(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の画素部の発光を決定する複数のデータ線のうちいずれかのデータ線から供給された信号電圧を信号電流に変換する第1トランジスタと、前記データ線と前記第1トランジスタのゲートとの間に挿入され前記データ線と前記第1トランジスタのゲートとの導通及び非導通を切り換える第1スイッチ素子と、前記第1トランジスタのソース及びドレインの一方である第1端子からアノード及びカソードの一方に入力される前記信号電流により発光する発光素子と、前記第1端子と前記発光素子のアノード及びカソードの一方との接続点と、前記データ線との導通及び非導通を切り換える第2スイッチングトランジスタとを備える画素部を複数有するアクティブマトリクス型の発光パネルを備える表示装置の駆動方法であって、
前記信号電圧を前記データ線に供給するデータ駆動回路と前記データ線との接続を非導通状態にし、前記発光素子に検査電流を供給する検査電流発生回路と前記データ線との接続を導通状態にする電流源接続ステップと、
前記電流源接続ステップの後、前記検査電流発生回路から前記データ線を介して入力される前記検査電流を前記発光素子に流す電流供給ステップと、
前記第2検査電流を流すことにより発生した前記発光素子のアノード及びカソードの一方の電圧を、前記データ線に接続され、前記複数の画素部を挟んで前記検査電流発生回路と反対側に配置された電圧検出回路により検出する電圧検出ステップとを含む
ことを特徴とする表示装置の駆動方法。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施の形態1)
本実施の形態における表示装置は、複数の画素部を有するアクティブマトリクス型の発光パネルを備え、画素部は、選択されたデータ線から供給された信号電圧に対応した信号電流を出力する第1トランジスタと、第1トランジスタへの信号電圧の供給をオンオフする第1スイッチ素子と、信号電流の入力により光信号を出力する発光素子と、選択されたデータ線と第1トランジスタの第2端子とが短絡状態であることを可能とするように接続された第2スイッチ素子とを備える。また、本表示装置は、さらに、第1トランジスタ又は発光素子に検査電流を流す検査電流発生回路と、当該検査電流により発生した電圧を選択されたデータ線にて測定する電圧検出回路とを備える。これにより、各画素に配置された駆動トランジスタと発光素子の特性を独立に高精度測定できるので、駆動トランジスタや発光素子の特性の不均一に起因する輝度ムラを補正できる。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態1に係る表示装置の電気的な構成を示すブロック図である。同図における表示装置1は、表示部10と、走査線駆動回路20と、データ線駆動回路30と、検査電流発生回路40と、電圧検出回路50と、マルチプレクサ60と、制御回路70と、メモリ80とを備える。
【0024】
表示部10は、複数の画素部100を備える。
【0025】
図2は、表示部の有する一画素部の回路構成及びその周辺回路との接続を示す図である。同図における画素部100は、有機EL素子110と、駆動トランジスタ120と、スイッチングトランジスタ130と、検査トランジスタ140と、保持容量150と、共通電極115と、電源線125と、走査線21と、制御線22と、データ線31とを備える。また、周辺回路は、走査線駆動回路20と、データ線駆動回路30と、検査電流発生回路40と、電圧検出回路50と、マルチプレクサ60とを備える。
【0026】
まず、
図1に記載された構成要素について、その機能を説明する。
【0027】
走査線駆動回路20は、走査線21、第1制御線である制御線22に接続されており、画素部100のスイッチングトランジスタ130及び検査トランジスタ140の導通・非導通を制御する機能を有する。
【0028】
データ線駆動回路30は、データ線31に接続されており、信号電圧を出力して、駆動トランジスタ120に流れる信号電流を決定する機能を有する。また、データ線駆動回路30は、データ線31との接続を開放したり、ショートしたりすることが可能なスイッチを有する。
【0029】
検査電流発生回路40は、データ線31に接続されており、駆動トランジスタ120や有機EL素子110の特性を検出するための検査電流を出力する機能を有し、第1回路パス形成手段の構成要素である。
【0030】
電圧検出回路50は、マルチプレクサ60を介してデータ線31に接続されており、検査電流発生回路40が検査電流を出力している間に、データ線31の電圧を検出する機能を有し、第2回路パス形成手段の構成要素である。
【0031】
マルチプレクサ60は、電圧検出回路50に接続されるデータ線31の切り替えを行う機能を有する。
【0032】
制御回路70は、走査線駆動回路20、データ線駆動回路30、検査電流発生回路40、マルチプレクサ60、電圧検出回路50、及びメモリ80の制御を行う機能を有する。電圧検出回路50により検出された電圧値は、デジタル値に変換され、演算により特性パラメータ化される。そして、制御回路70によりメモリ80に書き込まれる。また、制御回路70は、メモリ80に書き込まれた特性パラメータを読み出し、外部から入力された映像信号データを、その特性パラメータに基づいて補正して、データ線駆動回路30へと出力する。
【0033】
次に、画素部100の内部回路構成について、
図2を用いて説明する。
【0034】
駆動トランジスタ120は、第1トランジスタとして機能し、駆動トランジスタ120のゲートは、スイッチングトランジスタ130を介してデータ線31に接続され、第1端子であるソース及びドレインの一方が有機EL素子110の一方の端子であるアノードに接続され、第2端子であるソース及びドレインの他方が、電源線125に接続されている。
【0035】
また、スイッチングトランジスタ130は、第1スイッチングトランジスタとして機能し、スイッチングトランジスタ130のゲートは、走査線21に接続されている。
【0036】
検査トランジスタ140は、第2トランジスタとして機能し、検査電流パスを形成する第1回路パス形成手段の構成要素である。また、検査トランジスタ140は、有機EL素子110のアノード電圧をデータ線31にて測定する電圧パスを形成する第2回路パス形成手段の構成要素を兼用している。検査用トランジスタ140のゲートは、制御線22に接続され、ソースは、有機EL素子110の一方の端子であるアノードに接続され、ドレインは、データ線31に接続されている。
