特許第5738757号(P5738757)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5738757高融点合金で作られた外科用縫合針のレーザー孔開加工後の応力緩和
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5738757
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】高融点合金で作られた外科用縫合針のレーザー孔開加工後の応力緩和
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/06 20060101AFI20150604BHJP
   B23K 26/352 20140101ALI20150604BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20150604BHJP
   B23K 26/382 20140101ALI20150604BHJP
   C22F 1/00 20060101ALI20150604BHJP
   B23K 31/00 20060101ALN20150604BHJP
【FI】
   A61B17/06 310
   B23K26/00 E
   B23K26/00 G
   B23K26/38 330
   C22F1/00 675
   C22F1/00 691B
   C22F1/00 691C
   !B23K31/00 B
【請求項の数】15
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-514684(P2011-514684)
(86)(22)【出願日】2009年6月8日
(65)【公表番号】特表2011-525129(P2011-525129A)
(43)【公表日】2011年9月15日
(86)【国際出願番号】US2009046570
(87)【国際公開番号】WO2009155153
(87)【国際公開日】20091223
【審査請求日】2012年5月15日
(31)【優先権主張番号】12/139,744
(32)【優先日】2008年6月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591286579
【氏名又は名称】エシコン・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ETHICON, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】マウラー・ロバート・イー
【審査官】 石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−204207(JP,A)
【文献】 米国特許第03637374(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/06
B23K 26/00
C22F 1/00
B23K 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タングステンレニウム合金を含む外科用縫合針を提供することであって、前記外科用縫合針が、遠位貫通末端部、近位縫合糸取付け末端部、及び前記縫合糸取付け末端部にレーザーで孔開けされたボアホールを有し、前記ボアホールが空洞及び開口部を有する、提供すること、並びに、
1000℃の温度で30分間、熱エネルギーに前記縫合糸取付け末端部を曝すことによって、少なくとも前記縫合糸取付け末端部を加熱処理すること、
を含む、外科用縫合針を処理するための方法。
【請求項2】
前記レーザーで孔開けされたボアホールの前記空洞内に外科用縫合糸末端部を取付ける工程、及び前記縫合針の前記縫合糸取付け末端部をスエージングする工程を追加的に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記縫合針全体が加熱処理される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記熱エネルギーがレーザーによって提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記熱エネルギーが炉によって提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記熱エネルギーが誘導加熱によって提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記熱エネルギーが抵抗加熱によって提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
