特許第5738873号(P5738873)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5738873コンバータ回路を動作する方法およびその方法を実施するための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5738873
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】コンバータ回路を動作する方法およびその方法を実施するための装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20150604BHJP
【FI】
   H02M7/48 E
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-533579(P2012-533579)
(86)(22)【出願日】2010年10月7日
(65)【公表番号】特表2013-507900(P2013-507900A)
(43)【公表日】2013年3月4日
(86)【国際出願番号】EP2010065033
(87)【国際公開番号】WO2011045230
(87)【国際公開日】20110421
【審査請求日】2013年9月27日
(31)【優先権主張番号】09173094.5
(32)【優先日】2009年10月15日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505056845
【氏名又は名称】アーベーベー・シュバイツ・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(72)【発明者】
【氏名】ビンケルンケンパー、マンフレート
(72)【発明者】
【氏名】コルン、アルトゥール
【審査官】 槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−506736(JP,A)
【文献】 特表2009−506746(JP,A)
【文献】 特表2009−519692(JP,A)
【文献】 特表2010−512133(JP,A)
【文献】 特表2010−512134(JP,A)
【文献】 特表2010−517496(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/115141(WO,A1)
【文献】 特開2010−246371(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/023064(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンバータ回路を動作する方法であって、
前記コンバータ回路は、少なくとも2つの位相モジュール(11)を有し、
各位相モジュール(11)は、第1および第2のサブコンバータシステム(1、2)を有し、
前記サブコンバータシステム(1、2)は、各位相モジュール(11)に対して互いに直列に接続され、
前記2つのサブコンバータシステム(1、2)間のノードは、出力接続(A)を形成し、
前記各サブコンバータシステム(1、2)は、インダクタンス(L1、L2)と、前記インダクタンスと直列に接続される少なくとも1つの二端子スイッチングセル(3)とを含み、
各スイッチングセル(3)は、制御された単方向電流ガイダンス方向を有する直列に接続された2つの駆動可能双方向パワー半導体スイッチと、容量性エネルギー貯蔵とを有し、前記容量性エネルギー貯蔵は、前記直列に接続された2つの駆動可能双方向パワー半導体スイッチと並列に接続され、
前記第1のサブコンバータシステム(1)の前記スイッチングセル(3)の前記パワー半導体スイッチは、駆動信号(S1)によって駆動され、
前記第2のサブコンバータシステム(2)の前記スイッチングセル(3)の前記パワー半導体スイッチは、さらなる駆動信号(S2)によって駆動され、
各位相モジュール(11)について、前記駆動信号(S1)は、前記第1のサブコンバータシステム(1)の前記スイッチングセル(3)の前記パワー半導体スイッチに対して、前記インダクタンス(L1、L2)を介する電圧信号(V)およびスイッチング関数(α)から形成され、前記さらなる駆動信号(S2)は、前記第2のサブコンバータシステム(2)の前記スイッチングセル(3)の前記パワー半導体スイッチに対して、前記インダクタンス(L1、L2)を介する電圧信号(V)およびスイッチング関数(α)から形成され、
前記スイッチング関数(α、α)は、関連する位相モジュール(11)の前記出力接続(A)における電圧(V)に関する電圧信号(V)および選択可能な基準信号(Vref)によって形成され、
前記電圧信号(V)は、前記位相モジュール(11)の前記出力接続(A)において前記電圧(V)と同じ位相となるように選択され、
各位相モジュール(11)について、前記インダクタンス(L1、L2)を介する前記電圧信号(V)は、前記サブコンバータシステム(1、2)の電流信号(V)から形成され、
各位相モジュール(11)について、前記サブコンバータシステム(1、2)の前記電流信号(V)は、電流信号振幅値(A)から形成され、
各位相モジュール(11)について、前記電流信号振幅値(A)は、前記出力接続(A)における実電流値(i)および前記基準信号(Vref)から次の式にしたがって形成され、
【数1】
ここで、Aは、電流信号振幅値であり、
refは、基準信号であり、
は、出力接続(A)における電流のDC成分であり、
は、電圧信号振幅値であり、
Δψは、出力接続(A)における電圧と、サブコンバータシステム(1、2)の電流信号(V)との間の位相差である、方法。
【請求項2】
各位相モジュール(11)について、前記出力接続(A)における前記電圧(V)に関する前記電圧信号(V)は、電圧信号振幅値(M)から形成される、ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
