(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記中心軸(C)方向において、前記規制部(543)の長さ寸法は、前記ロウ付け部(542)の長さ寸法よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
前記中心軸(C)方向において、前記規制部(543)の長さ寸法は、前記ロウ付け部(542)の長さ寸法よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
【背景技術】
【0002】
従来、分流器を備えた空気調和装置として特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
この分流器は、空気調和装置の冷媒回路において、膨張弁と、複数の伝熱管を有する熱交換器との間に配置され、膨張弁からの冷媒を分流して熱交換器の各伝熱管に送り出す。この分流器には、熱交換器の各伝熱管に接続される複数の分岐管と、膨張弁に通じる膨張弁側配管とが接続されている。
【0004】
具体的に、分流器は、
図11(A)及び
図11(B)に示されるように、分流器本体101と、分流器本体101の一端側に設けられて膨張弁側配管110が接続される第1接続部102と、分流器本体101の他端側に設けられて前記熱交換器の各伝熱管に接続される複数の分岐管112、112、…が接続される第2接続部103と、を備える。
【0005】
第1接続部102は、両端が開口した円筒形状を有し、その内部に膨張弁側配管110が挿入された状態で当該膨張弁側配管110とロウ付けされている。また、第2接続部103には、各分岐管112が第1接続部102の中心軸c1を中心とする円周104上に間隔をおいて並ぶように接続されている。
【0006】
このような分流器100では、膨張弁から送られてきた冷媒が、分流器本体101内を一端から他端に向けて流れ、第2接続部103に接続されている各分岐管112に流入することによって分流される。このとき、複数の分岐管112、112、…が、第2接続部103によって、第1接続部102の中心軸c1を中心とする円周104上に間隔をおいて並ぶように接続されているため、膨張弁側配管110の中心軸が第1接続部102の中心軸c1と一致するように膨張弁側配管110が第1接続部102に接続されることによって、分流器100は、膨張弁側配管110からの冷媒を各分岐管112に均等に分流することができる。即ち、冷媒回路において冷媒が膨張弁から熱交換器に向かって流れるときに、この冷媒が第2接続部103に向かって第1接続部102の中心軸c1方向に分流器本体101内に流入すると共に、分流器本体101内において膨張弁側配管110から各分岐管112までの距離がそれぞれ等しくなるため、分流器本体101内を通過した冷媒が各分岐管112に均等に流れ込む。その結果、この分流器100を備える空気調和装置においては、熱交換器の伝熱管毎の冷媒の流量のむらが抑えられ、前記伝熱管毎の流量のむらに起因する冷媒の熱交換効率の低下を抑制することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の空気調和装置の製造時において分流器100に膨張弁側配管110を接続するときには、分流器100の第1接続部102に膨張弁側配管110が挿入された状態でロウ付けされる。このとき、
図12に示されるように、第1接続部102の中心軸c1に対して膨張弁側配管110の中心軸c2が傾いた状態で接続(ロウ付け)される場合があった。これは、第1接続部102の内周面の内径b1が、当該内周面と膨張弁側配管110の外周面との間にロウ付けのロウを流し込む(充填する)ため且つロウ付けの強度を確保するための間隙が形成されるように設定されているためである。
【0009】
このように膨張弁側配管110が傾いた状態で分流器100に接続されると、冷媒回路において膨張弁から熱交換器に向けて冷媒が流れるときに、この冷媒が第1接続部102の中心軸c1方向に対して傾いた方向に分流器100内に流入すると共に、膨張弁側配管110から第2接続部103において円周104上に配置された各分岐管112までの分流器100内における距離がそれぞれ異なったものとなり、そのため、分流器100内を通過して各分岐管112に流入する冷媒の流量に偏りが生じる。即ち、分流器100は、膨張弁側配管110からの冷媒を各分岐管112に均等に分流できなくなる。この場合、熱交換器における伝熱管毎の冷媒の流量にむらが生じて熱交換器における冷媒と外気との熱交換効率が低下する。