各縫合針が可動性ストリップに取付けられ、前記ストリップがレーザーの前面に移され、前記レーザーは、前記熱エネルギーを提供するために前記縫合針の少なくとも一区間に接触するように光束を方向付ける、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
タングステンレニウム合金を含み、遠位貫通点及び近位縫合糸取付け区間を有する、縫合針本体、並びに、
前記近位縫合糸取付け区画にレーザーで孔開けされたボアホールであって、空洞及び開口部を有する、ボアホール、
を含む、外科用縫合針において、
前記縫合針が、1000℃の温度で30分間、前記区画を熱エネルギーに曝すことによって少なくとも前記縫合糸取付け区間を加熱処理することを含む加熱処理プロセスに曝される、外科用縫合針。
【請求項10】
外科用縫合糸末端部が、前記レーザーで孔開けされたボアホールの前記空洞内に取付けられ、前記縫合針の前記縫合糸取付け末端部がスエージングされる、請求項に記載の縫合針。
【請求項11】
前記縫合針全体が加熱処理される、請求項に記載の縫合針。
【請求項12】
前記熱エネルギーがレーザーによって提供される、請求項に記載の縫合針。
【請求項13】
前記熱エネルギーが炉によって提供される、請求項に記載の縫合針。
【請求項14】
前記熱エネルギーが誘導加熱によって提供される、請求項に記載の縫合針。
【請求項15】
前記熱エネルギーが抵抗加熱によって提供される、請求項に記載の縫合針。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は外科用縫合針に関するものであり、より具体的には外科用縫合針の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
外科用縫合針及び外科用縫合針の製造方法は、当該技術分野において既知である。外科用縫合針は、典型的には、ステンレス鋼のような従来の生体適合性の金属から製造される。外科用縫合針を製造するのに使用される材料の選択は、製造可能性、機械加工性、経費、生体適合性、及び機械的特性を含む様々な要因によって決まる。従来の外科用縫合針は、従来の製造プロセスを用いて作られている。典型的には、生体適合性の金属から作られたワイヤは、望ましい直径又はワイヤサイズを有するワイヤを得るために従来の線材圧延機で引抜加工される。次いで、ワイヤは望ましい長さを有する縫合針半加工品として知られる断片に切断され、更に、縫合針半加工品は、曲げ、形成、研削、研磨、加熱処理、コーティングなどを含む一連の従来の製造プロセス工程を経て加工される。
【0003】
従来の外科用縫合針は、遠位貫通点及び近位縫合糸取付け区間を有する。近位縫合糸取付け区間は、典型的には、近位端に形成された通路又は近位端に孔開けされたボアホールである。もしボアホールが使用される場合は、通常、従来の機械的孔開プロセス又はレーザー孔開プロセスによって形成される。縫合糸取付けは、外科用縫合糸の一端を通路又はボアホールに挿入し、次いで、スエージング(swaging)として当該技術分野において既知の様々な従来のプロセスのいずれかを使用することによって縫合糸末端部周辺の外科用縫合針の近位端区間を機械的に圧迫することによって達成される。スエージングの度合いは、望ましい解放特性、即ち、通路又はボアホールから縫合糸を離すために必要な力量によって決まるであろう。
【0004】
当該技術では、改善された性能特性を有する改善された外科用縫合針に対する絶えることのない必要性がある。取付けられる縫合糸の直径にできるだけ近い直径を有するワイヤから作られる外科用縫合針を有することが望ましい。このことは、外科医が縫合針をつかみ、それを組織に貫通させる時に、曲げに対する十分な抵抗を提供しつつ、(小さいワイヤサイズを有するワイヤから作られる)できる限り最小の断面を持つ縫合針を有することによって、達成されることができる。従来のステンレス鋼から作られる既存の外科用縫合針は、そのような特性を有するが、そのような特性を最大限にした高融点金属合金のような材料から作られた新しい縫合針が開発された。