特許第5738984号(P5738984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ▲海▼洋王照明科技股▲ふん▼有限公司の特許一覧

特許5738984ジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体及びその製造方法並びにポリマー太陽電池デバイス
<>
  • 特許5738984-ジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体及びその製造方法並びにポリマー太陽電池デバイス 図000059
  • 特許5738984-ジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体及びその製造方法並びにポリマー太陽電池デバイス 図000060
  • 特許5738984-ジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体及びその製造方法並びにポリマー太陽電池デバイス 図000061
  • 特許5738984-ジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体及びその製造方法並びにポリマー太陽電池デバイス 図000062
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5738984
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】ジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体及びその製造方法並びにポリマー太陽電池デバイス
(51)【国際特許分類】
   C08G 61/12 20060101AFI20150604BHJP
   H01L 51/46 20060101ALI20150604BHJP
【FI】
   C08G61/12
   H01L31/04 152G
   H01L31/04 152B
【請求項の数】10
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2013-510473(P2013-510473)
(86)(22)【出願日】2010年5月21日
(65)【公表番号】特表2013-527285(P2013-527285A)
(43)【公表日】2013年6月27日
(86)【国際出願番号】CN2010073036
(87)【国際公開番号】WO2011143825
(87)【国際公開日】20111124
【審査請求日】2012年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】512226860
【氏名又は名称】▲海▼洋王照明科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100109449
【弁理士】
【氏名又は名称】毛受 隆典
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100123618
【弁理士】
【氏名又は名称】雨宮 康仁
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ、ミンジエ
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ジエ
(72)【発明者】
【氏名】ス、アージアン
【審査官】 井津 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0262183(US,A1)
【文献】 特表2013−522879(JP,A)
【文献】 特表2013−524536(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/103030(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/013002(WO,A1)
【文献】 Noone, Kevin M.,Broadband Absorbing Bulk Heterojunction Photovoltaics Using Low-Bandgap,Nano Letters,2010年,10(7),2635-2639
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 61/00−61/12
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子構造の一般式が下記(I)であるジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体。
【化1】
(式中において、x+y=1、0<y<0.5であり、nは整数且つ1<n≦100であり、RはC〜C20のアルキル基から選ばれるものであり、R、Rは、フェニル基、C〜C20のアルコキシ基、アルキル含有フェニル基、アルキル含有フルオレニル基又はアルキル含有カルバゾリル基から選ばれるものである。)
【請求項2】
前記アルキル含有フェニル基の構造の一般式は以下の通りであり(式中において、RはC〜C15のアルキル基又はC〜C15のアルコキシ基から選ばれるものである)、
【化2】
前記アルキル含有フルオレニル基の構造の一般式は以下の通りであり(式中において、R,RはC〜C15のアルキル基から選ばれる同じ又は異なる基である。)、
【化3】
前記アルキル含有カルバゾリル基の構造の一般式は以下の通りである(式中において、RはC〜C15のアルキル基から選ばれるものである。)、
【化4】
ことを特徴とする請求項1に記載のジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体。
【請求項3】
以下の構造式で表される化合物A、B、Cをそれぞれ提供する工程と、
【化5】
【化6】
【化7】
(ここで、RはC〜C20のアルキル基から選ばれるものであり、R、Rはフェニル基、C〜C20のアルコキシ基、アルキル含有ベンゼン環基、アルキル含有フルオレニル基又はアルキル含有カルバゾリル基から選ばれるものである。)
無酸素環境及び触媒、有機溶媒の存在下で、化合物A、B、Cを選択してモル比がm:p:qとなる添加量(ここで、m=p+q、且つm>q0である)でStilleカップリング反応を行い、構造が以下のような一般式(I)で表されるジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体を得る工程と、
【化8】
(構造の一般式(I)において、x+y=1、0<y<0.5であり、nは整数且つ1<n≦100である。)
を含むジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体の製造方法。
【請求項4】
20〜120℃及び有機溶媒の存在下で、ジケトン類化合物と3,6−ジブロモ−o−フェニレンジアミン化合物とをモル比1:0.1〜10で1〜24時間脱水反応させ、前記化合物Bを製造する工程を含む、
ことを特徴とする請求項3に記載のジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体の製造方法。
【請求項5】
前記脱水反応の有機溶媒は、酢酸、m−クレゾール、p−トルエンスルホン酸、クロロホルム、メタノール、エタノール、ブタノールの内の少なくとも1種である、
ことを特徴とする請求項4に記載のジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体の製造方法。
【請求項6】
前記Stilleカップリング反応における触媒の添加量は、モル百分率で化合物Aの0.05%〜50%である、
ことを特徴とする請求項3に記載のジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体の製造方法。
