特許第5738903号(P5738903)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5738903高い静電放電性能を有するフローティングゲート構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5738903
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】高い静電放電性能を有するフローティングゲート構造
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/06 20060101AFI20150604BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20150604BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20150604BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20150604BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20150604BHJP
   H01L 21/329 20060101ALI20150604BHJP
   H01L 29/868 20060101ALI20150604BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20150604BHJP
【FI】
   H01L27/06 311C
   H01L27/06 311B
   H01L27/08 102F
   H01L27/04 H
   H01L29/91 B
   H01L29/91 K
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-1443(P2013-1443)
(22)【出願日】2013年1月9日
(62)【分割の表示】特願2008-551423(P2008-551423)の分割
【原出願日】2007年1月18日
(65)【公開番号】特開2013-123060(P2013-123060A)
(43)【公開日】2013年6月20日
【審査請求日】2013年1月23日
(31)【優先権主張番号】60/760,081
(32)【優先日】2006年1月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506173145
【氏名又は名称】ビシェイ−シリコニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(72)【発明者】
【氏名】ルオ、ミン−イー
(72)【発明者】
【氏名】デミルリオグル、エシン
【審査官】 市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2002/0063289(US,A1)
【文献】 特開2001−077314(JP,A)
【文献】 特開平11−233641(JP,A)
【文献】 特開2004−247455(JP,A)
【文献】 特開2000−156421(JP,A)
【文献】 特表2005−520349(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0030231(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/06
H01L 21/329
H01L 21/822
H01L 21/8234
H01L 27/04
H01L 27/088
H01L 29/861
H01L 29/868
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フローティング・ゲート・デバイスを含む半導体構造であって、
前記フローティング・ゲート・デバイスは、第1のフローティング・ゲートと、第2のフローティング・ゲートと、スタックと、を備え、
前記第1のフローティング・ゲート、前記第2のフローティング・ゲートは、前記スタックに対して互いに反対側に隣接して配置されており、
前記スタックは、第1のタイプのダイオードと、第2のタイプのダイオードと、を含み、前記スタックは、さらに、第1のドーピングタイプの半導体層と、第2のドーピングタイプの複数の半導体領域と、を備え、前記複数の半導体領域は前記半導体層上に配置され、前記半導体層の上方表面の境界内に配置されている、半導体構造。
【請求項2】
前記第1のタイプのダイオードは、p/n型ダイオード含む、請求項1に記載の半導体構造。
【請求項3】
前記第2のタイプのダイオードは、ツェナーダイオードを含む、請求項2に記載の半導体構造。
【請求項4】