【0010】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、製造時において、膨張弁側配管を分流器の第1接続部にロウ付けするときの膨張弁側配管の傾きを抑えることができる分流器を備えた空気調和装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、上記課題を解消すべく、本発明は、空気調和装置であって、熱交換器(10、13)に接続される複数の分岐管(37)と、膨張弁(14)に通じる膨張弁側配管(38)と、前記膨張弁側配管(38)からの冷媒を分流して各分岐管(37)に流出させることが可能な分流器(50、50A)と、を備える。そして、前記分流器(50、50A)は、
内部空間(S)を有する分流器本体(52)と、前記膨張弁側配管(38)が接続されることにより当該膨張弁側配管(38)の内部と当該
分流器本体(52)の内部空間(S)とを連通させる第1接続部(54)と、前記複数の分岐管(37)がそれぞれ接続され、これら各分岐管(37)の内部と前記内部空間(S)とをそれぞれ連通させる第2接続部(56)と、を有し、前記第1接続部(54)は、前記膨張弁側配管(38)が挿通された状態で固定されている配管接続穴(540)を規定する内周面(541)を有し、前記第2接続部(56)には、前記各分岐管(37)が前記配管接続穴(540)の中心軸(C)を中心とする円周(40)上に間隔をおいて並ぶように接続され、前記内周面(540)は、前記中心軸(C)方向において、前記膨張弁側配管(38)が挿入される側の端部を含む部位に設けられ且つ当該膨張弁側配管(38)の外周面との間にロウ付けのためのロウが充填されている間隙を形成するロウ付け部(542)と、ロウ付け時に前記膨張弁側配管(38)と前記第1接続部(54)の内周面(541)との間に隙間を有しながら前記膨張弁側配管(38)の傾きを規制するための規制部(543)と、を有し、前記規制部(543)の内径(B2)が前記ロウ付け部(542)の内径(B1)よりも小さ
く、前記膨張弁側配管(38)は、前記配管接続穴(543)の前記規制部(543)を通過して前記内部空間(S)に差し込まれている。
【0012】
このように、配管接続穴(540)の内周面(541)において、規制部(543)の内径(B2)をロウ付け部(542)の内径(B1)よりも小さく(即ち、ロウ付け部(542)の内径(B1)を規制部(543)の内径(B2)よりも大きく)してロウ付けのためのロウ(39)を膨張弁側配管(38)の挿入側から流し込むスペース(間隙)(α)を確保してロウ付け作業の容易性を確保しつつ、規制部(543)における当該部位(543)と膨張弁側配管(38)の外周面との間隙をより小さくすることによってロウ付けの作業の際の分流器(50、50A)(配管接続穴(540)の中心軸(C))に対する膨張弁側配管(38)の傾きを効果的に抑えることができる。
【0013】
具体的に、配管接続穴(540)の内周面(541)と膨張弁側配管(38)の外周面との間隙が小さくなるほど配管接続穴(540)の中心軸(C)に対する膨張弁側配管(38)の傾きが制限されるため、規制部(543)の内径(B2)を小さくして膨張弁側配管(38)の外周面との間隙を小さくすることにより、ロウ付けの作業の際の分流器(50、50A)(配管接続穴(540)の中心軸(C))に対する膨張弁側配管(38)の傾きが確実に抑えられる。しかも、規制部(543)よりも内径(B1)を大きくして膨張弁側配管(38)の外周面との間にロウを流し込むスペース(間隙)(α)を確保したロウ付け部(542)が前記内周面(541)における膨張弁側配管(38)の挿入側の端部を含むことによってこの端部側からロウ(39)を容易に流し込むことができ、ロウ付けのためのロウの流し込み作業の容易性が確保される。
【0014】
このような分流器(50、50A)を備えているため、当該空気調和装置(1)では、製造時において分流器(50、50A)に膨張弁側配管(38)が接続される際の当該分流器(50、50A)に対する膨張弁側配管(38)の傾きが抑えられ、これにより、冷媒が分流器(50、50A)において分流されるときに、各分岐管(37)に均等に分流される。即ち、当該空気調和装置(1)では、分流器(50、50A)に対する傾きが抑えられた状態で膨張弁側配管(38)が接続されるため、冷媒が配管接続穴(540)の中心軸(C)方向に第2接続部(56)に向かって内部空間(S)内に流入すると共に、膨張弁側配管(38)から第2接続部(56)において前記円周(40)上に配置された各分岐管(37)までの内部空間(S)内における距離がそれぞれ等しくなるため、内部空間(S)を通過した冷媒が各分岐管(37)に均等に流れ込む。