【請求項7】
前記触媒は、有機パラジウム触媒、又は有機パラジウム触媒と有機ホスフィン配位子との混合物である、
ことを特徴とする請求項6に記載のジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体の製造方法。
【請求項8】
前記有機パラジウム触媒は、Pd(dba)、Pd(PPh、Pd(PPhClの内の少なくとも1種であり、
前記Stilleカップリング反応の有機溶媒は、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ベンゼン、クロロベンゼン、トルエンの内の1種又は複数類である、
ことを特徴とする請求項7に記載のジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体の製造方法。
【請求項9】
前記Stilleカップリング反応の反応温度は60〜130℃であり、反応時間は24〜72時間である、
ことを特徴とする請求項3に記載のジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体の製造方法。
【請求項10】
請求項1又は2に記載のジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体を用いた、ポリマー太陽電池デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機化合物の合成技術の分野に属するものであり、具体的には、ジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体、該共役重合体の製造方法及びその応用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
安価な材料を利用して低コスト、高効能の太陽電池を製造することは、光起電分野の研究において常に注目を浴びているが、このような太陽電池の製造には困難が伴う。現在、地上で使用されているシリコン太陽電池は、生産プロセスが複雑であり、コストが高いので、その利用が制限されている。コストを低下させ、利用範囲を広げるために、長期に亘って新規な太陽電池材料が求められている。
【0003】
ポリマー太陽電池は、原料が安価であり、軽量、フレキシブルであり、生産プロセスが簡単であり、コーティング、印刷等の方式で量産できる等の利点があるので注目されていている。そのエネルギー変換効率を市販のシリコン太陽電池に近いレベルまで向上できれば、その市場は、極めて大きなものになる見込みがある。1992にN.S.Sariciftciらにより、共役重合体とC60との間の光誘起電子の移動現象が、SCIENCEにおいて報告されて以降、ポリマー太陽電池に関して多くの研究がなされ、該研究分野は急速に進展している。
【0004】
現在のポリマー太陽電池に対する研究は、主に供与体・受容体混合系を中心に行われている。PTB7とPC71BMの混合系を利用した場合、エネルギー変換効率は、既に7.4%にまで達しているが、該変換効率は、無機太陽電池の変換効率と比べると、なおかなり低いものである。性能の向上を制限する主な要因として、有機半導体デバイスでのキャリア移動度が比較的低いこと、デバイスのスペクトル応答と太陽輻射スペクトルとが一致しないこと、高光子束の赤光領域が有効に利用されていないこと、及び電極によるキャリアの収集効率が低いことなどが挙げられる。ポリマー太陽電池を実用化するために、新規な材料を開発して、そのエネルギー変換効率を大幅に向上させることは、依然としてかかる研究分野での最も重要な課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上述の従来技術の欠点を克服して、共役重合体の共役性を有効に向上させ、重合体のバンド幅を低下させ、二つの主鎖の間でキャリアを移動し易くして、キャリア移動度を増加させるとともに、電子供与基と電子受容基を簡単に導入できて、その電子吸引性を調節できるジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、プロセスが簡単であり、収率が高く、操作とコントロールとが容易であるジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体の製造方法を提供することにある。
【0007】
本発明のさらに他の目的は、前記ジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体の有機光電材料、ポリマー太陽電池、有機エレクトロルミネセンス、有機電界効果トランジスタ、有機光記憶、有機非線形材料又は/及び有機レーザーにおける応用を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した発明の目的を達成するために、本発明は、以下の技術を提案する。
【0009】
分子構造の一般式が下記(I)であるジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体。
【化1】
式中において、x+y=1、0<y≦0.5であり、nは整数且つ1<n≦100であり、RはC〜C20のアルキル基から選ばれるものであり、R、Rは−H、C〜C20のアルキル基、C〜C20のアルコキシ基、アルキル含有フェニル基、アルキル含有フルオレニル基、又はアルキル含有カルバゾリル基から選ばれるものである。
【0010】
及び、以下の構造式で表される化合物A、B、Cをそれぞれ提供する工程と、
【化2】
【化3】
【化4】
(ここで、RはC〜C20のアルキル基から選ばれるものであり、R、Rは−H、C〜C20のアルキル基、C〜C20のアルコキシ基、アルキル含有フェニル基、アルキル含有フルオレニル基、又はアルキル含有カルバゾリル基から選ばれるものである。)
無酸素環境下及び触媒、有機溶媒の存在下で、化合物A、B、Cをモル比がm:p:qとなる添加量(ここで、m=p+q、且つm>q≧0である。)でStilleカップリング反応を行い、構造が以下のような一般式(I)で表されるジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体を得る工程と、
【化5】
(構造の一般式(I)において、x+y=1、0<y≦0.5であり、nは整数かつ1<n≦100である。)
を含むジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体の製造方法。
【0011】
さらに、本発明のジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体の有機光電材料、ポリマー太陽電池、有機エレクトロルミネセンス、有機電界効果トランジスタ、有機光記憶、有機非線形材料又は/及び有機レーザーにおける応用。
【発明の効果】
【0012】
従来技術と比較すると、本発明は少なくとも以下の利点を有する。
【0013】
1.ジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体分子に含有されるN−アルキルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール構造単位の結晶構造は、完全に平面型であり、該構造単位において、二つのチオフェン環が同一平面上にあるので、本発明の重合体の共役性が有効に向上し、重合体のバンド幅が低下し、二つの主鎖の間でキャリアが移動し易くなって、キャリア移動度が増加すること。
【0014】
2.さらに、含有されるキノキサリン構造単位は、強い電子吸引性を有する優れた受容体単位であるので、本発明の重合体は、このようなキノキサリン構造単位を有することにより、高い電子輸送性、ガラス転移温度、及び優れた電気化学的還元性を有すること。加えて、このキノキサリン構造単位は修飾能が強いので、本発明の重合体に電子供与基と電子受容基を簡単に導入できて、その電子吸引性を調節できること。
【0015】