前記p/n型ダイオードと前記ツェナーダイオードは、共通のカソードを含む、請求項3に記載の半導体構造。
【請求項5】
出力パッドに接続された複数の第1のフィンガと、
前記第1のフィンガ間に交互に配置されて、グランドパッドに接続されている複数の第2のフィンガと、
前記第1および第2のフィンガ間に設けられた複数のフローティング・ゲートと、
を含む静電放電保護のための半導体構造であって、
前記第1のフィンガはスタックを含み、当該スタックは、第1のタイプのダイオードと、第2のタイプのダイオードと、を含み、
前記複数のフローティング・ゲートの第1のフローティング・ゲート、第2のフローティング・ゲートは、前記スタックに対して互いに反対側に隣接して配置されており、前記スタックは、さらに、第1のドーピングタイプの半導体層と、第2のドーピングタイプの複数の半導体領域と、を備え、前記複数の半導体領域は前記半導体層上に配置され、前記半導体層の上方表面の境界内に配置されている、半導体構造。
【請求項6】
前記第2のタイプのダイオードは、ツェナーダイオードを含む、請求項5に記載の半導体構造。
【請求項7】
前記第1のタイプのダイオードは、p/nダイオードを含む、請求項6に記載の半導体構造。
【請求項8】
前記p/nダイオードは、アノード材料からなるウェルを含む、請求項7に記載の半導体構造。
【請求項9】
前記ツェナーダイオードと前記p/nダイオードは共通のカソードを共有している、請求項8に記載の半導体構造。
【請求項10】
オフチップ出力を駆動する回路を含む半導体構造であって、
前記回路は、プルダウンデバイスと、第1のフローティング・ゲートと、第2のフローティング・ゲートと、スタックと、を含んでおり、
前記第1のフローティング・ゲート、前記第2のフローティング・ゲートは、前記スタックに対して互いに反対側に隣接して配置されており、
前記スタックは、第1のタイプのダイオードと、第2のタイプのダイオードと、を含み、前記スタックは、さらに、第1のドーピングタイプの半導体層と、第2のドーピングタイプの複数の半導体領域と、を備え、前記複数の半導体領域は前記半導体層上に配置され、前記半導体層の上方表面の境界内に配置されている、半導体構造。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、すべての目的のために参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、LuoおよびDemirliogluによる「Low Voltage Output Driver with High Performance Electrostatic Discharge Performance」(高性能静電放電性能を有する低電圧出力ドライバ)と題する2006年1月18日に出願された、米国仮出願第60/760,081号、代理人ドケットVISH−8759.PROに対する優先権を主張する。
【0002】
本出願は、すべての目的のために引例によってその全体がここに組み込まれている、「Electrostatic Discharge Protection Circuit for Integrated Circuits」(集積回路のための静電放電保護回路)と題するLuoらによる2005年7月26日に出願された、同時係属中の共通に所有される米国特許出願第11/190,682号、代理人ドケットNo.VISH−8744の一部継続出願である。
【技術分野】
【0003】
本明細書に提示される実施形態は、集積回路の分野に関連する。より具体的には、本明細書に提示される実施形態は集積回路のための静電放電(ESD)保護に関連する。
【背景技術】
【0004】
静電放電(ESD)事象は、接触を介した、または、イオン化された周囲放電を介した、異なる静電ポテンシャル(静電電位)を有する物体間のエネルギー移動が存在するときに発生する。不十分なESD保護を有する集積回路(IC)は、例えば、パッシベーション層の破裂、エレクトロサーマルマイグレーション、アルミニウムの飛散、コンタクトスパイク、絶縁障害などを含む、破局的障害を受ける。あるいは、ESD事象は、デバイスが機能し続けていたとしても、そのデバイスにダメージを与えている可能性がある。このタイプのダメージは、隠れた欠陥を構成し、この欠陥は、検出が困難であり、また、このようなダメージを受けたICの寿命を著しく短縮する。
【0005】
従来技術の下では、静電放電保護を提供するために、出力(例えばオフチップ)ドライバ回路の物理的・電気的サイズに依存することが一般的である。出力ドライバ自体は一般に、マルチフィンガ(multiple-finger)構造の大きな全幅及び広いコンタクト・ツー・ポリ(contact-to-poly)間隔の使用を通して改善されたESD保護を提供する。
【0006】
