【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、独立請求項に記載の特徴を備えた方法または装置によって解決される。
有利な実施形態は、従属請求項に記載される。
本発明の中心は、問題のある試料であっても最終画像において可能な限り最高の解像度に達するために、個別画像内に含まれる生データを最適化することにある。このような最適化は、本発明に基づいて、異なる方法で達成される。
【0008】
発明に基づき、SIM法およびSPEM法における解像度は、特に以下の要因によって低下することが分かった。光学システム(たとえば、収差の形で)によっても、また試料の光学的性質、特に厚みのある試料の光学的性質によっても、照明光や蛍光光の位相は局部的に歪曲される。それに加えて、試料内への浸透深さが増大すると、局部的かつ全体的な屈折率変化による散乱や収差のため構造化の変調コントラストが低下し、それはミスマッチと呼ばれる。この作用は、使用する構造化の周波数にも依存する。低周波数変調は、試料内部深く結像することができるが、他方では最終画像の解像度の低下も招く。したがって、最適な最終画像を得るためには、検査される試料ごとに、構造化パラメータの異なる組合せ(干渉によって構造化を引き起こす、ビーム寄与部分の相対角度や相対強度)が要求される。色素分子が既に励起されている場合、さらに高いエネルギー状態へと励起させると、非可逆である退色が起こる可能性が高く、このような退色は信号雑音比を低下させ、結果として再構成の際の解像度が低下する。しかも、受光される蛍光光を、電子または電気的に過度に上げても(露出過剰)、または過度に下げても(露出不足)、画像のコントラストを低下させて、その低コントラストは再構成を困難にするか、妨害する。
【0009】
したがって、本発明により、少なくとも1つの照明パラメータ、および/または少なくとも1つの撮像パラメータ、特に、「照明の波長」、「照明のパルス・シーケンス」、「撮像の波長領域」、「撮像の露光時間」および「撮像の強さ」のうち少なくとも1つの値について、最適な調整が計算される。本発明では、この調整は1次元または多次元の数値と考える。本発明の考えでは、所定の目標値が、その調整において最大値または少なくとも1つの所定の閾値に達する場合に、この調整は最適であるとする。目標値は、特に撮像時間、信号雑音比、または検出された蛍光信号のダイナミック・レンジであり得る。本発明に基づく最適化によって、蛍光収量と、したがって信号雑音比が、わずかな労力で改良され、試料の退色も抑えられる。結果として、信号雑音比に依存する解像度が改良される。さらに、この最適化は、システムの安全性にも寄与するかもしれない。というのは、カメラの仕様が境界条件として最適化に加わることによって、撮影の際に使用されるカメラの、露出過度による損傷を防止することができるからである。ここでは、パラメータ「パルス・シーケンス」は、パルス時間および/またはパルス繰り返し周波数と理解される。パラメータ「撮像の強さ」としては、たとえば、調整可能な電子倍増ゲイン(英語:「electron multiplication gain」、EM−Gain)が最適化され得る。
【0010】
最適調整は、フル・オートマティックに、算出することも、その後の個別画像の撮像の際に用いることも可能である。代替案としては、ユーザの要求に従ってセミ・オートマティックに算出することもでき、パラメータの自由調整に関する所定基準としてユーザが使用することも可能である。最適調整をユーザに確認用としてのみ提供することも考えられ、その場合は、ユーザはたとえば測定を中止することも可能である。複数のパラメータに関する1回の最適化プロセスにおいて最適調整が調節可能であることは言うまでもない。
【0011】