これらの材料は、典型的には従来のステンレス鋼合金よりも硬く、また、より大きな強さ、より高い弾性率、及び望ましい磁気特性を含む他の異なる冶金学的特性を有するために、新しいプロセスが、そのような縫合針を製造するため、及びそのような縫合針を利用する縫合針−縫合糸の組合せを製造するために必要とされている。例えば、孔開けされた高融点合金の外科用縫合針に外科用縫合糸をスエージングすることは、縫合針の近位端の周囲に亀裂をもたらす可能性のあることが知られている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、レーザー孔開外科用縫合針を加工する新しい方法が開示される。本発明の方法において、高融点合金又はステンレス鋼から作られた外科用縫合針が提供される。縫合針は、遠位端及び近位端を有する。ボアホールは、レーザー孔開加工装置を用いて縫合針の近位端に孔開けされる。縫合針、又は単に外科用縫合針の縫合糸取付け末端部又は区間は、次いで、ボアホールを取り囲んでいる外科用縫合針の近位端又は区間の金属内の残余応力を緩和するのに十分な時間、高温に曝される。金属を軟化することなく応力緩和が生じるように、時間及び温度が十分効果的であるように選択される。
【0006】
本発明の更に別の形態は、新しい外科用縫合針である。外科用縫合針は、遠位貫通点及び近位縫合糸取付け区間を有する本体を有する。縫合針は、近位縫合糸取付け区間にレーザーで孔開けされたボアホールを有する。縫合針は、残余応力を緩和するために上述の新しい加熱処理プロセスを用いて加工される。
【0007】
本発明のプロセスを用いて、縫合針のスエージングされた部分に亀裂を結果として伴わずに、高融点金属合金から作られる外科用縫合針に外科用縫合糸をスエージングすることが今では可能である。
【0008】
本発明のこれらの及び他の態様及び利点は、以下の説明及び添付図面により更に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】高融点合金から作られた孔開けされた外科用縫合針の平面図。
図2】本発明のプロセス処理後の、縫合針のボアホールに取り付けられた縫合糸を有する図1の縫合針。
図3】ストリップに取付けられた外科用縫合針が加熱処理されたものである、本発明のプロセスを示す概略図。
図3A図3の縫合針を有するストリップの部分平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の新しいプロセスは、タングステン、モリブデン、ニオビウム、タンタル、及びレニウムを含む高融点金属の合金から作られた外科用縫合針と一緒に用いられることができる。タングステン−レニウムの合金から作られた外科用縫合針が、参照により組み込まれる米国特許第5,415,707号(Bendelら)、並びに米国特許出願第11/611,353号、同第11/611,387号、同第11/756,668号、及び同第11/756,679号に開示されている。好ましくはないけれども、本発明の方法は、従来のステンレス鋼合金から作られたレーザーで孔開けされた外科用縫合針と一緒に使われることも可能である。
【0011】
ここで図1を参照すると、タングステン−レニウム高融点合金から作られた孔開けされた外科用縫合針10が示される。縫合針10は、タングステンレニウム合金ワイヤから作られた本体20を有することがわかる。縫合針10は、遠位貫通点30、及び末端部41を有する近位縫合針取付け区間40を有する。縫合糸取付けボアホール50は区間40にある。ボアホール50は、遠位端52、空洞54、及び末端部41内の開口部44と連通している近位端56を有することがわかる。
【0012】
縫合針10は、高融点の金属合金から作られた外科用縫合針の製造に適合している従来の製造プロセスを用いて作られることができる。典型的には、従来のプロセスにおいて、望ましい金属合金から作られたワイヤは、線材圧延機で望ましい直径に引抜加工される。次いで、ワイヤは、望ましい長さを有する縫合針半加工品を製造するために従来のワイヤ切断装置内で切断される。次いで、ワイヤは、形成、研削、研磨、洗浄、及び孔開けを含む一連の従来の製造プロセス工程を経る。
【0013】