しかしながら、静電放電保護に対するこの従来のアプローチの有効性は、集積回路技術が進歩するにつれて小さくなってきている。より小さなデバイスジオメトリ及び減少する回路面積の一般的傾向において、減少するチップサイズが望まれる。したがって、出力回路のために利用可能なダイ面積は減少し続け、このことは、このような出力回路のESD吸収/緩和能力を低下させる。
【0007】
不都合にも、以前より高いレベルの静電放電保護について、高まる必要性が存在する。このことは、ESD保護のための出力ドライバと並行した別個のESDデバイスの使用を推進することとなる。
【0008】
一般に出力ドライバのゲートは、例えば、出力される信号を受信するように内部回路に接続される。この形式の接続は一般に、出力ドライバのゲートがグランドされた場合よりESD事象に応答して遥かに迅速に出力デバイスをスナップバックさせる。出力ドライバを完全に保護するために、別個のESDデバイスは出力ドライバのブレークダウン電圧より低いトリガー電圧を持たなくてはならず、また高いESD電流状態(current regime)でも超低オン抵抗を有さなくてはならない。
【0009】
本明細書で使用されるように、用語「ブレークダウン電圧」は、酸化物ブレークダウン電圧ならびにジャンクションブレークダウン電圧の両者を指す。一般にこれら2つの電圧のうちのより低い電圧は、集積回路が動作できなくなり、実際の物理的損傷が発生し得る点である。幅広い種々の構造およびプロセス変量に依存して、これらの電圧のどちらか一方は他方よりも(大きさにおいて)低いであろう。
【0010】
ESD保護デバイスはまた、回路がESD事象時にターンオンされることを防止するために、回路の最大動作電圧より高い保持電圧を持つべきである。そうでなければ、回路は、この回路自体によって耐えることができない高いESD電流のために永久的に損傷される可能性がある。スナップバックトリガー電圧がブレークダウン電圧より高いと、ESD事象が最低ブレークダウン電圧より高い電圧を引き起こす場合に、集積回路の損傷が発生する可能性がある。
【0011】
IC製造業者は、IC用のESD保護デバイスにおける使用のためにスナップバックトリガー電圧とスナップバック保持電圧との間に望ましい関係を有する金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を設計しようと試みている。しかしながら、」これらのパラメータは、IC製造プロセス及び回路性能の事情によって制約される。したがって、スナップバックトリガー電圧とスナップバック保持電圧との最適な組合せは、常に用いることができるとは限らない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、高い静電放電性能を有するフローティングゲート構造のためのシステム及び方法の必要性が存在する。また上記の必要性を満たすスナップバックトリガー電圧とスナップバック保持電圧との望ましい組合せのためのシステム及び方法に対する必要性も存在する。集積回路の設計と製造の既存のシステム及び方法に適合し、また相互補完的である、高い静電放電性能を有するフローティングゲート構造のためのシステム及び方法についてのさらなる必要性が存在する。本発明による実施形態は、これらの必要性に備えている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による実施形態は、ダイオードデバイスをフローティングゲート静電放電保護構造に埋め込む。
【0014】
したがって、高い静電放電性能を有するフローティングゲート構造のためのシステム及び方法が開示される。一実施形態では、半導体構造は、フローティング・フィールド・ゲート・デバイスを含む。このフローティング・フィールド・ゲート・デバイスは、ツェナーダイオードより小さな温度依存性を有することを特徴とする埋込みダイオードを含む。この埋込みダイオードのブレークダウン電圧は、関連する集積回路の動作電圧より高く、また埋込みダイオードのスナップバックトリガー電圧はこの半導体構造のブレークダウン電圧より低いであろう。
【0015】
本発明のもう1つの実施形態によれば、静電放電保護のための半導体構造は、出力パッドに接続された複数の第1のフィンガと、第1のフィンガ間に交互に配置されてグランドパッドに接続された複数の第2のフィンガとを含む。この半導体構造は更に、第1と第2のフィンガ間に介装された複数のフローティング・フィールド・ゲートを含む。第1のフィンガは、半導体構造のブレークダウン電圧より低いダイオードブレークダウン電圧と半導体構造のブレークダウン電圧より低いスナップバックトリガー電圧とを有することを特徴とする埋込みハイブリッドダイオードを含む。
【0016】
本発明の代替の実施形態によれば、半導体構造は、オフチップ(off-chip)出力を駆動するための回路を含む。この回路はプルダウンデバイスを含む。この半導体構造は更に、プルダウンデバイスのブレークダウン電圧より低いトリガー電圧を有することを特徴とする回路に埋め込まれたハイブリッドダイオードデバイスを含む。
