(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1シール材は前記第1スリーブの内周面と前記第1配管の外周面との間に第1隙間を形成し、前記第2シール材は前記第2配管の外周面と前記外側スリーブの内周面との間に第2隙間を形成し、
前記第1シール材と前記第2シール材とは、前記第1配管と前記第2配管との間の所望範囲の曲げ移動を許容し前記第1隙間と前記第2隙間との大きさを自動調整するように変形する
ことを特徴とする請求項1に記載の伸縮可撓継手。
前記第1ストッパーは、前記第1基準部と前記第1基準取付部との間に掛けられ軸方向に第1長穴が形成された第1プレート体と、前記第1プレート体を前記第1長穴に沿って案内する第1案内体とを有し、
前記第1案内体が前記第1長穴の一端に当接するときに、前記第1基準部と前記第1基準取付部との間隔が前記第1所定制限長さになり、
前記第2ストッパーは、前記第2基準部と前記第2基準取付部との間に掛けられ軸方向に第2長穴が形成された第2プレート体と、前記第2プレート体を前記第2長穴に沿って案内する第2案内体を有し、
前記第2案内体が前記第2長穴の一端に当接するときに、前記第2基準部と前記第2基準取付部との間隔が前記第2所定制限長さになる
ことを特徴とする請求項1に記載の伸縮可撓継手。
前記第1ストッパーは、前記第1基準部に一端が旋回自在に取り付けられた第1旋回部と、前記第1基準取付部に一端が旋回自在に取り付けられた第1折れ部と、前記第1旋回部の他端と前記第1折れ部の他端を旋回自在に結合する第1旋回ピンとを有し、前記第1旋回部と前記第1折れ部とが直線状になるときに前記第1基準部と前記第1基準取付部との間隔が前記第1所定制限長さになり、
前記第2ストッパーは、前記第2基準部に一端が旋回自在に取り付けられた第2旋回部と、前記第2基準取付部に一端が旋回自在に取り付けられた第2折れ部と、前記第2旋回部の他端と前記第2折れ部の他端を旋回自在に結合する第2旋回ピンとを有し、前記第2旋回部と前記第2折れ部とが直線状になるときに前記第2基準部と前記第2基準取付部との間隔が前記第2所定制限長さになる
ことを特徴とする請求項1に記載の伸縮可撓継手。
前記第1スリーブを前記第1配管の反端部方向に移動させるように前記第1スリーブに作用するとともに前記外側スリーブを前記第2配管の反端部方向に移動させるように前記外側スリーブに作用する外力が、所定閾値を超えない場合に前記第1スリーブと前記外側スリーブとの間の重なって静止した状態を維持させ、前記外力が前記所定閾値を超える場合に前記重なって静止した状態を解除し前記第1スリーブに対する前記外側スリーブの相対移動を可能にする、前記第1スリーブと前記外側スリーブとの間の軸方向の相対移動を制限するブレーキ部
を備えることを特徴とする請求項1、4、6〜10のいずれか一項に記載の伸縮可撓継手。
前記ブレーキ部は、前記外側スリーブと前記第1スリーブとの間に架設されたヒューズ体を有し、前記ヒューズ体は、前記外力が前記所定閾値を超えない場合に前記外側スリーブと前記第1スリーブとの間に架設され状態に維持され、前記外力が前記所定閾値を超える場合に前記外力を受け切断される
ことを特徴とする請求項11に記載の伸縮可撓継手。
前記第1シール材と前記第2シール材と前記第3シール材とのいずれかは、前記第1スリーブに対する前記外側スリーブの軸方向の相対移動を生じにくくするように作用する補助的ブレーキの機能を兼ねる
ことを特徴とする請求項11に記載の伸縮可撓継手。
前記第1スリーブの前記第1基準取付部またはその近傍に設けられた第1固定部と、前記外側スリーブの前記第2基準取付部またはその近傍に設けられた第2固定部と、前記第1固定部と前記第2固定部との間隔が、前記第1スリーブと前記外側スリーブとが前記第3シール材によって液密シールの関係を維持可能な許容限度長である第3所定制限長さを超えないように、前記第1スリーブと前記外側スリーブとの軸方向の移動を制限する第3ストッパーとを備える第3制限長部を備える
ことを特徴とする請求項1、4、6〜10のいずれか一項に記載の伸縮可撓継手。
前記第3ストッパーは、前記第1固定部または前記第2固定部とのいずれかに一端が取り付けられ軸方向に第3長穴が形成された長穴板体と、前記第2固定部または前記第1固定部とのいずれかに一端が取り付けられ前記第3長穴に嵌められる案内部が設けられた案内体とを有し、前記第1固定部と前記第2固定部との間隔は、前記案内部が前記第3長穴の一端に当接するときに、前記第3所定制限長さになる
ことを特徴とする請求項16に記載の伸縮可撓継手。
前記第1スリーブの軸方向の一端側の外周面に突出する第1凸部と、前記外側スリーブの軸方向の他端側の内周面に突出し前記第1凸部に当接可能な第2凸部とを有し、前記第1基準取付部と前記第2基準取付部との間隔が、前記第1スリーブと前記外側スリーブとが前記第3シール材によって液密シールの関係を維持可能な許容限度長である第3所定制限長さを超えないように、前記第1凸部と前記第2凸部とは互いに当接する、第3制限長部を備える
ことを特徴とする請求項1、4、6〜10のいずれか一項に記載の伸縮可撓継手。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下に図面を参照し、本件発明の実施形態について説明する。
図4を参照して本件発明の第1の実施の形態について説明する。
【0045】
図4において、第1配管1は、例えば水力発電所の建屋4に接続され、第1配管1と第2配管2とは管状に構成されたスリーブ5を備えた伸縮可撓継手3によって伸縮及び曲げ自在に接続されている。第1配管1、第2配管2及び伸縮可撓継手3は、海中や地中に埋設されている。
【0046】
伸縮可撓継手3のスリーブ5は、第1配管1の端部と第2配管2の端部とが挿入される管状の第1スリーブ6と、第1スリーブ6の外側に設けられた管状の外側スリーブ7とを備えている。外側スリーブ7は、第1スリーブ6に対し初期的に設定される重なった状態と重なりが解除された状態との間を軸方向に第1スリーブ6に対し相対移動可能である。本実施の形態では、外側スリーブ7は、第1スリーブ6の外側に配置される単一の外側構成スリーブからなるが、後述のように。外側スリーブ7は、互いに重なって配置される複数の構成スリーブからなるようにすることも可能である。
【0047】
また、伸縮可撓継手3は、第1シール材17と第2シール材18と第3シール材19を備えている。
【0048】
