(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5738973
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】リソグラフィーシステム、センサ、コンバータ素子、および、製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20150604BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20150604BHJP
H01J 37/305 20060101ALI20150604BHJP
H01J 37/04 20060101ALI20150604BHJP
H01J 37/244 20060101ALI20150604BHJP
【FI】
H01L21/30 541N
H01L21/30 541W
G03F7/20 504
H01J37/305 B
H01J37/04 A
H01J37/244
【請求項の数】26
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-500473(P2013-500473)
(86)(22)【出願日】2011年3月22日
(65)【公表番号】特表2013-522923(P2013-522923A)
(43)【公表日】2013年6月13日
(86)【国際出願番号】EP2011054372
(87)【国際公開番号】WO2011117253
(87)【国際公開日】20110929
【審査請求日】2014年3月20日
(31)【優先権主張番号】1037820
(32)【優先日】2010年3月22日
(33)【優先権主張国】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】505152479
【氏名又は名称】マッパー・リソグラフィー・アイピー・ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(72)【発明者】
【氏名】ハンフォウグ、ラバ
【審査官】
関口 英樹
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2007/032670(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0057204(US,A1)
【文献】
特開平02−042714(JP,A)
【文献】
特開平09−306400(JP,A)
【文献】
特開2008−041890(JP,A)
【文献】
特開2004−251764(JP,A)
【文献】
特開平08−184678(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0081815(US,A1)
【文献】
特開2000−252204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G01T 1/00− 7/12、
H01J 27/00−27/26、37/04、37/06−37/08、
37/248、37/30−37/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の荷電粒子ビームレットの1つ以上の特性を決定するセンサを具備し、ターゲットの表面にパターンを転写する荷電粒子ビームレットリソグラフィーシステムにおいて、
前記センサは、荷電粒子の受け取りに応じて、フォトンを発生させるコンバータ素子を備え、
前記コンバータ素子は、1つ以上の荷電粒子ビームレットを受け取る表面を含み、
前記表面には、1つ以上の個々の荷電粒子ビームレットを評価するための1つ以上のセルが設けられており、
各セルは、前記コンバータ素子の表面にわたって、予め定められた荷電粒子ビームレットスキャン軌跡に沿って、ブロッキング領域と非ブロッキング領域との間の移行部における複数のナイフエッジを形成する、1つ以上の荷電粒子ブロッキング構造の予め定められたブロッキングパターンを含み、
導電性の層は、前記コンバータ素子の表面と前記荷電粒子ブロッキング構造との間に位置しており、
前記導電性の層は、前記コンバータ素子の表面に実質的に平行な平面における前記荷電粒子ブロッキング構造の寸法に、形状およびサイズにおいて実質的に類似している、荷電粒子ビームレットリソグラフィーシステム。
【請求項2】
前記センサは、複数の荷電粒子ビームレットのそれぞれの受け取りに応じて、信号を同時に発生させることによって、前記荷電粒子ビームレットのそれぞれに対して、前記複数の荷電粒子ビームレットの1つ以上の特性を、並行して決定するように適合されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記導電性の層は、クロミウムを含む、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記荷電粒子ブロッキング構造は、タングステンを含む、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記コンバータ素子は、シンチレートする材料を含む、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記シンチレートする材料は、イットリウム アルミニウム ガーネットを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記コンバータ素子の表面は、
前記荷電粒子に対しては実質的に透過性であり、且つ周辺光に対しては実質的に非透過性である、被覆層、
で覆われており、
前記導電性の層は、前記被覆層と前記荷電粒子ブロッキング構造との間に位置している、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記被覆層は、チタニウムを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記荷電粒子ビームレットは、エレクトロンビームレットである、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記センサは、
