特許第5738863号(P5738863)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5738863タッチパネルを用いた入力装置およびその入力方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5738863
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】タッチパネルを用いた入力装置およびその入力方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20150604BHJP
   G06F 3/042 20060101ALI20150604BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20150604BHJP
   G06F 3/045 20060101ALI20150604BHJP
【FI】
   G06F3/041 620
   G06F3/041 400
   G06F3/042 484
   G06F3/044 Z
   G06F3/045 F
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-527616(P2012-527616)
(86)(22)【出願日】2011年1月13日
(86)【国際出願番号】JP2011050910
(87)【国際公開番号】WO2012017698
(87)【国際公開日】20120209
【審査請求日】2013年11月12日
(31)【優先権主張番号】特願2010-177071(P2010-177071)
(32)【優先日】2010年8月6日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】595133666
【氏名又は名称】株式会社翔栄
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(72)【発明者】
【氏名】田名網 克周
(72)【発明者】
【氏名】川股 芳幸
【審査官】 山崎 慎一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−127072(JP,A)
【文献】 特開平07−129312(JP,A)
【文献】 特開2007−069676(JP,A)
【文献】 特開平10−269012(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/042
G06F 3/044
G06F 3/045
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと分離して別々に設けられ、前記表示パネルを目視しながら操作される入力装置であって、
前記入力装置は、接触式タッチパネルと、
前記接触式タッチパネルのタッチされる動作選択領域のX軸およびY軸の周辺に並べて設けた複数個の発光素子と、前記発光素子に対向して設けた複数個の受光素子とを備えた光学式タッチパネルと
前記接触式タッチパネルと前記光学式タッチパネルを覆い、1辺に設けた開口部より操作物を入れる遮光性のカバーとで構成され、
X軸あるいはY軸の前記発光素子の一方から照射された光のみを検出し、前記照射された光が前記動作選択領域上に置かれる手などの前記操作物により遮断され、遮断された照射光の本数を前記受光素子で検出して前記操作物の形態を区別して認識し、表示モードの切り替えを行い、
X軸およびY軸の前記発光素子からのそれぞれ照射光が遮断される前記動作選択領域上を移動する指などの操作物の位置を検出して前記操作物の光学式タッチパネル座標を求め、前記表示パネルにカーソルを表示し、
前記接触式タッチパネルに接触することで、接触式タッチパネル座標を求めて前記カーソルを移動させると同時に入力情報を確定させることを特徴とするタッチパネルを用いた入力装置。
【請求項2】
前記接触式タッチパネルとしては抵抗膜式タッチパネルまたは静電容量式タッチパネルを用いることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルを用いた入力装置。
【請求項3】
接触式タッチパネルと、前記接触式タッチパネルのタッチされる動作選択領域のX軸およびY軸の周辺に並べて設けた複数個の発光素子と、前記発光素子に対向して設けた複数個の受光素子とを備えた光学式タッチパネルと、前記接触式タッチパネルと前記光学式タッチパネルを覆い、1辺に設けた開口部より操作物を入れる遮光性のカバーとで構成されるタッチパネルを用いた入力装置を用い、該入力装置と離れた位置に設けた表示パネルに表示されるカーソルを前記入力装置から操作して入力する入力方法であって、
前記光学式タッチパネルのX軸あるいはY軸の前記発光素子の一方から照射された光が前記動作選択領域上に置かれる手などの操作物により遮断され、遮断された照射光の本数を前記受光素子で検出してマイコン制御部で前記操作物の形態を区別し、前記マイコン制御部からの形態認識信号で前記表示パネルに表示される複数の表示モードの中から1つを選択し、
次に、選択された前記表示モードの中で、前記動作選択領域を移動させる指などの操作物の位置を前記受光素子により前記照射光が遮断された位置を検出して前記マイコン制御部に入力し、前記操作物の座標を求めて光学式タッチパネル座標信号を前記表示パネルに伝えて、前記カーソルを前記光学式タッチパネル座標信号に従って前記表示パネル上の動作選択領域に移動させ、