最適化の際に重要な値は、アプリオリに既知であるか設定可能な情報と、撮像された画像に基づいてフィードバックすることによってはじめて獲得することができるようなパラメータとに下位分類できる。アプリオリに既知であるか少なくとも設定可能であるのは、たとえば、蛍光色素特性(退色率、SPEM励起用の切り替えサイクル、および全帯域の励起・放射スペクトル)、試料の包埋媒体特性(屈折率、自家蛍光スペクトル)、ならびに所望の侵入深さである。これらに応じて、最適化すべき当該パラメータの、または最適化すべき複数のパラメータの最適調整は、好ましくは、個別画像に基づく、追加的な中間画像に基づく、または蛍光光の小部分を分離するポイント検出器の信号に基づくフィードバックによって、かつパラメータの変化によって算出される。したがって、たとえばパルス繰り返し周波数は、アプリオリに既知である、試料の屈折率ミスマッチから大まかに計算する代わりに、複数の個別画像が異なるパルス繰り返し周波数で撮像・評価されるというやり方で、個別画像の評価により、高い精度で最適化されることが可能である。本発明の考えでは、後の再構成では用いられないすべての画像を中間画像と呼ぶこととする。特に、そのフレームレートが相応に高い場合は、個別画像を複数の中間画像から統合することによって構成することが可能である。複数のパラメータを最適化する必要があれば、相当する多次元での変化を実行しなければならない。
【0012】
特に好適な実施形態では、パラメータの変化は、励起光の、本質的に一定の平均強度において行われるが、これは信号の向上、つまり信号雑音比の改良は、退色の低減によってのみ成立することができるからである。励起光の、一定の平均強度として好ましくは、再構成用の個別画像を撮像する際にも利用されるような強度が用いられる。
【0013】
変化と実験的フィードバックに対する代替案として、パラメータの最適調整を算出するために、好ましくは、既知のアプリオリな情報を用いて、照明、試料の反応および撮像のシミュレーションを実行することができる。実用的にはこの場合も、最適調整を算出するために、最適化すべきパラメータの変化を実施する。これによって、退色が完全に回避されるため、試料に負荷がかからない。それにもかかわらず、最適化すべきパラメータの最適調整は、高い精度で最適化可能である。このシミュレーションは特に、複数の最適化すべきパラメータにおいて、試料を保護するのに有利である。
【0014】
有利には、(特に一変化時に)その調整において、中間画像、個別画像、または最終画像中で、最大信号雑音比または少なくとも1つの所定の信号雑音比が生じる場合に、調整は最適であると算出される。これによって、最終画像の解像度は、自動的に最大化されるか、またはユーザが関与することが可能となる。SIM法およびSPEM法の解像性能は依存するので、個別画像の信号雑音比が可及的に高いことは、可能な限りアーチファクトのない再構成を行うために必須である。
【0015】
その上、最適調整を算出する際に、さらなる最適化標的の所定の重み付けが、信号雑音比のための重み付けと並んで考慮される実施形態が有効である。ユーザは最適化の優先順位を自身で決めることができる。たとえば、撮像時間を短縮することを最優先とし、信号雑音比の最大化は付随的にのみ最適化を実行することができる。最優先、または低い優先順位で実行することができる、さらなる可能な最適化目標は、撮影用カメラのダイナミック・レンジを可能な限り十分にレベル調整することである。
【0016】
フィードバックの第1の代替的な変更形態では、最適化用の蛍光光受光が、代替的、または個別画像の撮像に追加的に、中間画像で、有利には、個別画像を撮像する際のフレームレートに対応するフレームレートで実行されるため、蛍光光が多数のパルス・シーケンス・サイクルを介して統合される。
【0017】
フィードバックの第2の代替的な変更形態では、中間画像における蛍光光受光は、有利には、個別画像の撮像時よりも顕著に高いフレームレートで行われる。高いフレームレートにより、試料の励起および放射反応をより精緻に評価することができる。中間画像の合計によって、中間画像または、さらに個別画像が、比較的長い露光時間で計算される。その際、様々な露光時間の中間画像を、実用的にはコンピュータを用いて規格化することができる。
【0018】