各位相モジュール(11)について、前記電圧信号振幅値(M)は、前記出力接続(A)における前記実電流値(i)および前記基準信号(Vref)から形成される、ことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
各位相モジュール(11)について、前記サブコンバータシステム(1、2)の前記電流信号(V)、前記インダクタンス(L1、L2)を介する前記電圧信号(V)、および、前記出力接続(A)における前記電圧(V)に関する電圧信号(V)は、同じ周波数を有する、ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
各位相モジュール(11)について、前記インダクタンス(L1、L2)を介する前記電圧信号(V)、および、前記出力接続(A)における前記電圧(V)に関する前記電圧信号(V)は、同じ移相を有する、ことを特徴とする請求項1または4記載の方法。
【請求項6】
各位相モジュール(11)について、前記出力接続(A)における前記電圧(V)に関する基準電圧信号は、基準信号(Vref)として選択される、ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
コンバータ回路を動作する方法を実施するための装置であって、
前記コンバータ回路は、少なくとも2つの位相モジュール(11)を有し、
各位相モジュール(11)は、第1および第2のサブコンバータシステム(1、2)を有し、
前記サブコンバータシステム(1、2)は、各位相モジュール(11)に対して互いに直列に接続され、
前記2つのサブコンバータシステム(1、2)間のノードは、出力接続(A)を形成し、
各サブコンバータシステム(1、2)は、インダクタンス(L1、L2)と、前記インダクタンスと直列に接続される少なくとも1つの二端子スイッチングセル(3)とを含み、
各スイッチングセル(3)は、制御された単方向電流ガイダンス方向を有する直列に接続された2つの駆動可能双方向パワー半導体スイッチと、容量性エネルギー貯蔵とを有し、前記容量性エネルギー貯蔵は、前記直列に接続された2つの駆動可能双方向パワー半導体スイッチと並列に接続され、
駆動信号(S1)の生成のために使用される第1の駆動回路(4)であって、各位相モジュール(11)について、前記第1の駆動回路(4)は、前記第1のサブコンバータシステム(1)の前記スイッチングセル(3)の前記パワー半導体スイッチに接続され、
さらなる駆動信号(S2)の生成のために使用される第2の駆動回路(5)であって、各位相モジュール(11)について、前記第2の駆動回路(5)は、前記第2のサブコンバータシステム(2)の前記スイッチングセル(3)の前記パワー半導体スイッチに接続され、
各位相モジュール(11)に関して、前記第1のサブコンバータシステム(1)の前記スイッチングセル(3)の前記パワー半導体スイッチに対して、前記インダクタンス(L1、L2)を介する電圧信号(V)およびスイッチング関数(α)の和は、前記第1の駆動回路(4)に供給され、前記駆動信号(S1)を形成し、
各位相モジュール(11)に関して、前記第2のサブコンバータシステム(2)の前記スイッチングセル(3)の前記パワー半導体スイッチに対して、前記インダクタンス(L1、L2)を介する電圧信号(V)およびスイッチング関数(α)の和は、前記第2の駆動回路(5)に供給され、前記さらなる駆動信号(S2)を形成し、
各位相モジュール(11)に関して、前記出力接続(A)における電圧(V)に関する電圧信号(V)および選択可能な基準信号(Vref)から前記スイッチング関数(α、α)を形成する第1の計算ユニット(6)が提供され、
前記位相モジュール(11)の前記出力接続(A)における前記電圧(Vと、前記電圧(Vに関する前記電圧信号(V)は、前記出力接続(A)において同じ位相となるように選択され、
各位相モジュール(11)に関して、前記サブコンバータシステム(1、2)の電流信号(V)から前記インダクタンス(L1、L2)を介する前記電圧信号(V)を形成する第2の計算ユニット(10)が提供され、
各位相モジュール(11)に関して、電流信号振幅値(A)から前記サブコンバータシステム(1、2)の前記電流信号(V)を形成する第3の計算ユニット(7)が提供され、
各位相モジュール(11)に関して、前記出力接続(A)における前記実電流値(i)、および基準信号(Vref)から前記電流信号振幅値(A)を次の式にしたがって形成する第4の計算ユニット(9)が提供され、
【数2】
ここで、Aは、電流信号振幅値であり、
refは、基準信号であり、
は、出力接続(A)における電流のDC成分であり、
は、電圧信号振幅値であり、
Δψは、出力接続(A)における電圧と、サブコンバータシステム(1、2)の電流信号(V)との間の位相差である、装置。
【請求項8】
各位相モジュール(11)に関して、電圧信号振幅値(M)から前記出力接続(A)における前記電圧(V)に関する前記電圧信号(V)を形成する第5の計算ユニット(8)が提供される、ことを特徴とする請求項7記載の装置。
【請求項9】
各位相モジュール(11)に関して、前記出力接続(A)における前記実電流値(i)および前記基準信号(Vref)から前記電圧信号振幅値(M)を形成する前記第4の計算ユニット(9)が提供される、ことを特徴とする請求項8記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、パワーエレクトロニクスの分野に関する。前記発明は、独立請求項の前置きに従って、コンバータ回路を動作する方法およびその方法を実施するための装置に基づいている。
【従来技術】
【0002】