選択した前記動作選択領域の前記カーソルがある位置で前記接触式タッチパネルに接触し、前記接触式タッチパネルから発生する接触式タッチパネル座標信号を前記マイコン制御部に入力し、前記カーソルを前記接触式タッチパネル座標信号に対応する位置に移動させるとともに、前記マイコン制御部から確定信号を出力して、選択された前記表示モードの操作を行うことを特徴とするタッチパネルを用いた入力装置の入力方法。
【請求項4】
前記操作物の形態は指の本数で区別して、前記マイコン制御部からの形態認識信号で前記表示パネルに表示される複数の表示モードの中から1つを選択することを特徴とする請求項に記載のタッチパネルを用いた入力装置の入力方法。
【請求項5】
前記マイコン制御部により、前記光学式タッチパネル座標信号および前記接触式タッチパネル座標信号を前記表示パネルのモニタサイズに対応した座標信号に変換することを特徴とする請求項に記載のタッチパネルを用いた入力装置の入力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は操作信号を生成するタッチパネルの操作部と、操作信号に応じた操作メニュー画像を表示する表示部とを別の位置に配置したタッチパネルを用いた入力装置およびその入力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の入力装置は、ディスプレイ等の表示部上にタッチパネルの入力部を重ねて配置した構造が一般的であり、操作者がディスプレイに表示される操作メニューに直接接触することで入力部のスイッチ操作が行われ、所望のメニューの選択および実行が行なわれる。
【0003】
こうした入力装置として、押圧による入力部分と赤外線による入力部分とで二段階スイッチを構成し、押圧の入力回数を減らすことで操作負担を軽減させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
かかる入力装置は、操作メニューを表示する表示手段と、操作メニューの表示面上に入力操作面を有し圧力が印加された入力位置を検出する接触入力検知部と、この接触入力検知部の周囲に配置されて入力操作面の近傍の物体を検出する空間入力検知部と、この空間入力検知部の検出結果に基づいて操作メニューの表示を制御すると共に、接触入力検知部で検出した入力位置に基づいて操作メニューに対する選択確定処理を実行する制御部とを備える。
【0005】
操作者は接触入力検知部の入力操作面に触れずに操作項目を選択できることで、接触入力検知部に対する操作回数を減らせ、操作負担が軽減するものである。
【0006】
しかし、入力部と表示部が一体の構造をした入力装置では、操作者の手元付近に設置した場合には操作者の視線を手元に移動させる負担が生じ、操作者の視線の移動が少ない位置に設置した場合には操作者の手を表示部に伸ばす負担が生じるため、入力部と表示部とを離間して別々に配置し、負担を軽減させた入力装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
かかる入力装置は、操作スイッチが配置された上面を操作者の手により操作するタッチパネル式の操作部と、操作スイッチの配置位置及びその操作メニュー画面を表示する表示部と、操作部及び操作者の手を上方からカメラで撮影する手段と、その撮影した画像を操作メニュー画面に合成して表示する手段と、操作部に設けて操作部全体を発光させる手段とを備える。
【0008】
カメラで撮影した操作部上の手の画像を抽象画像に変換し、操作メニュー画像に合成して表示することで、操作者は入力部を直視しなくても、表示部を見ながらのスイッチ操作、いわゆるブラインド操作が行えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−71233号公報
【特許文献2】特許第4389855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、特許文献1に示される入力装置においては、表示部上に同サイズの入力部を重ねて配置し、操作者が表示部に指を近づけて選択を行うため、操作者の指そのものがポインターの役割を果たす。すなわち、操作者の指示位置と、表示部の操作メニュー画面の選択位置とは一対一に対応するので操作者は直感的に分りやすく、ポインター等を操作メニュー画面に表示させる必要がないため、入力部と表示部とを分離して別々に離して配置することの障害となっている。
【0011】
入力部と表示部とを別々に配置するためには、入力部上にある指などの指示位置を操作者が表示部上で視認できる必要があり、もともと表示部と入力部を重ねた構造で、操作者の指をポインターなどに代用する装置では、両者を分離できない問題点がある。
【0012】
一方、特許文献2に示される入力装置においては、表示部と操作部とを分離して別々に配置するために、操作者が表示部の操作メニュー画面を見ながら操作できるようにする必要があり、操作部及び操作者の手を撮影するカメラと、撮影した手の画像を抽出して操作メニュー画面に合成して表示させる処理などにより、入力装置の部品点数の縮小化や処理方法の単純化の障害となっている。
【0013】
また、ブラインド操作を可能にするためには、カメラで撮影した手画像を抽出し、操作部における実際の手の位置と各操作スイッチの位置との相対位置を演算して合成する必要があり、画像を基に座標位置を求めることが前提である。従って、画像処理を必要とする高価なカメラを用いるためにコストが高くなる問題点もある。
【0014】
更に、カメラでの撮影に際し、LEDなどの光源を操作部に当てないと、太陽光などの入射がある環境下や夜間等の照明不足の環境下では撮影しにくく、操作部上の手を正確に認識できない問題点もある。このために、環境に左右されずに操作部上の操作物を認識できることが求められていた。
【0015】
