特許第5738902号(P5738902)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5738902シート用のカバーアセンブリ及び使用者を保護するようになっているシート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5738902
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】シート用のカバーアセンブリ及び使用者を保護するようになっているシート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/427 20060101AFI20150604BHJP
【FI】
   B60N2/427
【請求項の数】18
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-556624(P2012-556624)
(86)(22)【出願日】2011年3月3日
(65)【公表番号】特表2013-522096(P2013-522096A)
(43)【公表日】2013年6月13日
(86)【国際出願番号】IB2011050906
(87)【国際公開番号】WO2011110982
(87)【国際公開日】20110915
【審査請求日】2014年2月20日
(31)【優先権主張番号】VR2010A000042
(32)【優先日】2010年3月9日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】503088046
【氏名又は名称】ダイネセ ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダイネセ、リノ
(72)【発明者】
【氏名】ロンコ、ルイジ
【審査官】 永安 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−019564(JP,A)
【文献】 特開平09−295549(JP,A)
【文献】 特開2008−302897(JP,A)
【文献】 特開平10−317272(JP,A)
【文献】 特開2000−006751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/427
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート(1,101,201,3001)用のカバーアセンブリ(100,1001,3100)であって、
カバー(4,104,3004)と、
休止時の収縮状態及び動作時の膨張状態をとるようになっている膨張可能部材(2,13,14,202,203,3002)と
を備え、
前記膨張可能部材(2,13,14,202,203,3002)が、前記カバー(4,104,3004)の内部に設置され、
前記カバー(4,104,3004)が、前記膨張可能部材(2,13,14,202,203,3002)を、前記収縮状態及び前記膨張状態の両方におい収容するようになっており、
前記膨張可能部材(2,3002)が、少なくとも2つの側部ウイング(2a,2b;3002a,3002b)を含み、
前記カバーアセンブリ(100,1001,3100)が、前記膨張可能部材(2)の各部分(2a,2b;3002a,3002b)に接続し、膨張状態における前記部分(2a,2b;3002a,3002b)を既定の相互位置に保持するようになっている少なくとも1つの牽引部材(40,42)を備え、前記部分(2a,2b;3002a,3002b)が前記側部ウィング(2a,2b)であるカバーアセンブリ(100,1001,3100)。
【請求項2】
前記カバー(4,104,3004)が、膨張可能部材(2,13,14,202,203,3002)に対して完全な覆いを形成する、請求項1に記載のカバーアセンブリ(100,1001,3100)。
【請求項3】
前記カバー(4,104)が、少なくとも部分的に延出可能なカバー(4,104,3004;6,106,3006)である、請求項1又は2に記載のカバーアセンブリ(100,1001,3100)。
【請求項4】
前記カバー(4,3004)が弾性材料からなる、請求項3に記載のカバーアセンブリ(100,1001,3100)。
【請求項5】
前記カバー(4,3004)が、弾性インサート(6,3006)を含む、請求項3に記載のカバーアセンブリ(100,1001,3100)。
【請求項6】
前記カバー(104)が、蛇腹状部(106)を含む、請求項3に記載のカバーアセンブリ(100,1001,3100)。
【請求項7】
前記膨張可能部材(2)には、それぞれが前記牽引部材として機能する2本のテープ(40,42)、上側テープ及び下側テープも設けられ、前記テープが、前記バックレスト(8)の領域において支持フレーム(3)の後方に位置付けられるとともに前記膨張可能部材(2)の前記側部ウイング(2a,2b)に2つの異なる高さで接続し、前記膨張状態において前記2つの側部ウイング(2a,2b)を前記バックレスト(8)の側部に対して略位置合わせされて平行になるように維持して、前記側部ウイング(2a,2b)自体の過度の横方向の拡大を防止することができるようになっている、請求項1に記載のカバーアセンブリ(100,1001,3100)。
【請求項8】
前記牽引部材(40,42)がテープである、請求項1に記載のカバーアセンブリ(100,1001,3100)。
【請求項9】