第1シール材17は、第1スリーブ6の内周面と第1配管1の端部の外周面との間を、第1スリーブ6と第1配管1とが軸方向に相対移動可能に液密シールする。
【0049】
ここで、第1シール材17が配置される位置としては、
図4に示されるように第1シール材17は第1スリーブ6の内周面と第1配管1の外周面との間に実際に挟まれるように配置されてもよく、あるいはこれに限らず、第1シール材17は、例えば
図14等で示すように、第1スリーブ6の端部に配置され、第1スリーブ6の内周面と第1配管1の外周面との間を液密シールするようにしてもよい。
【0050】
第2シール材18は、外側スリーブ7の内周面と第2配管2の外周面との間を、外側スリーブ7と第2配管2とが軸方向に相対移動可能に液密シールする。
【0051】
第2シール材18を外側スリーブ7の内周面と第2配管2の外周面との間に保持するために、種々の手法が可能であるが、例えば、外側スリーブ7の端部には第2シール材18を囲うように屈曲部を形成することも可能である。第2シール材18が配置される位置としては、例えば
図14等で示すように、外側スリーブ7の一方の端部に配置され、外側スリーブ7の内周面と第2配管2の外周面との間を液密シールするようにしてもよい。
【0052】
第3シール材19は、第1スリーブ6の外周面と外側スリーブ7の内周面との間を、第1スリーブ6と外側スリーブ7とが軸方向に相対移動可能に液密シールする。
【0053】
第3シール材19の取り付け方としては、種々あるが、例えば、第3シール材19を第1スリーブ6の外周面と外側スリーブ7の内周面との間に保持するように、第3シール材19を保持するための溝部を外側スリーブ7の内周面に形成してもよい。また、第3シール材19が配置される位置としては、例えば
図14等で示すように、外側スリーブ7の他方端部に配置され、第1スリーブ6の外周面と外側スリーブ7の内周面との間を液密シールするようにしてもよい。
【0054】
また、伸縮可撓継手3は、第1配管1に固着して設けられた第1基準部10と、第1スリーブ6に設けられた第1基準取付部21と、第1基準部10と第1基準取付部21との間隔が、第1スリーブ6と第1配管1とが第1シール材17によって液密シールの関係を維持可能な許容限度長である第1所定制限長さL1を超えないように、第1配管1と第1スリーブ6との軸方向の移動を制限する第1ストッパー27とを有する第1制限長部24を備えている。
【0055】
また、伸縮可撓継手3は、第2配管2に固着して設けられた第2基準部11と、外側スリーブ7に設けられた第2基準取付部22と、第2基準部11と第2基準取付部22との間隔が、外側スリーブ7と第2配管2とが第2シール材18によって液密シールの関係を維持可能な許容限度長である第2所定制限長さL2を超えないように、第2配管2と外側スリーブ7との軸方向の移動を制限する第2ストッパー28とを有する第2制限長部25を備えている。通常、第1所定制限長さL1と第2所定制限長さL2とは等しい長さに設定されているが、両者の長さは互いに異なっていてもよい。
【0056】
図4においては、第1シール材17と第2シール材18と第3シール材19がOリング状に表示されているが、これは模式的に示したものであり、第1シール材17と第2シール材18と第3シール材19としては、内圧及び外圧に対して自動的自己変形しシール性を確保するオートマチックシール性を有するものであることが望ましい。
【0057】
第1シール材17は第1スリーブ6の内周面と第1配管1の端部の外周面との間に第1隙間δ1を形成し、第2シール材18と第3シール材19は、第1スリーブ6の外周面と外側スリーブ7の内周面との間に例えば第1隙間δ1とほぼ同等の第2隙間δ2を形成しており、第1隙間δ1と第2隙間δ2とは、第1配管1と第2配管2との間で想定される所定範囲の曲げ移動を許容するように設定されている。
【0058】
後述する具体的な実施形態で示すように、第1シール材17と第2シール材18とは、リップ付きシール材であることが望ましく、この場合、第1シール材17と第2シール材18とは、第1配管1と第2配管2との間の想定する所望範囲の曲げ移動を許容し第1隙間δ1と第2隙間δ2の大きさを自動調整するように変形する。
【0059】
第1配管1と第2配管2とを連結する伸縮可撓継手3の内部には流体が流れており、
図4に示すように、第1スリーブ6の内壁面には単位面積当たりの力である圧力Pが作用しており、圧力Pにより、第1スリーブ6を第1配管1の端部と反対方向である反端部方向に移動させるように第1スリーブ6に外力Fが作用する。また、同様に、外側スリーブ6の内壁面には単位面積当たりの力である圧力Pが作用しており、圧力Pにより、外側スリーブ7を第2配管2の端部と反対方向である反端部方向に移動させるように外側スリーブ7に外力Fが作用する。
【0060】
ここで、外力Fとは、第1スリーブ6や外側スリーブ7の内壁面に作用する単位面積当たりの力である圧力Pによって、第1スリーブ6に対する外側スリーブ7の相対移動を可能にするように作用する力の総和をいう。
【0061】
第1スリーブ6と外側スリーブ7とは、伸縮可撓継手3が設置場所に設定されるときには、初期的に互いに最も重なった状態(重なり長さS)で設定される。外力Fが通常の大きさにある場合には、第1スリーブ6と外側スリーブ7とは、伸縮可撓継手3が設置場所に設定されたときの重なって静止した状態に維持される。
【0062】
地震等の影響により大きな外力Fが発生する場合を想定する。この場合、第1配管1と第1スリーブ6とは、互いに液密シールの関係を維持した状態で第1基準部10と第1基準取付部21との間隔が第1所定制限長さL1になるまで、軸方向の相対的に伸長することが可能になる。同様に、第2配管2と外側スリーブ7とは、互いに液密シールの関係を維持した状態で第2基準部11と第2基準取付部22との間隔が第2所定制限長さL2になるまで、軸方向の相対的に伸長することが可能になる。この結果、第1配管1と第2配管2とは相対的に、少なくともL1+L2の伸長が可能になる。
【0063】
ここで、本実施形態では、第1スリーブ6と外側スリーブ7とは、第3シール材19によって軸方向に相対移動可能に液密シールされているだけであり、第1スリーブ6と外側スリーブ7との間における軸方向相対移動を制限する機構は何も設けられていない。
【0064】
しかしながら、第1スリーブ6と外側スリーブ7との間の重なり長さSを十分に大きくすることによって、第1スリーブ6と外側スリーブ7とが第3シール材19によって軸方向に相対移動可能に液密シールされている状態を確保することとが可能になる。
【0065】