3.ジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合は、N−アルキルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール構造単位とキノキサリン構造単位とを共に含むので、有機光電材料、ポリマー太陽電池、有機エレクトロルミネセンス、有機電界効果トランジスタ、有機光記憶、有機非線形材料又は/及び有機レーザーの分野における該重合体の応用範囲が広がること。
【0016】
4.ジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体の製造方法は、プロセスが簡単であり、収率が高く、反応条件が穏やかで、操作とコントロールが容易であり、工業的な生産に適すること。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例のジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体の分子構造の一般式の模式図である。
図2】実施例1で製造されたジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体を活性層とするポリマー太陽電池デバイスの構造の模式図である。
図3】実施例1で製造されたジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体を活性層とする有機エレクトロルミネセンスデバイスの構造の模式図である。
図4】実施例1で製造されたジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体を有機半導体層とする有機電界効果トランジスタデバイスの構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の解決しようとする技術的課題、提案する技術及び有益な効果をさらに明らかにするために、以下、実施例に基づいて、本発明についてさらに詳細に説明する。ここで述べた具体的な実施例は、本発明を理解するためだけのものであり、本発明を限定しようとするものではないと理解すべきである。
【0019】
図1を参照すると、分子構造の一般式が下記(I)である本発明の実施例のジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体が示されている。
【化6】
式中において、x+y=1、0<y≦0.5であり、nは整数且つ1<n≦100であり、RはC〜C20のアルキル基から選ばれるものであり、R、Rは−H、C〜C20のアルキル基、C〜C20のアルコキシ基、アルキル含有フェニル基、アルキル含有フルオレニル基又はアルキル含有カルバゾリル基から選ばれるものである。
【0020】
前記アルキル含有フェニル基の分子構造の一般式は、以下のようなものが好ましい。式中において、Rは、C〜C15のアルキル基又はC〜C15のアルコキシ基であると好ましい。
【化7】
【0021】
前記アルキル含有フルオレニル基の分子構造の一般式は、以下のようなものが好ましい。式中において、R、Rは同一又は異なる基であるが、C〜C15のアルキル基であると好ましい。
【化8】
【0022】
前記アルキル含有カルバゾリル基の分子構造の一般式は、以下のようなものが好ましい。式中において、RはC〜C15のアルキル基であると好ましい。
【化9】
【0023】
ジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体分子に含有されるN−アルキルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール構造単位の結晶構造は、完全に平面型であり、この構造単位において、二つのチオフェン環は同一平面上にあるので、重合体の共役性が有効に向上され、重合体のバンド幅が低下され、そのスペクトル応答幅が広くなり、二つの主鎖の間でキャリアが移動し易くなって、キャリア移動度が増加される。さらに、含有されるキノキサリン構造単位は、強い電子吸引性を有する優れた受容体単位であるので、重合体は、このようなキノキサリン構造単位を有することにより、高い電子輸送性、ガラス転移温度、及び優れた電気化学的還元性を有する。加えて、かかるキノキサリン構造単位は修飾能が強いので、重合体に電気供与基と電子受容基を簡単に導入できて、その電子吸引性を調節できる。
【0024】
更に、本発明の実施例は、以下のような化学反応式を含むこのジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体の製造方法を提供する。
【化10】
【0025】
即ち、具体的には、(1)以下の構造式で表される化合物A、B、Cをそれぞれ提供する工程と、
【化11】
【化12】
【化13】
(ここで、RはC〜C20のアルキル基から選ばれるものであり、R、Rは−H、C〜C20のアルキル基、C〜C20のアルコキシ基、アルキル含有フェニル基、アルキル含有フルオレニル基又はアルキル含有カルバゾリル基から選ばれるものである。)
(2)無酸素環境下及び触媒、有機溶媒の存在下で、化合物A、B、Cをモル比m:p:q(ここで、m=p+q、且つm>q≧0である。)でStilleカップリング反応を行い、構造が、以下のような一般式(I)で表されるジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体を得る工程と、
【化14】
(構造の一般式(I)において、x+y=1、0<y≦0.5であり、nは整数且つ1<n≦100である。)
を含むものである。
【0026】
前記工程(1)は、20〜120℃及び有機溶媒の存在下において、ジケトン類化合物と3,6−ジブロモ−o−フェニレンジアミン化合物とをモル比1:0.1〜10で1〜24時間脱水反応させ、前記化合物Bを製造する工程を含むと好ましい。ここで、この脱水反応の有機溶媒は、酢酸、m−クレゾール、p−トルエンスルホン酸、クロロホルム、メタノール、エタノール、ブタノールの内の少なくとも1種であると好ましく、その使用量は、この脱水反応のスムーズな進行を保証する量である。
【0027】
上述の工程(2)のStilleカップリング反応では、化合物Cの添加量が0である場合、即ち前記q=0の場合、化合物A、Bだけが反応に関与し、この場合、化合物A、Bは等モル条件でStilleカップリング反応し、一般式(I)において、x、yがx+y=1、且つx=y=0.5を満たすジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体が生成される。化合物Cの添加量が0でない場合、即ち前記q≠0の場合、化合物A、B、Cは何れもStilleカップリング反応に関与し、一般式(I)において、x、yがx+y=1、且つx≠y≠0.5を満たすジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体が生成される。
【0028】
化合物C(即ち2,6−ジブロモ−N−アルキルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール)は、市場から入手するか本技術分野における常法に従って製造でき、化合物Aは、本技術分野における常法に従って製造できる。このStilleカップリング反応での触媒の添加量は、モル百分率で化合物Aの0.05%〜50%であると好ましく、かかる触媒は、有機パラジウム触媒、又は有機パラジウム触媒と有機ホスフィン配位子との混合物であると好ましい。前記有機パラジウム触媒は、Pd(dba)、Pd(PPh、Pd(PPhClの内の少なくとも1種であると好ましく、有機ホスフィン配位子は、P(o−Tol)が好ましいが、それのみに限定されるものではない。触媒が有機パラジウム触媒と有機ホスフィン配位子との混合物である場合、この有機パラジウム触媒と有機ホスフィン配位子とのモル比は1:2〜20である。
【0029】