前記コンバータ素子により発生されたフォトンを受け取るフォトンレセプタと、
前記フォトンレセプタからの信号を受け取って、前記信号に基づいて、1つ以上の荷電粒子ビームレットの1つ以上の特性を決定する制御ユニットと、
をさらに備える、請求項1ないし9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
1つ以上の荷電粒子ビームレットを発生させる荷電粒子ビームレット発生器と、
転写されることになるパターンにしたがって、前記荷電粒子ビームレットを変調させる変調システムと、
前記ターゲットの表面上に、前記変調された荷電粒子ビームレットの焦点を合わせるエレクトロン光学システムと、
前記ターゲットまたは前記センサのいずれかの表面上で、前記焦点を合された荷電粒子ビームレットを偏向させる偏向システムと、
をさらに備える、請求項1ないし10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
荷電粒子ビームによる露光に応じて、信号を発生させるセンサにおいて、
前記センサは、荷電粒子の受け取りに応じて、フォトンを発生させるコンバータ素子を備え、
前記コンバータ素子は、1つ以上の荷電粒子ビームレットを受け取る表面を含み、
前記表面には、1つ以上の個々の荷電粒子ビームレットを評価するための1つ以上のセルが設けられており、
各セルは、前記コンバータ素子の表面にわたって、予め定められた荷電粒子ビームレットスキャン軌跡に沿って、ブロッキング領域と非ブロッキング領域との間の移行部における複数のナイフエッジを形成する、1つ以上の荷電粒子ブロッキング構造の予め定められたブロッキングパターンを含み、
導電性の層は、前記コンバータ素子の表面と前記荷電粒子ブロッキング構造との間に位置しており、
前記導電性の層は、前記コンバータ素子の表面に実質的に平行な平面における前記荷電粒子ブロッキング構造の寸法に、形状およびサイズにおいて実質的に類似しており、
前記センサは、
前記コンバータ素子に関係付けられたフォトンレセプタであって、前記コンバータ素子により発生されたフォトンに基づいて信号を発生させるフォトンレセプタ、
をさらに備える、センサ。
【請求項13】
前記コンバータ素子の表面は、
前記荷電粒子に対しては実質的に透過性であり、且つ周辺光に対しては実質的に非透過性である、被覆層
で覆われており、
前記導電性の層は、前記被覆層と前記荷電粒子ブロッキング構造との間に位置している、請求項12に記載のセンサ。
【請求項14】
前記フォトンレセプタは、前記コンバータ素子により発生されたフォトンに基づいて、受け取り情報を形成するように構成されており、
前記センサは、
前記フォトンレセプタからの前記受け取り情報を受け取って、前記受け取り情報に基づいて、複数の荷電粒子ビームの特性を決定する制御ユニット、
をさらに備える、請求項12または13に記載のセンサ。
【請求項15】
1つ以上の荷電粒子ビームレットの特性を感知するセンサ中で使用するコンバータ素子であって、荷電粒子の受け取りに応じて、フォトンを発生させるコンバータ素子において、
前記コンバータ素子は、1つ以上の荷電粒子ビームレットを受け取る表面を含み、
前記表面は、1つ以上の個々の荷電粒子ビームレットを評価する1つ以上のセルが設けられており、
各セルは、前記コンバータ素子の表面にわたって、予め定められた荷電粒子ビームレットスキャン軌跡に沿って、ブロッキング領域と非ブロッキング領域との間の移行部における複数のナイフエッジを形成する、1つ以上の荷電粒子ブロッキング構造の予め定められたブロッキングパターンを含み、
導電性の層は、前記コンバータ素子の表面と前記荷電粒子ブロッキング構造との間に位置しており、
前記導電性の層は、前記コンバータ素子の表面に実質的に平行な平面における前記荷電粒子ブロッキング構造の寸法に、形状およびサイズにおいて実質的に類似している、コンバータ素子。
【請求項16】
前記コンバータ素子の表面は、
前記荷電粒子に対しては実質的に透過性であり、且つ周辺光に対しては実質的に非透過性である、被覆層、
で覆われており、
前記導電性の層は、前記被覆層と前記荷電粒子ブロッキング構造との間に位置している、請求項15に記載のコンバータ素子。
【請求項17】
当たっている荷電粒子をフォトンに選択的に変換するように構成されているコンバータ素子を製造する方法において、
前記方法は、
荷電粒子をフォトンに変換する変換材料を含む基板を設けることと、
エッチングストップ材料を含む第2の層と、第3の材料を含む第3の層とにより、前記基板を実質的に覆うことと、
前記第3の層の上部にレジスト層を設けることと、
第1の予め定められたパターンを形成するように、前記レジスト層をパターン形成し、現像して、前記第3の層が露出されるまで、前記現像されたレジスト層をエッチングすることと、
前記露出された第3の層を、さらなるエッチングストップ材料を含む第4の層により覆うことと、
前記第3の層が、第2の予め定められたパターンにしたがって露出されるように、前記現像されたレジスト層をリフトすることと、
前記第2の層が露出されるまで、前記第2の予め定められたパターンにしたがって、前記第3の層をエッチングすることと、
前記基板が露出されるまで、前記第2の予め定められたパターンにしたがって、前記第2の層とともに、前記第4の層をエッチングすることと、
を含み、
前記第2の予め定められたパターンは、前記第1の予め定められたパターンの反転である、方法。
【請求項18】
前記第2の層により前記基板を覆う前に、前記方法は、導電性の材料を含む第1の層により前記基板を覆うこと、を含み、