また、大きな外力Fにより伸縮可撓継手3が伸長する場合に、第1スリーブ6と外側スリーブ7との間の間隔が伸長するよりもまず、第1基準部10と第1基準取付部21との間隔と第2基準部11と第2基準取付部22との間隔が伸長しやすいことが経験的に知られている。そこで、通常的には、大きな外力Fにより伸縮可撓継手3が伸長する場合に、まず、第1制限長部24と第2制限長部25の作用によってL1+L2の長さだけ伸縮可撓継手3が伸長し、さらに必要な場合には、重なり長さSの範囲以内で第1スリーブ6と外側スリーブ7とが軸方向に相対移動しさらに伸縮可撓継手3が重なり長さSに近い長さまで伸長することが想定される。
【0066】
上述のように、本実施形態によれば、伸縮可撓継手3は第1スリーブ6と外側スリーブ7との間で大きな重なり長さSを有するので、第1制限長部24と第2制限長部25の作用によってL1+L2の長さだけ伸長することが可能であるだけでなく、L1+L2の長さに加えて重なり長さSに近い長さまで伸長することが可能になる。
【0067】
また、第1スリーブ6の内周面と第1配管1の外周面とは第1シール材17によって支持され、外側スリーブ7の内周面と第2配管2の外周面とは第2シール材18によって支持されているので、第1シール材17と第2シール材18とが変形することによって第1隙間δ1と第2隙間δ2の大きさが自動調整され、第1配管1と第2配管2とは曲げ移動を許容することが可能になる。この場合、第1シール材17と第2シール材18とをリップ付きシール材を採用することによって簡易に想定する所望範囲の曲げ移動を許容することが可能になる。
【0068】
次に、
図5を参照して本件発明の第2の実施の形態について説明する。
図4に示す場合は外側スリーブ7は第1スリーブ6の外側に配置される単一の外側構成スリーブからなるのに対し、
図5においては、外側スリーブ7は、互いに重なって配置される複数の構成スリーブ、例えば2つの構成スリーブである内側構成スリーブ7aと内側構成スリーブ7aの外側に設けられる外側構成スリーブ7bとからなる。
【0069】
内側構成スリーブ7aと外側構成スリーブ7bとの間には、第4シール材20が設けられている。第4シール材20は、内側構成スリーブ7aの外周面と外側構成スリーブ7bの内周面との間を、内側構成スリーブ7aと外側構成スリーブ7bとが軸方向に相対移動可能に液密シールする。
【0070】
本実施の形態によれば、外側スリーブ7は互いに重なって配置される内側構成スリーブ7aと外側構成スリーブ7bとからなるので、総計の長さL1+L2+2Sの長さの軸線方向の伸びに対応することが可能になる。
【0071】
なお、ここでは、複数の構成スリーブとして2つの構成スリーブ7a、7bの例を示すが、3つ以上の構成スリーブであってもよい。この場合、第4シール材20を設けたようにシール材を構成スリーブの間に設ければよい。n個の構成スリーブから構成することにより、総計の長さL1+L2+nSの長さの軸線方向の伸びに対応することが可能になる。
【0072】
次に、
図6を参照して本件発明の第3の実施の形態について説明する。
図4に示す第1の実施の形態の場合は、第3シール材19は、第1スリーブ6と外側スリーブ7とが軸方向に相対移動可能に液密シールするように、第1スリーブ6の外周面と外側スリーブ7の内周面との隙間に設けられていた。これに対して、
図6に示す第3の実施の形態の場合は、第3シール材19は、外側スリーブ7の一端部と第1スリーブ6の外周面との間に設けられている。この場合、簡易な構成で 第3シール材19を保持することが可能になる。
【0073】
この第3の実施の形態を
図5に示す第2の実施の形態に適用する場合には、最も外側の外側構成スリーブ7bの一端部と内側構成スリーブ7aの外周面との間に適用する。
【0074】
また、上述の
図6に示す場合においては、第3シール材19について説明したが、第1シール材17と第2シール材18についても同様に考えることができる。
すなわち、第1シール材17を第1スリーブ6の端部に配置して第1スリーブ6の内周面と第1配管1の外周面との間を液密シールするようにしてもよく、第2シール材18を外側スリーブ7の端部に配置して外側スリーブ7の内周面と第2配管2の外周面との間を液密シールにしてもよい。
【0075】
次に、
図7を参照して本件発明の第4の実施の形態について説明する。
第4の実施の形態は、
図4に示す第1の実施の形態に第3制限長部26をさらに設けたものである。
【0076】
第3制限長部26は、第1スリーブ6の第1基準取付部21またはその近傍に設けられた第1固定部31と、外側スリーブ7の第2基準取付部22またはその近傍に設けられた第2固定部32と、第3ストッパー29とを備えている。第3ストッパー29は、第1固定部31と第2固定部32との間隔が、第1スリーブ6と外側スリーブ7とが第3シール材19によって液密シールの関係を維持可能な許容限度長である第3所定制限長さL3を超えないように、第1スリーブ6と外側スリーブ7との軸方向の移動を制限する。
【0077】
図7には、第1固定部31が第1基準取付部21に設けられ、第2固定部32が第2基準取付部22に設けられた例が示されている。
【0078】
地震等の影響により大きな外力Fが発生することによって、第1基準部10と第1基準取付部21との間隔が第1所定制限長さL1になり第2基準部11と第2基準取付部22との間隔が第2所定制限長さL2になることに加えて、さらに第1スリーブ6と外側スリーブ7とが軸方向に大きく離反する方向に移動することがあり得る。また、配管地域の地形学的条件等に依存して、第1配管1と第1スリーブ6との間の軸方向の相対的移動や第2配管2と外側スリーブ7との間の軸方向の相対的移動に対してより優先的に、第1スリーブ6と外側スリーブ7との間の軸方向の相対的移動が起こる可能性もある。これらの状況において、第3制限長部26によって第1スリーブ6と外側スリーブ7との軸方向の移動を制限することによって、第1スリーブ6と外側スリーブ7とが第3シール材19によって液密シールの関係を維持することが保証される。
【0079】
次に、
図8を参照して本件発明の第5の実施の形態について説明する。第5の実施の形態は、
図4に示す第1の実施の形態にブレーキ部13をさらに設けたものである。
【0080】
前述したように、第1スリーブ6を第1配管1の端部と反対方向である反端部方向に移動させるように第1スリーブ6に外力Fが作用し、外側スリーブ7を第2配管2の端部と反対方向である反端部方向に移動させるように外側スリーブ7に外力Fが作用する。