前記シート(1,201)の座席(9)の第1側部の領域に設置されるようになっている第1膨張可能部材(13)と、前記座席(9)の第2側部の領域に設置されるようになっている第2膨張可能部材(14)とを備える、請求項1〜8のいずれか一項に記載のカバーアセンブリ(100,1001,3100)。
【請求項10】
前記膨張可能部材(2,13,14,202,203,3002)が、前記膨張可能部材(2,13,14,202,203,3002)内部に設置されるとともに前記膨張可能部材(2,13,14,202,203,3002)の表面部(21,22,29,30)に安定的に組み込まれる複数のタイ部材(27)を備え、
前記膨張可能部材(2,13,14,202,203,3002)が膨張状態にある時に、前記タイ部材の各々(27)は、前記膨張可能部材(2,13,14,202,203,3002)の2つ以上の部分に結合又は拘束又は固定され続ける機能を有する部材であって、引張応力によって引っ張られ、
前記タイ部材(27)が、前記膨張可能部材(2,13,14,202,203,3002)が前記収縮状態にある時は該タイ部材(27)が引っ張られていない状態で前記膨張可能部材(2,13,14,202,203,3002)の内部に畳まれ、前記膨張可能部材(2,13,14,202,203,3002)が前記膨張状態にある時は該タイ部材(27)に引張応力がかかるようなサイズを有している、請求項1〜9のいずれか一項に記載のカバーアセンブリ(100,1001,3100)。
【請求項11】
前記膨張可能部材(2,13,14,202,203,3002)が、対応する周縁部(23,24)に沿って一方が他方に固定されて内部チャンバ(25)を画成する第1壁部(21)及び第2壁部(22)と、前記チャンバ(25)内に位置付けられ、前記第1壁部(21)に少なくとも部分的に内部接着された第1メッシュ(29)及び前記第2壁部(22)に少なくとも部分的に内部接着された第2メッシュ(30)を含む織物構造とを備え、
前記タイ部材(27)は、その両端(27a,27b)が前記第1メッシュ(29)と前記第2メッシュ(30)とにそれぞれ固定されている、請求項10に記載のカバーアセンブリ(100,1001,3100)。
【請求項12】
前記膨張可能部材(2,13,14,202,203,3002)が、衝突時に膨張するようになっている、請求項1〜11のいずれか一項に記載のカバーアセンブリ(100,1001,3100)。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載のカバーアセンブリ(100,1001,3100)を含み、前記カバーが前記シート(1,101,201,3001)の支持フレーム(3)を覆うようになっているシート(1,101,201,3001)。
【請求項14】
前記シート(1,101,201,3001)が、自動車のシート(300)である、請求項13に記載のシート(1,101,201,3001)。
【請求項15】
バックレスト(8)を備え、
前記膨張可能部材(2,13,14,202,203,3002)が、前記バックレスト(8,223)の側部に位置付けられ、
前記膨張可能部材(2,13,14,202,203,3002)が前記膨張状態にある時、前記シート(1,101,201,3001)は、該シート(1,101,201,3001)の前方領域に向かって延在する側方バリア(11,12,3011,3012)を有する、請求項13又は14に記載のシート(1,101,201,3001)。
【請求項16】
前記シート(1,101,201,3001)が、座席(9)と、該座席(9)の両側部に位置付けられた保護バリア(15,16)とを備える、請求項15に記載のシート(1,101,201,3001)。
【請求項17】
ヘッドレスト(10)と、ヘッドレスト(10)の側部に位置付けられた側方バリア(11,12,3011,3012)とを備える、請求項15又は16に記載のシート(1,101,201,3001)。
【請求項18】
請求項13〜17のいずれか一項に記載のシート(1,101,201,3001)を含む車両(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シート用のカバーアセンブリと、車両による移動中、複数の一次及び二次衝突から乗員若しくは車両の運転者又は同様の使用者を保護するように適切に構成且つ適合されたシートとに関する。
【0002】
当該シートは、好ましくは自動車のシートである。
【0003】
本開示はまた、本開示に係るシートを含む車両に関する。
【背景技術】
【0004】
ここ数年、運転、例えば、通常の日常的な自動車の使用や、スポーツ活動、より一般的には車両を使用して行われ潜在的に衝突に晒される危険性が考えられる活動に対する安全性に関する調査が継続的に行われている。その継続的な調査の結果、保護装置を車両の使用者が着座するシート又は他の座席(例えばチャイルドシート)に組み込んで、衝突時に使用者を保護するとともに使用者を出来るだけしっかりとシートに着座させておくことが考え出された。
【0005】
換言すれば、衝突時に乗員をシートに保持する必要がある。この必要を満たそうとするために取られる方法としては、使用者がシートに着座している時に衝突による影響を受ける可能性のあるその使用者の身体部分の領域におけるシートの一部分に、気密材料からなるバッグ等の膨張可能部材を組み込むものがある。実際には、膨張可能部材は、収縮させて折り畳んだ状態で、シートの該一部分にある閉ハウジング内に設置される。
【0006】
また、車両が衝突した瞬間、膨張可能部材は、ガスボンベ等の圧縮ガス源と流体連通される。
