特許第5738992号(P5738992)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5738992プロパン−1−スルホン酸{3−[5−(4−クロロ−フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−2,4−ジフルオロ−フェニル}−アミドの新規製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5738992
(24)【登録日】2015年5月1日
(45)【発行日】2015年6月24日
(54)【発明の名称】プロパン−1−スルホン酸{3−[5−(4−クロロ−フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−2,4−ジフルオロ−フェニル}−アミドの新規製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20150604BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20150604BHJP
【FI】
   C07D471/04 104Z
   !C07B61/00 300
【請求項の数】10
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2013-520097(P2013-520097)
(86)(22)【出願日】2011年7月18日
(65)【公表番号】特表2013-537521(P2013-537521A)
(43)【公表日】2013年10月3日
(86)【国際出願番号】EP2011062207
(87)【国際公開番号】WO2012010538
(87)【国際公開日】20120126
【審査請求日】2013年3月18日
(31)【優先権主張番号】10170266.0
(32)【優先日】2010年7月21日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】306021192
【氏名又は名称】エフ・ホフマン−ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】ブラムステッド, コーリー ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】モーアラーク, ヘンドリック
(72)【発明者】
【氏名】ラディノフ, ルーメン ニコラエフ
(72)【発明者】
【氏名】レン, イー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルトマイアー, ピウス
【審査官】 中西 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−508303(JP,A)
【文献】 特表2008−546797(JP,A)
【文献】 特表2008−534455(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/016460(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0183758(US,A1)
【文献】 WHELLIGAN,D.K. et al.,Two-Step Synthesis of Aza- and Diazaindoles from Chloroamino-N-heterocycles Using Ethoxyvinylborolane,The Journal of Organic Chemistry,2010年,Vol.75,p.11-15
【文献】 VOGELS,C.M. et al.,Metal catalysed addition of B-H and N-H bonds to aminopropyl vinyl ethers,Chemical Communications,2000年,p.51-52
【文献】 ZHAO,S. et al.,New Bimetallic Reactivity in Pt2II,II/Pt2IV,IV Transformation Mediated by a Benzene Ring,Organometallics,2010年,Vol.29,p.998-1003
【文献】 ZHANG,Z. et al.,An Effective Procedure for the Acylation of Azaindoles at C-3,The Journal of Organic Chemistry,2002年,Vol.67,p.6226-6227
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 471/00−471/22
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY/CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1
の化合物の製造方法であって、
a)式2
の化合物を、パラジウム触媒、塩基及び式3
の化合物の存在下で反応させて(第1回目の鈴木-宮浦反応)、式4
の化合物を得、
