【課題を解決するための手段】
【0006】
溶融材料からガラスを製造する際には、一般に揮発した化合物が形成される。いくつかのプロセス、例えばガラスシート材料を製造するフロートプロセスなどでは、製造業者らはガラス材料を浮かべるスズバスの揮発に取り組まなければならない。この揮発したスズは、ガラスとスズとを収容しているチャンバのルーフに凝縮することがあり、このときこの凝縮物が、水平に配置されているガラス上へとルーフから滴下し、ガラスに欠陥を生じさせる可能性がある。
【0007】
ガラスシートを製造するフュージョン成形法においては、その上面に開口した溝を形成して備えた概してウェッジ状の成形本体内に、溶融ガラス材料が供給される。溶融ガラス材料はこの溝の上方部分から溢れ出て、分離流として成形本体の両外側成形面を流れ落ちる。この分離流は成形本体の下端すなわち底部で結合し、非常に優れた表面品質を有するガラスリボンを生成する。溶融ガラス材料の表面のうち成形本体の成形面に接触するは、成形本体の底部から延伸されるガラスリボンの内部に閉じ込められる面のみであるため、リボンの外側表面は清潔なままである。リボンの表面を本質的に清潔な状態で維持するために、リボンの主表面との接触を避けるあらゆる努力がなされる。実際、少なくともリボンが凝固したガラスになるまで、リボンとの唯一の接触はリボンのエッジ部分を介して行われる。
【0008】
ガラスの製造は比較的高温で行われ、この温度はガラス材料の性質に依存する。例えば、ディスプレイ装置の製造に使用されるガラスのような薄いガラスシートの製造では、いくつかの事例において溶融ガラス材料の温度は1500℃以上に達し得る。成形プロセス中でさえ、溶融ガラス材料は1000℃以上になり得る。溶融ガラス材料が経験するこの高温によって、溶融ガラス材料を包囲する空間を満たしている蒸気内に、ガラス材料の特定の構成物質が揮発する可能性が生じる。溶融ガラス材料が限定された空間内にある場合、揮発した構成物質が近傍の表面上に凝縮し、そして十分な量の材料が凝縮するとその表面から解放される可能性がある。例えば揮発した材料が液相として凝縮した場合、この凝縮物が下方に滴下して、例えばリボンの延伸および誘導に使用されるローラなどの他の表面または装置上に集まることがある。揮発した材料が固体として凝縮した場合、この固体凝縮物が集まって、リボン成形プロセスの熱バランスを干渉する可能性がある。
【0009】
一実施の形態によれば、ガラスシートを成形する装置が開示され、この装置は、その中に溶融ガラスを位置付けて備えかつ揮発した無機材料を含有した雰囲気を含む、エンクロージャと、この雰囲気内へと延びている凝縮要素を含む凝縮機器とを備えたものである。この凝縮機器は、凝縮要素内へと流す冷却流体を受け入れるための通路を備えている。凝縮要素は、少なくとも1つの細長い凝縮部材を含む。この少なくとも1つの細長い凝縮部材は長手軸を含む。凝縮部材の長手軸は湾曲していてもよい。例えば、少なくとも1つの細長い凝縮部材は、アーチ状またはコイル状でもよい。いくつかの実施形態において、凝縮機器は複数の細長い凝縮部材を含んでもよい。
【0010】
特定の実施形態において、この装置は成形本体を備え、この成形本体からガラスリボンが延伸され、この成形本体は、成形本体下端の底部で結合する合流成形面を備えたものである。この装置は複数の凝縮要素をさらに備え、このとき少なくとも1つの凝縮要素は、底部を通過する仮想鉛直平面の第1面の側に位置付けられ、そして別の凝縮要素は、この鉛直平面の第2面の側に位置付けられる。
【0011】
いくつかの実施形態において、この装置は成形本体を備え、この成形本体からガラスリボンが延伸され、この成形本体は、成形本体下端の底部で結合する合流成形面を備えたものであり、かつ、凝縮要素の先端と、リボンのエッジとの間の距離が、少なくとも5cmであることを特徴とする。
【0012】
いくつかの実施形態において、この装置は成形本体を備え、この成形本体からガラスリボンが延伸され、このとき凝縮要素の先端と、リボンのエッジとの間の距離が、少なくとも5cmであることを特徴とする。
【0013】