【0007】
一般的に、ガス源は、所定量の圧縮ガスを膨張可能部材に導入するようになっており、これにより膨張可能部材を膨張して張りつめた状態にして、丸い形状の膨張ケーシング、例えば、バルーン状又は円筒形状のケーシングを形成する。
【0008】
特に、膨張状態にある膨張可能部材は、適切に設けられた開口又は開閉可能な蓋を介してシートのケーシングから突出する。
【0009】
しかしながら、先行技術に係るシートは、膨張可能部材を極めて急速に膨張させるほどの衝突や事故時における使用者の保護という点において十分に効果的ではないように思える。特に、膨張状態にある膨張可能部材の位置を制御するのが難しいことが認められている。実際、急速な膨張の結果、膨張可能部材の展開を推測的に方向付けるのが困難であり、従って、衝突に対して使用者を確実に保護するのが困難である。
【0010】
膨張させた部材の位置付けは完全には予測可能でなく、従って、誤って位置付けられると使用者を的確に保護することができない場合がある。
【0011】
従って、衝突時に、乗員をシートに保持して、乗員がシートの外郭から飛び出して他の乗員又は自動車の車体や室内材料の剛性部若しくは他の剛性部にぶつかるのを避けることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本開示の根底にある技術的問題は、上記欠点を克服し且つ/又は更なる利点を実現することが可能なシート用のカバーアセンブリ及びシートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この問題は、独立請求項1に規定するシート用のカバーアセンブリと、請求項14に規定するシートと、請求項19に規定する車両とによって解決される。
【0014】
本開示に係るシート用のカバーアセンブリのおかげで、また、このアセンブリを含むシートによって、膨張可能部材の膨張時におけるシートの変形を制御して、カバーから膨張可能部材が完全に又は部分的に出るのを防止することが可能である。
【0015】
本開示の対象の第2の態様は、対応する従属請求項に規定される。
【0016】
これらの請求項において、また、本開示の全体において、「シート用のカバーアセンブリ」という表現は、シートの支持フレーム又は耐荷重性フレームワークと組み合わせられるようになっている、またより詳しくは、支持フレームと共に使用者にとって適切な座席を実現するためにシートの支持フレームを覆うようになっている一組の部材を意味する。
【0017】
「シート」という表現は、使用者の座席を提供するようになっている物品を意味し、このシートは、膨張可能部材の存在のおかげで、衝突又は事故時に効果的な保護を提供することができる。
【0018】
本開示に係るシートは、運転者シート、又は乗員シート(前部座席又は後部座席)、又はベビーシートとして、車両(自動車、飛行機、ヘリコプター、及び同様の車両)用のシートとすることができる。
【0019】
あるいは、本開示に係るシートは、衝突又は事故が起こり得る、スポーツに使用される車両等の車両に搭載するために使用することができる。
【0020】
本開示の対象は、幾つかの顕著な利点を提供する。
【0021】
本開示に係るシート用のカバーアセンブリ及び該アセンブリを含むシートの主な利点は、膨張可能部材がカバーの内側、特に、カバーの下に保持され、従って、シートの内部に設置されるようになっていることにある。考え得る作動及び膨張の後、膨張可能部材を覆うとともにそれを含むカバーの存在によって決まる膨張可能部材の保持のおかげで、膨張可能部材はカバーの下に留まり、カバーの下のその箇所において、膨張可能部材の位置が膨張状態において推測的により制御される。
【0022】
他の利点は、事実上、膨張可能部材の膨張が起こると、シートが変形することによって、使用者に恐怖を感じさせたり更には膨張可能部材に対する衝突で怪我をさせたりし得る膨張可能部材の不意で突然な解除を避けられることにある。
【0023】
一実施例において、シートには、バックレストと、該バックレストの側部の領域に位置付けられた膨張可能部材とが設けられている。膨張可能部材が膨張状態にある時、シートが変形して、バックレストの前部/前方に向かって突出する隆起又は側方バリアを示す。実際には、シートに着座している使用者は、(シートの前方領域に向かって突出する)側方バリアによって横方向に保持されて、彼がシートに対して横方向に移動するのが防止される。
【0024】
好ましくは、この側方バリアは前方に延在して、使用者の脚部も横方向に保護する。
【0025】
あるいは、カバーアセンブリは、上記側方バリアとは独立した、シートの座席の側部の領域に設置される保護バリアを含む。
【0026】
好ましくは、頭部の誤った動きを防止するために、シートは、ヘッドレストと、該ヘッドレストの側部の高さまで延在する側方バリアとを含む。一実施例において、カバーは、プラスチック材料からなるか、弾性インサートを含む。
【0027】
この最後の実施例の主な利点は、膨張によって影響を受けるカバーの一部分が、膨張可能部材の膨張に適合できるとともに、膨張可能部材が収縮状態に戻されるのを促進することが可能であることである。これは、一旦、引っ張り作用(この場合膨張可能部材の膨張による)によって変形するとその引張作用が終了した後、開始時の構成又は変形に戻るという、弾性材料の固有の特性のおかげで可能になる。
【0028】
実際、膨張可能部材が収縮状態に戻ると、カバーの弾性部分が非変形状態又は部分的にのみ変形した状態に戻り、カバーを初期の範囲に戻す。
【0029】