【0037】
保持容量150は、電源線125と駆動トランジスタ120のゲート端子との間に接続されている。
【0038】
有機EL素子110は、発光素子として機能し、有機EL素子110の他方の端子であるカソードは、共通電極115に接続されている。
【0039】
なお、
図1、
図2には記載されていないが、電源線125はすべて同じ電源に接続されている。また、共通電極115も電源に接続されている。
【0040】
次に、本発明の実施の形態1にかかる表示装置の駆動方法について説明をする。本駆動方法により、駆動トランジスタ120の特性の検出、有機EL素子110の特性の検出が可能である。
【0041】
図3は、本発明の実施の形態1に係る表示装置の有する制御回路の、駆動トランジスタ又は有機EL素子の特性を検出する場合の動作フローチャートである。
【0042】
最初に、データ線駆動回路30とデータ線31との接続を非導通状態とし、検査電流発生回路40とデータ線31との接続を導通状態に設定する(S10)。この接続は、例えば、データ線駆動回路30とデータ線31との間のスイッチをオフすること、及び検査電流発生回路40とデータ線31との間のスイッチをオンすることにより実現される。
【0043】
図4は、駆動トランジスタ特性又は有機EL素子特性を検出する場合の検査電流の供給タイミングを示すタイミングチャートである。同図において、横軸は時間を表している。また縦方向には、上から順に、走査線21に発生する電圧の波形図、制御線22に発生する電圧の波形図、及び検査電流41の波形図が示されている。
【0044】
次に、
図4のt1において、走査線21及び制御線22の電圧のレベルをHIGHにして、それぞれ、スイッチングトランジスタ130及び検査トランジスタ140をオンにする(S11)。なお、有機EL素子特性の検出時には、スイッチングトランジスタ130はオフであってもよい。
【0045】
次に、
図4のt2において、検査電流発生回路40から
図2中の矢印の向きに検査電流41を流す(S12)。
【0046】
ステップS12において、駆動トランジスタ120の特性検出時においては、共通電極115には、共通電極115に接続された第2電源により有機EL素子110に逆バイアスがかかるような可変電圧V
Bが加えられるため、有機EL素子110には電流は流れない。よって、この検査電流41は、第1検査電流として、データ線31、検査トランジスタ140、及び駆動トランジスタ120を経由して、電源線125に流れこむ。その際、スイッチングトランジスタ130がオン状態であるので、駆動トランジスタ120のゲート端子はデータ線31に接続されている。よって、データ線31の電圧は、駆動トランジスタ120に検査電流41が流れた際の駆動トランジスタ120のゲート電圧とほぼ等しくなる。
【0047】
一方、ステップS12において、有機EL素子110の特性検出時には、電源線125には、電源線125に接続された第1電源により、駆動トランジスタ120に電流が流れないように、駆動トランジスタ120のゲート電圧と同程度かそれ以上の可変電圧V
Aが印加されており、この検査電流41は、第2検査電流として、データ線31、検査トランジスタ140、及び有機EL素子110を経由して、共通電極115に流れこむ。その際、検査トランジスタ140がオン状態であるので、有機EL素子110のアノード端子はデータ線31に接続されている。よって、データ線31の電圧は、有機EL素子110に検査電流41が流れた際の有機EL素子110のアノード電圧とほぼ等しくなる。
【0048】
次に、
図4のt2からt3の間において、検査電流41を供給し、データ線31に現れた電圧を電圧検出回路50で検出する(S13)。これにより、検査電流41の大きさに対する、駆動トランジスタ120のゲート電圧、又は有機EL素子110のアノード電圧を知ることができる。
【0049】
ここで、駆動トランジスタ120の特性を検出する場合には、上記ステップS13において、駆動トランジスタ120のゲート端子とドレイン端子は、スイッチングトランジスタ130及び検査トランジスタ140を介して接続されているため、駆動トランジスタ120は飽和領域で動作している。また、駆動トランジスタ120のソース電圧は電源線125に印加された電圧である。ここで、検出された電圧をV
det、駆動トランジスタ120のソース端子に印加された電源電圧をV
dd、及び検査電流をI
testとすると、以下の式1が成り立つ。
【0051】
ここで、βは、駆動トランジスタ120のチャネル領域、酸化膜容量、及び移動度に関する特性パラメータであり、Vthは、駆動トランジスタ120の閾値電圧であり移動度に関係する。
【0052】
式1により、大きさの異なる2種類の検査電流I
1及びI
2を流して検出された電圧をそれぞれV
det1、V
det2とすると、以下のような連立方程式を立てることができる。
【0055】
V
gs1=V
det1−V
dd、V
gs2=V
det2−V
ddとおき、この連立方程式を解くと、βとVthはそれぞれ以下のようになる。
【0057】
このようにして、検査電流41を流し、その時のデータ線31の電圧を測定することにより、駆動トランジスタ120の移動度や閾値といった特性パラメータを算出することができる。
【0058】
一方、有機EL素子110の特性を検出する場合には、検査電流41をI
EL、発生した有機EL素子110のアノード電圧をV
ELとすると、予め取得されている有機EL素子110の初期の電流−電圧特性と、今回取得された(I
EL、V
EL)とのズレ量を算出する。
【0059】
次に、制御回路70は、電圧検出回路50により検出された電圧値V
det1及びV
det2、またはV
ELをデジタル値に変換し、それらと式2ないし式4又は初期電流−電圧特性を用いて算出した特性パラメータをメモリ80に格納する(S14)。
【0060】
次に、
図4のt3において、検査電流41の供給を停止する(S15)。
【0061】
なお、ステップS15は、ステップS14の後である必要はなく、ステップS14と並行して実行されてもよく、または、ステップS13の後であってステップS14の前に実行されてもよい。
【0062】
上述した一連の動作ステップにより、データ線の電圧が測定され、その検出結果が評価されることにより、画素部の画素欠陥が発見されるだけでなく、駆動トランジスタや有機EL素子のばらつきや経時変動に関する情報が独立に取得できる。取得された特性パラメータがメモリに保存され、後述する通常動作時のデータ電圧の補正に用いられることで、駆動トランジスタや有機EL素子の特性ばらつきや経時変動による輝度ムラが改善される。