【0015】
その結果、分流されて熱交換器(10、13)内(例えば、熱交換器(10、13)が備える複数の伝熱管(35)内それぞれ)を流れる冷媒の流量が均等になり、熱交換器(10、13)における冷媒と外気との熱交換効率の低下が効果的に抑制される。
【0016】
本発明に係る空気調和装置(1)においては、前記中心軸(C)方向において、前記規制部(543)の長さ寸法は、前記ロウ付け部(542)の長さ寸法よりも小さくてもよい。
【0017】
空気調和装置(1)では、法規(例えば高圧ガス保安法等)によってロウ付け部(542)の長さ寸法の最低値が規定されているため、ロウ付け部(542)の長さ寸法を前記最低値以上としなければならないが、上記構成のように規制部(543)の長さ寸法をロウ付け部(542)の長さ寸法よりも小さくすることによって、分流器(50、50A)の全長を抑えることができる。
【0018】
尚、前記中心軸(C)方向において、前記規制部(543)の長さ寸法は、前記ロウ付け部(542)の長さ寸法よりも大きくてもよい。
【0019】
このように、膨張弁側配管(38)の外周面との間隙の小さな規制部(542)における前記中心軸(C)方向の長さ寸法をより大きくすれば、分流器(50、50A)に膨張弁側配管(38)が接続されるときの当該配管(38)の配管接続穴(540)の中心軸(C)に対する傾きがより確実に抑えられる。
【発明の効果】
【0020】
以上より、本発明によれば、製造時において、膨張弁側配管を分流器の第1接続部にロウ付けするときの膨張弁側配管の傾きを抑えることができる分流器を備えた空気調和装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0023】
本実施形態に係る空気調和装置は、
図1に示されるように、室内機2と、室外機3とを備える。これら室内機2と室外機3とは、配管4,4によって接続されることにより、冷媒回路を構成する。具体的に、室内機2は、室内側熱交換器10と、第1の分流器50と、送風機27と、を有し、室外機3は、圧縮機12と、室外側熱交換器13と、第2の分流器50Aと、膨張弁14と、四路切換弁15とを、有する。また、冷媒回路は、室内側熱交換器10と、圧縮機12と、室外側熱交換器13、及び膨張弁14とを主な構成要素とする。この空気調和装置1では、四路切換弁15が切り換えられることにより、冷媒回路における冷媒の循環方向が切り換えられ、これにより、冷房運転と暖房運転との切り換えが行われる。
【0024】
室内機2は、天井吊り下げ型(いわゆる天吊りタイプ)であり、
図2及び
図3にも示されるように、天井から延びるボルト等の吊り下げ部材によって天井に吊り下げられるケーシング21と、ケーシング21の下部に取り付けられる化粧板22と、を備える。ケーシング21は、略正方形の天板23と、この天板23の周縁から下方に向かって延びる側壁24とを有する。天板23の各辺に対応する側壁24の部位における水平方向の略中央部には、吹出口25がそれぞれ設けられている。この吹出口25には、吹出口25から吹き出される温調後の風の吹き出し方向を変えるための風向板25Aが設けられている。また、化粧板22は、その中央部に矩形状の吸込みグリル26を有する。
【0025】
また、室内機2は、ケーシング21内に、送風機27、ベルマウス28、エアフィルタ29、ドレンパン30、室内側熱交換器10等を有する。
【0026】
送風機27は、羽根車31と、ファンモータ32とを有する遠心送風機(ターボファン)であり、化粧板22の吸込みグリル26に対応する位置に送風機27の吸込口33が臨むように配置されている。この送風機27の吸込口33と吸込みグリル26との間に、ベルマウス28が配置されている。
【0027】
エアフィルタ29は、ベルマウス28の入口を覆う大きさを有し、ベルマウス28と吸込みグリル26との間に吸込みグリル26に沿って配置されている。
【0028】
ドレンパン30は、室内側熱交換器10において生じる水滴を受け止めて室内へ落下するのを防ぐための部材であり、室内側熱交換器10の下側において当該室内側熱交換器10に沿うように配置されている。
【0029】
室内側熱交換器10は、薄板状の複数のフィン34、34、…と、各フィン34に形成された貫通孔に挿通された複数の伝熱管35、35、…とを有する所謂クロスフィン型の熱交換器である。この室内側熱交換器10は、水平方向から遠心送風機27(羽根車31)の周囲を囲むように配置されている。この室内側熱交換器10は、伝熱管35の管壁及びフィン34を介して各伝熱管35内を流れる冷媒と遠心送風機27から送風される室内空気(外気)との熱交換を行う。尚、本実施形態の室内側熱交換器10において、伝熱管35は、7個配置されている(即ち、本実施形態の室内側熱交換器10は7パスである。)が、この数に限定されず、2〜6個配置されていてもよく、また、8個以上配置されていてもよい。