前記Stilleカップリング反応の有機溶媒は、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ベンゼン、クロロベンゼン、トルエンの内の1種または複数種であると好ましく、その使用量は、少なくとも、このStilleカップリング反応のスムーズな進行をスムーズにするような保証する量である。
【0030】
前記Stilleカップリング反応の反応温度は、60〜130℃であると好ましく、反応時間は24〜72時間であると好ましい。
【0031】
前記Stilleカップリング反応には触媒が必要である。これは、本Stilleカップリング反応を完全に進行させるために、触媒を関与させて、前記Stilleカップリング反応の過程で一方の反応物と中間産物とを生じさせる必要があるからである。
【0032】
前記Stilleカップリング反応は無酸素環境で行う必要がある。これは、Stilleカップリング反応において、反応物と酸素は、ともに化学的性質が極めて活発なので、反応環境中に酸素が導入されると、酸素が優先的に反応物と反応するとともに、中間産物が酸素により破壊されてしまい、本Stilleカップリング反応が失敗するからである。この無酸素環境は真空にすること、又は不活性ガスを満たして実現できるが、不活性ガスを満たして無酸素環境を実現すると好ましい。この不活性ガスは、本技術分野において通常使用されるものであり、例えば窒素、アルゴン等であり、好ましくは窒素である。
【0033】
このジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体の製造方法では、反応物を化学量論比で添加するだけでよく、特殊な設備や環境は必要ない。その製造方法は、プロセスが簡単であり、収率が高く、且つ条件が穏やかであり、操作とコントロールが容易であり、工業的な生産に適している。
【0034】
前記により提供されたジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体分子は、N−アルキルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール構造単位とキノキサリン構造単位を共に含むので、このジチエノピロール−キノキサリンを含む共役重合体は、有機光電材料、ポリマー太陽電池、有機エレクトロルミネセンス、有機電界効果トランジスタ、有機光記憶、有機非線形材料又は/及び有機レーザーの分野に応用できるものである。
【0035】
(実施例)
以下、実施例に基づいて、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0036】
(実施例1)構造式が下記Iに示すようなN−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール−キノキサリン共役重合体の製造
【化15】
1)5,8−ジブロモ−2,3−ビス(フェニル)キノキサリンを製造した。その化学反応式は以下の通りであった。
【化16】
【0037】
具体的な製造過程は、120℃で、3,6−ジブロモ−o−フェニレンジアミン(1.0g、3.7mmol)を、ベンジル化合物(0.39g、1.84mmol)を含む酢酸溶液(20mL)に加え、均一に混合し、12時間還流した後、反応液を水に注ぎ、炭酸水素ナトリウムで中性になるまで中和し、さらにクロロホルムによる抽出、飽和食塩水による洗浄、無水硫酸ナトリウムによる乾燥をこの順に行い、続いて回転蒸発で溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィーにより粗製品から白色固体を得た後、クロロホルム/n−ヘキサンで再結晶化して白色固体粉末を得た。評価した結果、MS(EI)m/z:440(M)であった。
【0038】
2)2,6−ビストリメチルスズ−N−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロールを製造した。その化学反応式は以下の通りであった。
【化17】
【0039】
具体的な製造過程は、J.Am法(Chem.Soc.2008,130,13167)に従って、−78℃で、t−BuLi(5.3mL、1.4mol/L、7.5mmol)をN−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール(2.5mmol、0.727g)を含むテトラヒドロフラン溶液(100mL)に滴下した後、混合液をゆっくりと室温まで戻して、0.5時間攪拌し、再び−78℃まで冷却し、トリメチルスズクロライド(7.5mmol、7.5mL)を前記溶液に滴下した後、溶液の温度をそのまま室温に戻して20時間攪拌し、続いて前記反応液を水で急冷し、回転蒸発でテトラヒドロフランを除去し、その後クロロホルム/水により抽出し、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、有機相を除去して褐色固体を得た。MS(EI)m/z:617(M)であった。
【0040】
3)N−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール−キノキサリン共役重合体Iを製造した。その化学反応式は以下の通りであった。
【化18】
【0041】
具体的な製造過程は、窒素環境下で、化合物5,8−ジブロモ−2,3−ビス(フェニル)キノキサリン(0.22g、0.5mmol)、2,6−ビストリメチルスズ−N−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール(0.31g、0.5mmol)を含むクロロベンゼン溶液(15mL)に、窒素をバブリングしながら0.5時間吹き込んで環境中の酸素を除去し、さらにPd(dba)(0.014g、0.015mol)及びP(o−Tol)(0.0083g、0.027mmol)を加え、窒素をバブリングしながら1時間吹き込んで残存した酸素を除去し、その後60℃まで加熱して72時間還流した。得られた混合液をメタノールに滴下して沈降させた後、吸引ろ過、メタノールによる洗浄、乾燥をこの順に行い、さらにクロロベンゼンで溶解した後ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムの水溶液に添加し、続いて混合液を80℃まで加熱して12時間攪拌した後静置して分層させた。有機相をアルミナのカラムに通してクロマトグラフィーを実施し、クロロホルムで洗浄した。その後、有機溶媒の減圧除去、メタノールによる沈降、吸引ろ過をこの順に行って固体を得た。得られた固体をアセトンで72時間ソックスレー抽出した後、メタノールによる沈降、吸引ろ過をこの順に行って生成物を得た。この生成物の分子量(Molecular weight)は、(GPC,THF,R.I):M=29,500,M/M=1.7)であった。
【0042】
(実施例2)構造式が下記Iに示すようなN−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール−キノキサリン共役重合体の製造
【化19】
工程1)及び工程2)は、実施例1の工程1)及び工程2)に示した通りであった。
【0043】
3)N−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール−キノキサリン共役重合体Iを製造した。その化学反応式は以下の通りであった。
【化20】
【0044】