b)前記式4の化合物を、ハロゲン化試薬の存在下でさらに反応させて、式5
[該式中、Xは又はBrである]
の化合物を得、前記式5の化合物をさらに
c−1)式(D)の化合物(第2回目の宮浦反応);又は
c−2)式7の化合物(園頭反応)
のいずれかの存在下で反応させて、式8
の化合物を得、
d)続いて、前記式8の化合物を、式9
の化合物の存在下、またフリーデル-クラフツアシル化条件下で反応させて、式1の化合物を得、ここで
、R、R及びRは全てメチルであるか、又はそれらが結合している炭素原子と共同してフェニル環を形成し;
は-(C1-C6)アルキル又はベンジルである、
法。
【請求項2】
a)式2
の化合物を、PdCl(dppf)CHCl、Pd(OAc)、NaCO及び式3
の化合物の存在下で反応させて、式4
の化合物を得、
b)前記式4の化合物を、N-ヨードスクシンイミド(NIS)及びCFCOOH、又はN-ブロモスクシンイミド(NBS)の存在下でさらに反応させて、式5
[上式中、Xは-I又は-Brである]
の化合物を得、
c-1)前記式5の化合物を、PdCl(dppf)CHCl、LiOH及び式6
の化合物の存在下でさらに反応させて、式8
の化合物を得;そして
d)前記式8の化合物を式9
の化合物と、(COCl)及びAlClの存在下でさらに反応させて、式1の化合物を得る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
反応工程b)がNBSの存在下で実施されて、Xがブロモである式5の化合物が得られる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
a)式2
の化合物を、PdCl(dppf)CHCl、Pd(OAc)、NaCO及び式3
の化合物の存在下で反応させて、式4
の化合物を得、
b)前記式4の化合物を、N-ヨードスクシンイミド(NIS)及びCFCOOH、又はN-ブロモスクシンイミド(NBS)の存在下でさらに反応させて、式5
[上式中、Xは-I又は-Brである]
の化合物を得、
c-2)前記式5の化合物を、Pd(PPh)Cl、CuI、テトラメチルグアニジン(TMG)及び式7
の化合物の存在下でさらに反応させ、続いてKOtBuと反応させて、式8
の化合物を得;そして
d)前記式8の化合物を式9
の化合物と、(COCl)及びAlClの存在下でさらに反応させて、式1の化合物を得る、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
式8の化合物が、
a)式B
の化合物を、N-ブロモスクシンイミド(NBS)又はN-ヨードスクシンイミド(NIS)又はヨウ素と組合せられた過ヨウ素酸ナトリウム(I/NaIO)の存在下で反応させ、場合によっては、続いてアミノ保護基を導入して、式C
の化合物を得、
b)前記式Cの化合物を、PdCl(dppf)CHCl、LiOH及び式D
の化合物の存在下でさらに反応させ、式E
の化合物を得、
c-1)式Eの化合物を酸でさらに処理して、式8の化合物を得る
ことにより、得られ
ここで
Rは、ロゲンで1回又は数回置換されたか又は未置換のフェニルであり;
、R、R及びRは全てメチルであるか、又はそれらが結合している炭素原子と共同してフェニル環を形成し;
は-(C1-C6)アルキル又はベンジルであり;
Xは-Br又は-Iであり;さらに
及びYは、ベンジル、トリフルオロアセチル、アセチル、及び水素から独立して選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
Rは4-Cl-フェニルであり;
からRは全てメチルであり;
はエチルであり;
Xは-Brであり;
及びYは双方とも水素である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
式8の化合物が、
a)式B
の化合物を、N-ブロモスクシンイミド(NBS)又はN-ヨードスクシンイミド(NIS)又はヨウ素と組合せられた過ヨウ素酸ナトリウム(I/NaIO)の存在下で反応させ、場合によっては、続いてアミノ保護基を導入して、式C
の化合物を得、
b)前記式Cの化合物を、Pd(PPh)Cl、CuI、テトラメチルグアニジン及び式7
の化合物の存在下でさらに反応させ、式F
の化合物を得、
c-2)前記式Fの化合物をKOtBuの存在下でさらに反応させて、式8の化合物を得る
ことにより、得られ;ここで
Rは、ロゲンで1回又は数回置換されたか又は未置換のフェニルであり;
Xは-Br又は-Iであり;
及びYは、ベンジル、トリフルオロアセチル、アセチル、及び水素から独立して選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
式D
の化合物が、
式G
の化合物を、パラジウム、ロジウム又はルテニウム-触媒の存在下で、式H
の化合物と反応させて、式Dの化合物を得る
ことにより、得られ、ここで
、R、R及びRは全てメチルであるか、又はそれらが結合している炭素原子と共同してフェニル環を形成し;
は-(C1-C6)アルキル又はベンジルである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
、R、R及びRは全てメチルであり;