従って、弾性インサート又は弾性材料によって、膨張による影響を受けるカバーの一部分が、膨張可能部材の容積の変化に適合することができる。更に、弾性伸長の好適な方向(材料の等方性弾性又は異方性弾性の特性による)と、弾性インサートを使用する場合には当該弾性インサートの位置とを適切に選択することによって、膨張状態に向かう膨張可能部材の位置及び展開の制御/方向付けに更に寄与できる。
【0030】
弾性インサートの存在による他の利点は、概して、カバーの下の膨張可能部材の存在にほとんど影響を受けることなく、カバーを、シートの支持フレームに対してより良好に「フィット」且つ密着させられることにある。
【0031】
一更なる実施例において、カバーは蛇腹状部を含み、従って、膨張時にこの蛇腹状部が延長して、膨張可能部材の容積の変化に適合することができる。
【0032】
この、蛇腹状部又は他の開システム若しくは表面延長部には、膨張時に切断される調整された切断可能な縫い糸(calibrated−break threads)を使用したシームを設けることができる。
【0033】
一実施例において、初期作動及び膨張後、新たな使用のために膨張可能部材を取り外したり交換したりすることなく、膨張可能部材をカバーの下に永久に保持することが可能である。最終的に、膨張可能部材は、新しい圧縮ガス源に接続される。
【0034】
特に、本実施例において、衝突/膨張後、膨張可能部材を完全に収縮させるとともに、圧縮ガス源等の膨張手段に新たに接続して保護を回復するのが十分に行える。従って、例えば、予想外の作動が起こった時や、車両が軽い接触事故を起こし修理が可能な時に、新たに使用するために膨張可能部材を回復させる処理を簡略化できるとともに高速化することが可能である。
【0035】
一実施例において、膨張時に膨張可能部材をカバーの下に保持するために、膨張可能部材の拡張を最適に制御する手段を設けると有利である。例えば、カバーの下に設置するための膨張可能部材の適切な形状は略平坦なマット状形状であることが分かっている。
【0036】
特に、一実施例において、膨張可能部材の形状を制御するために、膨張可能部材は、膨張可能部材の内部に設置され膨張可能部材自身の表面部分に対向するように安定的に組み込まれた複数のタイ部材、好ましくは縫い糸状で伸長不可能なタイ部材を含む。
【0037】
本開示において、「タイ部材」という表現は、少なくとも膨張可能部材が膨張状態にある時に、該膨張可能部材の2つ以上の部分に結合又は拘束又は固定され続ける機能を有する部材又は構成要素を意味し、このタイ部材は、膨張可能部材が膨張状態にある時に引張応力によって引っ張られる。
【0038】
引き伸ばされた又は引っ張られた状態のタイ部材の最大長さを適切に調整することによって、膨張状態にある膨張可能部材の形状を推測的に制御することが可能である。例えば、全てのタイ部材を同じ長さとすることによって、平坦なマット状形状の膨張可能部材を形成することが可能である。
【0039】
一実施例において、膨張可能部材は、各周縁に沿って互いに組み合わせられて内部チャンバを画成する第1壁部及び第2壁部と、第1壁部に少なくとも部分的に内部接着される第1メッシュと、第2壁部に少なくとも部分的に内部接着される第2メッシュとを含む。タイ部材は、その両端が第1メッシュと第2メッシュとにそれぞれ固定又は締結されている。
【0040】
周囲に沿って結合された壁部、及び、これら壁部を内側で覆うメッシュに接続されたタイ部材を使用することによって、シームの数(最終的に気密性が不十分になる恐れがある)が少ない膨張可能部材を得ることができ、従って、乗員をシートの外郭の内側に保持するために、長時間膨張可能部材の膨張状態を維持することができる。
【0041】
本開示の対象の更なる利点、特徴、及び使用モードは、以下に示す、単に非限定の例として提供する本実施例の幾つかの好適な実施例の詳細な説明によって明らかとなろう。
【0042】
しかしながら、各実施例は上記利点の1つ以上を有し、いずれの場合も各実施例は上記利点の全てを同時に有する必要はないということは明らかである。
【0043】
以下に説明する添付の図面の図を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】収縮状態における、本開示のシート用のカバーアセンブリの斜視図を示す。
図2】膨張状態における、本開示のシート用のカバーアセンブリの斜視図を示す。
図3】本開示のシートのフレームに組み込まれた膨張状態における膨張可能部材の前面図を示す。
図4】本開示のシートのフレームに組み込まれた膨張状態における膨張可能部材の側面図を示す。
図5】本開示のシートのフレームに組み込まれた膨張状態における膨張可能部材の後面図を示す。
図6図1のシート用のカバーアセンブリのVI−VI線に沿う概略断面図を示す。
図7図2のシート用のカバーアセンブリのVII−VII線に沿う概略断面図を示す。
図7A図2のシート用のカバーアセンブリのVIIA−VIIA線に沿う概略断面図を示す。
図8図4の膨張可能部材のVIII−VIII線に沿う概略断面図を示す。
図9図8のIX部の詳細を拡大して示す。
図10図8のX部の詳細を拡大して示す。
図11】シートが収縮状態にある、更なる実施例に係る、本開示のシート用のカバーアセンブリの斜視図を示す。
図12図11のシート用のカバーアセンブリのXII−XII線に沿う概略断面図を示す。
図13】シートが膨張状態にある、更なる実施例に係る、本開示のシートの斜視図を示す。
図14】更なる実施例に係る、収縮状態にあるシート用のカバーアセンブリの斜視図を示す。