そして、カーナビや家電製品のリモコンなどのように、入力装置の用途・形態に合わせて操作部のサイズを自由に変更できることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は上述した従来の問題点に鑑みてなされ、第1に、表示パネルと分離して別々に設けられ、前記表示パネルを目視しながら操作される入力装置であって、前記入力装置は、接触式タッチパネルと、前記接触式タッチパネルのタッチされる動作選択領域のX軸およびY軸の周辺に並べて設けた複数個の発光素子と、前記発光素子に対向して設けた複数個の受光素子とを備えた光学式タッチパネルと、前記接触式タッチパネルと前記光学式タッチパネルを覆い、1辺に設けた開口部より操作物を入れる遮光性のカバーとで構成され、X軸あるいはY軸の前記発光素子の一方から照射された光のみを検出し、前記照射された光が前記動作選択領域上に置かれる手などの前記操作物により遮断され、遮断された照射光の本数を前記受光素子で検出して前記操作物の形態を区別して認識し、表示モードの切り替えを行い、X軸およびY軸の前記発光素子からのそれぞれ照射光が遮断される前記動作選択領域上を移動する指などの操作物の位置を検出して前記操作物の光学式タッチパネル座標を求め、前記表示パネルにカーソルを表示し、前記接触式タッチパネルに接触することで、接触式タッチパネル座標を求めて前記カーソルを移動させると同時に入力情報を確定させることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、前記接触式タッチパネルと前記光学式タッチパネルは遮光性のカバーで覆われ、1辺に設けた開口部より前記操作物を入れることを特徴とする。
【0018】
更に、本発明は、前記接触式タッチパネルとしては抵抗膜式タッチパネルまたは静電容量式タッチパネルを用いることを特徴とする。
【0019】
第2に、本発明は、接触式タッチパネルと、前記接触式タッチパネルのタッチされる動作選択領域のX軸およびY軸の周辺に並べて設けた複数個の発光素子と、前記発光素子に対向して設けた複数個の受光素子とを備えた光学式タッチパネルと、前記接触式タッチパネルと前記光学式タッチパネルを覆い、1辺に設けた開口部より操作物を入れる遮光性のカバーとで構成されるタッチパネルを用いた入力装置を用い、該入力装置と離れた位置に設けた表示パネルに表示されるカーソルを前記入力装置から操作して入力する入力方法であって、前記光学式タッチパネルのX軸あるいはY軸の前記発光素子の一方から照射された光が前記動作選択領域上に置かれる手などの操作物により遮断され、遮断された照射光の本数を前記受光素子で検出してマイコン制御部で前記操作物の形態を区別し、前記マイコン制御部からの形態認識信号で前記表示パネルに表示される複数の表示モードの中から1つを選択し、次に、選択された前記表示モードの中で、前記動作選択領域を移動させる指などの操作物の位置を前記受光素子により前記照射光が遮断された位置を検出して前記マイコン制御部に入力し、前記操作物の座標を求めて光学式タッチパネル座標信号を前記表示パネルに伝えて、前記カーソルを前記光学式タッチパネル座標信号に従って前記表示パネル上の動作選択領域に移動させ、選択した前記動作選択領域の前記カーソルがある位置で前記接触式タッチパネルに接触し、前記接触式タッチパネルから発生する接触式タッチパネル座標信号を前記マイコン制御部に入力し、前記カーソルを前記接触式タッチパネル座標信号に対応する位置に移動させるとともに、前記マイコン制御部から確定信号を出力して、選択された前記表示モードの操作を行うことを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、前記操作物の形態は指の本数で区別して、前記マイコン制御部からの形態認識信号で前記表示パネルに表示される複数の表示モードの中から1つを選択することを特徴とする。
【0021】
更に、本発明は、前記マイコン制御部により、前記光学式タッチパネル座標信号および前記接触式タッチパネル座標信号を前記表示パネルのモニタサイズに対応した座標信号に変換することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
第1に、本発明のタッチパネルを用いた入力装置に依れば、接触式タッチパネルと、かかる接触式タッチパネルのタッチされる動作選択領域のX軸およびY軸の周辺に設けた複数個の発光素子と、発光素子に対向して設けた複数個の受光素子とを備えた光学式タッチパネルとで構成される。すなわち、タッチパネルのみで入力装置を完成できる。
【0023】
これにより、まず、操作物に対してX軸あるいはY軸の少なくとも一方の発光素子より光を照射し、かかる操作物により遮断された光の状態で操作物の形態が認識される。その後は、動作選択領域上の指などの操作物により照射光が遮断され、X軸およびY軸の各受光素子でその遮断された位置をそれぞれ検出するので、操作物の座標が求められる。
【0024】
その結果、従来の入力装置では必要とされていた、入力エリアと操作者の手をカメラで撮影する処理や、撮影した画像より手の形態を認識する処理や、撮影した画像と表示画面との相対位置の関係より座標を検出する処理などが不要となるため、入力装置からカメラを不用にできる。
【0025】
以上のことより、カメラの設置エリアの確保や、カメラと被写体の焦点距離の確保などが一切不要となり、タッチパネルのみで操作物の形態の認識と、操作物の座標の検出との両方を判別できるので、入力装置の小型化および薄型化に繋がる効果がある。
【0026】
第2に、本発明のタッチパネルを用いた入力装置に依れば、マイコン制御部により、光学式タッチパネル座標信号と接触式タッチパネル座標信号が表示パネルの大きさに対応した座標信号へ変換される。これにより、タッチパネルのサイズを自由に選択できる。