【0063】
次に、本発明の実施の形態1にかかる表示装置の通常動作時における駆動方法について説明する。
【0064】
図5は、通常動作時における制御回路の動作フローチャートである。
【0065】
最初に、データ線駆動回路30とデータ線31との接続を導通状態とし、検査電流発生回路40とデータ線31との接続を非導通状態に設定する(S20)。この接続は、例えば、検査電流発生回路40の出力電流をゼロにすることで実現できる。また、検査電流発生回路40とデータ線31との間に設けられたスイッチをオフすることで、接続を開放してもよい。
【0066】
次に、検査トランジスタ140を、オフ状態にする(S21)。なお、本ステップS21は、ステップS20の前に実行されていてもよい。また、通常動作時では、検査トランジスタ140は常にオフ状態であるが、検査トランジスタ140をオン状態とすることで、データ線駆動回路30の出力電圧を直接有機EL素子110に印加することができるため、駆動時の黒挿入に使ってもよい。
【0067】
最後に、メモリ80から読み出された特性パラメータにより補正された信号電圧をデータ線駆動回路30から出力し、画素部100へ書き込むことにより画像表示を実行する(S22)。
【0068】
以上、駆動トランジスタ及び有機EL素子の特性検出動作、及び通常動作により、特性検出時に得られた特性パラメータに基づき信号電圧が補正されるので、駆動トランジスタや有機EL素子の特性ばらつきや経時変動による輝度ムラが改善される。
【0069】
なお、
図2において、電圧検出回路50と検査電流発生回路40とは、データ線31の両側に、画素部を挟んで接続されているが、電圧検出回路50と検査電流発生回路40とが、画素部に対してデータ線31の同じ側に接続されていてもよい。大きな検査電流を流してデータ線31の電圧が測定される場合、電圧検出回路50が、検査電流発生回路40と同じ側にあると、データ線31の配線抵抗による電圧降下により検出精度が低下する可能性がある。その場合は、電圧検出回路50と検査電流発生回路40とは、データ線31の両側に、画素部を挟んで接続されているのが好ましい。検査電流を大きくすることにより、検出時間を早めたい場合、データ線31の両側に接続する構成は非常に有効である。
【0070】
また、検査電流発生回路40は、データ線駆動回路30とともにデータドライバICに内蔵されていてもよいし、データドライバICとは別にあってもよい。
【0071】
また、検査電流発生回路40は、
図6に示されるデータ線と検査電流発生回路との接続関係のように、データ線31の本数と同数の電流発生源42を有するものであってもよい。
【0072】
また、検査電流発生回路40は、
図7に示されるデータ線と検査電流発生回路との接続関係のように、データ線31の切り替えを行うマルチプレクサ43とデータ線31の本数より少ない電流発生源42を有するものであってもよい。
【0073】
また、データ線31の切り替えを行うマルチプレクサ43とデータ線31より少ない電流発生源42をもつ場合、マルチプレクサ43は、
図8に示されるデータ線と検査電流発生回路との接続関係のように、発光パネル5上に形成されていてもよい。
【0074】
さらに、電圧検出回路50は、データ線駆動回路30とともにデータドライバICに内蔵されていてもよいし、データドライバICとは別にあってもよい。
【0075】
また、電圧検出回路50は、
図9に示されるデータ線と電圧検出回路との接続関係のように、データ線31の本数と同数の電圧検出器51を有するものであってもよい。
【0076】
また、電圧検出回路50は、
図10に示されるデータ線と電圧検出回路との接続関係のように、データ線31の切り替えを行うマルチプレクサ52とデータ線31の本数より少ない電圧検出器51をもつものであってもよい。
【0077】
また、データ線31の切り替えを行うマルチプレクサ52とデータ線31より少ない電圧検出器51をもつ場合、マルチプレクサ52は、
図11に示されるデータ線と電圧検出回路との接続関係のように、発光パネル5上に形成されていてもよい。
【0078】
図12は、本発明の実施の形態1の第1の変形例を示す表示装置の備える画素部の回路構成図である。同図における画素部200は、有機EL素子210と、駆動トランジスタ220と、スイッチングトランジスタ230と、検査トランジスタ240と、保持容量150と、共通電極115と、電源線125と、走査線21と、制御線22と、データ線31とを備える。
【0079】
同図に記載された画素部200は、
図2に記載された画素部100と比較して、トランジスタがすべてpチャネルであり、駆動トランジスタ220と接続される有機EL素子210の端子はカソードである点のみが回路構成として異なる。以下、画素部200を有する表示装置の駆動方法について、
図3に記載された画素部100を有する表示装置の駆動方法と異なる点のみ説明する。
【0080】
図3に記載されたステップS11では、スイッチングトランジスタ230及び検査トランジスタ240をオン状態にするために、走査線21及び制御線22の電圧をHIGHレベルからLOWレベルに切り換える。なお、有機EL素子特性の検出時には、スイッチングトランジスタ230はオフであってもよい。
【0081】
また、
図3に記載されたステップS12では、検査電流44は、
図2に記載された検査電流41と逆向きになる。
【0082】
これにより、ステップS13では、検査電流44の大きさに対する、駆動トランジスタ220のゲート電圧、又は有機EL素子210のカソード電圧を知ることができる。
【0083】
図13は、本発明の実施の形態1の第2の変形例を示す表示装置の備える画素部の回路構成図である。同図における画素部300は、有機EL素子110と、駆動トランジスタ120と、スイッチングトランジスタ130と、ELスイッチングトランジスタ310と、検査トランジスタ140と、保持容量150と、共通電極115と、電源線125と、走査線21と、制御線22及び23と、データ線31とを備える。
【0084】
同図に記載された画素部300は、
図2に記載された画素部100と比較して、有機EL素子110のアノード端子にELスイッチングトランジスタ310が挿入されている点、及びELスイッチングトランジスタ310のオンオフを制御するための制御線23がELスイッチングトランジスタ310のゲートに接続されている点のみが回路構成として異なる。