最近、コンバータ回路は、多数のアプリケーションの中で使用される。特に、容易に計ることができる電圧を備えたコンバータ回路は、WO 2007/023064 A1の中で定められる。前述の文献では、コンバータ回路は、第1及び第2のサブコンバータシステムを有する。サブコンバータシステムは、さらに直列に接続された2つのインダクタンスによって直列に互いに接続される。直列に接続している2つのインダクタンス間のノードは、電気的な負荷に対して、例えば出力接続を形成する。各サブコンバータシステムは、少なくとも1つの二端子スイッチングセルを含む。そこでは、これらのスイッチングセルは、サブコンバータシステムの複数のスイッチングセルの場合に、直列に互いに接続される。各二端子スイッチングセルは、制御された単方向電流ガイダンス方向(controlled unidirectional current guidance direction)および容量性エネルギー貯蔵(capacitive energy store)(それは、パワー半導体スイッチを含む直列回路と並列に接続される)と直列に接続された2つの駆動可能双方向パワー半導体スイッチを有する。
【0003】
WO 2007/023064 A1によるコンバータ回路の動作のために、従来の装置は、図1に示されるように、第1のサブコンバータシステムのスイッチングセルのパワー半導体スイッチの駆動のための駆動信号を生成するための第1の駆動回路、および、第2のサブコンバータシステムのスイッチングセルのパワー半導体スイッチの駆動のためのさらなる駆動信号を生成するための第2の駆動回路を有して提供される。
【0004】
一般的には、WO 2007/023064 A1によるコンバータ回路は、純粋なAC電圧および純粋な交流が出力接続で提供されるように動作される。スイッチングセルの容量性エネルギー貯蔵の設計は、出力接続における所定の最大電流およびこの電流の所定の周波数に対して、容量性エネルギー貯蔵の電圧リップルが所定の変動範囲内で維持されるようになされる。低周波が、様態に関する基礎として使用されたそれと比較することが望まれる場合、電圧リップルは、増加する。DC成分を備えた直流または交流が、出力接続で提供されることを目的とする場合、電圧リップルは、実質的に無限大に増加する。この場合、容量性エネルギー貯蔵は、出力接続におけるDC成分または直流を備えた動作中のどんな方法でも完全に放電または充電しないために、外部から供給されるまたは無限大のどちらかである必要がある。
【0005】
出力接続における所望の電流(つまり、その周波数)に依存しない、容量性エネルギー貯蔵の可能性ある様相を提供する、WO 2007/023064 A1によるコンバータ回路を動作する方法は、現在知られていない。
【0006】
さらに、DE 10 2008 014 898 A1およびWO 2007/033852 A2の個々は、コンバータ回路を動作する一般的なタイプの方法も定める。さらに、2009年9月18日のIEEEにおける第13回ヨーロッパ会議における、「On Dynamics and Voltage Control of the Modular Multilevel Converter」、パワーエレクトロニクスおよびアプリケーション、2009、EPEは、上述のコンバータ回路を動作する方法を同様に定める。さらに、EP 1 253 706 Aは、有効電力を送信するコンバータ回路および方法を示す。
【発明の説明】
【0007】
したがって、発明の目的は、コンバータ回路を動作する方法を定めることである。それは、コンバータ回路の出力接続の所望の電流、つまり、その周波数に依存しない、コンバータ回路の容量性エネルギー貯蔵の可能性ある様相を提供する。さらに、発明の目的は、特に簡単なやり方で、発明による方法を実施することができる装置を定めることである。
【0008】
これらの目的は、請求項1および請求項7の特徴によってそれぞれ達成される。発明の有利な成果は、従属請求項で定められる。
【0009】
コンバータ回路は、第1及び第2のサブコンバータシステムを有する。2つのサブコンバータシステムは、互いに直列に接続される。2つのサブコンバータシステム間のノードは、出力接続を形成する。各サブコンバータシステムは、インダクタンスと、前記インダクタンスと直列に接続される少なくとも1つの二端子スイッチングセルとを含む。スイッチングセルは、制御された単方向電流ガイダンス方向および容量性エネルギー貯蔵(それは、パワー半導体スイッチを含む直列回路と並列に接続される)と直列に接続される2つの駆動可能双方向パワー半導体スイッチを有する。望ましくは、第1のサブコンバータシステムのスイッチングセルの数は、第2のサブコンバータシステムのスイッチングセルの数に対応する。方法によれば、第1のサブコンバータシステムのスイッチングセルのパワー半導体スイッチは、駆動信号によって駆動される。また、第2のサブコンバータシステムのスイッチングセルのパワー半導体スイッチは、さらなる駆動信号によって駆動される。発明によれば、駆動信号は、第1のサブコンバータシステムのスイッチングセルのパワー半導体スイッチに対して、インダクタンスを介する電圧信号およびスイッチング関数から形成される。また、さらなる駆動信号は、第2のサブコンバータシステムのスイッチングセルのパワー半導体スイッチに対して、インダクタンスを介する電圧信号およびスイッチング関数から形成される。スイッチング関数は、出力接続における電圧に関する電圧信号および選択可能な基準信号によって、特に同時に、形成される。その後、各位相モジュールについては、インダクタンスを介する電圧信号は、サブコンバータシステムの電流信号から形成される。さらに、各位相モジュールについては、サブコンバータシステムの電流信号は、電流信号振幅値から順に形成される。また、各位相モジュールについては、電流信号振幅値は、出力接続における実電流値および基準信号から形成される。駆動信号およびさらなる駆動信号の生成のためのインダクタンスを介する電圧信号によって、および、スイッチング関数を生成するための出力接続における電圧に関する電圧信号によって、容量性エネルギー貯蔵の電圧リップルが、コンバータ回路の出力接続における所望の所定の電流を著しく減少することができる状況を達成することは有利に可能である。その結果、容量性エネルギー貯蔵の設計または様相は、今減少した電圧リップルに対して単に実行されることが必要であり、したがって、所望の出力電流が依存しない。一般に、インダクタンスを介する電圧信号および出力接続における電圧に関する電圧信号は、任意の所望の時間プロファイルを有する可能性がある。しかしながら、望ましくは、インダクタンスを介する電圧信号および出力接続における電圧に関する電圧信号は、例えば、正弦波振動(sinusoidal oscillation)に従う。