【0027】
また、入力装置のサイズとディスプレイのサイズを自由に選択できるため、入力装置の用途や使用形態に合わせて入力装置のサイズをディスプレイのサイズより小さくすることも可能であり、設計の自由度があがり、意匠性に優れる効果もある。
【0028】
第3に、本発明のタッチパネルを用いた入力装置に依れば、接触式タッチパネルと光学式タッチパネルとを遮光性のカバーで覆うために、太陽光などの外部光の入射を防止できる。これにより、再帰反射フィルムに太陽光が入射して誤動作することを防げるため、環境に左右されることなく入力装置を利用できる。
【0029】
第4に、本発明のタッチパネルを用いた入力装置の入力方法に依れば、光学式タッチパネルの照射光が遮断された受光素子の状態を検出し、マイコン制御部により操作物の形態を区別できるため、操作物の形態と表示パネルに表示される複数の表示モードとを対応付けることができる。
【0030】
これにより、入力装置の電源がオンされた後は、操作者は1本指や2本指などの予め定めた形態を入力装置に検出させるだけよく、ディスプレイを見なくても、所望の画面モードを選択して表示パネルに表示できる。
【0031】
その結果、電源をオンした後に画面モードを選択するモード選択画面を表示させる必要もなく、また、モード選択画面上の所望のボタンスイッチを選択する動作も省略できる。
【0032】
第5に、本発明のタッチパネルを用いた入力装置の入力方法に依れば、動作選択領域上を移動する指などの操作物の座標を検出し、その座標信号に従って移動するカーソルを表示パネルに表示できる。これにより、入力装置と離れた位置に表示パネルを設けることができる。また、操作者は表示パネルのみを見て操作できる。
【0033】
第6に、本発明のタッチパネルを用いた入力装置の入力方法に依れば、光学式タッチパネル座標信号に従ってカーソルを移動させて選択を行い、接触により接触式タッチパネル座標信号に対応する位置にカーソルが移動されると共に、マイコン制御部から確定信号が出力される。
【0034】
これにより、表示パネルのサイズを入力装置のサイズより大型にした場合には、光学式タッチパネル座標信号を表示パネルのサイズに対応させて拡大するためにカーソルの移動が粗くなるが、座標の分解能が高い接触式タッチパネル座標信号に基づき同様に拡大した座標にカーソルを修正することで、正確な確定信号を出力することができる。
【0035】
ここで、座標の分解能とは、光学式タッチパネルの場合には対向する辺に並べて設置した発光素子と受光素子の数により決定されるものであり、接触式タッチパネルの場合には基板の片面全体に形成された透明導電膜により無限に検出できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明のタッチパネルを用いた入力装置を説明するためのブロック図である。
図2】本発明の入力装置を覆う遮光性カバーを説明する斜視図である。
図3】(A)は本発明のタッチパネルを用いた入力装置を説明する上面図であり、(B)はその断面図であり、(C)は検出部の光の照射範囲を表した図である。
図4】(A)〜(B)は本発明の光学式タッチパネルによる指などの操作物の座標位置を検出する方法を説明する図である。
図5】(A)〜(D)は本発明の光学式タッチパネルによる手などの操作物の形態を認識する方法を説明する図である。
図6】本発明のタッチパネルを用いた入力装置の入力方法を説明するフロー図である。
図7】本発明のタッチパネルを用いた入力装置を車に搭載した実施例を説明する図である。
図8】本発明のタッチパネルを用いた入力装置を車に搭載した場合の入力方法を説明するフロー図である。
図9】(A)〜(C)は、本発明の入力装置の入力方法により表示される画面の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、本発明のタッチパネルを用いた入力装置を説明するためのブロック図である。図2は、本発明の入力装置を覆う遮光性のカバーを説明する斜視図である。
【0038】
図1に示すように、本発明のタッチパネルを用いた入力装置1は、接触式タッチパネル2と、光学式タッチパネル3と、マイコン制御部4とで構成される。
【0039】
接触式タッチパネル2は、上基板21(図3参照)と下基板22(図3参照)の間に透明導電膜23(図3参照)を形成したタッチパネルであり、操作者が上基板21に接触して入力を行うものである。上基板あるいは下基板にはガラス板やフィルムなどを用い、透明導電膜にはITO膜などを用いる。
【0040】
具体的には、接触式タッチパネル2として、抵抗膜式タッチパネルまたは静電容量式タッチパネルが用いられる。
【0041】
抵抗膜式タッチパネルは、ガラス−ガラス構造あるいはフィルム−ガラス構造のタッチパネルがあり、ガラス板あるいはフィルムからなる上基板21と下基板22の片面に透明導電膜23を形成し、かかる透明導電膜23を対向させ、その間にドットスペーサを配置した構造である。操作者が上基板を押下すると、上基板の透明導電膜はドットスペーサのない個所で下基板の透明導電膜と導通する。押下された位置のX軸とY軸の電圧を計測することで座標位置が決定される。
【0042】
静電容量式タッチパネルは、ガラスやプラスチックなどの下基板22上に透明導電膜23を形成し、その表面をフィルムやプラスチックなどの上基板21でオーバーコートを施した構造である。操作者がタッチをすると、指先と透明導電膜との間で静電容量が変化するので、その変化を利用して座標位置の検出を行う。
【0043】