縫合針半加工品はいくつかの方法によって孔開けされることができる。半加工品は、付属品内に取付けられることができ、縫合針半加工品の近位端内にボアホールを開けるために、従来の機械的ドリルが使われることができる。機械的な孔開加工は外科用縫合針にボアホール開けるために有用であるが、そのような孔開加工プロセスに関連する制限がある。例えば、ドリルは磨り減り、常に交換される必要がある。更に、機械的孔開加工プロセスは、多大な時間を必要とし、高速の自動化製造プロセスには不向きである。更に、機械的ドリルは、通常、非常に硬い材料、又は孔開加工作業中に簡単に加工硬化する材料から作られた縫合針の孔開加工には費用効果的に使うことができない。レーザー孔開加工システムは、外科用縫合針にボアホールを孔開加工するために開発された。これらのレーザーシステムは、典型的には、Nd:YAGレーザーを使用するが、必要とされる出力密度を提供することができ、必要とされるスポットサイズに集中させることができる任意の種類のレーザーが条件を満たすであろう。光束出力、エネルギー密度、エネルギー密度分布、パルス波形、パルス持続時間、及びパルス数を含むレーザー光束パラメータを制御することにより、特定のサイクルを利用して、望ましいボアホールの直径及び深さを獲得する。
【0014】
ここで図2を参照すると、図1の孔開けされた高融点合金外科用縫合針10が、それに取付けられた外科用縫合糸100を有することがわかる。外科用縫合糸は、ボアホール50の空洞54に取付けられた近位端110、及び自由近位端120を有することがわかる。外科用縫合糸110は、従来の機械的なスエージングダイ及びプロセス並びに等価物を用いて近位縫合針取付け区間40に取付けられる。これは、ボアホール50からの末端部110の解放を防止する、又は所定の抵抗力での制御された解放を提供する、縫合針取付け区間40内のスエージング区間45をもたらす。縫合糸100は、従来の様々な外科用縫合糸から選択されることができる。
【0015】
孔開けされた外科用縫合針に外科用縫合糸をスエージングするために、縫合針がダイ内に取付けられ、工具が縫合針の縫合糸取付け区間の一区間に対して押し付けられる。これは、孔開けされたボアホールに挿入された縫合糸の末端部がその孔の空洞内で圧縮されるような金属の変形をもたらす。そのようなプロセスは従来の外科用縫合針とともによく機能するが、高融点金属合金のようなより硬い金属と一緒にそのようなスエージングプロセスを使用することは、縫合糸取付けボアホールの周囲で縫合針に亀裂を生じさせる場合がある。そのような亀裂は、そのような縫合針を使った機械的なスエージング加工の使用を不可能にする。機械的なスエージングは、孔開けされた外科用縫合針に外科用縫合糸を取付ける最適な方法である。接着剤やセメントのような他の既知の方法は、より弱い縫合糸の取付け強さ、空気封入による、死角になったボアホールへの接着剤の挿入に関連する困難さ、及び過大に時間のかかるプロセスであることを含む欠点を有する。
【0016】
本発明のプロセスは、レーザーで孔開けされた高融点合金の外科用縫合針が機械的なスエージング縫合糸取付けプロセスで加工されることを容易にする。本発明のプロセスは、レーザーで孔開けされたボアホールを取り囲んでいる金属内の残余応力を効果的に緩和するのに十分な温度で十分な時間、レーザーで孔開けされた孔を含む縫合針の部分、又は縫合針全体のどちらかを加熱することを伴う。これらの残余応力は、レーザー孔開加工中に経験される極めて急な勾配の熱勾配、及び孔の内部表面を裏張りしている改鋳金属の非常に薄い層から生じると思われる。改鋳層が固化し冷却する時、孔に隣接する相対的に非加熱の金属によって熱収縮が抑制されると思われる。これは、改鋳層内に残余引張応力の状態をもたらす。
【0017】
もし本発明のプロセスによるように緩和されないならば、縫合糸取付けに用いられる機械的なスエージングプロセス中に、この残余引張応力領域内に亀裂が生じる可能性が高い。タングステン−レニウム合金で作られた、レーザーで孔開けされた外科用縫合針に関しては、(大気制御炉中での)応力緩和サイクルは、15〜60分間、900〜1100℃の範囲にあることが好ましい。これは、タングステン−レニウムを軟化することなく、又はミクロ構造変化を誘発することなく、応力緩和を提供する。応力緩和のためにボアホールを有する外科用縫合針の領域だけを加熱することを望む場合には、レーザー、誘導加熱又はその類によるように、短期間で高温度が典型的には必要とされるであろう。本発明の教示と一致して、温度−時間選択は、縫合針合金にミクロ構造的変化及び/又は硬度変化をもたらすであろうものによって、上記から規定されるであろう。
【0018】