図15】更なる実施例に係る、膨張状態にあるシート用のカバーアセンブリの斜視図を示す。
図16】膨張状態にある、図15のカバーアセンブリの部分断面前面図を示す。
【実施例1】
【0045】
付属の図1〜10を参照し、参照符号100は、本開示に係るシート1用のカバーアセンブリを示す。この例において、シート1は、車両300(この例では自動車)の運転者シート1であり、車両300は、その車体の一部のみを例示している。シート1は支持フレーム3を備える。
【0046】
支持フレーム3という表現は、シートの内部構造体を指し、例えば、耐荷重性フレームワークやパッド、スプリング等、使用者にとって快適な座席を使用者に与えるものが含まれる。ここで、このような内部構造体は、従来型のものであり、これ以上説明はしない。図示の例において、シート1は、バックレスト8と、座席9と、ヘッドレスト10とを備える。
【0047】
カバーアセンブリ100は、支持フレーム3を覆う又は被覆するカバー4と、膨張可能部材とを含む。膨張可能部材は、この例では、以下に説明するように、乗員に対して保護を提供するようにシート1の対応する領域に位置付けられた3つの膨張可能部材2,13,14である。
【0048】
各膨張可能部材2,13,14は、膨張流体、例えば、ヘリウムのような低温ガスを導入することによって膨張するようになっている。この例では、膨張可能部材2,13,14に内部接続された容器(ボンベ)60を使用する。
【0049】
特に、各膨張可能部材2,13,14は、収縮した休止状態及び動作時の膨張状態をとるようになっている。本明細書では、膨張可能部材2の膨張モード及び構造について以下に説明する。
【0050】
図から認められるように、カバー4は、各膨張可能部材2,13,14を、収縮状態と膨張状態との両方において収容している。換言すれば、収縮状態及び膨張状態の両方の状態において、各膨張可能部材2,13,14は、支持フレーム3に対向するようになっているカバー4の側面5(図6,7,7A)上に位置している。従って、各膨張可能部材2,13,14は、カバー4と支持フレーム3との間に視界から隠されるように介在するようになっている。
【0051】
更に詳細には、この例において、各膨張可能部材2,13,14は、視界から隠されるように位置し、保護すべきゾーンの領域におけるカバー4の一部分の側面又は内面5に接触している。従って、膨張可能部材2,13,14の領域におけるカバー4の該一部分は、膨張可能部材2,13,14を完全に覆い、膨張可能部材2,13,14を完全に覆って/閉じている。
【0052】
当然、各膨張可能部材2,13,14は、永久に視界から隠されており、基本的にシート1外に出ることはなく、膨張可能部材2,13,14の膨張中、シート1の外郭を変形させる。また、換言すれば、膨張可能部材2,13,14は、収縮状態及び膨張状態の両方においてカバー4に収容され(包み込まれ)ており、シート1が変形することによって膨張可能部材2,13,14は拡張することができる。
【0053】
特に、シート1の膨張/収縮は、図2図3〜5、そして特に図7において視認できる。
【0054】
また特に、図1〜5に示す例において、カバーアセンブリ100は、シート1のバックレスト8の各側方ゾーン又は側部に位置する側方部2a,2b又はウイングと、シート1特にバックレスト8の後方ゾーンにマント状(mantle−like)に配置される後方部又は附属部(appendage)2cとを含む。後方部2cは、シート1の支持フレーム3の上方ゾーン又は上部3aの領域に位置する各上部2d,2eの領域において、側方部2a,2b間に介装且つ接続されている。
【0055】
また、側方部2a,2bは、シート1の上方ゾーンにおいて前方に屈曲している。
【0056】
実際には、この図示の例において、膨張可能部材2は、支持フレーム3を囲繞又は包囲するように位置し、膨張するとシート1を変形させて2つの側部バリア11及び12(図2図7図7A)を画成するような形状を有している。側部バリア11及び12は、隆起状にバックレスト8の両側部に突出して、使用者の考えられる突然の移動を横方向に受容し、また同時に、バックレスト8の後方側において、自動車300の後部座席に着座している乗員を保護する。
【0057】
なお、側方バリア11及び12は、使用者の頭部も横方向に受容するように、ヘッドレスト10の高さに到るまで延在している。
【0058】
図6及び7に、より理解を深めるために、膨張により影響を受けたバックレスト8の側部を、わずかに一部取り外した状態で、概略断面図として示す。図は、前方に屈曲した膨張可能部材2が、膨張状態では、前方に突出して側部バリア11又は12を画成するのを示している。
【0059】
膨張可能部材2には、それぞれが牽引部材として機能する2本のテープ40,42、上側テープ及び下側テープも設けられる(図3及び7)。テープ40,42は、バックレスト8の領域において支持フレーム3の後方に位置付けられるとともに膨張可能部材2の側方部2a,2bに2つの異なる高さで接続し、膨張状態において2つの側方部2a,2bをバックレスト8の側部に対して略位置合わせされて平行になるように維持して、側方部2a,2b自体の過度の横方向の拡大を防止することができる。
【0060】
膨張可能部材2をカバー4の下方において安定且つ固定した位置に保持するために、膨張可能部材2にはアイボルト45が設けられている。アイボルト45は、膨張可能部材2の周縁に沿って配置されて、レース(紐)(不図示)によって支持フレーム3に接続されるようになっている。
【0061】
更に、膨張可能部材2は、最終的にアイボルト45/レースによって、少なくとも部分的にカバー4に固定される。