【0085】
ELスイッチングトランジスタ310は、第2スイッチ素子として機能し、有機EL素子110への検査電流の供給の有無を制御する。
【0086】
以下、画素部300を有する表示装置の駆動方法について、
図3に記載された画素部100を有する表示装置の駆動方法と異なる点のみ説明する。
【0087】
図3に記載されたステップS12では、有機EL素子110に逆バイアス電圧が印加されることにより、有機EL素子110には検査電流が流れず、駆動トランジスタ120に検査電流41が流れるように制御されていた。これに対して、本実施例では、有機EL素子110のアノードに接続されたELスイッチングトランジスタ310を、制御線23を介してオフ状態とすることで、有機EL素子110に電流が流れず、駆動トランジスタ120に検査電流41が流れるように制御されている。
【0088】
図14は、本発明の実施の形態1の第3の変形例を示す表示装置の備える画素部の回路構成図である。同図における画素部400は、有機EL素子110と、駆動トランジスタ120と、スイッチングトランジスタ130及び410と、検査トランジスタ140と、保持容量150と、共通電極115と、電源線125と、走査線21と、制御線22及び24と、データ線31とを備える。
【0089】
同図に記載された画素部400は、
図2に記載された画素部100と比較して、駆動トランジスタ120の第2端子と電源線125との間にスイッチングトランジスタ410が挿入されている点、及びスイッチングトランジスタ410のオンオフを制御するための制御線24がスイッチングトランジスタ410のゲートに接続されている点のみが回路構成として異なる。
【0090】
スイッチングトランジスタ410は、第3スイッチ素子として機能し、駆動トランジスタ120への検査電流の供給の有無を制御する。
【0091】
以下、画素部400を有する表示装置の駆動方法について、
図3に記載された画素部100を有する表示装置の駆動方法と異なる点のみ説明する。
【0092】
図3に記載されたステップS12では、電源線125に駆動トランジスタ120のゲート電圧と同程度かそれ以上の電圧が印加されることにより、駆動トランジスタ120には検査電流が流れず、有機EL素子110に検査電流41が流れるように制御されていた。これに対して、本実施例では、駆動トランジスタ120の第2端子に接続されたスイッチングトランジスタ410を、制御線24を介してオフ状態とすることで、駆動トランジスタ120に電流が流れず、有機EL素子110に検査電流41が流れるように制御されている。
【0093】
なお、本実施例にて追加されたスイッチングトランジスタ410は、駆動トランジスタ120の第1端子に挿入(
図14中の点P)されていてもよい。
【0094】
上述した本発明の実施の形態1における第1〜第3の変形例においても、データ線の電圧が測定され、その検出結果が評価されることにより、画素部の画素欠陥が発見されるだけでなく、駆動トランジスタや有機EL素子のばらつきに関する情報が独立に取得できる。取得された特性パラメータがメモリに保存され、後述する通常動作時のデータ電圧の補正に用いられることで、駆動トランジスタや有機EL素子の特性ばらつきによる輝度ムラが改善される。
【0095】
(実施の形態2)
本実施の形態における表示装置は、複数の画素部を有するアクティブマトリクス型の発光パネルを備え、画素部は、選択されたデータ線から供給された信号電圧に対応した信号電流を出力する第1トランジスタと、第1トランジスタへの信号電圧の供給をオンオフする第1スイッチ素子と、信号電流の入力により光信号を出力する発光素子と、第1トランジスタと第1スイッチ素子との間に接続された電圧変換部と、選択されたデータ線と第1トランジスタのゲート端子とが短絡状態または一定の電位差を有する導通状態であること、及び、選択されたデータ線と第1トランジスタの第2端子とが短絡状態であること、を可能とするように接続された1以上の第2スイッチ素子とを備える。また、電子装置は、さらに、第1トランジスタ又は発光素子に検査電流を流す検査電流発生回路と、当該検査電流により発生した電圧を、選択されたデータ線にて測定する電圧検出回路とを備える。これにより、第1トランジスタの閾値(Vth)変動が補償された回路においても、各画素に配置された駆動トランジスタと発光素子の特性を独立に高精度測定できるので、駆動トランジスタや発光素子の特性の不均一に起因する輝度ムラを補正できる。
【0096】
図15は、本発明の実施の形態2に係る表示装置の有する画素部の回路構成図である。同図における画素部500は、有機EL素子110と、駆動トランジスタ220と、スイッチングトランジスタ230とELスイッチングトランジスタ520と、検査トランジスタ240と、閾値補償トランジスタ510と、保持容量150と、閾値補償容量530と、共通電極115と、電源線125と、走査線21と、制御線22、25、及び26と、データ線31とを備える。同図における画素部500は、実施の形態1に係る表示装置の備える画素部100と比較して、閾値補償トランジスタ510及びその動作を制御する第2制御線である制御線25が付加されていること、有機EL素子110のアノード端子にELスイッチングトランジスタ520及びその動作を制御する制御線26が付加されていること、スイッチングトランジスタ230と駆動トランジスタ220のゲート端子との間に閾値補償容量530が付加されていること、及び各種トランジスタは全てpチャネルのトランジスタであることが異なる。
図2に記載された画素部100と同じ点は説明を省略し、以下、異なる点について説明する。
【0097】
閾値補償トランジスタ510は、ソース及びドレインの一方が駆動トランジスタ220の第1端子であるソース及びドレインの一方に接続され、ソース及びドレインの他方が駆動トランジスタ220のゲートに接続されている。
【0098】
画素部100が、駆動トランジスタ120、スイッチングトランジスタ130、及び保持容量150という、2つのトランジスタ及び1つの容量という基本回路で有機EL素子110への電流供給を制御しているのに対し、画素部500は、上記基本回路に、閾値補償トランジスタ510及び電圧変換部として機能する閾値補償容量530が付加されることにより、駆動トランジスタの閾値電圧Vthの変動を補償する機能を有する。これにより、駆動トランジスタ220は、閾値電圧Vthの変動による出力信号電流の変動を生じない。