中間画像の高周波の撮像に関して、局所的に可変な撮像部を使用することによって、パルス・シーケンスを局部的、特にピクセルごとに変化させることが有利である。撮像部としては、たとえば、デジタル・マイクロ・ミラー・デバイス(ドイツ語:「Mikrospiegelfelder」/英語:「digital micro−mirror device」、DMD)、液晶ディスプレイ(ドイツ語「Fluessigkristallanzeigen」/英語:「light crystal display」、LCD)またはLCoS(英語:「liquid crystal on Silicon」)等の空間光変調器(英語:「spatial light modulator」、SLM)を用いることが可能である。撮像部は、照明ビーム経路の中間画像面に配置するのが有効である。照明野全体のパルス・シーケンスを全体的に変化させるほかに、局部的な変化によって、フィードバックされた最適化の範囲内でパルス・シーケンスを試料上の異なる局部的な状態(たとえば、異なる蛍光色素で着色された領域)に適合させるだけでなく、個別画像のダイナミックを拡大することが可能である。撮影用カメラの完全なレベル調整まで、またはそれ以上にさえも、全体的または局部的にこのダイナミックを拡大することができる。このダイナミック・レンジ拡大は、特に、中間画像全体の中間値、または中間画像の領域もしくはピクセル、またはさらに個別画像とのフィードバックによって果たされる。たとえば、個別画像へと合計される中間画像を撮像する際に、残りの試料の照明/画像撮像が継続されている一方で、最低限の退色で十分な信号雑音比に達するか、または所定の強度閾値に達した場合には、照明および/または画像撮像(露光)を1つの領域または1つのピクセルにおいて終了することが可能である。この方法で生じる照明・露光変化を、撮像された画像データとともに保存することが有効である。その撮像中にパルス・シーケンスが変えられた個別画像は、保存された変化情報に基づきパルス・シーケンスの変化に応じてその強度を修正するというやり方で、最終画像が再構成される前にダイナミック・レンジが拡大される。拡大されたダイナミックに関する保存情報は、それぞれの視覚化メディアのダイナミックを考慮したうえで、最適に再現するためにも利用することができる。ダイナミックの全体的または局部的な拡大は、特に、局部的に変化可能な撮像部を用いて、最適化とは独立にも実施可能である。
【0019】
有利には、同一の撮像部でパルス・シーケンスを変化させ、かつ励起光を構造化することによって、追加的な撮像部は不要となり得る。
本発明に基づく方法は比較的時間がかかるので、撮像中に測定中止基準をテストしたり、測定しながら表示したり、または測定中止基準を満足したときに撮像を中止する、または少なくとも簡略化することが有利である。簡略化としては、たとえば、中間画像または個別画像によるフィードバックに基づいて、励起時に十分なレベルの非線形性が達成されないと計算された場合、SPEM法の測定中に純粋なSIM法の測定に切り替えることができる。
【0020】
有利には、変調コントラストが所定のコントラスト閾値より小であるか、または試料の移動距離が所定の移動閾値より大であるかが測定中止基準としてテストされる。たとえば、変調コントラストは、すべての中間画像または個別画像において連続的に決定することができる。試料の動きはたとえばドリフト等によって発生し得る。動きの警告は、たとえば、中間画像または個別画像同士の相関関係から取得され得るが、位相位置の望みの変化を獲得するためには、構造化照明の変調周波数が事前に画像からフィルタリングされなければならない。これ以外に試料の動きを確認・評価する可能性は、透過光内での、微分干渉顕微鏡法(英語:「differential interference contrast」、DIC)による画像の同時撮像である。これは、特に生体細胞の検査の際に有利である。
【0021】
本発明に基づく最適化は、通常の試料で実施されずともよく、特に有利にはテスト・プレパラートで実施することができ、そのテスト・プレパラートに基づき、最適調整が、通常の試料での画像撮像用のアプリオリな情報として獲得され得る。構造化照明のために特に有利なテスト・プレパラートは、均質で、光学的に薄い(100nm未満の)、対物レンズの液浸液に対する屈折率ミスマッチのない、つまり干渉のないマルチカラー色素フィルム、および200〜500nmの間の大きさのマルチカラー球体を含むテスト試料である。とりわけ、変調コントラストおよび構造化の位相不変性は色素フィルムを用いることでうまく最適化することができる一方で、球体テスト試料は、多くの色チャネルにおけるコローカリゼーションを校正するために有利である。
【0022】