はエチルである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、Pd(OAc)、Pd(dba)、Pd(NO)、Pd/C、PdCl、Rh(OAc)又はRuClからなる群から選択される触媒の存在下で実施される、請求項8又は9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物プロパン-1-スルホン酸{3-[5-(4-クロロ-フェニル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-カルボニル]-2,4-ジフルオロ−フェニル}−アミド(式1)
を得るための代替合成スキームに関する。
【0002】
式1の化合物の合成は、国際公開第2007002433号及び国際公開第2007002325号に記載されている。
【0003】
本発明は、化合物1を得るための代替反応を開示する。ここに開示の反応及び方法は、少ない反応工程を使用し、とりわけ少ない分離工程及びワークアップ手順のために、化合物1の良好な全体収率が得られる。さらに、ここに開示の方法は、比較的少量の出発物質で実施することができ、よって、大規模生産における使用の場合に安全であり、コストの観点からも興味があり、環境にも優しい。
【0004】
さらに、本発明は、式1の化合物の製造に使用される重要な中間体を得る新規な合成方法を提供する。前記重要な中間体の1グループは、5置換7−アザインドール類を含む。重要な中間体の他のグループはビニルボロン酸ピナコールを含む。
【発明を実施するための形態】
【0005】
一実施態様では、本発明は、次の式1
の化合物を製造する方法であって、少なくとも1回の鈴木-宮浦反応と、続くフリーデル-クラフツアシル化を含む方法を提供する。
【0006】
他の実施態様では、本発明は、2回の鈴木-宮浦反応と、続くフリーデル-クラフツアシル化を含む、式1の化合物を製造する方法を提供する。
【0007】
他の実施態様では、本発明は、1回の鈴木-宮浦反応、続く園頭反応、さらに続くフリーデル-クラフツアシル化を含む、式1の化合物を製造する方法を提供する。
【0008】
本発明の好ましい実施態様では、上述した各方法における第1回目の鈴木-宮浦反応の後に、ハロゲン化反応、特に、対応する中間体へハロゲン原子、好ましくはヨード又はブロモを導入するための反応工程が続く。
【0009】
より詳細には、
a)式2
の化合物を、パラジウム触媒、塩基、式3
の化合物の存在下で反応させて(第1回目の鈴木-宮浦反応)、式4
の化合物を得、
b)前記式4の化合物を、ハロゲン化試薬の存在下でさらに反応させて、式5
[上式中、XはI(5a)又はBr(5b)である]
の化合物を得、前記式5の化合物をさらに
c-1)式(D)の化合物(第2回目の宮浦反応);又は
c-2)式7の化合物(園頭反応)
のいずれかの存在下で反応させて、式8
の化合物を得、
d)続いて、前記式8の化合物を、式9
の化合物の存在下、フリーデル-クラフツアシル化条件下で反応させて、式1の化合物を得、ここで
、R、R及びRは全てメチルであるか、又はそれらが結合している炭素原子と共同してフェニル環を形成し;
は-(C1-C6)アルキル又はベンジルである、
式1の化合物を製造する方法が提供される。
【0010】
他の好ましい実施態様では、RからRが全てメチルであり;Rがエチルである、上述の方法が提供される。
【0011】
本発明のさらなる他の実施態様では、
工程a)及びb)は上述したものであり;
c-1)工程b)の前記式5の化合物を、工程a)下でのものと同一又は異なっていてよい、パラジウム触媒及び塩基と、式D
の化合物の存在下でさらに反応させて、続いて酸で処理し、式8
の化合物を得;さらに
d)前記式8の化合物を式9
の化合物と、(COCl)及びAlClの存在下でさらに反応させて、RからRが上述したものである、式1の化合物を得る、
式1の化合物を製造するための、上述した方法a)からd)が提供される。
【0012】
本発明のさらなる他の好ましい実施態様では、
a)式2
の化合物を、PdCl(dppf)CHCl、Pd(OAc)、NaCO、及び式3
の化合物の存在下で反応させて、式4
の化合物を得、
b)前記式4の化合物を、N-ヨードスクシンイミド(NIS)及びCFCOOH、又はN-ブロモスクシンイミド(NBS)の存在下でさらに反応させて、式5
[上式中、Xは-I(5a)又は-Br(5b)である]
の化合物を得、
c-1)前記式5の化合物を、PdCl(dppf)CHCl、LiOH及び式6
の化合物の存在下でさらに反応させ、続いてHClで処理し、式8
の化合物を得;さらに
d)前記式8の化合物を式9
の化合物と、(COCl)及びAlClの存在下でさらに反応させて、式1の化合物を得る、
式1の化合物を製造する方法が提供される。
【0013】
本発明の特に好ましい実施態様では、上述の反応工程c-1)の前の反応工程b)は、NBSの存在下で実施され、Xがブロモ(5b)である式5の化合物が得られる。
【0014】
本発明のさらなる他の実施態様では、
反応工程a)及びb)は上述したものであり;
c-2)反応工程b)の前記式5の化合物を、工程a)下でのものと同一又は異なっていてよい、パラジウム触媒及び塩基、CuI、テトラメチルグアニジン(TMG)及び式7
の化合物の存在下でさらに反応させ、続いて強塩基と反応させて、式8