具体的な製造過程は、アルゴン環境下で、化合物5,8−ジブロモ−2,3−ビス(フェニル)キノキサリン(0.022g、0.05mmol)、2,6−ジブロモ−N−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール(0.20g、0.45mmol)、2,6−ビストリメチルスズ−N−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール(0.372g、0.5mmol)を含むベンゼン溶液(15mL)に、窒素をバブリングしながら0.5時間吹き込んで反応環境中の酸素を除去し、さらにPd(PPh(0.035mmol)を加えた後、引き続き窒素をバブリングしながら1時間吹き込んで残存した酸素を除去し、その後130℃まで加熱して24時間還流した。還流後、得られた混合液をメタノールに滴下して沈降させ、吸引ろ過、メタノールによる洗浄、乾燥、クロロベンゼンによる溶解をこの順に行って、続いて溶解液をジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムの水溶液に添加し、混合液を80℃まで加熱して15時間攪拌した後静置した。有機相をアルミナカラムに通してクロマトグラフィーを実施し、さらにクロロホルムによる洗浄、有機溶媒の減圧除去、メタノールによる沈降、吸引ろ過をこの順に行って固体を得た。得られた固体をアセトンで72時間ソックスレー抽出した後、メタノールによる沈降、吸引ろ過をこの順に行って生成物を得た。この生成物の分子量(Molecular weight)は、(GPC,THF,R.I):M=43000,M/M=2.1)であった。
【0045】
(実施例3)構造式が下記Iに示すようなN−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール−キノキサリン共役重合体の製造
【化21】
1)実施例1の工程1)と同様の製造方法及び類似の反応条件に従って、構造式が下記の式I’に示すような5,8−ジブロモ−2−(4−n−エイコシルフェニル)ー3−(4−n−エイコシロキシフェニル)キノキサリン化合物を製造した。
【化22】
【0046】
2)実施例1の工程2)と同様の調製方法及び類似の反応条件に従って、構造式が下記の式I’’に示すような2,6−ビストリメチルスズ−N−ブチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール化合物を製造した。
【化23】
【0047】
3)N−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール−キノキサリン共役重合体Iを製造した。その化学反応式は以下の通りであった。
【化24】
【0048】
具体的な製造過程は、窒素環境下で、化合物5,8−ジブロモ−2−(4−n−エイコシルフェニル)−3−(4−n−エイコシロキシフェニル)キノキサリン(0.51g、0.5mmol)、2,6−ビストリメチルスズ−N−ブチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール(0.28g、0.5mmol)を含むエチレングリコールジメチルエーテル溶液(15mL)に、窒素をバブリングしながら0.5時間吹き込んで反応環境中の酸素を除去し、さらにPd(dba)(0.014g、0.015mol)及びP(o−Tol)(0.0083g、0.027mmol)を加えた後、引き続き窒素をバブリングしながら1時間吹き込んで残存した酸素を除去し、その後100℃まで加熱して72時間還流した。還流後、混合液をメタノールに滴下して沈降させ、吸引ろ過、メタノールによる洗浄、乾燥、クロロベンゼンによる溶解をこの順に行って、続いて溶解液をジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムの水溶液に添加し、混合液を80℃まで加熱して8時間攪拌した後静置して分層させた。有機相をアルミナカラムに通してクロマトグラフィーを実施し、さらにクロロホルムによる洗浄、有機溶媒の減圧除去、メタノールによる沈降、吸引ろ過をこの順に行って固体を得た。得られた固体をアセトンで72時間ソックスレー抽出し、その後メタノールによる沈降、吸引ろ過をこの順に行って生成物を得た。この生成物の分子量(Molecular weight)は、(GPC,THF,R.I):M=89,500,M/M=2.1)であった。
【0049】
(実施例4)構造式が下記Iに示すようなN−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール−キノキサリン共役重合体の製造
【化25】
【0050】
1)実施例1の工程1)と同様の製造方法及び類似の反応条件に従って、構造式が下記の式I’に示すような5,8−ジブロモ−2−(4−n−ブチルフェニル)−3−(4−n−ブトキシフェニル)キノキサリン化合物を製造した。
【化26】
【0051】
2)実施例1の工程2)と同様にして、2,6−ビストリメチルスズ−N−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール化合物を製造した。
【0052】
3)N−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール−キノキサリン共役重合体Iを製造した。その化学反応式は以下の通りであった。
【化27】
【0053】
具体的な製造過程は、窒素環境下で、化合物5,8−ジブロモ−2−(4−n−ブチルフェニル)−3−(4−n−ブトキシフェニル)キノキサリン(0.28g、0.5mmol)、2,6−ビストリメチルスズ−N−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール(0.31g、0.5mmol)を含むテトラヒドロフラン溶液(15mL)に、窒素をバブリングしながら0.5時間吹き込んで反応環境中の酸素を除去し、Pd(PPhCl(0.030mmol)を加えた後、引き続き窒素をバブリングしながら1時間吹き込んで残存した酸素を除去し、その後100℃まで加熱して24時間還流した。還流後、混合液をメタノールに滴下して沈降させ、吸引ろ過、メタノールによる洗浄、乾燥、クロロベンゼンによる溶解をこの順に行って、続いて溶解液をジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムの水溶液に添加し、混合液を80℃まで加熱して6時間攪拌した後静置して分層させた。得られた有機相をアルミナカラムに通してクロマトグラフィーを実施した後、クロロホルムによる洗浄、有機溶媒の減圧除去、メタノールによる沈降、吸引ろ過をこの順に行って固体を得た。得られた固体をアセトンで72時間ソックスレー抽出した後、メタノールによる沈降、吸引ろ過をこの順に行って生成物を得た。この生成物の分子量(Molecular weight)は、(GPC,THF,R.I):M=68,500,M/M=1.7)であった。
【0054】
(実施例5)構造式が下記Iに示すようなN−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール−キノキサリン共役重合体の製造
【化28】
1)5,8−ジブロモ−2−(3−(N−アルキルカルバゾール)イル)−3−フェニル−キノキサリンを製造した。その化学反応式は以下の通りであった。
【化29】
【0055】
具体的な製造過程は、20℃で、3,6−ジブロモ−o−フェニレンジアミン(1.0g、3.7mmol)を、化合物2−(3−(N−ヘキシルカルバゾール)イル)フェニルエタンジオン(0.68g、1.78mmol)のブタノール溶液(20mL)に加え、均一に混合した後24時間還流した。還流後、反応液を水に注ぎ、炭酸水素ナトリウムで中性になるまで中和し、さらにクロロホルムによる抽出、飽和食塩水による洗浄、無水硫酸ナトリウムによる乾燥、回転蒸発による溶媒の除去をこの順に行って粗製品を得た。カラムクロマトグラフィーにより粗製品から白色固体を得た後、クロロホルム/n−ヘキサンにて再結晶化して固体粉末を得た。MS(MALDI)m/Z:614(M)であった。
【0056】
2)実施例1の工程2)と同様の製造方法及び類似の反応条件に従って、構造式が下記の式I’’に示すような2,6−ビストリメチルスズ−N−n−エイコシル基ビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール化合物を製造した。
【化30】
【0057】
3)N−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール−キノキサリン共役重合体Iを製造した。その化学反応式は以下の通りであった。