【0081】
ブレーキ部13は、第1スリーブ6と外側スリーブ7との間の軸方向の相対移動を制限するように機能するものである。ブレーキ部13は、外力Fが所定閾値Foを超えない場合には、外側スリーブ7を重なって静止した状態に維持させ、外力Fが所定閾値Foを超える場合には、前記重なって静止した状態を解除し第1スリーブ6に対する外側スリーブ7の相対移動を可能にする。
【0082】
所定閾値Foは、既知の値として予め経験的に想定し設定される値である。所定閾値Foの値を比較的大きな値に設定することにより、第1制限長部24と第2制限長部25とを優先的に作動させ、第1制限長部24と第2制限長部25とが作動するまでは、第1スリーブ6と外側スリーブ7との間の軸方向の相対移動を容易には生じないようにすることができる。これによって、地震等の影響により大きな外力Fが発生する場合において、第1制限長部24及び第2制限長部25によるL1+L2の長さの軸線方向の許容伸び長さを確実に確保した上で、第1スリーブ6と外側スリーブ7との間の伸びを加算することが可能になる。
【0083】
次に、
図9乃至
図12を参照して本件発明の第6の実施の形態について説明する。第6の実施の形態は、
図4を参照して説明した第1の実施の形態における第1制限長部24と第2制限長部25の一具体例を採用し、
図8を参照して説明した第5の実施の形態におけるブレーキ部13に一具体例を採用したものである。
【0084】
図9において、第1制限長部24における第1ストッパー27は第1基準部10と第1基準取付部21との間に掛けられた第1ボルト33と第1ボルト33に取り付けられる第1ナット34を有する。そして、第1ボルト33の頭部が第1基準部10または第1基準取付部21に当接するときに、第1基準部10と第1基準取付部21との間隔が第1所定制限長さL1になるように、第1ボルト33の長さが設定されている。
【0085】
同様に、第2制限長部25における第2ストッパー28は第2基準部11と第2基準取付部22との間に掛けられた第2ボルト35と第2ボルト35に取り付けられる第2ナット36を有する。そして、第2ボルト35の頭部が第2基準部11または第2基準取付部22に当接するときに、第2基準部11と第2基準取付部22との間隔が第2所定制限長さL2になるように、第2ボルト35の長さが設定されている。
【0086】
次に、第1スリーブ6と外側スリーブ7との間の軸方向の相対移動を制限するように機能するブレーキ部13について説明する。本実施の形態においては、ブレーキ部13は、外側スリーブ7の端部近傍から突出した腕体14と腕体14に保持された摩擦体15を有している。摩擦体15はゴム材から構成されている。摩擦体15の底面は腕体14によって第1スリーブ6の外周面に押し付けられている。摩擦体15の底面と第1スリーブ6の外周面との間には、第1スリーブ6や外側スリーブ7との軸方向の相対移動により摩擦力が生じ、この摩擦力の大きさは設定される所定閾値Foになるように、摩擦体15を構成するゴム材の材質や面積等が選定されている。外力Fがこの摩擦力で与えられる所定閾値Foを超えない場合に第1スリーブ6と一体的に移動し重なった状態が維持され、外力Fが所定閾値Foを超える場合に第1スリーブ6に対する外側スリーブ7の相対移動を可能にする。
【0087】
また、摩擦体15の底面の大きさをコンパクトに形成する場合に、摩擦体15のみでは十分な大きさの摩擦力を生じさせることができないことも考えられる。この場合、第1シール材16と第2シール材17と第3シール材18とのいずれかに大きな摩擦性を持たせ、これによって、ブレーキ部13のブレーキ作用に対して加算的にブレーキ作用をする補助的ブレーキの機能を兼ねさせることも可能である。
【0088】
なお、外力Fが所定閾値Foより大きいか小さいかによって上述のようにブレーキ作用が解除されるか否かが所定閾値Foを境にしてデジタル的に決まるが、所定閾値Foの値に曖昧領域を加えることによってブレーキ作用の切り替えをより円滑に行われるようにすることも可能である。
【0089】
次に、
図10乃至
図12を参照して、伸縮可撓継手3の動きについて説明する。
図10は、第1配管1と第2配管2とが直線的に伸縮可撓継手3によって初期的に連結された状態を示す。伸縮可撓継手3の製品全長がLで示されている。第1スリーブ6と外側スリーブ7との重なり長がSで示されている。
【0090】
第1配管1と第2配管2との間隔が軸方向に伸びる場合に、第1ストッパー27と第2ストッパー28とのいずれか一方、例えば第1ストッパー27がその伸びに対応し、第1ストッパー27の第1ボルト33の頭部が基準取付部21に当接するとともに第1ナット34が第1基準部10に当接するまで、第1配管1が第1スリーブ6に対し軸方向に第1所定制限長さL1の範囲で移動可能になる。次に、さらに第1配管1と第2配管2との間隔が軸方向に伸びる場合に、第2ストッパー28がその伸びに対応し、第2ストッパー28の第2ボルト35の頭部が基準取付部22に当接するとともに第2ナット36が第2基準部11に当接するまで、第2配管2が外側スリーブ7に対し軸方向に第2所定制限長さL2の範囲で移動可能になり、総計でL1+L2の長さの軸方向の移動が吸収され許容される。
【0091】
図11は、第1配管1と第2配管2との間に、軸線方向に大きな伸縮は生じていないが偏心量δが生じた状態を示す。これに対して、伸縮可撓継手3が軸線方向に対し角度θだけ傾斜するとともに、第1制限長部24と第2制限長部25によって第1配管1と第2配管2との間の間隔の伸びを許容することによって、偏心量δを吸収している。
【0092】
ここで、伸縮可撓継手3が軸線方向に対し角度θだけ傾斜することは、第1シール材17と第2シール材18とが自動的に形状変形することによって可能になる。第1シール材17と第2シール材18としてリップ付きシール材を採用し、自動的自己変によってオートマチックシール性を有するようにすればよい。
【0093】
図12は、第1配管1と第2配管2との間に軸線方向に伸縮可撓継手3に許容可能な最大の伸びが生じるとともに偏心量δが生じた状態を示す。
【0094】
第1配管1と第2配管2との間の軸線方向の伸びが非常に大きく、第1スリーブ6に作用する外力Fが大きくなり所定閾値Foを越え、第1スリーブ6に対し外側スリーブ7が第3シール材19によって液密シールの関係を維持する限界の長さまで相対移動しており、伸縮可撓継手3はほぼL1+L2+2Sの長さに伸びている。
【0095】