レーザーで孔開けされた縫合針の応力緩和のための本発明の自動化プロセスの例は、図3及び図3Aに概略的に示される。図3及び3Aでわかるように、縫合針半加工品200は、クリンプ又はタブ290によって可動性ストリップ280に取付けられる。ストリップの代わりに、従来の付属品に縫合針半加工品200が取付けられてもよい。各縫合針半加工品200は、貫通点215及び近位縫合針取付け区間220と一緒に遠位区間210を有することがわかる。ボアホール230は、区間220にレーザーで孔開けされている。ストリップ280は縫合針半加工品200を光束310の前面の位置に移動させる際に、レーザー光束310が、近位縫合針取付け区間220又は縫合針半加工品200の全長に向けられことができるように、従来のレーザー孔開加工システム300は縫合針半加工品200及びストリップ280の近傍に位置する。ボアホール230を取り囲んでいる区間220内の金属が、金属を焼きなましすることなく効果的に応力緩和されるように、光束310は、可動性で十分なエネルギーを有し、且つ十分長い時間、区間220又は縫合針半加工品全体200の上に維持される。本発明の応力緩和プロセスで有用であり得るレーザーは、Nd:YAG、CO及びファイバーレーザーのような従来のレーザー、並びに残余応力緩和に必要な時間間隔にわたって必要量の加熱を発生させることの可能な他の等価の種類を含む。縫合針の縫合糸取付け区間がレーザーエネルギーに曝される時間は、例えば光束出力、エネルギー密度、及びエネルギー密度分布を含むいくつかの要因によって決められるであろうこと、並びに任意の特定の時間範囲に限定されないが、レーザー光束エネルギーが適用される時間を、1ミリ秒〜数秒の範囲にすることができることを、当業者は理解するであろう。当業者は、前述のパラメータにしたがってその時間が変化することを理解するであろう。本発明の応力緩和プロセスにおいて有用な縫合針の金属を加熱する他の方法は、誘導加熱及び抵抗加熱のような従来の加熱方法を含む。
【0019】
本発明の応力緩和プロセスによって処理された後、高融点合金の外科用縫合針は、亀裂を起こすことなく機械的スエージングを使うことによって外科用縫合糸を縫合糸取付け末端部に容易に取付けることができるであろう。応力緩和された領域の金属は、ミクロ構造及び硬度に関連して不変であることによって冶金学的に特徴付けられることができる。対照的に、焼きなましプロセスは、減少した硬度によって特徴づけられる冶金学的特性を引き起こす。レーザーで孔開けされたステンレス鋼製の縫合針は、機械的なスエージングによる縫合糸取付け中に亀裂が入るのと同じ傾向を示さないので、外科用縫合針を処理する本発明のプロセスが亀裂を防止するであろうことは驚くべきことであり、また予想外なことである。硬度低下とともに延性増加を示す鋼の挙動とは反対に、タングステン−レニウム合金は、硬度低下とともに延性を失うので、焼きなまし(軟化)プロセスは、タングステン−レニウム合金、及び他の高融点合金から作られた孔開けされた外科用縫合針の縫合糸取付け末端部を処理での使用には不利益であろう。
【0020】
以下の実施例は本発明の主旨及び実施説明のためであるが、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0021】
(実施例1)
0.025cm(0.01インチ)の直径を有するタングステン−レニウム合金ワイヤは、従来の切断装置を用いて縫合針半加工品に切断された。合金組成物は、74.25%のタングステン及び25.75%のレニウムであった。縫合針半加工品は従来の方法で、方向付けられ、研磨され、曲げられた。縫合針半加工品の近位端は、従来の縫合針孔開加工用Nd:YAGレーザーを用いてボアホールを形成するために孔開けされた。従来のポリエステル縫合糸が縫合針のボアホール内に取付けられ、縫合針の近位縫合糸取付け末端部は従来のダイ及びスエージング装置を用いて機械的にスエージングされた。全ての縫合針は、孔開けされたボアホール周辺で近位縫合糸取付け末端部に亀裂が入ったことを示すことが観察された。
【0022】
(実施例2)
タングステン−レニウム合金縫合針は、実施例1の縫合針と類似の方法で調製された。縫合針は、実施例1で使われたものと同じ組成を有する合金ワイヤから作られた。レーザー孔開加工後で且つ縫合糸取付け及び機械的なスエージングに先立って、縫合針は、レーザーで孔開けされたボアホール周辺の縫合針の金属を効果的に応力緩和するために、約1000℃で約30分間、炉中で加熱処理された。同じポリエステル縫合糸が加熱処理された縫合針に取付けられ、実施例2と同一の方法で同じ装置を用いてスエージングされた。いずれの縫合針も、レーザーで孔開けされたボアホール周辺で近位縫合針取付け末端部に亀裂を示さなかった。
【0023】