【0010】
コンバータ回路を動作する方法を実施するための発明による装置は、各位相モジュールについて、駆動信号を生成する第1の駆動回路を使用する。その第1の駆動回路は、第1のサブコンバータシステムのスイッチングセルのパワー半導体スイッチに接続される。さらに、装置は、各位相モジュールについて、さらなる駆動信号を生成する第2の駆動回路を使用する。その第2の駆動回路は、第2のサブコンバータシステムのスイッチングセルのパワー半導体スイッチに接続される。発明によれば、各位相モジュールに関して、第1のサブコンバータシステムのスイッチングセルのパワー半導体スイッチに対して、インダクタンスを介する電圧信号およびスイッチング関数の和は、駆動信号を形成するための第1の駆動回路に供給される。各位相モジュールに関して、第2のサブコンバータシステムのスイッチングセルのパワー半導体スイッチに対して、インダクタンスを介する電圧信号およびスイッチング関数の和は、さらなる駆動信号を形成するための第2の駆動回路に供給される。さらに、各位相モジュールに関して、出力接続における電圧に関する電圧信号および選択可能な基準信号からスイッチング関数を算出する第1の計算ユニットが、提供される。位相モジュールの出力接続における電圧に関する電圧信号は、同期するように選択される。さらに、各位相モジュールに関して、サブコンバータシステムの前記電流信号からインダクタンスを介する電圧信号を形成する第2の計算ユニットが、提供される。さらに、各位相モジュールに関して、電流信号振幅値からサブコンバータシステムの電流信号を形成する第3の計算ユニット、および、出力接続における実電流値および基準信号から電流信号振幅値を形成する第4の計算ユニットが、提供される。したがって、発明によるコンバータ回路を動作する方法を実施するための装置は、回路に関する複雑さを非常に低くすることができ、さらに、少数のコンポーネントだけが構造に必要であるので、非常に簡単で安い方法で実施することができる。この装置によって、発明による方法は、このように特に簡単な方法で実施することができる。
【0011】
これらおよび本発明のさらなる目的、利点および特徴は、図面とともに、発明の好ましい典型的な実施形態に関して、下の詳細な記述によって明白にされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、従来技術に従ったコンバータ回路を動作する方法の実施のための装置の実施形態を示す。
図2図2は、コンバータ回路を動作するための発明による方法を実施するための発明による装置の実施形態を示す。
図3図3は、コンバータ回路の全出力電流の時間プロファイルを示す。
図4図4は、コンバータ回路の出力接続における電圧の時間プロファイルを示す。
図5図5は、第1のサブコンバータシステムによる電流および第2のサブコンバータシステムによる電流の時間プロファイルを示す。
【0013】
図面で使用され、その重要な参照符号は、要約のために、参照符号のリストにリストされる。原則として、同一部分には、図中で同じ参照符号が提供されている。記述された実施形態は、例のため、発明の主題を表し、限定的な趣旨を持たない。
【発明を実施するためのアプローチ】
【0014】
図1は、最初に既に述べたように、従来技術によるコンバータ回路を動作する方法を実施するための装置の実施形態を示す。そこでは、図1は、明瞭さの理由で、コンバータ回路の単に1つの位相モジュール11を示す。図2は、コンバータ回路を動作するための発明によって方法を実施するための発明による装置の実施形態を示す。そこでは、明瞭さの理由で、コンバータ回路の1つの位相モジュール11だけが、図2に同様に示される。図2に示されるコンバータ回路は、一般に、少なくとも2つの位相モジュール11を有する。各位相モジュールは、第1及び第2のサブコンバータシステム1、2を含む。2つのサブコンバータシステム1、2は、互いに直列に接続される。サブコンバータシステム1、2の間のノードは、出力接続Aを形成する。各サブコンバータシステム1、2は、一般に、インダクタンスL1、L2と、それに直列に接続される少なくとも1つの二端子スイッチングセル3とを含む。サブコンバータシステム1、2の複数のスイッチングセル3の場合には、図2に示されるように、これらのスイッチングセル3は、互いに直列に接続される。各スイッチングセル3は、制御された単方向電流ガイダンス方向および容量性エネルギー貯蔵(それは、パワー半導体スイッチを含む直列回路と並列に接続される)と直列に接続された2つの駆動可能双方向パワー半導体スイッチを有する。駆動可能パワー半導体スイッチは、特に、各場合において、1つのダイオードが連続で(back-to-back)並列に接続される、ゲートターンオフサイリスタ(GTO)、または、統合ゲート整流サイリスタ(IGCT)の形式である。しかしながら、例えば、さらにダイオードが連続で並列に接続されたパワーMOSFETの形式で、または、さらにダイオードが連続で並列に接続された絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)の形式で、駆動可能パワー半導体スイッチが考えられる。望ましくは、第1のサブコンバータシステム1でのスイッチングセル3の数は、第2のサブコンバータシステム2でのスイッチングセル3の数に対応する。