光学式タッチパネル3は、X軸およびY軸上に並べて設けた複数個の発光素子31、33(図3参照)と、かかる発光素子に対向して設けた複数個の受光素子32、34(図3参照)とで形成されるタッチパネルであり、接触式タッチパネル2の動作選択領域上に置かれた操作者の手などの操作物の形態の認識や、操作者の指などの操作物の座標位置の検出を行うものである。なお、詳しくは図3で詳細に説明する。
【0044】
マイコン制御部4は、接触式タッチパネル2と光学式タッチパネル3で生成された信号を受信したり、接触式タッチパネル2と光学式タッチパネル3で検出した座標信号を表示パネル5のパネルサイズの座標信号へと変換したり、座標信号に対応するカーソルを表示パネル5上で移動させるといった演算機能やデータ処理機能を有する制御部である。
【0045】
表示パネル5とは、複数の表示モードとそれを制御するカーソルを表示する液晶や有機ELなどのディスプレイであり、タッチパネルを用いた入力装置1とは離れた位置に設置される。
【0046】
次に、図2に本発明のタッチパネルを用いた入力装置を覆う遮光性カバーの一例を示す。
【0047】
遮光性カバー6は、接触式タッチパネル2と光学式タッチパネル3を覆い、その一辺に開口部6bを設けて形成され、太陽光などの外部光の入射による誤動作を防ぐものである。
【0048】
図に示すように、支持台6aにタッチパネル式の入力装置1を配置し、接触式タッチパネル2と光学式タッチパネル3が位置する個所をドーム状に囲う。開口部6bは、操作者の手や指などの操作物を入れて操作を行う部分であり、操作性を確保するために一定の高さを要する。
【0049】
更に、図3を用いて本発明のタッチパネルを用いた入力装置1の具体的な構造について説明する。図3(A)は本発明の入力装置1の上面図であり、図3(B)はその断面図であり、図3(C)は光学式タッチパネルの光の照射範囲を表した図である。なお、ここでは接触式タッチパネルとして抵抗膜式タッチパネルを用いる場合を例に説明する。
【0050】
図3(A)に示すように、接触式タッチパネル2は、上面を開口した枠状の筐体7の中に設けられる。筐体7は、接触式タッチパネル2を支持し、タッチパネルを外力より保護し、光学式タッチパネル3の発光素子31、33および受光素子32、34を設置する支持台としての役割がある。
【0051】
次に、本願の特徴である光学式タッチパネル3は、接触式タッチパネルのタッチされる動作選択領域25のX軸およびY軸の周辺に並べて設けた複数個の発光素子31、33と、発光素子に対向して設けた複数個の受光素子32、34とで形成される。尚、図に示すように斜線で示した部分が動作選択領域25である。
【0052】
X軸の発光素子31およびY軸の発光素子33は、動作選択領域25の周辺に並べて設けられる。尚、検出される座標の分解能は発光素子の素子数に比例して高くなる。
【0053】
X軸の受光素子32およびY軸の受光素子34は、動作選択領域25の周辺で、発光素子に対向して設けられる。発光素子31、33からの赤外線光は受光素子に向けて直線的に照射される。
【0054】
X軸およびY軸の発光素子31、33と受光素子32、34とは、一定間隔に並べられており、具体的には、指の横幅よりも狭い間隔で配置され、8インチの光学式タッチパネルではX軸の発光素子31および受光素子32の数は22個であり、Y軸の発光素子33および受光素子34の数は14個である。なお、図面上は見やすくするために素子数を少なく描いている。
【0055】
また、各発光素子および各受光素子の設置には強度が必要となるため、筐体7に設けると良い。
【0056】
図3(B)の断面図は、図3(A)のa−a線で示す部分に対応している。図に示すように、接触式タッチパネル2として、ガラス−ガラス構造あるいはフィルム−ガラス構造の抵抗膜式タッチパネルを用いる。
【0057】
接触式タッチパネル2には、上基板21と下基板22の片面にITO膜23が形成され、フォトエッチングによりパターンニングした透明電極や引き出し電極、外部取り出し電極(図示せず)が形成される。そして、上基板21と下基板22の透明電極を対向するように重ね合わせ、基板の周端部に設けた接着層24で上下基板を貼着する。なお、上下基板の間隔を保持するために、一方のガラス基板に図示しないドットスペーサが多数配設されている。
【0058】
接触式タッチパネル2のタッチされる動作選択領域の任意の点を指またはペン等で押圧操作すると、その点において上基板の透明電極と下基板の透明電極とが接触してオン状態となる。このオン信号が各引き出し電極、外部取り出し電極を介してマイコン制御部4へと送られ、オン信号に対応する処理が行われる。
【0059】
なお、押圧操作を止めると上基板の透明電極と下基板の透明電極とが離れてオフ状態となり、かかるオン信号に対応する処理は終了する。
【0060】
光学式タッチパネル3は、複数個のX軸およびY軸の発光素子31、33と各発光素子に対向して設けた複数個のX軸およびY軸の受光素子32、34とが、接触式タッチパネル2の動作選択領域25の周辺で、強度のある筐体7側に接着剤で固定されている。発光素子31、33には発光ダイオードを用い、受光素子32、34にはフォトトランジスタを用いる。
【0061】
光学式タッチパネル3は、発光素子31、33が点灯すると、対向する受光素子32、34がオンとなる性質を利用している。動作選択領域25上に手、指またはペン等の操作物を置いたとき、その部分の照射光は遮られるために、受光素子32、34はオフのままである。この受光素子のオフ信号を検出し、操作物の形態や座標位置を検出する。
【0062】
具体的には、X軸の受光素子32のオフ信号と、Y軸の受光素子34のオフ信号により操作物のある座標位置を検出する。この座標信号をマイコン制御部4へと送り、表示パネル5にカーソルを表示できる。
【0063】