本発明に基づきさらに、蛍光色素の(特に最低の)三重項状態からより高い三重項状態の励起を減じるようなパルス・シーケンスによって時間・空間的に照明を行うことにより、励起状態の色素分子の感度を低下させ得ることが確認された。これにより、未だ励起状態の分子の励起が最小化され、こうして退色が阻止される。このような画像撮像技術は、独国特許出願公開第102006011176号明細書内で、誘導された放出および抑制(英語:stimulated emission depletion;STED)を用いた顕微鏡法用に開示されている。SPEMに必要な高いピーク強度をパルス化したレーザで達成する場合、本発明によれば、SPEMでT−REX技術を利用するため、励起された色素分子の大多数がそれぞれ次のレーザ・パルスまでには既に再び1重項基底状態に緩和するように、レーザのパルス繰り返し周波数を低下させる。必要なピーク強度を、本願明細書に開示内容を完全に援用する独国特許出願公開第102007047468号明細書に基づく構造化されたライン照明(英語:structured line illumination microscopy;SLIM)によって達成する場合、このラインは、ラインの通過毎に色素分子を平均して1回しか励起させないほど1か所でのライン滞在時間が短くなるように、走査(英語:scanning)によって試料上を高速に移動しなければならない。走査移動の速度がこのために十分でない場合、既に励起した色素分子のさらなる励起を阻止するため、パルス・シーケンスの部分として、走査中のレーザをさらに連続的にオンおよびオフすること(英語:blanking)により、高速走査を補うことができる。
【0023】
励起光のパルス間に1または数マイクロ秒の励起ポーズを有するパルス・シーケンスを使用することが好ましい。最適なパルス・シーケンス、および走査型ライン照明では場合によっては最適な走査速度は、特に、上述の本発明による方法によって自動的または半自動的に計算することができる。
【0024】
本発明に基づきさらに、退色が、パルス化した励起によってだけでなく、蛍光色素の(特に最低の)三重項状態を空乏化するために抑制光で試料を追加的に照明することによっても回避できることが確認された。第2の波長での適切なレーザ照明による三重項状態の積極的な抑制(エッゲリンク(Eggeling)ら,ChemPhysChem 2008,9,612−624;モンダル(Mondal),Appl.Phys.Lett.92,013902,2008)によって。このために、たとえば第2の光源がビーム経路内に入射される。これは、抑制光が検出側で蛍光から分離される場合、同時に励起のために行うことができる。
【0025】
抑制光は、励起光と同じ様に構造化されるのが有用であり、このことは、試料への負荷を少なくする。
抑制光は、1または数MW/cm
2のエネルギー密度で使用するのが有用である。これまでに実施された実験およびシミュレーションは、有効な抑制には、抑制放射のこのように高い強度値が必要であることを示している。このような強度はライン状の照明によって達成されるのが好ましい。
【0026】
本発明に基づいてさらに、中間画像を撮像し、この中間画像に基づき、照明によって引き起こされた蛍光色素の退色の範囲を計算し、そして最終画像を再構成する前に、計算された範囲に対応して個別画像を計算により修正することで、最終画像の再構成の精度、したがって達成可能な解像度を改善できることが確認された。この退色挙動の考慮は、扱いにくい試料の場合にもより高い解像度での再構成を可能にする。確かに、構造化された照明の場合の退色は、試料および照明による空間的変調の問題である。しかし本発明によれば、まさにこれを、特殊な修正のために利用することができる。試料の空間周波数と、構造化された照明の変調周波数の重畳を表す方程式では、退色は、さらなる未知数として考慮することができる。この連立方程式を解くには、より小さい、したがってより多くの位相ステップが必要である。
【0027】
個別画像を撮像する前に中間画像を、または2つの個別画像の間にそれぞれ1つの中間画像を撮像することが好ましく、その際、試料は、構造化されてまたは一様に照明される。2つの個別画像撮像の間の(1つの格子方向に対し5つの位相画像の場合のたとえば60°の)等距離の位相ステップの場合、すべての中間画像が撮像されると、理想的な場合には構造化のない合計画像が結果として生じるべきであろう。構造化周波数でのそれぞれの残りの構造化は、正しい位相ステップ(これは、退色耐性のあるテスト試料で立証し得る)の場合、退色に由来しており、すべての以降の画像に対し、再構成の前に、個別画像において修正することができる。代替策として、規則的な間隔をあけて、個別画像の撮像中にそれぞれ1つの画像を構造化なしで撮像することもでき、同じ修正方法を適用することができる。
