光する第2発光素子とを直列に配設しても良い。
【発明の効果】
【0008】
以上詳述したように、請求項1に記載の発明は、第1ソレノイドの通電状態では、電流が直流電源より第2回路、スイッチング素子、第1ダイオード、第1ソレノイド、第1回路を流れる。そして、直流電源から第1ソレノイドへ流れる電流を遮断すると、第2スイッチング素子が閉作動し、直流電源から第1ソレノイドへ流れる電流の遮断により誘起されるサージ電流が、第1回路より第5回路、第3ダイオードを介して第2スイッチング素子より整流素子を介して第2回路側に流れて、スイッチング素子に付与していた作動信号が第2回路側と同電位となって作動信号が解除され、スイッチング素子が開作動する。そして、直流電源から第1ソレノイドへ流れる電流の遮断により誘起されるサージ電流を整流素子で循環してスイッチング回路のサージ吸収手段で吸収し、第1ソレノイドのオフ作動の遅れを短縮するようにしている。また、第2ソレノイドの通電状態では、電流が直流電源より第2回路、スイッチング素子、第2ダイオード、第2ソレノイド、第3回路を流れる。そして、直流電源から第2ソレノイドへ流れる電流を遮断すると、第2スイッチング素子が閉作動し、直流電源から第2ソレノイドへ流れる電流の遮断により誘起されるサージ電流が、第3回路より第6回路、第4ダイオードを介して第2スイッチング素子より整流素子を介して第2回路側に流れて、スイッチング素子に付与していた作動信号が第2回路側と同電位となって作動信号が解除され、スイッチング素子が開作動する。そして、直流電源から第2ソレノイドへ流れる電流の遮断により誘起されるサージ電流を整流素子で循環してスイッチング回路のサージ吸収手段で吸収し、第2ソレノイドのオフ作動の遅れを短縮するようにしている。このため、第1ソレノイドおよび第2ソレノイドを共通のスイッチング素子、サージ吸収手段、整流素子、第2スイッチング素子で制御できるから、電磁弁の弁体を駆動する2個のソレノイドを、共通のスイッチング回路で制御でき、部品点数を低減して構成を簡素化できて、各ソレノイドへの電流遮断時に各ソレノイドのオフ作動の遅れを短縮することができる。
【0009】
また、請求項1に記載の発明は、各ソレノイドへの電流を遮断したときにサージ吸収手段から流れるサージ電流により閉作動する第2スイッチング素子を整流素子と直列に第4回路に配設している。このため、サージ電流を循環する整流素子を配設する第4回路を利用して第2スイッチング素子を配設できるから、第2スイッチング素子を配設するための格別な回路を不要にできて構成の一層の簡素化を図ることができる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の効果に加え、スイッチング素子を電界効果トランジスタとし、第2スイッチング素子をPNP型のトランジスタとし、電界効果トランジスタのゲートをトランジスタのコレクタに電気接続した。このため、スイッチング素子としての電解効果トランジスタへ付与する作動信号を解除する第2スイッチング素子は、小容量で安価なトランジスタでよく、廉価に製作することができる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明の効果に加え、作動回路は電界効果トランジスタのゲートを第1回路へ第7回路で電気接続すると共に、第3回路へ第8回路で電気接続し、第7回路には第1回路側から第3回路側へ電流が流れることを阻止する第5ダイオードと第1ソレノイドへの通電により発光する第1発光素子とを直列に配設し、第8回路には第3回路側から第1回路側へ電流が流れることを阻止する第6ダイオードと第2ソレノイドへの通電により発光する第2発光素子とを直列に配設した。このため、作動回路に各ソレノイドへの通電を発光で表示する発光素子を配設できるから、発光素子を配設するための格別な回路を不要にできて構成のより一層の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態を示したソレノイド駆動回路の電気回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づき説明する。