【0017】
本発明の更にもう1つの実施形態によれば、ESD事象時に保護を与えるための集積回路(IC)用の静電放電(ESD)保護回路は、電流制御コンポーネントと、この電流制御コンポーネントに直列に接続された電流方向制御コンポーネントと、を含む。この静電放電保護回路のスナップバック保持電圧は集積回路の動作電圧より高く、またこの静電放電保護回路のスナップバックトリガー電圧はICの酸化物ブレークダウン電圧より低い。
【0018】
本明細書の一部に組み込まれて、本明細書の一部を形成する付属図面は、本発明の実施形態を図示して、この説明と共に本発明の原理を説明する働きをしている。別に特筆されていなければ、これらの図面は原寸に比例していない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
ここで実施形態の例が付属図面に図示されている本発明の種々の実施形態についての言及が詳細に行われる。本発明はこれらの実施形態に関連して説明されるが、本発明をこれらの実施形態に限定するように意図されていないことは理解される。一方、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の精神と範囲に含まれ得る代替、修正および均等物をカバーするように意図されている。更に、本発明の下記の詳細な説明では、本発明を十分に理解するために多数の特定の詳細事項が説明される。しかしながら本発明がこれらの特定の詳細事項なしに実施され得ることは当業者によって認められる。他の事例では、本発明の態様を不必要に不明瞭にしないために周知の方法、手順、コンポーネントおよび回路は詳細には説明されていない。
【0020】
従来技術の下でダイオード、例えばツェナーダイオードは、改善された静電放電性能を与えるために出力ドライバ回路と共に利用され得る。従来、このようなダイオードは出力ドライバ回路に加えた別個の回路であった。本発明による実施形態は、フローティングゲートESD保護構造のエミッタまたはソースにおいて埋込みダイオードを形成する。例えば、このようなダイオードは、別個のダイオードを用いる従来技術の方法とは対照的に、フローティングゲートESD保護構造の部分である。この埋込みダイオードは、正の静電放電に応じて、トリガー電圧(Vtrig)の急激な減少と、基板電流(Isub)の大幅な増加をもたらす。大きな基板電流は、エミッタまたはソースからの電子注入を増強して、導電率調整によるオン抵抗の減少をもたらす。
【0021】
しかしながら、この利益は、ディープpインプラントが実行されると、デバイスのガンメル数(Gummel number)の不利益な増加によって相殺される可能性がある。これを改善するために、ダイオードは、フローティング・フィールド・ゲート(floating field gate)を有するマルチフィンガフィールド(multiple-finger field)ESDデバイスに形成され得る。用語「フィールドゲート」はポリシリコンを含むゲートを除外しないことを理解されたい。この場合、オン抵抗は1オームの数10分の1程度にまで減らされる可能性がある。したがってこの新規なESD構造は、低電圧出力保護によく適しており、人体モデル(HBM)ESD障害閾値を9kVより高くすることができる。
【0022】
図1Aは、本発明の実施形態による、高い静電放電性能を有するフローティングゲート構造100の一部分の側面図を示す。例えば、フローティングゲート構造100は、フローティングゲートESD保護構造のソースおよび/またはエミッタの一部として形成され得る。フローティングゲート構造100は、例えば、p型材料160で形成され得る。P型材料160は、pウェル、エピタキシャル層またはバルク基板であり得る。一般にp型材料160は、基板と同じ電位(ポテンシャル)にある。以下、図2に見られるように、図1に示された構造は、図1の断面の上方および下方に十分な広がりを有し、例えば、これらの構造はこの紙の内側と外側に延びている。
【0023】
本発明による実施形態がn型材料での形成にも同様によく適していることを理解されたい。半導体構造の周知の二重性(duality)のために、当業者は、本発明の代替実施形態を作り出すためにn型導通をp型導通と入れ替えることが出来る。このような変形は、本発明の範囲内と考えられる。
【0024】
フローティングゲート構造100は、pジャンクション120の上に配置されたn++領域110の複数のスタック125を含む。スタック125のn++領域110は、出力パッド150に接続され、この出力パッドは典型的には集積回路パッケージの外部ピンに接続するためのパッシベーション化された金属を含む。
【0025】