【化31】
【0058】
具体的な製造過程は、真空条件下で、化合物5,8−ジブロモ−2−(3−(N−ヘキシルカルバゾール)イル)−3−フェニル−キノキサリン(0.31g、0.5mmol)、2,6−ビストリメチルスズ−N−n−エイコシル基ビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール(0.39g、0.5mmol)を含む、体積比が1:1であるテトラヒドロフランとクロロベンゼン混合溶液(15mL)に、窒素をバブリングしながら0.5時間吹き込んで反応環境中の酸素を除去し、さらにPd(dba)(0.014g、0.015mol)及びP(o−Tol)(0.0083g、0.027mmol)を加えた後、引き続き窒素をバブリングしながら1時間吹き込んで残存した酸素を除去し、その後100℃まで加熱して72時間還流した。還流で得られた混合液をメタノールに滴下して沈降させ、吸引ろ過、メタノールによる洗浄、乾燥、クロロベンゼンによる溶解をこの順に行って、続いて溶解液をジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムの水溶液に添加し、混合液を80℃まで加熱して20時間攪拌した後静置して分層させた。得られた有機相をアルミナカラムに通してクロマトグラフィーを実施し、クロロホルムで洗浄し、有機溶媒を減圧除去し、メタノールにより沈降し、吸引ろ過して固体を得た。得られた固体をアセトンで72時間ソックスレー抽出し、メタノールにより沈降させた後吸引ろ過して生成物を得た。この生成物の分子量(Molecular weight)は、(GPC,THF,R.I):M=39000,M/M=1.7)であった。
【0059】
(実施例6)構造式が下記Iに示すようなN−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール−キノキサリン共役重合体の製造
【化32】
【0060】
1)実施例1の工程1)と同様の製造方法及び類似の反応条件に従って、構造式が下記の式I’に示すような5,8−ジブロモ−2−(3−(N−n−エイコシルカルバゾール)イル)−3−フェニル−キノキサリン化合物を製造した。
【化33】
【0061】
2)実施例1の工程2)と同様にして、2,6−ビストリメチルスズ−N−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール化合物を製造した。
【0062】
3)N−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール−キノキサリン共役重合体Iを製造した。その化学反応式は以下の通りであった。
【化34】
【0063】
具体的な製造過程は、窒素環境下で、化合物5,8−ジブロモ−2−(3−(N−n−エイコシルカルバゾール)イル)−3−フェニル−キノキサリン(0.41g、0.5mmol)、2,6−ビストリメチルスズ−N−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール(0.31g、0.5mmol)を含むクロロベンゼン(15mL)溶液に、窒素をバブリングしながら0.5時間吹き込んで反応環境中の酸素を除去し、さらにPd(PPh(0.015mol)及びPd(PPhCl(0.027mmol)を加えた後、引き続き窒素をバブリングしながら1時間吹き込んで残存した酸素を除去し、その後100℃まで加熱して72時間還流した。還流で得られた混合液をメタノールに滴下して沈降させ、さらに吸引ろ過、メタノールによる洗浄、乾燥、クロロベンゼンによる溶解をこの順に行った。得られた溶解液をジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムの水溶液に添加し、80℃まで加熱して6時間攪拌し、その後静置して分層させた。有機相をアルミナカラムに通してクロマトグラフィーを実施した後、クロロホルムによる洗浄、有機溶媒の減圧除去、メタノールによる沈降、吸引ろ過をこの順に行って固体を得た。得られた固体をアセトンで72時間ソックスレー抽出し、メタノールによる沈降、吸引ろ過を行って生成物を得た。この生成物の分子量(Molecular weight)は、(GPC,THF,R.I):M=41000,M/M=2.3)であった。
【0064】
(実施例7)構造式が下記Iに示すようなN−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール−キノキサリン共役重合体の製造
【化35】
1)実施例1の工程1)と同様の製造方法及び類似の反応条件に従って、構造式が下記の式I’に示すような5,8−ジブロモ−2−(3−(N−n−エイコシルカルバゾール)イル)−3−フェニル−キノキサリン化合物を製造した。
【化36】
【0065】
2)実施例1の工程2)と同様にして、2,6−ビストリメチルスズ−N−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール化合物を製造した。
【0066】
3)N−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール−キノキサリン共役重合体Iを製造した。その化学反応式は以下の通りであった。
【化37】
【0067】
具体的な製造過程は、窒素環境下で、化合物5,8−ジブロモ−2−(3−(N−n−ブチルカルバゾール)イル)−3−フェニル−キノキサリン(0.29g、0.5mmol)、2,6−ビストリメチルスズ−N−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール(0.31g、0.5mmol)を含むクロロベンゼン溶液(15mL)に、窒素をバブリングしながら0.5時間吹き込んで反応環境中の酸素を除去し、さらにPd(dba)(0.014g、0.015mol)及びP(o−Tol)(0.0083g、0.027mmol)を加えた後、引き続き窒素をバブリングしながら1時間吹き込んで残存した酸素を除去し、その後100℃まで加熱して28時間還流した。還流で得られた混合液をメタノールに滴下して沈降させ、さらに吸引ろ過、メタノールによる洗浄、乾燥、クロロベンゼンによる溶解をこの順に行った。溶解液をジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムの水溶液に添加し、更に混合液を80℃まで加熱して20時間攪拌した後静置して分層させた。有機相をアルミナカラムに通してクロマトグラフィーを実施した後、クロロホルムによる洗浄、有機溶媒の減圧除去、メタノールによる沈降、吸引ろ過をこの順に行って固体を得た。得られた固体をアセトンで72時間ソックスレー抽出し、メタノールによる沈降、吸引ろ過をこの順に行って生成物を得た。この生成物の分子量(Molecular weight)は、(GPC,THF,R.I):M=29000,M/M=1.7)であった。
【0068】
(実施例8)構造式が下記Iに示すようなN−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール−キノキサリン共役重合体の製造
【化38】
1)5,8−ジブロモ−2,3−ビス((2−(9,9−ジオクチルフルオレン)イル)−キノキサリンを製造した。その化学反応式は以下の通りであった。
【化39】
【0069】
具体的な製造過程は、80℃で、3,6−ジブロモ−o−フェニレンジアミン(0.5g、1.85mmol)を化合物ジ(9,9−ジオクチルフルオレン)イルエタンジオン(0.42g、5.0mmol)を含む、体積比が1:2である酢酸とm−クレゾールの混合溶液(20mL)に加え、均一に混合した後18時間還流した。還流後、反応液を水に注ぎ、炭酸水素ナトリウムで中性になるまで中和し、さらにクロロホルムによる抽出、飽和食塩水による洗浄、無水硫酸ナトリウムによる乾燥、回転蒸発による溶媒の除去をこの順に行って粗製品を得た。カラムクロマトグラフィーにより粗製品から白色固体を得た後、クロロホルム/n−ヘキサンにて再結晶化して固体粉末を得た。MS(MALDI)m/z:1065.2(M)であった。