図1において、1は直流電源で、図示しない電磁弁の弁体を一方向に駆動する第1ソレノイド2と弁体を一方向と反対側の他方向に駆動する第2ソレノイド3とを並列に電気接続している。4は直流電源1と第1ソレノイド2との間を電気接続する第1回路、5は直流電源1と第2ソレノイド3との間を電気接続する第3回路、6は直流電源1と第1ソレノイド2との間および直流電源1と第2ソレノイド3との間を共通に電気接続する第2回路である。第1回路4には常時開の第1の接点7と第1ソレノイド2と第1ダイオード8とを直流電源1の陰極側から陽極側に向かって直列に配設している。第3回路5には常時開の第2の接点9と第2ソレノイド3と第2ダイオード10とを直流電源1の陰極側から陽極側に向かって直列に配設している。第1ダイオード8は第1回路4側から第2回路6側へ電流が流れることを阻止するよう配設し、第2ダイオード10は第3回路5側から第2回路6側へ電流が流れることを阻止するよう配設している。
【0014】
第2回路6には、作動信号の付与で閉作動して第1ソレノイド2もしくは第2ソレノイド3と直流電源1との間を電気接続すると共に、作動信号の解除で開作動して第1ソレノイド2もしくは第2ソレノイド3と直流電源1との間の電気接続を遮断するスイッチング素子11を配設している。スイッチング素子11は、電界効果トランジスタでチャンネル反転層がp形のMOSFET(JIS C 5610−1996)であり、ドレンを両ソレノイド2、3側に、ソースを直流電源の陽極側に、ゲートを後述詳記する作動回路12と第2スイッチング素子13にそれぞれ電気接続している。14はスイッチング素子11と並列に電気接続してスイッチング回路を構成したサージ吸収手段としてのバリスタで、第1の接点7もしくは第2の接点9の閉状態からの開操作で直流電源1から第1ソレノイド2もしくは第2ソレノイド3へ流れる電流の遮断により誘起されるサージ電流を吸収する。15は第2回路6に分岐接続する第4回路で、サージ電流を循環する整流素子としてのダイオード16と第2スイッチング素子13とを直列に配設している。第4回路15は第5回路17を介して第1回路4へ電気接続すると共に、第6回路18を介して第3回路5へ電気接続する。第5回路17には第4回路15側から第1回路4側へ電流が流れることを阻止するよう第3ダイオード19を配設し、第6回路18には第4回路15側から第3回路5側へ電流が流れることを阻止するよう第4ダイオード20を配設している。
【0015】
作動回路12は、電界効果トランジスタ11のゲートを第1回路4へ電気接続する第7回路21と、前記ゲートを第3回路5へ電気接続する第8回路22とを備え、第1ソレノイド2もしくは第2ソレノイド3への通電に応じて、この通電する電流の一部を作動信号として第2回路6より電界効果トランジスタ11のゲートに付与し、電界効果トランジスタ11を閉作動する。第7回路21には第1回路4側から第3回路5側へ電流が流れることを阻止する第5ダイオード23と第1ソレノイド2への通電により発光する第1発光素子としての第1発光ダイオード24とを直列に配設している。第8回路22には第3回路5側から第1回路4側へ電流が流れることを阻止する第6ダイオード25と第2ソレノイド3への通電により発光する第2発光素子としての第2発光ダイオード26とを直列に配設している。
【0016】
第2スイッチング素子13は、PNP型のトランジスタで、コレクタを電界効果トランジスタ11のゲートと第4回路15のダイオード16側に、エミッタを第4回路15の第5回路17、第6回路18への接続側に、ベースを第2回路6側にそれぞれ電気接続している。そして、第2スイッチング素子13は、直流電源1から第1ソレノイド2もしくは第2ソレノイド3へ電流を流しているときにはエミッタからベースに電圧が印加されないため開作動すると共に、直流電源1から第1ソレノイド2もしくは第2ソレノイド3へ流れる電流を遮断したときにバリスタ14から第1回路4、第5回路17もしくは第3回路5、第6回路18を流れるサージ電流に起因してエミッタからベースに電圧が印加されて閉作動し、サージ電流が第5回路17もしくは第6回路18より第2スイッチング素子13のエミッタ、コレクタを通して第2回路6側へ流れ、電界効果トランジスタ11のゲートに付与していた作動信号が第2回路6側と同電位となって作動信号を解除し、電界効果トランジスタ11を開作動する。27は電界効果トランジスタ11のゲートと作動回路12との間に配設した抵抗、28は電界効果トランジスタ11のゲートと第2回路6との間に配設した抵抗である。抵抗27、28は電界効果トランジスタ11のゲートに付与する作動信号を所定の電圧にすると共に、第1発光ダイオード24、第2発光ダイオード26に流れる電流を制限する。29はコンデンサで、抵抗28と並列に電界効果トランジスタ11のゲートと第2回路6との間に配設し、電界効果トランジスタ11のゲートに付与する作動信号のノイズを除去して電位を安定させる。