前記第1の層が露出されるまで、前記第2の予め定められたパターンにしたがって、前記第2の層とともに、前記第4の層をエッチングする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の層は、周辺光に対しては実質的に非透過性であり、荷電粒子ビームレットに対しては実質的に透過性である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の層の前記エッチングストップ材料と、前記第4の層の前記さらなるエッチングストップ材料は、同一である、請求項17ないし19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記エッチングストップ材料と前記さらなるエッチングストップ材料とのうちの少なくとも一方は、クロームを含む、請求項17ないし20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の層の導電性の材料は、チタニウムとアルミニウムとのうちの少なくとも一方を含む、請求項18ないし21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記第2の層の材料は、ウェットエッチングとドライエッチングとの両方に対して、高い選択性を有する、請求項17ないし22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記第3の層の材料は、タングステンを含む、請求項17ないし23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記基板の前記変換材料は、シンチレートする材料を含む、請求項17ないし24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記シンチレートする材料は、イットリウム アルミニウム ガーネットを含む、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、荷電粒子リソグラフィーシステムに関連し、特にマスクレス荷電粒子システムに関連し、特に荷電粒子ビーム特性を決定するためのセンサに関連し、コンバータ素子に関連し、そして、それらに同一のものを製造する方法に関連する。
【0002】
荷電粒子リソグラフィーシステムは、複数の荷電粒子ビームレットを利用して、ターゲットの表面上にパターンを転写する。ビームレットは、ターゲットの表面にわたってスキャンされることによって、パターンを書き込んでもよく、他方、ターンオンまたはターンオフできるビームレットを生成するように、それらの軌跡は、制御可能にブロックされてもよい。ブロッキングは、ブロッキング表面上でのビームレットの静電偏向によって、確立されてもよい。さらに、または、代わりに、ビームレットのサイズと形状は、軌跡に沿って適合されてもよい。偏向、形状、および/または、サイズの適合は、例えば、開口アレイ、静電偏向器のアレイ、および/または、ビームレット消去器のような1つ以上のエレクトロン光学コンポーネントによって実行されてもよい。ターゲットの表面上にパターンを転写するために、ターゲットの表面にわたってのそれらの動きとの組み合わせで、ビームレットの制御可能ブロッキングが、変調情報にしたがって実行される。複数の荷電粒子ビームレットリソグラフィーシステムの例が、米国特許第6,958,804号に記述されており、その開示は、ここで、参照によって、その全体を組み込まれている。
【0003】
このようなリソグラフィーシステムは、非常に多数の、すなわち、10,000か、それ以上のオーダーで、例えば、13,000のビームレットを有することができる。将来の設計では、10,000,000ビームレットのオーダーの数さえも想定している。現在のエレクトロンビームリソグラフィの一般的な目的は、100nmを十分に下回る機構サイズの最大寸法を有する、イメージングパターンを可能にする何らかの応用により、高解像度で、ターゲット表面をパターン形成可能にすることである。
【0004】
このような複数のビームレットに対して、高解像度リソグラフィーシステムが商業的に実現性あるようになるためには、荷電粒子ビームレットのそれぞれの位置が、精密に知られ、制御されることが重要である。さらに、ターゲット表面における、ビームレットのスポットサイズ、ビームレットの形状、および、ビームレットの強度についての知識と制御もまた重要である。製造許容差や、熱ドリフトのような、さまざまな状況によって、このようなビームレット特性は、しかしながら、それらの予期される、所望の特性から逸脱するかもしれず、このことは、正確なパターン形成に関して、これらの逸脱したビームレットを無効にさせるかもしれない。
【0005】
このような逸脱は、とりわけ、位置の逸脱、ターゲット表面上に露光される、スポットサイズにおける逸脱、および/または、ビームレット強度における逸脱を含んでもよい。逸脱しているビームレットは、書き込まれることになるパターンの品質に、深刻な影響を及ぼすかもしれない。したがって、改良された基準値がとられるように、これらの逸脱を検出することが望ましい。
【0006】
従来のリソグラフィーシステムでは、ビームレット位置の頻繁な測定によって、それぞれのビームレットの位置が決定される。ビームレット位置の知識があると、ビームレットを正しい位置にシフトさせることができる。正確な書き込みのために、数ナノメートルのオーダーの距離内のビームレット位置を決定することが有利である。
【0007】
周知のビームレット位置較正方法は、一般的に、少なくとも3つのステップを含む。すなわち、ビームレットの位置が測定される測定ステップと、ビームレットの測定された位置が、そのビームレットの所望の予期される位置に対して比較される計算ステップと、測定された位置と所望の位置の間の差が補償される補償ステップとである。補償は、リソグラフィーシステムのソフトウェアまたはハードウェアのいずれかにおいて実行されてもよい。
【0008】
先進的な荷電粒子ビームレットリソグラフィーシステムにおいては、位置制御に加えて、ビームレットのスポットサイズ制御が、同様に重要なものであってもよい。スポットサイズ測定に対する所望の詳細は、30nmから150nmの範囲におけるビームレットのスポットサイズの決定と;5nmより小さい、3シグマ値でのスポットサイズ測定の正確性と;5nmより小さい、3シグマ値での単一のセンサ内のこのようなスポットサイズ測定の再現精度とを含む。
【0009】