複数のフローティングゲート130、例えば、フィールド酸化物は、スタック125のいずれかの側(この図において)に隣接している。フローティングゲート130の他方の側、例えばスタック125の反対側には、n型材料のグランド領域140がある。こうしてフローティングゲート構造100は、フローティングゲート130と、スタック125と、フローティングゲート130と、グランド領域140と、からなる複合事例を含む。
【0026】
図1におけるフローティングゲート構造100のもう1つの見方として、スタック125は、2つの隣接フローティングゲート130を有している。各グランド領域140は、2つの隣接フローティングゲート130を有している。各フローティングゲート130は一側にスタック125、他側にグランド領域140を有する。
【0027】
++領域110と、フローティングゲート130と、n領域140とからなる事例が、p型材料160と連携して、pチャネル電界効果トランジスタを形成することを理解されたい。このようなデバイスは、出力パッド150をグランドに接続するために、例えば出力端子をプルダウンするために使用され得る。
【0028】
図1Bは、本発明の実施形態によるスタック125の事例の詳細図である。スタック125は、p材料の領域120の上に配置されたn++材料の領域110を含む。領域110が領域120を越えて(図1Bの図では水平に)延びていることを理解されたい。例えば、領域110は、また、p型材料160に接触している。
【0029】
スタック125が2つの異なるタイプのダイオードを形成することを更に理解されたい。ダイオード107はカソードとして動作するn++領域110と、アノードとして動作するp型材料160と、の間に形成される。ダイオード107は、正の温度係数を有するp/n型ダイオードである。ダイオード105は、カソードとして動作するn++領域110と、アノードとして動作するpジャンクション120と、の間に形成される。ダイオード105は、負の温度係数を有するツェナー型ダイオードである。ツェナーダイオード105は一般に、n++領域110と、フローティングゲート130と、n領域140とからなる事例が、p型材料160と連携して形成したプルダウントランジスタ(pull down transistor)より低いトリガー電圧を有する。
【0030】
反対の温度係数を有する2つのタイプのダイオードを組み合わせることによって、例えば正の温度係数を有するダイオードと、負の温度係数を有するダイオードと、を組み合わせることによって、スタック125は、従来技術のダイオードより実質的により小さな温度変化(大きさが)を有する新規なハイブリッドダイオード構造を形成する。ダイオード107の面積は、ドーピング濃度、抵抗などに依存して、ダイオード105の面積にほぼ等しくあるべきである。本発明による代替の実施形態では、新規なハイブリッドダイオードのための他の温度係数が望ましいこともあり、そして、このような他の温度係数がダイオード面積の異なる比率を形成することによって達成され得ることを理解されたい。
【0031】
フローティングゲート構造100のダイオードブレークダウン電圧が、ドーピング濃度などの周知の変化を介して調整され得ることを理解されたい。更に、ダイオードブレークダウン電圧は、関連する集積回路、例えばフローティングゲート構造100によって保護された集積回路、のブレークダウン電圧とは異なるように構成され得る。このようなダイオードブレークダウン電圧は、関連する集積回路のブレークダウン電圧より低くあるべきである。
【0032】
図2Aは、本発明の実施形態による、高い静電放電性能を有する例示的なフローティングゲート構造200の一部分の平面図を示す。フローティングゲート構造200は、より少ない要素しか図示されていないが、図1Aのフローティングゲート構造100に概ね類似している。
【0033】
フローティングゲート構造200は、典型的には集積回路パッケージの外部ピンに接続するための、パッシベーション化された金属を含み得る出力パッド250を含む。出力パッド250の複数のフィンガは、n++材料210の領域上で下方に向かって延出する(図2における眺めにおいて)。その下にある特徴要素を示すために、これらのフィンガの全体の延びは示されていない。n++材料210は、図1に示すように、p材料(図2では分かりにくい)の領域の上に配置される。有益な結果として、領域210は、その下にあるp材料とp型材料(図示せず)と連携して、図1Bに関して前に説明されたように、小さな温度係数を有する新規なハイブリッドダイオード構造を形成する。
【0034】
領域260は、金属280の上に配置されたp材料からなるグランドパッドである。領域280の複数のフィンガは、n型グランド領域240上で上方に向かって延出する(図2の眺めにおいて)。その下にある特徴要素を示すために、これらのフィンガの全体の延びは示されていない。グランドパッド260は、pウェル、エピタキシャル層またはバルク構造からグランドをピックアップしている。フローティングゲート230は、フィンガ210とフィンガ240との間に配置される。