【0062】
カバーアセンブリ100は、座席9の側部に配置されるようになっている膨張可能部材13及び膨張可能部材14を含む。膨張可能部材13及び膨張可能部材14は略矩形状を有し、カバー4の下方に固定される。これらは、膨張可能部材2に対して構造的に独立している。
【0063】
膨張状態において、膨張可能部材13及び14は、使用者の脚部にそれぞれ対応する追加保護バリア15,16を形成する(図2)。
【0064】
なお、膨張可能部材2を覆うようになっているカバー4又は膨張可能部材13又は14を覆うようになっているカバー4は、一体でもよいし、構造的に独立した2つの単体であってもよい。
【0065】
指摘すべき点は、シート1及びカバーアセンブリ100によって、乗員が衝突時にシートに保持されるため、その乗員がシートの外郭から飛び出して他の乗員又は自動車300の車体や室内材料の剛性部にぶつかるのを避けられるということである。
【0066】
更に、カバー4を膨張可能部材2,13,14の膨張に適合させるために、カバー4の一部分は、好ましくは、弾性インサート6を含む。弾性インサート6は、膨張可能部材2の領域において延在してバックレスト8の後方側全体を覆い、また、膨張可能部材13及び14の領域において延在している。弾性インサート6は、好ましくは、弾性層、例えばエラストマーと組み合わせたナイロンからなる。
【0067】
更により詳しくは、弾性インサート6は、シーム7を介して、膨張の影響を受けないカバー4の一部分、そして特に、図6及び7から視認できるようにバックレスト8の前部又は前方側8aの領域に、そして、座席9の上方ゾーン9aに固定されている。従って、弾性インサート6は、バックレスト8の側方及び後方ゾーン並びに座席9の側方ゾーンを占める。
【0068】
実質的に、シート1のこの実施例において、各膨張可能部材2,13,14を膨張させると、これら膨張可能部材2,13,14の拡張力によってカバー4の一部分が変形して、側方バリア11及び12、並びにバックレスト8の後方保護、並びに座席9の保護バリア15,16を形成する。
【0069】
弾性インサート6によって、シート1は、各膨張可能部材2,13,14の容積の変動に適合できるようになっている。
【0070】
各膨張可能部材2,13,14が収縮すると、弾性インサート6は、その弾性特性のおかげで、カバー4と共に非変形状態に戻り、それにより各膨張可能部材2,13,14の圧縮及び収縮を少なくとも部分的に促進させる。
【0071】
弾性材料からなるインサート6の存在により得られる他の利点は、カバー4の一部分の支持フレーム3への良好な密着を促進させるということにある。
【0072】
指摘すべき点は、膨張状態において、膨張可能部材2の側方部2a,2b及び後方部2c、並びに膨張可能部材13,14が、当該側方バリア11,13及び保護バリア15,16を画成する平坦なマット状形状を有し、この平坦形状によって、シート1に着座している使用者の、必要な横方向の収容が得られ、また、この形状は、膨張可能部材2,13,14をカバー4の下方に位置付けるのにも適している。
【0073】
事実、この形状のおかげで、膨張可能部材2,13,14の予め定められる必要な拡張容積を低減でき、膨張状態においてもカバー4の内部に留めることができる。
【0074】
特に、図8〜10を参照して、膨張可能部材2,13,14の構造を説明する。簡潔さのために、構造については膨張可能部材2のみ参照して説明するが、膨張可能部材13及び14も同じ構造を有することは理解されよう。
【0075】
膨張可能部材2は、互いに離間配置されて内部チャンバ25を画成する2つの壁部21,22を含む。この例において、これら2つの壁部の材料は、膨張ガスに対して気密性を有する。特に、壁部21,22は、この例において密封固定された周囲に沿って接続されている。
【0076】
膨張可能部材2はまた、第1メッシュ29及び第2メッシュ30を含む。第1メッシュ29及び第2メッシュ30は、一方が他方に対向し、複数のタイ部材27によって接続されている。
【0077】
2つの壁部21,22は、2つのメッシュ29,30によって形成される構造をサンドウィッチ状に有するケースを画成する。特に、各メッシュ29,30は内側で各壁部21,22を覆い、該壁部21,22に接着剤により固定される。
【0078】
実質的に、膨張可能部材2は、2つのメッシュ29,30と、この例では気密な2つの壁部21,22又は層とを含む予め製造された(プレハブ式の)織物構造又は本体を含み、第1壁部21が第1メッシュ29に接着され、第2壁部22が第2メッシュ30に接着されている。
【0079】
タイ部材27は、両端27a,27bが、各メッシュ29,30に安定的に固定されている。タイ部材27の両端27a,27bの領域における固定は、例えば、各メッシュ29,30の横糸間にタイ部材27を単に製織することによって得られる。
【0080】
あるいは、各タイ部材27を、第1及び第2メッシュ29,30の両方と一体的に織り合わせられた、又は、該第1及び第2メッシュ29,30から連続的に展開された縫い糸とする。実際には、縫い糸/タイ部材27を上記第1及び第2メッシュ29,30の一方から延出させ、該第1及び第2メッシュ29,30の他方と織り合わせる。
【0081】
2つのメッシュ29,30及びタイ部材27は、いわゆる3D(3次元)又はダブル・ニットファブリックを形成する。
【0082】
メッシュ29及び30は、ポリエステル又はポリアミドからなる。
【0083】