【0070】
2)実施例1における工程2)と同様にして、2,6−ビストリメチルスズ−N−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール化合物を製造した。
【0071】
3)N−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール−キノキサリン共役重合体Iを製造した。その化学反応式は以下の通りであった。
【化40】
【0072】
具体的な製造過程は、窒素環境下で、化合物5,8−ジブロモ−2,3−ビス((2−(9,9−ジオクチルフルオレン)イル)−キノキサリン(0.53g、0.5mmol)、2,6−ビストリメチルスズ−N−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール(0.31g、0.5mmol)を含むトルエン溶液(30mL)に、窒素をバブリングしながら0.5時間吹き込んで反応環境中の酸素を除去し、さらにPd(dba)(0.0.14g、0.015mol)及びP(o−Tol)(0.0083g、0.027mmol)を加えた後、引き続き窒素をバブリングしながら1時間吹き込んで残存した酸素を除去し、その後100℃まで加熱して72時間還流した。還流後、得られた混合液をメタノールに滴下して沈降させた後、吸引ろ過、メタノールによる洗浄、乾燥、クロロベンゼンによる溶解をこの順に行った。得られた溶解液をジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムの水溶液に添加し、更に混合液を80℃まで加熱して12時間攪拌した後静置して分層させた。得られた有機相をアルミナカラムに通してクロマトグラフィーを実施した後、クロロホルムによる洗浄、有機溶媒の減圧除去、メタノールによる沈降、吸引ろ過をこの順に行って固体を得た。得られた固体をアセトンで72時間ソックスレー抽出した後、メタノールによる沈降、吸引ろ過をこの順に行って生成物を得た。この生成物の分子量(Molecular weight)は、(GPC,THF,R.I):M=93500,M/M=2.5)であった。
【0073】
(実施例9)構造式が下記Iに示すようなN−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール−キノキサリン共役重合体の製造
【化41】
1)実施例1の工程1)と同様の製造方法及び類似の反応条件に従って、構造式が下記の式I’に示すような5,8−ジブロモ−2−(2−(9,9−ジオクチルフルオレン)イル)−3−((2−(9,9−ジーn−エイコシルフルオレン)イル)−キノキサリン化合物を製造した。
【化42】
【0074】
2)実施例1の工程2)と同様にして、2,6−ビストリメチルスズ−N−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール化合物を製造した。
【0075】
3)N−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール−キノキサリン共役重合体Iを製造した。その化学反応式は以下の通りであった。
【化43】
【0076】
具体的な製造過程は、窒素環境下で、化合物5,8−ジブロモ−2−(2−(9,9−ジオクチルフルオレン)イル)−3−((2−(9,9−ジーn−エイコシルフルオレン)イル)−キノキサリン(0.64g、0.5mmol)、2,6−ビストリメチルスズ−N−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール(0.31g、0.5mmol)を含むトルエン溶液(30mL)に、窒素をバブリングしながら0.5時間吹き込んで反応環境中の酸素を除去し、さらにPd(dba)(0.014g、0.015mol)及びP(o−Tol)(0.0083g、0.027mmol)を加えた後、引き続き窒素をバブリングしながら1時間吹き込んで残存した酸素を除去し、その後100℃まで加熱して72時間還流した。還流で得られた混合液をメタノールに滴下して沈降させ、さらに吸引ろ過、メタノールによる洗浄、乾燥、クロロベンゼンによる溶解を行った。得られた溶解液をジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムの水溶液に添加し、80℃まで加熱して10時間攪拌した後静置して分層させた。有機相をアルミナカラムに通してクロマトグラフィーを実施した後、クロロホルムによる洗浄、有機溶媒の減圧除去、メタノールによる沈降、吸引ろ過をこの順に行って固体を得た。得られた固体をアセトンで72時間ソックスレー抽出し、メタノールによる沈降、吸引ろ過をこの順に行って生成物を得た。この生成物の分子量(Molecular weight)は、(GPC,THF,R.I):M=105,000,M/M=2.7)であった。
【0077】
(実施例10)構造式が下記I10に示すようなN−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール−キノキサリン共役重合体の製造
【化44】
1)5,8−ジブロモ−2,3−ジオクチルキノキサリンを製造した。その化学反応式は以下の通りであった。
【化45】
【0078】
具体的な製造過程は、120℃で、3,6−ジブロモ−o−フェニレンジアミン(0.5g、1.85mmol)を、化合物ジオクチルエタンジオン(0.28g、1mmol)を含む酢酸溶液(30mL)に加え、均一に混合した後18時間還流した。還流後、反応液を水に注ぎ、炭酸水素ナトリウムで中性になるまで中和し、さらにクロロホルムによる抽出、飽和食塩水による洗浄、無水硫酸ナトリウムによる乾燥、回転蒸発による溶媒の除去をこの順に行って粗製品を得た。カラムクロマトグラフィーにより粗製品から白色固体を得た後、クロロホルム/n−ヘキサンにて再結晶化して生成物を得た。この生成物は、MS(EI)m/z:512(M)であった。
【0079】
2)実施例1の工程2)と同様にして、2,6−ビストリメチルスズ−N−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール化合物を製造した。
【0080】
3)N−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール−キノキサリン共役重合体I10を製造した。その化学反応式は以下の通りであった。
【化46】
【0081】
具体的な製造過程は、窒素環境下で、化合物5,8−ジブロモ−2,3−ジオクチル−キノキサリン(0.26g、0.5mmol)、2,6−ビストリメチルスズ−N−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール(0.31g、0.5mmol)を含むトルエン溶液(30mL)に、窒素をバブリングしながら0.5時間吹き込んで残存した酸素を除去し、さらにPd(dba)(0.0.14g、0.015mol)及びP(o−Tol)(0.0083g、0.027mmol)を加えた後、引き続き窒素をバブリングしながら1時間吹き込んで残存した酸素を除去し、その後100℃まで加熱して72時間還流した。還流で得られた混合液をメタノールに滴下して沈降させた後、吸引ろ過、メタノールによる洗浄、乾燥、クロロベンゼンによる溶解をこの順に行った。溶解液をジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムの水溶液に添加し、更に混合液を80℃まで加熱して12時間攪拌した後静置して分層させた。得られた有機相をアルミナカラムに通してクロマトグラフィーを実施した後、クロロホルムによる洗浄、有機溶媒の減圧除去、メタノールによる沈降、吸引ろ過をこの順に行って固体を得た。得られた固体をアセトンで72時間ソックスレー抽出した後、メタノールによる沈降、吸引ろ過をこの順に行って生成物を得た。この生成物の分子量(Molecular weight)は、(GPC,THF,R.I):M=75500,M/M=1.9)であった。