なお、上述の説明においては、第1配管1と第2配管2との間に軸線方向の伸縮と偏心とが生じた場合について取り上げたが、第1配管1と第2配管2との間の捻れ等が生じた場合においても、第1シール材17と第2シール材18と第3シール材19と、第1制限長部24と第2制限長部25が協働することによって対応することが可能である。
【0096】
また、第1の実施の形態の説明で示したように、第1スリーブ6の内周面と第1配管1の端部の外周面との間の第1隙間δ1、第1スリーブ6の外周面と外側スリーブ7の内周面との間の第2隙間δ2、及び第1シール材17と第2シール材18と第3シール材19の厚さは、対応すべき偏心量δや角度θの大きさを考慮して設定される。
【0097】
次に。
図13を参照して、本件発明の第7の実施の形態について説明する。
第7実施の形態は、
図5を参照して説明した第2の実施の形態にブレーキ部13及び外側ブレーキ部13aをさらに備えている。
【0098】
また、ブレーキ部13及び外側ブレーキ部13aとして、第6実施の形態の場合と同様の構成のものを備えている。また、第1制限長部24と第2制限長部25として、第6実施の形態の場合と同様の構成のものを備えている。この意味で、第7実施の形態は、第6実施の形態を拡張したものともいえる。
【0099】
図9に示す第6の実施の形態では、外側スリーブ7は第1スリーブ6の外側に配置される単一の外側構成スリーブからなるのに対し、
図13においては、外側スリーブ7は、互いに重なって配置される複数の構成スリーブ、例えば2つの構成スリーブである内側構成スリーブ7aと内側構成スリーブ7aの外側に設けられる外側構成スリーブ7bとからなる。
【0100】
第1スリーブ6と内側構成スリーブ7aの間には、第1スリーブ6に対する内側構成スリーブ7aの軸方向の相対移動を制限するブレーキ部13が設けられている。ブレーキ部13は、内側構成スリーブ7aの端部近傍から突出した腕体14と腕体14に保持された摩擦体15を有している。摩擦体15の底面は腕体14によって第1スリーブ6の外周面に押し付けられている。
【0101】
内側構成スリーブ7aと外側構成スリーブ7bとの間には、内側構成スリーブ7aに対する外側構成スリーブ7bの軸方向の相対移動を制限する外側ブレーキ部13aが設けられている。外側ブレーキ部13aはブレーキ部13と同様の構成を有する。
【0102】
なお、外側ブレーキ部13aとブレーキ部13とは、接触摩擦面積や表面荒さ等を変えることにより、互いに異なる大きさの所定閾値Foを設定することも可能である。例えば、外側ブレーキ部13aにおける所定閾値Foの大きさをブレーキ部13における所定閾値Foの大きさに比べてより小さくすることにより、内側構成スリーブ7aと外側構成スリーブ7bとの間を第1スリーブ6と内側構成スリーブ7aの間よりも優先的に伸びるようにすることも可能であり、また、この逆も可能である。
【0103】
また、外側ブレーキ部13aとブレーキ部13とに設定される所定閾値Foを大きく設定することにより、第1制限長部24と第2制限長部25を優先的に作動するようにすることが可能になる。
【0104】
次に、
図14乃至
図21を参照して本件発明の第8実施の形態について説明する。
図14において、点線に対して上部は伸縮可撓継手3の断面を示し、点線に対して下部は伸縮可撓継手3の平面を示す。
図15は、
図14において、Aから見た端面とBから見た端面とを示すものである。
図20は伸縮可撓継手3の上部部分を示す図である。
【0105】
第8実施の形態は、
図9乃至
図12に示した第6実施の形態に比べて、第1制限長部24と第2制限長部25及びブレーキ部13の構成が異なる。
【0106】
第8実施の形態においては、第1制限長部24における第1ストッパー27は、第1基準部10と第1基準取付部21との間に掛けられた第1プレート体51を有する。第1プレート体51には軸方向に第1長穴52が形成されている。第1プレート体51は第1基準部10にビス材53によって固着されている。また、第1ストッパー27は、第1プレート体51を第1長穴52に沿って案内するビス材からなる第1案内体54を有する。第1プレート体51は、第1長穴52が第1案内体54によって案内されて、軸線方向に移動可能である。第1案内体54が第1長穴52の
図14において左端に当接するときに、第1基準部10と第1基準取付部21との間隔が第1所定制限長さL1になる。
【0107】
同様に、第2制限長部25における第2ストッパー28は、第2基準部11と第2基準取付部22との間に掛けられた第2プレート体55を有する。第2プレート体55には軸方向に第2長穴56が形成されている。第2プレート体55は第2基準部11にビス材57によって固着されている。また、第2ストッパー28は、第2プレート体55を第2長穴56に沿って案内するビス材からなる第2案内体58を有する。第2プレート体55は、第2長穴56が第2案内体58によって案内されて、軸線方向に移動可能である。第2案内体58が第2長穴56の
図14において右端に当接するときに、第2基準部11と第2基準取付部22との間隔が第2所定制限長さL2になる。
【0108】
第1ストッパー27と第2ストッパー28は、円周方向に等間隔に複数個設けられている。
【0109】
次に、第8実施の形態におけるブレーキ部13について説明する。
ブレーキ部13は、第1スリーブ6に対する外側スリーブ7の相対移動を制御する。ブレーキ部13は、円周方向に等間隔に複数個設けられている。各々のブレーキ部13は、
図21に示すように、外側スリーブ7と前記第1スリーブ6との間に架設された棒状のヒューズ体23を有する。ヒューズ体23は、外力Fが所定閾値Foを超えない場合に外側スリーブ7と第1スリーブ6との間に架設され状態に維持され、外力Fが所定閾値Foを超える場合に外力Fを受け切断される。
【0110】
次に、第8実施の形態における第1シール材17、第2シール材18及び第3シール材19の設置方法について説明する。
第1シール材17は、第1スリーブ6の右端部に配置され、第1スリーブ6の内周面と第1配管1の外周面との間を液密シールする。第1シール材17は、断面がL字状の留めリング17aと断面が階段状の留めリング17bとによって保持されている。
【0111】
第2シール材18は、外側スリーブ7の左端部に配置され、外側スリーブ7の内周面と第2配管2の外周面との間を液密シールする。第2シール材18は、断面がコ字状の留めリング18bと断面が階段状の留めリング18aとによって保持されている。
【0112】