方法によれば、第1のサブコンバータシステム1でのスイッチングセル3のパワー半導体スイッチは、駆動信号S1によって駆動される。また、第2のサブコンバータシステム2でのスイッチングセル3のパワー半導体スイッチは、さらなる駆動信号S2によって駆動される。第1のサブコンバータシステム1のスイッチングセル3の駆動信号S1および第2のサブコンバータシステム2のスイッチングセル3の駆動信号S2は、好ましくは、各スイッチングセル3の一時的なシフトに従う。その結果、各スイッチングセル3は、有利に、一時的なシフトで駆動することができる。発明によれば、各位相モジュール11について、駆動信号S1は、第1のサブコンバータシステム1のスイッチングセル3のパワー半導体スイッチに対して、インダクタンスL1、L2を介する電圧信号Vおよびスイッチング関数αから、特に2つの変数の和から、形成される。さらなる駆動信号S2は、第2のサブコンバータシステム2のスイッチングセル3のパワー半導体スイッチに対して、インダクタンスL1、L2を介する電圧信号Vおよびスイッチング関数αから、特に2つの変数の和から、形成される。スイッチング関数α、αは、関連する位相モジュール11の出力接続Aにおける電圧Vに関する電圧信号Vおよび選択可能な基準信号Vrefによって形成され、特に、同時に、位相モジュール11の出力接続Aにおける電圧Vに関する電圧信号Vは、互いに同期して選択される。インダクタンスL1、L2を介する電圧信号Vは、インダクタンスL1、L2を介するセットポイント電圧値である。望ましくは、出力接続Aにおける電圧Vに関する基準電圧信号は、基準信号Vrefとして選択される。この基準電圧信号は、望ましくは、例えば、出力接続Aにおける電流iの実値をセットポイント値に調整することにより形成される。
【0015】
駆動信号S1およびさらなる駆動信号S2を生成するためのインダクタンスL1、L2を介する電圧信号Vによって、スイッチング関数α、αを生成するための出力接続Aにおける電圧Vに関する電圧信号Vに起因して、容量性エネルギー貯蔵の電圧リップルが、コンバータ回路の出力接続Aの所望の所定の電流iを十分に減少することができる状況を、有利に達成することができる。その結果、容量性エネルギー貯蔵の設計または様相は、今減少された電圧リップルに関して単に行われる必要があり、したがって、所望の出力電流iに依存しない。
【0016】
一般に、インダクタンスL1、L2を介する電圧信号Vおよび出力接続Aの電圧Vに関する電圧信号Vは、任意の所望の時間プロファイルを有することができる。したがって、例えば、インダクタンスL1、L2を介する電圧信号Vおよび出力接続Aの電圧Vに関する電圧信号Vは、正弦波振動になりえる。
【0017】
1つの目的は、例えば、相殺するように、出力接続で電圧Vに関する電圧信号Vから形成される電力から、および、サブコンバータシステム1、2の電流信号Vから、スイッチングセル3の容量性エネルギー貯蔵の好ましくない割合のためである。サブコンバータシステム1、2の電流信号Vは、出力接続Aを介さず、コンバータ回路のサブコンバータシステム1、2を通って流れている回路電流のセットポイント電流値である。
一般に、下記は、次のことを適用する。
【0018】
・電流iが位相出力Aで流れ、電圧Vが位相出力Aで存在する場合、上記のスイッチングセル3の容量性エネルギー貯蔵の電力は、PC,1=(i(t)/2+i(t))・VU1(t)である。ここで、i/2は、負荷電流の半分、iは、与えられた回路電流(簡単の理由で、これは0でありえるが、必ずしもある必要はない)、VU1は、上部スイッチングセル3を介するブランチ電圧である。i=0の場合、これは、PC,1=i(t)/2・VU1(t)の電力に帰着する。
【0019】
・サブコンバータシステム1、2の前記電流信号V(t)および前記電圧信号V(t)は、位相出力Aでターゲットとされたやり方で与えられる。前記電圧信号は、上部スイッチングセル3を介するブランチ電圧VU1に生じる。その結果、電力は、PC,1=(i(t)/2+V(t))(VU1(t)+V(t))=i(t)/2・VU1(t)+i(t)/2・V(t)+V(t)VU1(t)+V(t)・V(t)である。
【0020】
・i(t)/2・VU1(t)は、電力V(t)・V(t)の割合によって、補正され、正確になるように意図される。追加の電力発生i(t)/2・V(t)+V(t)・VU1(t)は、一般に相殺されない。
【0021】
・電力i(t)/2・V(t)+V(t)・VU1(t)および電力V(t)*V(t)の補正されない割合が、i(t)・VU1(t)の中の周波数割合のそれより小さい振幅に対する周波数の割合を備えた周波数割合を各々含んでおり、したがって、容量性エネルギー貯蔵のより小さな電圧変動を引き起こす場合、この方法は意味をなす。同じ結果を与えるV(t)およびV(t)の全ては、上記方法に使用することができる。
【0022】
発明によれば、第1のサブコンバータシステム1のスイッチングセル3のパワー半導体スイッチに対するスイッチング関数α1は、下記式に従って、出力接続Aにおける電圧Vに関する電圧信号Vおよび選択可能な基準信号Vrefから形成される。
【数1】
【0023】
さらに、第2のサブコンバータシステム2のスイッチングセル3のパワー半導体スイッチに対するスイッチング関数α2は、下記式に従って、出力接続Aにおける電圧Vに関して電圧信号Vおよび選択可能な基準信号Vrefから形成される。
【数2】
【0024】
正弦波振動として(例えば、発振信号として)、出力接続における電圧Vに関する電圧信号Vおよび電流信号Vが選択される場合、特に簡単な方法が生じる。より多くの詳細が、この点に関して以下に与えられるだろう。
【0025】
発明によれば、各位相モジュール11について、インダクタンスL1、L2を介する電圧信号Vは、下記式によって例証されるように、サブコンバータシステム1、2の電流信号Vから形成される。
【数3】
【0026】
下記式によって例証されるように、サブコンバータシステム1および2の電流信号Vは、特に、自由に選択可能な周波数ωおよび移相φを備えた振幅に、電流信号振幅値Aを掛けることによって、各位相モジュール11について、電流信号振幅値Aから望ましくは順に形成される。