リソグラフィーシステムの動作の間に、ターゲット表面パターン形成の正確性を改善するための早期の位置および/またはスポットサイズ較正を可能にするように、ビームレットの位置および/またはビームレットのスポットサイズのような特性を決定することが望ましい。スループット、すなわち、予め決定された時間期間内にパターン形成できるターゲット表面の数、に対する負の影響を制限するために、荷電粒子ビームレットの特性を測定する方法が正確性を犠牲にすることなく、制限された時間期間内に実行できることが望ましい。
【0010】
多数の荷電粒子ビームレットの特性を測定するためのセンサ、特に、リソグラフィーシステムで使用される荷電粒子ビームレットを測定するためのセンサは、米国公開特許出願第2007/057204号に記述されており、本出願人に譲渡されており、その内容は、ここで参照により、その全体を組み込まれている。
【0011】
米国公開特許出願第2007/057204号は、螢光スクリーンまたはドープYAG材料のようなコンバータ素子を使用して、荷電粒子ビームレットを、光ビームへと変換する方法およびセンサを記述する。後続して、光ビームは、ダイオード、CCD、もしくは、CMOSデバイスのような光感知検出器のアレイによって検出される。単一の動作において、多数の光感知検出器を読み出すことによって、比較的高速な測定が達成される。さらに、センサ構造、特に、光検出器のアレイが、リソグラフィーシステムのステージ部の領域における、過度に大きい構造手段の必要なく、非常に小さいピッチの複数のビームを測定することを可能にする。
【0012】
しかしながら、産業界における、スループット損失のない小型寸法に関する、連続的に増加している需要を鑑みると、リソグラフィーシステムにおいて、特に、高スループットを提供するように設計されている多数の荷電粒子ビームレットを含むリソグラフィーマシンにおいて、ビームレット特性の測定のためのさらにより正確なデバイスおよび技術を提供する必要性がある。
【発明の概要】
【0013】
本発明の目的は、拡張解像度性能を有する荷電粒子リソグラフィーシステムにおいて使用するのに適切な、より正確なセンサを提供することである。この目的のために、本発明は、1つ以上の荷電粒子ビームレットの1つ以上の特性を決定するセンサを具備し、ターゲットの表面にパターンを転写する荷電粒子ビームレットリソグラフィーシステムにおいて、センサは、荷電粒子の受け取りに応じて、フォトンを発生させるコンバータ素子を備え、コンバータ素子は、1つ以上の荷電粒子ビームレットを受け取る表面を含み、表面には、1つ以上の個々のビームレットを評価するための1つ以上のセルが設けられており、各セルは、コンバータ素子の表面にわたっての予め定められたビームレットスキャン軌跡に沿って、ブロッキング領域と非ブロッキング領域の間の移行部における複数のナイフエッジを形成する、1つ以上の荷電粒子ブロッキング構造の予め定められたブロッキングパターンを含み、コンバータ素子の表面は、荷電粒子に対しては実質的に透過性であり、周辺光に対しては実質的に非透過性である被覆層で覆われており、導電性の層は、被覆層とブロッキング構造の間に位置している、荷電粒子ビームレットリソグラフィーシステムを提供する。
【0014】
被覆層は、センサがより均質な方法で応答して、コンバータ素子の表面のかなりの領域にわたって、例えば、約3×3mm
2の領域にわたって、荷電粒子を受け取ることを可能にする。被覆層は、例えば、背景放射または類似物のような、周辺光からのローカルの影響を除去する。結果として、複数のビームレットが高解像度で、同時に感知されてもよい。被覆層において使用されるのに適切な材料は、チタニウム(Ti)およびアルミニウム(Al)を含む。
【0015】
ブロッキング構造は、一般的に、タングステン(W)のような重金属を含み、一般的に、1つ以上のエッチングステップを含む基板の上部の構造をもたらす。導電性の層に使用される材料は、好ましくは、このようなエッチングステップに対する高い選択性を有する。導電性の層を形成する材料に含まれてもよい適切な材料は、クロミウム(Cr)である。Crを使用することの利点は、Crが、Tiと同じ方法で構成させることが出来るので、実質的な量の追加的な労力や困難性なしで適用できることである。
【0016】
本発明のある実施形態は、当たっている荷電粒子をフォトンに選択的に変換するコンバータ素子を製造する方法に関連する。方法は、荷電粒子をフォトンに変換する変換材料を含む基板を設けることと、導電性の材料を含む第1の層と、エッチングストップ材料を含む第2の層と、第3の材料を含む第3の層とにより、基板を実質的に覆うことと、第3の層の上部にレジスト層を設けることと、第1の予め定められたパターンを形成するように、レジスト層をパターン形成し、デベロップ
(現像)して、第3の層が露出されるまで、デベロップされたレジスト層をエッチングすることと、露出された第3の層を、さらなるエッチングストップ材料を含む第4の層で覆うことと、第3の層が、第2の予め定められたパターンにしたがって露出されるように、デベロップされたレジストをリフトすることと、第2の層が露出されるまで、第2の予め定められたパターンにしたがって、第3の層をエッチングすることと、第1の層が露出されるまで、第2の予め定められたパターンにしたがって、第2の層とともに、第4の層をエッチングすることとを含み、第2の予め定められたパターンは、第1の予め定められたパターンの反転である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の特徴および利点は、以下の図面に対する参照において、さらに理解される。
【
図1】
図1は、荷電粒子をフォトンへと変換する基板を使用するセンサの概念を概略的に示す。
【
図2A】
図2Aは、ブロッキング構造が設けられたコンバータ素子の断面図を概略的に示す。
【
図2B】
図2Bは、
図2Aのブロッキング構造の位置の関数としての、送出強度を示すグラフを表す。
【
図2C】
図2Cは、ラインエッジの粗さに関連する問題を概略的に示す。
【
図3A】
図3Aは、コンバータ素子を製造する方法の異なるステージを概略的に示す。
【