【0030】
この室内側熱交換器10には、
図4(A)及び
図4(B)にも示されるように、第1の分流器50とヘッダー36とが接続されている。空気調和装置1の冷房運転の際には、冷媒回路において、膨張弁14からの冷媒を第1の分流器50が分流して室内側熱交換器10の各伝熱管35に流出させ、各伝熱管からの室内側熱交換器10を通過した後の冷媒をヘッダー36が合流させて圧縮機12へ向けて流出させる。一方、空気調和装置1の暖房運転の際には、冷媒回路において、圧縮機12からの冷媒をヘッダー36が分流して室内側熱交換器10の各伝熱管35に流出させ、各伝熱管35からの室内側熱交換器10を通過した後の冷媒を第1の分流器50が合流させて膨張弁14へ流出させる。即ち、冷媒回路において、第1の分流器50は、室内側熱交換器10に対して膨張弁14側に接続され、ヘッダー36は、室内側熱交換器10に対して圧縮機12側に接続されている。本実施形態の室内側熱交換器10では、各伝熱管35は、室内側熱交換器10の一方の端部10Aから他方の端部10Bまで延び、この他方の端部10BでU字状に折り返されて一方の端部10Aまで延びている。即ち、室内側熱交換器10において、各伝熱管35は、両端部が一方の端部10Aに位置するように配置されている。そして、各伝熱管35の一方の端部に第1の分流器50が配管(キャピラリーチューブ)37を介して接続されると共に、当該伝熱管35の他方の端部にヘッダー36が接続されている。
【0031】
具体的に、第1の分流器50は、
図5〜
図7に示されるように、内部に空間(内部空間)Sを有する分流器本体52と、この分流器本体52を挟んで両端側に設けられる第1接続部54及び第2接続部56と、を備える。第1の分流器50においては、中心軸Cに沿って、第1接続部54、分流器本体52、及び第2接続部56が順に並んでいる。
【0032】
分流器本体52は、内部空間Sを囲む内側面520を有する。この内側面520は、中心軸Cを中心とする回転対称な形状を有する。具体的に、内側面520は、第1接続部54から第2接続部56側に向かって内径が漸増するテーパ部521と、内径が一定の大径部522とを有する。大径部522の第2接続部56側の端面523には、中心部に、第1接続部54側に向かって略円錐形状に突出した突出部524が設けられている。
【0033】
この突出部524は、第1接続部54から第2接続部56に向けて中心軸Cに沿うように内部空間Sに流入してきた冷媒を、突出部524(円錐面)に沿って外側(大径部522の周面側)に向け且つ周方向の各位置において均等に分散させる。
【0034】
第1接続部54は、冷媒回路において膨張弁14に通じる配管(膨張弁側配管)38が接続され、この膨張弁側配管38の内部と分流器本体52の内部空間Sとを連通させる。この第1接続部54は、膨張弁側配管38が挿入された状態で固定される配管接続穴540を囲む(規定する)内周面541を有する。即ち、第1接続部54には、中心軸Cに沿って貫通する配管接続穴540が形成されている。本実施形体の第1接続部54は、両端が開口した略円筒形状を有する。
【0035】
尚、配管接続穴540が形成されていれば、第1接続部における外周面形状の具体的形状は、限定されない。即ち、本実施形態の第1接続部54の外周面形状は、配管接続穴540(内周面541)と同軸の円柱面形状であるが、例えば、角柱面形状等であってもよい。
【0036】
第1接続部54の内周面541は、中心軸C方向において、膨張弁側配管38が挿入される側(
図6における下側)の端部を含む部位であるロウ付け部542と、ロウ付け時に膨張弁側配管38の傾きを規制する規制部543と、を有する。
【0037】
ロウ付け部542は、膨張弁側配管38の外周面との間に、ロウ付けのためのロウ39が充填される間隙αが形成される大きさの内径(第1内径)B1を有する円柱面である。一方、規制部543は、膨張弁側配管38が挿通可能であり且つ第1内径B1よりも小さな内径(第2内径)B2を有する円柱面である。尚、規制部543のロウ付け部542側の端部(ロウ付け部542との接続部)は、テーパ形状である。
【0038】
これらロウ付け部542と規制部543とは、それぞれの中心軸が共通の直線(第1の分流器50の中心軸C)上に位置するように連接されている。即ち、規制部543は、内周面541において、ロウ付け部542よりも分流器本体52側(