【数4】
【0027】
公式[4]の中の電流信号振幅値Aは、各位相モジュール11に対して、出力接続Aにおける実電流値iから、特に、出力接続Aにおける実電流値iから電流iのDC成分Iから、一般に形成される。その実電流値iは、測定され、例えば基準信号Vrefである。第1のサブコンバータシステム1による電流iおよび第2のサブコンバータシステム2による電流iは、以下のとおりである。
【数5】
【数6】
【0028】
したがって、第1のサブコンバータシステム1のスイッチングセル3の容量性エネルギー貯蔵における電流ic,1、および、第2のサブコンバータシステム2のスイッチングセル3の容量性エネルギー貯蔵における電流ic,2は、以下のような結果となる。
【数7】
【数8】
【0029】
方程式[4.3]および[4.4]は、その結果とともに、公式[5.1]に従う次の関係で、DC成分をそれぞれ含んでいる。それらは、互いに相殺するように有利に意図される。
【数9】
【0030】
そして、例えば、公式[5.2]によれば、
【数10】
【0031】
は、電流信号振幅値Aの形成のために、方程式[4.3]および[4.4]からそれぞれ設定される。ここで、Δψは、一般に、出力接続Aにおける電圧Vと与えられた振幅との間の位相差である。公式[5.2]のMに対するAの比率が、単に例として選択されているという事実として参照される。つまり、Mに対するAの比率は、一般に自由に選択することができる。したがって、電流信号振幅値Aを決定するために、同様に、単に電流信号振幅値Aに従って、公式[5.1]を解決する必要がある。
【0032】
さらに、各位相モジュール11については、下記式によって示されるように、出力接続Aにおける電圧Vに関する電圧信号Vは、望ましくは、自由に選択可能な周波数ωおよび移相φを備えた振幅を、電圧信号振幅値Mに掛けることにより、電圧信号振幅値Mから一般に形成される。
【数11】
【0033】
一般に、各位相モジュール11については、電圧信号振幅値Mは、出力接続Aからの実電流値iおよび基準信号Vrefから形成される。それは、公式[5.1]および[5.2]に戻って参照することが有利に可能であり、電圧信号振幅値Mを決定するために、電圧信号振幅値Mに従って、公式[5.1]を解決するのに単に必要である。
【0034】
各位相モジュール11について、サブコンバータシステム1、2の電流信号V、インダクタンスL1、L2を介する電圧信号V、および出力接続Aにおける電圧Vに関する電圧信号Vは、望ましくは同じ周波数ωを有する。さらに、各位相モジュール11において、インダクタンスL1、L2を介する電圧信号Vおよび出力接続Aにおける電圧Vに関する電圧信号Vは、同じ移相φを備えることが絶対に不可欠でないが、有利に同じ移相φを有する。
【0035】
最初に既に言及されたように、コンバータ回路は、少なくとも2つの位相モジュール11を一般に有するので、多相のコンバータ回路がインプリメントされる。発明による方法によれば、互いに同期する位相モジュール11の出力接続Aにおける電圧Vに関する電圧信号Vの選択によって、例えば、純粋なDC成分を備え、出力接続Aに接続された多相の電気的な負荷を通って、全出力電流iugを生成することが可能である点が有利である。ここで、与えられた振幅だけが、スイッチングセル3の容量性エネルギー貯蔵で電圧リップルに影響を及ぼす。したがって、電圧リップルは、低く保つことができる。その後、与えられた振幅は、多相の電気的な負荷でコモンモード電圧として現れる。このコモンモード電圧は、DC成分を有利に達成することができるという結果と共に、追加の電流振動を生成しない。有利に、容量性エネルギー貯蔵の設計または様相を、低い電圧リップルに対して、つまり、所望の出力電流iに関係なく、単に行うことができる。例えば、この方法は、過変調(overmodulation)で使用される。過変調と対比して、この場合、コモンモード電圧の周波数および位相角は、望まれた通りである。したがって、多相である全出力電流iugは、そのような純粋な直流である、つまり、それにはAC成分がない。
【0036】
従って、全出力電流iugは、結果として、以下のようになる。
【数12】
【0037】
ここで、Iは、前述の純粋なDC成分である。説明の目的のために、コンバータ回路の全出力電流iugの時間プロファイルは、図3に例証される。
【0038】
さらに、図4は、コンバータ回路の出力接続Aにおける電圧Vの時間プロファイルに示す。最後に、図5は、第1のサブコンバータシステム1による電流iおよび第2のサブコンバータシステム2による電流iの時間プロファイルに示す。そこでは、前述の与えられた振幅から始まって、DC成分および周波数ωを備えたAC成分は、同様に、2つの電流i、iに含まれる。完全性の理由で、容量性エネルギー貯蔵の電流が、DC成分を持っておらず、同様に、周波数ωを備えたAC成分がなく、また、上述の与えられた振幅の周波数ωを2倍にする、という事実が言及される。
【0039】
出力接続Aにおける電流iが、周波数ωおよび所望の移相ψを備えた所望のAC成分i・cos(ωt+ψu)を持つように意図される場合、公式[5.1]は、以下のように変わる。
【数13】
【0040】
ここでは、電流信号振幅値Aを決定するために、公式[5.2]に戻って参照することが可能であり、公式[8]および公式[5.2]から、既に上に記述されていたように、電流信号振幅値Aおよび電圧信号振幅値Mを決定することができる。したがって、出力接続Aにおける電流iは、下記のように、所望の方法に帰着する。
【数14】
【0041】