図3B】
図3Bは、コンバータ素子を製造する方法の異なるステージを概略的に示す。
【
図3C】
図3Cは、コンバータ素子を製造する方法の異なるステージを概略的に示す。
【
図3D】
図3Dは、コンバータ素子を製造する方法の異なるステージを概略的に示す。
【
図3E】
図3Eは、コンバータ素子を製造する方法の異なるステージを概略的に示す。
【
図3F】
図3Fは、コンバータ素子を製造する方法の異なるステージを概略的に示す。
【
図3G】
図3Gは、コンバータ素子を製造する方法の異なるステージを概略的に示す。
【
図3H】
図3Hは、コンバータ素子を製造する方法の異なるステージを概略的に示す。
【0018】
図面に対する参照とともに提供する、以下の本発明の特定の実施形態の説明は、単に例としてのみ提供するものである。
【0019】
図1は、粒子ビームの1つ以上の特性を決定するための、特に荷電粒子ビームレットの1つ以上の特性を決定するためのセンサの動作を概略的に示す。センサは、コンバータ素子1およびフォトンレセプタ5を備える。コンバータ素子は、荷電粒子ブロッキング領域8と、非ブロッキング領域としてもさらに呼ばれる荷電粒子通過領域7とを有するパターンを備える。コンバータ素子1は、荷電粒子2を受け取って、応答して、フォトン3を発生させるように構成されている。フォトン3は、光学システム11によって、フォトンレセプタ5に対して向けられてもよい。フォトンレセプタ5は、荷電粒子2の1つ以上の特性を決定するための計算ユニット、例えば、コンピュータ13に通信可能に結合されている。
【0020】
コンバータ素子1は、蛍光素子、例えば蛍光スクリーン、または、シンチレートする素子、例えばドープ イットリウム アルミニウム ガーネット(YAG)材料の形態を採用してもよい。以後、本発明の実施形態は、コンバータ素子1として使用されているYAGスクリーンとともに記述することにし、ここで、YAGスクリーンをYAG1と呼んでもよい。
【0021】
フォトンレセプタ5は、複数のダイオード、電荷結合デバイス(CCD)カメラ、または、相補形金属酸化膜半導体(CMOS)カメラのような何らかの適切な光感知検出器を含んでもよい。以後、フォトンレセプタ5を、カメラ5として呼んでもよい。
【0022】
さらに、本発明の実施形態は、何らかのタイプの(荷電)粒子または光ビーム2に対して使用されてもよいが、以後、本発明の実施形態は、エレクトロンに対する参照とともに記述する。
【0023】
ビームレットサイズがナノメートル値域中にあるエレクトロンビームレットデバイス、例えば、エレクトロンマイクロスコープ、エレクトロンビームリソグラフィ装置、および、エレクトロンビームパターン発生器において、コンバータ素子1による変換によって作成されるフォトンの直接の観察は、解像度がコンバータ素子1の波長によって制限されるので、エレクトロンビームレットの位置のような特性の決定を可能にするのには不十分である。
【0024】
正確性を改善するために、エレクトロンビームレットは、ナイフエッジとしてさらに呼ぶ鋭いエッジが設けられたエレクトロンブロッキング構造全体にわたってスキャンされてもよい。ナイフエッジが設けられたコンバータ素子を使用するセンサの例は、特許出願第2007/057204号に記述されている。
【0025】
図2Aは、エレクトロンブロッキング構造が設けられたエレクトロンビームレット受け取り表面を備えるYAG1の断面図を概略的に示す。ブロッキング層18は、金属層であってもよい。エレクトロンをブロッキングするための適切な金属は、タングステンである。ブロッキング領域とブロッキング領域の間に、非ブロッキング領域がある。エレクトロンブロッキング構造の非ブロッキング領域上に当たっている、エレクトロンビーム22は、実際には、YAG1の表面上に当たっており、または、YAGの表面上の被覆上に当たっている。
【0026】
ブロッキングエレクトロンの一部分の内に、ブロッキング層18に加えて、追加的な層21が存在する。追加的な層21は、ブロッキング層18の均質性を増加させる目的で働く。追加的な層21は金属層であってもよい。追加的な層21において使用するために特に適切な材料の例は、クロミウムである。
【0027】
YAG1は、被覆層20で覆われていてもよい。被覆層20は、背景放射をブロッキングするための金属層であってもよい。被覆層20は、一方で荷電粒子に対して実質的に透過性であり、他方で、荷電粒子に対して実質的に非透過性である。この理由のために、被覆層20の厚みは、両方の機能を確立するのに十分である。被覆層20のための適切な材料は、アルミニウムおよびチタニウムを含む。
【0028】
上で言及したように、エレクトロンビーム22の1つ以上の特性を決定するために、エレクトロンビーム22は、(
図2Aにおいて、X方向として示した方向において、)YAG1上に設けられるブロッキング構造にわたって、スキャンされてもよい。応答して、YAG1内で発生されたフォトンが、カメラによって検出されてもよい。このようなスキャニングおよび検出アクションの例示的な結果を、
図2Bにおいて概略的に図示した。
【0029】
図2Bは、コンバータ素子1の表面にわたって、エレクトロンビーム22のx位置の関数として、コンバータ素子1によって放出される光の強度を表すグラフを示す。エレクトロンビーム22が、非ブロッキング領域に全体として位置しているとき、最大の応答が観察され、エレクトロンビーム22が、ブロッキング領域の上部に全体として位置している場合、最小の光が発生される。ナイフエッジの横断は、光強度の急傾斜の変化をもたらす。
【0030】
いくつかの実施形態では、測定結果の堅牢な処理を提供するために、高いしきい値T
hを超える強度レベルが、プロセッサに対する高レベル信号値として提供される。同様に、低いしきい値T
lを下回る検出強度レベルが、低レベル信号値として提供されてもよい。しきい値T
hおよびT
lの使用は、デジタル処理の使用を可能にしてもよい。
【0031】
予め定められた方向にエレクトロンビームをスキャンする際に、エレクトロンビームレットは、ナイフエッジを横断する間に、2つのタイプの状況に直面してもよい。第1の状況では、ビームレットは、ブロッキング領域から、非ブロッキング領域への移行を経験する。第2の状況では、ビームレットは、非ブロッキング領域から、ブロッキング領域への移行を経験する。