図6における上側)の部位である。本実施形態では、中心軸C方向における規制部543の長さ寸法が、ロウ付け部542の長さ寸法よりも小さい。
【0039】
このような内周面541によって囲まれた配管接続穴540に膨張弁側配管38が挿入された状態で、ロウ付け部542と膨張弁側配管38の外周面との間(間隙)αにロウ39が充填されることにより、膨張弁側配管38が第1接続部54に接続(ロウ付け)される。
【0040】
具体的には、ロウ付け部542の第1内径B1と長さ寸法とは、ロウ付け強度を確保することができる大きさにそれぞれ設定されている。このロウ付け部542の長さ寸法は、法規(高圧ガス保安法)によって最低値が決まっているため、この最低値よりも大きくする必要がある。
【0041】
尚、第1接続部54を図示する際に第1内径B1と第2内径B2との比を正確に記載すると、これら第1内径と第2内径のとの大きさの違いが分かり難いため、
図5〜
図7においては、第1内径と第2内径との大きさの違いを誇張して記載している。
【0042】
規制部543の具体的な各寸法は、第1接続部54に膨張弁側配管38がロウ付けされたときに許容される中心軸Cに対する膨張弁側配管38の中心軸の傾き角度θに基づいて決定されている。
【0043】
第2接続部56は、室内側熱交換器10の各伝熱管35に接続される複数のキャピラリーチューブ(分岐管)37、37、…が接続され、これら各キャピラリーチューブ37の内部と分流器本体52の内部空間Sとを連通させる。この第2接続部56は、各キャピラリーチューブ37が挿入された状態で固定されるチューブ接続穴560を囲む複数の内周面561、561、…を有する。即ち、第2接続部56には、中心軸Cに平行な中心軸cに沿って貫通する複数のチューブ接続穴560が形成されている。
【0044】
複数のチューブ接続穴560、560、…は、中心軸Cを中心とする円周40上に間隔をおいて並ぶように配置されている。円周40の直径は、分流器本体52の内側面520の大径部522における突出部524を囲うような大きさである。即ち、各チューブ接続穴560が、大径部522の第2接続部56側の端面523における突出部524よりも外側(中心軸Cから遠い側)の位置において内部空間Sと分流器50の外部とが連通するように第2接続部56を貫通している。
【0045】
本実施形態では、第2接続部56において、7個のチューブ接続穴560が円周40上に等間隔で並ぶように配置されている。尚、チューブ接続穴560(内周面561)の具体的な数は、限定されない。即ち、第2接続部56のチューブ接続穴560の数は、この第2接続部56に接続されるキャピラリーチューブ37の数(室内側熱交換器10に設けられた伝熱管35の数)に合わせて変更してもよい。
【0046】
以上のような分流器50では、内部空間Sにおいて、第1接続部54に接続された膨張弁側配管38から流入した冷媒が第2接続部56に接続された各キャピラリーチューブ37内にそれぞれ流出することにより、冷媒の分流が行われる。
【0047】
尚、室外機3においても、室外側熱交換器13と膨張弁14との間に分流器(第2の分流器50A)が配置されている(
図1参照)。この第2の分流器50Aは、
図8及び
図9に示されるように、チューブ接続穴560の数が18個である以外は、第1の分流器50と同じ構成を有している。即ち、第2の分流器50Aにおいても、第1接続部54が配管接続穴540を規定する内周面541を有し、この内周面541は、ロウ付け部542と規制部543とからなり、規制部543の第2内径B2がロウ付け部542の第1内径B1よりも小さい。
【0048】
以上の空気調和装置1の第1又は第2の分流器50、50Aによれば、配管接続穴540の内周面541において、規制部543の第2内径B2をロウ付け部542の第1内径B1よりも小さく(即ち、第1内径B1を第2内径B2よりも大きく)してロウ付けのためのロウ39を膨張弁側配管38の挿入側から流し込むスペース(間隙)αを確保してロウ付け作業の容易性を確保しつつ、規制部543における当該部位と膨張弁側配管38の外周面との間隙をより小さくすることによってロウ付けの作業の際の分流器50、50A(配管接続穴540の中心軸)に対する膨張弁側配管38の傾きを効果的に抑えることができる。
【0049】