2つの壁部21,22又は層は、柔軟で気密性を有する材料、例えば、ポリアミド又はポリウレタンの層からなる。2つの壁部21,22は、一方が他方に対向し、上記周囲の縁部23,24に沿って周囲方向に固定されている。
【0084】
この例において、タイ部材27は、縫い糸の形状を有し、約500〜約1000デシテックス(連続的な縫い糸又は撚り糸の長さの単位)の太さを有する例えばポリエステル又はポリアミドからなる。更により詳しくは、各縫い糸27は、各メッシュ29,30の単一の点から延出する連続的な耐捩れ性の繊維の束を含む。
【0085】
タイ部材27は適切なサイズとする。つまり、膨張可能部材2が休止状態にある時には、好ましくは引っ張られずに内部チャンバ25内において畳まれているが、膨張可能部材2が膨張状態にある時には、図7〜10の例を用いて例示するように引張応力がかかるようにする。
【0086】
タイ部材27は、好ましくは、膨張可能部材2内に厚く均質となるように分布させる。例えば、膨張可能部材2の表面各1cm2当たり少なくとも1本のタイ部材となる密度とし、更により好ましくは、あくまで一例であるが、膨張可能部材2の表面各1cm2当たり1〜15本の線、好ましくは各1cm2当たり4〜6本の線が含まれる密度とする。
【0087】
前述の説明から指摘できることは、タイ部材27によって膨張状態における膨張可能部材2の平坦形状を制御できるとともに、概して、シート1における使用に応じた膨張可能部材2の形状を制御できることである。
【0088】
実際、引き伸ばされた又は引っ張られた状態のタイ部材27の最大長さを適切に調整することによって、膨張状態における膨張可能部材2の形状を推測的に制御することが可能である。
【0089】
図7Aを参照し、指摘すべき点は、部2d,2eとの接続ゾーンの領域における膨張可能要素2の側方部2a,2bの前方での屈曲Pを容易にするために、屈曲領域におけるメッシュ29及び30と直接接触して接続されるシーム(図面では見えない)を設けて、屈曲Pのための厚さの収縮が得られるということである。
【実施例2】
【0090】
図11及び12を参照し、更なる実施例に係るシート101用のアセンブリ1001を示す。
【0091】
前述の実施例の部材及び部品と同じ機能及び構造を有する本実施例の部材及び部品については、同じ参照符号を付し、説明は繰り返さない。
【0092】
特に、アセンブリ1001は、カバー104の一部分が、上記弾性インサート6の代わりに蛇腹状部106を含む点において、前の実施例と異なる。
【0093】
特に、蛇腹状部106は、バックレスト8の側部の領域に位置付けられる。
【0094】
また本実施例において、膨張可能部材2は、図2〜5に示すのと同じ膨張降下を得るためにシート101及びバックレスト8の側部の領域とともに、この例では座席9の側部の領域にも位置付けられる。
【0095】
実質的に、またシート101の本実施例において、膨張可能部材2が膨張すると、カバー104の一部分が膨張可能部材2の拡張力によって変形して、側方バリア11及び12とともに、この例ではバリア15及び16も形成する。蛇腹状部106によって、シート101は、膨張可能部材2の容積の変動に適合できるようになっている。
【実施例3】
【0096】
図13を参照し、更なる実施例に係るシート201を示す。
【0097】
前述の実施例の部材及び部品と同じ機能及び構造を有する本実施例の部材及び部品については、同じ参照符号を付し、説明は繰り返さない。
【0098】
特に、シート201は、前述の第1実施例と同様に、複数の構造的に独立した膨張可能部材(図13に点線で示すとともに参照符号2,13,14,202,203を付している)を含み、これらが、バックレスト8の側部、シート201の座席9の側部、及びヘッドレスト10の側部にそれぞれ配置されている。
【0099】
これら膨張可能部材2,13,14,202,203の領域において、シート201は、変形を可能とする弾性インサート6、あるいは、図示しない蛇腹状部を含む。
【0100】
膨張可能部材13,14,202,203は、前述の膨張可能部材2の縫い糸を用いたものと同じ構造を有する。
【0101】
膨張状態において、膨張可能部材2,13,14,202,203は、その平坦で制御された形状のおかげで、使用者の頭部領域、使用者の頭部、胴体、及び脚部/膝の領域においてそれぞれ、使用者の側部に容易に位置付けられて、使用者を側方の衝突から保護する。
【0102】
実質的に、シート201は、膨張状態において、衝撃が起こり得る側部の全てで使用者を「包む」ようになっている。
【実施例4】
【0103】
図14,15,16を参照し、更なる実施例に係るシート3001用のカバーアセンブリ3100を示す。
【0104】
前述の実施例の部材及び部品と同じ機能及び構造を有する本実施例の部材及び部品については、同じ参照符号を付し、説明は繰り返さない。
【0105】
カバーアセンブリ3100は、支持フレーム3及び膨張可能部材3002を覆う又は被覆するカバー3004を含み、膨張可能部材3002は、使用者に保護を提供するようにされたシート3001の領域に位置付けられるようになっている。ここで、膨張可能部材3002は、膨張流体、例えば、ヘリウムのような低温ガスを導入することによって膨張するようになっている。この例では、膨張可能部材3002に接続された容器(ボンベ)60を使用する。
【0106】
また本実施例では、カバー3004は、膨張可能部材3002を、収縮状態と膨張状態との両方において被覆する。
【0107】
膨張可能部材3002は、前述の膨張可能部材2の縫い糸を用いたものと同じ構造を有する。
【0108】