【0099】
ELスイッチングトランジスタ520は、
図13に記載された画素部300におけるELスイッチングトランジスタ310と同様の機能を有し、検査電流41の有機EL素子110への供給の有無を制御する。
【0100】
図16は、本発明の実施の形態2に係る表示装置の有する制御回路の、駆動トランジスタ又は有機EL素子の特性を検出する場合の動作フローチャートである。ここで、画素部500の周辺回路の構成及び接続は
図2に記載された周辺回路と同様である。
【0101】
最初に、データ線駆動回路30とデータ線31との接続を非導通状態とし、検査電流発生回路40とデータ線31との接続を導通状態に設定する(S30)。この接続は、例えば、データ線駆動回路30とデータ線31との間のスイッチをオフすること、及び検査電流発生回路40とデータ線31との間のスイッチをオンすることにより実現される。
【0102】
次に、駆動トランジスタ220特性を検出する場合と有機EL素子110特性を検出する場合とを選択する(S31)。
【0103】
次に、ステップS31で駆動トランジスタ220特性検出を選択した場合の動作について説明する。
【0104】
図17は、駆動トランジスタ特性検出時の検査電流の供給タイミングを示すタイミングチャートである。同図において、横軸は時間を表している。また縦方向には、上から順に、走査線21の電圧、制御線25の電圧、制御線22の電圧、制御線26の電圧、及び検査電流を表している。
【0105】
図17の時刻t1において、制御線25及び制御線22の電圧のレベルをLOWにして、それぞれ、閾値補償トランジスタ510及び検査トランジスタ240をオンにする(S32)。
【0106】
次に、ステップS31で有機EL素子110特性検出を選択した場合の動作について説明する。
【0107】
図18は、有機EL素子特性検出時の検査電流の供給タイミングを示すタイミングチャートである。同図において、横軸は時間を表している。また縦方向には、上から順に、走査線21の電圧、制御線25の電圧、制御線22の電圧、制御線26の電圧、及び検査電流を表している。
【0108】
図18の時刻t1において、制御線22及び制御線26の電圧のレベルをLOWにして、それぞれ、検査トランジスタ240及びELスイッチングトランジスタ520をオンにする(S33)。
【0109】
以降のステップについては、駆動トランジスタ特性検出時及び有機EL素子特性検出時における動作を共通ステップとして説明する。
【0110】
図17又は
図18の時刻t2において、駆動トランジスタ特性検出時には検査電流発生回路40から
図15中の矢印の向きに検査電流45を流す。あるいは、有機EL素子特性検出時には検査電流発生回路40から
図15中の矢印の向きに検査電流46を流す(S34)。
【0111】
駆動トランジスタ特性検出時の検査電流45は、データ線31、検査トランジスタ240、駆動トランジスタ220を経由して、電源線125に流れこむ。その際、閾値補償トランジスタ510及び検査トランジスタ240により、駆動トランジスタ220のゲート端子がデータ線31に接続されることになり、データ線31の電圧は、駆動トランジスタ220に検査電流45が流れた際の駆動トランジスタ220のゲート電圧とほぼ等しくなる。
【0112】
ここで、駆動トランジスタ220のゲート端子とドレイン端子は、閾値補償トランジスタ510を介して接続されているため、駆動トランジスタ220は飽和領域で動作している。また、駆動トランジスタ220のソース電圧は電源線125に印加された電圧である。ここで、検出された電圧をV
det、駆動トランジスタ220のソース端子に印加された電源電圧をV
dd、及び検査電流をI
testとすると、前述した式1が成り立つ。
【0113】
ここで、実施の形態1と同様に、大きさの異なる2種類の検査電流I
1及びI
2を流して、連立方程式を解くことにより、式4よりβとVthが求まる。あるいは、本実施の形態2における画素部500は、通常動作時に駆動トランジスタ220の閾値電圧Vthの変動が補償されるので、画素間の特性ばらつきを補正する場合には、初期値Vthを定数として扱うことができる。よって、Vthの初期値を求めた後は、以下のように、1種類の検査電流I_testにより、変数βのみを求めてもよい。
【0114】
式2において、V
gs=V
det−V
ddとおき、この方程式を解くと、βは以下のようになる。
【0116】
よって、検査電流45供給時のデータ線31の電圧が測定されることにより、駆動トランジスタ220の移動度などに関する特性パラメータβを算出することができる。
【0117】
一方、有機EL素子特性検出時の検査電流46は、駆動トランジスタ220のゲート電位と同程度かそれ以下の電圧が電源線125に印加されているため、駆動トランジスタ220には流れない。検査電流46は、データ線31、検査トランジスタ240、ELスイッチングトランジスタ520、有機EL素子110を経由して、共通電極115に流れこむ。その際、検査トランジスタ240及びELスイッチングトランジスタ520により、有機EL素子110のアノードがデータ線31に接続されているため、データ線31の電圧は、有機EL素子110に検査電流46が流れた際の有機EL素子110のアノード電圧とほぼ等しくなる。
【0118】
次に、
図17又は
図18のt2からt3の間において、検査電流45又は46を供給し、データ線31に現れた電圧を電圧検出回路50で検出する(S35)。これにより、検査電流の大きさに対する、駆動トランジスタ220のゲート電圧、又は有機EL素子110のアノード電圧を知ることができる。
【0119】
ここで、検査電流46をI
EL、発生した有機EL素子110のアノード電圧をV
ELとすると、予め取得されている有機EL素子110の初期の電流−電圧特性と、今回取得された(I
EL、V
EL)とのズレ量を算出することができる。
【0120】
次に、上述したように、電圧検出回路50により検出された電圧値V
det(またはV
det1及びV
det2)、又はV
ELをデジタル値に変換し、それらと式2ないし式5、又は初期電流−電圧特性を用いて算出した特性パラメータをメモリ80に格納する(S36)。
【0121】
次に、
図17又は
図18のt3において、検査電流の供給を停止する(S37)。
【0122】
なお、ステップS37は、ステップS36の後である必要はなく、ステップS36と並行して実行されてもよく、または、ステップS35の後であってステップS36の前に実行されてもよい。