【0032】
第1の状況に対応する移行の間に直面されるナイフエッジは、第1のタイプのナイフエッジとして呼ばれてもよい。同様に、第2の状況に対応する移行の間に直面されるナイフエッジは、第2のタイプのナイフエッジとして呼ばれてもよい。したがって、ナイフエッジのタイプは、測定されることになるビームレットのスキャニング方向に依拠している。“類似のタイプのナイフエッジ”に対して参照が行われる場合、このことは、すべての関係するナイフエッジは、第1のタイプのナイフエッジに関連するか、または、第2のタイプのナイフエッジに関連するかのいずれかを意味する。
【0033】
コンバータ素子表面のエレクトロン受け取り表面上に設けられるナイフエッジパターンについての知識は、ビームレットの1つ以上の特性の決定を可能にする。
図1を参照して記述したようなセンサの使用によって測定できる特性と、
図2Aを参照して記述したようなナイフエッジパターンは、ビームレット位置およびビームレットスポットサイズを含み、ここで、スポットサイズは、コンバータ素子1の表面上のエレクトロンビームレットのサイズに関連する。
【0034】
例えば、x方向に、コンバータ素子の表面全体にわたって、ビームレットをスキャンすることによって、コンバータ素子により放出される光の強度が、
図2Bによって示したように、最大値から最小値へと変化する位置、または、最小値から最大値へと変化する位置を測定することによって、ビームレット位置を測定できる。例えば、強度が最大値から最小値へと変化するとき、このことは、ビームレットが、x方向において、非ブロッキング領域から、ブロッキング領域へと移行しているナイフエッジにわたってスキャンされることを示す。しかしながら、どのナイフエッジに、ビームレットが位置付けられているかに関しては、不確実さがあるかもしれない。
【0035】
例えば、ビームレットがナイフエッジ全体にわたってスキャンされるときに、強度が最大値から減少し始めるポイントと、強度が最小値に到達するポイントとの間の距離を測定することにより、ビームレットのサイズが決定できる。これは、ビームレットが、部分的にブロックされていて、部分的にブロックされていないところにわたっての距離を示す。同様に、ビームレットサイズは、ビームレットがナイフエッジ全体にわたってスキャンされるときの、最大強度の感知と最小強度の感知との間の時間を測定して、ビームレットのスキャン速度によって倍増することによって決定できる。これらの測定値はまた、反対のナイフエッジ、最小から最大強度に移動しているビームレット上で実行できる。
【0036】
図2Bに示した測定値は、関係するブロッキング領域および非ブロッキング領域の幅よりも小さい寸法を持つビームレットに関連することに留意すべきである。これらの寸法および幅は、使用されているスキャン方向に平行な方向に沿っていることが好ましい。
【0037】
多くの応用において、単一のナイフエッジは、十分な正確さを有するビームレット特性を取得するのに適切でない。特に、ナイフエッジのいわゆるラインエッジの粗さ(LER)が、ビームレットの測定値の正確さを制限するかもしれない。
図2Cは、LERに関連する問題を概略的に図示する。
図2Cにおいて、センサは、エレクトロンブロッキング領域33と、エレクトロン非ブロッキング領域34とを分離するナイフエッジ31にわたって移動しているビームレットの強度を検出するように構成される。ナイフエッジ31は、点線32によって示されるような、方向および形状を持つように設計されている。
【0038】
ビームレットがブロッキング領域33から非ブロッキング領域34へのナイフエッジ31全体にわたった軌跡Aをなぞるという仮定の下で、ビームレットのx位置が検出されるが、現実には、軌跡Bがなぞられている場合に、スキャニング方向中のビームレット位置は、両方の軌跡に対して同じであるべきである。結局、両方の軌跡が、同一のx位置において点線32を横断する。しかしながら、
図2Cから容易に分かるように、ナイフエッジ31のラインエッジの粗さのせいで、軌跡Aに対して測定されたビームレットのx位置は、軌跡Bに対して測定されたビームレットのx位置とは異なっているかもしれない。この例において、単一のナイフエッジ31の横断に基づいてx位置を決定することは、不正確な結果をもたらす。
【0039】
図3A−3Hは、コンバータ素子、例えば、
図2Aを参照して記述したようなコンバータ素子を製造する方法の異なるステージを概略的に示す。コンバータ素子は、当たっている荷電粒子を、フォトンへと選択的に変換するように構成されている。
【0040】
第1に、
図3Aに示したように、センサのさらなる層をサポートするために、基板101が提供される。この記述全体を通して、基板101と、その上に適用される構造とは、コンバータ素子として呼ばれる。基板101は、荷電粒子を、フォトンへと変換させるための変換材料を含む。特に、エレクトロンが荷電粒子として使用される応用に対して、適切なシンチレートする材料は、イットリウム アルミニウム ガーネット(YAG)を含む材料であってもよい。
【0041】
後続して、
図3Bに示すように、荷電粒子を受け取るように構成されている基板101の表面側は、一般的に金属層である1つ以上の層で覆われる。層は、導電性の材料を含む第1の層103を含む。第1の層103は、周辺光に対して実質的に非透過性であり、この層は、背景放射をブロックするために構成されている。このような背景光ブロッキング層は、背景光が、コンバータ素子により発生される光と干渉することを防ぐことにより、センサの品質を向上させる。第1の層103は、一般的に、約30から約80nmの値域内の厚みを有する。第1の金属に対して適している材料は、チタニウムおよびアルミニウムを含み、経時的に、より少なく酸化しがちであり、したがって、より導電性があって、前記層の表面の継続する均質性を維持するので、Tiが好ましい。
【0042】