第1シール材17と第2シール材18は、内圧及び外圧に対して自動的自己変形しシール性を確保するオートマチックシール性を有するものである。
図14や
図20に示すように、第1シール材17と第2シール材18は、一部の肉部が削除されて形成されたくびれ部が形成されたリップ付きシール材である。
【0113】
また、第3シール材19は、
図19等に示すように、断面が鉤形の留めリング19aと断面が鉤形の留めリング19bによって軸方向の両側から挟まれて強く保持されている。留めリング19aと留めリング19bとは、ボルトナット61で留められる。
【0114】
第3シール材19を留めリング19a、19bによって挟み保持することによって、第3シール材19は、第1スリーブ6の外周面と外側スリーブ7の内周面との間を液密シールする。
【0115】
また、第3シール材19は、上記の液密シールの機能の他に、第1スリーブ6に対する外側スリーブ7の相対移動を安易に容易に生じさせないように制御する機能をも併せ持ち、ブレーキ部13に加えて補助的なブレーキの役割をなすことも可能である。すなわち、第3シール材19は、第1スリーブ6の外周面と外側スリーブ7の内周面との間を液密シールする機能を有するとともに、第1スリーブ6に対する外側スリーブ7の相対移動を容易には生じさせないようにする補助的ブレーキの機能をも有してもよい。これによって、外力Fが定常的な一定外力成分F1と変動成分F2とから構成されると考えられる場合に、第3シール材19の補助的なブレーキの役割を一定外力成分F1と相殺させることにより、ブレーキ部13を変動成分F2と比較するように設定することができる。この結果、ブレーキ部13を外力F=F1+F2の全体と比較するように設定する場合に比べて、比較すべき実質的な所定閾値が小さくなるので、ブレーキ部13を小さく設定することが可能になる。なお、上述の説明においては、第3シール材19を補助的ブレーキとしたが、第3シール材19の代わりに第1シール材17または第2シール材18を補助的ブレーキとしてもよい。
【0116】
また、
図18に拡大して示すように、第1スリーブ6の左端部近傍には、硬質ゴムからなる保護用リング62が設けられている。保護用リング62は、第1スリーブ6の外周面に形成された溝に配置されており、外側スリーブ7の内周面に当接している。
【0117】
なお、保護用リング62を設けることは必須ではないが、保護用リング62を設けることによって、第1スリーブ6の右端部に配置された第3シール材19と合わせて、外側スリーブ7の第1スリーブ6に対する姿勢を安定化させることができる。また、保護用リング62を設ける場合には、第3シール材19は、第1配管1と第2配管2との偏心に対応する機能は持たされていない。
【0118】
図16は、伸縮可撓継手3が第1制限長部24と第2制限長部25の作用によってL1+L2の長さだけ伸長することを示す。第1基準部10と第1基準取付部21との間隔が第1所定制限長さL1になり、第2基準部11と第2基準取付部22との間隔が第2所定制限長さL2になった状態を示す。第1案内体54が第1長穴52の左端に当接し、第2案内体58が第2長穴56の右端に当接している。
【0119】
外力Fが所定閾値Foを超えておらず、ヒューズ体23の切断は生じておらず、外側スリーブ7と第1スリーブ6との間の相対移動は生じていない。
【0120】
図17は、外力Fが所定閾値Foを超え、ヒューズ体23の切断は生じた状態を示す。伸縮可撓継手3は、液密シール性を維持した状態で、第1制限長部24と第2制限長部25の作用によっるL1+L2の長さ伸長に加えて、外側スリーブ7と第1スリーブ6との重なりの長さS以内でさらに伸長することができる。
【0121】
なお、上述の説明において、ブレーキ部として摩擦体15を有するブレーキ部13,13aとヒューズ体23を有するブレーキ部13を例にとり説明したが、ブレーキ部13としては、これらに限らず、第1スリーブ6に対する外側スリーブ7の軸方向の相対移動を制御可能に制限できるものであれば他の形態であってもよい。
【0122】
次に、
図22乃至26を参照して本件発明の第9実施の形態について説明する。
図22は伸縮可撓継手3の平面図であり、
図23は、
図22において、Aから見た端面とBから見た端面とを示す。
【0123】
第9実施の形態は、
図7に示した第4実施の形態に対応するものであり、第4実施の形態をより具体的に示す一例である。
【0124】
第9実施の形態では、第1固定部31が第1基準取付部21に設けられ、第2固定部32が第2基準取付部22に設けられている。
【0125】
図22等に示すように、第1制限長部24の第1ストッパー27は第1所定制限長さL1を有する第1ひも体41から構成され、第2制限長部25の第2ストッパー28は第2所定制限長さL2を有する第2ひも体42から構成されている。第1ひも体41は第1基準部10と、第1固定部31の役を兼ねる第1基準取付部21との間に掛け渡され、第2ひも体42は第2基準部11と、第2固定部32の役を兼ねる第2基準取付部22との間に掛け渡されている。
【0126】
また、第9実施の形態では、第1スリーブ6と外側スリーブ7との軸方向の移動を制限する第3制限長部26を備え、第3制限長部26の第3ストッパー29は第3所定制限長さをL3を有する第3ひも体43から構成されている。
【0127】
図24は、外力Fの影響によって第1配管1と第2配管2との間隔が伸長し、これに対応して第1制限長部24が作用し、第1ストッパー27を構成する第1ひも体41が第1所定制限長さL1に伸長した状態を示す。
【0128】
図25は、
図24の場合に比べてより大きな外力Fを受け、第1配管1と第2配管2との間隔が大きく伸長するとともに偏心した場合を示す。この大きな外力Fに対応して第1制限長部24、第2制限長部25及び第3制限長部26が作用し、第1ストッパー27を構成する第1ひも体41が第1所定制限長さL1に伸長し、第2ストッパー28を構成する第2ひも体42が第2所定制限長さL2に伸長し、第3ストッパー29を構成する第3ひも体43が第3所定制限長さL3に伸長している。伸縮可撓継手3はほぼL1+L2+Sの長さだけ伸び、ほぼL1+L2+2Sの長さになっている。
【0129】
次に、
図27乃至
図33を参照して本件発明の第10実施の形態について説明する。
第10実施の形態は、
図7に示した第4実施の形態に対応するものであり、第4実施の形態をより具体的に示す例である。第9実施の形態とは、第1制限長部24、第2制限長部25及び第3制限長部26の構成が異なる。
【0130】
第10実施の形態では、