【0028】
たとえば、格子の位相位置(ポジション)をずらした2つの像の間で、格子なしで像を撮像することができる。優れた近似では、試料が厚過ぎない場合、退色が焦点位置に依存しないので、この方法は、z軸方向の積層撮像の場合にも適用することができ、この場合、典型的には2つの格子移動の間で、軸方向の走査領域全体が移動する。退色修正を検査するために、すべての修正された個別画像を足し合わせることができる。合計画像において一定の強度が存在すれば、修正は成功している。
【0029】
それぞれの格子位置および焦点位置に対し、個別画像の場合より高い画像繰り返し周波数で中間画像を撮像し、蛍光光の強度の低下から退色をピクセル毎に計算するのが好ましい。これは、本発明による局所的または全体的なパラメータ最適化と直接的に組み合わせて行うことができる。この場合、再構成では、1つの格子位置および焦点位置に帰属するすべての画像について平均化した画像を、(その前のすべての撮像工程を考慮した)退色効果の修正に基づき、相互に差引計算する。退色効果を、その後の撮像(中間画像および/または個別画像)の直後の決定に基づいて修正することもできる。
【0030】
退色の計算による修正は、対応する振幅を有するフーリエ空間で行うのが好ましい。
本発明に基づいてさらに、少なくとも1つの参照画像に基づいて、個別画像の光学的収差の範囲を計算し、そして最終画像を再構成する前に、計算された範囲に対応して個別画像を計算によって修正することによっても、再構成の精度、したがって達成可能な解像度を改善できることが確認された。ここでも、まさに構造化の結果として生じる画像特性を、修正のために利用し得ることが有利である。
【0031】
収差の範囲は、構造化パターンの歪み、特に変形および/または空間的な位相ズレに基づいて計算されるのが好ましい。構造化パターンの歪みから、エリアに依存した収差を推論することができ、この収差は、格子構造の判定に基づき、全体画像を修正するために利用することができる。
【0032】
参照画像の撮像には、控えめな構造化空間周波数、好ましくは個別画像の撮像の場合より低い構造化空間周波数の参照励起光を使用することが有利である。これにより、SPEMの場合の非線形性が低い変調周波数と高い変調周波数で同じであるとの推定の下、高い空間周波数の場合に変調深さが小さいという問題が回避される。
【0033】
励起光の構造化は、3つの回折次数によって行われることが好ましく、その際、3つのすべての回折次数の干渉の空間周波数より僅かに高い空間周波数がフィルタリングされることによって、参照画像が計算される。構造化を生成するための照明において0次回折および±1次回折を使用する場合、画像内には高い空間周波数での構造化(±1次の干渉)だけでなく、半分の空間周波数での構造化(0次および±1次の干渉)も生じる。したがって、比較的低い構造化周波数より僅かに高いすべての空間周波数のフィルタリングに基づき、収差を修正するための適切な画像が提供される。
【0034】
SPEM用の蛍光励起は、励起強度と蛍光強度の間に非線形の関係が生じるように行うのが有用である。特に、ドロンパのような光切り替え可能な蛍光色素を、非線形性を達成するために使用することができ、pH値および/または酸素濃度および/または試料固定は、蛍光光の切り替えコントラストに対して最適化することができる。SPEMでは、切り替えコントラストは、達成可能な解像度のための重要な量である。
【0035】
本発明に基づき、pH値、酸素濃度、および試料固定のやり方はここでもまた、切り替えコントラストに対応していることが確認された。構造化された照明のための再構成アルゴリズムから、非線形性によって生成された比較的高い変調次数の振幅を計算することができる。この振幅は、このパラメータ(pH値、固定)がどれほど最適に選択されたかに関する尺度である。一連の試料調製により、その後このパラメータは最大の切り替えコントラストを顧慮して最適化することができる。
【0036】