の化合物を得;さらに
d)前記式8の化合物を式9
の化合物と、(COCl)及びAlClの存在下でさらに反応させて、式1の化合物を得る、
式1の化合物を製造する方法が提供される。
【0015】
本発明のさらに好ましい実施態様では、
a)式2
の化合物を、PdCl(dppf)CHCl、Pd(OAc)、NaCO、及び式3
の化合物の存在下で反応させて、式4
の化合物を得、
b)前記式4の化合物を、N-ヨードスクシンイミド(NIS)及びCFCOOH、又はN-ブロモスクシンイミド(NBS)の存在下でさらに反応させて、式5
[上式中、Xは-I(5a)又は-Br(5b)である]
の化合物を得、
c-2)前記式5の化合物を、Pd(PPh)Cl、CuI、テトラメチルグアニジン(TMG)及び式7
の化合物の存在下でさらに反応させて、続いてNMPにおいてKOtBuと反応させて、式8
の化合物を得;さらに
d)前記式8の化合物を式9
の化合物と、(COCl)及びAlClの存在下でさらに反応させて、式1の化合物を得る、
工程a)及びb)における、式1の化合物を製造する方法が提供される。
【0016】
さらに他の好ましい実施態様においては、反応工程c-2)の前の反応工程b)が、NBSの存在下で実施され、Xがブロモ(5b)である式5の化合物が得られる、上述した方法が提供される。
【0017】
一般合成スキーム
上述した鈴木-宮浦-、園頭-及びフルーデル-クラフツ反応の反応パートナー及び条件は、一般的に、合成有機化学の当業者には知られており、とりわけ、有機化学の一般的になテキストに記載され又は言及されている。明示的に記載されていない場合は、式1の化合物を得るための上述の好ましい反応条件は、限定されるものではないが、次の一般的反応スキーム1に従い、要約することができる。本発明の重要な反応工程、すなわち化合物5から8への反応は、化合物D、好ましくは化合物6を用いた反応(鈴木-宮浦スキーム)を介して、又は化合物7を用いた反応(園頭スキーム)を介して達成可能である:
【0018】
本発明において、第1の鈴木-宮浦反応の反応パートナーは4-クロロフェニルボロン酸(3)である。第2の鈴木−宮浦の反応パートナーは、式(D)のビニルエーテルボロネート、例えばビニルボロン酸カテコール又はビニルボロン酸ピナコール(1-エトキシエテン-2-ボロン酸ピナコールエステル、6)であり、ビニルボロン酸ピナコールが特に好ましい。明示的に記載されていない場合は、化合物(D)又は(6)は、それらのE/Z異性体の混合物として存在する。
【0019】
反応は、パラジウム(Pd)触媒、好ましくはPdCl(dppf)CHCl、Pd(OAc)等の存在下で実施される。さらに、双方の鈴木-宮浦反応は、有機溶媒又は有機溶媒と水の混合物中において、塩基性条件(7以上のpH-値)下で実施される。本発明の好ましい塩基は、有機塩基又はアルカリ金属塩基、特に、N(CHCH)、NaCO、LiOH等である。好ましい有機溶媒は、トルエン、ジメチルホルムアミド(DMF)、又はジオキサンと水の混合物である。
第2の鈴木-宮浦反応に続いて、式(8)化合物が、酸の存在下、環化反応により得られる。適切な酸は当業者によく知られており、有機及び無機又は鉱酸を含む。本発明の好ましい酸は、HCl、HSO、HNO、CFCOOH等であり;HClが特に好ましい。
【0020】
本発明において、園頭反応の好ましい反応パートナーはエチニルトリメチルシラン(7)である。反応は、好ましくはトルエン中において、Pd(PPh)Cl及びCuIの存在下で実施される。式(8)の化合物を得るための反応に、続いて使用されるN-メチル-2-ピロリドン(NMP)中の強塩基は、上述したパラジウム触媒と共に、鈴木-宮浦反応に使用されるものよりも、より強塩基である。このような強塩基は、好ましくはアルカリ金属アルコレート等である。本発明において特に好ましくは、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)において使用されるKOtBuである。
【0021】
鈴木-宮浦-及び園頭反応は、好ましくは70〜120℃の温度範囲、又は使用される溶媒又は溶媒混合物の還流下で実施される。
【0022】
フリーデル-クラフツアシル化とも称される最後のフリーデル-クラフツ反応は、好ましくは、室温(rt)で、CHCl、及びDMF中において、AlCl及び(COCl)の存在下で実施される。
【0023】
ここで使用される場合、「室温」(rt)なる用語は、任意の付加的な加熱又は冷却をすることなく、反応が実施される場所の、周囲温度を意味する。本発明において、室温は、好ましくは18〜26℃、より好ましくは20〜24℃である。
【0024】
ここで使用される場合、-(C1-C6)アルキルなる用語は、1〜6の炭素原子、好ましくは2〜4の炭素原子を有する、直鎖状又は分枝状で飽和した炭化水素を意味する。本発明の最も好ましい-(C1-C6)アルキル基はエチルである。
【0025】
上述の「ハロゲン化反応」なる用語は、第1の鈴木-宮浦反応の生成物に、1つのヨード原子又は他のもの(例えばI)を導入するためのN-ヨードスクシンイミド(NIS);又は1つのブロモ元素を導入するためのN-ブロモスクシンイミド(NBS)のいずれかから選択される「ハロゲン化試薬」と、第1の鈴木-宮浦反応の生成物との反応のことである。NISとの反応は、好ましくは、トリフルオロ酢酸(TFA)及びDMFの存在下で実施される。NBSとの反応は、好ましくはDMF中において実施される。