【0017】
次に、かかる構成の作動を説明する。
図1に示す状態は、第1の接点7と第2の接点9がともに開状態で、第1ソレノイド2と第2ソレノイド3はともに非通電となっており、図示しない弁体は中立位置に位置している。
【0018】
この状態で、第1の接点7を閉操作すると、直流電源1の陽極側からの電流が、第2回路6から抵抗28、27、第5ダイオード23、第1発光ダイオード24、第7回路21、第1回路4より直流電源1の陰極側に流れて第1発光ダイオード24を発光すると共に、第2回路6から抵抗28を流れた電流が電界効果トランジスタ11のゲートに付与され電界効果トランジスタ11を閉作動する。そして、直流電源1の陽極側から第2回路6に流れた電流は、閉作動した電界効果トランジスタ11、第1ダイオード8、第1ソレノイド2、第1回路4を通り、直流電源1の陰極側に流れ、第1ソレノイド2が通電されて弁体を一方向に移動させる。このとき、第2の接点9は開状態で、第2ソレノイド3は通電されない。また、第2スイッイング素子13は、エミッタからベースに電圧が印加されず開状態である。
【0019】
この状態で、第1の接点7を開操作すると、第1ソレノイド2を非通電にし、一方向に移動した弁体をばね力等で中立位置に復帰する。このとき、直流電源1から第1ソレノイド2へ流れる電流の遮断により第1ソレノイド2に逆起電圧が発生し、第2スイッチング素子13はエミッタからベースに電圧が印加されて閉作動し、電界効果トランジスタ11はサージ電流が第5回路17より第2スイッチング素子13のエミッタ、コレクタを通して第2回路6側へ流れ、電界効果トランジスタ11のゲートに付与していた作動信号が第2回路6側と同電位となって作動信号が解除されて開作動する。第2回路6より第1ダイオード8を介して第1ソレノイド2に流れる電流は、第1回路4、第5回路17、第3ダイオード19、閉作動した第2スイッチング素子13、第4回路15、ダイオード16、第2回路6、開作動した電界効果トランジスタ11と並列に電気接続したバリスタ14を通って循環し、バリスタ14でサージ電流を吸収して第1ソレノイド2を非通電にするオフ作動の遅れを短縮する。そして、逆起電圧がなくなると第2スイッチング素子13はベースに電圧が印加されなくなり開作動する。
【0020】
弁体が中立位置にある図1の状態で、第2の接点9を閉操作すると、直流電源1の陽極側からの電流が、第2回路6から抵抗28、27、第6ダイオード25、第2発光ダイオード26、第8回路22、第3回路5より直流電源1の陰極側に流れて第2発光ダイオード26を発光すると共に、第2回路6から抵抗28を流れた電流が電界効果トランジスタ11のゲートに付与され電界効果トランジスタ11を閉作動する。そして、直流電源1の陽極側から第2回路6に流れた電流は、閉作動した電界効果トランジスタ11、第2ダイオード10、第1ソレノイド3、第3回路5を通り、直流電源1の陰極側に流れ、第2ソレノイド2が通電されて弁体を一方向と反対側の他方向に移動させる。このとき、第1の接点7は開状態で、第1ソレノイド2は通電されない。また、第2スイッイング素子13は、エミッタからベースに電圧が印加されず開状態である。
【0021】
この状態で、第2の接点9を開操作すると、第2ソレノイド3を非通電にし、他方向に移動した弁体をばね力等で中立位置に復帰する。このとき、直流電源1から第2ソレノイド3へ流れる電流の遮断により第2ソレノイド3に逆起電圧が発生し、第2スイッチング素子13はエミッタからベースに電圧が印加されて閉作動し、電界効果トランジスタ11はサージ電流が第6回路18より第2スイッチング素子13のエミッタ、コレクタを通して第2回路6側へ流れ、電界効果トランジスタ11のゲートに付与していた作動信号が第2回路6側と同電位となって作動信号が解除されて開作動する。第2回路6より第2ダイオード10を介して第2ソレノイド3に流れる電流は、第3回路5、第6回路18、第4ダイオード20、閉作動した第2スイッチング素子13、第4回路15、ダイオード16、第2回路6、開作動した電界効果トランジスタ11と並列に電気接続したバリスタ14を通って循環し、バリスタ14でサージ電流を吸収して第2ソレノイド3を非通電にするオフ作動の遅れを短縮する。そして、逆起電圧がなくなると第2スイッチング素子13はベースに電圧が印加されなくなり開作動する。