また、複数本の指を広げたり、くっつけたりした形状で動作選択領域25上に置いた場合には、X軸あるいはY軸の少なくとも一方からの照射光が発光素子から照射されるので、対向する受光素子でオフ信号の数を検出し、マイコン制御部4でその操作物の形態を区別する。マイコン制御部4で形態認識信号を生成して、複数の表示モードの中から1つを選択して表示パネルに表示させることができる。
【0064】
本発明では上述した2種類の検出を1つの光学式タッチパネル3に持たせることが特徴である。
【0065】
図3(C)は、光学式タッチパネル3の発光素子31、33から赤外線光が照射できる範囲を示している。図に示すように、動作選択領域25の外周にX軸およびY軸の発光素子31、33が設置されているので、接触式タッチパネル2のタッチされる動作選択領域25には赤外線光が照射されることがわかる。
【0066】
次に、図4図5を用いて、光学式タッチパネルの検出方法を説明する。図4(A)〜図4(B)は、光学式タッチパネルによる指などの操作物の座標位置を検出する方法を説明する図である。図5(A)〜図5(D)は、光学式タッチパネルによる手などの操作物の形態を認識する方法を説明する図である。
【0067】
図4(A)、図4(B)は光学式タッチパネルによる座標位置を検出する方法を説明する図である。
【0068】
図4(A)に示すように、動作選択領域上に、操作者の指8を1本置いた場合には、X軸およびY軸の発光素子31、33から光が照射され、指がある部分は照射光が遮られるために対向するX軸およびY軸の受光素子32、34ではオフ信号が検出される。
【0069】
具体的には、例えば図4(B)に示すように、点で示した位置に指などの操作物8を置いた場合には、座標(6,5)が検出される。
【0070】
また、受光素子では、後述する図5(B)に示すような信号の検出が行われる。図中の数値は、受光素子の配置に対応して検出された信号値を示している。「1」はオン信号(通過した信号)であり、「0」はオフ信号(遮断された信号)である。これを利用して、操作物の形態を区別することができる。
【0071】
具体的には、図5(A)あるいは図5(C)に示すように、手などの操作物8を広げて動作選択領域上に置くことで、発光素子の照射光を部分的に遮断する。ここでは、X軸の発光素子31からのみ、照射して形態を認識する場合を示す。
【0072】
これにより、対向する受光素子、すなわちX軸の受光素子32で検出したオフ信号を区別して指などの本数を検出することができる。
【0073】
図5(B)には、図5(A)のX軸の各受光素子で検出したオン・オフ信号を示す。操作者は、5本の指がくっつかないように広げて光を遮断しているため、座標軸の原点(ここでは動作選択領域の左下の位置を原点とする)側より、「1、1、0、1、0、1、0、1、0、1、0、1」の信号が検出される。
【0074】
一方、図5(C)には、操作者が薬指と中指をくっつけて光を遮断している状態を示す。この場合には、図5(D)に示すように、原点側より「1、1、0、1、0、0、1、1、0、1、0、1」の信号が検出される。
【0075】
図5(A)と図5(C)の2つのケースでは、ともにオフ信号(「0」)が5つであるが、図からも明らかなように操作者の手などの操作物8の形態は明らかに異なる。すなわち、検出したオフ信号(「0」)の総数を単純に操作物の本数として識別すると、操作者の意思により隣り合う操作物8を近接させた場合(図5(C)参照)と混同し、正確な操作物8の形態を識別できない。
【0076】
そこで、オフ信号(「0」)の数に関係なく、オン信号(「1」)とオン信号(「1」)の間にオフ信号(「0」)がある場合を1本の指と識別することで、操作物を近接させた場合(図5(C)参照)を区別できる。
【0077】
これにより、図5(A)に示す形態の場合には、「1、0、1」のパターンが全部で5つあるので5本指と認識でき、図5(C)に示す形態の場合には、「1、0、1」あるいは「1、0、0、1」のパターンが全部で4つあるので4本指と認識できる。なお、この認識はマイコン制御部4で行われる。
【0078】
その後、上述のように指の本数はマイコン制御部4で識別され、形態認識信号が生成される。形態認識信号とは、指の本数ごとに各表示モードが対応し、識別された本数の表示モードを選択して表示パネルの表示を制御する信号である。
【0079】
次に、図6を用いて本発明のタッチパネルを用いた入力装置の入力方法について説明する。
【0080】
タッチパネルを用いた入力装置1の電源をオンにすると、入力装置と離れた位置に設けた表示パネル5に初期設定画面が表示される(ステップS1)。
【0081】
そして、光学式タッチパネル3のX軸あるいはY軸の発光素子31、33の少なくとも一方からの光が、動作選択領域25上に置かれた手などの操作物8に遮られ、かかる発光素子に対向して設置された受光素子32、34でオン信号・オフ信号を検出し、マイコン制御部4で操作物8の形態を区別してその形態を認識する(ステップS2)。
【0082】
なお、この際に、一定間隔で複数回の照射を行い、その全ての検出値が一致している場合にのみ、操作物8の形態を認識する。具体的には、ステップS2の処理を1秒間隔で3回連続して行う。これにより、操作者の意思により画面モードの選択が行われていることを認識でき、誤って手などの操作物や洋服の袖などが光学式タッチパネル上に置かれた場合を区別できる。
【0083】
そして、マイコン制御部4からの形態認識信号により、表示パネル5に表示される複数の表示モードの中から1つを選択する(ステップS3)。
【0084】
その後、かかる表示モードに切り替えられて、表示パネル5に表示される(ステップS4)。
【0085】