【0082】
(実施例11)構造式が下記I11に示すようなN−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール−キノキサリン共役重合体の製造
【化47】
1)実施例10の工程1)と同様の製造方法及び類似の反応条件に従って、構造式が下記の式I11’に示すような5,8−ジブロモ−2−メチル−3−n−エイコシル−キノキサリン化合物を製造した。
【化48】
【0083】
2)実施例1の工程2)と同様にして、2,6−ビストリメチルスズ−N−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール化合物を製造した。
【0084】
3)N−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール−キノキサリン共役重合体I11を製造した。その化学反応式は以下の通りであった。
【化49】
【0085】
具体的な製造過程は、窒素環境下で、化合物5,8−ジブロモ−2−メチル−3ーn−エイコシル−キノキサリン(0.29g、0.5mmol)、2,6−ビストリメチルスズ−N−オクチルビスチオフェン[3,2−b:2’,3’−d]ピロール(0.31g、0.5mmol)を含むトルエン溶液(30mL)に、窒素をバブリングしながら0.5時間吹き込んで反応環境中の酸素を除去し、さらにPd(dba)(0.014g、0.015mol)及びP(o−Tol)(0.0083g、0.027mmol)を加えた後、引き続き窒素をバブリングしながら1時間吹き込んで残存した酸素を除去し、その後100℃まで加熱して72時間還流した。還流で得られた混合液をメタノールに滴下して沈降させ、吸引ろ過、メタノールによる洗浄、乾燥、クロロベンゼンによる溶解をこの順に行った。溶解液をジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムの水溶液に添加し、80℃まで加熱して12時間攪拌した後静置して分層させた。有機相をアルミナカラムに通してクロマトグラフィーを実施し、クロロホルムで洗浄し、有機溶媒を減圧除去し、さらにメタノールによる沈降、吸引ろ過をこの順に行って固体を得た。得られた固体をアセトンで72時間ソックスレー抽出し、メタノールによる沈降、吸引ろ過をこの順に行って生成物を得た。この生成物の分子量(Molecular weight)は、(GPC,THF,R.I):M=43800,M/M=2.1)であった。
【0086】
(応用実施例12)実施例1で製造された重合体を活性層とする太陽電池デバイスの製造
図2を参照すると、この太陽電池デバイスは、順に積層されているガラス基板11と、透明陽極12と、中間補助層13と、活性層14と、陰極15とを備えるものである。中間補助層13にポリエチレンジオキシチオフェン:ポリスチレン−スルホン酸複合材料(PEDOT:PSSと略する)を用いている。活性層14は電子供与体材料と電子受容体材料からなる。電子供与体材料に実施例1で製造された重合体を用い、電子受容体材料に[6,6]フェニル−C61−酪酸メチルエステル(PCBMと略する)を用いてもよい。透明陽極12にインジウムスズ酸化物(ITOと略する)を用いてもよい。シート抵抗が10−20Ω/sqであるインジウムスズ酸化物を用いると好ましい。陰極15にアルミニウム電極、あるいは例えばCa/AlやBa/Al等の二重金属層電極を用いてもよい。その中で、ガラス基板11を下地とすることができ、製造の際には、ITOガラスを選択して、超音波による洗浄を経た後、酸素−プラズマで処理し、ITOガラスに中間補助層13を塗工し、さらに実施例1で製造された重合体と電子受容体材料とを混合した後中間補助層13に塗工して活性層14を形成し、その後、真空蒸着技術により活性層14に陰極15を堆積して、前記太陽電池デバイスを得た。好ましい実施例において、透明陽極12、中間補助層13、活性層14、CaとAlの二重金属層の層厚さはそれぞれ170、40、150、70nmである。
【0087】
図2に示すように、光の照射下で、光がガラス基板11とITO電極12を透過すると、光エネルギーが活性層14内の実施例1で製造された重合体に吸収されて励起子が生じる。該励起子が電子供与体/受容体材料の界面まで移動し、さらに電子がPCBMのような電子受容体材料に移動すると、電荷が分離して、自由なキャリア、即ち自由な電子と正孔が生じる。自由な電子が電子受容体材料に沿って金属陰極に輸送されて陰極に集まり、自由な正孔が電子供与体材料に沿ってITO陽極へ輸送されて陽極に集まると、光電流と光電圧が生じ、光電変換が実現される。外部から負荷16を接続すると、給電できる。この過程において、実施例1で製造された重合体は、非常に広いスペクトル応答範囲を有するので、光エネルギーを更に十分に利用できる。また、光電変換効率が高くなるので、太陽電池デバイスの発電能力は増加する。また、このような有機材料により、太陽電池デバイスの重量は低減する。また、該太陽電池デバイスは、スピンコーティングなどの技術によっても製造できるので、量産に適している。
【0088】
(応用実施例13)実施例1で製造された重合体を含む有機エレクトロルミネセンスデバイスの製造
図3を参照すると、順に積層して設けられているガラス基板21と、透明陽極22と、発光層23と、バッファ層24と、陰極25とを備え、実施例1で製造された重合体を用いた有機エレクトロルミネセンスデバイスが示されている。透明陽極22にインジウムスズ酸化物(ITOと略する)を用いてもよい。シート抵抗が10−20Ω/sqであるインジウムスズ酸化物を用いると好ましい。発光層23は、実施例1で製造された重合体からなるものである。バッファ層24にLiFなどを用いてもよいが、これに限定されるものではない。陰極25は、金属Alなどであってもよいが、これに限定されるものではない。具体的な実施例においては、有機エレクトロルミネセンスデバイスの構造は、ITO/実施例1で製造された重合体/LiF/Alと表される。各層を従来の方法で形成してもよい。実施例1で製造された重合体は、スピンコーティング技術でITOに形成してもよい。発光層に真空蒸着させたLiFバッファ層を用い、バッファ層に蒸着させた金属Alを用いてデバイスの陰極とすることができる。
【0089】
(応用実施例14)実施例1で製造された重合体を含む有機電界効果トランジスタの製造
図4を参照すると、この有機電界効果トランジスタは、順に積層して設けられているアンダーレイ31と、絶縁層32と、改質層33と、有機半導体層34と、有機半導体層34に設置されたソース電極35及びドレイン電極36とを備えるものである。その中で、アンダーレイ31は、高ドーピングされたシリコンチップ(Si)であってもよいが、これに限定されるものではない。絶縁層32は、マイクロ・ナノメートル(例えば450nm)の厚さのSiOであってもよいが、これに限定されるものではない。有機半導体層34に実施例1で調製された重合体を用いている。ソース電極35及びドレイン電極36に金を用いてもよいが、これに限定されるものではない。改質層33はオクタデシルトリクロロシラン(OTS)であってもよいが、これに限定されるものではない。アンダーレイ31と、絶縁層32と、改質層33と、ソース電極35及びドレイン電極36のすべてを従来の方法で形成してもよい。有機半導体層34は、実施例1で製造された重合体を、改質層33により改質された絶縁層32にスピンコーティングしてなるものであってもよい。
【0090】
以上に記述したのは本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、本発明の精神と範囲内で行われるいかなる修正、均等物への置換、改善なども本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4