具体的に、配管接続穴540の内周面541と膨張弁側配管38の外周面との間隙が小さくなるほど配管接続穴540の中心軸に対する膨張弁側配管38の傾きが制限されるため、規制部543の第2内径B2を小さくして膨張弁側配管38の外周面との間隙を小さくすることにより、ロウ付けの作業の際の分流器50、50A(配管接続穴540の中心軸)に対する膨張弁側配管38の傾きが確実に抑えられる。しかも、規制部543よりも内径を大きくして膨張弁側配管38の外周面との間にロウ39を流し込むスペース(間隙)αを確保したロウ付け部542が前記内周面541における膨張弁側配管38の挿入側の端部を含むことによってこの端部側からロウ39を容易に流し込むことができ、ロウ付けのためのロウ39の流し込み作業の容易性が確保される。
【0050】
このような分流器50、50Aを備えているため、当該空気調和装置1では、製造時において分流器50、50Aに膨張弁側配管38が接続される際の当該分流器50、50Aに対する膨張弁側配管38の傾きが抑えられ、これにより、冷媒が分流器50、50Aにおいて分流されるときに、各キャピラリーチューブ37に均等に分流される。即ち、当該空気調和装置1では、分流器50、50Aに対する傾きが抑えられた状態で膨張弁側配管38が接続されるため、冷媒が配管接続穴540の中心軸方向に第2接続部56に向かって内部空間S内に流入すると共に、膨張弁側配管38から第2接続部56において前記円周40上に配置された各キャピラリーチューブ37までの内部空間S内における距離がそれぞれ等しくなるため、内部空間Sを通過した冷媒が各キャピラリーチューブ37に均等に流れ込む。
【0051】
その結果、分流されて熱交換器10、13内(例えば、熱交換器10、13が備える複数の伝熱管35内それぞれ)を流れる冷媒の流量が均等になり、熱交換器10、13における冷媒と外気との熱交換効率の低下が効果的に抑制される。
【0052】
また、上記実施形態の空気調和装置1における第1及び第2の分流器50、50Aのように、中心軸C方向における規制部543の長さ寸法を、ロウ付け部542の長さ寸法よりも小さくすることによって、分流器50、50Aの全長を抑えることができる。即ち、空気調和装置(1)では、法規(例えば高圧ガス保安法等)によってロウ付け部(542)の長さ寸法の最低値が規定されているため、ロウ付け部(542)の長さ寸法を前記最低値以上としなければならないが、上記構成のように規制部(543)の長さ寸法をロウ付け部(542)の長さ寸法よりも小さくすることによって、分流器(50、50A)の全長を抑えることができる。
【0053】
尚、本発明の空気調和装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0054】
上記実施形態の第1及び第2の分流器50、50Aでは、中心軸C方向において、規制部543の長さ寸法がロウ付け部542の長さ寸法よりも小さいが、この構成に限定されない。具体的には、中心軸C方向において、規制部の長さ寸法が例えば11mmで、ロウ付け部の長さ寸法が例えば7mmである場合のように、規制部の長さ寸法が、ロウ付け部の長さ寸法より大きくてもよい。このような場合では、膨張弁側配管38の外周面との間隙の小さな規制部543における中心軸C方向の長さ寸法がより大きくなるため、第1及び第2の分流器50、50Aに膨張弁側配管38が接続されるときの当該配管38の配管接続穴540の中心軸に対する傾きがより確実に抑えられる。
【0055】
空気調和装置は、四路切換弁を備えていなくてもよい。即ち、空気調和装置は、冷房専用、又は暖房専用であってもよい。尚、空気調和装置が冷房専用の場合は、室外機3の分流器が上記実施形態の分流器50Aでなく従来の分流器(ロウ付け部542と規制部543とを有する内周面541により規定された配管接続穴540が形成された第1接続部54を備えていない分流器)でよい。また、空気調和装置が暖房専用の場合は、室内機2の分流器が上記実施形態の分流器50でなく従来の分流器でよい。
【0056】
上記実施形態における規制部は、内周面においてロウ付け部の分流器本体側の端部から分流器本体までの範囲であるが、この範囲に限定されない。
図10(A)に示されるように、規制部543Aは、中心軸C方向において内周面541の中間部に設けられてもよい。また、
図10(B)に示されるように、規制部543Bは、複数個設けられてもよい。
【0057】
また、上記実施形態の空気調和装置1においては、室内機2と室外機3との両方にロウ付け部542と規制部543とを有する内周面541を備えた分流器50、50Aが配置されているが、室内機2と室外機3とのいずれか一方のみに、ロウ付け部542と規制部543とを有する内周面541を備えた分流器50又は50Aが配置されてもよい。
【0058】
また、上記実施形態の室内機2は、天井吊り下げ型であるが、このタイプに限定されない。室内機は、天井埋め込み型(いわゆるカセットタイプ)やルームエアコン等であってもよい。