【0022】
かかる作動において、第1の接点7の開操作で、直流電源1から第1ソレノイド2へ流れる電流を遮断すると、第2スイッチング素子13が閉作動し、直流電源1から第1ソレノイド2へ流れる電流の遮断により誘起されるサージ電流が、第1回路4より第5回路17、第3ダイオード19を介して第2スイッチング素子13よりダイオード16を介して第2回路6側に流れて、電界効果トランジスタ11に付与していた作動信号が第2回路6側と同電位となって作動信号が解除され、電界効果トランジスタ11が開作動する。そして、直流電源1から第1ソレノイド2へ流れる電流の遮断により誘起されるサージ電流をダイオ−ド16で循環してバリスタ14で吸収し、第1ソレノイド2のオフ作動の遅れを短縮するようにしている。また、第2の接点9の開操作で、直流電源1から第2ソレノイド3へ流れる電流を遮断すると、第2スイッチング素子13が閉作動し、直流電源1から第2ソレノイド3へ流れる電流の遮断により誘起されるサージ電流が、第3回路5より第6回路18、第4ダイオード20を介して第2スイッチング素子13よりダイオード16を介して第2回路6側に流れて、電界効果トランジスタ11に付与していた作動信号が第2回路6側と同電位となって作動信号が解除され、電界効果トランジスタ11が開作動する。そして、直流電源1から第2ソレノイド3へ流れる電流の遮断により誘起されるサージ電流をダイオ−ド16で循環してバリスタ14で吸収し、第2ソレノイド3のオフ作動の遅れを短縮するようにしている。このため、第1ソレノイド2および第2ソレノイド3を共通の電界効果トランジスタ11、バリスタ14、ダイオード16、第2スイッチング素子13で制御できるから、電磁弁の弁体を駆動する2個のソレノイド2、3を、共通のスイッチング回路で制御でき、部品点数を低減して構成を簡素化できて、各ソレノイド2、3への電流遮断時に各ソレノイド2、3のオフ作動の遅れを短縮することができる。
【0023】
また、各ソレノイド2、3への電流を遮断したときにバリスタ14から流れるサージ電流により閉作動する第2スイッチング素子13をダイオード16と直列に第4回路15に配設しているため、サージ電流を循環するダイオード16を配設する第4回路15を利用して第2スイッチング素子13を配設できるから、第2スイッチング素子13を配設するための格別な回路を不要にできて構成の一層の簡素化を図ることができる。
【0024】
また、スイッチング素子を電界効果トランジスタ11とし、第2スイッチング素子をPNP型のトランジスタ13とし、電界効果トランジスタ11のゲートをトランジスタ13のコレクタに電気接続したため、電解効果トランジスタ11へ付与する作動信号を解除する第2スイッチング素子13は、小容量で安価なトランジスタでよく、廉価に製作することができる。
【0025】
また、作動回路12は電界効果トランジスタ11のゲートを第1回路4へ第7回路21で電気接続すると共に、第3回路5へ第8回路22で電気接続し、第7回路21には第1回路4側から第3回路5側へ電流が流れることを阻止する第5ダイオード23と第1ソレノイド2への通電により発光する第1発光ダイオード24とを直列に配設し、第8回路22には第3回路5側から第1回路4側へ電流が流れることを阻止する第6ダイオード25と第2ソレノイド3への通電により発光する第2発光ダイオード26とを直列に配設した。このため、作動回路12に各ソレノイド2、3への通電を発光で表示する発光ダイオード24、26を配設できるから、発光ダイオード24、26を配設するための格別な回路を不要にできて構成のより一層の簡素化を図ることができる。
【0026】
なお、一実施形態では、第1ソレノイド2もしくは第2ソレノイド3への電流の遮断により誘起されるサージ電流を吸収するサージ吸収手段としてバリスタ14を適用したが、抵抗であっても良い。また、発光素子を発光ダイオード24、26としたが、ランプであっても良いことは勿論である。
【符号の説明】
【0027】
1:直流電源
2:第1ソレノイド
3:第2ソレノイド
4:第1回路
5:第3回路
6:第2回路
8:第1ダイオード
10:第2ダイオード
11:電界効果トランジスタ(スイッチング素子)
12:作動回路
13:トランジスタ(第2スイッチング素子)
14:バリスタ(サージ吸収手段)
15:第4回路
16:ダイオード(整流素子)
17:第5回路
18:第6回路
19:第3ダイオード
20:第4ダイオード
図1