そして、表示された表示モードの中で、動作選択領域25上を移動させる指などの操作物8の位置を光学式タッチパネル3の受光素子32、34で検出してマイコン制御部4に入力し、操作物8の座標を求めて光学式タッチパネル座標信号を生成する。マイコン制御部4はかかる座標の座標信号を表示パネル5に伝えて、カーソルを座標信号に従って表示パネル5上の動作選択領域で移動させる(ステップS5)。
【0086】
そして、選択した動作選択領域のカーソルがある位置で接触式タッチパネル2に接触する。これによりマイコン制御部4は接触式タッチパネル座標信号を検出し、カーソルを接触式タッチパネル座標信号に対応する位置に移動させると共に、マイコン制御部4から確定信号を出力し、選択された表示モードの操作を行う(ステップS6)。
【0087】
そして、他の表示モードへ切り替える場合には、現在の表示モードを終了してステップS1の初期設定画面を表示させる初期設定画面ボタンを選択する(ステップS7)。その後、マイコン制御部4によりステップS1の処理へと戻り、操作者は手などの操作物8を認識させる。なお、ステップS7の代わりに、ステップS6の後に一定時間何も操作がされない場合には直接ステップS1へと戻るようにしても良い。
【0088】
なお、上述の如く本発明の入力装置1と表示パネル5とは、両者を異なるサイズにすることができる。しかし、表示パネル5のサイズを入力装置1のサイズより大型にする場合には、光学式タッチパネル3で検出した光学式タッチパネル座標信号を表示パネル5のサイズに合わせて拡大するため、座標軸の目盛りが大きくなるためにカーソルの移動が粗くなる。このため、表示パネル5上の選択した動作選択領域のカーソルのある位置にズレが生ずる場合がある。
【0089】
ところが、抵抗膜式タッチパネル2では動作選択領域25の全面に透明電極が形成されているために、動作選択領域25内の座標を精度良く検出できる。
【0090】
このカーソル移動の粗さによる表示パネル上の選択した動作選択領域のカーソルのある位置のズレを解消するために、上述のステップS6において、抵抗膜式タッチパネル座標信号に対応する位置へカーソルを修正する処理が必要となる。
【0091】
これにより、表示パネル5を入力装置1のサイズより大型化にしても、座標信号に追従してカーソルを表示させることができる。
【0092】
ここで、本発明のタッチパネルを用いた入力装置をカーナビに利用する場合の実施例を説明する。
【0093】
図7は、カーナビとして車両に設置した一例を示した図である。図8は、カーナビに用いた場合の入力方法を説明するフロー図である。図9は、カーナビの各表示モードの画像の一例である。ここでは、操作物の認識本数が1本の場合にはナビモード、2本の場合には空調設定モード、3本の場合にはオーディオモード、4本の場合には車外カメラモード、5本の場合にはテレビモードがそれぞれ選択されるものとする。
【0094】
図7に示すように、カーナビとして用いた場合は、操作者の手元付近にタッチパネルを用いた入力装置1が設置され、太陽光などの外部光の入射を防ぐために、遮光性のカバー6で覆われている。具体的には、センターコンソールに配置すると、操作者は操作の前に配置個所を確認する作業を省略でき、また、手の移動も少ない分、操作性も向上する。
【0095】
表示パネル5は、操作者が視線を大きく移動することなく確認できる位置であればよく、具体的にはインストルメント・パネルに配置する。
【0096】
図8に示すように、操作者は車を起動させると入力装置1の電源はオンとなり、表示パネル5に初期設定画面が表示される(ステップS10)。
【0097】
そして、操作者は表示させる表示モードを選択するために、手などの操作物8で所望の形態を作り、接触式タッチパネル2の動作選択領域25上に置いて認識させる。光学式タッチパネル3はX軸あるいはY軸の発光素子の少なくとも一方から照射し、かかる発光素子に対向して設けた受光素子でオン信号あるいはオフ信号を検出し、マイコン制御部4で操作物8の形態を区別して認識し、その形態認識信号を生成する(ステップS20)。
【0098】
なお、この際に、ステップS20を1秒間隔で3回連続して行い、全ての検出値が一致していることを確認することで、誤操作との識別を行う。
【0099】
具体的には、操作者は1本指を立て動作選択領域上に置いた場合には認識本数が1本と認識され、2本指を立てて置いた場合には認識本数が2本、3本指を立てて置いた場合には認識本数が3本と、それぞれ区別されて認識される。ここで、各認識本数における処理を説明する。
【0100】
(1本指を立てた場合)
ステップS20の本数認識の処理により、認識本数が1本と認識される(ステップS30)。
【0101】
マイコン制御部4からの形態認識信号により複数の画面モードの中から1つが選択され、表示パネル5に表示される(ステップS40)。
【0102】
ここでは、1本の場合の形態認識信号が生成されるため、ナビモードが選択されて表示される。
【0103】
その後は、光学式タッチパネル3は、動作選択領域25上を移動させる指などの操作物8の位置を検出してマイコン制御部4に入力し、操作物8の座標を求め、光学式タッチパネル座標信号を生成して表示パネル5に伝える。そして、その座標信号に従って表示パネル5上をカーソル9が移動し、動作の選択を行う(ステップS50)。
【0104】
具体的には、図9(A)に示すように、操作者が動作選択領域25上で指示する座標位置を検出し、その光学式タッチパネル座標信号に従って表示パネル5のナビ画面上にカーソル9を表示させる。これにより、操作者は、地図上でカーソル9を移動させて画面を上下左右に移動させることや、表示画面の拡大あるいは縮小や目的地の検索などの各選択メニューから動作させたい選択領域にカーソル9を移動させて、その選択を行うことができる。なお、ここでは表示画面の拡大を行うものとする。