図1に示される発明による装置は、駆動信号S1の生成のために使用され、各位相モジュール11について、第1の駆動回路4を有する。その第1の駆動回路4は、第1のサブコンバータシステム1のスイッチングセル3のパワー半導体スイッチに接続される。さらに、さらなる駆動信号S2の生成のために使用された第2の駆動回路5は、各位相モジュール11に提供される。その第2の駆動回路5は、第2のサブコンバータシステム2のスイッチングセル3のパワー半導体スイッチに接続される。発明によれば、第1のサブコンバータシステム1のスイッチングセル3のパワー半導体スイッチに対して、インダクタンスL1、L2を介する電圧信号Vおよびスイッチング関数αの和は、各位相モジュール11に関して、駆動信号S1を形成するための第1の駆動回路4に供給される。各位相モジュール11に関して、第2のサブコンバータシステム2のスイッチングセル3のパワー半導体スイッチに対して、インダクタンスL1、L2を介する電圧信号Vおよびスイッチング関数αの和は、さらなる駆動信号S2を形成する第2の駆動回路5に供給される。駆動信号S1およびさらなる駆動信号S2を形成するために、ルックアップ表は使用される。例えば、第1および第2の駆動回路4、5の各場合に、対応する駆動信号S1は、スイッチング関数αに固定して割り当てられ、対応するさらなる駆動信号S2は、スイッチング関数αに固定して割り当てられる。または、モジュレータがこの目的のために使用される各場合に、例えば、前記モジュールは、パルス幅変調方式に基づく。さらに、各位相モジュール11に関して、出力接続Aにおける電圧Vに関する電圧信号Vおよび選択可能な基準信号Vrefから、公式[1]および[2]に従って、算出によりスイッチング関数α、αを形成するための第1の計算ユニット6が提供される。位相モジュール11の出力接続Aの電圧Vに関する電圧信号Vは、互いに同期するように選択される。
【0042】
図2に示すように、各位相モジュール11に関して、サブコンバータシステム1、2の電流信号VからインダクタンスL1、L2を介する電圧信号Vを形成するための第2の計算ユニット10が提供される。第2の計算ユニット10は、公式[3]による計算により、インダクタンスL1、L2を介する電圧信号Vの形成を実施する。
【0043】
さらに、各位相モジュール11に関して、サブコンバータシステム1、2の電流信号Vから電流信号振幅値Aを形成するための第3の計算ユニット7が提供される。それは、公式[4]に従って、計算によりサブコンバータシステム1、2を介する電流信号Vの形成を実施する。
【0044】
さらに、各位相モジュール11に関して、出力接続Aにおける実電流値iおよび基準信号Vrefから電流信号振幅値Aを形成するため第4の計算ユニット9が提供される。そこでは、第4の計算ユニット9は、公式[5.1]および[5.2]、または、公式[8]および[5.2]に従って、計算によって電流信号振幅値Aの形成を実施する。
【0045】
各位相モジュール11に関して提供される第5の計算ユニット8は、電圧信号振幅値Mから出力接続Aにおける電圧Vに関する電圧信号Vを形成するために使用される。そこでは、第5の計算ユニット8は、公式[6]に従って、計算により出力接続Aにおける電圧Vに関する電圧信号Vの形成を実施する。
【0046】
さらに、上述の第4の計算ユニット9は、出力接続Aにおける実電流値iおよび基準信号Vrefから電圧信号振幅値Mを形成する役目をする。そこでは、第4の計算ユニット9は、公式[5.1]および[5.2]、または、公式[8]および[5.2]に従って、計算により電圧信号振幅値Mの形成を実施する。
【0047】
全体として、コンバータ回路を動作するための発明によって方法を実施するための、特に図2に示された発明による装置が、回路の複雑さを非常に低くし、さらに、少数のコンポーネントだけが構成に要求されるので、非常に簡単で、コスト効率の良い方法で実施することを、実証することが可能である。したがって、この装置を使用して、特に簡単な方
法で、発明による方法を実施することが可能である。
以下に、本願出願時の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]コンバータ回路を動作する方法であって、
前記コンバータ回路は、少なくとも2つの位相モジュール(11)を有し、
各位相モジュール(11)は、第1および第2のサブコンバータシステム(1)を有し、
前記サブコンバータシステム(2)は、各位相モジュール(11)に対して互いに直列に接続され、
前記2つのサブコンバータシステム(1、2)間のノードは、出力接続(A)を形成し、
前記各サブコンバータシステム(1、2)は、インダクタンス(L1、L2)と、前記インダクタンスと直列に接続される少なくとも1つの二端子スイッチングセル(3)とを含み、
各スイッチングセル(3)は、制御された単方向電流ガイダンス方向および容量性エネルギー貯蔵と直列に接続された2つの駆動可能双方向パワー半導体スイッチを有し、前記容量性エネルギー貯蔵は、前記パワー半導体スイッチを含む前記直列回路と並列に接続され、
前記第1のサブコンバータシステム(1)の前記スイッチングセル(3)の前記パワー半導体スイッチは、駆動信号(S1)によって駆動され、
前記第2のサブコンバータシステム(2)の前記スイッチングセル(3)の前記パワー半導体スイッチは、さらなる駆動信号(S2)によって駆動され、
各位相モジュール(11)について、前記駆動信号(S1)は、前記第1のサブコンバータシステム(1)の前記スイッチングセル(3)の前記パワー半導体スイッチに対して、前記インダクタンス(L1、L2)を介する電圧信号(V)およびスイッチング関数(α)から形成され、前記さらなる駆動信号(S2)は、前記第2のサブコンバータシステム(2)の前記スイッチングセル(3)の前記パワー半導体スイッチに対して、前記インダクタンス(L1、L2)を介する電圧信号(V)およびスイッチング関数(α)から形成され、
前記スイッチング関数(α、α)は、前記関連する位相モジュール(11)の前記出力接続(A)における電圧(V)に関する電圧信号(V)および選択可能な基準信号(Vref)によって形成され、
前記電圧信号(V)は、前記位相モジュール(11)の前記出力接続(A)における前記電圧(V)と同期するように選択され、