【0026】
中間体
I)5置換7-アザインドール
本発明の式1の合成スキームにおける重要な特徴の一つは、式8の化合物を得るための、新規改良方法であることである。これらの改善性のために、上述の合成スキームは、以前記載された方法よりも、早く、安く、安全に、式1の化合物を製造する方法を、初めて提供するものである。
【0027】
これに基づき、本発明のさらなる実施態様では、式A
の化合物を製造する方法が提供され、該方法は、
a)式B
の化合物を、ハロゲン化試薬の存在下で反応させ、場合によっては、続いてアミノ保護基を導入して、式C
の化合物を得、
b)前記式Cの化合物を、パラジウム触媒、塩基及び式D又は7
の化合物の存在下でさらに反応させ、それぞれ式E又はF
の化合物を得、
c-1)式Eの化合物を酸でさらに処理し;又は
c-2)式Fの化合物を強塩基でさらに処理して、式Aの化合物を得;
ここで
Rは、-Br、又はハロゲンで1回又は数回置換されたか又は未置換のフェニルであり;
、R、R及びRは全てメチルであるか、又はそれらが結合している炭素原子と共同してフェニル環を形成し;
は-(C1-C6)アルキル又はベンジルであり;
Xは-Br又は-Iであり;さらに
及びYは、ベンジル、トリフルオロアセチル、アセチル、及び水素から独立して選択されることを特徴とする。
【0028】
上述した式E及びFの化合物は新規であり、本発明の他の実施態様を形成する。
【0029】
明示的に記載されていない場合は、式(E)及び(F)の化合物は、それらのE/Z異性体の混合物として存在する。
【0030】
ここで使用される場合、「ハロゲン化試薬」なる用語は、N-ブロモスクシンイミド(NBS)、N-ヨードスクシンイミド(NIS)、又はヨウ素と組合せられる過ヨウ素酸ナトリウム(I/NaIO)を意味する。式Bの化合物のヨウ素化には、トリフルオロ酢酸(TFA)の存在下でのNISの使用が特に好ましい。
【0031】
ここで使用される場合、-(C1-C6)アルキルなる用語は、1〜6の炭素原子、好ましくは2〜4の炭素原子を有する、直鎖状又は分枝状で飽和した炭化水素を意味する。本発明の最も好ましい-(C1-C6)アルキル基はエチルである。
【0032】
ここで使用される場合、「アミノ保護基」なる用語は、反応からアミノ基を保護するために、有機化学の当業者に公知の任意の保護基を意味する。本発明の好ましいアミノ保護基は、ベンジル、トリフルオロアセチル及びアセチルである。
【0033】
式Aの化合物を得るための方法に使用される、好ましいパラジウム触媒及び塩基は、スキーム1の反応に関連して上述されている。特に、上述した式Eの化合物に至らしめる反応工程b)は、好ましくはパラジウム触媒としてPdCl(dppf)CHCl、塩基としてLiOHの存在下で実施される。上述した式Fの化合物に至らしめる反応工程b)は、好ましくは、Pd(PPh)Cl、CuI及びテトラメチルグアニジン(TMG)の存在下で実施される。
【0034】
「強塩基」なる用語は、上述したパラジウム触媒と共に、鈴木-宮浦反応に使用されるものよりも、より強度のある塩基を意味する。好ましくは、「強塩基」なる用語は、アルカリ金属アルコレート等を意味する。本発明において特に好ましい強塩基は、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)中において好ましく使用されるKOtBuである。
【0035】
ここで使用される場合、「酸」なる用語は、有機及び無機又は鉱酸を意味する。本発明の好ましい酸は、HCl、HSO、HNO、CFCOOH等であり;HClが特に好ましい。
【0036】
本発明の好ましい実施態様では、上述した式A
の化合物を製造する方法が提供され、該方法は、
a)式B
の化合物を、N-ブロモスクシンイミド(NBS)又はN-ヨードスクシンイミド(NIS)又はヨウ素と組合せられた過ヨウ素酸ナトリウム(I/NaIO)の存在下で反応させ、場合によっては、続いてアミノ保護基を導入して、式C
の化合物を得、
b)前記式Cの化合物を、PdCl(dppf)CHCl、LiOH及び式D
の化合物の存在下でさらに反応させ、式E
の化合物を得、
c-1)式Eの化合物をHClでさらに処理して、式Aの化合物を得;
ここで
Rは、-Br、又はハロゲンで1回又は数回置換されたか又は未置換のフェニルであり;
、R、R及びRは全てメチルであるか、又はそれらが結合している炭素原子と共同してフェニル環を形成し;
は-(C1-C6)アルキル又はベンジルであり;
Xは-Br又は-Iであり;さらに
及びYは、ベンジル、トリフルオロアセチル、アセチル、及び水素から独立して選択されることを特徴とする。
【0037】
本発明の好ましい実施態様では、上述した式Eの化合物及び反応工程c-1)を介して、式Aの化合物を得る方法が提供され、ここで
Rは-Brであり、
全ての残りの置換基は上述したものである。
【0038】
本発明の他の好ましい実施態様では、上述した式Eの化合物及び反応工程c-1)を介して、式Aの化合物を得る方法が提供され、ここで
Rは-Brであり;
からRは全てメチルであり;
はエチルであり;