本発明は、その詳細な実施例に関して図示及び説明が行われたが、当業者には、当該形態及び詳細におけるさまざまな変更が、請求される発明の主旨及び範囲から逸脱することなく行われ得ることが理解されるであろう。
【0024】
〔実施の態様〕
(1) 金属合金を含む外科用縫合針を提供することであって、前記外科用縫合針が、遠位貫通末端部、近位縫合糸取付け末端部、及び前記縫合糸取付け末端部にレーザーで孔開けされたボアホールを有し、前記ボアホールが空洞及び開口部を有する、提供すること、並びに、
前記金属合金を焼きなましすることなく前記ボアホール周辺の前記金属合金を効果的に応力緩和するために十分なエネルギーを提供するのに十分な時間、熱エネルギーに前記縫合糸取付け末端部を曝すことによって、少なくとも前記縫合糸取付け末端部を加熱処理すること、
を含む、外科用縫合針を処理するためのプロセス。
(2) 前記金属合金が高融点金属合金を含む、実施態様1に記載のプロセス。
(3) 前記高融点合金金属がタングステンレニウムである、実施態様2に記載のプロセス。
(4) 前記高融点合金が、モリブデン、タンタル、及びニオビウムから成る群から選択される、実施態様2に記載のプロセス。
(5) 前記レーザーで孔開けされたボアホールの前記空洞内に外科用縫合糸末端部を取付ける工程、及び前記縫合針の前記縫合糸取付け末端部をスエージングする工程を追加的に含む、実施態様1に記載のプロセス。
(6) 前記縫合針全体が加熱処理される、実施態様1に記載のプロセス。
(7) 前記熱エネルギーがレーザーによって提供される、実施態様1に記載のプロセス。
(8) 前記熱エネルギーが炉によって提供される、実施態様1に記載のプロセス。
(9) 前記熱エネルギーが誘導加熱によって提供される、実施態様1に記載のプロセス。
(10) 前記熱エネルギーが抵抗加熱によって提供される、実施態様1に記載のプロセス。
【0025】
(11) 各縫合針が可動性ストリップに取付けられ、前記ストリップがレーザーの前面に移され、前記レーザーは、前記金属を焼きなましすることなく応力緩和によって前記縫合針の少なくとも一区間を効果的に加熱処理するのに十分な時間、十分な熱エネルギーを提供するために前記縫合針の前記区間に接触するように光束を方向付ける、実施態様1に記載のプロセス。
(12) 前記縫合針が約900℃〜約1100℃の温度で維持される、実施態様8に記載のプロセス。
(13) 前記縫合針が約15〜約60分間、前記炉中に維持される、実施態様8に記載のプロセス。
(14) 前記金属合金がステンレス鋼を含む、実施態様1に記載のプロセス。
(15) 金属合金を含み、遠位貫通点及び近位縫合糸取付け区間を有する、縫合針本体、並びに、
前記近位縫合糸取付け末端部にレーザーで孔開けされたボアホールであって、空洞及び開口部を有する、ボアホール、
を含む、外科用縫合針において、
前記縫合針が、前記金属合金を焼きなましすることなく前記ボアホール周辺の前記金属合金を効果的に応力緩和するために十分なエネルギーを提供するのに十分な時間、前記末端部を熱エネルギーに曝すことによって少なくとも前記縫合糸取付け区間を加熱処理することを含む加熱処理プロセスに曝される、外科用縫合針。
(16) 前記金属合金が高融点金属合金を含む、実施態様15に記載の縫合針。
(17) 前記高融点合金金属がタングステンレニウムである、実施態様16に記載の縫合針。
(18) 前記高融点合金がモリブデン、タンタル、及びニオビウムから成る群から選択される、実施態様16に記載の縫合針。
(19) 外科用縫合糸末端部が、前記レーザーで孔開けされたボアホールの前記空洞内に取付けられ、前記縫合針の前記縫合糸取付け末端部がスエージングされる、実施態様15に記載の縫合針。
(20) 前記縫合針全体が加熱処理される、実施態様15に記載の縫合針。
【0026】
(21) 前記熱エネルギーがレーザーによって提供される、実施態様15に記載の縫合針。
(22) 前記熱エネルギーが炉によって提供される、実施態様15に記載の縫合針。
(23) 前記熱エネルギーが誘導加熱によって提供される、実施態様15に記載の縫合針。
(24) 前記熱エネルギーが抵抗加熱によって提供される、実施態様15に記載の縫合針。
(25) 前記縫合針が約900℃〜約1100℃の温度で維持される、実施態様22に記載の縫合針。
(26) 前記縫合針が約15〜約60分間、前記炉中に維持される、実施態様22に記載の縫合針。
(27) 前記金属合金がステンレス鋼を含む、実施態様15に記載の縫合針。
図1
図2
図3
図3A