さらに、層は、第2の材料を含む第2の層104を含む。第2の材料は、好ましくは、ウェットエッチングプロセスとドライエッチングプロセスとの両方に対する、エッチングのプロセスを停止させる目的で働く、エッチングストップ材料である。第2の層の使用は、特に、材料が、高い腐食感度を有する場合に、改善されたエッチング品質をもたらす。第2の層は、より鋭いエッジの実現のために、特に有用であってもよい。第2の金属に適している材料は、クロームである。
【0043】
層は、さらに、第3の材料を含む第3の層105を含む。第3の材料は、荷電粒子ビームレットをブロッキングする目的で働く。第3の材料に適している材料は、制限された厚みの層を有しながら、荷電粒子とともに、周辺光もまたブロックする材料である。適している材料は、タングステンであり、このケースにおいて、適している厚みは、50から500nmの値域内にあるだろう。このような厚みは、到来している荷電粒子を十分にブロックするに足る厚みである。他方、このような厚みは、デフォーカスやエッジ粗さのような作用に、ほんのささいな影響しか有さない。
【0044】
いくつかの層103、104、105の上部に、レジスト層107が設けられる。
図3Cに概略的に示したように、レジスト層107は、単一レジスト層であってもよく、代わりに、上位層107aと下位層107bとを有する二重レジスト層であってもよい。さらなる参照は、単一レジスト層107に対して行うことにする。
【0045】
レジスト層107は、次に、第1の予め定められたパターンに対応して、パターン形成される。パターン形成の後で、レジスト層107は、技術的に一般に周知の方法で、デベロッピングおよびエッチングステップを受ける。エッチングは、第3の層105が、露出されるまで実行される。例示的なレジスト層107のパターン形成、デベロッピング、および、エッチングの終了結果を、
図3Dに概略的に示した。
【0046】
図3Eに概略的に示したように、エッチングの後で、露出された第3の層105が、例えば、蒸着によって、第4の層109で覆われる。一般的に、第4の層109は、金属層である。第4の層109は、エッチングストップ層として働いてもよく、エッチング品質を改善させてもよい。第4の層109は、第2の層104で使用されるのと同一の材料、例えば、クロームを含んでもよい。
【0047】
図3Fに概略的に示したように、第4の層109の溶着の後で、第2の予め定められたパターンにしたがって第3の層105が露出されるように、デベロップされたレジストがリフトオフによって除去される。第2の予め定められたパターンは、第1の予め定められたパターンの反転である。
【0048】
後続して、露出された第3の層105は、第2の層104が露出されるまで、第2の予め定められたパターンにしたがって、エッチングされる。製造プロセスのこのステージにおけるコンバータ素子の概念図を
図3Gに示した。
【0049】
最後に、
図3Hに概略的に示したように、第2の予め定められたパターンにしたがって、第2の層104とともに、第4の層109が除去され、第2の層104は、第1の層103が露出されるまで除去される。除去は、例えば、エッチングのような技術的に周知の技法によって実行されてもよい。
【0050】
結果としてのコンバータ素子は、
図2Aを参照して記述したコンバータ素子に類似している。
図2Aのコンバータ素子を製造するために
図3A−3Hの方法が使用されることになるとき、
図2Aの基板1と層18、20、21は、基板101、層105、103、104にそれぞれ対応する。
【0051】
上記の特定の実施形態に対する参照によって、発明を説明した。これらの実施形態は、当業者にとって周知の、さまざまな変形および代わりの形態を許容することが理解されるだろう。上記のものに加えて、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、ここで記述した構造および技術に対する、さらなる変形が行われてもよい。したがって、特定の実施形態を記述したものの、これらは、単に例示的なものに過ぎず、以下の特許請求の範囲に規定されるような、本発明の範囲を制限するものではない。
以下に、本願出願時の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]1つ以上の荷電粒子ビームレットの1つ以上の特性を決定するセンサを具備し、ターゲットの表面にパターンを転写する荷電粒子ビームレットリソグラフィーシステムにおいて、
前記センサは、荷電粒子の受け取りに応じて、フォトンを発生させるコンバータ素子を備え、
前記コンバータ素子は、1つ以上の荷電粒子ビームレットを受け取る表面を含み、
前記表面には、1つ以上の個々のビームレットを評価するための1つ以上のセルが設けられており、
各セルは、前記コンバータ素子の表面にわたっての予め定められたビームレットスキャン軌跡に沿って、ブロッキング領域と非ブロッキング領域の間の移行部における複数のナイフエッジを形成する、1つ以上の荷電粒子ブロッキング構造の予め定められたブロッキングパターンを含み、
前記コンバータ素子の表面は、前記荷電粒子に対しては実質的に透過性であり、周辺光に対しては実質的に非透過性である被覆層で覆われており、
導電性の層は、前記被覆層と前記ブロッキング構造の間に位置している、荷電粒子ビームレットリソグラフィーシステム。
[2]前記センサは、複数の荷電粒子ビームレットのそれぞれの受け取りに応じて、信号を同時に発生させることによって、ビームレットのそれぞれに対して並列的に、前記複数の荷電粒子ビームレットの1つ以上の特性を決定するように適合されている、前記[1]記載のシステム。
[3]前記導電性の層は、前記コンバータ素子の表面に実質的に平行な平面における前記ブロッキング構造の寸法に、形状およびサイズにおいて実質的に類似している、前記[1]または[2]のいずれか1つに記載のシステム。
[4]前記導電性の層は、クロミウムを含む、前記[1]ないし[3]のいずれか1つに記載のシステム。
[5]前記ブロッキング構造は、タングステンを含む、前記[1]ないし[4]のいずれか1つに記載のシステム。
[6]前記コンバータ素子は、シンチレートする材料を含む、前記[1]ないし[5]のいずれか1つに記載のシステム。