Xは-Iであり;
及びYは双方とも水素である。
【0039】
本発明の他の好ましい実施態様では、上述した式Eの化合物及び反応工程c-1)を介して、式Aの化合物を得る方法が提供され、ここで
Rは4-Cl-フェニルであり、
全ての残りの置換基は上述したものである。
【0040】
本発明の他の好ましい実施態様では、上述した式Eの化合物及び反応工程c-1)を介して、式Aの化合物を得る方法が提供され、ここで
Rは4-Cl-フェニルであり;
からRは全てメチルであり;
はエチルであり;
Xは-Brであり;
及びYは双方とも水素である。
【0041】
本発明のさらなる実施態様では、上述した式Fの化合物及び反応工程c-2)を介して、式A
の化合物の製造方法が提供され、該方法は、
a)式B
の化合物を、N-ブロモスクシンイミド(NBS)又はN-ヨードスクシンイミド(NIS)又はヨウ素と組合せられた過ヨウ素酸ナトリウム(I/NaIO)の存在下で反応させ、場合によっては、続いてアミノ保護基を導入して、式C
の化合物を得、
b)前記式Cの化合物を、Pd(PPh)Cl、CuI、テトラメチルグアニジン(TMG)及び式7
の化合物の存在下でさらに反応させ、式F
の化合物を得、
c-2)式Fの化合物をKOtBuの存在下でさらに反応させて、式Aの化合物を得;
ここで
Rは、-Br、又はハロゲンで1回又は数回置換されたか又は未置換のフェニルであり;
Xは-Br又は-Iであり;さらに
及びYは、ベンジル、トリフルオロアセチル、アセチル、及び水素から独立して選択されることを特徴とする。
【0042】
本発明の好ましい実施態様では、上述した式(F)の化合物を介して、式(A)の化合物を製造する方法が提供され、ここで
反応工程a)は、N-ヨードスクシンイミド(NIS)及びトリフルオロ酢酸の存在下で実施され;
反応工程b)は、Pd(PPh)Cl、CuI、テトラメチルグアニジン(TMG)及び式7の化合物の存在下、トルエンにおいて実施され;
反応工程c-2)は、N-メチル-2-ピロリドンにおいて、KOtBuの存在下で実施され;
Rは-Brであり;
Xは-Iであり;
及びYは双方とも水素である。
【0043】
II)ビニルボロン酸ピコナール
本発明によれば、式Aの化合物と、さらに続く式1の化合物の上述の改善された合成法は、特に5-Br-7-アザインドール及び5-(4-Cl-フェニル)-7-アザインドール等、式Aの化合物を生じる、対応する鈴木-宮浦反応において、ビニルボロネートを使用することに特に基づいている。ビニルボロネートの使用とその調製法は、当該技術分野で一般的に知られている。
【0044】
ビニルエーテルボロン酸カテコール(RからRが、それらが結合している炭素原子と共同してフェニル環を形成している、式Dの化合物)は、Satoh, M.; Miyaura, N,; Suzuki, A.; Synthesis 1987, 373に記載の手順に従い、次の反応スキーム2に従って、調製することができる:
【0045】
ビニルエーテルボロン酸ピナコール(RからRが全てメチルである、式Dの化合物)は、以下の反応スキーム3に従い調製することができる:
【0046】
しかしながら、双方の合成スキームは、工業的規模で使用される場合、大きな安全性に対する懸念を生じる非常に引火性のエトキシアセチレンを使用する。
【0047】
また、ビニルエーテルボロネートは、アルケンの脱水素ボリル化を使用して調製されている。この反応は、モノヒドリドボランを用いたアルケンの触媒性ヒドロホウ素化と、続く水素の除去からなる。しばしば、ロジウム、チタニウム及びルテニウム触媒が、この種の反応において使用される。これらの触媒に関する主たる問題は、多くが効果的な水素化触媒でもあり、よって、競合する水素化とヒドロホウ素化がその反応条件下で起こりうることである。
【0048】
ビニルボロネートの競合する水素化又はヒドロホウ素化が生ぜず、上述の安全性の問題を克服し、脱水素ボリル化を実施可能な触媒を見出すことが必要とされる。
【0049】
驚くべきことに、一般的に使用されている触媒のリストの中から、ある種のロジウム-、ルテニウム-又はパラジウム触媒を用いると、ほぼ排他的に、所望のビニルエーテルボロン酸ピナコールが形成されることを見出した。ほんの僅かな(約3%)ヒドロホウ素化生成物のみが検出された。
【0050】
したがって、本発明の他の実施態様では、式D
の化合物の製造方法が提供され、ここで、式G
の化合物を、パラジウム、ロジウム又はルテニウム-触媒の存在下、式H
の化合物と反応させて、式Dの化合物が得られ、ここで
、R、R及びRは全てメチルであるか、又はそれらが結合している炭素原子と共同してフェニル環を形成し;
は-(C1-C6)アルキル又はベンジルである。
【0051】
好ましい実施態様では、式Dの化合物を製造するための上述の方法が提供され、ここで、
、R、R及びRは全てメチルであり;
はエチルである。
【0052】
他の好ましい実施態様では、式Dの化合物を製造するための上述の方法は、Pd(OAc)、Pd(dba)、Pd(NO)、Pd/C(5%)、PdCl、Rh(OAc)又はRuClの存在下で実施される。
【0053】
他の好ましい実施態様では、式Dの化合物を製造するための上述の方法は、0.05〜0.5mol%のPd(OAc)の存在下、室温で実施される。
【0054】