いくつかの実施形態において、この装置は成形本体を備え、この成形本体は成形本体下端の底部で交わる合流成形面を備えたものであり、さらに、底部に平行でありかつ底部を通って延在する第1仮想鉛直平面、そして第1仮想鉛直平面と交差し、底部に垂直でありかつリボンの最も外側のエッジを横切る第2仮想鉛直平面、に対し、エンクロージャ内へと延びている凝縮要素が、エンクロージャから、第2鉛直平面を越えて延びたものではないことを特徴とする。
【0014】
特定の実施形態によれば、凝縮要素の温度は、この凝縮要素に近接しているエンクロージャの温度より少なくとも50℃低い。凝縮要素の外側表面積は少なくとも100cm
2であることが好ましく、またいくつかの事例では凝縮要素の外側表面積は少なくとも480cm
2である。凝縮要素を、エンクロージャの内側表面から少なくとも10cm延びているものとしてもよい。
【0015】
さらに別の実施形態により方法が開示され、この方法は、エンクロージャと成形本体とを備えた、この成形本体からガラスが延伸されてエンクロージャ内に位置付けられている、ガラス製造装置を提供するステップであって、このときこの装置が、エンクロージャに包囲された容積内へとエンクロージャの内側表面から延びている凝縮要素をさらに備え、この容積が、この容積に含まれる雰囲気内に、揮発した化合物を含んでいるステップ、および、揮発した化合物が凝縮要素上に凝縮するよう、凝縮要素内に冷却流体を流すステップ、を含むことを特徴とする。特定の実施形態では、この化合物は液相として凝縮する。例えば、液体凝縮物は凝縮要素から滴下し得、これをドリップトレイなどの回収槽で回収してもよい。ドリップトレイを定期的に取り外して交換してもよいし、あるいは中を空にして清浄し再び設置してもよい。
【0016】
他の実施形態において、揮発した化合物は固体として凝縮要素上に凝縮する。凝縮要素、または凝縮機器全体を、取り外して清浄したりあるいは交換したりしてもよい。
【0017】
したがって、例示的な限定するものではない実施形態として以下のものが挙げられる。
【0018】
C1.ガラスを成形する装置であって、その中に位置付けられた溶融ガラスおよび揮発した無機材料を含有した雰囲気を含む、エンクロージャ、前記雰囲気内へと延びている先端を有する凝縮要素を、少なくとも1つ含む凝縮機器、を備え、かつ、前記凝縮機器が、冷却流体の流れを受け入れるための通路を備えていることを特徴とする装置。
【0019】
C2.前記少なくとも1つの凝縮要素が、湾曲した長手軸を含むものであることを特徴とするC1記載の装置。
【0020】
C3.前記少なくとも1つの凝縮要素が、アーチ状またはコイル状であることを特徴とするC1記載の装置。
【0021】
C4.前記少なくとも1つの凝縮要素の温度が、該少なくとも1つの凝縮要素に近接している前記エンクロージャの温度より、少なくとも50℃低いことを特徴とするC1からC3いずれか1項記載の装置。
【0022】
C5.前記少なくとも1つの凝縮要素の表面積が、少なくとも100cm
2であることを特徴とするC1からC4いずれか1項記載の装置。
【0023】
C6.前記少なくとも1つの凝縮要素の表面積が、少なくとも480cm
2であることを特徴とするC1からC5いずれか1項記載の装置。
【0024】
C7.前記少なくとも1つの凝縮要素が、エンクロージャの内側表面からエンクロージャ雰囲気内へと少なくとも12cm延びているものであることを特徴とするC1からC6いずれか1項記載の装置。
【0025】
C8.成形本体をさらに備え、該成形本体からガラスリボンが延伸され、かつ、前記エンクロージャ雰囲気内へと延びている前記少なくとも1つの凝縮要素の先端と、前記リボンのエッジとの間の距離が、少なくとも5cmであることを特徴とするC1からC7いずれか1項記載の装置。
【0026】
C9.前記冷却流体が、前記少なくとも1つの凝縮要素の外部にまたは外部の周囲に位置付けられた、冷却要素に通して流されることを特徴とするC1からC8いずれか1項記載の装置。
【0027】
C10.前記少なくとも1つの凝縮要素の一部が前記エンクロージャの外側に延在し、かつ冷却用の前記通路が、前記エンクロージャの外側で延在している前記少なくとも1つの凝縮要素の前記一部のみの内側に設けられていることを特徴とするC1からC8いずれか1項記載の装置。