【0123】
上述した一連の動作ステップにより、駆動トランジスタの閾値電圧を補償するトランジスタや容量が付加された画素部においても、データ線の電圧が測定され、その検出結果が評価されることにより、画素部の画素欠陥が発見されるだけでなく、駆動トランジスタや有機EL素子のばらつきや経時変動に関する情報が独立に取得できる。取得された特性パラメータがメモリに保存され、後述する通常動作時のデータ電圧の補正に用いられることで、駆動トランジスタや有機EL素子の特性ばらつきや経時変動による輝度ムラが改善される。
【0124】
次に、本発明の実施の形態2にかかる表示装置の通常動作時における駆動方法について説明する。本実施の形態における通常動作時の制御回路の動作フローチャートは、
図5に記載された通常動作時における制御回路の動作フローチャートと同様である。よって、
図5を用いてその動作を説明する。
【0125】
最初に、データ線駆動回路30とデータ線31との接続を導通状態とし、検査電流発生回路40とデータ線31との接続を非導通状態に設定する(S20)。
【0126】
次に、検査トランジスタ240を、オフ状態にする(S21)。なお、本ステップS21は、ステップS20の前に実行されていてもよい。また、通常動作時では、検査トランジスタ240は常にオフ状態であるが、検査トランジスタ240及びELスイッチングトランジスタ520をオン状態とすることで、データ線駆動回路30の出力電圧を直接有機EL素子110に印加することができるため、駆動時の黒挿入に使ってもよい。
【0127】
最後に、メモリ80から読み出された特性パラメータにより補正された信号電圧をデータ線駆動回路30から出力し、画素部500へ書き込むことにより画像表示を実行する(S22)。
【0128】
以上のように、本発明の実施の形態2に係る駆動トランジスタの閾値電圧を補償するトランジスタや容量が付加された画素部を有する表示装置においても、駆動トランジスタ及び有機EL素子の特性検出動作、及び通常動作により、特性検出時に得られた特性パラメータに基づき信号電圧が補正されるので、駆動トランジスタや有機EL素子の特性ばらつきや経時変動による輝度ムラが改善される。
【0129】
なお、閾値補償容量530は、データ線からの信号電圧を、その信号電圧に対応する電圧に変換して駆動トランジスタ220のゲートに出力する電圧変換回路であってもよい。
【0130】
また、閾値補償容量530が電圧変換回路である場合、閾値補償トランジスタ510のソース及びドレインの一方は、駆動トランジスタ220の第1端子であるソース及びドレインの一方に接続されておらず、データ線31に接続されていてもよい。
【0131】
また、閾値補償容量530が電圧変換回路である場合、閾値補償トランジスタ510のソース及びドレインの一方は、駆動トランジスタ220の第1端子であるソース及びドレインの一方に接続されておらず、スイッチングトランジスタ230と電圧変換回路との接続点に接続されていてもよい。
【0132】
また、閾値補償容量530が電圧変換回路である場合、検査トランジスタ240のソース及びドレインの一方は、データ線31に接続されておらず、スイッチングトランジスタ230と電圧変換回路との接続点に接続されていてもよい。
【0133】
また、閾値補償容量530が電圧変換回路である場合、検査トランジスタ240のソース及びドレインの一方は、データ線31に接続されておらず、スイッチングトランジスタ230と電圧変換回路との接続点に接続され、かつ、閾値補償トランジスタ510のソース及びドレインの一方は、駆動トランジスタ220の第1端子であるソース及びドレインの一方に接続されておらず、データ線31に接続されていてもよい。
【0134】
また、閾値補償容量530が電圧変換回路である場合、検査トランジスタ240のソース及びドレインの一方は、データ線31に接続されておらず、スイッチングトランジスタ230と電圧変換回路との接続点に接続され、かつ、閾値補償トランジスタ510のソース及びドレインの一方は、駆動トランジスタ220の第1端子であるソース及びドレインの一方に接続されておらず、スイッチングトランジスタ230と電圧変換回路との接続点に接続されていてもよい。
【0135】
また、閾値補償容量530が電圧変換回路である場合、検査トランジスタ240のソース及びドレインの他方は、駆動トランジスタ220の第1端子であるソース及びドレインの一方に接続されておらず、駆動トランジスタ220のゲートに接続されていてもよい。
【0136】
なお、実施の形態1及び2において、各画素部における駆動トランジスタ及び有機EL素子のいずれかの特性を検出する動作について説明したが、実施の形態1及び2で示された回路構成及び動作により、各画素部の有する駆動トランジスタ及び有機EL素子の両方の特性を検出してもよい。具体的には、駆動トランジスタ及び有機EL素子の両方の特性検出は、実施の形態1においては第1検査電流が流れた際の駆動トランジスタ120のゲート電圧と第2電流が流れた際の有機EL素子の110のアノード電圧を検出することで実現される。以下、各画素部における駆動トランジスタ及び有機EL素子の両方の特性を検出する効果について説明する。
【0137】
駆動トランジスタのソース端子に有機EL素子が接続されている画素回路構成の場合、発光輝度は、駆動トランジスタの劣化だけでなく、有機EL素子の劣化による影響をも受けやすい。以下、この理由を説明する。
【0138】
駆動トランジスタにおける、ソース端子に対するゲート電圧によって、有機EL素子に流れる電流が決まる。そのソース端子に、定電圧の電源線ではなく有機EL素子が接続されると、有機EL素子の特性によりソース電圧が変動する。有機EL素子は、経時劣化により、同じ電流を流したときの電圧が増加していく。つまり、高抵抗化していく傾向がある。そのため、例えば、実施の形態1に記載された画素部100では、有機EL素子の高抵抗化により、駆動トランジスタ120のソース電圧が上昇する。よって、同じデータ電圧を、駆動トランジスタ120のゲート端子に印加しても、流れる電流が減少してしまう。
【0139】
よって、駆動トランジスタの劣化のみを検出し、所望の電流を流すためのゲート電圧を求めたとしても、有機EL素子の劣化によりソース電圧がどのように変化しているかわからないため、所望の電流を流すための適切な補正データ電圧を導出することができない。
【0140】
ここで、有機EL素子の特性も同時に検出しておくと、有機EL素子の特性を反映したソース電圧が分かるため、適切な補正データ電圧を導出することができる。