ここで使用される場合、「室温」(rt)なる用語は、如何なる付加的な加熱又は冷却も行わないで、反応が実施される場所の雰囲気温度を意味する。本発明によれば、室温は、好ましくは18〜26℃、より好ましくは20〜24℃である。
本発明を、以下に添付する非限定的な実施例により例証する。
【実施例】
【0055】
実施例1
2-アミノ-5-(4-クロロフェニル)-ピリジン(4、第1の鈴木-宮浦反応)
2-アミノ-5-ブロモピリジン(2)を、ジオキサン/水において、2.2当量のNaCO及び1mol%のPd(OAc)と1mol%のPdCl(dppf).CHClの存在下、90℃で1.5時間、4-クロロフェニルボロン酸(3)と反応させた。室温まで冷却した後、生成物(4)を、HCl(25%、6当量)を添加することによりHCl塩として沈殿させ、ついで、真空下でジオキサンを除去した。塩を濾過し、ジエチルエーテルにおいて温浸させ、濾過し、ついで、NaOH水で処理することにより遊離のアミンに転換させた。濾過後、78%の収率で、生成物が単離された。また、生成物が、83%の収率でクロマトグラフィーによって単離された。MS(ターボスプレー):207(52%)、205(M+H、100%)、170(9%)。
【0056】
実施例2
2-アミノ-5-(4-クロロフェニル)-ピリジン(4)のハロゲン化
2-アミノ-5-(4-クロロフェニル)-ピリジン(4)を、アミノピリジンヨージド(5a)及びアミノピリジンブロミド(5b)に転換させた。ヨウ素及びAgSOを使用するヨウ素化により、室温で3日後、75%の転換が得られた。良好な結果は、NIS/TFAを用いて得られた。ピリジンブロミドはNBSを用いて調製できた。
【0057】
a)(4)のヨウ素化
DMF中の(4)とトリフルオロ酢酸(1.2当量)の溶液に、DMF中のN-ヨードスクシンイミド(NIS、1.1当量)を添加した。80℃で2.5時間攪拌した後、反応が完了した。水でのワークアップ後、生成物5aが、収率98%で単離された。MS(ターボスプレー):331(100%)、205(42%)、122(19%)。
【0058】
b)(4)の臭素化
DMF中の(4)の溶液にN-ブロモスクシンイミドを添加し、得られた反応溶液を室温で1時間攪拌した。水に溶液を添加した後、生成物を沈殿させ、ついで濾過した。少量の不純物を、ヘキサン中で生成物を温浸させることによって除去した。アミノピリジンブロミド(5b)が収率91%で単離された。MS(GC-スプリット):284(100%)、282(77%、M)、168(34%)、151(14%)、140(18%)、113(10%)。
【0059】
実施例3
5-(4-Cl-フェニル)アザインドール(8、第2の鈴木-宮浦反応経由)
I.ビニルボロン酸ピナコールのカップリング
I-a)ヨウ化物(5a)の環化:
DMFにヨウ化物(5a)及びビニルボロン酸ピナコール(6、1.3当量)の混合物が入ったものに、LiOH(3当量)、ついで不活性雰囲気(Ar)下でPdCl(dppf).CHCl(3mol%)を添加した。反応混合物を70℃まで加熱し、18時間攪拌した。HPLC分析により、ビニルエーテル「中間体-A」に完全に転換されたことが示された(MS:(ターボスプレー)277(33%)、275(M+H+、100%)、231(22%)、229(84%)、205(11%))。
50℃まで冷却した後、25%のHCl(15当量)を添加した。この温度で1時間、混合物を保持した。ワークアップ後、アザインドール8を結晶性固形物として、92%の収率で単離した。MS(ターボスプレー):231(26%)、229(M+H、100%)。
【0060】
I-b)臭化物の環化:
DMFに臭化物(5b)及びビニルボロン酸ピナコール(6、1.2当量)の混合物が入ったものに、LiOH(3当量)、ついでPdCl(dppf).CHCl(3mol%)を添加した。反応混合物を70℃まで加熱し、18時間攪拌した。HPLC分析により、ビニルエーテル中間体に完全に転換されたことが示された。反応混合物を50℃まで冷却した後、HCl(25%)を添加し、混合物をこの温度で1時間攪拌した。反応はこの時点で完了した。ワークアップ後、化合物8を結晶性固形物として、78%の収率で単離した。MS(ターボスプレー):231(35%)、229(M+H、100%)。
【0061】
II.ビニルボロン酸カテコールのカップリング
ジオキサン/水(80:20)中のヨウ化物(5a)及びビニルボロン酸カテコール(6a、1.1当量)の混合物に、LiOH(3当量)と、ついでPdCl(dppf).CHCl(3mol%)を添加した。反応混合物を80℃まで加熱し、24時間攪拌した。HPLC分析により、ビニルエーテル中間体に完全に転換されたことが示された。50℃まで冷却した後、25%のHCl(15当量)を添加し、混合物をこの温度で1時間保持した。ワークアップ後、アザインドール8を結晶性固形物として、68%の収率で単離した。MS(ターボスプレー):231(26%)、229(M+H、100%)。
【0062】
実施例4
プロパン-1-スルホン酸{3-[5-(4-クロロ-フェニル)-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-カルボニル]-2,4-ジフルオロ-フェニル}-アミド(1)