より詳しくは、図14〜16に示す例において、カバーアセンブリ3100は、シート3001のバックレスト8の各側方ゾーン又は側部に位置する側方部3002a,3002b又はウイングと、シート3001、特にバックレスト8の各後方ゾーンにマント状(mantle−like)に配置されるようにされた後方部又は附属部(appendage)3002cとを有する膨張可能部材3002を含む。後方部3002cは、シート3001の支持フレーム3の上方ゾーン又は上部の領域における、図16では部3002dのみ示す、上方ゾーンの領域において、側方部3002a,3002b間に介装且つ接続されている。
【0109】
実際には、ここで説明する例において、膨張可能部材3002は支持フレーム3を囲繞又は包むことができるように位置付けられ、膨張するとシート3001を変形させて2つの側方バリア3011及び3012(図16)を作り上げるような形状を有している。側方バリア3011及び3012は、隆起状にバックレスト8の両側に突出して、使用者のあらゆる突然の移動を横方向に受容し、また同時に、バックレスト8の後方側において、自動車300の後部座席に着座している乗員を保護する。
【0110】
指摘すべき点は、側方バリア3011及び3012は、使用者の頭部も横方向に受容するように、ヘッドレスト10の高さに到るまで延在していることである。
【0111】
また、側方バリア3011及び3012は、シートの座席9も横方向に保護するのに十分前方へ突出し、これにより、使用者の脚部(すなわち膝まで延在する)を保護する。側方バリア3011及び3012の前方への長さは、シート3001及び車両300の種類に応じて選択でき、座席用の追加の膨張可能部材を設ける必要はない。
【0112】
実際には、単一の膨張可能部材3002で、シート3001に着座している使用者を横方向に受容することができる。
【0113】
また本実施例において、膨張可能部材3002には、それぞれが牽引部材として機能する2本のテープ40,42が更に設けられている。
【0114】
また、カバー3004を膨張可能部材3002の膨張に適合させるために、カバー3004の一部分は、好ましくは、弾性インサート3006を含む。弾性インサート3006は、前述の弾性インサート6と同じ様に、側方バリア3011,3012の領域において延在してバックレスト8の後方側全体を覆っている。弾性インサート3006は、好ましくは、弾性層、例えばエラストマーと組み合わせたナイロンからなる。
【0115】
実質的に、シート3001の本実施例において、膨張可能部材3002は、座席9に位置するバリア無しに、側方バリア3011及び3012並びにバックレスト8の後方保護を作り上げるように形成されている。
【0116】
車両300の事故及び/又は衝突の際に膨張可能部材2,13,14,202,203,3002の膨張を実行するために、本開示に係るシート1,101,201,3001は、適切な作動・膨張手段と協働するようになっている。作動・膨張手段として、図5には、あくまで一例であるが、ヘリウムの容器(ボンベ)60(低温ガス発生器)が例示されている。容器(ボンベ)60は、例えば、膨張可能部材2,13,14,202,203,3002の内部、又は、膨張可能部材2の外部に位置付けられる。
【0117】
あるいは、このような膨張手段は、火工式若しくはハイブリッド式ガス又は技術水準において既知の他の種類のガスの発生器を備えてもよい。
【0118】
当該膨張手段は、車両の状態の検出に基づき、例えば、車両の移動状態及び減速の検出に基づき、技術水準において既知のエアバッグの作動に既に用いられている方法で、制御ユニットによって制御される。
【0119】
なお、作動モードについては、装置の効果的な動作にとって特に関連する側面ではあるが、基本的に当業者にとって既知の方法であるので更に説明はしない。
【0120】
シート1,101,201,3001は、任意ではあるが、図面には示さない収縮弁を含む。この収縮弁は、作動後、保護作用がもはや必要がなくなった時に膨張可能部材2,13,14,202,203,3002を収縮させることができるように、一方側では膨張可能部材2,13,14,202,203,3002の内部チャンバ25と連通し、他方側では外部環境と連通している。
【0121】
当該収縮弁は、通常は閉位置にあるが、使用者によって手動で開弁させることができる。実際、収縮弁を開弁させると、膨張状態にある膨張可能部材13,14,202,203,3002と外部環境との圧力差により、ガスを内部チャンバ25及び膨張可能部材13,14,202,203,3002から流出させて、収縮させる。
【0122】
代替手段として、収縮弁の作動は、膨張手段の作動後所定の時間間隔(例えば15秒)経過した時に収縮弁を開弁する電子制御ユニット(不図示)によって制御してもよい。
【0123】
更なる実施例によれば、収縮弁の代わりに、達成すべき収縮時間に応じて調整された直径を有する収縮チューブを使用することも可能である。
【0124】
収縮の制御は、例えば、衝突後、使用者が膨張状態にあるシート上でもがくことなく車両から容易に出られるようになるため有益である。
【0125】
以上、本開示の主題を、その好適な実施例を参照して説明してきた。同一の発明の概念内から逸脱しない全ての他の実施例及び以下の保護すべき特許請求の範囲内に包含される全ての他の実施例も存在し得ることは理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図7A
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16