【0035】
特徴要素210の幅(図2の眺めにおける)は、出力ドライバフローティングゲート構造200の静電放電性能において重要な役割を果たす。より高いESD抵抗については、より大きな幅、特に接触部とフローティングゲート230との間のより大きな間隔270が望ましい。対照的にダイ面積について考慮すると、より小さな間隔270が望ましい。例示的なBiCMOSツインウェル、二重ゲート0.3μmプロセスでは、約3〜5μmの間隔270が最適であることがわかった。このような間隔は一般に所与のプロセスの接触部の分離のための最小デザインルールより遥かに大きいことを理解されたい。
【0036】
フローティングゲート構造200は、ハイブリッドダイオード125(図1B)の動作電圧より高いスナップバック保持電圧と、ホスト集積回路に損傷を引き起こすために必要とされる電圧より低いスナップバックトリガー電圧と、を示す。この電子配置構成は、ハイブリッドダイオード125動作電圧より低いスナップバック保持電圧によるラッチアップ、及び、高すぎるスナップバックトリガー電圧によるIC損傷を防止する。
【0037】
埋込みハイブリッドダイオード125の使用は、残りの保持電圧がラッチアップを引き起こすには不十分であるように、保持電圧の一部が導通モードでハイブリッドダイオードによって維持されることを保証し得る。その結果、ESD事象時にハイブリッドダイオード125を含むフローティングゲート構造200は、ESD誘導電流をドレインし、それによって関連する集積回路(IC)のためのESD保護デバイスとして働き得る。ESD事象後、動作電圧は導通モードを維持できず、ハイブリッドダイオードをオフにし、それによってフローティングゲート構造200及び関連する集積回路をダメージから保護する。
【0038】
図2Bは、本発明の実施形態による埋込みハイブリッドダイオードの種々の代替のレイアウトを示す。代替のレイアウト282ではフローティングゲート231は、n++材料211の下に位置している。P材料221はn++材料211の上に配置される。
【0039】
代替のレイアウト284では、複数のp「アイランド」222、223は、n++材料212の上にある。p「アイランド」222、223は、図示の円形と正方形とを含むがこれらに限定されない種々の形状を取り得る。代替のレイアウト286では、p材料224の「ストリップ」が、n++材料213のエッジ付近に形成される。例えばストリップ224は、材料213の面の上方または下方にあり得る。
【0040】
更にもう1つの代替のレイアウト288では、p材料のアイランド、例えばアイランド222および/または223が、n++材料214のエッジ付近に形成される。これらおよび他の代替のレイアウトは本発明の実施形態による、新規な埋込みダイオードの特性を変更するために用いられ得る。
【0041】
本発明による実施形態は、高い静電放電性能を有するフローティングゲート構造のためのシステム及び方法を提供する。本発明による実施形態はまた、スナップバックトリガー電圧とスナップバック保持電圧との望ましい組合せを提供する。更に、本発明による実施形態は、集積回路の設計および製造の既存のシステム及び方法に適合し、また相互補完的である高い静電放電性能を有するフローティングゲート構造を形成するためのシステム及び方法を提供する。
【0042】
概してこの文書は、高い静電放電性能を有するフローティングゲート構造のためのシステム及び方法を開示している。一実施形態では半導体構造は、フローティングフィールドゲートデバイスを含む。このフローティングフィールドゲートデバイスは、ツェナーダイオードより小さな温度依存性を有することを特徴とする埋込みダイオードを含む。埋込みダイオードのブレークダウン電圧は関連する集積回路の動作電圧より高く、また埋込みダイオードのスナップバックトリガー電圧は半導体構造のブレークダウン電圧より低い。
【0043】
本発明の種々の実施形態は、このように説明されている。本発明は特定の実施形態において説明されてきたが、本発明がこのような実施形態によって限定されるものと解釈されるべきでなく、むしろ前述の特許請求の範囲にしたがって解釈されるべきであることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1A】本発明の実施形態による、高い静電放電性能を有する例示的な低電圧出力ドライバ回路の一部分の側断面図である。
図1B】本発明の実施形態による、スタック構造の一事例の詳細図である。
図2A】本発明の実施形態による、高い静電放電性能を有する例示的な低電圧出力ドライバフローティングゲート構造200の一部分の平面図である。
図2B】本発明の実施形態による、埋込みハイブリッドダイオードの種々の代替のレイアウトを示す図である。
図1A
図1B
図2A
図2B