CHCl中のスルホンアミド酸(9)(1.2当量)の懸濁液を、触媒量のDMF(0.11当量)を用い、室温で処理した。30分以内に、CHCl中の塩化オキサリル(1.30当量)の溶液を添加し、反応混合物を2時間攪拌し、それによって、対応する酸塩化物を形成させた。CHCl中の塩化アルミニウム(AlCl、4当量)の懸濁液を、CHCl中のCl-フェニルアザインドール(8)の溶液を用い、0℃で処理した。ついで、反応混合物に室温で、新たに調製された(上述の)酸塩化物を添加した。室温で3時間攪拌し、水性ワークアップし、THF/ヘプタンから結晶化させ、収率85%でオフホワイト色の粉末として表題化合物(1)が得られた。MS(ターボスプレー):509(48%)、507(M+NH、100%)、492(40%)、490(M+H、84%)。
【0063】
実施例5
5-(4-Cl-フェニル)アザインドール(8、園頭反応経由)
トルエン中の臭化物5bの溶液をアルゴンで脱気し、ついでPdCl(PPh)Cl(0.17当量)及びCuI(0.17当量)で処理し、再度、アルゴンで脱気した。懸濁液にテトラメチルグアニジン(1.4当量)及びエチルトリメチルシラン(2当量)を添加し、100℃で2時間攪拌した。室温まで冷却した後、抽出ワークアップ及びクロマトグラフィー精製を行って、中間体Fを収率93%で集めた。MS(ターボスプレー):303(49%)、301(M+H、100%)。
1-メチル-2-ピロリジノン(NMP)に中間体Fが入った溶液を、カリウムtert-ブチレート(2当量)を用い、室温で処理した。混合物を120℃まで加熱し、2時間攪拌した。室温まで冷却した後、抽出ワークアップ及びEtOH/水から結晶化させたところ、表題の化合物(8)が収率80%で収集された。MS(ターボスプレー):231(26%)、229(M+H、100%)。
中間体X:MS(ターボスプレー):231(41%)、229(M+H、100%)。
【0064】
実施例6
2-アミノ-5-ブロモ-3-ヨードピリジン(11)
a)NIS手順:
DMF中の2-アミノ-5-ブロモピリジン(2)の溶液に、トリフルオロ酢酸(1.2当量)を添加した。室温で、N-ヨードスクシンイミド(1.1当量)を添加し、反応混合物を50℃で3時間加熱した。HPLCにより、完全な転換が示された。室温まで冷却した後、反応混合物を水に添加することにより、生成物を沈殿させた。チオ硫酸ナトリウムと1NのNaOHを用いて中和させた後、収率90%、褐色の固形物として、濾過により、表題の化合物(11)が集められた。
【0065】
b)I/NaIO手順:
アセトニトリル中の2-アミノ-5-ブロモピリジン(2)の溶液に、過ヨウ素酸ナトリウム(0.4当量)とヨウ素(0.65当量)を添加した。トリフルオロ酢酸(0.65当量)を15分以上かけて添加し、反応混合物を80℃で一晩加熱した。HPLCにより、この時点で96%転換していることが示された。亜硫酸ナトリウムの水溶液、続いてさらなる水を添加し、生成物を沈殿させ、濾過し、水で洗浄した。収率75%、褐色の結晶性固形物として、表題化合物(11)が分離された。MS(ターボスプレー):298(M+H、100%)。
【0066】
実施例7
5-ブロモ-7-アザインドール(12、鈴木-宮浦反応経由)
2-アミノ-3-ヨード-5-ブロモピリジン(11)を、LiOH(3当量)及びPdCl(dppf).CHCl(1mol%)の存在下、ビニルエチルエーテルボロン酸ピナコール(6、1.3当量)と反応させた。70℃で18時間後、アミノピリジンビニルエーテルに完全に転換されたことが観察された(中間体-C)。25%のHClを添加することにより、すぐにビニルエーテルを加水分解させ、反応混合物を50℃で1時間攪拌した。ワークアップし、トルエン/ヘプタンから結晶化させ、収率87%で表題化合物(12)が得られた。MS(ターボスプレー):199(M+H、100%)。中間体:MS(ターボスプレー):243(M+H)、199。
【0067】
実施例8
5-ブロモ-7-アザインドール(12、園頭反応経由)
2-アミノ-3-ヨード-5-ブロモピリジン(11)をアルゴンで脱気し、ついで、PdCl(PPh)Cl(0.17当量)及びCuI(0.17当量)で処理し、再度、アルゴンで脱気した。懸濁液に、テトラメチルグアニジン(1.4当量)及びエチルトリメチルシラン(2当量)を添加し、80℃で1時間攪拌した。室温まで冷却した後、抽出ワークアップをし、中間体が収率83%で褐色固形物として集められた。
1-メチル-2-ピロリジノン(NMP)中の中間体の溶液を、カリウムtert-ブチレート(2当量)を用い、室温で処理した。混合物を80℃まで加熱し、1時間攪拌した。室温まで冷却した後、抽出ワークアップ及びクロマトグラフィー精製し、表題化合物(12)が非最適収率53%で集められた。
【0068】
実施例9
ビニルボロン酸ピナコール(6)
ボロン酸ピナコール(10)と4.1当量のエチルビニルエーテルを、0.05mol%のPd(OAc)の存在下、反応が完了するまで(20時間)、室温で攪拌した。ついで、混合物を濃縮し、真空下で生成物を蒸留し、収率83%で無色の液体として、ビニルボロン酸ピナコール(6)が得られた。生成物はE/Z異性体の混合物(約2:1の比率)からなる。MS(ターボスプレー):199(M+H、100%)、216(M+NH)。