[7]前記シンチレートする材料は、イットリウム アルミニウム ガーネットを含む、前記[6]に記載のシステム。
[8]前記被覆層は、チタニウムを含む、前記[1]ないし[7]のいずれか1つに記載のシステム。
[9]前記荷電粒子ビームレットは、エレクトロンビームレットである、前記[1]ないし[8]のいずれか1つに記載のシステム。
[10]前記センサは、
前記コンバータ素子により発生されたフォトンを受け取るフォトンレセプタと、
前記フォトンレセプタからの信号を受け取って、前記信号に基づいて、1つ以上のビームレットの1つ以上の特性を決定する制御ユニットとをさらに備える、前記[1]ないし[9]のいずれか1つに記載のシステム。
[11]複数の荷電粒子ビームレットを発生させるビームレット発生器と、
転写されることになるパターンにしたがって、前記荷電粒子ビームレットを変調させる変調システムと、
前記ターゲットの表面上に、前記変調されたビームレットをフォーカスするエレクトロン光学システムと、
前記ターゲットまたは前記センサのいずれかの表面上に、前記フォーカスされたビームレットを偏向させる偏向システムと
をさらに備える、前記[1]ないし[10]のいずれか1つに記載のシステム。
[12]荷電粒子ビームによる露光に応じて、信号を発生させるセンサにおいて、
前記センサは、荷電粒子の受け取りに応じて、フォトンを発生させるコンバータ素子を備え、
前記コンバータ素子は、1つ以上の荷電粒子ビームレットを受け取る表面を含み、
前記表面には、1つ以上の個々のビームレットを評価するための1つ以上のセルが設けられており、
各セルは、前記コンバータ素子の表面にわたっての予め定められたビームレットスキャン軌跡に沿って、ブロッキング領域と非ブロッキング領域の間の移行部における複数のナイフエッジを形成する、1つ以上の荷電粒子ブロッキング構造の予め定められたブロッキングパターンを含み、
前記コンバータ表面は、前記荷電粒子に対しては実質的に透過性であり、周辺光に対しては実質的に非透過性である被覆層で覆われており、
導電性の層は、前記被覆層と、前記ブロッキング構造との間に位置しており、
前記センサは、前記コンバータ素子に関係するフォトンレセプタであって、前記コンバータ素子により発生されたフォトンに基づいて信号を発生させるフォトンレセプタをさらに備える、センサ。
[13]前記フォトンは、前記コンバータ素子により発生されたフォトンに基づいて、受け取り情報を形成するように構成されており、
前記センサは、前記フォトンレセプタからの前記受け取り情報を受け取って、前記受け取り情報に基づいて、複数の荷電粒子ビームの特性を決定する制御ユニットをさらに備える、前記[12]に記載のセンサ。
[14]複数の荷電粒子ビームレットの特性を感知するセンサ中で使用するコンバータ素子であって、荷電粒子の受け取りに応じて、フォトンを発生させるコンバータ素子において、
前記コンバータ素子は、1つ以上の荷電粒子ビームレットを受け取る表面を含み、
前記表面は、1つ以上の個々のビームレットを評価する1つ以上のセルが設けられており、
各セルは、前記コンバータ素子の表面にわたっての予め定められたビームレットスキャン軌跡に沿って、ブロッキング領域と非ブロッキング領域の間の移行部における複数のナイフエッジを形成する、1つ以上の荷電粒子ブロッキング構造の予め定められたブロッキングパターンを含み、
前記コンバータ素子の表面は、前記荷電粒子に対しては実質的に透過性であり、周辺光に対しては実質的に非透過性である被覆層で覆われており、
導電性の層は、前記被覆層と、前記ブロッキング構造との間に位置している、コンバータ素子。
[15]当たっている荷電粒子をフォトンに選択的に変換するように構成されているコンバータ素子を製造する方法において、
前記方法は、
荷電粒子をフォトンに変換する変換材料を含む基板を設けることと、
導電性の材料を含む第1の層と、エッチングストップ材料を含む第2の層と、第3の材料を含む第3の層とにより、基板を実質的に覆うことと、
前記第3の層の上部にレジスト層を設けることと、
第1の予め定められたパターンを形成するように、前記レジスト層をパターン形成し、デベロップして、前記第3の層が露出されるまで、前記デベロップされたレジスト層をエッチングすることと、
前記露出された第3の層を、さらなるエッチングストップ材料を含む第4の層で覆うことと、
前記第3の層が、第2の予め定められたパターンにしたがって露出されるように、前記デベロップされたレジストをリフトすることと、
前記第2の層が露出されるまで、前記第2の予め定められたパターンにしたがって、前記第3の層をエッチングすることと、
前記第1の層が露出されるまで、前記第2の予め定められたパターンにしたがって、前記第2の層とともに、前記第4の層をエッチングすることと
を含み、
前記第2の予め定められたパターンは、第1の予め定められたパターンの反転である、方法。
[16]前記第1の層は、周辺光に対しては実質的に非透過性であり、荷電粒子ビームレットに対しては実質的に透過性である、前記[15]に記載の方法。
[17]前記第2の層のエッチングストップ材料と、前記第4の層のさらなるエッチングストップ材料とは、同一である、前記[15]または[16]に記載の方法。
[18]前記エッチングストップ材料と前記さらなるエッチングストップ材料とのうちの少なくとも1つは、クロームを含む、前記[15]ないし[17]のいずれか1つに記載の方法。
[19]前記第1の層の導電性の材料は、チタニウムおよびアルミニウムのうちの少なくとも1つを含む、前記[15]ないし[18]のいずれか1つに記載の方法。
[20]前記第3の層の材料は、ウェットエッチングおよびドライエッチングの両方に対して、高い選択性を有する、前記[15]ないし[19]のいずれか1つに記載の方法。
[21]前記第3の材料は、タングステンを含む、前記[15]ないし[20]のいずれか1つに記載の方法。
[22]前記基板の変換材料は、シンチレートする材料を含む、前記[15]ないし[21]のいずれか1つに記載の方法。
[23]前記シンチレートする材料は、イットリウム アルミニウム ガーネットを含む、前記[22]に記載の方法。