図27等に示すように、第1制限長部24の第1ストッパー27は、第1基準部10に一端が旋回自在に取り付けられた第1旋回部8aと、第1基準取付部21に一端が旋回自在に取り付けられた第1折れ部8bと、第1旋回部8aの他端と第1折れ部8bの他端を旋回自在に結合する第1旋回ピン8cとを有し、第1旋回部8aと第1折れ部8bとが直線状になるときに第1基準部8と第1基準取付部21との間隔が第1所定制限長さL1になる。
【0131】
また、第2制限長部25の第2ストッパー28は、第2基準部11に一端が旋回自在に取り付けられた第2旋回部9aと、第2基準取付部22に一端が旋回自在に取り付けられた第2折れ部9bと、第2旋回部9aの他端と第2折れ部9bの他端を旋回自在に結合する第2旋回ピン9cとを有し、第2旋回部9aと第2折れ部9bとが直線状になるときに第2基準部11と第2基準取付部22との間隔が第2所定制限長さL2になる。
【0132】
次に、第3制限長部26について説明する。
第3制限長部26は、第1固定部31と第2固定部32と第3ストッパー29を備えている。第10実施の形態では、第1固定部31が第1基準取付部21に設けられ、第2固定部32が第2基準取付部22に設けられている。
【0133】
第3ストッパー29は、第2固定部32に一端が取り付けられ軸方向に第3長穴30aが形成された平板棒状の長穴板体30bと、第1固定部31に一端が取り付けられ第3長穴30aに嵌められるビス状の案内部30cが設けられた平板棒状の案内体30dとを有し、第1固定部31と第2固定部32との間隔は、案内部30dが第3長穴30aの一端に当接するときに、第3所定制限長さL3になる。
【0134】
図29に示すように、長穴板体30bは2枚の板材を有し、案内部30cは上下から長穴板体30bの2枚の板材の各々に、軸方向にスライド可能に保持されている。
【0135】
なお、第1固定部31に長穴板体30bの一端が取り付けられ、第2固定部32に案内体30dの一端が取り付けられようにしてもよい。
【0136】
また、第1スリーブ6の左端部近傍の外周面に形成された溝には、硬質ゴムからなる保護用リング62と保護用リング62aが並んで設けられており、外側スリーブ7の内周面に当接している。保護用リング62と保護用リング62aは、第3シール材19と相俟って、第1スリーブ6と外側スリーブ7との軸方向の相対移動を安定した姿勢で可能にする。
【0137】
図27及び
図29は現場に初期的に設置される伸縮可撓継手3の基準形態を示す。案内体30dの案内部30cは長穴板体30bの第3長穴30aの端部から離れた途中に位置しており、案内体30dと長穴板体30bとは軸方向に一部重なった状態にある。伸縮可撓継手3をこのようなの基準形態で設置することにより、地震等が発生した場合に収縮また伸長のどちらでも円滑に対応できる。
【0138】
図30は、第1配管1と第2配管2との間隔が収縮し伸縮可撓継手3が最も収縮した形態を示す。地震等の影響を受け、案内部30cは、第3長穴30a内をスライドし、第3長穴30aの左端部に当接し、案内体30dと長穴板体30bとは軸方向に最も長い範囲で重なった状態にある。
【0139】
図31は、第1配管1と第2配管2との間隔がある程度伸長するとともに第1配管1と第2配管2とが互いに偏心し、伸縮可撓継手3が基準形態から伸長した形態を示す。これに対して、伸縮可撓継手3は、第1シール材17と第2シール材18が形状変形することと、案内体30dと長穴板体30bとが相対的にスライドすることとによって、対応することができる。この結果、第1配管1と第2配管2との間の伸長及び偏心にもかかわらず、第1配管1及び第2配管2と伸縮可撓継手3とは密閉シール性が維持される。
【0140】
図32は、
図31に示す場合に比べてさらに第1配管1と第2配管2との間隔が伸長した状態を示す。非常に大きな地震等が発生し大きな外力Fが生じた場合が想定される。この大きな外力Fに対応して第1制限長部24、第2制限長部25及び第3制限長部26が作用する。
【0141】
第3制限長部26では、案内部30cが第3長穴30a内をスライドし、第3長穴30aの右端部に当接し、第1基準取付部21と第2基準取付部22との間隔が第3所定制限長さL3になっている。
【0142】
第1制限長部24では、第1ストッパー27の第1旋回部8aと第1折れ部8bとが直線状になり、第1基準部8と第1基準取付部21との間隔が第1所定制限長さL1になっている。
【0143】
また、第2制限長部25では、第2ストッパー第2旋回部9aと第2折れ部9bとが直線状になり、第2基準部11と第2基準取付部22との間隔が第2所定制限長さL2になっている。
【0144】
この結果、伸縮可撓継手3はほぼL1+L2+Sの長さだけ伸び、ほぼL1+L2+2Sの長さになっている。
【0145】
なお、第1シール材17と第2シール材18と第3シール材19の間で摩擦特性に差異を持たせる等によって、性第1制限長部24と第2制限長部25と第3制限長部26との間で作動の優先順位を設定することも可能である。
【0146】
上述の説明においては、まず第3制限長部26が作動することを前提にした。この場合、当初は外力Fの大きさがあまり大きくなく第3所定制限長さL3の範囲内で伸縮可撓継手3が伸縮することで対応可能であったが、さらに外力Fが大きくなって、第1基準取付部21と第2基準取付部22との間隔が第3所定制限長さL3になり、この状態でさらに第1制限長部24と第2制限長部25が作動することが想定される。
【0147】
なお、一般的には、第1制限長部24、第2制限長部25及び第3制限長部26の各々の間には作動の優先順位なく各々が部分的に組み合わされて作用することが想定される。
【0148】
次に、
図34乃至
図41を参照して本件発明の第11実施の形態について説明する。
第11実施の形態は、第3制限長部26の構成に特徴を有し、第10実施の形態とは、第3制限長部26の構成が異なる。第10実施の形態の第3制限長部26は第1固定部31と第2固定部32と第3ストッパー29を備え、第1スリーブ6と外側スリーブ7の外側に設けられていた。これに対して、第11実施の形態の第3制限長部26は、第1スリーブ6の外周面と外側スリーブ7の内周面との間に設けられている。
【0149】
すなわち、第11実施の形態においては、第3制限長部26は、第1スリーブ6の軸方向の一端側(
図34で左端側)の外周面に突出する第1凸部71と、外側スリーブ7の軸方向の他端側(
図34で右端側)の内周面に突出し第1凸部71に当接可能な第2凸部72とを有する。
【0150】