この最適化にもかかわらず、非線形の相互作用のための条件は、試料の様々な位置で異なっている可能性がある。したがって第1の代替形態では、個別画像を撮像するための照明が、本発明に基づき局所的に、特にピクセル毎に変化する。このような空間的な(または様々な個別画像に対しては時間的な)適合により、時間的に連続的に、および空間的にすべての位置で、最適な非線形性を達成することができる。なぜなら非線形性は、環境条件にだけでなく、照明条件にも、つまり特に励起強度および活性化レーザの強度にも依存するからである。
【0037】
第2の代替形態では、構造化は、その周波数の何倍もの周波数でも顕微鏡の顕微鏡対物レンズの伝送領域内に落ちるほど低い変調周波数によって行われる。その後、試料内での高調波の振幅が計算され、かつパラメータの最適な調整のための基準、特に「照明の波長」、「照明のパルス・シーケンス」、「撮像の波長領域」、「撮像の露光時間」、および「撮像の増幅」といった量の少なくとも1つのための基準内で、この振幅が使用される。このやり方は変調ズームと呼ぶことができる。非線形の試料相互作用により、変調周波数の高調波(調和波)が試料内で生成され、対物レンズによる伝送も可能なので、画像内でのこの高調波の振幅を、最適なSPEM条件のための尺度として使用し得ることが有利である。変調ズームによる高調波振幅の計算は、再構成アルゴリズムによる情報取得より明らかに少ししか中間画像を必要とせず、したがって試料負荷を低減させる。
【0038】
これに対し再構成アルゴリズムによる高調波振幅の計算は、顕微鏡で、非常に小さな周波数への変調周波数の変更を実行しなくてもよく、固定の変調周波数しか必要ないという利点を有する。その際、照明パラメータの最適化は、画像全体にわたって全体的に行わなくてもよく、局所的に実施してもよい。空間的に最適な活性化(光スイッチ)または励起の場合に関しては、このために、複数の関心のある試料領域(英語:region of interest;ROI)内で、SPEMアルゴリズムによる判定を行わなければならず、この領域内では、これに対応して照明強度を適合させなければならない、または変調ズーム技術のために、複数のROIでの高調波の振幅の判定を実施しなければならない。
【0039】
本発明に基づいてさらに、SPEMでは、試料内に含まれる、励起した蛍光色素と化学的に反応し得る遊離基を、化学的に、蛍光色素および/または試料の周囲から除去することによって、信号雑音比、したがって達成可能な解像度を上昇させ得ることが確認された。これは、非線形の効果の環境依存性および可変性に対し、不均質な試料内でSPEMができるように影響を及ぼすことを可能にする。SPEMでの高い空間的または時間的なピーク強度は、色素の退色を増大させる。この退色は、主に励起状態(1重項状態および3重項状態)からの化学反応によって引き起こされる。この励起状態でのすべての色素分子が、その周囲との破壊的な化学反応に対して非常に感受性が高いので、特に反応性の周囲分子(遊離基)を化学的な方法で色素分子の周囲から除去することにより、退色を減ずることができ、したがって信号雑音比を改善することができる。
【0040】
遊離基、たとえば酸素遊離基は、除去のために酵素によって脱離反応させ、それによって試料から遠ざけるのが有利である。ほかの遊離基に関しても、化学の専門文献中に対応する反応が記載されている。試料調製のためのこのような遊離基除去反応の組合せは、ROXSという名称で記載されている[ザウアー(Sauer)ら,Photonics West 2008,Talk 6862−20]。
【0041】
構造化されたライン照明によって試料を励起する本発明による方法の実施形態が特に好ましい。これは、高い励起出力の使用を可能にする。
その際、ライン照明の強度は、撮影しているカメラのダイナミック・レンジを完全に制御するように適合されるのが有利であり、その際、強度は行毎に記憶される。高いダイナミック・レンジは、高い信号雑音比、したがって高い達成可能な解像度を意味する。
【0042】
蛍光光は、特にレーザ走査顕微鏡により、共焦点で検出されるのが好ましい。これにより、焦点外の光が効果的に弁別され、したがって信号雑音比が改善される。共焦点検出と構造化されたライン照明を組み合わせることにより、フィードバックに基づき、場合によっては既に画像撮像の際に、邪魔な背景が減らされるかもしれない。
【0043】
すべての本発明による方法は、共に組み合わせることができる。
以下、例示的実施形態に関して本発明を詳細に説明する。