【0141】
よって、有機EL素子及び駆動トランジスタの双方が経時劣化する場合、当該双方の特性を検出することにより、所望の輝度を得るためのデータ電圧をより適切に制御できる。
【0142】
また、ここでは、劣化についてのみ述べたが、出荷前などの初期段階においても、同様の理由により、有機EL素子と駆動トランジスタの双方の特性を検出することは有効である。これにより、駆動トランジスタの特性検出のみでは導出できない、適切なデータ電圧を製品出荷前に把握することができる。
【0143】
本発明によれば、画素部100のように、基本画素回路に一つの検査トランジスタ140を追加するのみで、駆動トランジスタ及び有機EL素子の双方の特性検出ができ、上述した高精度な補正データ電圧を導出することが可能となる。
【0144】
(実施の形態3)
本実施の形態における電子装置は、発光素子の形成される前の複数の画素部を有するアクティブマトリクス型のパネル基板を備え、画素部は、選択されたデータ線から供給された信号電圧に対応した信号電流を出力する第1トランジスタと、第1トランジスタへの信号電圧の供給をオンオフする第1スイッチ素子と、選択されたデータ線と第1トランジスタの第2端子とが短絡状態であることを可能とするように接続された第2スイッチ素子とを備える。また、電子装置は、さらに、第1トランジスタに検査電流を流す検査電流発生回路と、当該検査電流により発生した電圧を選択されたデータ線にて測定する電圧検出回路とを備える。これにより、各画素に配置された駆動トランジスタの特性を高精度測定できるので、発光素子が形成された後の発光パネルにおける駆動トランジスタ特性の不均一に起因する輝度ムラを補正できる。
【0145】
図19は、本発明の実施の形態3に係る電子装置の電気的な構成を示すブロック図である。同図における電子装置2は、走査線駆動回路20と、検査電流発生回路40と、電圧検出回路50と、マルチプレクサ60と、制御回路70と、メモリ80と、画素アレイ部90とを備える。
【0146】
図19に記載された電子装置は、
図1に記載された発光パネルを有する表示装置の形成課程における途中段階のものである。同図に記載された実施の形態3に係る電子装置は、
図1に記載された実施の形態1に係る表示装置と比較して、表示部の代わりに画素アレイ部90が配置され、データ線駆動回路30が配置されていない点が、構成として異なる。
【0147】
画素アレイ部は、複数の画素部を備える。
【0148】
図20は、画素アレイ部の有する一画素部の回路構成及びその周辺回路との接続を示す図である。同図における画素部600は、駆動トランジスタ120と、スイッチングトランジスタ130と、検査トランジスタ140と、保持容量150と、電源線125と、走査線21と、制御線22と、データ線31とを備える。また、周辺回路は、走査線駆動回路20と、検査電流発生回路40と、電圧検出回路50と、マルチプレクサ60とを備える。
【0149】
図20に記載された画素部600は、
図2に記載された画素部100と比較して、有機EL素子110が配置されていない点のみが回路構成として異なる。画素部600は、有機EL素子110が形成される前の課程のものであり、画素部600に有機EL素子110が形成されることにより、画素部100が生成される。
図19及び
図20に記載された構成要素について、
図1及び
図2に記載された構成要素と同じものは説明を省略し、以下、異なる点のみを説明する。
【0150】
検査電流発生回路40は、データ線31に接続されており、駆動トランジスタ120の特性を検出するための検査電流47を出力する。
【0151】
電圧検出回路50は、マルチプレクサ60を介してデータ線31に接続されており、検査電流発生回路40が検査電流47を出力している間に、データ線31の電圧を検出する。
【0152】
制御回路70は、走査線駆動回路20、検査電流発生回路40、マルチプレクサ60、電圧検出回路50、メモリ80の制御を行い、電圧検出回路50により検出された電圧値は、デジタル値に変換され、演算により得られた特性パラメータをメモリ80に書き込む。
【0153】
次に、画素部600の回路構成について説明する。
【0154】
駆動トランジスタ120のゲートは、スイッチングトランジスタ130を介してデータ線31に接続され、第1端子であるソース及びドレインの一方が、後に形成される有機EL素子のアノードに後に接続され、第2端子であるソース及びドレインの他方が、電源線125に接続されている。
【0155】
検査トランジスタ140のゲートは制御線22に接続され、ソースは後に形成される有機EL素子のアノードに後に接続され、ドレインはデータ線31に接続されている。
【0156】
次に、本発明の実施の形態3にかかる電子装置の駆動方法について説明をする。本駆動方法により、発光素子が形成される前の駆動トランジスタ120の特性の検出が可能である。
【0157】
本駆動方法においても、
図3に記載された動作フローチャート、及び
図4に記載された検査電流の供給タイミングを示すタイミングチャートにより説明できる。
【0158】
最初に、検査電流発生回路40とデータ線31との接続を導通状態に設定する(S10)。
【0159】
次に、
図4のt1において、走査線21及び制御線22の電圧のレベルをHIGHにして、それぞれ、スイッチングトランジスタ130及び検査トランジスタ140をオンにする(S11)。
【0160】
次に、
図4のt2において、検査電流発生回路40から
図20中の矢印の向きに検査電流47を流す(S12)。
【0161】
ステップS12において、検査電流47は、データ線31、検査トランジスタ140、及び駆動トランジスタ120を経由して、電源線125に流れこむ。その際、データ線31の電圧は、駆動トランジスタ120に検査電流47が流れた際の駆動トランジスタ120のゲート電圧とほぼ等しくなる。
【0162】
次に、
図4のt2からt3の間において、検査電流47を供給し、データ線31に現れた電圧を電圧検出回路50で検出する(S13)。これにより、検査電流47の大きさに対する駆動トランジスタ120のゲート電圧を知ることができる。
【0163】
次に、電圧検出回路50により検出された電圧値をデジタル値に変換して算出した特性パラメータをメモリ80に格納する(S14)。このときの特性パラメータの算出方法については、実施の形態1と同様に、式2〜式4を用いることにより算出される。
【0164】
最後に、