図40は
図34、
図36におけるE部を拡大して示す図である。
図40に拡大して示すように、第1凸部71は第1スリーブ6と一体的に形成されており、第1凸部71の先端部には第2凸部72に向かう側に角部71aが形成されている。
【0151】
外側スリーブ7の他端側の端部には、外側スリーブ7の一部としてフランジ74が溶接によって固着されている。フランジ74の内周側に形成された溝部には第3シール材19が配設されている。第3シール材19は、外側スリーブ7の内周面(ここでは、フランジ74の内周面が相当する)に対してシールするシール材部39aと第1スリーブ6の外周面に対してシールするシール材部39bとを有する。シール材部39aとシール材部39bの各々は、くさび状台形の断面形状を有し、斜面が互いに接触して配設されている。シール材部39aとシール材部39bの各々は、接触面にくびれ部が形成されており、オートマティックシール性機能を有する。
【0152】
第3シール材19の軸方向の外側には、第3シール材19を第2凸部72に対して押し付けるためのリング状の押し部材73が配設されている。押し部材73は押輪73aと連結板73bとから構成されている。押輪73aはL字状断面を有し、連結板73bは押輪73aとほぼ同じ外径を有する。押輪73aと連結板73bとはボルトナット61によってフランジ74の側面に軸方向へ押し付けられている。
【0153】
第2凸部72は、リング状に形成されておりフランジ74の溝部に形成された角部74aに当接している。押し部材73が第3シール材19を軸方向に押し付けることによって、第2凸部72はフランジ74の角部74aに押し付けられている。シール材部39aとシール材部39bとはくさび状台形の斜面で接触していることによって、シール材部39aは外側スリーブ7の内周面側へ押し付けられ、シール材部39bは第1スリーブ6の外周面側へ押し付けられている。
【0154】
外力Fが大きくなり受けて第1配管1と第2配管2との間隔が伸長することに伴い、第1スリーブ6と外側スリーブ7とが軸方向に相対移動し、第1凸部71と第2凸部72とは最終的に当接し、第1スリーブ6と外側スリーブ7とは軸方向にこれ以上離反することはなく、第1凸部71と第2凸部72とが当接した状態で一体的に相対移動する。
【0155】
ここで、第1基準取付部21と第2基準取付部22との間隔が、第1スリーブ6と外側スリーブ7とが第3シール材19によって液密シールの関係を維持可能な許容限度長である第3所定制限長さL3に達するときに、第1凸部71と第2凸部72とが当接するようになっている。
【0156】
図34及び
図36は現場に初期的に設置される伸縮可撓継手3の基準形態を示す。第1スリーブ6と外側スリーブ7とは互いに最大に重なった状態より適度量だけ軸方向に離反している。伸縮可撓継手3をこのようなの基準形態で設置することにより、地震等が発生した場合に収縮また伸長のどちらでも円滑に対応できる。
【0157】
図37は、第1配管1と第2配管2との間隔が収縮し伸縮可撓継手3が最も収縮した形態を示す。第1凸部71は外側スリーブ7の左端に対応する位置にあり、第2凸部72は第1スリーブ6の右端に対応する位置にある。
【0158】
図38は、第1配管1と第2配管2との間隔がある程度伸長するとともに第1配管1と第2配管2とが互いに偏心し、伸縮可撓継手3が基準形態から伸長した形態を示す。これに対して、伸縮可撓継手3は、第1シール材17と第2シール材18が形状変形することと、第1スリーブ6と外側スリーブ7とが軸方向に相対的にスライドすることとによって、対応することができる。この結果、第1配管1と第2配管2との間の伸長及び偏心にもかかわらず、第1配管1及び第2配管2と伸縮可撓継手3とは密閉シール性が維持される。
【0159】
図39は、
図38に示す場合に比べてさらに第1配管1と第2配管2との間隔が伸長した状態を示す。第3制限長部26では、、第1凸部71と第2凸部72とが当接し、第1基準取付部21と第2基準取付部22との間隔が第3所定制限長さL3になっている。また、第1スリーブ6と外側スリーブ7とが許容限度長まで伸長した後にさらに伸長する必要があり第1制限長部24が限度まで作動している。第2制限長部25はまだ限度まで伸長しておらず、さらなる伸長に対応可能な余裕を有している。
【0160】
上述のように、第11実施の形態の構成によれば、大きな外力Fを受けて第1配管1と第2配管2との間隔が伸長する場合でも、第3制限長部26は第1凸部71と第2凸部72とを備えるので、第1スリーブ6と外側スリーブ7とは第3所定制限長さL3によって制限され互いに外れることはない。
【0161】
また、第3制限長部26を構成する第1凸部71と第2凸部72とは、第1スリーブ6と外側スリーブ7との間に配置されているので、第3制限長部26は外部に露出されることなく外観的にもシンプルであり、外部からの衝撃等を直接的に受けることがなく第3制限長部26の機能に高い安全性を持たせることができる。
【0162】
なお、
図41において、
図41(A)は
図34等に示した第3制限長部26を模式的に示す。
図41(A)に示されるように、
図34等においては、第3制限長部26の第2凸部72は第3シール材19の近傍に配置され、第1凸部71は第3シール材19から離れて配置されている。
【0163】
しかしながら、第11実施の形態は
図41(A)に示される場合に限らず、
図41(B)に示すように、第3制限長部26の第2凸部72が第3シール材19から離れて配置され、第1凸部71が第3シール材19の近傍に配置されていてもよい。
【0164】
上述の実施形態の説明において、第1制限長部、第2制限長部及びブレーキ部との組合せ、第1制限長部、第2制限長部及び第3制限長部との組合せについては、限られた例について説明したが、ここで例示した以外に種々の組合せが可能である。例えば、
図14等で示した第8実施の形態に対して
図9等で示した第6実施の形態の第1制限長部24と第2制限長部25とを適用することも可能であり、また、
図36等で示した第11実施の形態に対して
図9等で示した第6実施の形態の第1制限長部24と第2制限長部25を適用することも可能である。
また、
図13を参照して説明した第7の実施の形態においては、
図5を参照して説明した第2の実施の形態にブレーキ部13及び外側ブレーキ部13aをさらに備えていることを示した。
しかしながら、本願発明はこれに限らず、
図5を参照して説明した第2の実施の形態に第1の第3制限長部と第2の第3制限長部をさらに備えるようにすることも可能である。