【0105】
そして、操作者は選択した動作選択領域にカーソル9がある状態で接触式タッチパネル2に接触し、接触式タッチパネル座標信号を検出してカーソルをかかる接触式タッチパネル座標信号に対応する位置に移動させるとともに、マイコン制御部4から確定信号を出力して、選択された動作を行う(ステップS60)。
【0106】
具体的には、操作者は表示画面を拡大させたい場合には、図9(A)に示すように、動作選択領域25上を指で移動し、表示パネル上の拡大ボタンがある領域までカーソル9を移動し、選択を行う。そして、拡大ボタン上にカーソル9がある状態で接触式タッチパネル2に接触し、カーソルを接触式タッチパネル座標信号に対応する拡大ボタン上の位置に移動させるとともに拡大ボタンの処理を確定させると、画面が拡大される。
【0107】
最後に、他の表示モードに切り替える場合には、表示パネル上の初期設定画面へと戻る初期画面ボタンをカーソル9で選択し、接触式タッチパネルに接触して確定する(ステップS70)。その後、処理はステップS10へ戻るため、操作者は指で形態を作り認識させればよい。
【0108】
なお、初期設定画面へと戻るボタンで終了の指示を行う代わりに、ステップS60の後に一定時間何も操作がされない場合には直接ステップS10へ戻るようにしたり、操作者が指で形態を作って一定時間その形態をマイコン制御部に認識させることでステップS10が行われるようにしても良い。
【0109】
(2本指を立てた場合)
なお、各処理は上述の1本指を立てた場合と同様であるので、具体的な処理の流れを以下に説明する。
【0110】
ステップS20の本数認識の処理により2本と認識され(ステップS31)、表示パネル5には空調設定画面が表示される(ステップS41)。
【0111】
操作者は、空調の温度を23度から25度に上げたい場合には、図9(B)に示すように、動作選択領域25上を指8で移動させて温度上昇ボタンの領域にカーソル9を移動して選択を行い(ステップS50)、カーソル9が温度上昇ボタン上にある状態で接触タッチパネル2に接触して確定する(ステップS60)。この場合には2度上昇させるため、接触式タッチパネル2に2回タッチすればよい。
【0112】
その後、初期設定画面へと戻る初期画面ボタンにタッチして、ステップS10へと戻る(ステップS70)。
【0113】
(3本指を立てた場合)
なお、2本指の場合と同様に、具体的な処理の流れを以下に説明する。
【0114】
ステップS20の本数認識の処理により3本と認識され(ステップS32)、表示パネル5にはオーディオ画面が表示される(ステップS42)。
【0115】
操作者は、1曲スキップさせたい場合には、図9(C)に示すように、動作選択領域25上を指8で移動させてスキップボタンの領域にカーソル9を移動して選択を行い(ステップS50)、カーソル9がスキップボタン上にある状態で接触タッチパネル2に1回接触して確定する(ステップS60)。
【0116】
その後、初期設定画面へと戻る初期画面ボタンにタッチして、ステップS10へと戻る(ステップS70)。
【0117】
(4本指を立てた場合)
なお、2本指の場合と同様に、具体的な処理の流れを以下に説明する。
【0118】
ステップS20の本数認識の処理により4本と認識され(ステップS33)、表示パネル5には車外カメラ画面が表示される(ステップS43)。
【0119】
操作者は、リアカメラに切り替えたい場合には、図示は省略するが、動作選択領域25上を指8で移動させてリアカメラ切替ボタンの領域にカーソル9を移動して選択を行い(ステップS50)、カーソル9がリアカメラ切替ボタン上にある状態で接触タッチパネル2に1回接触して確定する(ステップS60)。
【0120】
その後、初期設定画面へと戻る初期画面ボタンにタッチして、ステップS10へと戻る(ステップS70)。
【0121】
(5本指を立てた場合)
なお、2本指の場合と同様に、具体的な処理の流れを以下に説明する。
【0122】
ステップS20の本数認識の処理により5本と認識され(ステップS34)、表示パネル5にはテレビ画面が表示される(ステップS44)。
【0123】
操作者は、選局を変更したい場合には、図示は省略するが、動作選択領域25上を指8で移動させて選局ボタンの領域にカーソル9を移動して選択を行い(ステップS50)、カーソル9が所望の選局ボタン上にある状態で接触タッチパネル2に1回接触して確定する(ステップS60)。
【0124】
その後、初期設定画面へと戻る初期画面終了ボタンにタッチして、ステップS10へと戻る(ステップS70)。
【0125】
なお、入力装置1のタッチパネル2、3のインチサイズと表示パネル5のパネルサイズが異なる場合には、ステップS50において求めたタッチパネル上の座標値を表示パネル5のパネルサイズの座標値に変換し、座標信号を生成して表示パネルに伝える。これにより、入力装置1のタッチパネルのインチサイズと表示パネルのパネルサイズを自由に設計変更することができる。
【0126】
また、上述した実施例では、タッチパネルを用いた入力装置1をカーナビに用いた場合を説明したが、家電製品の入力装置や、ゲーム機の入力装置としても用いてもよい。
【符号の説明】
【0127】
1 入力装置
2 接触式タッチパネル
3 光学式タッチパネル
4 マイコン制御部
5 表示パネル
6 遮光性カバー
6a 支持台
6b 開口部
7 筐体
8 操作物
9 カーソル
21 上基板
22 下基板
23 透明導電膜
24 接着剤
25 動作選択領域
31 X軸の発光素子
32 X軸の受光素子
33 Y軸の発光素子
34 Y軸の受光素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9