図4のt3において、検査電流47の供給を停止する(S15)。
【0165】
なお、ステップS15は、ステップS14の後である必要はなく、ステップS14と並行して実行されてもよく、または、ステップS13の後であってステップS14の前に実行されてもよい。
【0166】
上述した一連の動作ステップにより、データ線の電圧が測定され、その検出結果が評価されることにより、画素部の画素欠陥が発見されるだけでなく、駆動トランジスタのばらつきに関する情報が取得できる。取得された特性パラメータがメモリに保存され、発光素子形成後の発光パネルの通常動作時のデータ電圧の補正に用いられることで、駆動トランジスタの特性ばらつきによる輝度ムラが改善される。
【0167】
なお、
図20において、電圧検出回路50と検査電流発生回路40とは、データ線31の両側に、画素部を挟んで接続されているが、電圧検出回路50と検査電流発生回路40とが、画素部に対してデータ線31の同じ側に接続されていてもよい。
【0168】
また、検査電流発生回路40は、データ線31の本数と同数の電流発生源を有するものであってもよい。
【0169】
また、検査電流発生回路40は、データ線31の切り替えを行うマルチプレクサとデータ線31の本数より少ない電流発生源を有するものであってもよい。
【0170】
また、データ線31の切り替えを行うマルチプレクサとデータ線31より少ない電流発生源をもつ場合、当該マルチプレクサは、パネル用基板上に形成されていてもよい。
【0171】
また、電圧検出回路50は、データ線31の本数と同数の電圧検出器を有するものであってもよい。
【0172】
また、電圧検出回路50は、データ線31の切り替えを行うマルチプレクサとデータ線31の本数より少ない電圧検出器をもつものであってもよい。
【0173】
また、データ線31の切り替えを行うマルチプレクサとデータ線31より少ない電圧検出器をもつ場合、当該マルチプレクサは、パネル用基板上に形成されていてもよい。
【0174】
以上のように、本発明に係る表示装置は、駆動トランジスタとスイッチングトランジスタ及び発光素子からなる従来の画素部およびその画素部にデータ電圧を与えるデータ線に対して、データ線から入力される第1検査電流を駆動トランジスタのソース−ドレイン間に流し、又は、前記データ線から入力される第2検査電流を発光素子に流すように回路パスを形成する第1回路パス形成手段と、第1検査電流により発生した駆動トランジスタのゲート電圧に対応した電圧、又は、第2検査電流により発生した発光素子のアノード及びカソードの一方の電圧をデータ線に発生させるよう回路パスを形成する第2回路パス形成手段と、第1検査電流により発生した駆動トランジスタのゲート電圧に対応した電圧、又は、第2検査電流により発生した発光素子のアノード及びカソードの一方の電圧を、第2回路パス形成手段によりデータ線にて検出する電圧検出手段とを備えることにより、駆動トランジスタや発光素子のばらつきに関する特性情報を独立に取得することができる。また、検査電流が駆動トランジスタや発光素子に流れ、その時のデータ線の電圧が測定されるので、電圧を入力して微小電流を検出するという従来の測定方法型に比べ、高精度な測定が実現される。さらに、取得した特性情報を通常動作時のデータ電圧の補正に用いることで、駆動トランジスタや発光素子の特性ばらつきによる輝度ムラを改善することができる。
【0175】
また本発明に係る電子装置は、駆動トランジスタとスイッチングトランジスタからなり、発光素子が形成される前の画素部およびその画素部にデータ電圧を与えるデータ線に対して、データ線から入力される検査電流を駆動トランジスタのソース−ドレイン間に流すように回路パスを形成する第1回路パス形成手段と、第1検査電流により発生した駆動トランジスタのゲート電圧に対応した電圧をデータ線に発生させるよう回路パスを形成する第2回路パス形成手段と、検査電流により発生した駆動トランジスタのゲート電圧に対応した電圧を、第2回路パス形成手段によりデータ線にて検出する電圧検出手段とを備えることにより、駆動トランジスタのばらつきに関する特性情報を取得することができる。また、検査電流が駆動トランジスタに流れ、その時のデータ線の電圧が測定されるので、電圧を入力して微小電流を検出するという従来の測定方法型に比べ、高精度な測定が実現される。さらに、取得した特性情報を通常動作時のデータ電圧の補正に用いることで、駆動トランジスタの特性ばらつきによる輝度ムラを改善することができる。
【0176】
なお、本発明に係る電子装置は、上記実施の形態に限定されるものではない。実施の形態1ないし3及びその変形例における任意の構成要素を組み合わせて実現される別の実施形態や、実施の形態1ないし3及びその変形例に対して本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、本発明に係る電子装置を内蔵した各種機器も本発明に含まれる。
【0177】
例えば、
図13に記載された本発明の実施の形態1の第2の変形例を示す画素部300に、
図14に記載された本発明の実施の形態1の第3の変形例を示す画素部400の備えるスイッチングトランジスタ410を挿入することにより、実施の形態1の第2の変形例における画素部300の検査電流41パスを、ELスイッチングトランジスタ310及びスイッチングトランジスタ410のオンオフにより制御することができる。
【0178】
また、例えば、実施の形態1とその変形例及び実施の形態2に記載された各画素部の回路構成から有機EL素子110を削除した回路構成、つまり有機EL素子110が形成される前段階の各画素部を有するパネル用基板を備えた電子装置は、
図19に記載された本発明の実施の形態3に示された電子装置と同様に適用されることにより、同様の効果を奏する。
【0179】
また、本発明に係る実施の形態では、駆動トランジスタ、スイッチングトランジスタ、検査トランジスタ、及びELスイッチングトランジスタの各機能を有するトランジスタは、ゲート、ソース及びドレインを有するFET(Field Effect Transistor)であることを前提として説明してきたが、これらのトランジスタには、ベース、コレクタ及びエミッタを有するバイポーラトランジスタが適用されてもよい。この場合にも、本発明の目的が達成され同様の効果を奏する。
【0180】
また、例えば、本発明に係る表示装置は、
図21に記載されたような薄型フラットTVに内蔵される。本発明に係る表示装置により、輝度ムラが抑制されたディスプレイを備えた薄型フラットTVが実現される。