各位相モジュール(11)について、前記インダクタンス(L1、L2)を介する前記電圧信号(V)は、前記サブコンバータシステム(1、2)の電流信号(V)から形成され、
各位相モジュール(11)について、前記サブコンバータシステム(1、2)の前記電流信号(V)は、電流信号振幅値(A)から形成され、
各位相モジュール(11)について、前記電流信号振幅値(A)は、前記出力接続(A)における実電流値(i)および前記基準信号(Vref)から形成される、方法。
[2]各位相モジュール(11)について、前記出力接続(A)における前記電圧(V)に関する前記電圧信号(V)は、電圧信号振幅値(M)から形成される、ことを特徴とする前記[1]で請求されるような方法。
[3]各位相モジュール(11)について、前記電圧信号振幅値(M)は、前記出力接続(A)における前記実電流値(i)および前記基準信号(Vref)から形成される、ことを特徴とする前記[2]で請求されるような方法。
[4]各位相モジュール(11)について、前記サブコンバータシステム(1、2)の前記電流信号(V)、前記インダクタンス(L1、L2)を介する前記電圧信号(V)、および、前記出力接続(A)における前記電圧(V)に関する電圧信号(V)は、同じ周波数を有する、ことを特徴とする前記[1]で請求されるような方法。
[5]各位相モジュール(11)について、前記インダクタンス(L1、L2)を介する前記電圧信号(V)、および、前記出力接続(A)における前記電圧(V)に関する前記電圧信号(V)は、同じ移相を有する、ことを特徴とする前記[1]または[4]で請求されるような方法。
[6]各位相モジュール(11)について、前記出力接続(A)における前記電圧(V)に関する基準電圧信号は、基準信号(Vref)として選択される、ことを特徴とする前の前記[1]〜[5]のうちの1つで請求されるような方法。
[7]コンバータ回路を動作する方法を実施するための装置であって、
前記コンバータ回路は、少なくとも2つの位相モジュール(11)を有し、
各位相モジュール(11)は、第1および第2のサブコンバータシステム(1)を有し、
前記サブコンバータシステム(2)は、各位相モジュール(11)に対して互いに直列に接続され、
前記2つのサブコンバータシステム(1、2)間のノードは、出力接続(A)を形成し、
各サブコンバータシステム(1、2)は、インダクタンス(L1、L2)と、前記インダクタンスと直列に接続される少なくとも1つの二端子スイッチングセル(3)とを含み、
各スイッチングセル(3)は、制御された単方向電流ガイダンス方向および容量性エネルギー貯蔵と直列に接続された2つの駆動可能双方向パワー半導体スイッチを有し、前記容量性エネルギー貯蔵は、前記パワー半導体スイッチを含む前記直列回路と並列に接続され、
駆動信号(S1)の生成のために使用される第1の駆動回路(4)であって、各位相モジュール(11)について、前記第1の駆動回路(4)は、前記第1のサブコンバータシステム(1)の前記スイッチングセル(3)の前記パワー半導体スイッチに接続され、
さらなる駆動信号(S2)の生成のために使用される第2の駆動回路(5)であって、各位相モジュール(11)について、前記第2の駆動回路(5)は、前記第2のサブコンバータシステム(2)の前記スイッチングセル(3)の前記パワー半導体スイッチに接続され、
各位相モジュール(11)に関して、前記第1のサブコンバータシステム(1)の前記スイッチングセル(3)の前記パワー半導体スイッチに対して、前記インダクタンス(L1、L2)を介する電圧信号(V)およびスイッチング関数(α)の和は、前記第1の駆動回路(4)に供給され、前記駆動信号(S1)を形成し、
各位相モジュール(11)に関して、前記第2のサブコンバータシステム(2)の前記スイッチングセル(3)の前記パワー半導体スイッチに対して、前記インダクタンス(L1、L2)を介する電圧信号(V)およびスイッチング関数(α)の和は、前記第2の駆動回路(5)に供給され、前記さらなる駆動信号(S2)を形成し、
各位相モジュール(11)に関して、前記出力接続(A)における電圧(V)に関する電圧信号(V)および選択可能な基準信号(Vref)から前記スイッチング関数(α、α)を形成する第1の計算ユニット(6)が提供され、
前記位相モジュール(11)の前記出力接続(A)における前記電圧(V)に関する前記電圧信号(V)は、同期するように選択され、
各位相モジュール(11)に関して、前記サブコンバータシステム(1、2)の電流信号(V)から前記インダクタンス(L1、L2)を介する前記電圧信号(V)を形成する第2の計算ユニット(10)が提供され、
各位相モジュール(11)に関して、電流信号振幅値(A)から前記サブコンバータシステム(1、2)の前記電流信号(V)を形成する第3の計算ユニット(7)が提供され、
各位相モジュール(11)に関して、前記出力接続(A)における前記実電流値(i)および基準信号(Vref)から前記電流信号振幅値(A)を形成する第4の計算ユニット(9)が提供される、装置。
[8]各位相モジュール(11)に関して、電圧信号振幅値(M)から前記出力接続(A)における前記電圧(V)に関する前記電圧信号(V)を形成する第5の計算ユニット(8)が提供される、ことを特徴とする前記[7]で請求されるような装置。
[9]各位相モジュール(11)に関して、前記出力接続(A)における前記実電流値(i)および前記基準信号(Vref)から前記電圧信号振幅値(M)を形成する前記第4の計算ユニット(9)が提供される、ことを特徴とする前記[8]で請求されるような装置。
【参照符号のリスト】
【0048】
1 第1のサブコンバータシステム、
2 第2のサブコンバータシステム、
3 スイッチングセル、
4 第1の駆動回路、
5 第5の駆動回路、
6 第1の計算ユニット、
7 第3の計算ユニット、
8 第5の計算ユニット、
9 第4の計算ユニット、
10 第2の計算ユニット、
11 位相モジュール。
図1
図2
図3
図4
図5