【0028】
C11.成形本体をさらに備え、該成形本体からガラスリボンが延伸され、該成形本体が、該成形本体下端の底部で結合する合流成形面を備えたものであり、かつ、前記エンクロージャ雰囲気内へと延びている前記凝縮要素の先端と、前記リボンのエッジとの間の距離が、少なくとも5cmであることを特徴とするC1からC10いずれか1項記載の装置。
【0029】
C12.成形本体をさらに備え、該成形本体が、該成形本体下端の底部で交わる合流成形面を備えたものであり、さらに、前記エンクロージャ雰囲気内へと延びている前記少なくとも1つの凝縮要素の前記先端が、前記底部に垂直でありかつリボンの最も外側のエッジを横切る、鉛直平面を越えて延びたものではないことを特徴とするC1からC11いずれか1項記載の装置。
【0030】
C13.前記凝縮機器が複数の凝縮要素を含むものであることを特徴とするC1からC12いずれか1項記載の装置。
【0031】
C14.成形本体をさらに備え、該成形本体から溶融ガラスのリボンが延伸され、該成形本体が、該成形本体下端の底部で結合する合流成形面を備えたものであり、かつ、前記底部からより離れて位置付けられる前記凝縮要素の長さが、前記底部のより近くに位置付けられる前記凝縮要素の長さよりも長いことを特徴とするC13記載の装置。
【0032】
C15.成形本体をさらに備え、該成形本体から溶融ガラスのリボンが延伸され、該成形本体が、該成形本体下端の底部で結合する合流成形面を備えたものであり、さらに、前記凝縮機器が複数の凝縮要素を備え、かつ、前記複数の凝縮要素のうち少なくとも1つの凝縮要素が、前記底部を通過する仮想鉛直平面の第1面の側に位置付けられ、そして前記複数の凝縮要素のうち別の凝縮要素が、前記鉛直平面の第2面の側に位置付けられることを特徴とするC1からC7いずれか1項記載の装置。
【0033】
C16.ガラスシートを成形する装置において、エンクロージャおよび該エンクロージャ内に位置付けられた、そこからガラスが延伸される成形本体を備えたガラス製造装置であって、前記成形本体が、該成形本体下端の底部で結合する合流成形面を備えたものである、ガラス製造装置と、前記エンクロージャに包囲された容積内へと該エンクロージャの内側表面から延びている複数の凝縮要素を含む凝縮機器であって、前記容積が、該容積に含まれる雰囲気内に、揮発した化合物を含んでいる、凝縮機器と、を含み、さらに、前記複数の凝縮要素が、前記底部を通過する仮想鉛直平面の第1面の側に位置付けられる第1凝縮要素と、前記仮想鉛直平面の第2面の側に位置付けられる第2凝縮要素とを含むものであることを特徴とするガラスシート成形装置。
【0034】
C17.前記凝縮機器が、冷却流体の流れを受け入れるための通路を備えていることを特徴とするC16記載のガラスシート成形装置。
【0035】
C18.ガラスを成形する方法において、エンクロージャと、前記エンクロージャ内に位置付けられている、そこからガラスが延伸された成形本体と、を備えたガラス製造装置を提供するステップであって、このとき該装置が、前記エンクロージャに包囲された容積内へと延びている凝縮要素をさらに備え、前記容積が、該容積に含まれる雰囲気内に、揮発した化合物を含んでいるステップ、および、前記揮発した化合物が前記凝縮要素上に凝縮するよう、該凝縮要素内に冷却流体を流すステップ、を含むことを特徴とする方法。
【0036】
C19.前記化合物が液相として凝縮することを特徴とするC18記載の方法。
【0037】
C20.前記揮発した化合物が、前記ガラスから揮発した化合物であることを特徴とするC18またはC19記載の方法。
【0038】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、本発明の実施形態を示すものであること、そして請求される本発明の本質および特徴を理解するための概要または構成を提供することが意図されていることを理解されたい。添付の図面は、本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれかつその一部を構成する。図面は本発明の例示的な実施形態を示し、そしてその記述とともに、本発明の原理および動作の説明に役立つ。